JP2019156901A - 発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体の製造方法 - Google Patents

発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】フェニルアセチレンを30ppm以上含有しているスチレン系単量体を使用した発泡性スチレン系樹脂粒子から製造された発泡成形体からの不快臭が低減されており、発泡成形体の表面が美麗である発泡性スチレン系粒子の製造方法を提供する。【解決手段】フェニルアセチレンを30ppm以上含有しているスチレン系単量体90重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%以下(スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量部である)に対して、過酸化ベンゾイル0.01重量部以上0.3重量部以下、所定の化合物0.01重量部以上0.3重量部以下を、重合開始剤として添加して重合させる重合工程と、重合転化率が80%以上97%以下に達した時点で、所定の発泡剤を、含浸温度117℃以上122℃以下、含浸時間2時間以上6時間以下で含浸させる発泡剤含浸工程と、を含み、発泡性スチレン系樹脂粒子は、残存スチレン量が300ppm以下であり、発泡性スチレン系樹脂粒子を60倍に発泡させた予備発泡粒子の切断面の気泡の平均弦長が70〜130μmであることを特長とする、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、フェニルアセチレンを30ppm以上含有しているスチレン系単量体を使用した発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子及び発泡成形体の製造方法に関する。
発泡性スチレン系樹脂粒子は、比較的安価で、特殊な方法を用いずに蒸気等で発泡成形ができ、高い緩衝・断熱の効果が得られる為、社会的に有用な材料である。発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる発泡成形体は、魚介や果物等々の生鮮食品の容器として、一般的に広く利用されている。
ところで、発泡性スチレン系樹脂粒子の主原料であるスチレンの製造過程で副産物として生成されるフェニルアセチレンは、重合阻害物質として働くことが知られている。このため、フェニルアセチレン含有量の多いスチレン系単量体を用いて発泡性スチレン系樹脂粒子を製造すると、発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量が多くなる傾向にある。
現状では、発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量を低減させるために、低濃度フェニルアセチレン量である高コストのスチレン系単量体を使用したり、フェニルアセチレンを多く含有するスチレン系単量体を用いる場合は、重合時間を延長させたりしているが、生産サイクルが長くなっているのが実情である。
また、残存スチレン量を低減する方法として、特許文献4では、フェニルアセチレンを30ppm以上含有するスチレン系単量体を用いた発泡性スチレン系樹脂粒子の製造において、開始剤として、カーボネート構造を有するt−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネートを用いることが開示されている。
一方、発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量が減少すると、スチレン系樹脂への可塑能力が少なくなり、発泡性が減少し、成形性が劣ることが知られている。発泡性スチレン系樹脂粒子の発泡性向上には、可塑剤の添加あるいは、揮発性の溶剤(シクロヘキサンなど)を使用する方法や、特許文献1、特許文献2、特許文献3のように、スチレン系単量体とガラス転移温度が低いアクリル酸エステルとの共重合体にした発泡性スチレン系樹脂粒子を開示している。さらに、特許文献5では、フェニルアセチレンを50ppm以上含有するスチレン系単量体を用いたスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の共重合体の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造において、開始剤として、過酸化ベンゾイル、1,1-ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネートを併用することが開示されている。
特開2016−23305号公報 特開2015−199835号公報 特開2016−130282号公報 特開2015−140370号公報 特開2017−95621号公報
ところで、発泡成形体容器のふたを開けたときに、不快臭がするといったことがあり、不快臭がしない発泡成形体が求められている。
本発明の課題は、発泡成形体からの不快臭が低減し、発泡成形体の表面が美麗である発泡性スチレン系粒子の製造方法を提供することにある。
一般的に、発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量が減少すると、スチレン系樹脂への可塑能力が少なくなり、発泡性が減少し、成形性が劣るという問題がある。特許文献1〜3では、スチレン系単量体とガラス転移温度が低いアクリル酸エステルとの共重合体にした発泡性スチレン系樹脂粒子が開示されているが、発泡成形体から逸散される不快臭を抑制する観点が示されておらず、かつ実現できていない。
また、発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量を低減する方法として、特許文献4には、フェニルアセチレンを30ppm以上含有するスチレン系単量体を用いた発泡性スチレン系樹脂粒子の製造において、開始剤として、カーボネート構造を有するt−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネートを用いることが開示されている。しかしながら、特許文献4に記載の方法では、残存スチレン量の低減と外観性とを両立させる観点、及び発泡成形体から逸散される不快臭を抑制する観点が示されておらず、得られる発泡成形体の表面伸びが悪いため、外観性に改善の余地がある。
さらに、特許文献5では、フェニルアセチレンを50ppm以上含有するスチレン系単量体を用いたスチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の共重合体の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造において、開始剤として、過酸化ベンゾイル、1,1-ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルへキシルカーボネートを併用することが開示されているが、発泡成形体から逸散される不快臭抑制の観点は示されておらず、かつ不快臭の抑制には改善の余地がある。
本発明者らは、ダイナミックヘッドスペース−スニッフィングGC/MS法により、特定したところ、発泡成形体から逸散される不快臭原因物質が、発泡性スチレン系樹脂粒子中に残存しているスチレンであることを突き止めた。そして、本発明者らは、上述した課題を解決すべく検討し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は、以下のとおりである。
[1] フェニルアセチレン量が30ppm以上含有しているスチレン系単量体90重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%以下(スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量部である)に対して、ベンゾイルパーオキサイド0.01重量部以上0.3重量部以下、一般式(1)に示される化合物0.01重量部以上0.3重量部以下を、重合開始剤として重合させてなり、重合転化率が80%以上97%以下に達した時点で、発泡剤としてプロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタンおよびネオペンタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を、含浸温度117℃以上122℃以下、含浸時間2時間以上6時間以下で、含浸させることにより得られる、残存スチレン系単量体量が300ppm以下である発泡性スチレン系樹脂粒子であって、60倍の予備発泡粒子の切断面の気泡の平均弦長が70〜130μmであることを特徴とする発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法
Figure 2019156901
[2] 一般式(1)のR1構造がメチル基あるいはエチル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基、イソプロピル基であることを特徴とする[1]に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[3] 発泡性スチレン系樹脂粒子のゲルパーミェーションクロマトグラフィー測定から得られる重量平均分子量(Mw)が22万以上35万以下であることを特徴とする、[1]〜 [2]のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[4] アクリル酸エステル系単量体がアクリル酸ブチルであることを特徴とする、[1]〜 [3]のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
[5][1]〜[4]のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法において、発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させる工程を含む、予備発泡粒子の製造方法。
[6][5]に記載の予備発泡粒子の製造方法において、予備発泡粒子を型内成形する工程を含む、発泡成形体の製造方法。
本発明により、フェニルアセチレン量を30ppm以上含有しているスチレン系単量体を使用しても、残存スチレン量が低減された発泡性スチレン系樹脂粒子が製造され、発泡成形体から逸散する不快臭を低減し、更に表面が美麗である発泡成形体を得ることができる。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を構成する基材樹脂は、フェニルアセチレン量を30ppm以上含有しているスチレン系単量体90重量%以上99重量%以下と、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%以下とを重合したものである。
本発明に用いるスチレン系単量体としては、フェニルアセチレンを30ppm以上含有するスチレン(以下スチレン単量体という場合がある)、及び、α―メチルスチレン、パラメチルスチレン、t−ブチルスチレン、クロルスチレンなどのスチレン系誘導体が挙げられる。これらスチレン系単量体は、スチレン単量体単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して用いる場合、スチレン系単量体の主成分(例えば、50質量%以上)は、スチレンであることが好ましい。
スチレン単量体中に含有するフェニルアセチレンは、スチレンの製造過程で副生産物として生成し、重合阻害物質として働くため、スチレン系単量体中のフェニルアセチレン量が増加すると、最終製品の発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量が高くなる。一方、フェニルアセチレン含有量が30ppm未満のスチレン系単量体を用いて発泡性スチレン系樹脂粒子を製造すると、最終製品の発泡性スチレン系樹脂粒子の残存スチレン量は少なくなるが、スチレンの製造過程においてフェニルアセチレンを除去する工程が必要となり、スチレン系単量体自体のコストが高くなる。なお、汎用スチレンと呼ばれるスチレン系単量体中のフェニルアセチレン量は、50〜400ppmである。
本発明に用いるアクリル酸エステル系単量体としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸ブチル、などのアクリル酸アルキルエステルが挙げられる。これらアクリル酸エステル系単量体は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
これらのうちでも、スチレン系単量体と共重合し易く、成形性が良い点から、アクリル酸ブチルが好ましい。
本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子を構成する基材樹脂の単量体組成は、スチレン系単量体90重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%以下(スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量部)であり、より好ましくは、スチレン系単量体94重量%以上97重量%以下、アクリル酸エステル3重量%以上6重量%以下である。
基材樹脂における単量体組成において、アクリル酸エステル系単量体が10重量%以上となると、特に高発泡化させた際に、成形体の収縮が起こりやすくなり、成形体の外観の見栄えが悪化する傾向がある。また、アクリル酸エステル系単量体が1重量%未満となると、低温での発泡が困難となり、目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得る為に必要な加熱温度や融着性に優れる成形体を得るのに必要な成形温度が高くなる傾向がある。
本発明で使用される重合開始剤は、スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の合計量100重量部に対して、過酸化ベンゾイル0.01重量部以上0.3重量部以下、一般式(1)に示される化合物0.01重量部以上0.3重量部以下である。
Figure 2019156901
本発明では、主にスチレン系樹脂粒子を形成するための開始剤として、過酸化ベンゾイルが作用し、残存スチレン量を低下させるための開始剤として、一般式(1)に示される化合物が作用する傾向にある。発泡性スチレン系樹脂粒子の分子量は、これらの開始剤の仕込量によって適宜決められる。
本発明で使用する一般式(1)で示される化合物は、R1はアルキル基、R2は分岐鎖又は直鎖のアルキル基構造をもつものであり、特に好ましくは、一般式(1)の化合物の中で、R1構造がメチル基あるいはエチル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基、あるいは、イソプロピル基である。一般式(1)で示される化合物において、R1構造がメチル基あるいはエチル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基、あるいは、イソプロピル基である化合物を用いると、最終製品である発泡性スチレン系樹脂粒子の残存スチレン量を低減することができる。また、一般式(1)で示される化合物においてR1構造がメチル基あるいはエチル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基、あるいは、イソプロピル基である場合には、10時間半減期温度が96℃以上110℃以下である化合物を用いると、最終製品である発泡性スチレン系樹脂粒子の残存スチレン量をさらに低減することができるため、好ましい。例えば、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(10時間半減期温度99℃)、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート(98.5℃)などが挙げられる。
過酸化ベンゾイルの使用量が0.1重量部未満であると、得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の分子量が高くなる傾向があり、型内発泡成形で得られる発泡成形体の表面伸びが悪化し外観を損ない、0.3重量部を超えると、分子量が低くなる傾向があり、型内発泡成形時のサイクルが長くなる傾向がある。
前記一般式(1)に示す化合物の使用量が、0.01重量部未満では、発泡性スチレン系樹脂粒子の残存スチレン量が高くなり、0.3重量部を超えると、樹脂の分子量が低下する傾向があり、目標の分子量調節が難しくなり、得られた発泡成形体の強度を低下してしまう。
本発明の発泡性スチレン系粒子中に含有される残存スチレン量は、300ppm以下であることが好ましく、更に好ましくは、200ppm以下である。残存スチレン成分は、予備発泡、型内発泡成形して得られる発泡成形体から揮発する傾向があり、特に含有される残存スチレン量が300ppmを超えると、発泡成形体から逸散されるスチレンが、不快臭の原因となり、好ましくない。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法では、スチレン系樹脂粒子の重合反応を進め、重合転化率が80%以上96%以下に達した時点で、発泡剤をスチレン系樹脂粒子へ含浸させる。重合転化率が80%未満で発泡剤を添加した場合、スチレン系樹脂粒子の軟化が促進され、重合系が不安定となったり、発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させた予備発泡粒子のセル構造が変わり、発泡性が異なったりすることがある。一方、重合転化率が96%を超えると、重合時間が長くなり生産性が低下する。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法では、発泡剤としてプロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタンおよびネオペンタン等の脂肪族炭化水素が挙げられ、これら発泡剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。これら発泡剤のうちでも、ノルマルブタン、イソブタンが、発泡力が良好である点から、好ましい。
本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子中に含有される発泡剤量は、発泡性スチレン系樹脂粒子100重量%に対して、3.0重量%以上8.0重量%以下であり、4重量%以上7重量%以下がより好ましい。発泡剤の含有量が3.0重量%未満では、予備発泡時間が長くなると共に、成形時の融着率が低下する傾向があり、製造コストが高くなり、経済的に不利である。発泡剤の含有量が8.0重量%を超えると、成形体が収縮し、成形体の外観を損なう傾向がある。
発泡性スチレン系樹脂粒子中に含有される発泡剤量を調整するには、発泡剤を、単量体100重量部に対して、4.0重量以上9.0重量部以下を仕込むことが適切である。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法において、発泡剤の含浸温度は、117℃以上122℃以下である。含浸温度が117℃以上122℃以下であれば、特に、前記一般式(1)の10時間半減期温度が96℃以上105℃以下である化合物を使用する場合に、製造中に(特に発泡剤含浸工程において)効率よく残存スチレン量を消費することができる。しかし、含浸温度が117℃未満の場合、一般式(1)の化合物のラジカル発生が少なくなることで残存スチレン量が多くなり、樹脂粒子中への発泡剤の含浸むらが発生するため、得られる予備発泡粒子の気泡径が不均一になり、発泡成形体の外観を損なう場合がある。含浸温度が122℃を超えると、重合機の内圧が高くなり、重装備の耐圧を有する重合機が必要となる場合がある。
発泡剤の含浸時間は、2時間以上6時間以下であり、好ましくは、4時間以上6時間以下である。2時間未満の場合、前記一般式(1)の化合物のラジカル発生量が少なく、残存スチレン量が多くなり、6時間を超えると、残存スチレン量は低減するものの、重合サイクルが長くなり、生産性が劣る。
本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量Mwとしては、22万以上35万以下が好ましく、28万以上32万以下がより好ましい。発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量Mwが22万未満では、発泡成形体とした際の強度が低くなるばかりか、成形体表面が溶融しやすく、外観を損なう傾向があり、また、35万を超えると、発泡性が低くなり、成形性が悪化する(例えば、目的とする発泡倍率の予備発泡粒子を得る為に必要な加熱温度や、融着性に優れる成形体を得る為に必要な成形温度が高くなる)傾向がある。
重量平均分子量Mwは、発泡性スチレン系粒子を重合する際の開始剤の使用量と重合温度の組み合わせにより、制御することができる。例えば、開始剤の使用量を多くする、および/または、重合温度を高くすることにより、Mwを低くすることができる。
ここで、本発明における発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(以下、「GPC」と略す場合がある)を用いて、後述する条件にて測定した値である。
本発明の予備発泡粒子の気泡の平均弦長は、ASTM−D−2842−97に準じて、予備発泡粒子の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真を用いて、切断面の一直線上にかかる気泡数から測定することができる。なお、本明細書における予備発泡粒子とは、発泡性スチレン系樹脂粒子を加熱発泡させ所定倍となった粒子形状を呈する発泡粒子のことである。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子を60倍に予備発泡にした、予備発泡粒子の気泡の平均弦長は、70μm以上130μm以下であり、80μm以上120μm以下がより好ましい。平均弦長が70μm未満では、発泡体を構成するセルの膜厚みが薄くなり、内部融着及び表面性が低下する傾向がある。平均弦長が120μmを超えると、破壊強度(例えば、JIS A9511の曲げ強度や箱状成形体底割強度など)の破断点変位が短くなり、脆い成形体となる傾向がある。
予備発泡粒子の切断面の気泡の平均弦長は、造核剤量によって制御することができる。造核剤量は、単量体100重量部に対して、0.01重量部以上0.1重量部以下で、好ましくは、0.02重量部以上、0.07重量以下である。0.01重量部未満では、平均弦長は130μmを超え、0.1重量部を超えると、平均弦長は70μ未満となる。
本発明において用いられる造核剤としては、例えば、メタクリル酸メチル系共重合体、ポリエチレンワックス、タルク、脂肪酸ビスアマイド、エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂、等が挙げられる。脂肪酸ビスアマイドの具体的例としては、メチレンビスステアリルアマイド、エチレンビスステアリルアマイド、ヘキサメチレンビスパルミチン酸アマイド、エチレンビスオレイン酸アマイド等である。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、(1)重合工程と、(2)発泡剤含浸工程とを含む。重合工程と発泡剤含浸工程を経て得られた本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子は、(3)冷却・乾燥工程を経て、更に、(4)予備発泡工程、(5)成形工程を経て、発泡成形体が得られる。以下に製造例を示す。
(1)重合工程
所定量の水性懸濁媒体中に、スチレン系樹脂の重合に使用される一般の重合開始剤に加え、一般式(1)に示す化合物と共に、スチレン系単量体、アクリル酸エステル系単量体に、気泡を形成する造核剤等を添加し、90℃以上100℃未満で一定時間重合し、重合転化率が80%以上97%以下に達した時点で重合工程を完了させる。これにより、スチレン系樹脂粒子が得られる。
発泡性スチレン系樹脂粒子の水系懸濁重合の分散剤としては、一般的に用いられている分散剤、例えば、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、ピロリン酸マグネシウムなどの難水溶性無機塩が挙げられる。これら、難水溶性無機塩を用いる場合には、α−オレフィンスルフォン酸ソーダ、ドデシルベンゼンスルフォン酸ソーダなどのアニオン性界面活性剤を併用すると、分散安定性が増すので効果的である。また、難溶性無機塩は得られる発泡性スチレン系樹脂粒子の粒子径を調節するために、重合中に1回以上追加することもある。
(2)発泡剤含浸工程
次いで、重合機内温度を90℃以上100℃未満で、重合機内に発泡剤を追加し、スチレン系樹脂粒子中に、発泡剤を含浸させる。発泡剤を追加する際の温度については特に限定されるものではないが、重合機の内温度が90℃未満では、重合機内の温度降下に時間を要し、又、重合機内の温度が100℃以上では、重合機内の内容物の分散状態の確認の為の設備が重装備となる。
本発明において使用する発泡剤量は、単量体100重量部に対して、好ましくは2重量部以上12重量部以下、更に好ましくは4重量部以上9重量部以下である。
本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法では、所定量の発泡剤を添加した後、重合機内温を117℃以上122℃以下まで昇温し、発泡剤をスチレン系樹脂粒子へ含浸させる。発泡剤の含浸時間は、2時間以上6時間以下である。
(3)冷却・乾燥工程
発泡剤含浸の所定時間が終了したら、重合温度を室温まで冷却、乾燥を経て、発泡性スチレン系樹脂粒子が得られる。得られた発泡性スチレン系樹脂粒子中の残存スチレン量は、300pm以下である。下限は、実用的には0ppmになり難いので敢えて表示するなら1ppm以上である。
(4)予備発泡工程
発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡(予備発泡)させる方法としては、例えば、本発明の発泡性スチレン系樹脂粒子に、公知慣用の外添剤及び添付剤を、該樹脂粒子に添付し、予備発泡装置を用いて、加熱発泡させ、予備発泡粒子を得る。
外添剤及び添付剤の具体例としては、脂肪酸金属塩は、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、オレイン酸亜鉛、オレイン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸カルシウムなどが挙げられ、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドなどの脂肪酸トリグリセライド、ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドなどの脂肪酸ジグリセライド、ラウリン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドなどの脂肪酸モノグリセライド、ヒマシ硬化油、オレイン酸などの植物油、メチルフェニルポリシロキサンなどが挙げられ、これら外添剤は単独で用いても良いし、2種以上を混合しても良い。
予備発泡方法としては、例えば、円筒形の予備発泡装置を用いて、蒸気等で加熱して発泡させる等の、通常の方法を採用することができる。予備発泡時の発泡温度(缶内温度)は、吹き込み蒸気圧及びエアー量により適宜調整されるものであるが、通常101〜105℃程度であるが、本発明においては、97〜100℃程度の低温においても予備発泡が可能となる。
(5)発泡成形工程
予備発泡粒子を発泡成形させる方法としては、例えば、金型内に予備発泡粒子を充填し、蒸気等を吹き込んで加熱する方法により発泡成形体を得る、いわゆる型内発泡成形法、等の通常の方法を採用することができる。
以下に、実施例および比較例を挙げるが、本発明は、これらによって制限されるものではない。なお、測定評価法は、以下の通りに実施した。
<スチレン単量体中のフェニルアセチレン量の測定>
フェニルアセチレン量0ppmのスチレン単量体とフェニルアセチレンとを用いて、フェニルアセチレン量とシクロペンタノール量の比から導いたフェニルアセチレン量の検量線を作成した。
スチレン単量体に、内部標準シクロペンタノールを溶解し、(株)島津製作所製ガスクロマトグラフィーGC−2014(キャピラリーカラム:GLサイエンス製Rtx−1、カラム温度条件:50→70℃(3℃/min)へ昇温し、70℃で30分保持後。70→170℃(10℃/min)へ昇温、キャリアガス:ヘリウム)を用いて、スチレン単量体中のフェニルアセチレン量(ppm)を定量した。
なお、検量線作成時には、スチレン単量体としてフェニルアセチレンを極力含有していないスチレンを、フェニルアセチレンとして(東京化成工業社製 純度99%)を、用いることが好ましい。
<発泡剤含有量および単量体成分の測定>
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子中の発泡剤含有量および単量体成分は、 発泡性スチレン系樹脂粒子1.0gをジクロロメタン20mlに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)0.005gを加えた後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、以下の条件にて測定した。
GC:島津製作所社製 GC−14B
カラム:PEG−20M 25%
Chromosorb W 60/80(3.0m×3.0mmI.D.)
カラム温度:110℃
検出器(FID)温度:170℃。
<重合転化率の測定>
発泡剤添加直前の耐圧容器からスチレン系樹脂粒子を採取し、ろ紙で、樹脂粒子表面の水分を拭き取った後、上記単量体成分の測定方法に従い、ガスクロマトグラフィーにて測定した。重合転化率は、残存する単量体成分量から算出した。
<重量平均分子量(Mw)測定>
発泡性スチレン系樹脂粒子0.02gをテトラヒドロフラン(以下、「THF」と略す場合がある)20mlに溶解させた後、ゲルパーミェーションクロマトグラフ(GPC)を用いて、以下の条件にてGPC測定を行い、GPC測定チャートおよび、重量平均分子量(Mw)を得た。尚、得られた値はポリスチレン換算の相対値である。
測定装置:東ソー社製、高速GPC装置 HLC−8220
使用カラム:東ソー社製、SuperHZM−H×2本、SuperH−RC×2本
カラム温度:40℃、移動相:THF(テトラヒドロフラン)
流量:0.35ml/分、注入量:10μl
検出器:RI。
<予備発泡粒子中の発泡剤含有量の測定>
得られた予備発泡粒子中の発泡剤含有量は、予備発泡粒子0.5gをジクロロメタン20mlに溶解し、内部標準液(シクロペンタノール)0.005gを加えた後、ガスクロマトグラフィー(GC)を用いて、発泡性スチレン系樹脂粒子中の発泡剤量の測定と同方法にて測定した。
<予備発泡粒子の平均弦長の測定>
本発明の予備発泡粒子の気泡の平均弦長は、60倍の予備発泡粒子を用いて、ASTM−D−2842−97に準じて、予備発泡粒子の切断面を撮影した走査型電子顕微鏡写真を用いて、切断面の一直線上にかかる気泡数から平均弦長を測定した。
<融着性評価>
成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、底面厚み30mm、側面厚み25mmで長さ550mm×幅350mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に予備発泡粒子を充填し、吹き込み蒸気圧0.3〜0.8kgf/cm2の範囲内で変化させた成形条件にて型内成形を行い発泡成形体を得た。得られた発泡成形体を破断し、破断面が粒子界面でなく、粒子が破断している割合が80%以上の発泡成形体を得、室温で24時間乾燥させた。
◎:粒子が破断している割合 80%以上。
○:粒子が破断している割合 60%以上80%未満
△:粒子が破断している割合 40%以上60%未満
×:粒子が破断している割合 40%未満
<表面性評価>
得られ発泡成形体の表面状態を目視観察し、以下の基準にて表面性を評価した。
◎:表面の溶融、粒間が無く、非常に美麗。
○:表面の溶融、粒間が少なく、美麗。
△:表面の溶融、粒間があり、外観やや不良。
×:表面の溶融、粒間が多く、外観不良。
<不快臭評価>
箱型の発泡成形体を、蓋をするように段積みし、室温で48時間乾燥させた後、蓋を開けて、不快臭を確認し、以下の基準にて不快臭のレベルを評価した。
○:不快臭がほぼ感じられない
△:不快臭を感じる。
×:強い不快臭がある。
<強度測定>
発泡成形体の強度を測定した。
測定装置:Minebea製 TECHNO GRAPH TG−50kN
測定条件:棲側(把手方向)を破壊するまで引張り、最高強度と破断までの変位を求める。
試験スピード=500mm/min、引張冶具の接触部=50×30mm
得られたデータを以下の基準にて評価した。
◎:最高強度が16kgf以上、かつ、破断変位が55mm以上
○:最高強度が16kgf以上、または、破断変位が55mm以上
×:最高強度が16kgf未満、かつ、破断変位が55mm未満。
(実施例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>
スチレン単量体中のフェニルアセチレン量を測定し、100ppmになるように、純品のフェニルアセチレンを、スチレン単量体に添加し調整した。撹拌機付属の6Lのオートクレーブに、純水100重量部、リン酸三カルシウム0.2重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.01重量部および、開始剤として過酸化ベンゾイル[日油社製]0.23重量部、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート0.21[日油社製]重量部、及び、造核剤としてポリエチレンワックス0.05重量部を仕込んだ。続いて、250回転/分で撹拌しながら、フェニルアセチレン含有量100ppmのスチレン単量体95重量%、アクリル酸ブチル単量体5重量%(単量体100重量部)を仕込んだ後、98℃まで昇温し、4.2時間重合反応させた。この時の重合転化率は92%であった。次いで、発泡剤としてノルマル−ブタン5重量部、イソ−ブタン2重量部をオートクレーブ中に圧入し、120℃まで昇温させた。その後、120℃にて、6時間保持した後、室温まで冷却して、オートクレーブから重合スラリーを取り出した。取り出した重合スラリーを洗浄、脱水・乾燥することにより、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。表1に、重合処方、重合条件、発泡剤添加前の重合転化率、発泡剤含浸条件、発泡性スチレン系樹脂粒子の樹脂特性(発泡剤含有量、重量平均分子量、残存スチレン量、残存アクリル酸ブチル量)を示す。
<予備発泡粒子の製造>
得られた発泡性スチレン系樹脂粒子を篩分けして、粒子径0.6mm〜1.2mmの発泡性スチレン系樹脂粒子を分取し、発泡性スチレン系樹脂粒子100重量部に、外添剤としてステアリン酸亜鉛(ジンクステアレートGF−200:日油社製)0.15重量部、及びヒマシ硬化油(融点84度 カスターワックス、日油社製)0.10重量部を、スーパーミキサー[カワタ製、SMV−20]で、120秒間、攪拌混合した。
外添剤を混合した発泡性スチレン系樹脂粒子を、測温体が付帯している加圧式予備発泡機[大開工業製、BHP]を用いて、吹き込み蒸気圧0.8kgf/cm2の条件にて嵩倍率60倍に予備発泡を実施した。この際、吹き込み蒸気にはエアーを切り込ませて、吹き込み蒸気温度を調節した。その後、常温下で1日放置して、養生乾燥を行ない、予備発泡粒子を得た。表1に、予備発泡粒子中の発泡剤含有量、気泡の平均弦長を示す。
<発泡成形体の製造>
得られた予備発泡粒子を、成形機[ダイセン製、KR−57]を用いて、厚み25mmで長さ530mm×幅330mm×高さ120mmサイズの箱形形状の金型内に充填し、吹き込み蒸気圧0.5kgf/cm2の成型条件にて型内成形を行い、箱型の発泡成形体を得た。表1に、発泡成形体の融着性、表面性、不快臭、強度の評価結果を示す。
(実施例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例4)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例5)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例6)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、造核剤ポリエチレンワックス量を0.03重量部に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例7)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、造核剤ポリエチレンワックス量を0.07重量部に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例8)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、発泡剤添加時の重合転化率を85%に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例9)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、フェニルアセチレン含有量100ppmのスチレン単量体93重量%、アクリル酸ブチル単量体7重量%を仕込んだ以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例10)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、スチレン単量体中のフェニルアセチレン量を200ppmに変更した以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(実施例11)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートを、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート[アルケマ社製]に変更した以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子、予備発泡粒子、発泡成形体を得た。表1に評価結果を示す。
(比較例1)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は18万であった。表1に評価結果を示す。
(比較例2)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤量を変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は40万であった。表1に評価結果を示す。
(比較例3)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネートの代わりに、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン[日油社製]に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。発泡性スチレン系樹脂粒子の残存スチレン量は2500ppmであった。表1に評価結果を示す。
(比較例4)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、重合開始剤として、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンに変更し、発泡剤含浸時間を1.7時間に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。残存スチレン量は2400ppmであった。表1に評価結果を示す。
(比較例5)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、造核剤エチレンビスステアリルアミド[日油社製]を0.5重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。予備発泡粒子の気泡の平均弦長は40μmであった。表1に評価結果を示す。
(比較例6)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、造核剤ポリエチレンワックス量を0.503重量部に変更した以外は、実施例1と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。予備発泡粒子の気泡の平均弦長は50μmであった。表1に評価結果を示す。
(比較例7)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、発泡剤添加時の重合転化率を70%に変更した以外は、実施例2と同様の操作をした。しかし、発泡剤を重合機内へ圧入してから、しばらくして、重合系内が塊化した。
(比較例8)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、フェニルアセチレン含有量100ppmのスチレン単量体100重量部とした以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。発泡成形体の表面性が劣る。表1に評価結果を示す。
(比較例9)
<発泡性スチレン系樹脂粒子の製造>において、フェニルアセチレン含有量100ppmのスチレン単量体89重量%、アクリル酸ブチル単量体11重量%を仕込んだ以外は、実施例2と同様の操作により、発泡性スチレン系樹脂粒子を得た。発泡成形体の表面性が劣る。表1に評価結果を示す。
Figure 2019156901
なお、表1では、単量体成分測定の結果、アクリル酸エステル系単量体は検出限界以下であったため、残存スチレン量のみを記載している。

Claims (6)

  1. 発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、
    フェニルアセチレンを30ppm以上含有しているスチレン系単量体90重量%以上99重量%以下、アクリル酸エステル系単量体1重量%以上10重量%以下(スチレン系単量体とアクリル酸エステル系単量体の合計量が100重量部である)に対して、過酸化ベンゾイル0.01重量部以上0.3重量部以下、一般式(1)に示される化合物0.01重量部以上0.3重量部以下を、重合開始剤として添加して重合させる重合工程と、
    重合転化率が80%以上97%以下に達した時点で、発泡剤としてプロパン、イソブタン、ノルマルブタン、イソペンタン、ノルマルペンタンおよびネオペンタンよりなる群から選ばれる少なくとも1種を、含浸温度117℃以上122℃以下、含浸時間2時間以上6時間以下で含浸させる発泡剤含浸工程と、を含み、
    前記発泡性スチレン系樹脂粒子は、残存スチレン量が300ppm以下であり、
    前記発泡性スチレン系樹脂粒子を60倍に発泡させた予備発泡粒子の切断面の気泡の平均弦長が70〜130μmであることを特徴とする、発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
    Figure 2019156901
  2. 前記一般式(1)のR1構造がメチル基あるいはエチル基であり、R2構造が2−エチルヘキシル基、イソプロピル基であることを特徴とする請求項1に記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  3. 前記発泡性スチレン系樹脂粒子のゲルパーミェーションクロマトグラフィー測定から得られる重量平均分子量(Mw)が22万以上35万以上であることを特徴とする、請求項1又は2のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  4. 前記アクリル酸エステル系単量体がアクリル酸ブチルであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法において、前記発泡性スチレン系樹脂粒子を発泡させる工程を含む、予備発泡粒子の製造方法。
  6. 請求項5に記載の予備発泡粒子の製造方法において、前記予備発泡粒子を型内成形する工程を含む、発泡成形体の製造方法。
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