JP2011120604A - D相中油型乳化組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、安定性、なかでも加温状態においても安定性が高い微細な油滴を与えるD相中油型(O/D型)乳化組成物を提供することを目的とするものである。
【解決手段】D相が多価アルコールと親水性乳化剤を含有し、油相が該親水性乳化剤よりも親水性が低い親油性乳化剤を含有することを特徴とするD相中油型(O/D型)乳化組成物。
【選択図】なし
【解決手段】D相が多価アルコールと親水性乳化剤を含有し、油相が該親水性乳化剤よりも親水性が低い親油性乳化剤を含有することを特徴とするD相中油型(O/D型)乳化組成物。
【選択図】なし
Description
本発明は、乳化剤を溶解した多価アルコールに、油を添加して乳化することにより製造されるD相中油型(O/D型)乳化組成物及びその製造方法に関する。
エマルションは、加工食品、嗜好食品、健康食品などの食品、調理・調味料、各種飲料、飼料、化粧品、医薬品、塗料などの工業製品等に広く利用されている。これらのエマルションを含む製品では、エマルションの安定性を高めるために、微細で均一な乳化滴をもつエマルションが求められている。
エマルションの製造方法は種々の方法が知られているが、その中でも、微細な油滴の乳化物が得られるD(Detergent=界面活性剤)相乳化法が注目されている(特許文献1〜4)。D相乳化法は、まず、乳化剤を多価アルコール又は多価アルコール水溶液に溶解し、これに油相を添加して乳化することによりD相中油型(O/D型)乳化組成物を製造し、次いで、このD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈することにより微細な水相中油型(O/W型)エマルションを得る方法である(非特許文献1)。
エマルションの製造方法は種々の方法が知られているが、その中でも、微細な油滴の乳化物が得られるD(Detergent=界面活性剤)相乳化法が注目されている(特許文献1〜4)。D相乳化法は、まず、乳化剤を多価アルコール又は多価アルコール水溶液に溶解し、これに油相を添加して乳化することによりD相中油型(O/D型)乳化組成物を製造し、次いで、このD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈することにより微細な水相中油型(O/W型)エマルションを得る方法である(非特許文献1)。
Fragrance Journal,4,34−41(1993)
例えば、特許文献3には、D相中にHLBが6〜16の乳化剤を含むD相中油型(O/D型)乳化組成物に卵、酢及び油を加えて得られる水相中油型エマルション(マヨネーズ)は、HLBが6〜16の乳化剤を卵、酢及び油と単に混合して得られる水相中油型エマルション(マヨネーズ)よりも安定性が高いことが記載されている。特許文献4には、D相中にHLBが11〜16の乳化剤を含むD相中油型(O/D型)乳化組成物は、酸性食品中でも油滴が安定であることが記載されている。また、特許文献2の実施例2には、D相中にモノステアリン酸ジグリセリンエステル(HLB7.6)とジステアリン酸デカグリセリンエステル(HLB11.7)を含むD相中油型(O/D型)乳化組成物を含む全卵液は冷凍しても安定であることが記載されている。
しかしながら、本発明者の検討によれば、これらのD相中油型(O/D型)乳化組成物は、これを水性媒体と混合して得られる水相中油型(O/W型)エマルションの油滴の安定性、なかでも加温状態における油滴の安定性の点において、まだ満足すべきものとは言い難い。
従って、本発明は、安定性、なかでも加温状態においても安定性が高い微細な油滴を与えるD相中油型(O/D型)乳化組成物を提供することを目的とするものである。
従って、本発明は、安定性、なかでも加温状態においても安定性が高い微細な油滴を与えるD相中油型(O/D型)乳化組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記のような状況に鑑み鋭意検討した結果、多価アルコール相に親水性乳化剤を溶解させ、かつ、油相側にこれよりも親水性の低い親油性乳化剤を溶解させることにより、安定性が高い微細な油滴を与えるD相中油型(O/D型)乳化組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は、D相が多価アルコールと親水性乳化剤を含有し、油相が該親水性乳化剤よりも親水性の低い親油性乳化剤を含有することを特徴とするD相中油型(O/D型)乳化組成物、及びHLBが10以上の親水性乳化剤を含む多価アルコールと、HLBが10未満の親油性乳化剤を含む油溶性物質を混合することを特徴とするD相中油型(O/D型)乳化組成物の製造方法に存する。
本発明のD相中油型(O/D型)乳化組成物は、水性媒体で希釈した場合に油滴の粒径が小さく安定性に優れたエマルションを与えるので、食品、医薬品、化粧品などの用途に好適に用いられる。
本発明のD相中油型(O/D型)乳化組成物は、親水性乳化剤を含む多価アルコールまたは多価アルコール水溶液に、これよりも親水性の低い親油性乳化剤を含む油溶性物質を添加・攪拌することにより得ることができる。
多価アルコールとしては、通常、水溶性多価アルコールが用いられ、なかでも分子内に水酸基を3個以上有するものが好ましく用いられる。
多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルトトリオース、澱粉分解糖などの糖及びこれらの糖の還元アルコールなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2以上を組み合わせて使用してもよい。
また、多価アルコールはそのまま用いても、水に溶解して50〜99.9重量%程度の水溶液として用いてもよい。
多価アルコールとしては、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリンなどのポリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、ショ糖、フラクトース、キシリトール、イノシトール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、マルトトリオース、澱粉分解糖などの糖及びこれらの糖の還元アルコールなどが挙げられる。これらは、単独で用いても、2以上を組み合わせて使用してもよい。
また、多価アルコールはそのまま用いても、水に溶解して50〜99.9重量%程度の水溶液として用いてもよい。
親水性乳化剤としては、通常HLBが10以上の乳化剤が用いられる。なかでも、HLBが14以上の乳化剤を用いると、得られるD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈して得られる水相中油型(O/W型)エマルションの乳化性がより良好となるので好ましい。HLBが10未満の乳化剤を用いたのでは、得られたD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈した際に、安定性の良いエマルションを与えなかったり、全くエマルションとならない場合がある。
HLBが10以上の乳化剤としては、例えば、デカグリセリンモノミリステート、デカグリセリンモノパルミテート、デカグリセリンモノステアレート、デカグリセリンモノオレエートなどのグリセリンの重合度が4以上、好ましくは4〜12のポリグリセリン脂肪酸エステル;ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステルなどのショ糖脂肪酸エステル;レシチン部分加水分解物、リゾレシチンなどの水溶性リン脂質;糖脂質;サポニン;大豆蛋白、カゼインナトリウムなどの蛋白質やその変性物などが挙げられる。これらは、単独で用いても、2以上を組み合わせて使用してもよい。
D相中油型(O/D型)乳化組成物に占める親水性乳化剤の割合は、通常0.5重量%以上、好ましくは1重量%以上、更に好ましくは5重量%以上であり、上限は50重量%以下、好ましくは30重量%以下、更に好ましくは20重量%以下である。親水性乳化剤
が少なすぎると、D相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈しても、エマルションを形成しなかったり、安定性の良いエマルションを形成しないことがある。また、親水性乳化剤が多すぎると、D相中油型(O/D型)乳化組成物の粘度が高くなりすぎて、水性媒体で希釈して水相中油型(O/W型)エマルションとするのが困難となる。また、エマルションを形成させても、これを食品、飲料などに用いた場合に、風味が悪くなる恐れがある。
が少なすぎると、D相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈しても、エマルションを形成しなかったり、安定性の良いエマルションを形成しないことがある。また、親水性乳化剤が多すぎると、D相中油型(O/D型)乳化組成物の粘度が高くなりすぎて、水性媒体で希釈して水相中油型(O/W型)エマルションとするのが困難となる。また、エマルションを形成させても、これを食品、飲料などに用いた場合に、風味が悪くなる恐れがある。
本発明では、D相中油型(O/D型)乳化組成物を製造する際に、油溶性物質にも乳化剤を溶解させておく。この乳化剤としては、上記の多価アルコール中に溶解させておく乳化剤よりも親水性の低いもの、すなわち親油性のものを用いる。これにより得られるD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体で希釈した際の油滴の粒子径が小さくなり、エマルションの安定性を向上させることができる。
親油性乳化剤としては、通常はHLBが10未満の乳化剤が用いられる。なかでもHLBが8以下の乳化剤を用いた場合には、得られるD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体に希釈することにより得られる水相中油型(O/W型)エマルションの乳化性がより良好となるので好ましい。
親油性乳化剤としては、通常はHLBが10未満の乳化剤が用いられる。なかでもHLBが8以下の乳化剤を用いた場合には、得られるD相中油型(O/D型)乳化組成物を水性媒体に希釈することにより得られる水相中油型(O/W型)エマルションの乳化性がより良好となるので好ましい。
HLBが10未満の乳化剤としては、例えば、グリセリンモノミリステート、グリセリンモノパルミテート、グリセリンモノステアレート、グリセリンモノオレエートなどのグリセリン脂肪酸エステル;ジグリセリンモノミリステート、ジグリセリンモノパルミテート、ジグリセリンモノステアレート、ジグリセリンモノオレエートなどのジグリセリン脂肪酸エステル;トリグリセリンモノミリステート、トリグリセリンモノパルミテート、トリグリセリンモノステアレート、トリグリセリンモノオレエートなどのトリグリセリン脂肪酸エステル;炭素数12〜22の飽和若しくは不飽和脂肪酸のモノグリセリドとコハク酸、クエン酸又はジアセチル酒石酸とのエステルなどのモノグリセリド有機酸エステル;テトラグリセリンテトラリシノレエートなどのポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル;ソルビタンミリスチン酸エステル、ソルビタンパルミチン酸エステル、ソルビタンステアリン酸エステル、ソルビタンオレイン酸エステルなどのソルビタン脂肪酸エステル;プロピレングリコールミリスチン酸エステル、プロピレングリコールパリミチン酸エステル、プロピレングリコールステアリン酸エステル、プロピレングリコールオレイン酸エステルなどのプロピレングリコール脂肪酸エステル;ショ糖パルミチン酸ペンタエステル、ショ糖ステアリン酸ペンタエステル、ショ糖オレイン酸ペンタエステルなどのショ糖脂肪酸ポリエステル;レシチン等のリン脂質が挙げられる。これらは、単独で用いても、2以上を組み合わせて使用してもよい。なかでもレシチン単独かレシチンと他の親油性乳化剤との組合わせ、特にレシチンとジグリセリンモノオレエートとの組み合わせが好ましい。
D相中油型(O/D型)乳化組成物に占める親油性乳化剤の割合は、通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、更に好ましくは0.5重量%以上であり、上限は通常10重量%以下、好ましくは5重量%以下である。親油性乳化剤が少なすぎると、水性媒体で希釈して水中油型(O/W型)エマルションとした際に油滴の粒子径を小さくする効果が十分に発現しない。逆に、多すぎるとエマルションが不安定になったり、これを食品や飲料に用いた場合に風味が悪くなる恐れがある。
D相中油型(O/D型)乳化組成物における親水性乳化剤と親油性乳化剤の比率は、親水性乳化剤及び親油性乳化剤のHLB値にもよるが、重量比で、親水性乳化剤:親油性乳化剤=通常10:0.5〜10、好ましくは10:0.5〜5である。親油性乳化剤が少なすぎると水性媒体で希釈して水中油型(O/W型)エマルションとした際に油滴の粒子径を小さくする効果が十分に発現しない。一方多すぎるとエマルションが不安定になったり、これを食品や飲料に用いた場合に風味が悪くなる恐れがある。
油溶性物質としては、食品、飼料、化粧品、医薬品及び工業等の分野で利用される任意の油溶性物質を用いることができ、具体的には、脂肪酸、油脂、ワックス、炭化水素、高級アルコール、テルペン、精油、脂溶性ビタミン、油溶性薬物、油溶性色素等が挙げられる。
脂肪酸としては、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、リシノール酸、12−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、ベヘン酸、ヘキサデカトリエン酸、オクタデカトリエン酸、エイコサテトラエン酸、ドコサテトラエン酸、エイコサペンタエン酸、ドコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸、テトラヘキサエン酸およびこれらの幾何異性体等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸エチル等上述の脂肪酸のエステル等が挙げられる。
脂肪酸エステルとしては、ミリスチン酸エチル等上述の脂肪酸のエステル等が挙げられる。
油脂は脂肪酸のグリセリンエステルであり、通常上述の脂肪酸混合物のグリセリンエステルである。魚油、牛脂、豚脂、乳脂、馬油、蛇油、卵油、卵黄油、タートル油、ミンク油などの動物性油脂類;大豆油、とうもろこし油、綿実油、なたね油、ごま油、シソ油、こめ油、ひまわり油、落花生油、オリーブ油、パーム油、パーム核油、米胚芽油、小麦胚芽油、玄米胚芽油、ハトムギ油、ガーリックオイル、マカデミアンナッツ油、アボガド油、月見草油、フラワー油、つばき油、やし油、ひまし油、あまに油、カカオ油などの植物性油脂類:およびこれらを水素添加又はエステル交換したもの;中鎖脂肪酸トリグリセライド等が挙げられる。
ワックスは脂肪酸と高級1価又は2価アルコールとのエステルであり、ホホバ油、ライスワックス、プロポリス、みつろう、さらしみつろう、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、木ろう、鯨ろう等が挙げられる。
炭化水素としては、軽質流動パラフィン、重質流動パラフィン、流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン等の流動パラフィン類、パラフィン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、スクワレン等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリンアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールオクタコサノール等の炭素数8〜44の飽和または不飽和のアルコールが挙げられる。
テルペンとしては、オイゲノール、ゲラニオール、メントール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セタノール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ラウリンアルコール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノールオクタコサノール等の炭素数8〜44の飽和または不飽和のアルコールが挙げられる。
テルペンとしては、オイゲノール、ゲラニオール、メントール、シトラール、シトロネラール、ボルネオール等が挙げられる。
精油としては、アンブレットシード油、カラシ油、サフラン油、シトロネラ油、ベチバー油、バレリアン油、ヨモギ油、カミツレ油、しょう脳油、サッサフラス油、ホウショウ油、ローズウッド油、クラリーセージ油、タイム油、バジル油、カーネーション油、シダーウッド油、ヒノキ油、ヒバ油、クローブ油、テレピン油、パイン油、オレンジ油、レモングラス油、タラゴン油、ローレル葉油、カシア油、シナモン油、コショウ油、カラムス油、セージ油、ハッカ油、ペパーミント油、スペアーミント油、パッチュリ油、ローズマリー油、ラバンジン油、ラベンダー油、クルクマ油、カルダモン油、ショウガ油、アンゲリカ油、アニス油、ウイキョウ油、パセリ油、セロリ油、カルバナム油、クミン油、コリアンダー油、ジル油、キャロット油、キラウェー油、ウィンターグリン油、ナツメグ油、ローズ油、シプレス油、ビャクダン油、オールスパイス油、グレープフルーツ油、ネロリ油、レモン油、ライム油、ベルガモット油、マンダリン油、オニオン油、ガーリック油、ビターアーモンド油、ゼラニウム油、ミモザ油、ジャスミン油、キンモクセイ油、スターアニス油、カナンガ油、イランイラン油、ユーカリ油等のエッセンシャルオイル;コショ
ウ、ショウズク、ショウガ、パセリ、コリアンダー、ヒメウイキョウ、ピメンタ、バニラ、セロリ、チョウジ、ニクズク、パブリカ、イリスレジノイド、乳香樹等のオレオレジン又はレジノイドが挙げられる。
ウ、ショウズク、ショウガ、パセリ、コリアンダー、ヒメウイキョウ、ピメンタ、バニラ、セロリ、チョウジ、ニクズク、パブリカ、イリスレジノイド、乳香樹等のオレオレジン又はレジノイドが挙げられる。
脂溶性ビタミンとしては、ビタミンA、D、E、Kおよびこれらの誘導体が挙げられる。
油溶性薬物としては、コエンザイムQ10、α―リポ酸、ルチン、ルテイン等が挙げられる。
油溶性色素としては、アナトー色素、パプリカ色素、β-カロチン、クロロフィル、紅
麹色素、ウコン色素等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2以上を組み合わせて用いても良い。また、油溶性物質がD相中油型(O/D型)乳化組成物を製造する温度において固体の場合には、該温度において液体の油溶性物質に溶解させて用いればよい。
油溶性薬物としては、コエンザイムQ10、α―リポ酸、ルチン、ルテイン等が挙げられる。
油溶性色素としては、アナトー色素、パプリカ色素、β-カロチン、クロロフィル、紅
麹色素、ウコン色素等が挙げられる。
これらは単独で用いても、2以上を組み合わせて用いても良い。また、油溶性物質がD相中油型(O/D型)乳化組成物を製造する温度において固体の場合には、該温度において液体の油溶性物質に溶解させて用いればよい。
D相中油型(O/D型)乳化組成物に占める油溶性物質の割合は、通常0.1重量%以
上、好ましくは1重量%以上であり、通常99重量%以下である。好ましくは60重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
油溶性物質が少ないほど、D相中油型(O/D型)乳化組成物の粘度が低く、水性媒体で希釈した際の乳化性も良好である。また、油溶性物質が多すぎると、乳化組成物の粘度が高くなり、水性媒体で希釈した際の乳化性、作業性が悪くなり、また、得られた水相中油型(O/W型)エマルションの安定性が悪くなる恐れがある。
上、好ましくは1重量%以上であり、通常99重量%以下である。好ましくは60重量%以下、更に好ましくは30重量%以下である。
油溶性物質が少ないほど、D相中油型(O/D型)乳化組成物の粘度が低く、水性媒体で希釈した際の乳化性も良好である。また、油溶性物質が多すぎると、乳化組成物の粘度が高くなり、水性媒体で希釈した際の乳化性、作業性が悪くなり、また、得られた水相中油型(O/W型)エマルションの安定性が悪くなる恐れがある。
D相中油型(O/D型)乳化組成物は、親水性乳化剤を溶解した多価アルコールまたはその水溶液を、通常50〜80℃の温度で、通常500〜20000rpm、好ましくは1000〜10000rpmで攪拌し、この中に、親油性乳化剤を溶解した油溶性物質を少量ずつ添加した後、通常温度を保持したまま、通常500〜20000rpm、好ましくは1000〜10000rpmで通常1〜60分間、好ましくは5〜30分間、さらに攪拌することにより得ることができる。
このようにして得られる本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物は、D相が多価アルコール及び親水性乳化剤を含有し、油相が油溶性物質及び親油性乳化剤を含有するものである。
このようにして得られる本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物は、D相が多価アルコール及び親水性乳化剤を含有し、油相が油溶性物質及び親油性乳化剤を含有するものである。
本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物は、D相中油型(O/D型)乳化組成物が通常0.01〜50重量%、好ましくは0.1〜20重量%となるように水性媒体と混合することにより、水相中油型(O/W型)エマルションを与える。このようにして得られる水相中油型(O/W型)エマルション中の油滴は、レーザー回折式粒度分布測定装置で測定した平均粒子径が、通常1μm以下である。平均粒径が0.5μm以下、なかでも0.15μm以下のものを得ることも容易である。このような微細な油滴からなるエマルションは安定性が特に高い。
本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物は、漬物、乾物、粉物、缶詰、冷凍食品、レトルト食品、インスタント食品、即席麺、ドライフーズ、加工乳などの加工食品、菓子などの嗜好食品、サプリメント、機能性食品、特別用途食品、病者用食品、高齢者用食品、育児用粉ミルク、特定保健用食などの健康食品などの食品、自己乳化性油脂、ケチャップ、マヨネーズ、タルタルソース、ウスターソース、ラー油、ひしお、魚醤、オイスターソース、豆板醤、XO醤、芝麻醤、豆鼓醤、甜面醤、香辛料、ハーブ、油脂、サラダドレッシングなどの調理・調味料、酒、コーヒー、茶などの飲料、化粧品、塗料、医薬などに用いることができる。本発明に係るD相中油型(O/D型)乳化組成物から得られる水相中油型(O/W型)エマルションは高温(60℃)での安定性も良好なので、熱湯を加えて簡単に調理できる即席スープなどの加熱用食品、ホットミルクコーヒー、ホットミル
クティーなどの加温用飲料などにも好適に用いられる。
クティーなどの加温用飲料などにも好適に用いられる。
以下に実施例を示し、本発明をさらに詳しく説明する。但し、これらの実施例は、本発明を何ら限定もしくは制限する意味のものではない。
<D相中油型(O/D型)乳化組成物を利用した自己乳化性油脂の調製>
<実施例1>
直鎖オリゴ糖アルコール(三菱化学フーズ製「オリゴトースH−70」)の95重量%水溶液55重量部とデカグリセリンモノミリステート(HLB16、三菱化学フーズ製「M−7D」)5重量部を70℃で撹拌して均一溶液を得た。
ナタネ油(純正化学製)39重量部とショ糖オレイン酸エステル(HLB1、三菱化学
フーズ製「O−170」)1重量部を70℃で撹拌して均一溶液を得た。
デカグリセリンモノミリステートを含む直鎖オリゴ糖アルコール溶液を、温度70℃に保持しながら、ホモミキサー(TKロボミックス(攪拌翼径50mm)特殊機化製)を用いて5000rpmで攪拌し、ここにショ糖オレイン酸エステルを含むナタネ油を10m
l/分の速度で添加した。添加終了後、さらに8000rpmで5分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。
<実施例1>
直鎖オリゴ糖アルコール(三菱化学フーズ製「オリゴトースH−70」)の95重量%水溶液55重量部とデカグリセリンモノミリステート(HLB16、三菱化学フーズ製「M−7D」)5重量部を70℃で撹拌して均一溶液を得た。
ナタネ油(純正化学製)39重量部とショ糖オレイン酸エステル(HLB1、三菱化学
フーズ製「O−170」)1重量部を70℃で撹拌して均一溶液を得た。
デカグリセリンモノミリステートを含む直鎖オリゴ糖アルコール溶液を、温度70℃に保持しながら、ホモミキサー(TKロボミックス(攪拌翼径50mm)特殊機化製)を用いて5000rpmで攪拌し、ここにショ糖オレイン酸エステルを含むナタネ油を10m
l/分の速度で添加した。添加終了後、さらに8000rpmで5分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。
得られた自己乳化性油脂を、1重量%クエン酸水溶液または10重量%食塩水溶液に対して、自己乳化性油脂が10重量%となるように添加し、マグネットスターラーにて5分間攪拌混合して、O/W型エマルションを得た。得られたO/W型エマルションを25℃又は60℃で1時間静置保存し、平均粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置 HORI
BA LA920により測定することによって、耐酸性、耐塩性及び耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
BA LA920により測定することによって、耐酸性、耐塩性及び耐熱性を評価した。結果を表1に示す。
<実施例2、3>
ショ糖オレイン酸エステル(HLB1、三菱化学フーズ製「O−170」)の代わりに、ショ糖パルミチン酸エステル(HLB1、三菱化学フーズ製「P−170」)(実施例
2)、ジグリセリンモノオレエート(HLB7.7、理研ビタミン製「DO−100」)(実施例3)を用いた他は実施例1と同様に行い、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。
得られた自己乳化性油脂の耐酸性、耐塩性及び耐熱性を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
ショ糖オレイン酸エステル(HLB1、三菱化学フーズ製「O−170」)の代わりに、ショ糖パルミチン酸エステル(HLB1、三菱化学フーズ製「P−170」)(実施例
2)、ジグリセリンモノオレエート(HLB7.7、理研ビタミン製「DO−100」)(実施例3)を用いた他は実施例1と同様に行い、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。
得られた自己乳化性油脂の耐酸性、耐塩性及び耐熱性を実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
ショ糖オレイン酸エステル(HLB1、三菱化学フーズ製「O−170」)を用いず、また、ナタネ油を40重量部とした他は実施例1と同様に行い、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。
得られた自己乳化性油脂の耐酸性、耐塩性及び耐熱性は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
ショ糖オレイン酸エステル(HLB1、三菱化学フーズ製「O−170」)を用いず、また、ナタネ油を40重量部とした他は実施例1と同様に行い、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなる自己乳化性油脂を得た。
得られた自己乳化性油脂の耐酸性、耐塩性及び耐熱性は、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<D相中油型(O/D型)乳化組成物を利用したCoQ10含有製剤の調製>
<実施例4>
グリセリン(和光純薬製)69重量部とデカグリセリンモノミリステート(HLB16、三菱化学フーズ製「M−7D」)10重量部を70℃で撹拌して均一溶液を得た。
中鎖脂肪酸トリグリセライド(花王製「ココナードMT」)10重量部、コエンザイム
Q10(三菱ガス化学製「Bio Q10」)10重量部及びショ糖オレイン酸エステル
(HLB1、三菱化学フーズ製「O−170」)1重量部を混合し、70℃で撹拌して均一溶液を得た。
<実施例4>
グリセリン(和光純薬製)69重量部とデカグリセリンモノミリステート(HLB16、三菱化学フーズ製「M−7D」)10重量部を70℃で撹拌して均一溶液を得た。
中鎖脂肪酸トリグリセライド(花王製「ココナードMT」)10重量部、コエンザイム
Q10(三菱ガス化学製「Bio Q10」)10重量部及びショ糖オレイン酸エステル
(HLB1、三菱化学フーズ製「O−170」)1重量部を混合し、70℃で撹拌して均一溶液を得た。
デカグリセリンモノミリステートを含むグリセリンを、温度70℃に保持しながら、ホモミキサー(TKロボミックス:特殊機化製)を用いて5000rpmで攪拌し、ここに中鎖脂肪酸トリグリセライド、コエンザイムQ10及びショ糖オレイン酸エステルを含む溶液を10ml/分の速度で添加した。添加終了後、さらに8000rpmで5分間攪拌し、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなるCoQ10可溶化製剤を得た。
得られたCoQ10可溶化製剤は、CoQ10可溶化製剤が1重量%となるように脱塩水に添加し、マグネットスターラーにて5分間攪拌混合して、O/W型エマルションを得た。得られたO/W型エマルションの平均粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置 HO
RIBA LA920により測定した。その結果を表2に示す。
得られたCoQ10可溶化製剤は、CoQ10可溶化製剤が1重量%となるように脱塩水に添加し、マグネットスターラーにて5分間攪拌混合して、O/W型エマルションを得た。得られたO/W型エマルションの平均粒子径をレーザ回折式粒度分布測定装置 HO
RIBA LA920により測定した。その結果を表2に示す。
<実施例5〜9>
ショ糖オレイン酸エステルの代わりに、表2に示す親油性乳化剤(ジグリセリンモノオレエート(HLB7.7、理研ビタミン製「DO−100」)、レシチン(HLB6.1、辻製油製「SLP−ホワイト」))を表2に示す割合で用いた他は実施例4と同様に行って、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなるCoQ10可溶化製剤を得た。
得られたCoQ10可溶化製剤は、実施例4と同様に脱塩水に添加、攪拌してO/W型エマルションを得、実施例4と同様にエマルションの平均粒径を測定した。その結果を表2に示す。
ショ糖オレイン酸エステルの代わりに、表2に示す親油性乳化剤(ジグリセリンモノオレエート(HLB7.7、理研ビタミン製「DO−100」)、レシチン(HLB6.1、辻製油製「SLP−ホワイト」))を表2に示す割合で用いた他は実施例4と同様に行って、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなるCoQ10可溶化製剤を得た。
得られたCoQ10可溶化製剤は、実施例4と同様に脱塩水に添加、攪拌してO/W型エマルションを得、実施例4と同様にエマルションの平均粒径を測定した。その結果を表2に示す。
<比較例2>
ショ糖オレイン酸エステルを用いず、また、グリセリンを70重量部とした他は実施例4と同様に行って、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなるCoQ10可溶化製剤を得た。
得られたCoQ10可溶化製剤は、実施例4と同様に脱塩水に添加、攪拌してO/W型エマルションを得、実施例4と同様にエマルションの平均粒径を測定した。その結果を表2に示す。
ショ糖オレイン酸エステルを用いず、また、グリセリンを70重量部とした他は実施例4と同様に行って、D相中油型(O/D型)乳化組成物からなるCoQ10可溶化製剤を得た。
得られたCoQ10可溶化製剤は、実施例4と同様に脱塩水に添加、攪拌してO/W型エマルションを得、実施例4と同様にエマルションの平均粒径を測定した。その結果を表2に示す。
Claims (9)
- D相中油型(O/D型)乳化組成物と水性媒体とを混合して得られる水相中油型(O/W)エマルションであって、
D相中油型(O/D型)乳化組成物は、D相が多価アルコールと親水性乳化剤を含有し、油相が該親水性乳化剤よりも親水性が低い親油性乳化剤を含有し、
該エマルションに含まれる油滴の平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする、水相中油型(O/W)エマルション。 - 該親水性乳化剤のHLBが10以上であり、該親油性乳化剤のHLBが10未満であることを特徴とする、請求項1に記載の水相中油型(O/W)エマルション。
- D相が多価アルコールと親水性乳化剤を含有し、油相が該親水性乳化剤よりも親水性が低い親油性乳化剤を含有するD相中油型(O/D型)乳化組成物であって、
該組成物中に含まれる油滴の平均粒子径が1μm以下であることを特徴とする、D相中油型(O/D型)乳化組成物。 - 該親水性乳化剤のHLBが10以上であり、該親油性乳化剤のHLBが10未満であることを特徴とする、請求項3に記載のD相中油型(O/D型)乳化組成物。
- 請求項1もしくは2に記載の水相中油型(O/W)エマルションまたは請求項3もしくは4に記載のD相中油型(O/D型)乳化組成物を含有することを特徴とする加工食品。
- 請求項1もしくは2に記載の水相中油型(O/W)エマルションまたは請求項3もしくは4に記載のD相中油型(O/D型)乳化組成物を含有することを特徴とする調理・調味用材料。
- 請求項1もしくは2に記載の水相中油型(O/W)エマルションまたは請求項3もしくは4に記載のD相中油型(O/D型)乳化組成物を含有することを特徴とする嗜好食品。
- 請求項1もしくは2に記載の水相中油型(O/W)エマルションまたは請求項3もしくは4に記載のD相中油型(O/D型)乳化組成物を含有することを特徴とする健康食品。
- 請求項1もしくは2に記載の水相中油型(O/W)エマルションまたは請求項3もしくは4に記載のD相中油型(O/D型)乳化組成物を含有することを特徴とする飲料。
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- 2011-02-14 JP JP2011028656A patent/JP2011120604A/ja active Pending
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