JP3554647B2 - 油脂組成物 - Google Patents
油脂組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3554647B2 JP3554647B2 JP05853997A JP5853997A JP3554647B2 JP 3554647 B2 JP3554647 B2 JP 3554647B2 JP 05853997 A JP05853997 A JP 05853997A JP 5853997 A JP5853997 A JP 5853997A JP 3554647 B2 JP3554647 B2 JP 3554647B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- oil
- fat
- acid
- composition
- fatty acid
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Confectionery (AREA)
- Edible Oils And Fats (AREA)
- Fats And Perfumes (AREA)
- Dairy Products (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は油脂組成物に関する。さらに詳しくは、ドコサヘキサエン酸(DHA) 含有油脂に代表される高度不飽和脂肪酸含有油脂に卵黄脂質を配合した風味のよい、酸化安定性に優れた油脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
高度不飽和脂肪酸は、いくつかの優れた生理作用を有することが知られている。高度不飽和脂肪酸の中でもドコサヘキサエン酸(DHA) は、必須脂肪酸の一つであり、幼児の脳・神経系の発達に寄与し、さらに記憶学習機能の向上、痴呆症などの改善、視力低下の防止、癌の抑制、抗血栓、抗アレルギー、血清コレステロール低下、脂肪肝の改善などの優れた生理作用を有する物質として報告されている。
【0003】
特に乳児の発育に必要であることが示唆されてから、特開昭64−80250号公報で開示されているようなドコサヘキサエン酸(DHA) をはじめとする高度不飽和脂肪酸を含有する油脂を添加した人工乳が市場に出ている。その他にも、近年ドコサヘキサエン酸(DHA) を多く含有する魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂が食品に添加されるようになった。
【0004】
しかし、魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂は、その独特の風味のため、食品に添加した場合にその食品の風味にいくらか悪影響を及ぼす。
【0005】
さらに、高度不飽和脂肪酸は、非常に酸化されやすく、空気中や水中に放置しただけでも容易に酸化される。これら高度不飽和脂肪酸が酸化されると異臭の発生、風味の悪化、変色、あるいは過酸化脂質など人体に有害な化合物の生成などの問題が生じる。
【0006】
特に、魚臭や、酸化臭などの発生による風味の劣化は、食品に魚油などを添加して高度不飽和脂肪酸強化食品を製造しようとする場合、重大な問題となる。
そのために、これら高度不飽和脂肪酸の臭いのマスキングや酸化防止には様々な手段が試みられている。
【0007】
まずマスキング剤としてハーブなどの香辛料、レモンなどの柑橘類、茶抽出物などが見い出されている。しかしながら、これらの素材は魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂に対して効果が持続する期間が短く、また油脂への溶解性などの点で油脂への添加量が制限される。
【0008】
一方、酸化防止の手段は、最も簡単な方法として密閉容器のデッドスペース部の空気を不活性ガスで置換する方法や、脱酸素剤と共に密閉容器に封入する方法が挙げられる。しかしながら、これらの方法では容器を開封すると同時に酸化が始まり、長期にわたって安定に保存することは不可能であった。また合成抗酸化剤の使用は、最近の風潮である健康指向にそぐわないものとして懸念されている。さらに天然抗酸化剤として知られているトコフェロールやアスコルビン酸は魚油のような高度不飽和脂肪酸を高濃度に含有する油脂類に対しては十分な抗酸化能が得られないばかりか、ある濃度以上使用すると逆に酸化を促進してしまうという欠点を有する。
【0009】
したがって、魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂を食品に添加するための、風味や保存安定性に優れ安全な天然由来の成分を配合した油脂組成物の開発が切望されている現状にある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は天然由来の安全な物質を配合することにより、風味が劣り且つ不安定な魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂を含んでいても、風味や保存安定性に優れた油脂組成物を提供することを目的とする。本発明の他の目的は、前記油脂組成物が添加されてなる食品を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、高度不飽和脂肪酸含有油脂に卵黄脂質を配合した場合、魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂に対して高い抗酸化効果を示し、さらに高度不飽和脂肪酸含有油脂の独特の風味を改善し、嗜好性をも高めることを見い出し、本発明を完成させるに至った。
【0012】
即ち、本発明の要旨は、
(1) 中性脂質とリン脂質を含む卵黄脂質であって、該リン脂質を約25〜約70重量%含有する卵黄脂質を高度不飽和脂肪酸含有油脂に配合したことを特徴とする油脂組成物(ただし、ω−3/ω−6の脂肪酸比率が3/97〜30/70である油脂組成物を除く)、
(2) 高度不飽和脂肪酸含有油脂が、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、γ−リノレン酸およびジホモγ−リノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸を構成成分とする油脂からなる前記(1)記載の油脂組成物、
(3) 卵黄脂質が油脂組成物中少なくとも25重量%以上配合されている前記(1)記載の油脂組成物、
(4) 前記(1)から前記(3)いずれか記載の油脂組成物が添加されてなることを特徴とする食品、
(5) 中性脂質とリン脂質を含む卵黄脂質であって、該リン脂質を約25〜約70重量%含有する卵黄脂質からなる、高度不飽和脂肪酸含有油脂の風味改善用組成物、
(6) 高度不飽和脂肪酸含有油脂が、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、γ−リノレン酸およびジホモγ−リノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸を構成成分とする油脂からなる前記(5)記載の組成物、ならびに
(7) 前記(5)または(6)記載の組成物の、高度不飽和脂肪酸含有油脂含有食品の風味改善のための使用、に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の油脂組成物は、高度不飽和脂肪酸含有油脂にリン脂質を約25〜約70重量%含有する卵黄脂質を配合したものである。
【0014】
本発明において高度不飽和脂肪酸含有油脂とは、特に限定するものではないが、例えば、魚油、エゴマ油、シソ油、アマニ油、月見草油などが挙げられ、好ましくは魚油である。また本発明において前記高度不飽和脂肪酸としては、例えば、炭素数が18以上で二重結合を3個以上を有する生理活性の高い脂肪酸等が挙げられ、これらの中では、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、γ−リノレン酸およびジホモγ−リノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸であることが好ましく、ドコサヘキサエン酸(DHA)およびイコサペンタエン酸であることがさらに好ましい。
【0015】
本発明において卵黄脂質とは、卵黄由来の脂質であれば特に限定するものではないが、例えば、鶏卵卵黄または全卵の生卵、液卵、冷凍卵、噴霧乾燥卵、卵黄粉末などから、エタノールなどの有機溶媒による抽出、超臨界流体による抽出、リパーゼやプロテアーゼなどの酵素処理、イオン交換カラムやケイ酸カラムによる分画など各種公知の方法(特公昭46−42186号公報、特公昭56−440号公報、特開昭61−74548号公報など)によって得られる脂質成分が挙げられ、好ましくは、リン脂質を約25〜約70重量%、さらに好ましくは約30〜約50重量%含有するものである。卵黄脂質中の各成分について好適例の一例を挙げると、例えば、トリグリセリド約66重量%、リン脂質約30重量%、コレステロール約4重量%であり、リン脂質中にホスファチジルコリン約75重量%、ホスファチジルエタノールアミン約20重量%を含むものが挙げられる。
【0016】
リン脂質の量は、前記の各種の方法により調製して増減させることができるが、約70重量%を超える高含量となると、反面、卵黄脂質中のトリグリセリドの量が大幅に減少し、風味の改善作用が劣ってくる。また、リン脂質の含有量が約25重量%より少ないと、抗酸化作用が充分でない。従って、風味の改善と抗酸化作用の観点から、リン脂質を前記の約25〜約70重量%に調整するのが好ましい。
【0017】
なお、前記リン脂質の含有量の測定は、アセトン不溶分として測定され、「第6版 食品添加物公定書解説書」(谷村顕雄 他著、1992年、廣川書店発行)のD−1246項に記載されたレシチン/純度試験(3)アセトン可溶物/注8の規定に準ずる方法で測定される。
【0018】
本発明においては、高度不飽和脂肪酸含有油脂にリン脂質を約25〜約70重量%含有する卵黄脂質を添加することにより、空気中での室温保存に不安定なドコサヘキサエン酸(DHA) などの高度不飽和脂肪酸を含む油脂の風味を改善することができるとともに、酸化による劣化を防止することができる。即ち、本発明の油脂組成物は、卵黄脂質中のトリグリセリド等の中性脂質により高度不飽和脂肪酸含有油脂の独特の風味を改善すると共に、卵黄脂質中のリン脂質により高度不飽和脂肪酸含有油脂の酸化による劣化を防止することにより保存期間中の酸化による品質劣化に伴う悪臭の発生を未然に防止し、本発明における卵黄脂質を配合した当初の改善された風味をそのまま長期間保持することができる。
【0019】
本発明の油脂組成物における高度不飽和脂肪酸含有油脂と卵黄脂質の配合割合は、特に限定するものではないが、卵黄脂質が油脂組成物中少なくとも25重量%以上、好ましくは40〜50重量%配合されていることが望ましい。
【0020】
高度不飽和脂肪酸含有油脂に卵黄脂質を配合する方法としては、例えば、回転式攪拌羽根のついた攪拌機等により、両者を均質に配合するのが好ましい。
【0021】
本発明の油脂組成物は、乳製品等の食品に添加することができる。即ち、本発明は本発明の油脂組成物が添加された食品を提供する。
【0022】
本発明において乳製品とは、特に限定するものではないが、例えば、牛乳(生乳、加工乳)、育児用調製粉乳、ヨーグルト、ドリンクヨーグルト、アイスクリーム、脱脂粉乳などが挙げられる。
【0023】
また、本発明の油脂組成物は乳製品のほか、特に限定するものではないが、例えば、清涼飲料水などの各種の飲料、粉末スープ、麺類、蒲鉾、ハム、ソーセージなどの加工食品、チョコレート、ビスケットなどの菓子類に高度不飽和脂肪酸含有油脂を添加する場合にも利用することができる。
【0024】
また、本発明の油脂組成物を乳製品または各種の飲料、加工食品、菓子類等の各種の食品に添加する場合は、油脂組成物を均質に混入させることが好ましい。本発明の油脂組成物を配合する量は、特に限定されるものではないが、0.1重量%以上であるのが好ましい。
【0025】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0026】
実施例1
卵黄粉末(太陽化学社製)200kgにエタノール2000リットルを加え、40℃で抽出して得た抽出液を濃縮操作によりエタノールを除去して卵黄脂質110kgを回収した。この卵黄脂質のアセトン不溶分(食品添加物公定書に記載されたレシチン分の規定に準ずる)を測定すると30重量%であった。さらにこの卵黄脂質を10mg/mlのクロロホルム溶液とし、クロマロッドS−III (ヤトロン製)上に1μlスポットした後、クロロホルム:メタノール:アンモニア水=65:25:4(体積比)を展開溶媒として45分間室温で展開した。展開したクロマロッドをイアトロスキャン(ヤトロン製)によって分析した結果、この卵黄脂質は30重量%のリン脂質、70重量%の中性脂質(トリグリセリド、コレステロール)から成るものであった。
上記の要領で得た卵黄脂質45kgとDHA含有精製魚油(マルハ製DHA−22)55kgとを配合し、羽根式攪拌機で30分間攪拌することにより均質化して本発明の油脂組成物▲1▼を調製した。
【0027】
実施例2
実施例1の要領で得た卵黄脂質100kgにアセトン100kgを加え、40℃で撹拌し、静置して得た沈殿物から減圧乾燥によりアセトンを除去して、卵黄脂質46kgを回収した。この卵黄脂質のリン脂質含量(アセトン不溶分)を測定すると65重量%であった。
上記の要領で得たリン脂質65重量%、中性脂質(トリグリセリド、コレステロール)35重量%の卵黄脂質45kgとDHA含有精製魚油(マルハ製DHA−22)55kgとを配合し、羽根式攪拌機で30分間攪拌することにより均質化して本発明の油脂組成物▲2▼を調製した。
【0028】
実施例3
表1のAに示す処方に従い、下記のような常法に従って育児用調製粉乳▲1▼を調製した。即ち、表1のAに示す処方に従い、脱脂粉乳、脱塩ホエイ粉末、ミネラル類、ビタミン類の溶解液を調製した。この溶解液を清浄化後、殺菌、濃縮した。ついで、この濃縮液に対して乳脂肪源として乳脂肪、置換脂肪、さらに油脂組成物▲1▼の所定量を殺菌して加えた。こうして調製した液を均質化後、噴霧乾燥して粉末状の育児用調製粉乳▲1▼を得た。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例4
表1のBに示す処方に従って、実施例3と同様にして育児用調製粉乳▲2▼を調製した。
【0031】
実施例5
市販の牛乳に油脂組成物▲1▼を0.1重量%(DHAとして12mg/100ml)添加し、ホモミキサーで撹拌(8000rpm、2分) した後、ホモジナイザー処理(150kg/cm2 )を行い、加熱殺菌してDHA入り牛乳▲1▼を調製した。
【0032】
実施例6
油脂組成物▲1▼の代わりに油脂組成物▲2▼を使用した以外は、実施例5と同様にして牛乳▲2▼を調製した。
【0033】
実施例7
市販のドリンクヨーグルトに油脂組成物▲1▼を0.1重量%(DHAとして12mg/100ml)添加し、ホモミキサーで撹拌(8000rpm、2分) した後、ホモジナイザー処理(150kg/cm2 を行い、加熱殺菌してDHA入りドリンクヨーグルト▲1▼を調製した。
【0034】
実施例8
油脂組成物▲1▼の代わりに油脂組成物▲2▼を使用した以外は、実施例7と同様にしてドリンクヨーグルト▲2▼を調製した。
【0035】
実施例9、10
表2のA、Bに示す処方で常法によりアイスクリーム▲1▼、▲2▼を調製した。
【0036】
【表2】
【0037】
比較例1
実施例1の要領で得た卵黄脂質150kgに、アセトン450kgを加えて40℃で撹拌し、静置して沈殿物を得た。さらにこの沈殿物にアセトン300kgを加えて40℃で撹拌、静置する工程を2回繰り返して得た沈殿物から減圧乾燥によりアセトンを除去して、卵黄レシチン46kgを回収した。この卵黄レシチンのリン脂質含量(アセトン不溶分)を測定すると96重量%であった。
上記の要領で得た卵黄レシチン45kgとDHA含有精製魚油(マルハ製DHA−22)55kgとを配合し、羽根式攪拌機で30分間攪拌することにより均質化して比較用油脂組成物▲1▼を調製した。
【0038】
比較例2
比較例1で卵黄レシチンを分画する際に得られたアセトン溶液から濃縮操作及び減圧乾燥によりアセトンを除去して脂質104kgを回収した。この脂質のアセトン不溶分を測定すると0重量%であった。実施例1と同様の方法でイアトロスキャン(ヤトロン製)によって分析した結果、この脂質は中性脂質(トリグリセリド、コレステロール)のみから成るものであった。
上記の要領で得た卵黄中性脂質45kgとDHA含有精製魚油(マルハ製DHA−22)55kgとを配合し、羽根式攪拌機で30分間攪拌することにより均質化して比較用油脂組成物▲2▼を調製した。
この比較用油脂組成物▲2▼は、酸化が進まないように調製後すぐに容器に入れヘッドスペースを窒素置換して密閉し冷凍保存しておき、解凍直後に以下の比較例4、6、8、10に用いた。
【0039】
比較例3、4
表1のC、Dに示す処方に従って、実施例3と同様にして比較用育児用調製粉乳▲1▼、▲2▼を調製した。
【0040】
比較例5、6
油脂組成物▲1▼の代わりに比較用油脂組成物▲1▼、▲2▼を使用した以外は、実施例5と同様にして比較用牛乳▲1▼、▲2▼を調製した。
【0041】
比較例7、8
油脂組成物▲1▼の代わりに比較用油脂組成物▲1▼、▲2▼を使用した以外は、実施例7と同様にして比較用ドリンクヨーグルト▲1▼、▲2▼を調製した。
【0042】
比較例9、10
表2のC、Dに示す処方で常法により比較用アイスクリーム▲1▼、▲2▼を調製した。
【0043】
試験例1
油脂組成物の抗酸化試験
油脂組成物▲1▼、▲2▼および比較用油脂組成物▲1▼、▲2▼とDHA含有魚油(マルハ製DHA−22)について、65℃の恒温槽中にて10日間保存試験を行い、経時的に過酸化物価を測定した。結果を図1に示す。過酸化物価は、「第6版 食品添加物公定書解説書」(谷村顕雄 他著、1992年、廣川書店発行)のD−1246項に記載されたレシチン/純度試験(4)過酸化物価に記載の方法により測定した。
図1より明らかなように油脂組成物▲1▼、▲2▼および比較用油脂組成物▲1▼のいずれも過酸化物価が抑えられており保存安定性に優れていたが、比較用油脂組成物▲2▼は酸化されやすかった。この結果から、抗酸化作用には、卵黄脂質中のリン脂質が関与していることが示唆される。
【0044】
試験例2
油脂組成物の官能試験
油脂組成物▲1▼、▲2▼および比較用油脂組成物▲1▼、▲2▼について、酸化が進まないように調製後すぐに容器に入れヘッドスペースを窒素置換して密閉し冷凍保存した試料を、解凍直後に10名のパネラーによる官能テストを行い、以下の評価基準に従って、官能評価した。結果を表3に示す。
また、油脂組成物の解凍後、容器に入れ40℃で24時間、空気中に開放した状態で放置した後に同様の官能評価を行った。結果を表3に示す。
【0045】
〔評価基準〕
非常に良い:魚油の味・臭いが全く感じられず、風味がよい。
良い:ほとんど魚油の味・臭いが感じられない。
やや悪い:やや魚油の味・臭いがする。
悪い:魚油の味・臭いが目立つ。
【0046】
【表3】
【0047】
表3より明らかなように油脂組成物▲1▼、▲2▼および比較用油脂組成物▲2▼は比較用油脂組成物▲1▼よりも解凍直後の評価では高い評価を示した。この結果から、卵黄脂質中の成分のうち、中性脂質はリン脂質よりも風味改善に寄与していることが考えられる。
また、24時間放置後の評価結果から明らかなように比較用油脂組成物▲2▼は油脂組成物▲1▼、▲2▼及び比較用油脂組成物▲1▼よりも低い評価を示した。この結果から、リン脂質を含有しない場合、24時間の放置中に酸化の進行を抑制できないため卵黄脂質中の中性脂質の風味改善効果は、酸化により失われるものと考えられる。
【0048】
試験例3
育児用調製粉乳の官能試験
育児用調製粉乳▲1▼、▲2▼および比較用育児用調製粉乳▲1▼、▲2▼を固形分濃度14重量%になるように調乳した。調乳液の温度を37℃に合わせて、10名のパネラーによる試飲テストを行い、以下の評価基準に従って、官能評価した。結果を表4に示す。尚、粉乳は、調製後調乳直前まで冷蔵保存し、調乳後速やかに官能評価した。
【0049】
〔評価基準〕
非常に良い:魚油の味・臭いが全く感じられず、風味がよい。
良い:ほとんど魚油の味・臭いが感じられない。
やや悪い:やや魚油の味・臭いがする。
悪い:魚油の味・臭いが目立つ。
【0050】
【表4】
【0051】
表4より明らかなように育児用調製粉乳▲1▼、▲2▼および比較用育児用調製粉乳▲2▼は比較用育児用調製粉乳▲1▼よりも高い評価を示した。
【0052】
試験例4
牛乳の官能試験
牛乳▲1▼、▲2▼および比較用牛乳▲1▼、▲2▼の温度を8℃に合わせて、10名のパネラーによる試飲テストを行い、以下の評価基準に従って、官能評価した。結果を表5に示す。尚、牛乳は調製後すぐ8℃に冷蔵し、24時間以内に官能評価した。
【0053】
〔評価基準〕
非常に良い:魚油の味・臭いが全く感じられず、風味がよい。
良い:ほとんど魚油の味・臭いが感じられない。
やや悪い:やや魚油の味・臭いがする。
悪い:魚油の味・臭いが目立つ。
【0054】
【表5】
【0055】
表5より明らかなように牛乳▲1▼、▲2▼および比較用牛乳▲2▼は比較用牛乳▲1▼よりも高い評価を示した。
【0056】
試験例5
ドリンクヨーグルトの官能試験
ドリンクヨーグルト▲1▼、▲2▼および比較用ドリンクヨーグルト▲1▼、▲2▼の温度を8℃に合わせて、10名のパネラーによる試飲テストを行い、以下の評価基準に従って、官能評価した。結果を表6に示す。尚、ヨーグルトは調製後すぐ8℃に冷蔵し、24時間以内に官能評価した。
【0057】
〔評価基準〕
非常に良い:魚油の味・臭いが全く感じられず、風味がよい。
良い:ほとんど魚油の味・臭いが感じられない。
やや悪い:やや魚油の味・臭いがする。
悪い:魚油の味・臭いが目立つ。
【0058】
【表6】
【0059】
表6より明らかなようにドリンクヨーグルト▲1▼、▲2▼および比較用ドリンクヨーグルト▲2▼は比較用ドリンクヨーグルト▲1▼よりも高い評価を示した。
【0060】
試験例6
アイスクリームの官能試験
アイスクリーム▲1▼、▲2▼および比較用アイスクリーム▲1▼、▲2▼について、10名のパネラーによる試食テストを行い、以下の評価基準に従って、官能評価した。結果を表7に示す。尚、アイスクリームは調製後すぐ−10℃以下に冷凍し、24時間以内に官能評価した。
【0061】
〔評価基準〕
非常に良い:魚油の味・臭いが全く感じられず、風味がよい。
良い:ほとんど魚油の味・臭いが感じられない。
やや悪い:やや魚油の味・臭いがする。
悪い:魚油の味・臭いが目立つ。
【0062】
【表7】
【0063】
表7より明らかなようにアイスクリーム▲1▼、▲2▼および比較用アイスクリーム▲2▼は比較用アイスクリーム▲1▼よりも高い評価を示した。
【0064】
【発明の効果】
従来、魚油などの高度不飽和脂肪酸含有油脂はその独特の風味のために食品に添加した場合に風味に悪影響を与える。また高度不飽和脂肪酸含有油脂は酸化しやすく、酸化によってさらに風味が悪くなる。本発明の油脂組成物は、天然由来の安全な成分である卵黄脂質を配合することによって、高度不飽和脂肪酸含有油脂に対して高い抗酸化効果を示すだけでなく、高度不飽和脂肪酸含有油脂の風味を向上させ、嗜好性をも高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、油脂組成物▲1▼、▲2▼および比較用油脂組成物▲1▼、▲2▼とDHA含有魚油(マルハ製DHA−22)について、経時的な過酸化物価を測定したグラフである。
Claims (7)
- 中性脂質とリン脂質を含む卵黄脂質であって、該リン脂質を約25〜約70重量%含有する卵黄脂質を高度不飽和脂肪酸含有油脂に配合したことを特徴とする油脂組成物(ただし、ω−3/ω−6の脂肪酸比率が3/97〜30/70である油脂組成物を除く)。
- 高度不飽和脂肪酸含有油脂が、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、γ−リノレン酸およびジホモγ−リノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸を構成成分とする油脂からなる請求項1記載の油脂組成物。
- 卵黄脂質が油脂組成物中少なくとも25重量%以上配合されている請求項1記載の油脂組成物。
- 請求項1から請求項3いずれか記載の油脂組成物が添加されてなることを特徴とする食品。
- 中性脂質とリン脂質を含む卵黄脂質であって、該リン脂質を約25〜約70重量%含有する卵黄脂質からなる、高度不飽和脂肪酸含有油脂の風味改善用組成物。
- 高度不飽和脂肪酸含有油脂が、ドコサヘキサエン酸、アラキドン酸、イコサペンタエン酸、γ−リノレン酸およびジホモγ−リノレン酸からなる群より選ばれる1種以上の脂肪酸を構成成分とする油脂からなる請求項5記載の組成物。
- 請求項5または6記載の組成物の、高度不飽和脂肪酸含有油脂含有食品の風味改善のための使用。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05853997A JP3554647B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 油脂組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP05853997A JP3554647B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 油脂組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH10237480A JPH10237480A (ja) | 1998-09-08 |
JP3554647B2 true JP3554647B2 (ja) | 2004-08-18 |
Family
ID=13087256
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP05853997A Expired - Fee Related JP3554647B2 (ja) | 1997-02-25 | 1997-02-25 | 油脂組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3554647B2 (ja) |
Families Citing this family (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100405919C (zh) | 2000-11-13 | 2008-07-30 | 日本水产株式会社 | 含有epa和/或dha的酸性乳 |
KR20010035040A (ko) * | 2000-11-23 | 2001-05-07 | 김근수 | 난황 지질이 배합된 유지 조성물(레시친 가공식품) 및 그지방 조성 |
US7799365B2 (en) * | 2001-04-06 | 2010-09-21 | Burnbrae Farms Limited | Liquid egg composition including fish oil with omega-3 fatty acid |
EP1411951B2 (en) | 2001-07-27 | 2010-11-10 | N.V. Nutricia | Enteral compositions for the prevention and/or treatment of sepsis |
JP5039291B2 (ja) * | 2004-12-14 | 2012-10-03 | 花王株式会社 | 油脂組成物 |
FR2880538B1 (fr) * | 2005-01-07 | 2008-12-26 | Polaris Soc Par Actions Simpli | Composition cosmetique et cosmeceutique a base d'huiles de poissons, de phospholipides d'origine marine avec ou sans huile de pepins de franboise |
NO20053129A (no) * | 2005-06-27 | 2006-09-11 | Uni Pharma Holding As | Anvendelse av fullerene C60 som stabilisator av oljer. |
JP6421252B2 (ja) * | 2015-11-30 | 2018-11-07 | キユーピー株式会社 | 油脂組成物及び油脂の酸化抑制方法 |
-
1997
- 1997-02-25 JP JP05853997A patent/JP3554647B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH10237480A (ja) | 1998-09-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US7824727B2 (en) | Method of making a liquid egg composition with fish oil | |
JP5025657B2 (ja) | 乳清タンパク質及び脂質を含む組成物、並びにそれらを調製する方法 | |
CA2694054C (en) | Omega-3 fatty acid fortified composition | |
US4857326A (en) | Stable nutritive and therapeutic flax seed compositions, methods of preparing the same, and therapeutic methods employing the same | |
JP4202130B2 (ja) | Epaおよび/またはdha含有酸性乳 | |
WO2003061395A1 (fr) | Aliments contenant des matieres grasses, enrichis en ubiquinol | |
PT1153548E (pt) | Produto alimentar contendo vitamina k | |
JP3941073B2 (ja) | 油脂組成物及びそれを含む食品 | |
AU2002245977A1 (en) | Liquid egg product | |
JP6715930B2 (ja) | ゲル状食品組成物及びこれを用いた食品 | |
JP3554647B2 (ja) | 油脂組成物 | |
JP5312712B1 (ja) | 乳飲料及びその製造方法 | |
JPH06169735A (ja) | 栄養飲料組成物 | |
JPH03297364A (ja) | 血栓防止用粉末組成物 | |
JP3247206B2 (ja) | ミルク組成物 | |
JP3302640B2 (ja) | クリ−ム及びその製造方法 | |
JP2021151197A (ja) | 生クリーム風味を付与する方法 | |
KR20010035040A (ko) | 난황 지질이 배합된 유지 조성물(레시친 가공식품) 및 그지방 조성 | |
KR20000029288A (ko) | 유지 조성물 | |
JP2006094801A (ja) | 無脂乳固形分含有水中油型乳化物 | |
JPH07274823A (ja) | 抗酸化性乳化物、それを含有した飲食物、およびその製造方法 | |
JPH0578692A (ja) | 高度不飽和脂肪酸含有組成物の製造方法 | |
JP2018085965A (ja) | 乳飲料 | |
RU2239326C2 (ru) | Способ приготовления сливочного масла |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20040224 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20040413 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20040510 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514 Year of fee payment: 6 |
|
S531 | Written request for registration of change of domicile |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514 Year of fee payment: 6 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100514 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130514 Year of fee payment: 9 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |