JP3596059B2 - 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 - Google Patents
高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3596059B2 JP3596059B2 JP33125594A JP33125594A JP3596059B2 JP 3596059 B2 JP3596059 B2 JP 3596059B2 JP 33125594 A JP33125594 A JP 33125594A JP 33125594 A JP33125594 A JP 33125594A JP 3596059 B2 JP3596059 B2 JP 3596059B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- fatty acid
- acid
- oil
- highly unsaturated
- unsaturated fatty
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Dairy Products (AREA)
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
Description
【産業上の利用分野】
本発明は、高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物に関する。さらに詳しくは、本発明は、魚臭や酸敗臭などの異臭味の発生が抑えられた高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高度不飽和脂肪酸、例えば、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびα−リノレン酸は、動脈硬化性疾患に対する予防作用を有するなど、その生体調節機能が注目されてきている。
しかしながら、EPA、DHAおよびα−リノレン酸のような高度不飽和脂肪酸は酸化されやすく、かつ魚臭や酸敗臭など不快臭が強い。そのため、これらの高度不飽和脂肪酸含有油脂は不快臭が強く、そのままでは多くを摂取することができないなどの欠点を有している。
このような欠点を改良するために、これまでに種々の検討がなされてきた。例えば、リン脂質を2〜20重量%含有させる方法(特開平3−130042号公報)、L−アスコルビン酸エステルを100〜2000ppm含有させる方法(特開平5−140584号公報)、乳系フレーバーを添加配合する方法(特開平6−68号公報)、脂溶性ジンジャーフレーバーを添加配合する方法(特開平6−189717号公報)などが提案されている。しかしながら、何れの方法も充分に満足し得るものとはいえない。
すでに、EPA、DHAまたはα−リノレン酸を含有する油脂を、ゼラチン軟カプセル化したもの、食品加工用素材として粉末化したものおよび乳化または可溶化したものが市販されている。EPA、DHAまたはα−リノレン酸を含有する油脂をカプセル化したものは、それを飲んだ後の不快味を有するゲップやおくびが問題となっている。また、EPA、DHAまたはα−リノレン酸を含有する油脂を粉末化したものおよび乳化または可溶化したものは、食品素材としてそれを各種食品に配合使用した場合に、高度不飽和脂肪酸含有油脂特有の生臭さが口中に広がり、食事をしようとする気持ちが失われることを免れない。特に、高度不飽和脂肪酸含有油脂を配合した各種食品は、製造後比較的早い時期に、魚臭や酸敗臭などの異臭味が強くなり、食べにくくなるという問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高度不飽和脂肪酸含有油脂を幅広い食品群に適用し得るように、魚臭や酸敗臭などの異臭味を抑制し、これによってその摂取を容易にすることにあり、魚臭や酸敗臭などの異臭味の抑制された高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリグリセリン脂肪酸エステルの存在下でアスコルビン酸塩溶液中に高度不飽和脂肪酸含有油脂を乳化することにより、魚臭や酸敗臭などの異臭味の発生を著しく抑え得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)数平均重合度10以上のポリグリセリンとカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノール酸とのモノエステルの中から選ばれる少なくとも1種の化合物であるポリグリセリン脂肪酸エステルとアスコルビン酸塩と高度不飽和脂肪酸含有油脂とを有効成分とする高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物、
を提供するものである。
さらに、本発明の好ましい態様として、
(2)高度不飽和脂肪酸含有油脂の配合量が、0.0005〜70重量%である第(1)項記載の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物、
(3)高度不飽和脂肪酸がエイコサペンタエン酸、ドコサヘキサエン酸またはα−リノレン酸である第(1)〜(2)項記載の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物、
(4)アスコルビン酸塩の配合量が、0.01〜5重量%である第(1)〜(3)項記載の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物、
(5)アスコルビン酸塩がアスコルビン酸ナトリウムである第(1)〜(4)項記載の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物、および、
(6)ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が、0.00002〜20重量%である第(1)〜(5)項記載の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物、
を挙げることができる。
【0005】
以下本発明を詳細に説明する。
本発明における高度不飽和脂肪酸は、炭素数が18個以上で、かつ不飽和結合を3個以上有する脂肪酸であって、例えば、EPA、DHA、α−リノレン酸、アラキドン酸などが挙げられる。
本発明に用いる高度不飽和脂肪酸含有油脂は、EPA、DHA、α−リノレン酸などの高度不飽和脂肪酸を含有する油脂であり、高度不飽和脂肪酸を10重量%以上含有する油脂が好ましく、一般に、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、シソ油、エゴマ油などであり、これらを濃縮して高度不飽和脂肪酸の含量を高めたもの、あるいはこれらと他の成分、例えば、豚脂、牛脂、鶏油、鯨油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、コーン油、ナタネ油、パーム油、カカオ脂、落花生油、ヤシ油、および中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリセリドなどを配合した油脂である。
本発明組成物中の高度不飽和脂肪酸含有油脂の配合量は、通常0.0005〜70重量%、好ましくは0.001〜60重量%、より好ましくは0.003〜50重量%となるように配合するのが適当である。高度不飽和脂肪酸含有油脂の配合量が0.0005重量%未満であると、実用的な価値が少なく、70重量%を超える場合は、油脂乳化物が安定性を欠くおそれがある。
本発明に使用するアスコルビン酸塩は、一般に公知の方法で製造されたものを用いることができる。本発明に使用するアスコルビン酸塩としては、アスコルビン酸ナトリウム、アスコルビン酸カルシウムなどを挙げることができる。本発明に用いるアスコルビン酸塩としては、食品添加物であるアスコルビン酸ナトリウムが特に好ましい。
本発明組成物中のアスコルビン酸塩の配合量は、通常0.01〜5重量%、好ましくは0.05〜2重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。アスコルビン酸塩の配合量が0.01重量%未満であると、魚臭や酸敗臭などの異臭味の発生抑制効果が少なく、5重量%を超えると、油脂を安定に乳化させることが困難となるおそれがある。
本発明組成物には、一般的な酸化防止剤としてすでに用いられているアスコルビン酸、アスコルビン酸脂肪酸エステル、エチレンジアミン四酢酸カルシウム二ナトリウム、エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、カテキン、ギシギシ抽出物、グアヤク脂、クエン酸、クエン酸イソプロピル、クローブ抽出物、酵素処理ルチン、ジブチルヒドロキシトルエン、抽出トコフェロール、dl−α−トコフェロール、天然ビタミンE、ノルジヒドログアヤレチック酸、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸、没食子酸プロピル、ルチンなどをアスコルビン酸塩と組み合わせて用いることができる。
【0006】
本発明組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルを配合する。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、グリセリンを水酸化ナトリウムなどの存在下に加熱により脱水縮合して得られるポリグリセリンを、脂肪酸によってエステル化することにより得ることができる。本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、数平均重合度10以上のポリグリセリンとカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミルスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノール酸とのモノエステルの中から選ばれる少なくとも1種の化合物を使用することが好ましい。ポリグリセリンは通常重合度分布を有していて、本発明においてはポリグリセリンの重合度は数平均重合度により表す。本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸エステルは、数平均重合度10以上のポリグリセリンのモノエステルであることが好ましいが、重合度10未満のポリグリセリンのモノエステルが少量混在していてもよい。
本発明組成物において、ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量は、通常0.00002〜20重量%、好ましくは0.00005〜10重量%、より好ましくは0.0001〜5重量%である。ポリグリセリン脂肪酸エステルの配合量が0.00002重量%未満であると、容易に油脂を安定に乳化させることが困難であり、20重量%を超えると、乳化剤の苦みが感じられるようになる。
【0007】
本発明においては、上記の界面活性剤に、その他の界面活性剤を混合して使用することができる。このような界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルおよびレシチンや、天然乳化剤であるサポニン、ステロール、コール酸、デソキシコール酸、ユッカ抽出物などを挙げることができる。
さらに、本発明組成物には安定剤を添加することができる。本発明に用いることができる安定剤としては、例えば、アラビアガム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、ローカストビーンガムなどや、プロピレングリコール、グリセリンや、糖アルコール、例えば、マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、ソルビトール、マンニトールなどの多価アルコールを挙げることができる。これらの安定剤は、単独で、あるいは2種以上混合して添加することができる。
本発明組成物を得るための乳化方法には特に制限はなく、通常食品に用いられる均質乳化方法を用いることができるが、乳化安定性を高めるためには、コロイドミル、高圧ホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、ナノマイザー、超音波乳化機などの均質処理機を使用することが望ましい。
本発明の他の目的は、高度不飽和脂肪酸を含有し、かつ長期間保存しても魚臭や酸敗臭などの異臭味の発生が抑制された飲食品を提供することであり、各種飲食品の製造に際して、本発明の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を添加配合することによって達成される。本発明組成物を適用することができる飲食品とは、飲料および食品であって、その範囲は特に制限はなく、あらゆる種類の飲食品に適用することができる。飲料としては、例えば、スポーツ飲料、果汁飲料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン・ミネラル飲料などのほか、加工乳、豆乳および手術前または手術後などの栄養補給のための濃厚流動食などを挙げることができる。また、食品としては、例えば、パン、ビスケット、キャンディ、ゼリーなどのパン・菓子類、ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品、味噌などの調味料、豆腐、麺類などの加工食品、マーガリン、ファットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食品、粉末飲料、粉末スープなどの粉末食品などを挙げることができる。
【0008】
【実施例】
次に、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によってなんら限定されるものではない。
実施例1
50ミリリットル容丸底遠心沈殿管に、モノカプリル酸デカグリセリン[商品名:SYグリスターMCA−750、阪本薬品工業(株)製]4g、アスコルビン酸ナトリウム[商品名:L−アスコルビン酸ナトリウム、日本ロシュ(株)製]0.2gおよび水13.8gを入れ、完全に溶解させた。その溶解液に、EPA4重量%、DHA23重量%を含有する精製マグロ油[商品名:サンオメガDHA23、日本油脂(株)製]2gを入れ、プローブ型ソニケーター[型式:SONIFIER250、BRANSON SONIC POWER COMPANY製]を使用して、1分間乳化処理を行い、均質な高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
実施例2
3リットル容ステンレス製ビーカーに、モノラウリン酸デカグリセリン[商品名:SYグリスターML−750、阪本薬品工業(株)製]100g、アスコルビン酸ナトリウム100gおよび水360gを入れ、完全に溶解させた。その溶解液に、抽出トコフェロール[商品名:ビタミンEミックスD、エーザイ(株)製]10g、モノグリセリン脂肪酸エステル[商品名:エマルジーOL、理研ビタミン(株)製]30gおよびEPA18重量%、DHA12重量%を含有する精製イワシ油[商品名:サンオメガEPA18、日本油脂(株)製]1400gを混合した油相を徐々に混合・撹拌し、次いで、ホモジナイザー[型式:120L/H、三和機械(株)製]により均質化圧500kg/cm2、パス回数3回で均質化処理を行い、均質な高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
実施例3
1リットル容ステンレス製ビーカーにモノオレイン酸デカグリセリン[商品名:サンソフトQ−17S、太陽化学(株)製]15g、アスコルビン酸ナトリウム10g、カテキン[商品名:サンカテキンE、三井農林(株)製]0.25g、ソルビトール[商品名:ソルビトールC、日研化学(株)製]75gおよび水129.75gを入れ、完全に溶解させた。その溶解液に、モノグリセリン脂肪酸エステル10g、レシチン[サンレシチンW−1、太陽化学(株)製]5g、抽出トコフェロール5gおよびEPA5重量%、DHA27重量%を含有する精製マグロ油[商品名:サンオメガDHA27、日本油脂(株)製]250gを混合した油相を徐々に混合・撹拌し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1500kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、均質な高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
比較例A
実施例1において、モノカプリル酸デカグリセリンをモノカプリル酸ヘキサグリセリン[商品名:SYグリスターMCA−500、阪本薬品工業(株)製]に代えて、実施例1と全く同じ操作を繰り返し、高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
比較例B
実施例3において、モノオレイン酸デカグリセリンをペンタオレイン酸デカグリセリン[商品名:サンソフトQ−175S、太陽化学(株)製]に代えて、実施例3に全く同じ操作を繰り返し、高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
比較例1〜3
実施例1〜3において、アスコルビン酸ナトリウムを配合しないこと以外は、実施例1〜3と全く同じ操作を繰り返し、3種類の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
比較例4
実施例2において、モノラウリン酸デカグリセリンをショ糖脂肪酸ラウレート[商品名:リョートーシュガーエステルL−1695、三菱化成食品(株)製]に代えて、実施例2と全く同じ操作を繰り返し、高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を得た。
試験例1
実施例1〜3、比較例A、比較例B、および比較例1〜4で得られた高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を検体とし、各10名のパネラーにその臭いを評価させた。評価方法は、各検体10gを各30ミリリットル容ガラス瓶に採り、密閉状態において60℃で15日間保存し、10名のパネラーによって試験開始前、試験開始後5日目、10日目および15日目の臭いを官能検査により評価した。
次に示した臭いの評価基準によって各パネラーが示した評価点を合計し、その合計点をパネラーの人数で割り、その得点を第1表に示した。
[臭いの評価基準]
評価点 評価基準
1 魚臭がせず、飲食品に使用できる。
2 魚臭がほんの少しするが、飲食品に使用できる。
3 魚臭がして、飲食品に使用できない。
4 魚臭が強く不快で、飲食品に使用できない。
【0009】
【表1】
【0010】
実施例1〜3の本発明の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物は、60℃に15日置かれた後も、明らかに魚臭の発生が抑制され、飲食品として使用し得る品質を保っている。中でも、実施例3の組成物は、15日後も全く臭いの変化を生ずることなく、製造直後の品質を維持している。
ポリグリセリン脂肪酸エステルとして、モノカプリル酸ヘキサグリセリンを用いた比較例Aおよびペンタオレイン酸デカグリセリンを用いた比較例Bの高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物は、60℃で保存した場合、実施例1〜3の組成物よりも臭いの変化がやや大きいが、15日後も飲食品として使用できる水準には留まっている。
これに対して、アスコルビン酸ナトリウムを配合しない比較例1〜3の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物は、5日後にはすでにすべてが飲食品に使用できない状態となり、10日後にはすべてが魚臭が強く不快を感じる状態となった。ポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにショ糖ラウレートを使用した比較例4の組成物は、5日後には飲食品に使用しがたい状態となり、15日後には魚臭が強く不快を感じる状態となった。
実施例4
第2表に示した組成で各材料を配合し、撹拌して乳化させ、この乳化物をボテーターにより急冷練り合わせて、高度不飽和脂肪酸含有油脂入りマーガリンを得た。
【0011】
【表2】
【0012】
このマーガリンの製造直後および10℃で3カ月保存した後、10名のパネラーにより風味の評価を行ったところ、いずれも魚臭味もなく、おいしく食することができたとの評価であった。
比較例5
実施例4において、第2表の配合材料中、実施例2の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を比較例2の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物に代えた以外は、実施例4と同様にして、高度不飽和脂肪酸含有油脂入りマーガリンを得た。
このマーガリンの製造直後および10℃で3カ月保存した後、10名のパネラーにより風味の評価を行ったところ、製造直後はいずれもおいしく食することができたが、10℃で3カ月保存後は、いずれも魚臭味が強く、製品として使用することができないとの評価であった。
実施例5
第3表に示す組成の各材料で飲料を調製し、200ミリリットル容缶に充填密封し、85℃で30分間加熱殺菌し、高度不飽和脂肪酸含有油脂入りの缶入り飲料を得た。
【0013】
【表3】
【0014】
このようにして得られた缶入り飲料を、40℃で2カ月保存した後、10名のパネラーで試飲して風味を評価したところ、いずれも魚臭味はなく、おいしく飲むことができたとの評価であった。
比較例6
実施例5において、実施例3の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を比較例3の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物に代えた以外は、実施例5と同様にして高度不飽和脂肪酸含有油脂入りの缶入り飲料を得た。
この缶入り飲料を、実施例5と同様にして40℃で2カ月保存した後風味を評価したところ、いずれも魚臭味が強く、製品として使用することはできないとの評価であった。
実施例6
実施例3の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物0.1gを、無菌条件下でヨーグルト[商品名:明治ブルガリアヨーグルト、明治乳業(株)製]99.9gに入れて混合し、高度不飽和脂肪酸含有油脂入りヨーグルトを得た。
このようにして得られた高度不飽和脂肪酸含有油脂入りヨーグルトを、5℃で3週間保存した後、10名のパネラーで試食して風味を評価したところ、いずれも魚臭味はなく、おいしく食べることができたとの評価であった。
比較例7
実施例6において、実施例3の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を比較例3の高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物に代えた以外は、実施例6と同様にして高度不飽和脂肪酸含有油脂入りヨーグルトを得た。
この高度不飽和脂肪酸含有油脂入りヨーグルトについて、実施例6と同様にして5℃で3週間保存後の風味を評価したところ、油相が分離し、いずれも魚臭味が強く、製品として使用することはできないとの評価であった。
【0015】
【発明の効果】
高度不飽和脂肪酸は、動脈硬化性疾患に対する予防作用などの生体調節機能を有するものとして注目されているが、高度不飽和脂肪酸含有油脂は魚臭や酸敗臭などの異臭味が強く、そのままでは飲食品として多くを摂取することができない。
本発明組成物は、ポリグリセリン脂肪酸エステルの存在下でアルコルビン酸塩溶液中に高度不飽和脂肪酸含有油脂を乳化したものであり、魚臭や酸敗臭などの異臭味の発生が著しく抑えられ、これによってその摂取を容易にする。
また、各種飲食品の製造に際して、この高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物を添加混合することによって、高度不飽和脂肪酸含有油脂を配合していながら、長期間保存しても魚臭や酸敗臭などの異臭味の発生が抑制されたおいしい飲食品を提供することができる。
Claims (1)
- 数平均重合度10以上のポリグリセリンとカプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸およびリノール酸とのモノエステルの中から選ばれる少なくとも1種の化合物であるポリグリセリン脂肪酸エステルとアスコルビン酸塩と高度不飽和脂肪酸含有油脂とを有効成分とする高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33125594A JP3596059B2 (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP33125594A JP3596059B2 (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08154576A JPH08154576A (ja) | 1996-06-18 |
JP3596059B2 true JP3596059B2 (ja) | 2004-12-02 |
Family
ID=18241646
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP33125594A Expired - Fee Related JP3596059B2 (ja) | 1994-12-08 | 1994-12-08 | 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3596059B2 (ja) |
Families Citing this family (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3654471B2 (ja) * | 1996-09-10 | 2005-06-02 | 日本水産株式会社 | 生鮮魚肉食品 |
KR100678588B1 (ko) * | 2006-06-21 | 2007-02-06 | 주식회사 애니켐 | 아스코르브산을 포함하는 겔 형성 조성물 및 이로부터제조된 안정한 겔 |
WO2010101349A2 (ko) * | 2009-03-02 | 2010-09-10 | Shin Bong Seok | 오메가-3 지방산을 함유하는 제품을 생산하기 위하여 악취 및 시안아이드(-cn) 독성이 제거된 수용성 아마씨유 함유 사료첨가제 조성물 |
KR100920693B1 (ko) * | 2009-05-28 | 2009-10-07 | 신봉석 | 오메가-3 지방산을 함유하는 식품을 제조하기 위하여 악취 및 시안아이드(-cn) 독성이 제거된 수용성 아마씨유 함유 식품첨가제 조성물 |
WO2010137783A1 (ko) * | 2009-05-28 | 2010-12-02 | Shin Bong Seok | 오메가-3 지방산을 함유하는 식품을 제조하기 위하여 악취 및 시안아이드(-cn) 독성이 제거된 수용성 아마씨유 함유 식품첨가제 조성물 |
JP5693864B2 (ja) * | 2010-03-17 | 2015-04-01 | 太陽化学株式会社 | 油中水型食品 |
JP2012152121A (ja) * | 2011-01-25 | 2012-08-16 | Ogawa & Co Ltd | 飲食品用の油溶性物質乳化組成物およびそれを含有する飲食品 |
WO2013122122A1 (ja) * | 2012-02-15 | 2013-08-22 | 株式会社明治 | 乳飲料及びその製造方法 |
KR101948398B1 (ko) | 2013-10-08 | 2019-02-14 | 타이요 카가꾸 가부시키가이샤 | 다가 불포화 지방산 함유 유지 조성물 |
BR112016010688B1 (pt) | 2013-11-13 | 2021-09-08 | Fuji Oil Holdings Inc | Métodos para produzir uma gordura vegetal comestível contendo ácido graxo poliinsaturado, para suprimir a geração de ingredientes de aroma de um alimento e para produzir uma gordura contendo ácido graxo altamente poli-insaturado para a distribuição em uma forma de um líquido |
EP3162222A4 (en) * | 2014-06-24 | 2018-01-24 | Kao Corporation | Manufacturing method for liquid seasoning containing oil phase and water phase |
JP7473960B2 (ja) * | 2020-08-05 | 2024-04-24 | 横浜油脂工業株式会社 | 高度不飽和脂肪酸含有水溶性製剤 |
Family Cites Families (6)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0734713B2 (ja) * | 1986-03-17 | 1995-04-19 | 太陽化学株式会社 | 混濁液の製造法 |
JPH02111426A (ja) * | 1988-10-18 | 1990-04-24 | Nippon Oil & Fats Co Ltd | 可溶化組成物 |
JPH02268634A (ja) * | 1989-04-07 | 1990-11-02 | Kanegafuchi Chem Ind Co Ltd | ケーキ用の油中水型油脂組成物 |
JPH04141048A (ja) * | 1990-10-03 | 1992-05-14 | Meiji Milk Prod Co Ltd | 食用油脂組成物及びその製造方法 |
JP3338075B2 (ja) * | 1991-11-18 | 2002-10-28 | 雪印乳業株式会社 | 多価不飽和脂肪酸配合油脂の臭気抑制方法 |
JPH06298642A (ja) * | 1993-04-14 | 1994-10-25 | Japan Tobacco Inc | 高度不飽和脂肪酸含有o/w型乳剤及びその酸化防止方法 |
-
1994
- 1994-12-08 JP JP33125594A patent/JP3596059B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH08154576A (ja) | 1996-06-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP3414530B2 (ja) | 安定な乳化組成物及びそれを含有する食品 | |
JP3941073B2 (ja) | 油脂組成物及びそれを含む食品 | |
JP4044354B2 (ja) | 耐アルコール性、耐酸性、耐塩性を有する組成物および用途 | |
JP2004083874A (ja) | 水中油滴型乳化組成物 | |
JP3596059B2 (ja) | 高度不飽和脂肪酸含有油脂乳化組成物 | |
JP2008206526A (ja) | 長鎖高度不飽和脂肪酸及び/又はそのエステル体を含むコク味向上剤 | |
JP2019004877A (ja) | 乳化組成物及び飲料 | |
JP4910927B2 (ja) | アスタキサンチン含有乳化物、および製造方法 | |
JP6715930B2 (ja) | ゲル状食品組成物及びこれを用いた食品 | |
JP3562010B2 (ja) | 油脂含有水溶性組成物およびこれを含有する飲食品 | |
JP5312712B1 (ja) | 乳飲料及びその製造方法 | |
JP3534881B2 (ja) | 乳化組成物 | |
JP2006129841A (ja) | α−リポ酸含有水性組成物 | |
JPH06169735A (ja) | 栄養飲料組成物 | |
JP3528382B2 (ja) | 油脂可溶化組成物、その製造方法およびそれを含有する飲食品 | |
JP2009284859A (ja) | 飲食品の甘味増強剤および甘味増強方法 | |
US7232574B1 (en) | Long chain alcohols provided in edible oils | |
JP3554647B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP4670008B2 (ja) | 高級脂肪族化合物を含有する炊飯用添加剤 | |
JP2006056816A (ja) | 脂溶性ビタミン類含有プレ乳化物 | |
JP4019402B2 (ja) | 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 | |
JP2007063204A (ja) | ノコギリヤシエキス含有水性組成物 | |
JP3422338B2 (ja) | 高度不飽和脂肪酸含有粉末飲料 | |
JP2017209045A (ja) | 乳飲料 | |
JP2018038293A (ja) | 高度不飽和脂肪酸含有油脂の乳化組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20040510 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20040709 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20040709 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040817 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040830 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20070917 Year of fee payment: 3 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917 Year of fee payment: 4 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917 Year of fee payment: 4 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080917 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090917 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100917 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110917 Year of fee payment: 7 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120917 Year of fee payment: 8 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130917 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |