JP3490521B2 - 水中油型乳化油脂組成物 - Google Patents

水中油型乳化油脂組成物

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は水中油型乳化油脂組成物
に関するものである。さらに詳しくは、パンの製造に用
いて、ソフトな食感と老化防止効果を有するパンを製造
することのできる、パン用練り込みに適した水中油型乳
化油脂組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】パンは食パン、菓子パン等、種々のもの
が知られているが、近年、ソフトな食感を有するパンが
求められ、一種のブームになっている。パンにソフトな
食感を付与するために、パンの生地に食用油脂、酵素、
デンプン、乳化剤等を添加し焼成する等の改良がなさ
れ、パンのソフト化に関してはある程度の効果が得られ
ている。一方パンを製造した直後はソフトなものであっ
ても、時間が経過すると老化し硬くなるようなものにあ
っては商品の価値が低下する。特に、最近はサンドイッ
チ等のパンを低温下に保ちながら配送する、チルド流通
が行われているが、冷却する温度が老化を早める温度域
であるため、いかに老化を防止するかが課題になってい
る。
【0003】パンをソフト化し、老化を防止するための
技術としては、例えば、油脂、化工デンプン、乳化剤を
含有し水中油型に乳化した製パン用生地改良剤(特開平
5−161446号)、特定の性状を有する可塑性油
脂、有機酸モノグリセリド、酵素とからなる油脂組成物
(特開平3−292847号)、液晶状態の乳化剤、酵
素を含む油脂混合物(特開平3−297345号)、グ
リセリン脂肪酸エステルとその他の界面活性剤、酵素、
増粘剤を含有する油脂組成物(特開平3−292848
号)、乳化剤、デンプン及び又は酵素を含有する油脂組
成物(特開平4−207143号)、油相にモノグリセ
リドとポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する油相と
ショ糖脂肪酸エステル、酵素、糖及び又は糖アルコール
を含有する水相からなる水中油型の製パン用乳化油脂組
成物(特開平4−23940号)等を用いる方法が知ら
れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来知
られている方法は、焼成直後のパンをソフトにすること
ができても老化を防止する効果は不十分であり、できた
パンの保存安定性、乳化物の製造法に問題があった。例
えば、油脂、化工デンプン、乳化剤を含有し水中油型に
乳化した製パン用生地改良剤を用いる方法は、デンプン
でパン生地の吸水量増加によりソフト化を図ったもので
あるが、水分の増加によるパンの保存安定性が悪くなる
という問題がある。特定の性状を有する可塑性油脂、有
機酸モノグリセリド、酵素とからなる油脂組成物を用い
る方法は、酵素活性の失活を防ぐため冷却捏和した可塑
性油脂に後合わせする方法を取らなければならず、製造
工程が2段階となって複雑なものになるとともに、油脂
中に酵素を添加して酵素の失活を防いでおり、生地に添
加したときに酵素が有効に作用し難いものとなる。液晶
状態の乳化剤、酵素を含む油脂混合物を用いる方法は、
油脂の添加方法において、冷却、半流動状の油脂を添加
して軽く混合する方法をとっており、安定的乳化状態で
はなく、温度や外圧が変化するとオイルオフし易く、安
定性に問題がある。グリセリン脂肪酸エステルとその他
の界面活性剤、酵素、増粘剤を含有する油脂組成物を用
いる方法及び乳化剤、デンプン及び又は酵素を含有する
油脂組成物を用いる方法は、油脂に酵素や増粘剤を分散
させるため、これらが油脂をコーティングしてパン生地
に効果的に作用しない欠点がある。また、油相にモノグ
リセリドとポリグリセリン脂肪酸エステルを含有する油
相とショ糖脂肪酸エステル、酵素、糖及び又は糖アルコ
ールを含有する水相からなる水中油型の製パン用乳化油
脂組成物を用いる方法は、ポリグリセリドを使用するた
め乳化安定性は向上するがパンの風味を損なうと言う欠
点がある。
【0005】本発明は、上記の点に着目し行ったもの
で、パンの製造に用いて、ソフトな食感と老化防止効果
を有するパンを製造することのできる、パン用練り込み
に適した水中油型乳化油脂組成物を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するため鋭意研究を行った結果、特定の配合と乳化
方法により得られる水中油型乳化油脂組成物が、パン生
地中への油脂及び乳化剤の練り込み性、分散性が高く、
酵素を効率の良く作用させることができることを見出
し、パンの製造に用いて、ソフトな食感を有し老化防止
効果が高く、かつ冷却しても老化し難いパンを製造する
ことのできる水中油型乳化油脂組成物が得られ、本発明
を完成するに至った。
【0007】即ち、本発明は食用油脂と脂肪酸モノグリ
セリドとを含有する油相を、有機酸モノグリセリド、P
H調整剤、庶糖脂肪酸エステル及び糖アルコールを含有
する乳化剤相に添加して乳化し、次いでこれにα−アミ
ラーゼ、糖アルコール及びデンプンを含有する水相を添
加して混合し、急冷捏和して得られ、食用油脂25〜5
5重量%、脂肪酸モノグリセリド1〜5重量%、有機酸
モノグリセリド1〜5重量%、PH調整剤0.05〜
0.5重量%、庶糖脂肪酸エステル0.5〜5重量%、
糖アルコール20〜35重量%及びα−アミラーゼ0.
001〜0.005重量%を含有する水中油型乳化油脂
組成物、及び該α−アミラーゼに中温域活性型α−アミ
ラーゼを用いる水中油型乳化油脂組成物である。
【0008】本発明に用いる食用油脂としては、動物油
脂、植物油脂、及びそれらの硬化油、エステル交換油、
分別油糖等が挙げられ、これらの1種または2種以上を
混合して用いることができ、その融点が30℃以下にな
るものが乳化物の固さとしてペースト状を維持しパン生
地への分散を良好にせしめるために好ましい。水中油型
乳化油脂組成物への食用油脂の配合量は、25〜55重
量%が好ましく、上記と同様にペーストの状態を維持
し、乳化安定性に優れる水中油型乳化油脂組成物が得ら
れる。水中油型乳化油脂組成物への食用油脂の配合量
が、25重量%未満であるとモノグリセリドが凝集し易
くなり、水中油型乳化油脂組成物の乳化状態が製造時の
冷却中に破壊され、パンへの練り込み性の劣る水中油型
乳化油脂組成物となり、食用油脂の配合量が55重量%
を越えると、製造時に粘性が高くなって撹拌し難いもの
となり、乳化し難く、乳化しても食用油脂が分離する等
の現象が起こり易くなり好ましくない。
【0009】本発明に用いる脂肪酸モノグリセリドとし
ては、グリセリンと脂肪酸のエステル又はその誘導体で
あり、例えばグリセリン脂肪酸モノエステル、グリセリ
ン脂肪酸ジエステル等が挙げられ、これらの1種または
2種以上を混合して用いることができる。水中油型乳化
油脂組成物への脂肪酸モノグリセリドの配合量は、1〜
5重量%が好ましく、特に2.5〜3.5重量%がより
好ましく、油滴のサイズの小さな(平均粒径2ミクロン
程度)水中油型乳化油脂組成物が得られる。水中油型乳
化油脂組成物への脂肪酸モノグリセリドの配合量が、1
重量%未満であると油脂の乳化径が大きいものとなり、
パンにソフト感を付与することができず、脂肪酸モノグ
リセリドの配合量が5重量%を越えると、脂肪酸モノグ
リセリドの凝集が起こり易くなる、製造時に乳化状態が
破壊される等の現象が起こり易くなり好ましくない。
【0010】本発明に用いるグリセリン有機酸モノエス
テルとしては、グリセリン酢酸モノエステル、グリセリ
ンコハク酸モノエステル、グリセリン乳酸モノエステ
ル、グリセリンクエン酸モノエステル、グリセリン酒石
酸モノエステル、ジアセチル酒石酸モノグリセリド等が
挙げられ、これらの1種または2種以上を混合して用い
ることができる。水中油型乳化油脂組成物へのグリセリ
ン有機酸モノエステルの配合量は、1〜5重量%が好ま
しく、さらに2〜4重量%がより好ましく、微細な油滴
サイズの水中油型乳化油脂組成物が得られる。水中油型
乳化油脂組成物へのグリセリン有機酸モノエステルの配
合量が、1重量%未満であると油脂の乳化物粒子の径が
大きいものとなり、パンにソフト感を付与することがで
きず、グリセリン有機酸モノエステルの配合量が5重量
%を越えると、水相の粘度が上昇して乳化し難いものと
なると共に、グリセリン有機酸モノエステルの酸味が出
過ぎてパンの風味を損なう水中油型乳化油脂組成物が得
られ好ましくない。
【0011】本発明に用いるPH調整剤としては、リン
酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸四ナトリ
ウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、トリポリリン酸ナ
トリウム、ジリン酸モノナトリウム、ジリン酸ジナトリ
ウム、ジリン酸三ナトリウム、ジリン酸四ナトリム、ピ
ロリン酸ナトリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリ
ウム、リン酸四カリウム、リン酸ナトリウムカリウム等
のリン酸塩、クエン酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水
酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム
等が挙げられ、これらのPH調整剤は1種または2種以
上を混合して用いることができる。水中油型乳化油脂組
成物へのPH調整剤の配合量は、水相ののPHを5〜
5.4程度に調製する量で良く、0.05〜0.5重量
%が好ましい。水中油型乳化油脂組成物へのPH調整剤
の配合量が、0.05重量%未満であると水中油型乳化
油脂組成物を製造する時に乳化状態が不安定となり、水
相と油相が分離し乳化し難いものとなり、PH調整剤の
配合量が0.5重量%を越えると、PH調整剤の味が強
くでてきてパンの風味を損なうようになり好ましくな
い。
【0012】本発明に用いる庶糖脂肪酸エステルは、庶
糖と脂肪酸とのモノエステルを主とするジエステル、ポ
リエステルの混合物で幅広いHLBを有するがHLB1
0〜16のものを1種または2種以上混合して用いるこ
とができる。水中油型乳化油脂組成物への庶糖脂肪酸エ
ステルの配合量は、0.5〜5重量%が好ましく、1〜
3重量%がより好ましく、HLB14〜16のものを用
いることがさらにより好ましく、乳化物の油滴の生地へ
の分散性に優れる水中油型乳化油脂組成物が得られる。
水中油型乳化油脂組成物への庶糖脂肪酸エステルの配合
量が、0.5重量%未満であるとパンへの分散性が劣る
水中油型乳化油脂組成物が得られ、パンにソフト感を付
与することができず、庶糖脂肪酸エステルの配合量が5
重量%を越えると、水相の粘度が上昇して乳化し難くな
る、乳化性が悪い、乳化物の粒径が大きくなる等の現象
が生じ好ましくない。
【0013】本発明に用いる糖アルコールとしては、ソ
ルビトール、マルチトール、グリセリン、プロピレング
リコール等が挙げられ、これらの1種または2種以上を
混合して用いることができる。水中油型乳化油脂組成物
への糖アルコールの配合量は、20〜35重量%が好ま
しく、23〜32重量%がより好ましく、乳化安定性に
優れ微細なエマルションを形成するのに優れ、又水中油
型乳化油脂組成物の保存安定性、酵素活性の維持に優れ
る水中油型乳化油脂組成物が得られる。水中油型乳化油
脂組成物への糖アルコールの配合量が、30重量%未満
であると乳化径を小さくすることができず、また酵素の
活性を低下させる。糖アルコールの配合量が50重量%
を越えると、パンの風味に甘味が感じられたり、焼成し
たパンの焼き色が濃くなり好ましくない。
【0014】本発明に用いるα−アミラーゼとしては、
活性を発揮する温度でα−アミラーゼを分類した時に、
60℃未満で最も活性を示す常温域活性型α−アミラー
ゼ、60〜80℃で最も活性を示す中温域活性型α−ア
ミラーゼ及びそれ以上の温度域で活性を最も発揮する耐
熱α−アミラーゼが挙げられるが、これらのうち中温域
活性型α−アミラーゼは通常の乳化、殺菌工程(60〜
80℃)で添加することができ、しかも水中油型乳化油
脂組成物としてパンの練り込みに用いた時に、パン生地
中のデンプンの糊化温度帯で最も活性が高く、澱粉中の
アミロースト乳化剤の複合体を多く生成することができ
好ましい。これらの中温域活性型α−アミラーゼとして
はカビ及び細菌由来のα−アミラーゼがあり、市販のも
のを用いることができる。市販の中温域活性型α−アミ
ラーゼとしては、例えば天野製薬株式会社製AD、大和
化成株式会社製クライスターゼ、長瀬産業株式会社製ス
ピターゼ、ノボノルディスクインダストリー社製BAN
等が挙げらる。またその活性は1%デンプン糊液10m
lのBlue valueを40℃で1分間に1%低下
させる酵素の量を1単位としたとき、100〜500万
単位/Kg程度が好ましく、より好ましくは20000
0〜130万単位/kgのものを用いることができる。
水中油型乳化油脂組成物への中温域活性型α−アミラー
ゼの配合量は、0.001〜0.005重量%が好まし
く、0.002〜0.0047重量%がより好ましく、
パンのソフト化及び老化防止に優れる水中油型乳化油脂
組成物が得られる。水中油型乳化油脂組成物への中温域
活性型α−アミラーゼの配合量が、0.001重量%未
満であると水中油型乳化油脂組成物をパンの製造に用い
た時にパンにソフト感を付与する効果が十分でなく、中
温域活性型α−アミラーゼの配合量が0.005重量%
を越えると、パン生地のデンプンが分解し過ぎてパンが
ベトツクあるいはネチャツクような食感となり、またパ
ンの製造時、型枠の中で膨れたパンが冷えるに従って収
縮する現象が起こり好ましくない。
【0015】上記α−アミラーゼの活性を安定に保つた
めにはさらにデンプンを添加することが好ましい。ここ
に用い得るデンプンとしては、コーンスターチ、馬鈴薯
デンプン、甘藷デンプン、米デンプン、小麦デンプン等
の植物から得られるデンプンやこれらデンプンをリン酸
架橋して得られるリン酸化デンプン、加水分解して得ら
れる加水分解デンプン、エーテル化して得られるエーテ
ル化デンプン、エステル化して得られるエステル化デン
プン、アルファ化して得られるアルファ化デンプン及び
デンプンにこれらの変性を2種以上行って得られるデン
プン等の化工デンプン等が挙げられ、これらのデンプン
は1種または2種以上を混合して用いることができる。
水中油型乳化油脂組成物へのデンプンの配合量は、0.
1〜1重量%が好ましく、0.3〜0.7重量%がより
好ましく、酵素活性の維持に優れる水中油型乳化油脂組
成物が得られる。水中油型乳化油脂組成物へのデンプン
の配合量が、0.1重量%未満であると酵素の活性が低
下し、パンにソフト感を付与することができず、デンプ
ンの配合量が1重量%を越えると、水相の粘度が上昇し
て乳化が不安定となり好ましくない。
【0016】本発明に用いる水中油型乳化油脂組成物は
油相を乳化剤相に添加して乳化し、これに水相を添加し
混合して、急冷捏和して得られる。食用油脂と脂肪酸モ
ノグリセリドとを含有する油相は、65〜75℃に加熱
した食用油脂に脂肪酸モノグリセリドを添加し、同温度
で30分〜1時間撹拌して得られる。脂肪酸モノグリセ
リドを油相に溶解することにより、脂肪酸モノグリセリ
ドの分散性を高め、パンのソフト化、老化防止効果を付
与する水中油型乳化油脂組成物が得られる。
【0017】乳化剤相は、糖アルコール水溶液に庶糖脂
肪酸エステル及びPH調整剤を分散させ、30〜60℃
に加熱し、有機酸モノグリセリドを分散させ、最終温度
60〜65℃、PH5〜5.4に調整して得られる。乳
化剤相に用いる水の量は、21〜27重量%が好まし
く、用いる水の量が21重量%未満では乳化剤相の粘度
が大きくて撹拌し難いものとなり、27重量%を越える
と乳化径が大きくなる恐れがあり、好ましくない。
【0018】水相は、水にα−アミラーゼ、デンプン、
糖アルコールを加え、溶解して得られる。水相を調製す
る時の水の温度は常温でもまた加熱下に行っても良い
が、α−アミラーゼが失活するのを防ぎ、デンプンの糊
化を防ぐためにも常温下で行うことが好ましい。本発明
の水中油型乳化油脂組成物に用いる水の量は24〜32
重量%が好ましいが、その内、水相に用いる水の量は、
1〜5重量%が好ましい。水相に用いる水の量が1重量
%以下ではデンプン、酵素の分散性が悪くなり、5重量
%を越えると乳化剤相の水が少なくなり、油脂添加後の
乳化物の粘度が上昇し、撹拌し難いものとなって好まし
くない。
【0019】次に乳化剤相に油相を添加し、乳化して油
相/乳化剤相型エマルションを調製する。乳化する時の
乳化剤相の温度は60〜70℃が好ましく、油相の温度
は65〜75℃が好ましい。また乳化に用いる装置とし
ては、通常の温水加熱ができる撹拌機(羽根、ホモミキ
サー)付き乳化釜等が挙げられる。
【0020】得られた油相/乳化剤相型エマルションに
水相を添加して混合し、急冷捏和して、本発明の水中油
型乳化油脂組成物が得られる。得られる水中油型乳化油
脂組成物は、油脂が均一で小さい粒子に乳化されてお
り、かつペースト状で生地に練り込み易く生地中へ油脂
を均一に分散することができ、しかも酵素が水相に存在
しているので生地中で酵素が有効に作用し易いものとな
っている。混合後急冷捏和する装置としては、ボテータ
ー、パーフェクター、コンビネーター等のマーガリンの
製造に用いられる装置を用いることができる。
【0021】以上のようにして本発明の水中油型乳化油
脂組成物は得られるが、必要により前記以外の成分とし
て、β−カロチン、アナトー色素等の色素、ミルクフレ
ーバー、バターフレーバー等の香料等を配合することが
でき、その添加量はそれぞれ2重量%未満が好ましい。
【0022】本発明の水中油型乳化油脂組成物は、パン
の生地に添加して焼成することにより、ソフトで老化防
止効果を有するパンが得られる。パンの生地に対する添
加量は6〜12重量%が好ましい。また本発明の水中油
型乳化油脂組成物を用いるのに適したパンとしては、サ
ンドウィッチ等の老化の激しいチルド流通パン、レーズ
ンパン、冷凍生地、菓子パン等が挙げられる。
【0023】以下、実施例により本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はその要旨を越えない限り、これらに
限定されない。
【0024】
【実施例】 実施例1〜6、比較例1〜14 表1及び表2に示す各原料を用いて以下に示すように油
相、乳化剤相及び水相を調製し、ホモゲナイザーを用い
て高速撹拌下、60℃に保った乳化剤相に油相を徐々に
加え、同温度で20分間撹拌して油相/乳化剤相型エマ
ルションとし、60℃の同エマルションに撹拌下、水相
を加え、同温度で20分間撹拌して混合した後、コンビ
ネーターを用いて混合物を急冷捏和して本発明及び参考
例の水中油型油脂組成物No.1〜14を得、得られた
水中油型乳化油脂組成物を下記に示す食パンの生地に加
えて食パンを焼成した。水中油型乳化油脂組成物の安定
性と生地への分散性、焼成した食パンの風味、及び焼成
直後と焼成後20℃に24時間及び72時間密封保存し
た後の食パンについてクラムの組織の硬さを測定して水
中油型乳化油脂組成物の性能を評価した。油相、乳化剤
相及び水相の調製法、食パンの製造条件、水中油型乳化
油脂組成物の性能の各試験方法を以下に示し、評価結果
を表1及び表2に示す。なお水中油型乳化油脂組成物の
性能に対する総合評価は、乳化状態、生地の分散性、パ
ンの硬さ及び風味の評価が全てについて○のものを○、
1つ以上×ものがあるのものを×、それ以外を△とし
た。
【0025】・油相の調製。 表1及び表2に示す食用油脂と脂肪酸モノグリセリドと
配合量を用い、65℃に加熱した食用油脂に脂肪酸モノ
グリセリドを加え、同温度で30分間撹拌して油相を調
製した。
【0026】・乳化剤相の調製。 表1に示す有機酸モノグリセリドとPH調整剤、庶糖脂
肪酸エステル、糖アルコール及び水と各配合量を用い、
水をプロペラ式撹拌機で撹拌しながら、PH調整剤、庶
糖脂肪酸エステル、糖アルコールを加え、40℃に加熱
して有機酸モノグリセリドを添加し、60℃まで加熱
し、同温度で30分間撹拌して乳化剤相を調製した。
【0027】・水相の調製。 表1及び表2に示すα−アミラーゼ、デンプン、糖アル
コール及び水と各配合量を用い、30℃の水にα−アミ
ラーゼ、デンプン及び糖アルコールをプロペラ式撹拌機
で撹拌しながら加えて、10分間撹拌して水相を調製し
た。
【0028】・食パンの製造条件。 以下に示す中種及び本捏の配合に従い、中種原料を縦型
ミキサーで混合後、27℃で4時間発酵させ、これに本
捏原料を添加して混合後、フロアタイム20分、分割、
ベンチタイム20分とった後成型し、パン型に入れて3
8℃、湿度85%で40分間ホイロ後、210℃のオー
プンで40分間焼成した。
【0029】 ・中種原料 ・本捏原料 強力粉 70 部 強力粉 30 部 イースト 2.2〃 砂糖 5 〃 イーストフード 0.1〃 食塩 1.8〃 水 40 〃 脱脂粉乳 2 〃 乳化油脂組成物 8 〃 水 24 〃
【0030】・水中油型乳化油脂組成物の乳化状態の安
定性。 水中油型乳化油脂組成物の安定性は、調製直後と、調製
した後20℃で24時間静置した後の乳化状態を観察
し、調製後の乳化状態が良くかつ静置後も静置する前と
同じ乳化状態を保っているものを○、調製時の乳化状態
が悪いもの、静置した後に僅かでも油相の凝集もしくは
分離が認められるものを×で表した。
【0031】・生地への分散性。 水中油型乳化油脂組成物の生地への分散性は、中種原料
を混合する時に、縦型ミキサーを低速で回転して、完全
に混合するまでの時間を測定し、2分未満で混合できる
ものを○、2分以上3分未満で混合するものを△、3分
以上の混合時間を要するものを×と評価した。
【0032】・風味の評価法。 10人のパネラーによる官能試験を行い、焼成した食パ
ンを食した時に、8人以上のパネラーが甘み、苦み、渋
み、乳化剤臭等の違和感を全く感じないと判定したもの
を○とし、それ以外のものを×と評価した。
【0033】・食パンの硬さの測定方法。 食パンを30mmの厚さにスライスし、さらにその中央
部から25mm×25mm×30mmのカット片10試
料を切り出し、ヤマデン株式会社製クリープメーターを
用いて各試料のテクスチャー試験(圧縮率40%、単
位:×10000dine/平方cm)を行い、その平
均値を算出し、以下の基準に従って食パンの組織の硬さ
を判定した。 判定基準 ○:24時間後の硬さが1.1未満で72時間後の硬さ
が1.4未満。 △:24時間後の硬さが1.1以上1.4未満もしくは
72時間後の硬さが1.4以上1.7未満。 ×:24時間後の硬さが1.4以上もしくは72時間後
の硬さが1.7以上。
【0034】
【表1】
【0035】
【表2】
【0036】比較例15 α−アミラーゼにFungamyl180S(ノボノル
ディスクインダストリ株式会社製)0.1部を用いた他
は実施例1に用いたと同様な種類の原料及び量を用い、
油相は実施例1と同様に調製し、30℃の水に水相と乳
化剤相に用いた水以外の原料ををプロペラ式撹拌機で撹
拌しながら加えて、10分間撹拌して水相を調製した。
なお、コハク酸モノグリセリド及びジアセチル酒石酸モ
ノグリは油相に添加した。次にホモゲナイザーを用いて
高速撹拌下、60℃に保った水相に油相を徐々に加え、
同温度で20分間撹拌して混合した後、コンビネーター
を用いて混合物を急冷捏和して水中油型油脂組成物を得
た。得られた水中油型乳化油脂組成物を用い、実施例と
同じ配合の食パンの生地に添加して食パンを焼成し、生
地への分散性、焼成した食パンの風味、及び焼成直後と
焼成後20℃に24時間及び72時間密封保存した後の
食パンについて組織の硬さを測定して水中油型乳化油脂
組成物の性能を評価した。評価結果を表2に示す。
【0037】
【発明の効果】以上説明した様に、特定の配合と乳化方
法により得られる水中油型乳化油脂組成物であり、従来
のパン練り込み用油脂組成物と比較して、パン生地中へ
の油脂及び乳化剤の練り込み性、分散性が高く、酵素を
効率の良く作用させることができ、パンの製造に用い
て、ソフトな食感を有し老化防止効果が高く、かつ冷却
しても老化し難いパンを製造することのできる等の効果
を発揮する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A23D 7/00 A21D 2/08

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 食用油脂と脂肪酸モノグリセリドとを含
    有する油相を、有機酸モノグリセリド、PH調整剤、庶
    糖脂肪酸エステル及び糖アルコールを含有する乳化剤相
    に添加して乳化し、次いでこれにα−アミラーゼ、糖ア
    ルコール及びデンプンを含有する水相を添加して混合
    し、急冷捏和して得られ、食用油脂25〜55重量%、
    脂肪酸モノグリセリド1〜5重量%、有機酸モノグリセ
    リド1〜5重量%、PH調整剤0.05〜0.5重量
    %、庶糖脂肪酸エステル0.5〜5重量%、糖アルコー
    ル20〜35重量%及びα−アミラーゼ0.001〜
    0.005重量%を含有することを特徴とする水中油型
    乳化油脂組成物。
  2. 【請求項2】 α−アミラーゼに中温域活性型α−アミ
    ラーゼを用いることを特徴とする請求項1に記載の水中
    油型乳化油脂組成物。
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