JP3528382B2 - 油脂可溶化組成物、その製造方法およびそれを含有する飲食品 - Google Patents

油脂可溶化組成物、その製造方法およびそれを含有する飲食品

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【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、油脂を水中に透明に可
溶化させることのできる油脂可溶化組成物、その製造方
法および該油脂可溶化組成物を含有する飲食品に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】飲食品、特に飲料では、油脂をその飲料
に添加配合する場合、様々な添加物を配合し熱殺菌処理
をするため、耐酸性、耐塩性、耐熱性に優れ、かつ、長
期間保存してもクリーミングを生じたり、油脂が分離す
ることなく、均一な乳化もしくは可溶化状態を保つこと
が望まれている。また、飲料やゼリー等の高い透明性を
望む飲食品に油脂を配合する場合、油脂が乳化するた
め、通常白濁し、見た目が悪くなる。このため、このよ
うな飲食品への油脂の添加量は制限される。このよう
に、油脂を透明に飲食品に配合し、耐酸性、耐塩性、耐
熱性ともに優れ、これらの条件下で、十分満足できる安
定な可溶化状態を保つことが望まれている。このような
飲食品を開発するために、これまでに種々の検討がなさ
れてきた。例えば、タンパク質および糖を含有する水相
に油脂を可溶化させる方法(特開昭56−144053
号公報)、ポリグリセリン不飽和脂肪酸エステルと糖類
または糖アルコールを用いて油溶性物質を水に可溶化す
る方法(特公平6−36862号公報)などが知られて
いる。しかしながら、前者は耐酸性、耐塩性条件下で、
安定な可溶化状態を保つことができなく、後者は脂肪酸
が不飽和脂肪酸であるため組成物の保存安定性が悪い。
両者ともに耐酸性、耐塩性、耐熱性ともに優れ、安定な
可溶化状態を保つ組成物として十分に満足し得るもので
はなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、長期
間保存してもクリーミングを生じたり、油脂が分離しな
いで均一な可溶化状態を保つことができ、かつ耐酸性、
耐塩性、耐熱性に優れた油脂可溶化組成物を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記問題
点を鑑み鋭意研究した結果、特定のポリグリセリン脂肪
酸モノエステルを用いて油脂を可溶化させれば、耐酸
性、耐塩性、耐熱性に優れた油脂可溶化物が得られ、該
組成物を配合した飲食品は、長期間保存しても、クリー
ミングを生じたり、油脂が分離しないで均一な可溶化状
態を保つことができることを見い出し、この知見に基づ
き本発明を完成するに至った。
【0005】すなわち、本発明は、平均重合度6〜10
のポリグリセリンと炭素数12〜14の飽和脂肪酸との
モノエステルから選ばれる少なくとも1種のポリグリセ
リン脂肪酸エステルを0.01〜50重量%、油脂を
0.3〜20重量%、を含有し、残余部が水および食添
加物からなることを特徴とする油脂可溶化組成物であ
り、またこの油脂可溶化組成物の製造方法であり、また
この油脂可溶化組成物を含有する飲食品である。すなわ
ち、本発明の第1は、(1)平均重合度6〜10のポリ
グリセリンと炭素数12〜14の飽和脂肪酸とのモノエ
ステルから選ばれる少なくとも1種のポリグリセリン脂
肪酸エステルを0.01〜50重量%、油脂を0.3
20重量%、を含有し、残余部が水および食添加物から
なることを特徴とする油脂可溶化組成物である。本発明
の第2は、平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭素
数12〜14の飽和脂肪酸のモノエステルから選ばれる
少なくとも1種のポリグリセリン脂肪酸エステルを0.
01〜50重量%、油脂を0.3〜20重量%、を含有
し、残余部が水および食品添加物である組成物を135
0kg/cm2以上の圧力で均質化処理を行うことを特
徴とする油脂可溶化組成物の製造方法である。本発明の
第3は、(3)前記(1)の油脂可溶化組成物を含有す
る飲食品である。本発明の第4は、(4)前記(2)の
製造方法で製造した油脂可溶化組成物を含有する飲食品
である。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に本発明を詳細に説明する。
本発明の油脂可溶化組成物は、水、ポリグリセリン脂肪
酸モノエステル、および油脂を含有する組成物であり、
油脂の粒子が微細に完全に分散し、透明に可溶化したも
のである。本発明において可溶化とは、系が均一で透明
性を有するものであり、分光光度計による測定で波長6
60nmにおける水に対する透過率が70%以上のもの
を示す。
【0007】本発明に用いる油脂は食用油である動物、
植物、または微生物を原料とする油脂のいずれも使用で
き、例えば、豚脂、牛脂、鶏油、鯨油、マグロ油、イワ
シ油、サバ油、サンマ油、カツオ油、ニシン油、肝油、
大豆油、綿実油、サフラワー油、米油、コーン油、ナタ
ネ油、パーム油、シソ油、エゴマ油、カカオ脂、落花生
油、ヤシ油、月見草油、ボラージ油などが挙げられる。
さらに、中鎖脂肪酸トリグリセリドなどの合成トリグリ
セリドも使用できる。これらは単独で、または適宜組み
合わせて用いることができる。本発明における油脂の配
合量は、0.05〜20重量%、好ましくは0.1〜1
0重量%、より好ましくは0.3〜5重量%となるよう
に配合するのが適当である。油脂の配合量が0.05重
量%より少ないと油脂の生理作用上の効果が期待でき
ず、20重量%より多いと安定な油脂可溶化組成物が得
られにくい。
【0008】本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸モノ
エステルは平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭素
数12〜14の飽和脂肪酸とのモノエステルの中から選
ばれる少なくとも1種のポリグリセリン脂肪酸モノエス
テルである。平均重合度が6より小さいと透明な油脂可
溶化組成物が得られにくく、10より大きいものは入手
困難である。ポリグリセリン脂肪酸エステルを構成する
脂肪酸は、飽和脂肪酸では前記以外の脂肪酸では透明な
油脂可溶化組成物は得られにくく、不飽和脂肪酸は保存
安定性で劣る。とくに好ましくは平均重合度6のポリグ
リセリンとミリスチン酸とのモノエステルである。ラウ
リン酸はミリスチン酸と比較すると、風味がやや劣る。
本発明に用いるポリグリセリン脂肪酸モノエステルは、
モノ脂肪酸エステルを70重量%以上含む混合エステル
であり、この製造の際に副生するジ脂肪酸エステル等の
不純物を含んでもかまわない。ポリグリセリン脂肪酸モ
ノエステルの配合量は、0.003〜50重量%、好ま
しくは0.005〜30重量%、より好ましくは0.0
1〜20重量%である。ポリグリセリン脂肪酸モノエス
テルの配合量が0.003重量%より少ないと安定な油
脂可溶化組成物が得られにくく、50重量%より多いと
油脂の含有量が少なくなるので好ましくない。
【0009】本発明で用いる水は、飲食品に配合できる
水であれば制限を受けない。水の配合量は、99.94
7〜30.0重量%である。
【0010】本発明で用いる食品添加物は、界面活性
剤、安定剤、調味料、酸および塩等などが挙げられる。
【0011】本発明では、ポリグリセリン脂肪酸モノエ
ステル以外に他の食品用界面活性剤を1種以上配合する
こともできる。他の食品用界面活性剤としては例えばソ
ルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、
プロピレングリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エ
ステル、レシチン、サポニン、コール酸、デオキシコー
ル酸、ユッカ抽出物などがある。
【0012】さらに、本発明の油脂可溶化組成物には食
品用の安定剤を添加することができる。この安定剤とし
ては、例えばアラビアガム、キサンタンガム、トラガン
トガム、グアガム、ジェランガム、ローカストビーンガ
ムなどのガム質やプロピレングリコール、グリセリン、
マルチトール、還元水あめ、ラクチトール、パラチニッ
ト、エリスリトール、ソルビトール、マンニトールなど
の多価アルコールが挙げられ、これらの1種以上を使用
することができる。
【0013】さらに、本発明の油脂可溶化組成物は、食
品および食品添加物に使用される酸および塩を配合する
ことができる。酸としては例えば、アジピン酸、アスコ
ルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コハク酸、酢酸、酒
石酸、炭酸、乳酸、フマル酸、リンゴ酸、リン酸などを
挙げることができる。塩としては例えば、アスコルビン
酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化ナ
トリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸三ナトリウ
ム、グルコン酸カルシウム、コハク酸一ナトリウム、コ
ハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒石酸水素カリ
ウム、酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウム、乳酸ナトリ
ウム、フマル酸一ナトリウム、リンゴ酸ナトリウム、リ
ン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸二水素
カリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウ
ム、リン酸二水素ナトリウムなどを挙げることができ
る。このようにして得られた油脂可溶化組成物は、長期
間保存しても、クリーミングを生じたり、油脂が分離す
ることなく、均一な可溶化状態を保つことができる。
【0014】本発明の油脂可溶化組成物の製造方法は、
次のようにして実施することができる。まず、ポリグリ
セリンモノ脂肪酸エステルを溶解した水相と油脂をプロ
ペラ式攪拌機やホモミキサーなどの攪拌機を用いてよく
混合し、さらに、超高圧ホモジナイザー、マイクロフル
イダイザー、ナノマイザーなどの均質化処理機により均
質化処理を行うことで、簡単に均一な液状としての油脂
可溶化組成物を得る。この均質化処理は可溶化の安定性
向上のため数回行ってもよい。とくに均質化圧が135
0kg/cm2以上でおこなうことが好ましく、このた
めにマイクロフルイダイザーを使用して均質化処理を行
なうことが好ましい。この場合は1回の工程で油脂可溶
化物を製造することができ、また得られた組成物の加熱
殺菌を軽減する事ができる。また、均質化処理は前記の
均質化処理機以外にも、超音波乳化機などの均質化処理
機を用いることができ、転相乳化法、液晶乳化法、D相
乳化法およびPIT乳化法においても行なえる。
【0015】本発明の油脂可溶化組成物は油脂を含有し
た飲食品であり、各種飲食品を製造する際に本発明の油
脂可溶化組成物を配合することができる。これらの飲食
品としては、例えば、加工乳、豆乳のほかミネラル、酸
味料、甘味料、アルコール、ビタミン、フレーバー、果
汁などを含む飲料、栄養補給のための濃厚流動食、パ
ン、ビスケット、キャンディ、ゼリーなどのパンや菓
子、ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品、味噌、ソー
ス、たれ、ドレッシングなどの調味料、マーガリン、フ
ァットスプレッド、ショートニングなどの油脂加工食
品、粉末飲料、粉末スープなどの粉末食品、カプセル
状、タブレット状、粉末状、顆粒状などにした健康食
品、豆腐、麺類などを挙げることができる。
【0016】
【発明の効果】本発明の油脂可溶化組成物は長期間保存
してもクリーミングを生じたり、油脂が分離することな
く、透明で均一な可溶化状態を保つことのできる油脂を
含有する組成物であり、耐酸性、耐塩性、耐熱性にも優
れ、食品および食品添加物に使用される酸および塩を配
合しても安定性を保つことができ、60〜100℃で殺
菌処理または必要に応じて100〜150℃の高温殺菌
または滅菌処理を行うことができ、この際の加熱に対し
ても安定であり、また長期間保存しても均一な可溶化状
態を保つことができる。そして、とくにマイクロフルイ
ダイザーを使用して均質化処理を行なって製造した油脂
可溶化組成物はとくに安定性に優れている。また、その
まま食品として摂取でき、さらに各種飲食品の製造に際
して本発明の油脂可溶化組成物を配合することにより油
脂を含有する飲食品を得ることができる。
【0017】
【実施例】次に、実施例および比較例により本発明をさ
らに詳細に説明する。 実施例1 500ml容ステンレス製ビーカーに、水282gおよ
びポリグリセリンモノ脂肪酸エステルとしてヘキサグリ
セリンモノミリステート[商品名:ヘキサグリセリンモ
ノミリステート 阪本薬品工業(株)製]15gをと
り、完全に溶解した。その溶解液にナタネ油3gを混合
し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−11
0E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧175
0kg/cm2、パス回数1回で室温で均質化処理を行
い、均質で透明な油脂可溶化組成物を得た。調製直後の
油脂可溶化組成物の水に対する透過率を分光光度計[型
式:UV−260、(株)島津製作所製]により波長6
60nmで測定した。油脂可溶化組成物は60℃で1ヵ
月保存しても透明な状態は変化しなかった。また、表2
に示す組成の各材料で飲料を調整し、100ml容ビン
に充填し、密封した。この飲料を95℃で15分間加熱
殺菌し、飲料を得た。このようにして得られた飲料を4
0℃で1ヵ月保存した後、官能評価により風味を評価し
た。官能評価は10名のパネラーから「風味良好であ
る」3点、「異味異臭がわずかにある」2点、「異味異
臭がある」1点の3段階で評価を得、平均点を算出し
た。表1にその結果を示した。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】実施例2〜4 実施例1に準じて、表1に示したポリグリセリンモノ脂
肪酸エステルを用いて油脂可溶化組成物を得た。それぞ
れに配合するポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの商品
名は、実施例2はデカグリセリンモノミリステート、実
施例3はSYグリスターML−500、および実施例4
はSYグリスターML−750(いずれも阪本薬品工業
(株)製)である。これらの油脂可溶化組成物を実施例
1と同様の方法で評価を行ない、その結果を表1に示し
た。
【0021】比較例1 500ml容ステンレス製ビーカーにポリグリセリンモ
ノ脂肪酸エステルとして、ヘキサグリセリンモノオレエ
ート[商品名:SYグリスターMO−500阪本薬品工
業(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を
繰り返して油脂含有組成物を得た。得られた油脂可溶化
組成物は60℃で1ヵ月保存しても透明な状態は変化し
なかった。また、得られた油脂可溶化組成物を実施例1
と同様の方法で評価を行ない、その結果を表1に示し
た。
【0022】比較例2 500ml容ステンレス製ビーカーにポリグリセリンモ
ノ脂肪酸エステルとして、ヘキサグリセリンモノカプリ
レート[商品名:SYグリスターMCA−500 阪本
薬品工業(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ
操作を繰り返して油脂含有組成物を得た。得られた油脂
含有組成物は白濁し、60℃に1ヶ月間保存するとクリ
ーミングを生じた。また、調製直後の各油脂含有組成物
の水に対する透過率を実施例1と同様の条件で測定し
た。表1にその結果を示した。
【0023】比較例3〜4 実施例1に準じて、表1に示したポリグリセリンモノ脂
肪酸エステルを用いて油脂可溶化組成物を得た。それぞ
れに配合するポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの商品
名は、比較例3はテトラグリセリンモノミリステート、
比較例4はSYグリスターMS−500(いずれも阪本
薬品工業(株)製)である。これらの油脂可溶化組成物
を比較例2と同様の方法で評価を行ない、その結果を表
1に示した。
【0024】比較例5 実施例1のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの代わり
にHLB値15のショ糖モノオレエート[商品名:リョ
ートーシュガーエステルO−1570 三菱化成食品
(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を繰
り返して油脂含有組成物を得た。調製した油脂含有組成
物は水、油脂および界面活性剤を攪拌により混合した時
点でゲル状になり、均質化処理を行うことができなかっ
た。
【0025】比較例6 実施例1のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの代わり
にHLB値16のショ糖モノラウレート[商品名:リョ
ートーシュガーエステルL−1695 三菱化成食品
(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を繰
り返して油脂含有組成物を得た。調製した油脂含有組成
物は白濁し、60℃に1ヶ月間保存するとクリーミング
を生じた。また、調製直後の油脂含有組成物の水に対す
る透過率を実施例1と同様の条件で測定した結果、16
%であった。
【0026】比較例7 実施例1のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルの代わり
に酵素処理レシチン[商品名:サンレシチンA 太陽化
学(株)製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を
繰り返して油脂含有組成物を得た。調整した油脂含有組
成物は白濁し、60℃に1ヶ月間保存するとクリーミン
グを生じた。また、調製直後の油脂含有組成物の水に対
する透過率を実施例1と同様の条件で測定した結果、1
%であった。
【0027】実施例5 500ml容ステンレス製ビーカーにポリグリセリンモ
ノ脂肪酸エステルとしてヘキサグリセリンモノラウレー
ト150gおよび70%グリセリン溶液90gを入れ、
完全に溶解した。その溶解液に大豆油60gを加えて攪
拌により混合し、次いで、マイクロフルイダイザーによ
り均質化圧1500kg/cm2、パス回数10回で室
温で均質化処理を行い、均質な油脂可溶化組成物を得
た。油脂可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ヶ月
間保存してもその状態は変化しなかった。
【0028】実施例6 実施例5の均質化圧1500kg/cm2を1250k
g/cm2にした以外は実施例5と全く同じ操作を繰り
返して油脂含有組成物を得た。油脂含有組成物は、60
℃に2週間保存しても透明性を有し、その状態は変化し
なかった。しかし、60℃に1ヶ月間保存すると白濁
し、クリーミングを生じた。
【0029】実施例7 500ml容ステンレス製ビーカーにポリグリセリンモ
ノ脂肪酸エステルとしてヘキサグリセリンモノミリステ
ート90gおよび70%ソルビトール溶液195gを入
れ、完全に溶解した。その溶解液に中鎖脂肪酸トリグリ
セリド[商品名:パナセート810、日本油脂(株)
製]15gを混合・攪拌し、次いで、マイクロフルイダ
イザーにより均質化圧1500kg/cm2、パス回数
3回で均質化処理を行い、均質な油脂可溶化組成物を得
た。表3に示す組成の各材料で飲料を調製し、100m
l容ビンに充填し、密封した。この飲料を95℃で15
分間加熱殺菌し、飲料を得た。
【0030】このようにして得られた飲料を40℃で2
ヶ月間保存した後、可溶化安定性を評価したところ、油
相の分離はまったく認められず、透明な可溶化状態であ
った。酸としてクエン酸およびアスコルビン酸を、塩と
して食塩、クエン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリ
ウム、リン酸カリウムおよびリン酸カルシウムを添加し
て得た油脂可溶化組成物は、90℃で15分間加熱殺菌
しても明らかに可溶化安定性が良好で、耐酸性、耐塩性
および耐熱性に優れており、飲料の原材料として使用で
きる。
【0031】比較例2〜7は安定化した可溶化組成物は
得られなかった。比較例1は可溶化したが風味が悪く食
品として不適当であったので安定化試験は行なわなかっ
た。
【0032】
【表3】
【0033】実施例8 実施例7のポリグリセリンモノ脂肪酸エステルを30
g、70%ソルビトール溶液を255gにした以外は実
施例7と全く同じ操作を行なって飲料を得た。
【0034】このようにして得られた飲料を40℃で1
ヶ月間保存したところ、油相の分離はまったく認められ
ず、透明な可溶化状態であった。2ヵ月間保存した後、
可溶化安定性を評価したところ、油相の分離が若干認め
られた。
【0035】実施例9 表4の組成で各材料を配合し、よく混合した後、100
ml容耐熱性容器に入れた。このゼリーを85℃で20
分間加熱殺菌し、ゼリーを得た。このようにして得られ
たゼリーを25℃で3ヶ月間保存したところ、油相の分
離はまったく認められず、透明な可溶化状態であった。
酸としてクエン酸を、塩としてクエン酸ナトリウムを添
加して得た油脂可溶化組成物は85℃で20分間加熱殺
菌しても外観はまったく変わらず、可溶化安定性が良好
であり、耐酸性、耐塩性および耐熱性に優れており、食
品の添加剤原料として使用できる。
【0036】
【表4】
【0037】比較例8 実施例9において、表4の配合材料中実施例1の油脂可
溶化組成物を比較例6の油脂可溶化組成物に変えた以外
は実施例9と同様にして、ゼリーを得た。このようにし
て得られたゼリーを25℃で3ヶ月間保存したところ、
油相の分離が認められ、可溶化状態は不安定であり、ゼ
リーの製品としての安定性が十分でなかった。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭
    素数12〜14の飽和脂肪酸のモノエステルから選ばれ
    る少なくとも1種のポリグリセリン脂肪酸エステルを
    0.01〜50重量%、油脂を0.3〜20重量%、を
    含有し、残余部が水および食品添加物からなることを特
    徴とする油脂可溶化組成物。
  2. 【請求項2】平均重合度6〜10のポリグリセリンと炭
    素数12〜14の飽和脂肪酸のモノエステルから選ばれ
    る少なくとも1種のポリグリセリン脂肪酸エステルを
    0.01〜50重量%、油脂を0.3〜20重量%、を
    含有し、残余部が水および食品添加物である組成物を1
    350kg/cm2以上の圧力で均質化処理を行うこと
    を特徴とする油脂可溶化組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の油脂可溶化組成物を含有す
    る飲食品。
  4. 【請求項4】請求項2記載の製造方法で製造した油脂可
    溶化組成物を含有する飲食品。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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