JP4670008B2 - 高級脂肪族化合物を含有する炊飯用添加剤 - Google Patents
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Description
DHAやEPA又はそのエステルを牛乳や豆乳、ヨーグルト等の水性液状食品に添加し、分散(乳化)することにより、DHAやEPA含有水性液状食品を得ることがことができる。しかし、DHAやEPA又はそのエステルを水性液状食品に添加し、単に分散させただけでは、DHAやEPA又はそのエステルは油性物質であるため、時間が経過すると、水性液状食品の上層に浮上してしまう。従って、DHAやEPA又はそのエステルが水性液状食品中に均一に分散した分散安定性のよい製品を得ることは非常に困難であった。
この方法の場合、0.1〜0.6μmという極めて微細な乳化粒子を形成させる必要があることから、その乳化装置としては、ホモジナイザー等の強力な撹拌混合装置を用いることが必要になる。このような強力な撹拌混合装置を使用する場合は、その使用に際して発生する摩擦熱や、その強力な剪断応力のために、DHAやEPAが変質を生じるという問題がある。
(1)エステル基又はカルボキシル基を有する高級脂肪族化合物を含有する水性混合体Mを提供すること。
(2)該混合体Mの製造方法を提供すること。
(3)該混合体Mを含有する飲食品及びその製造方法を提供すること。
(4)粉末状の飲食品添加剤を提供すること。
(1)炊飯に際して用いる添加剤であって、(i)エステル基又はカルボキシル基を有する炭素数12以上の少なくとも1つの高級脂肪族化合物A(その比重は1以下である)の水溶液と(ii)ポリグリセリンの高級脂肪酸エステル(その比重は1より大きい)の水溶液とを、撹拌速度6000rpm以下の条件で撹拌混合して形成した混合体M(比重は1.01から2.0)からなることを特徴とする炊飯用添加剤。
本発明で用いる高級脂肪族化合物A(RCOOX、Xは水素又はアルコール残基)において、その炭素数(RC)は12以上であり、その上限値は、特に制限されないが、通常、24程度である。本明細書で言う高級脂肪族化合物とは、このような化合物を意味する。
本発明で用いる高級脂肪族化合物Aの具体例としては、例えば、オレイン酸、エライジン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、ドコサヘキサエン酸(DHA)、エイコサペンタエン酸(EPA)等の不飽和脂肪酸又はそれら脂肪酸エステルの他、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、アラキン酸等の飽和脂肪酸の他、それら脂肪酸のエステル等が挙げられる。
本発明においては、ポリグリセリンの使用が好ましい。このポリグリセリンにおいて、その重合度は2以上、好ましくは5以上、より好ましくは8以上であり、その上限値は特に制約されないが、通常、20程度である。本発明においては、特に、重合度8〜15のポリグリセリンを有利に用いることができる。このポリグリセリンは、前記高級脂肪族化合物Aに対する結合力が強く、その結合力の弱いポリオール化合物P(1)にポリグリセリンを混入させることにより、結合力の高められたポリオールP(1)混合物を得ることができる。このポリオールP(1)混合物において、ポリオールP(1)としては、グルコースやショ糖、ソルビトール、マルチトール等の糖化合物が包含される。ポリグリセリン混入量は、全ポリオール化合物P中、5重量%以上、好ましくは15重量%以上、より好ましくは20重量%以上である。その上限値は特に制約されないが、通常50〜90重量%程度である。
なお、高級脂肪族化合物Aとポリオール化合物Pとが一体に結合していることは、前記混合体Mを水中に投入したときに、その高級脂肪族化合物Aが実質上水面上に浮上しないことによって確認することができる。
高級脂肪族化合物Aとポリオール化合物Pと水からなり、界面活性剤Sを含有しない混合体M(以下M(I)とも言う)を製造するには、該化合物Aと該化合物Pの水溶液とを撹拌混合する。この場合、撹拌混合装置としては、その回転速度が6000rpm以下、好ましくは、2000rpm以下、より好ましくは1000rpm以下、特に好ましくは500rpm下の低速撹拌混合装置が用いられる。化合物Aの濃度が高い混合物に対して、ホモジナイザー等の高剪断応力を与える高速の撹拌混合装置を使用することは好ましくない。高級脂肪族化合物AがDHAやEPA等の不飽和脂肪酸やそのエステル等の熱や剪断応力、酸化反応等により変質を生じやすいものである場合、その撹拌混合にそのような高速撹拌混合装置を用いると、その高速撹拌により発生する高剪断応力や摩擦熱により、該不飽和化合物は変質を生じ、さらに、該不飽和化合物は外気(空気)や溶存酸素と強く接触するので、酸化による変質も生じる。しかも、強力な撹拌混合により、液状の該不飽和化合物は、高表面積の微細粒子化されるため、酸化による変質は一層大きくなる。その結果、該不飽和化合物の変質による不快臭が生じるようになる。
前記撹拌混合温度は、低い方が好ましいが、一般的には、常温〜75℃であり、好ましくは50〜70℃、より好ましくは40〜65℃である。
前記のようにして得られる混合体M(I)は、油性の高級脂肪族化合物Aを含有するものでありながら、水中滞在性(保持性)のよいものである。このものは、水中に投入すれば、水面に浮上分離することなく、水底に油性液球状で保持される。撹拌すれば、該混合体M(I)は、微粒子となり、水中に分散されるが、撹拌を停止すれば、再び水底に沈降する。この場合、混合体Mを投入する水中に界面活性剤を存在させると、その混合体Mを水中に微粒子状態で分散させることができる。
この混合体M(I)の比重は、1.01以上、好ましくは1.02以上、好ましくは1.05以上で、その上限値は2.0程度である。
混合体M(I)は、これを水中に投入すると、水中の底部に油性の液球となって保持される。従って、この混合体M(I)は、これを水を含む固体状や半固体状の食品に含有させると、該混合体は表面に浮上分離されることなく、食品中に安定的に保持される。従って、大気との接触が防止され、混合体M(I)の酸化による変質が効果的に防止される。
このような混合体M(I)は、混合体M(I)が水よりも比重が大きく、水中に保持されていることから、該混合体M(I)は外気(空気)との接触が遮断される。その結果、混合体M(I)の酸化による変質が効果的に防止される。
前記方法A及び方法Bにおいて用いる撹拌混合装置及び撹拌条件は、前記混合体M(I)の製造方法に関連して示したのと同様である。
該混合体M(II)を製造する場合に用いる界面活性剤Sとしては、混合体M(II)の形成を妨げないものであれば任意のものを用いることができる。このような界面活性剤Sには、イオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤及び両性界面活性剤が包含される。又、イオン性界面活性剤には、アニオン性界面活性剤及びカチオン性界面活性剤が包含される。
本発明においては、このポリグリセン系界面活性剤は、イオン性界面活性剤であるレシチンとの混合物として用いるのが好ましい。この混合物において、レシチンLとポリグリセン脂肪酸エステルEの重量比[L]/[E]は、0.1〜0.9、好ましくは0.2〜0.8、より好ましくは0.4〜0.6である。
界面活性剤Sは、通常水溶液として用いられるが、この場合、その界面活性剤Sの濃度は5〜20重量%、好ましくは8〜15重量%である。この混合体M(II)において、ポリオール化合物Pの割合は、水溶液として、該高級脂肪族化合物A1重量部当り、0.5〜5重量部、好ましくは1〜3重量部、より好ましくは1.5〜2重量部となる割合である。界面活性剤Sの割合は、該高級脂肪族化合物Aに対して0.5〜15重量%、好ましくは1〜10重量%である。水の含有量は、ポリオール化合物Pに対して、25〜50重量%、好ましくは30〜45重量%である。
この混合体M(II)の比重は、1.01以上、好ましくは、1.02以上であり、その上限値は、2.0程度である。
該混合体M(II)は、これを水や水性液状食品に加えて乳化すると、分散安定性及び保存安定性の良好な混合体M(II)の乳化微粒子を得ることができる。
このような混合体M(II)を含む水性組成物は、混合体M(II)の比重が水の比重よりも重いため、混合体M(II)は水中に常時存在して外気(空気)との接触が遮断される。その結果、混合体M(II)の酸化による変質が効果的に防止される。
この混合体M(II)は、水分散性及び乳化粒子形成性のすぐれたものであり、これを水中に投入し撹拌すると、水中に微細粒子となって分散する。この状態はその撹拌を停止しても、長時間にわたって保持される。
この混合体M(II)は、水分散性及び乳化粒子形成性のよいものであるから、これを水性液状媒体に添加混合することにより、該混合体M(II)を乳化粒子状で含有する水性組成物を得ることができる。
さらに、混合体Mを添加する相手となる前記水性液状媒体には、必要に応じ、界面活性剤、酸化防止剤、消臭剤、香料、着色剤、ビタミン、pH調整剤等の慣用の補助成分を適量加えることができる。
なお、前記「分散」は、当然のことながら、「乳化」を包含するものである。
また、本発明によれば、加熱殺菌工程を含む水性液状食品の製造方法において、液状原料に対して混合体M又は粉体状添加剤を撹拌混合する工程と、液状原料に対して、ポリグリセリン系界面活性剤を撹拌混合する工程を含むことを特徴とする高級脂肪族化合物を含有する水性液状食品の製造方法が提供される。
前記ポリグリセリン系界面活性剤を飲料水や水性液状食品に混合する場合の撹拌装置としては、通常の低速撹拌機の他、強力撹拌タイプのホモジナイザーやホモミキサーを用いることができる。また、撹拌混合温度としては、50〜75℃、好ましくは55〜65℃が用いられる。ポリグリセリン系界面活性剤は水溶液として用いられ、その濃度は2〜15重量%程度である。また、その添加量は、飲料水又は水性液状食品に対して、0.2〜10重量%、好ましくは0.5〜5重量%程度である。
なお、前記加熱殺菌工程において、その加熱温度は、通常80〜140℃であである。
混合体M(I)は、水中に沈降する特性を有することから、水分を含む固体状、半固体状の食品用添加剤として有利に用いることができる。
混合体M(II)及びM(III)は、水中で容易に乳化微粒子を形成するので、飲料水や水性液状食品中に分散させることにより、各種の液状乳化食品を得ることができる。
この添加剤を用いて得られた炊飯米はその中に高級脂肪族化合物Aが均一性よく分散したものである。
しかも、この添加剤の場合、炊飯に際して、該混合体から油分が分散するようなこともない。
このスプレードライ法においては、混合体M(I)やM(II)、M(III)が水中に存在することから、高級脂肪族化合物Aの酸化による変質が防止される。高分子物質の割合は、全粉体中、1〜30重量%、好ましくは2〜20重量%である。
魚油A:比重0.9 脂肪酸組成:DHA22%以上・EPA6%以上、
計28%以上、酸価1.00以下、過酸化物価5meq/kg以下(製品名DHA−22HDH 日本水産製)
グリセリン G:比重1.26、グリセリン分99.8%。
(食品添加物用、坂本薬品工業製)
マルチトール MAL:比重1.4、還元麦芽糖水飴水溶液。水分25%(製品名MU−75、上野製薬製)
乳化剤液 E:(i)乳化剤(1)「サンソフトQ−18SW」(デカグリセリン脂肪酸エステル40%を含有するペースト状物)5%と、
(ii)乳化剤(2)「サンレシチンA−1」(酵素分解レシチン33%含有物、太陽化学株式会社製)5%と、
水90%を50〜70℃にて撹拌混合して形成した。
(混合体M1)
魚油A:10g、グリセリンG液:20g、水:4gを常温でミキサー(400rpm)で撹拌混合すると、DHA・EPA入りグリセリン混合体M1が30g得られた。この混合体M1は比重1.14で、その1g中のDHA・EPA含有量は93mgである。
この混合体M1の5gを100mlの水に入れると、油性の液玉になって沈み、撹拌しても撹拌停止後には再び底に沈み浮上しない。この混合体M1は、味噌、豆腐、ご飯、ソース、ドレッシング等の食品用添加剤として好適のものである。
(混合体M2)
魚油A:10g、マルチトールMAL:15gを常温でミキサーで撹拌混合すると、DHA・EPA入りマルチトール混合体M2が25g得られた。この混合体M2は比重1.2で、その1g中のDHA・EPA含有量は112mgである。
この混合体M2の5gを100mlの水に入れると混合体M2は油性の液玉になって沈み、撹拌して分散させても撹拌停止後には再び底に沈み浮上しない。このものは、豆腐、小豆あんこ、ジャム、味噌等の固形食品用添加剤として好適のものである。
(混合体M3)
魚油A(50℃):3g、グリセリンG(50℃):6g、乳化剤溶液E(60℃)2gをビーカーに加え、ミキサー(400rpm)で撹拌混合し、白く乳化した混合体M3を11g得た。この混合体M3の比重は1.12である。その1g中のDHA・EPA含有量は76mgである。得られた混合体M3は、これを急速冷蔵にて10℃以下(7℃)に冷やし、この温度で保存した。次に、この混合体M3を15℃に加温し、水に入れると、このものは、比重が1.12であり、乳化剤を含むことから、いったん底に沈むが、乳化剤の作用により、底の方から静かに水全体に分散する。この状態は完全に魚油が水に分散したことを示している。この分散液においては水の方が比重が低いため混合体の分散が水の中間で起こり、混合体は水の表面に浮き出てこない。この現象は、魚油(DHA、EPA等の不飽和脂肪酸)は水の中で安定化され、酸化防止・保存安定性・分散安定に優れている分散液を与えることを示す。又食品加工時に於いても魚油が混合体から分離し表面に浮き出てこないことから、加熱に耐え空気に触れることがない。
(混合体M4)
魚油A(50℃):3g、マルチトールMAL(50℃):4gをビーカーに入れ、これに60℃の乳化剤溶液E:1gを加え、ミキサー(400rpm)を用いて撹拌混合し、白く乳化した混合体M4を8g得た。これを急速冷蔵にて7℃に急冷した。この混合体(白色)M4の比重は1.18であった。この混合体M4の1g中のDHA・EPA含有量は105mgである。
この混合体の特徴は、比重が1.18でり、乳化剤を含むため、水に入れると、いったん底に沈むが、乳化剤の作用により底の方から静かに水全体に分散する。この分散液において水の方が比重が低いため混合体の分散が水の中間で起こり、混合体は表面に浮き出てこない。
この現象は、魚油(DHA、EPA等の不飽和脂肪酸)は水の中で安定化され、酸化防止・保存安定性・分散安定に優れている分散液を与えることを示している。又食品加工時に於いても魚油が混合体から分離して表面に浮き出すようなこともなく、加熱に耐え空気に触れないことで、あらゆる食品に大量のDHA、EPA等の不飽和脂肪酸を添加することが可能になった。
魚油A(50℃):6g、マルチトールMAL(50℃):9g及び乳化剤水溶液E:1g(60℃)を撹拌混合(400rpm)し、これを急速冷蔵にて7℃まで冷やし、白く乳化した混合体M5:17gを得た。この混合体M5の比重は1.26で、1g中のDHA・EPA含有量は99mgである。この混合体M5を常温に加温し、980gの水に加えたところ、該混合体M5はいったん底に沈むが、乳化剤の作用により底の方から静かに水全体に分散した。この場合、混合体M5は水の表面に浮き出てこない。この現象は、魚油は水の中で安定化され、酸化防止・保存安定性・分散安定に優れている分散液が得られたことを示している。
さらに味調味料としてトレハロース(温度15℃)を3g加えた後、高速ミキサーで10分撹拌した。
このようにしてDHA・EPA入り透明の乳化液(エマルジョン)1000gを得た。そのDHA・EPA含有量は乳化液100g中168mgである。このものを、パネラー:男性5人、女性5人で評価したところ、魚臭は全く感じられなかった。また、この混合体M5は、保存安定性、熱安定性にすぐれ、要冷蔵で45日静置しても、DHA・EPA含有魚油は浮上分離することなく、良好な外観を示した。また、殺菌のために、80℃20分間加熱して10℃以下で45日間保存しても、変質を生じることはなく、良好な外観を示した。
実施例5で得たDHA・EPA含有混合体M5:15gを常温の牛乳(滅菌120℃/2秒)490gと水490gとトレハロース4gとミルク香料(日本香料薬品製23051M)1gの混合物に添加して、ミキサー(400rpm)で撹拌し、1000gのDHA・EPA入り白色飲料を得た。次にこのものを高圧乳化機(ラボラトリーホモゲナイザー、APVゴーリン社製)による均質化(処理圧力:150kg・cm3)を行った後、プレートヒーターにより80℃・10秒間の加熱滅菌後、200mlの瓶に詰め(充填量200g)、1瓶200g中DHA・EPA含有量336mgの乳飲料を5本得た。
冷蔵庫で7℃に冷やし、パネルテストに供したところ、魚臭はまったく感じられず、また市販の牛乳に似た風味であるという評価が得られた。また一方において、この乳化物を、10℃で60日間保存して分析した結果、酸価(AV)0.84、過酸化物(POV)1.75meq/kgで変質を生じることなく、良好な外観を示した。
精製魚油A:3g、マルチトールMAL:5gを常温で撹拌混合し、DHA・EPA入り混合体M7:8gを得た。この混合体の特徴は、水に入れると油性の液玉になって沈み、撹拌しても撹拌後には底に沈み浮上しない。
この混合体M7:8gを、1カップのお米を水で洗って、水米380gに静かに添加した。これを家庭用電気釜で炊飯した。炊飯後常温まで自然に冷やした。280gのご飯が出来た。このご飯のDHA・EPA含有量は100g中300mgである。また、魚油の働きか、艶があり、米の甘みが引き出されて美味しさが増していた。
(寒天ゼリー)
魚油A:6gとマルチトールMAL:8gを常温でミキサー(400rpm)で撹拌し、混合体M8:14gを得た。これを寒天ゼリー用原料粉末(北原産業株式会社製)のペースト状水溶液500g(80℃)に、静かに撹拌した後冷蔵庫にて約1時間冷やした。このようにして、100g中DHA・EPA含有量336mgの寒天ゼリーが出来た。魚油が表面に浮き出ないきれいなものである。普通のゼリーと試食して比べたところ全く区別が着かず、魚油の臭いや味は感じられなかった。魚油A:6gだけを入れた場合は、魚油が表面に浮き出て臭いが発生し、食べられるゼリーは出来なかった。
味噌・小豆あんこ・ジャム・豆腐・ヨーグルト等に魚油Aを添加しても油を受け付けない。しかし、魚油A:3g対マルチトールMAL:4gあるいは魚油A:3g対グリセリンG:5gの割合の混合体M9を作り、これを従来の魚油を含まない製品と味噌・小豆あんこ・ジャム・豆腐・ヨーグルト等に添加し撹拌すると、混合体は食品と良くなじみ、魚油が表面に浮き出ることはない。製品としても魚油の臭いは感じられず比較テストしても区別がつかない。
実施例5で得たDHA・EPA含有混合体M5:30gを常温15℃にカテキン(ポリフェノン70A、三井農林株式会社製)3.5gを加え撹拌した。DHA、EPA、カテキン含有混合体M10:33.5gを得た。
この混合体:33.5gを966.5gの水に静かに加えたところ、水の底に沈んだ後水全体に分散した。実施例5と同じ分散の状態である。さらにミキサーにて撹拌し、80℃20分間滅菌し200mlの瓶につめ冷蔵庫にて7℃に冷やした。200ml中DHA・EPA672mgカテキン(ポリフェノン)581mgのDHA・EPA入りカテキン茶の誕生である。このDHA、EPA入りカテキン茶は、痴呆症予防に効果があるという研究発表がなされている。
実施例6において、牛乳の代わりに、業務用豆乳を水で希釈して比重約1.02に調節したものを用いた以外は同様にして実験を行った。
この場合にも、乳化安定性のよいDHA含有乳化物が得られた。
実施例3において、グリセリンの代わりに、ソルビット液(D−ソルビット54%、還元でんぷん糖化物16%、水分30%、「ソルパート」、上野製薬社製)とグリセリンとの混合液(グリセリン混合比率50重量%)を用いた以外は同様にして実験を行った。この場合にも、分散安定性のよい乳化液(混合体M12)が得られた。この乳化液にも、不快臭は感じられなかった。
実施例2において、魚油Aの代わりに、大豆油とナタネ油の混合油を用いた以外は同様にして実験を行った。この場合にも、混合油とマルチトールMALとが結合した混合体M13が得られた。
100mlのビーカーに魚油A:30g、カテキン(ポリフェノン):1g及びトレハロース(味調整剤):4gを入れ、撹拌混合し、次いで50℃に加温する一方、100mlのビーカーに、マルチトールMAL:45gを入れ、50℃に加温し、さらに乳化剤水溶液E:20gを入れ、全体を60℃に加温する。
次に前記2つのビーカーの内容物を200mlのビーカーに移し全内容物(温度約53℃)をミキサーを用いて回転速度400rpmで3分間撹拌して混合体M14を形成した。
実施例4において、魚油Aの代わりに、オリーブ油を用いた以外は同様にして実験を行った。この場合にも、オリーブ油とマルチトールMALとが結合した混合体M15が得られた。この混合体M15も実施例4の混合体M4と同様の挙動を示した。
実施例3において、あらかじめ形成したマルチトールMALと乳化剤水溶液Eとの混合物に、魚油Aを加えてホモミキサー(回転速度:10000回/分)を用いて、撹拌温度を90℃にして攪拌混合以外は同様にして実験を行った。
この場合には、得られた混合体M−3’には、魚油Aの酸化による不快臭が生じていることが確認された。
オレイン酸(比重0.890、純度88.9%):5gとグリセリンG:10g、水:2gをミキサー(回転数400rpm)で撹拌混合して混合体M16を得た。このものは、これを水に入れると、水中に沈降し、オレイン酸/グリセリン混合体が形成されていることが確認された。
実施例16において、乳化剤液(2)を追加した以外は同様に実験を行って、混合体M17を得た。このものは、混合体M3と同様の挙動を示した。
実施例17において、乳化剤溶液(2)の代わりに界面活性剤(アルキルエーテル硫酸エステルNa)の水溶液を用いた以外は同様にして実験を行って、混合体M18を得た。この混合体M18も、混合体M17と同様の挙動を示した。
実施例17において、グリセリンGの代わりにマルチトールMALを用いた以外は同様にして実験を行って混合体M19を得た。この混合体M19も混合体M17と同様の挙動を示した。
これに魚油A(60℃)14.3gを加えて回転速度400rpmで30秒撹拌、次に回転速度1200rpmで 60秒撹拌する。以上で46.8g(1g中のDHA・EPA含有量85.4mg)の混合体M20を得た。この混合体を評価するために、お湯200ml(90℃)中に混合体M20:3.6gを投入する。混合体は底に煙状に沈みながら分散する。撹拌しても表面に魚油は浮かばず、その品質は良しと判断された。次に牛乳1000ml(60℃)に無臭乳化DHA混合体M20:18gを入れて静かに撹拌(回転速度400rpm)する。次に乳化溶液B:5g加え30秒撹拌(回転速度400rpm)する。これを間接加熱により80℃30分間滅菌する。滅菌終了後、消毒済みの200mlの瓶に詰めて、急速にて冷蔵庫で7℃まで急速に冷やす。200mlC中308mgDHA・EPA含有のDHA牛乳5本を得た。パネルテストに供したところ、魚臭はまったく感じられず、また市販の牛乳に似た風味であるという評価が得られた。又一方において、この乳化物を、10℃で60日間保存し分析した結果、酸価(AV)0.84、過酸化物価(POV)1.75meq/kgで変質を生じることなく、良好な外観を示した。又このDHA入り牛乳を電子レンジで60℃に加温して味の変化を比較したが、魚臭はなく市販の牛乳に似た風味であるという評価が得られた。
実施例20で得たDHA混合体M20:28.6gを牛乳1000ml(60℃)に加え実施例20で示したようにして100ml中308mgDHA・EPA含有の牛乳1000mlを得た。この牛乳でカスピ海ヨーグルトを試作したところ、ヨーグルト100g中DHA・EPA308mgのヨーグルトが出来た。
パネルテストに供したところ、魚臭はまったく感じられず、市販のヨーグルトよりも魚油の油が作用したと思われる、酸味が少なく濃くのある風味であるという評価が得られた。
実施例20で示した、マルチトールMAL混合液(60℃)32.5gと魚油A:(60℃)21.5gをビーカーに入れ実施例20の方法で撹拌混合する。DHA・EPA含有量が2.72g中300mgの混合体M22を得た。
この混合体14.0gを500gのハンバーグの生地に良く混ぜ込み、100g中DHA・EPA300mg含有のハンバーグを得た。これをフライパンで調理したところ、肉汁が表面に出て、フライパンで焼かれたが全く魚臭は出なかった。
パネルテストに供したところ、魚臭は全く感じられず、市販のものと区別がつかないという評価が得られた。これを30日間冷凍したものを解凍し調理してパネルテストに供したところ市販のものと区別がつかないという評価が得られた。
混合体M22は、マルチトールが魚油を包み込んでハンバーグ内に安定に存在し、ハンバーグの中から表面に出てこないため、フライパンに魚油が触れることなく、調理でき、その結果、魚臭を発生しないものと考えられる。
魚油A:10gと乳化剤溶液B:5gを常温でミキサー(回転速度400rpm)で30秒間撹拌し、1.6g中DHA・EPA300mg含有の混合体M23を得た。この混合体11.9gを米370g、水370gに加え、静かにかき混ぜた。これを電気炊飯器に入れ炊飯した。炊飯中湯気からは魚臭がなく、720gのご飯が炊けた。パネルテストに供したところ、魚臭はまったく感じられず、市販のご飯と区別がつかなかった。おにぎりにして10日間冷凍し、デンシレンジで温め試食したが魚臭は全く感じなかった。
Claims (1)
- 炊飯に際して用いる添加剤であって、(i)エステル基又はカルボキシル基を有する炭素数12以上の少なくとも1つの高級脂肪族化合物A(その比重は1以下である)の水溶液と(ii)ポリグリセリンの高級脂肪酸エステル(その比重は1より大きい)の水溶液とを、撹拌速度6000rpm以下の条件で撹拌混合して形成した混合体M(比重は1.01から2.0)からなることを特徴とする炊飯用添加剤。
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JP2005228052A JP4670008B2 (ja) | 2004-08-06 | 2005-08-05 | 高級脂肪族化合物を含有する炊飯用添加剤 |
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