JP3478046B2 - バッター用油脂組成物及びこれを用いたフライ用バッター - Google Patents
バッター用油脂組成物及びこれを用いたフライ用バッターInfo
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Description
物及びこれを用いたフライ用バッターに関するものであ
る。
の食生活においては欠くことのできないものとなってい
る。この揚げ物の美味しさを決定付ける要因としては、
その揚げあがりの食感がカリカリとしていることが必要
とされている。
て、食材メーカーが具材を衣生地により成形し冷凍流通
により消費者に提供し、その成形品を消費者が揚げるだ
けで食することが出来るようになったり、さらに進歩し
た流通形態においては、食材メーカーがフライ処理まで
行った後に冷凍流通を行い、消費者はその揚げ物を電子
レンジで加熱調理するだけで食することが出来るように
なり、消費者におけるフライ、揚げ物調理の簡便さが追
求され、この簡便な調理においても揚げ物の持つカリカ
リ感を失わないことが望まれている。
は、衣生地調整温度、生地調整の仕方、フライ処理温度
等煩雑な条件が必要とされ、いわばこれらの条件設定が
調理人の技術とされている。しかしながら、先述したよ
うになるべく簡便にカリカリとした食感を持つ揚げ物が
できないかという要求は当然のごとくあり、これらの要
求に対して揚げ物の冷凍食品は鋭意改良されてきてい
る。
は、油脂と穀物微粉砕物をある特定の割合で混合した非
水系乳化分散物をバッター液へ添加することにより揚げ
たての食感や、冷凍解凍してもその食感がさっくりして
いることによる改良や、特開平4−365457には特
定のSFCをもつカカオ脂等の固形脂粉末を配合するこ
とによる改良がなされている。
や冷凍解凍後のカリカリ感維持に一定の効果があるもの
の、これらの技術を電子レンジ用揚げ物に利用した場合
には問題を生ずる。本発明者らは、電子レンジ用揚げ物
に適したバッター用油脂及びそれを用いたフライ用バッ
ターについて出願している(特願平7−254016)。これ
は10℃における固体脂含有量が15%〜35%であり、15℃
における固体脂含有量が0〜10%である食用油脂を例え
ばホモミキサーのような高速攪拌機を使用してバッター
に分散させることで、冷凍、弱解凍のサイクルにさらさ
れた後、電子レンジ等で加熱してもフライ品のカリカリ
感を維持できたものである。
ンジ用揚げ物に適したバッター用油脂をバッターに分散
させる際、例えばホモミキサーのような高速攪拌設備の
無い場合では油脂の分散が不十分のため、経時的に油脂
分がバッター液中において分離し、その結果バッター用
油脂によるフライ品のカリカリ感維持の効果が十分に発
揮されないという問題が生じやすい。
ようとする課題は、本発明者らが出願した電子レンジ用
揚げ物に適したバッター用油脂を、例えばホモミキサー
のような高速攪拌機を使用しない場合でも、バッター中
に十分に分散することにある。
術に記載した現状を鑑み、フライ用バッターへ添加する
特定の油脂物性を示す食用油脂及びこれを使用したバッ
ターについて引き続き研究した結果、例えばホモミキサ
ーのような高速攪拌設備を使用しなくてもバッター中に
均一に分散でき、経時的に油脂分がバッター液中におい
て分離することのないバッター用油脂組成物及びこれを
用いたフライ用バッターに到達することができた。
15%〜35%であり、15℃における固体脂含有量が0〜10
%である食用油脂100重量部に対し、グリセリン脂肪酸
モノエステル及びグリセリン有機酸脂肪酸モノエステル
のうち1種類以上を合計0.5〜5重量部を配合して成るバ
ッター用油脂組成物であり、その食用油脂が、沃素価10
0以上の植物油を沃素価90以下に硬化して得られた油
脂、又はパーム油スーパーオレインであるバッター用油
脂組成物、さらに、該油脂組成物を含むことを特徴とす
るフライ用バッターである。
体脂含有量が15〜35%、好ましくは20〜35%、15℃にお
ける固体脂含有量が、0〜10%、好ましくは5〜10%であ
ることが必要である。これらの各温度における固体脂含
有量が規定されたものより低くなれば、冷凍、弱解凍サ
イクルにさらされた後に揚げ物冷凍食品をレンジアップ
した場合には十分なカリカリ感が得られなくなる。反対
に各温度における固体脂含有量が規定されたものより高
くなっても同様に冷凍、弱解凍サイクルにさらされた後
における揚げ物冷凍食品のカリカリ感の維持ができなく
なる。
析(DSC)法により得られる数値であり、完全に固化し
た油脂サンプルを一定の加熱速度で加熱した場合に発生
する吸熱量を測定し、油脂サンプルが完全に融解するま
でに吸熱した熱量の総計と、任意の温度までに吸熱した
量の比で計算される。式で表すと以下のようになる。固
体脂含有量(%)=(加熱開始温度から任意の温度までの
吸熱量/吸熱量の総計)×100
ることのできる油脂であれば特に限定されることはな
く、例えば、菜種油、大豆油、ヒマワリ油、綿実油、落
花生油、米油、トウモロコシ油、サフラワー油、オリー
ブ油、カポック油、ゴマ油、月見草油、パーム油、シア
油、サル脂、イリッペ脂、ボルネオタロー脂、カカオ
脂、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂ならびに乳脂、牛
脂、豚脂、魚油、鯨油等の動物性油脂が例示でき、原料
に応じて硬化、分別、エステル交換等をすることができ
る。
以下に水素添加(硬化)したもの、パーム油のような半
液体油はパームオレインを再分別して得るパーム油スー
パーオレインが適当である。
エステルはグリセリンと脂肪酸のエステルであり、市販
されている、構成脂肪酸の炭素数が12〜24の飽和脂肪酸
から成るものが好適で、一般に未蒸留モノグリセライド
(反応モノグリセライド)、蒸留モノグリセライド、自
己乳化型モノグリセライドと呼ばれているもののことで
ある。
酸モノエステルはグリセリン脂肪酸モノエステルの3位
の及び/又は2位の水酸基を有機酸でエステル化したも
のである。グリセリン有機酸脂肪酸モノエステルを構成
する脂肪酸の炭素数は12〜24の飽和脂肪酸から成るもの
が好適である。また有機酸としては酢酸、プロピオン
酸、酪酸等の低級脂肪酸で構成される脂肪族モノカルボ
ン酸、シュウ酸、コハク酸等の脂肪族飽和ジカルボン
酸、マレイン酸、フマル酸等の脂肪族不飽和ジカルボン
酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、クエ
ン酸等のオキシ酸、及びグリシン、アスパラギン酸等の
アミノ酸が例示される。
エステル及び/又はグリセリン有機酸脂肪酸モノエステ
ルは、バッター用油脂のバッター中への分散目的で使用
され、前記食用油脂100重量部に対し1種類以上を合
計、通常0.1〜5重量部、好ましくは0.5〜3重量部使用す
る。0.1重量部未満であると高速撹拌機を使用しない場
合にバッターへの十分な分散効果が得られず、これによ
って調製したフライ食品が冷凍、弱解凍のサイクルにさ
らされた場合の食感が劣化する。また、5重量部を超え
ても分散効果はそれ以上に向上しない。
用油脂からなる食用油脂組成物が何故、冷凍、弱解凍に
おいて優れた食感の保持に寄与するのかは不明だが、バ
ッター配合作業の行われる約10℃未満の温度域において
本発明油脂組成物が極めて良好な可塑性を示すことによ
り、生地中への分散が良好になり、澱粉のゲル化や小麦
粉グルテンネットワーク形成の防止を行い、冷凍、弱解
凍における水分の移行も防止しているためと推定され
る。加えて、本発明に用いる乳化剤の乳化、起泡効果に
より、低速の攪拌でバッターを作成した場合でも、本発
明油脂組成物は生地中へ均一に分散し、優れた食感の保
持を示すと推定される。
組成物を含むフライ用バッターについて説明する。本発
明のバッターは、公知のフライ用バッター原料を含むも
のであれば特に限定するものではなく、例えば、通常、
小麦粉、澱粉、大豆たん白の1種又は2種以上とバッター
用油脂組成物を含むことができる。バッター用油脂組成
物の添加量は特定するものではないが、通常バッター乾
燥固形分中10〜65重量%程度とすることができる。
脂組成物と大豆たん白を併用することにより前述した揚
げ物冷凍食品のレンジアップ後のカリカリ感はいっそう
増強される効果がある。ここに、大豆たん白は特に限定
するものではなく、市販分離大豆たん白等の公知の大豆
たん白を利用することができる。
を利用することができ、本発明のバッター用油脂組成物
の利用形態も特に規定されるものではない。例えば、冷
水に大豆たん白を分散後、攪拌し、本発明のバッター用
油脂組成物を添加してケンウッドミキサー(商品名)の
ような低速撹拌機にて再度攪拌し、市販のバッターミッ
クス粉を添加して、バッターを調整することもできる。
る。 実施例1から5 (油脂の製造)菜種油(沃素価117)をニッケル触媒を
用いて常法により硬化し硬化菜種油Aを得た。さらにパ
ーム油(沃素価56)を乾式分別した後、低融点側を回収
し、ヘキサンを用いて溶剤分別を行い、低融点パーム油
A及び低融点パーム油Bを得た。これらのDSCによる
固体脂含有量ならびに沃素価、上昇融点は以下の表のよ
うであった。
原料とし、グリセリンモノステアレート、グリセリンコ
ハク酸モノステアレートを溶解し、表2に示すバッター
用油脂組成物A〜Gを作成した。
成物を用いて、以下の配合により、市販バッターミック
ス(日清DCA(株)販)に分離大豆たん白(不二製油
(株)製「フジプロE」)を混合し冷水に溶かし、上記
油脂組成物を添加、ケンウッドミキサーを使用し、低速
攪拌にて乳化してバッターを作成した。
一部をガラスビーカーに取り、5℃に放置し、経時的な
性状の変化を観察した。いずれの配合においても作成し
たバッターは、3時間以上経過しても、良好な乳化状態
を保っていた。
ポテトを3倍重量の熱水で戻したものに、予め用意した
表4に示す具材を炒めたものを混合して作成した。
は、この中種を1個20gに成形し、1個につきバッター10
g、パン粉10gをつけ、大豆白絞油中で180℃、3分間フラ
イしたものを、-60℃で1時間ショックフリーザー(急速
冷凍機)にかけて凍結し、-18℃にて16時間保存後20℃
において2時間放置して-18℃に戻す温度変化を1サイク
ルとして、3サイクル後のものを電子レンジにて解凍加
熱したものを試食して評価した。
より行い、カリカリ感について10点満点で評価した。平
均値を評点とし、8点以上のものが十分なカリカリ感を
有するものとし、8点未満については不十分であると判
断した。
用油脂組成物を使用した揚げ物は、冷凍、弱解凍のよう
な厳しい温度条件下においても、レンジアップ(電子レ
ンジによる加熱調理)後もカリカリ感を失うことはな
く、優れた食感を有していることが分かる。
で実施例と同様にしてバッターを作成し、性状を観察し
た。また実施例と同様にして中種にバッター、パン粉を
付けて、フライし、同じくサイクルテストをかけた後、
官能評価を行った。
3のバッターは、油脂がバッター中に十分に分散してお
らず、経時的に油脂が分離してしまった。
ウッドミキサーのような低速攪拌で作成する場合には、
油脂単独で使用するとフライ食品の冷凍、弱解凍のサイ
クルにさらされた後の電子レンジ加熱調理後のカリカリ
感の食感の維持ができないことが分かった。
うな高速攪拌設備を使用しなくてもバッター中に均一に
分散でき、揚げ物冷凍食品を冷凍・弱解凍のサイクルに
さらされた後に電子レンジ加熱してもカリカリ感を維持
できるバッター用油脂組成物が可能になったものであ
る。これにより、家庭における調理の手間を省き、しか
も冷凍流通、保管条件下においてもカリカリ感の維持と
いう揚げ物の不可欠な食感の維持をすることができ、簡
単でかつ美味しい揚げ物冷凍食品を、高速攪拌機設備の
必要なしに供給することが可能となったものである。
Claims (3)
- 【請求項1】10℃における固体脂含有量が15%〜3
5%であり、15℃における固体脂含有量が0〜10%
である食用油脂100重量部に対し、グリセリン脂肪酸
モノエステル及びグリセリン有機酸脂肪酸モノエステル
のうち1種類以上を合計0.1〜5重量部を配合して成
るバッター用油脂組成物。 - 【請求項2】食用油脂が、沃素価100以上の植物油を
沃素価90以下に硬化して得られた油脂、又はパーム油
スーパーオレインである請求項1記載のバッター用油脂
組成物。 - 【請求項3】10℃における固体脂含有量が15%〜3
5%であり、15℃における固体脂含有量が0〜10%
である食用油脂100重量部に対し、グリセリン脂肪酸
モノエステル及びグリセリン有機酸脂肪酸モノエステル
のうち1種類以上を合計0.1〜5重量部を配合して成
るバッター用油脂組成物を含むことを特徴とするフライ
用バッター。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP07989997A JP3478046B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | バッター用油脂組成物及びこれを用いたフライ用バッター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP07989997A JP3478046B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | バッター用油脂組成物及びこれを用いたフライ用バッター |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH10271951A JPH10271951A (ja) | 1998-10-13 |
JP3478046B2 true JP3478046B2 (ja) | 2003-12-10 |
Family
ID=13703137
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP07989997A Expired - Lifetime JP3478046B2 (ja) | 1997-03-31 | 1997-03-31 | バッター用油脂組成物及びこれを用いたフライ用バッター |
Country Status (1)
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JP4357288B2 (ja) * | 2003-12-24 | 2009-11-04 | 理研ビタミン株式会社 | 油脂加工澱粉の製造方法 |
JP5926647B2 (ja) * | 2006-09-28 | 2016-05-25 | 全国酪農業協同組合連合会 | 代用乳及びその製造方法 |
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-
1997
- 1997-03-31 JP JP07989997A patent/JP3478046B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
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