JP2018148844A - フライ食品用バッター改質剤、フライ食品用バッター液及びフライ食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】乳化安定性や、使用時における水への分散性に優れた水中油型乳化組成物であって、フライ直後のサクサクとしたクリスピー感が、長時間経過後にも維持することができるフライ食品用バッター改質剤、この改質剤を含有するフライ食品用バッター液及びフライ食品の提供。【解決手段】以下の食用油脂10〜30質量%、乳化剤としてグリセリンモノ脂肪酸エステル0.9〜9.5質量%、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル0.8〜8質量%、有機酸モノグリセリド0.2〜5.5質量%、HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル0.5〜10質量%、及び水を含有する水中油型乳化油脂組成物からなるフライ食品用バッター改質剤。更に、糖質を含有し、水の含有量に対する糖質の含有量の比が0.05〜2.5であるフライ食品用バッター改質剤。前記バッター改質剤を1〜10質量%含有する、フライ食品用バッター液。前記バッター改質剤を含有するフライ食品。【選択図】なし
Description
本発明は、フライ食品の製造において使用されるフライ食品用バッター改質剤及びフライ食品用バッター液、並びにフライ食品用バッターを用いて製造されるフライ食品に関する。
コロッケ、とんかつ、メンチカツ、白身魚等のパン粉付けフライ食品は、通常これらの具材(食品素材)を小麦粉、水等を主原料とするバッター液に浸漬した後、パン粉を付着させて、油ちょう加熱して作製する。また、天ぷら、唐揚げ、フリッター等のフライ食品は、具材を、ダシ汁や水に小麦を薄く溶いたバッター液に浸漬した後、そのまま油ちょう加熱して作製する。
これらフライ食品では、フライ直後は、サクサクとした好ましい食感となる。しかし、弁当用、テイクアウト用として製造される場合には、消費者が食するまでに長時間、例えば3〜8時間経過するため、具材や空気中の水分が衣のパン粉もしくは衣に移行し、サクサクとした食感が徐々に失われる。そして、柔らかい食感となり、曳きが出て歯切れの悪い食感に経時変化してしまう。また、近年では、安全性、簡便性の面から、家庭におけるフライ調理が敬遠される傾向にあり、フライ後に冷凍流通された冷凍フライ食品を電子レンジで解凍して食するケースが急速に増えつつある。この場合には、常温または冷蔵保管された場合よりも更に経時変化が激しく、べたついた柔らかい食感になってしまう。そこでフライ直後のサクサクとした食感を経時的に変化させることなく長時間持続させる技術の開発が望まれており、この問題を解決するために、種々の試みがなされている。
例えば、特許文献1には、食用油脂100重量部に対し、グリセリン脂肪酸エステル及びプロピレングリコール脂肪酸エステルからなるバッター用油脂組成物をバッター液に添加する方法、そして特許文献2には、油相中に、主要構成脂肪酸がべへン酸であるポリグリセリン脂肪酸エステルを含有することを特徴とするバッター用油脂組成物を使用する方法が記載されている。通常、バッター液の作製時には、20℃以下の冷水が使用されることが多く、このようなバッター用油脂組成物は、冷水における分散性が悪いため、バッター液中に均一に分散せず、フライ後の効果にばらつきがある。
また、特許文献3には、有機酸モノグリセリド及びプロピレングリコール脂肪酸エステルを含むバッター用油脂組成物をバッター液に添加する方法が記載されている。このバッター用油脂組成物は、冷水下での分散性は若干認められるものの、バッター液中に均一に分散しないため、フライ後の効果にばらつきがあり、食感改良効果は不十分であった。
そのほか、特許文献4には、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びD−ソルビトールを必須成分としてなる起泡剤製剤からなるバッター改質剤が記載されている。このバッター改質剤では、起泡性はあるものの、バッター液の安定性及びフライ食品におけるサクサク感や曳き性で十分に改善できるものではなかった。
本発明の課題は、乳化安定性や、使用時における水への分散性に優れた水中油型乳化組成物であって、フライ直後のサクサクとしたクリスピー感が、長時間経過後にも維持することができるフライ食品用バッター改質剤、この改質剤を含有するフライ食品用バッター液及びフライ食品を提供することである。フライ直後だけでなく、長時間経過後もサクサクとしたクリスピー感を維持し、食感の軽さや曳き性に優れ、またフライ後冷凍し電子レンジ解凍してもその食感を長時間維持できるフライ食品を提供することである。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、食用油脂、特定の乳化剤、および水を有する水中油型乳化油脂組成物をフライ食品用バッター液に添加することにより、上記の課題を解決することの知見を見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕である。
すなわち、本発明は、下記の〔1〕〜〔4〕である。
〔1〕食用油脂(A)、乳化剤(B)および水(D)を含有する水中油型乳化油脂組成物からなるフライ食品用バッター改質剤であって、
乳化剤(B)は、
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)、
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)、
クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドおよびジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上の有機酸モノグリセリド(b3)、並びに、
HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)を含有し、
前記の水中油型乳化油脂組成物の中の
食用油脂(A)の含有量が10〜30質量%であり、
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)の含有量が0.9〜9.5質量%であり、
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)の含有量が0.8〜8質量%であり、
有機酸モノグリセリド(b3)の含有量が0.2〜5.5質量%であり、
ポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)の含有量が0.5〜10質量%である、フライ食品用バッター改質剤。
〔2〕更に、糖質(C)を含有し、
前記の水(D)の含有量に対する前記の糖質(C)の含有量の比(C/D)は、0.05〜2.5である、前記の〔1〕に記載のフライ食品用バッター液の改質剤。
〔3〕フライ食品用バッター液全質量に対して、前記の〔1〕又は〔2〕に記載のフライ食品用バッター改質剤を1〜10質量%含有する、フライ食品用バッター液改質剤。
〔4〕前記の〔1〕又は〔2〕に記載のフライ食品用バッター改質剤を含有するフライ食品。
乳化剤(B)は、
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)、
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)、
クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドおよびジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上の有機酸モノグリセリド(b3)、並びに、
HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)を含有し、
前記の水中油型乳化油脂組成物の中の
食用油脂(A)の含有量が10〜30質量%であり、
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)の含有量が0.9〜9.5質量%であり、
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)の含有量が0.8〜8質量%であり、
有機酸モノグリセリド(b3)の含有量が0.2〜5.5質量%であり、
ポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)の含有量が0.5〜10質量%である、フライ食品用バッター改質剤。
〔2〕更に、糖質(C)を含有し、
前記の水(D)の含有量に対する前記の糖質(C)の含有量の比(C/D)は、0.05〜2.5である、前記の〔1〕に記載のフライ食品用バッター液の改質剤。
〔3〕フライ食品用バッター液全質量に対して、前記の〔1〕又は〔2〕に記載のフライ食品用バッター改質剤を1〜10質量%含有する、フライ食品用バッター液改質剤。
〔4〕前記の〔1〕又は〔2〕に記載のフライ食品用バッター改質剤を含有するフライ食品。
本発明によれば、長時間経過後のクリスピー感や、食感の軽さ、曳き性に優れたフライ食品を得ることができるフライ食品用バッター改質剤、この改質剤を含有するフライ食品用バッター液及びフライ食品を提供することができる。
また、本発明によれば、フライ直後だけでなく、長時間経過後にもサクサクとしたクリスピー感を維持し、食感の軽さや曳き性に優れたフライ食品を提供することができる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
[フライ食品用バッター改質剤]
本発明のフライ食品用バッター改質剤は、食用油脂(A)、乳化剤(B)として、グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上の有機酸モノグリセリド(b3)、HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)、および水を含有する水中油型乳化油脂組成物である。
[フライ食品用バッター改質剤]
本発明のフライ食品用バッター改質剤は、食用油脂(A)、乳化剤(B)として、グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)、ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上の有機酸モノグリセリド(b3)、HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)、および水を含有する水中油型乳化油脂組成物である。
<食用油脂(A)>
本発明に用いる食用油脂は、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば大豆油、菜種油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油又はハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂、牛脂、ラード、魚油又は乳脂等の動物油脂、更にこれらの動植物油脂を分別、水素添加あるいはエステル交換したもの又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられ、好ましくは大豆油又は菜種油等の常温(25℃)で液状の植物油脂である。
本発明に用いる食用油脂は、食用可能な油脂であれば特に制限はなく、例えば大豆油、菜種油、サフラワー油、ヒマワリ油、米糠油、コーン油、椰子油、パーム油、パーム核油、落花生油、オリーブ油、ハイオレイック菜種油、ハイオレイックサフラワー油、ハイオレイックコーン油又はハイオレイックヒマワリ油等の植物油脂、牛脂、ラード、魚油又は乳脂等の動物油脂、更にこれらの動植物油脂を分別、水素添加あるいはエステル交換したもの又は中鎖脂肪酸トリグリセリド(MCT)等が挙げられ、好ましくは大豆油又は菜種油等の常温(25℃)で液状の植物油脂である。
本発明の水中油型乳化油脂組成物に含まれる食用油脂(A)の含有量は、10〜30質量%であり、好ましくは15〜25質量%である。10質量%未満の場合には、(b1)〜(b3)等の油溶性の乳化剤(B)を溶解することができないため、水中油型乳化油脂組成物の乳化安定性や乳化剤の分散性が悪くなる。一方、30質量%を超えても、乳化安定性が悪くなる。
<乳化剤(B)>
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)
本発明に用いるグリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)は、グリセリンと脂肪酸のエステル化生成物であり、その構成脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。バッター液の起泡性を向上させるためには、炭素数12〜22の直鎖の飽和脂肪酸が好ましく、特に、パルミチン酸又はステアリン酸を、好ましくは約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸混合物である。
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)
本発明に用いるグリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)は、グリセリンと脂肪酸のエステル化生成物であり、その構成脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。バッター液の起泡性を向上させるためには、炭素数12〜22の直鎖の飽和脂肪酸が好ましく、特に、パルミチン酸又はステアリン酸を、好ましくは約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸混合物である。
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)の製法は、特に制限されないが、以下の方法によりグリセリンモノ脂肪酸エステルを得ることができる。例えば、グリセリンと脂肪酸とのエステル化反応又はグリセリンと油脂(トリアシルグリセリン)とのエステル交換反応により、グリセリン、グリセリンモノ脂肪酸エステル、グリセリンジ脂肪酸エステル又はグリセリントリ脂肪酸エステル等を含む混合物を調製する。次に、該混合物から公知の方法、例えば低真空度での蒸留等で未反応のグリセリン等を除き、さらに、例えば流下薄膜式分子蒸留装置又は遠心式分子蒸留装置等を用いて分子蒸留することにより、留分として、モノエステルを約90質量%以上含む、グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)含有物が得られる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物におけるグリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)の含有量は、0.9〜9.5質量%であり、好ましくは2〜8質量%である。0.9質量%未満の場合には、起泡性能が低下し、フライ食品においてサクサクとした食感が弱くなる。一方、9.5質量%を超えると、乳化安定性、水への分散性、起泡性が悪くなる。
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)
本発明に用いるジグリセリンモノ脂肪酸エステルは、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等、公知の方法で製造される。
上記ジグリセリンは、通常グリセリン又はグリシドールあるいはエピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させることにより、重合度の異なるポリグリセリンの混合物として得ることができる。また、例えば蒸留あるいはカラムクロマトグラフィー等、公知の方法により、ジグリセリンを高濃度化することもできる。エステル化反応に使用するジグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約1.5〜2.4のジグリセリン組成物、又はグリセリン2分子からなるジグリセリンの含有量が約50質量%、好ましくは約70質量%、より好ましくは90質量%以上であるジグリセリン組成物が挙げられる。
本発明に用いるジグリセリンモノ脂肪酸エステルは、ジグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等、公知の方法で製造される。
上記ジグリセリンは、通常グリセリン又はグリシドールあるいはエピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させることにより、重合度の異なるポリグリセリンの混合物として得ることができる。また、例えば蒸留あるいはカラムクロマトグラフィー等、公知の方法により、ジグリセリンを高濃度化することもできる。エステル化反応に使用するジグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約1.5〜2.4のジグリセリン組成物、又はグリセリン2分子からなるジグリセリンの含有量が約50質量%、好ましくは約70質量%、より好ましくは90質量%以上であるジグリセリン組成物が挙げられる。
上記脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられる。更に、バッター液生地の起泡性を向上させるためには、炭素数12〜22の直鎖の飽和脂肪酸が好ましく、特に、パルミチン酸又はステアリン酸を、好ましくは約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸混合物である。
本発明で用いられるジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)の製法の概略は、以下のとおりである。すなわち、上記高純度ジグリセリン組成物と脂肪酸を、例えば高純度のステアリン酸を、例えば等モルで、エステル化反応させることにより、未反応のジグリセリン、ジグリセリンモノステアリン酸エステル、ジグリセリンジステアリン酸エステル、ジグリセリントリステアリン酸エステル又はジグリセリンテトラステアリン酸エステル等を含む混合物が得られる。次に、該混合物から公知の方法、例えば、低真空度での蒸留等で未反応のジグリセリン等を除き、さらに、例えば、流下薄膜式分子蒸留装置又は遠心式分子蒸留装置等を用いて該混合物を分子蒸留することにより、留分として、例えばジグリセリンモノステアリン酸エステルを約70質量%以上含むジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)含有物が得られる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物におけるジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)の含有量は、0.8〜8質量%であり、好ましくは1.6〜6質量%である。0.8質量%未満の場合には、起泡性能が低下し、フライ食品においてサクサクとした食感が弱くなる。一方、8質量%を超えると、水への分散性や起泡性能が悪くなる。
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)とジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)は、共にバッター液生地の起泡性を向上させる機能を発揮する。b2成分の含有量に対するb1成分の含有量の比(b1/b2)は、特に制限されないが、好ましくは0.12〜12であり、より好ましくは0.5〜12である。
有機酸モノグリセリド(b3)
本発明に用いる有機酸モノグリセリド(b3)は、グリセリンと有機酸と脂肪酸のエステル化生成物であり、グリセリンに有機酸と脂肪酸がそれぞれ1つずつエステル結合した構造物である。例えば、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上を含有する。好ましくはコハク酸モノグリセリド又はクエン酸モノグリセリドである。
本発明に用いる有機酸モノグリセリド(b3)は、グリセリンと有機酸と脂肪酸のエステル化生成物であり、グリセリンに有機酸と脂肪酸がそれぞれ1つずつエステル結合した構造物である。例えば、クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上を含有する。好ましくはコハク酸モノグリセリド又はクエン酸モノグリセリドである。
脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくは炭素数16〜22の直鎖の飽和脂肪酸を、好ましくは約70質量%以上、より好ましくは約90質量%以上含有する飽和脂肪酸又は飽和脂肪酸混合物である。
上記有機酸モノグリセリド(b3)は、通常グリセリンモノ脂肪酸エステルと有機酸(又は有機酸の酸無水物)との反応、又はグリセリンと有機酸と脂肪酸との反応により得ることができる。例えば、コハク酸モノグリセリドの製法の概略は以下の通りである。即ち、グリセリンモノ脂肪酸エステルを溶融し、これにコハク酸の酸無水物を加え、温度約120℃前後で約90分間反応する。グリセリンモノ脂肪酸エステルとコハク酸の酸無水物との比率は質量比で約1/1〜1/2が好ましい。さらに、反応中は生成物の着色及び臭気を防止するために、反応器内を不活性ガスで置換する方が好ましい。得られたグリセリンモノ脂肪酸エステルとコハク酸の酸無水物との反応物は、コハク酸モノグリセリドの他に、コハク酸、未反応のグリセリンモノ脂肪酸エステル等を含む混合物である。
本発明の水中油型乳化油脂組成物における有機酸モノグリセリド(b3)の含有量は、0.2〜5.5質量%であり、好ましくは0.5〜3質量%である。0.2質量%未満の場合には、水への分散性や起泡性の効果が弱くなる。一方、5.5質量%を超えると、水への分散性や起泡性が低下し、更に乳化安定性も悪くなる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)は、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等の公知の方法で製造される。上記ポリグリセリンは、通常グリセリン又はグリシドールあるいはエピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。該ポリグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約3〜20、好ましくは約6〜15のポリグリセリン組成物が挙げられ、それらは例えばトリグリセリン(平均重合度約3)、ヘキサグリセリン(平均重合度約6)、オクタグリセリン(平均重合度約8)又はデカグリセリン(平均重合度約10)等である。
本発明で用いられるポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)は、ポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化生成物であり、エステル化反応等の公知の方法で製造される。上記ポリグリセリンは、通常グリセリン又はグリシドールあるいはエピクロルヒドリン等を加熱し、重縮合反応させて得られる重合度の異なるポリグリセリンの混合物である。該ポリグリセリンとしては、グリセリンの平均重合度が約3〜20、好ましくは約6〜15のポリグリセリン組成物が挙げられ、それらは例えばトリグリセリン(平均重合度約3)、ヘキサグリセリン(平均重合度約6)、オクタグリセリン(平均重合度約8)又はデカグリセリン(平均重合度約10)等である。
上記脂肪酸としては、食用可能な動植物油脂を起源とする脂肪酸であれば特に制限はなく、例えば炭素数6〜24の直鎖の飽和又は不飽和脂肪酸が挙げられ、好ましくは、炭素数16〜18の直鎖の飽和脂肪酸、即ちパルミチン酸又はステアリン酸等を、好ましくは約50質量%以上、より好ましくは約70質量%以上含有する脂肪酸又は脂肪酸混合物が挙げられる。
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの製法の概略は以下のとおりである。すなわち、上記高純度のポリグリセリンと脂肪酸を、例えば等モルでエステル化反応させ、反応終了後、反応液を例えば約100℃で保持しながら約15分間静置することによって反応液を二層分離し、未反応のポリグリセリンを含む層を除去することにより、ポリグリセリン脂肪酸エステルが得られる。好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えばトリグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノステアレート等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)のHLBは、6以上である。また、HLBの上限としては、好ましくは16以下であり、より好ましくは12以下であり、更に好ましくは10以下であり、特に好ましくは8以下である。HLBが6以上のものを使用することにより、水中油型乳化油脂組成物の乳化安定性および起泡性能を高めることができる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物におけるポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)の含有量は、0.5〜10質量%であり、好ましくは1〜5質量%である。0.5質量%未満の場合には、水中油型乳化油脂組成物の乳化安定性が悪くなり、また、水への分散性や起泡性能も悪い。一方、10質量%を超えると、乳化安定性や起泡性が低下し、更に風味も悪くなる。
その他の乳化剤
本発明の水中油型乳化油脂組成物には、上記(b1)〜(b4)の乳化剤以外の乳化剤を使用してもよい。例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物には、上記(b1)〜(b4)の乳化剤以外の乳化剤を使用してもよい。例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン、酵素分解レシチン等が挙げられる。
水中油型乳化油脂組成物における乳化剤(B)の総含有量は、特に制限されないが、好ましくは3〜40質量%であり、より好ましくは5〜30質量%であり、特に好ましくは10〜20質量%である。
また、(b1)成分〜(b4)成分の総含有量は、好ましくは3〜20質量%であり、より好ましくは、5〜15質量%であり、特に好ましくは、7〜13質量%である。
<糖質(C)>
本発明の水中油型乳化油脂組成物には、糖質(C)を含有することが好ましい。糖質を含有することによりO/W型の乳化安定性が優れるという効果を奏する。
本発明の水中油型乳化油脂組成物には、糖質(C)を含有することが好ましい。糖質を含有することによりO/W型の乳化安定性が優れるという効果を奏する。
糖質(C)は、糖類、糖アルコール及び多価アルコール類から選ばれる1種以上が用いられる。糖類としては、例えばキシロース、ブドウ糖、果糖等の単糖、ショ糖、乳糖又は麦芽糖等のオリゴ糖、又はデキストリンあるいは水飴等のでん粉分解物、マルトトリオース、マルトテトラオース、マルトペンタオース又はマルトヘキサオース等のマルトオリゴ糖等が挙げられる。糖アルコールとしては、ソルビトール、マンニトール、マルチトール又は還元水飴等が挙げられる。多価アルコールとしては、プロピレングリコール、グリセリン又はポリグリセリン等が挙げられ、好ましくはソルビトール又は還元水飴等である。これら糖類、糖アルコール又は多価アルコールは、単独で用いるか、又は2種以上の混合物として用いることができる。
<水(D)>
本発明で用いられる水(D)は、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜(RO)処理水又は限外ろ過膜(UF)処理水等の精製水、水道水、地下水あるいは涌水等の天然水又はアルカリイオン水等が挙げられる。
本発明で用いられる水(D)は、飲用可能なものであれば特に制限はなく、例えば蒸留水、イオン交換樹脂処理水、逆浸透膜(RO)処理水又は限外ろ過膜(UF)処理水等の精製水、水道水、地下水あるいは涌水等の天然水又はアルカリイオン水等が挙げられる。
水(D)の含有量に対する糖質(C)の含有量の比(C/D)は、特に制限されないが、好ましくは0.05〜2.5である。水中油型乳化油脂組成物の乳化安定性を高め、かつ、菌の増幅等を抑制して、保存安定性を高めるという観点から、より好ましくは2.0〜2.4である。
[水中油型乳化油脂組成物の製造方法]
本発明における水中油型乳化油脂組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。以下に、好ましい水中油型乳化油脂組成物の製造方法を例示する。
例えば、食用油脂(A)と油溶性の乳化剤(B)(b1成分〜b3成分および油溶性のb4成分)を合して約65〜90℃程度に加熱し、該油相を攪拌しながら、この中に約60〜90℃程度に加熱し溶解した糖質(C)と水(必要に応じて水溶性のb4成分)からなる水相をゆっくり加え乳化する。次に、得られた乳化液を攪拌しながら急冷し、その後、必要であればテンパリング操作を行い、本発明の水中油型乳化油脂組成物を得る。得られた組成物の性状は乳化剤の濃度等により異なり一様ではないが、おおむね液状、ペースト状あるいはゲル状を呈する。
本発明における水中油型乳化油脂組成物の製造方法は特に限定されず、公知の方法を用いることができる。以下に、好ましい水中油型乳化油脂組成物の製造方法を例示する。
例えば、食用油脂(A)と油溶性の乳化剤(B)(b1成分〜b3成分および油溶性のb4成分)を合して約65〜90℃程度に加熱し、該油相を攪拌しながら、この中に約60〜90℃程度に加熱し溶解した糖質(C)と水(必要に応じて水溶性のb4成分)からなる水相をゆっくり加え乳化する。次に、得られた乳化液を攪拌しながら急冷し、その後、必要であればテンパリング操作を行い、本発明の水中油型乳化油脂組成物を得る。得られた組成物の性状は乳化剤の濃度等により異なり一様ではないが、おおむね液状、ペースト状あるいはゲル状を呈する。
また、糖質(C)と水(必要に応じて水溶性のb4成分)からなる水相を約60〜90℃程度に加熱し、該水相を攪拌しながら、この中に約65〜90℃程度に加熱し溶解した食用油脂(A)と乳化剤(B)(b1成分〜b3成分および油溶性のb4成分)からなる油相をゆっくり加え乳化してもよい。次に、得られた乳化液を攪拌しながら急冷し、その後、必要であればテンパリング操作を行い、本発明の水中油型乳化油脂組成物を得ることもできる。
本発明の水中油型乳化油脂組成物を製造するための装置としては特に限定されず、例えば、攪拌機、加熱用のジャケット又は邪魔板等を備えた通常の攪拌・混合槽を用いることができる。攪拌機に装備する攪拌翼の形状はプロペラ型、かい十字型、ファンタービン型、ディスクタービン型又はいかり型のいずれでも良いが、好ましくはディスクタービン型又はいかり型である。また、TKホモミキサー(製品名;特殊機化工業社製)、クレアミックス(製品名;エムテクニック社製)等の高速回転式ホモジナイザーも使用することができる。
乳化液の冷却は、前記加熱用のジャケットに水又は冷媒を通すことにより行われてもよいが、工業的には、攪拌・混合槽より乳化液を抜き出し、ボテーター(ケメトロン社製)、オンレーター(桜製作所社製)又はコンサーム(アルファ・ラバル社製)等の掻きとり式の急冷混捏装置を用いて行われるのが好ましい。
[フライ食品用バッター液]
本発明のフライ食品用バッター液とは、小麦粉、水等を主原料とし、本発明の水中油型乳化油脂組成物からなるフライ食品用バッター改質剤を含有すること以外は、常法により製造したものを用いることができる。
本発明のフライ食品用バッター液とは、小麦粉、水等を主原料とし、本発明の水中油型乳化油脂組成物からなるフライ食品用バッター改質剤を含有すること以外は、常法により製造したものを用いることができる。
バッター液に本発明の改質剤を添加する操作では、水や液糖などの液状の原料に改質剤を添加し、撹拌により起泡させた後、小麦粉等の固体状の原料を添加する。これにより、原料液の内部に微細な気泡が分散するため、バッター液を調製した際にバッター液内部に微細な気泡が形成され、ポーラス構造を有するバッター液を簡単に調整することができる。
そして、このような微細な気泡を有するバッター液に浸漬させた具材を油ちょうした食品は、フライ後、長時間経過しても、フライ直後のクリスピー感、食感の軽さを有し、曳き性(歯切れ)において優れた効果を発揮することができる。
フライ食品用バッター液における上記改質剤の添加量は、フライ食品用バッター液全質量に対して1〜10質量%であり、好ましくは3〜7質量%であり、特に好ましくは4〜6質量%である。1質量%未満の場合には、改質剤の効果が弱く、フライ直後および長時間経過後にもサクサクとしたクリスピー感を維持し、食感の軽さや曳き性に優れたフライ食品を提供することができない。また、10質量%を超えると硬くなりすぎる。
[フライ食品]
本発明のフライ食品は、本発明のフライ食品用バッター改質剤を必須成分として含有するが、その他の原料は特に限定するものでなく、通常、小麦粉、澱粉などの粉体、あるいは市販のバッターミックスと水を含む。こうして得られたバッター液に、具材を浸漬し、パン粉付けもしくはそのままの状態で常法により油ちょう加熱したものである。油ちょう加熱の条件は、フライ食品の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、コロッケの場合、140〜210℃の食用油脂中で60〜600秒間油ちょう加熱することにより製造することができる。油ちょう加熱に利用される油としては、パーム油、コーン油等の一般的にフライ調理に用いる食用油脂であれば、特に制限されない。
フライ食品としては、例えば、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、白身魚フライ、天ぷら、唐揚げ、フリッター等を例示することができる。
本発明のフライ食品は、本発明のフライ食品用バッター改質剤を必須成分として含有するが、その他の原料は特に限定するものでなく、通常、小麦粉、澱粉などの粉体、あるいは市販のバッターミックスと水を含む。こうして得られたバッター液に、具材を浸漬し、パン粉付けもしくはそのままの状態で常法により油ちょう加熱したものである。油ちょう加熱の条件は、フライ食品の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、コロッケの場合、140〜210℃の食用油脂中で60〜600秒間油ちょう加熱することにより製造することができる。油ちょう加熱に利用される油としては、パーム油、コーン油等の一般的にフライ調理に用いる食用油脂であれば、特に制限されない。
フライ食品としては、例えば、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、白身魚フライ、天ぷら、唐揚げ、フリッター等を例示することができる。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
[水中油型乳化油脂組成物の調製]
(1)水中油型乳化油脂組成物の原材料
A成分:
菜種油…日清オイリオ(株)製
B成分:
〔b1〕
グリセリンモノ脂肪酸エステル1(以下、「MGエステル1」という。)…理研ビタミン(株)製「エマルジーP−100」(グリセリンモノ脂肪酸エステル含量95質量%、構成脂肪酸:パルミチン酸45質量%、ステアリン酸55質量%)
グリセリンモノ脂肪酸エステル2(以下、「MGエステル2」という。)…太陽化学(株)「サンソフトNo.433」(グリセリンモノ脂肪酸エステル含量40質量%、主な構成脂肪酸:パルミチン酸)
〔b2〕
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル1(以下、「DGエステル1」という。)…理研ビタミン(株)製「ポエムDS−100A」(ジグリセリンモノ脂肪酸エステル含量80質量%、主な構成脂肪酸:ステアリン酸)
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル2(以下、「DGエステル2」という。)…理研ビタミン(株)製「ポエムDO−100V」(ジグリセリンモノ脂肪酸エステル含量80質量%、主な構成脂肪酸:オレイン酸)
〔b3〕
コハク酸モノグリセリド(以下、「SMG」という。)…ケリー・バイオサイエンス社製「マイベロールSMG−K」(コハク酸モノグリセリド含量55質量%)
クエン酸モノグリセリド …理研ビタミン(株)製「ポエムK−30」
〔b4〕
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:6.9)…Loders Croklaan社製「サントン3−1−S XTR」(トリグリセリンモノステアレート)
〔b4’〕
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4.7)…阪本薬品工業(株)SYグリスターPO−5S」(ヘキサグリセリンペンタオレエート)
C成分およびD成分:
液糖(マルチトール)…三菱商事フードテック(株)製「アマミール」(マルチトール含量70質量%)
[水中油型乳化油脂組成物の調製]
(1)水中油型乳化油脂組成物の原材料
A成分:
菜種油…日清オイリオ(株)製
B成分:
〔b1〕
グリセリンモノ脂肪酸エステル1(以下、「MGエステル1」という。)…理研ビタミン(株)製「エマルジーP−100」(グリセリンモノ脂肪酸エステル含量95質量%、構成脂肪酸:パルミチン酸45質量%、ステアリン酸55質量%)
グリセリンモノ脂肪酸エステル2(以下、「MGエステル2」という。)…太陽化学(株)「サンソフトNo.433」(グリセリンモノ脂肪酸エステル含量40質量%、主な構成脂肪酸:パルミチン酸)
〔b2〕
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル1(以下、「DGエステル1」という。)…理研ビタミン(株)製「ポエムDS−100A」(ジグリセリンモノ脂肪酸エステル含量80質量%、主な構成脂肪酸:ステアリン酸)
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル2(以下、「DGエステル2」という。)…理研ビタミン(株)製「ポエムDO−100V」(ジグリセリンモノ脂肪酸エステル含量80質量%、主な構成脂肪酸:オレイン酸)
〔b3〕
コハク酸モノグリセリド(以下、「SMG」という。)…ケリー・バイオサイエンス社製「マイベロールSMG−K」(コハク酸モノグリセリド含量55質量%)
クエン酸モノグリセリド …理研ビタミン(株)製「ポエムK−30」
〔b4〕
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:6.9)…Loders Croklaan社製「サントン3−1−S XTR」(トリグリセリンモノステアレート)
〔b4’〕
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4.7)…阪本薬品工業(株)SYグリスターPO−5S」(ヘキサグリセリンペンタオレエート)
C成分およびD成分:
液糖(マルチトール)…三菱商事フードテック(株)製「アマミール」(マルチトール含量70質量%)
(2)水中油型乳化油脂組成物の配合
上記原材料を用いた水中油型乳油脂組成物(実施例1−1〜1−17、比較例1〜16)の配合組成を表1〜表4に示した。
上記原材料を用いた水中油型乳油脂組成物(実施例1−1〜1−17、比較例1〜16)の配合組成を表1〜表4に示した。
(3)水中油型乳化油脂組成物の調製
a)1L容ステンレス製ビーカーにC成分およびD成分を入れ約80℃に加熱し、水相とする。
b)別の容器でA成分を80〜90℃に加熱し、これにB成分を加え、80〜90℃で混合・溶解し、油相とする。
c)該水相をスリーワンモータ(型式:FBL−600;HEIDON社製、攪拌翼3枚羽根タービン型2段装着)で緩やかに(約500rpm)撹拌しながら油相を徐々に加え、入れ終わってから更に20分間撹拌を続け、水中油型乳化液を得た。なお、組成物の総量は600gとした。
d)c)の乳化液をビーカーごと約10℃の高温水槽に漬け、ビーカー内壁をゴムへらで掻き取りながら乳化液を冷却・混練りし、全体を均一で艶の有るペースト状とした。
e)得られたペーストを内面コーティングされた金属製丸缶に移し、45℃で1日間テンパリングし、水中油型乳化油脂組成物を得た。
a)1L容ステンレス製ビーカーにC成分およびD成分を入れ約80℃に加熱し、水相とする。
b)別の容器でA成分を80〜90℃に加熱し、これにB成分を加え、80〜90℃で混合・溶解し、油相とする。
c)該水相をスリーワンモータ(型式:FBL−600;HEIDON社製、攪拌翼3枚羽根タービン型2段装着)で緩やかに(約500rpm)撹拌しながら油相を徐々に加え、入れ終わってから更に20分間撹拌を続け、水中油型乳化液を得た。なお、組成物の総量は600gとした。
d)c)の乳化液をビーカーごと約10℃の高温水槽に漬け、ビーカー内壁をゴムへらで掻き取りながら乳化液を冷却・混練りし、全体を均一で艶の有るペースト状とした。
e)得られたペーストを内面コーティングされた金属製丸缶に移し、45℃で1日間テンパリングし、水中油型乳化油脂組成物を得た。
(4)水中油型乳化油脂組成物の評価
次に、得られた水中油型乳化油脂組成物の「O/W型の安定性」、「水への分散性」および「起泡性能」について評価した。
次に、得られた水中油型乳化油脂組成物の「O/W型の安定性」、「水への分散性」および「起泡性能」について評価した。
<O/W型の安定性>
水中油型乳化油脂組成物の状態を目視により確認し、「O/W型の安定性」について、以下の評価基準により評価した。その結果を表1〜表4の配合表の下部に記載する。
◎:安定したO/W型を形成する。
○:O/W型を形成する。
△:O/W型を形成するが、乳化不安定である。
×:分離もしくは転相する。
水中油型乳化油脂組成物の状態を目視により確認し、「O/W型の安定性」について、以下の評価基準により評価した。その結果を表1〜表4の配合表の下部に記載する。
◎:安定したO/W型を形成する。
○:O/W型を形成する。
△:O/W型を形成するが、乳化不安定である。
×:分離もしくは転相する。
<水への分散性>
水中油型乳化油脂組成物の「水への分散性」は、以下のとおり評価した。その結果を表1〜表4の配合表の下部に記載する。
1L容ガラスビーカーに700mLの水を入れた後、水中油型乳化油脂組成物35g(5w/v%)を入れて、スリーワンモータで攪拌した。目視により水中油型乳化油脂組成物の分散状態を確認し、「水への分散性」について以下の評価基準により評価した。
◎:完全に分散する。
○:時間を要するが、分散する。
△:やや分散性が劣る。
×:水への分散性なし。
水中油型乳化油脂組成物の「水への分散性」は、以下のとおり評価した。その結果を表1〜表4の配合表の下部に記載する。
1L容ガラスビーカーに700mLの水を入れた後、水中油型乳化油脂組成物35g(5w/v%)を入れて、スリーワンモータで攪拌した。目視により水中油型乳化油脂組成物の分散状態を確認し、「水への分散性」について以下の評価基準により評価した。
◎:完全に分散する。
○:時間を要するが、分散する。
△:やや分散性が劣る。
×:水への分散性なし。
<起泡性能>
水中油型乳化油脂組成物の「起泡性能」は、以下のとおり評価した。その結果を表1〜表4の配合表の下部に記載する。
ホバートミキサー用ボールに500mLの水と水中油型乳化油脂組成物25g(5w/v%)を入れた後、ホイッパーを使用して、中高速で3分間攪拌した。撹拌終了後、約10分後の比重を測定し、以下の評価基準により「起泡性能」を評価した。なお、撹拌前の比重は、1.0g/cm3である。
◎:0.80g/cm3以下である。
○:0.80g/cm3より大きく、0.90g/cm3以下である。
△:0.90g/cm3より大きく、1.0g/cm3未満である。
×:1.0g/cm3である(変化なし)。
水中油型乳化油脂組成物の「起泡性能」は、以下のとおり評価した。その結果を表1〜表4の配合表の下部に記載する。
ホバートミキサー用ボールに500mLの水と水中油型乳化油脂組成物25g(5w/v%)を入れた後、ホイッパーを使用して、中高速で3分間攪拌した。撹拌終了後、約10分後の比重を測定し、以下の評価基準により「起泡性能」を評価した。なお、撹拌前の比重は、1.0g/cm3である。
◎:0.80g/cm3以下である。
○:0.80g/cm3より大きく、0.90g/cm3以下である。
△:0.90g/cm3より大きく、1.0g/cm3未満である。
×:1.0g/cm3である(変化なし)。
表1に、種々の乳化剤(B)を使用しての本発明の水中油型乳化油脂組成物の配合および評価結果を示す。
表1を参照すると、実施例1−1〜1−8では、本発明に用いる乳化剤(B)について種々の原料を使用しても上記基準を全て満たし、「O/W型の安定性」、「乳化剤の分散性」、「起泡性能」のいずれにおいても優れた効果を有していた。なお、良好な起泡性能を有する水中油型乳化油脂組成物をフライ食品用バッター液に改質剤として添加すると、多孔質のフライ食品用バッター液が形成され、油ちょう後のクリスピー感や曳き性等において優れた効果を奏する。
表2に、食用油脂(A)の含有量、本発明に用いる乳化剤(B)である(b1)〜(b4)各成分の含有量を変えての本発明の水中油型乳化油脂組成物の配合および評価結果を示す。
表2から、本発明の水中油型乳化油脂組成物の配合について、食用油脂(A)、乳化剤(B)の配合割合について、本発明の規定範囲内であれば、O/W型の安定性、水への分散性、起泡性能の全てについて良好な結果が得られることがわかる。
次に表3に、食用油脂(A)または乳化剤(B)の含有割合が本発明に規定される範囲外である水中油型乳化油脂組成物の配合および評価結果を示す。
表3を参照すると、食用油脂(A)の割合が本発明の下限を下回るために、B成分を溶解する油分が不足し、O/W型の安定性が悪く、一方、超える場合にも、油分が多すぎるため、同じくO/W型の安定性が悪くなり、水への分散性に影響し、起泡性能が低下してしまう。また本発明に用いる乳化剤(B)のうち、(b1)〜(b4)のいずれの成分が欠けても、起泡性能が低下してしまうため、本願効果が十分に得られない。
次に、表4では、乳化剤に関して、本発明の(b1)〜(b4)成分に関する要件が本発明に用いる乳化剤(B)でない水中油型乳化油脂組成物の配合および評価結果を示す。
表4を参照すると、b1〜b4成分が、上記範囲内でないため、起泡性能が低下することで、バッター改質剤としての性能に劣る。
[フライ食品用バッター液の調製]
(1)フライ食品用バッター液の原材料
薄力粉 …日本製粉(株)製「バイオレット」
加工澱粉 …松谷化学製(株)製「スタビローズ500」
増粘剤 …三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「サンエース」
液油 …日清オイリオ(株)製「菜種油」
改質剤 …実施例1−1で調製した水中油型乳化油脂組成物
膨張剤(ベーキングパウダー)…大宮糧食工業(株)製「アイコク ベーキングパウダー赤印」
(1)フライ食品用バッター液の原材料
薄力粉 …日本製粉(株)製「バイオレット」
加工澱粉 …松谷化学製(株)製「スタビローズ500」
増粘剤 …三栄源エフ・エフ・アイ(株)製「サンエース」
液油 …日清オイリオ(株)製「菜種油」
改質剤 …実施例1−1で調製した水中油型乳化油脂組成物
膨張剤(ベーキングパウダー)…大宮糧食工業(株)製「アイコク ベーキングパウダー赤印」
(2)フライ食品用バッター液の作製及び評価
〔A:とんかつ用バッター液〕
上記原材料を用いたとんかつ用バッター液(実施例2−1、3−1〜3−3、比較例2−1〜2−3、3−1〜3−2)の配合組成を表5、表6に示した。
〔A:とんかつ用バッター液〕
上記原材料を用いたとんかつ用バッター液(実施例2−1、3−1〜3−3、比較例2−1〜2−3、3−1〜3−2)の配合組成を表5、表6に示した。
(A−1)とんかつ用バッター液の作製
a)まず最初に、食塩水(水および食塩)(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、薄力粉、片栗粉、(およびベーキングパウダー)のプレミックスを添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×10分)を行って、とんかつ用バッター液を調製した。
a)まず最初に、食塩水(水および食塩)(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、薄力粉、片栗粉、(およびベーキングパウダー)のプレミックスを添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×10分)を行って、とんかつ用バッター液を調製した。
b)上記a)で調整したとんかつ用バッター液に豚肉ロース肉(スライス幅12mm)を浸漬後、パン粉付けを行い、180℃のコーン油で6分間油ちょうし、とんかつを作製して、5時間室温で放置した。
(A−2)バッター液の評価
<生地の起泡性>
調製直後のバッター液と一晩熟成後のバッター液において、「生地の起泡性」を以下の評価基準により評価した。その結果を表5、表6の配合表の下部に記載する。
◎:良好
○:やや良好
△:やや不良
×:起泡性が全くなし
<生地の起泡性>
調製直後のバッター液と一晩熟成後のバッター液において、「生地の起泡性」を以下の評価基準により評価した。その結果を表5、表6の配合表の下部に記載する。
◎:良好
○:やや良好
△:やや不良
×:起泡性が全くなし
(A−3)とんかつの評価
フライ直後、および、5時間室温放置後のとんかつの「衣のクリスピー感」、「衣の食感の軽さ」、「衣の曳き(歯切れ)」、「食味」について官能試験を行い、以下の評価基準により評価した。その結果を表5、表6の配合表の下部に記載する。なお、食味は、改質剤、液油、膨張剤を添加した場合の味への影響の有無を評価した。
フライ直後、および、5時間室温放置後のとんかつの「衣のクリスピー感」、「衣の食感の軽さ」、「衣の曳き(歯切れ)」、「食味」について官能試験を行い、以下の評価基準により評価した。その結果を表5、表6の配合表の下部に記載する。なお、食味は、改質剤、液油、膨張剤を添加した場合の味への影響の有無を評価した。
<フライ後の衣のクリスピー感>
◎:サクサク感が強い。
○:サクサク感がある。
△:サクサク感が弱い。
×:サクサク感がない。
□:ザクザクして硬い
◎:サクサク感が強い。
○:サクサク感がある。
△:サクサク感が弱い。
×:サクサク感がない。
□:ザクザクして硬い
<衣の食感における軽さ>
◎:良好
○:やや良好
△:やや不適
×:不適
◎:良好
○:やや良好
△:やや不適
×:不適
<フライ後の衣の曳き(歯切れ)>
◎:簡単に噛み切れる。
○:噛み切りやすい。
△:少し曳きが感じられる。
×:曳きが残る。
◎:簡単に噛み切れる。
○:噛み切りやすい。
△:少し曳きが感じられる。
×:曳きが残る。
表5を参照すると、本発明の水中油型乳化油脂組成物からなる改質剤を使用すると、調整した生地を長時間経過しても脱泡することなく、起泡性を維持することができる。また、この起泡性によってバッター液内部に微細な気泡が形成され、油ちょう後の衣がポーラス構造となることで、クリスピー感、食感の軽さ、曳き性を有する。また、ベーキングパウダーを多量に添加するとえぐ味を呈するのに対して、本発明の改質剤を添加しても食味に影響を与えない。
次に、表6では、本発明の改質剤の含有量を変えての、とんかつ用バッター液の配合および評価結果を示す。
表6を参照すると、実施例3−1から3−3の評価結果から明らかな通り、本発明に規定される範囲内であれば、本発明のフライ食品用バッター改質剤は、バッター液の起泡性とその安定性が良好であり、フライ食品であるとんかつについて直後のみならず経時後もクリスピー感、食感の軽さ、曳きについて良好な性能を示すことがわかる。これに対して、フライ食品用バッター液が本発明に規定される配合量の下限を下回ると、その改質効果が弱く、一方、本発明に規定される配合量の上限を超えると、衣が硬くなりすぎて、食感が悪くなってしまう。
〔B:白身魚フライ用バッター液〕
上記原材料を用いた白身魚用バッター液(実施例4、比較例4)の配合組成を表7に示した。
上記原材料を用いた白身魚用バッター液(実施例4、比較例4)の配合組成を表7に示した。
(B−1)白身魚フライ用バッター液の調整
a)最初に、食塩水(水および食塩)(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、薄力粉、片栗粉、(およびベーキングパウダー)のプレミックスを添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×10分)を行って、白身魚フライ用バッター液を調製した。
a)最初に、食塩水(水および食塩)(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、薄力粉、片栗粉、(およびベーキングパウダー)のプレミックスを添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×10分)を行って、白身魚フライ用バッター液を調製した。
b)上記a)に解凍した白身魚(ホキ)の切り身30gを浸漬後、パン粉を付着させたものを急速冷凍し、−20℃で1週間冷凍保管した。冷凍のまま、180℃のフライ油(ナタネ油使用)で5分間油ちょうし、白身魚フライを作製し、そのまま5時間室温で放置した。
(B−2)バッター液の評価
調製直後のバッター液と一晩熟成後のバッター液において、「生地の起泡性」を上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。その結果を表7の配合表の下部に記載する。
調製直後のバッター液と一晩熟成後のバッター液において、「生地の起泡性」を上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。その結果を表7の配合表の下部に記載する。
(B−3)白身魚フライの評価
フライ直後、および、5時間室温放置後の白身魚フライの「衣のクリスピー感」、「衣の食感の軽さ」、「衣の曳き(歯切れ)」、「食味」について官能試験を行い、上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価基準により評価した。その結果を表7の配合表の下部に記載する。
フライ直後、および、5時間室温放置後の白身魚フライの「衣のクリスピー感」、「衣の食感の軽さ」、「衣の曳き(歯切れ)」、「食味」について官能試験を行い、上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価基準により評価した。その結果を表7の配合表の下部に記載する。
表7を参照すると、本発明のフライ食品用バッター改質剤を添加することで、水分の多い白身魚フライでもフライ後のクリスピー感や曳き性等において優れた効果を奏することがわかる。
〔C:クリームコロッケ用バッター液〕
クリームコロッケの中種配合を表8に示した。上記原材料を用いたクリームコロッケ用バッター液(実施例5−1〜5−3、比較例5−1〜5−3)の配合組成を表9に示した。
クリームコロッケの中種配合を表8に示した。上記原材料を用いたクリームコロッケ用バッター液(実施例5−1〜5−3、比較例5−1〜5−3)の配合組成を表9に示した。
(C−1)クリームコロッケ用バッター液の調整
a)最初に、食塩水(水および食塩)(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、薄力粉、加工澱粉、(およびベーキングパウダー)のプレミックスを添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×10分)を行って、クリームコロッケ用バッター液を調製した。
b)上記a)にクリームコロッケの中種を浸漬後、パン粉付けを行い、180℃のコーン油で3分間油ちょうし、クリームコロッケを作製した。
a)最初に、食塩水(水および食塩)(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、薄力粉、加工澱粉、(およびベーキングパウダー)のプレミックスを添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×10分)を行って、クリームコロッケ用バッター液を調製した。
b)上記a)にクリームコロッケの中種を浸漬後、パン粉付けを行い、180℃のコーン油で3分間油ちょうし、クリームコロッケを作製した。
(C−2)バッター液の評価
調製直後のバッター液と一晩熟成後のバッター液において、「生地の起泡性」を上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。その結果を表9の配合表の下部に記載する。
調製直後のバッター液と一晩熟成後のバッター液において、「生地の起泡性」を上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。その結果を表9の配合表の下部に記載する。
(C−3)クリームコロッケの評価
フライ直後のクリームコロッケの「衣のクリスピー感」、「衣の食感の軽さ」、「衣の曳き(歯切れ)」、「食味」について官能試験を行い、上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。その結果を表9の配合表の下部に記載する。なお、180℃のコーン油で3分間油ちょう後にパンクした個数を測定評価した。
フライ直後のクリームコロッケの「衣のクリスピー感」、「衣の食感の軽さ」、「衣の曳き(歯切れ)」、「食味」について官能試験を行い、上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。その結果を表9の配合表の下部に記載する。なお、180℃のコーン油で3分間油ちょう後にパンクした個数を測定評価した。
表9を参照すると、本発明のフライ食品用バッター改質剤を添加することで、パンクしやすいクリームコロッケのパンク防止において優れた効果を奏していた。
〔D:天ぷら用バッター液〕
上記原材料を用いた天ぷら用バッター液(実施例6、比較例6)の配合組成を表10に示した。
上記原材料を用いた天ぷら用バッター液(実施例6、比較例6)の配合組成を表10に示した。
(D−1)天ぷら用バッター液の作製
a)最初に水(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、市販天ぷら粉を添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×1分)を行って、天ぷら用バッター液を調製した。
b)上記a)に食べやすい大きさにカットしたエビを浸漬後、180℃のコーン油で3分間油ちょうし、天ぷらを作製し、5時間室温で放置した。
a)最初に水(5℃)、改質剤または液油を添加後、ホバートミキサーで撹拌し(5℃、stage2×10分)、十分に分散溶解させた後に、市販天ぷら粉を添加して、さらにホバートミキサーで撹拌(5℃、stage2×1分)を行って、天ぷら用バッター液を調製した。
b)上記a)に食べやすい大きさにカットしたエビを浸漬後、180℃のコーン油で3分間油ちょうし、天ぷらを作製し、5時間室温で放置した。
(D−2)天ぷらの評価
フライ直後、および、5時間室温放置後の天ぷらの「衣のクリスピー感」、「衣の曳き(歯切れ)」について官能試験を行い、上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。
フライ直後、および、5時間室温放置後の天ぷらの「衣のクリスピー感」、「衣の曳き(歯切れ)」について官能試験を行い、上記「とんかつ用バッター液」と同様に評価した。
表10を参照すると、本発明のフライ食品用バッター改質剤を添加することで、水分の多いエビの天ぷらでもフライ後のクリスピー感や曳き性等において優れた効果を奏する。
以下に、本発明の改質剤を構成する水中油型乳化油脂組成物の処方例を挙げる。
〔処方例1〕
菜種油 20質量%
グリセリンモノステアレート 5質量%
ジグリセリンモノステアレート 4質量%
ソルビタン脂肪酸エステル 1質量%
トリグリセリンモノステアレート 3質量%
プロピレングリコール脂肪酸エステル 0.5質量%
ジアセチル酒石酸モノグリセリド 0.2質量%
乳酸モノグリセリド 0.2質量%
酢酸モノグリセリド 0.2質量%
コハク酸モノグリセリド 1質量%
クエン酸モノグリセリド 1質量%
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:12) 1質量%
レシチン 0.5質量%
カゼインNa 2質量%
液糖(マルチトール、水30質量%) 15質量%
液糖(ソルビトール、水30質量%) 45.4質量%
〔処方例1〕
菜種油 20質量%
グリセリンモノステアレート 5質量%
ジグリセリンモノステアレート 4質量%
ソルビタン脂肪酸エステル 1質量%
トリグリセリンモノステアレート 3質量%
プロピレングリコール脂肪酸エステル 0.5質量%
ジアセチル酒石酸モノグリセリド 0.2質量%
乳酸モノグリセリド 0.2質量%
酢酸モノグリセリド 0.2質量%
コハク酸モノグリセリド 1質量%
クエン酸モノグリセリド 1質量%
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:12) 1質量%
レシチン 0.5質量%
カゼインNa 2質量%
液糖(マルチトール、水30質量%) 15質量%
液糖(ソルビトール、水30質量%) 45.4質量%
〔処方例2〕
菜種油 20質量%
グリセリンモノステアレート 5質量%
ジグリセリンモノステアレート 4質量%
ソルビタン脂肪酸エステル 1質量%
ショ糖脂肪酸エステル 0.5質量%
トリグリセリンモノステアレート 3質量%
プロピレングリコール脂肪酸エステル 0.5質量%
コハク酸モノグリセリド 1質量%
クエン酸モノグリセリド 1質量%
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:6) 1質量%
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4.7) 1質量%
液糖(マルチトール、水30質量%) 17質量%
液糖(ソルビトール、水30質量%) 45質量%
菜種油 20質量%
グリセリンモノステアレート 5質量%
ジグリセリンモノステアレート 4質量%
ソルビタン脂肪酸エステル 1質量%
ショ糖脂肪酸エステル 0.5質量%
トリグリセリンモノステアレート 3質量%
プロピレングリコール脂肪酸エステル 0.5質量%
コハク酸モノグリセリド 1質量%
クエン酸モノグリセリド 1質量%
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:6) 1質量%
ポリグリセリン脂肪酸エステル(HLB:4.7) 1質量%
液糖(マルチトール、水30質量%) 17質量%
液糖(ソルビトール、水30質量%) 45質量%
本発明のフライ食品用バッター改質剤は、例えば、コロッケ、とんかつ、メンチカツ、魚フライ、天ぷら、から揚げ、フリッター等のフライ用バッター液に添加され、これらのフライ食品の衣のサクサク感を高め、食感の軽さ、曳き(歯切れ)を改善することができる。
本発明のフライ食品用バッター改質剤、フライ用バッター液は、冷凍食品、惣菜、ファストフード等において好適に利用することができる。
Claims (4)
- 食用油脂(A)、乳化剤(B)および水(D)を含有する水中油型乳化油脂組成物からなるフライ食品用バッター改質剤であって、
乳化剤(B)は、
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)、
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)、
クエン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリドおよびジアセチル酒石酸モノグリセリドから選択される1種以上の有機酸モノグリセリド(b3)、並びに、
HLB6以上のポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)を含有し、
前記の水中油型乳化油脂組成物の中の
食用油脂(A)の含有量が10〜30質量%であり、
グリセリンモノ脂肪酸エステル(b1)の含有量が0.9〜9.5質量%であり、
ジグリセリンモノ脂肪酸エステル(b2)の含有量が0.8〜8質量%であり、
有機酸モノグリセリド(b3)の含有量が0.2〜5.5質量%であり、
ポリグリセリン脂肪酸エステル(b4)の含有量が0.5〜10質量%である、フライ食品用バッター改質剤。 - 更に、糖質(C)を含有し、
水(D)の含有量に対する前記糖質(C)の含有量の比(C/D)は、0.05〜2.5である、請求項1に記載のフライ食品用バッター改質剤。 - フライ食品用バッター液全質量に対して、請求項1又は2に記載のフライ食品用バッター改質剤を1〜10質量%含有する、フライ食品用バッター液。
- 請求項1又は2に記載のフライ食品用バッター改質剤を含有するフライ食品。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017047549A JP2018148844A (ja) | 2017-03-13 | 2017-03-13 | フライ食品用バッター改質剤、フライ食品用バッター液及びフライ食品 |
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