JP2019131057A - 表皮 - Google Patents
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Abstract
Description
図1のシートバック6は、乗員の背凭れとなる正面視で略矩形の部材であり、上述の基本構成6F,6P,6Sを有している(各部材の詳細は適宜後述)。このシートバック6では、シートフレーム6F上のシートパッド6Pがシートカバー6Sで被覆され、このシートカバー6Sによってシートの外観が構成されている。そしてシートカバー6Sには、幾何学的模様(後述する意匠表皮部10)が複数設けられており、これら幾何学的模様は、シートカバー6Sに後述する所定の処理を施すことで形成できる(図1では、便宜上、一つの意匠表皮部にのみ符号を付している)。そしてこの種の幾何学模様の形成に際しては、ステッチ加工やエンボス加工等に代わる処理が切望されており、特にシートカバー6Sの幾何学模様に優れた立体感を出すことが望まれている。そこで本実施例では、後述する構成(複数の意匠表皮部10,複数の一般表皮部20)によって、より意匠性に優れた幾何学模様を付与したシートカバー6Sを提供することとした。以下、各構成について詳述する。
ここでシートフレーム6F(図示省略)は、典型的に正面視で略矩形又はアーチ状の枠体であり、金属や硬質樹脂などの剛性に優れる素材にて形成できる。またシートパッド6P(図示省略)は、シートバック6の外形形状をなす部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m3〜60kg/m3)などの発泡樹脂で形成できる。このシートパッド6Pの着座面には、図1を参照して、着座部6aと、左右の土手部6bとが形成されている。着座部6aは、シート幅方向中央に形成された乗員の着座が可能な部位である。また左右の土手部6bは、着座部6aの側方で相対的に前方に向けて山なりに盛り上がっている部位である。
そしてシートカバー6Sは、本発明の表皮に相当する面材であり、複数の表皮ピースSP1〜SP3等を縫合することで形成されている(図1では、便宜上、特定の表皮ピースのみ図示している)。例えばシートカバー6Sの着座面は、着座部6aを被覆するメイン表皮ピースSP1と、左右の土手部6bを被覆する一対のサイド表皮ピースSP2、SP3とを縫合することで形成されている。これら各表皮ピースSP1〜SP3の素材として、シートの意匠面を構成可能な各種の面材を用いることができ、例えば皮革(天然皮革,合成皮革)や布帛(織物,編物,不織布)を適宜選択して用いることができる。
そしてメイン表皮ピースSP1には、例えば図1を参照して、幾何学的な平面形状を備えた複数の意匠表皮部10と、一般表皮部20とが設けられている(各表皮部の詳細は後述することとし、図1では、各表皮部の一部にのみ符号を付している)。これら意匠表皮部10と一般表皮部20とは、メイン表皮ピースSP1自体を多層的且つ平坦状に折る平坦折り処理を施すことで形成されており、以下に示す各実施例等では、主にねじり折り処理などの平織り処理を用いている。そして例えば図3に示す展開状態のメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、平坦折りの際の折り線となる山折り部位Lmと谷折り部位Lvが設けられている(各折り部位の詳細は後述することとし、図3では、山折り部位Lmを実線で図示し、谷折り部位Lvを破線で図示している)。これら山折り部位Lmと谷折り部位Lvは線状の溝であり、メイン表皮ピースSP1の裏面RSには、両折り部位で構成された多角形が一定規則で敷き詰められて平面充填されている。そしてメイン表皮ピースSP1を、山折り部位Lmと谷折り部位Lvで折製することにより、後述する意匠表皮部10と一般表皮部20を形成できる。ここでメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、平坦折りを可能とする規則性で各種の多角形を平面充填でき、この種の充填パターン(タイリングパターン)は無数に存在し、必要に応じてボロノイ図を用いることもできる。そして以下に示す各実施例等においては、特定のタイリングパターンと、それに基づいて形成された意匠表皮部10と一般表皮部20の構成を例示している。
実施例1のメイン表皮ピースSP1には、図1及び図2を参照して、複数の意匠表皮部10と、一般表皮部20(詳細後述)とが設けられている。本実施例(及び後述の別例1〜3)では、各意匠表皮部10が、四角形を基調とする平面形状を備え、本実施例では、各意匠表皮部10の平面形状として、正面視で共通の長方形状(幾何学模様の一例)が用いられている。また隣り合う意匠表皮部10同士は、互いに平行移動の関係とならないように平面形状の向きを異ならせて配置されている。すなわち本実施例では、共通の長方形状の平面形状内で、その中心となる重心を通って長辺に平行な一本の仮想直線VL1を想定し、この仮想直線VL1の向きを平面形状の向きとする。そして図2で概ね中央に配置する特定の意匠表皮部10の仮想直線VL1は、左側に向かうにつれて次第に下方に傾斜している。また特定の意匠表皮部10の上下左右に隣接している別の意匠表皮部10の仮想直線VL1は、左側に向かうにつれて次第に上方に傾斜して、特定の意匠表皮部10の仮想直線VL1と直交状に配置されている(図2では、便宜上、一つの他方の意匠表皮部10にのみ仮想直線VL1を図示している)。こうして仮想直線VL1同士を直交状に配置して、隣り合う一対の意匠表皮部10を互いに交差状に配置することにより、メイン表皮ピースSP1の外面OSが平織り(三原組織の一つ)の織物のような外観を呈して意匠性に優れる構成となっている。なお平面形状が長方形状で且つ上述の配置関係の場合、特定の意匠表皮部10を、隣接する別の意匠表皮部10に向けて平行移動しても、これらは完全に一致しないため平行移動の関係ではない。
一般表皮部20は、図2を参照して、意匠表皮部10を除くメイン表皮ピースSP1部分であり、差込部位20aと、充填部位20bとで構成されている。この一般表皮部20をなす各部位20a,20bは、メイン表皮ピースSP1自体を、図3及び図4に示す山折り部位Lm及び谷折り部位Lv(詳細後述)を基に平坦折りすることで形成されている。そして差込部位20aは、図2及び図5を参照して、意匠表皮部10の周囲に設けられている台形状の表皮部分であり、隣接する意匠表皮部10の長辺裏側に向けて内折りされて差し込まれている。また充填部位20bは、差込部位20aの周縁から逆向きに折り返されている菱形状の部分であり、各意匠表皮部10同士の間を埋めるように配置されている。そして本実施例においては、一般表皮部20において、充填部位20bの上に差込部位20aが配置され、さらに差込部位20aが、対応する意匠表皮部10の裏側に差し込まれた状態となっている。このため各意匠表皮部10は、一般表皮部20の差込部位20aによって充填部位20bから持ち上げられた状態となり、この充填部位20bに比して一段高い(図5で前側に向けて一段高い)外面OS側の位置に配置されている。
そして図2の一般表皮部20の差込部位20aと充填部位20bは、ねじり折り処理(詳細後述)によって、メイン表皮ピースSP1を特定の箇所で山折り又は谷折りすることで形成できる。このため図3に示す展開状態のメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、ねじり折りの際の折り線となる山折り部位Lmと谷折り部位Lvが設けられている。ここで山折り部位Lmと谷折り部位Lvとは、各々、図4に示すようにメイン表皮ピースSP1の裏面RSに設けられている溝であり、適宜の向きに直線的(線分的)又は湾曲的に延びている。すなわち山折り部位Lmと谷折り部位Lvは、メイン表皮ピースSP1がパッド材PM付き布帛の場合にはパッド材PM側に設けられている溝であり、皮革の場合には床革(又はその代替えとなる層)側に設けられている溝である。ここで各折り部位Lm,Lvの溝の延びている方向に直交する方向の寸法を幅寸法とした場合、山折り部位Lmの幅寸法W1と、谷折り部位Lvの幅寸法W2とは同一でもよく異なっていてもよい。本実施例においては、山折り部位Lmの幅寸法W1を、谷折り部位Lvの幅寸法W2よりも小さくしている。こうすることで山折り部位Lmと谷折り部位Lvの区別が容易となり、一般表皮部20をより正確な箇所で山折り及び谷折りすることが可能となる。なお山折り部位Lmと谷折り部位Lvの形成手法は特に限定しないが、例えばエンボス加工などの各種の凹凸処理を例示でき、床革やパッド材PMを部分的に除去又は非配置状態とすることでも形成できる。
そしてメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、図3を参照して、山折り部位Lmと谷折り部位Lvで構成された複数種類の多角形の区画が第一のタイリングパターンで配置されている。本実施例では、複数の区画30〜36からなる第一基本模様BP1(図3の一点破線で囲まれた部分を参照)が設けられ、さらに第一基本模様BP1が、後述の所定規則でメイン表皮ピースSP1の裏面RSに充填配置されている。そして各第一基本模様BP1は同一の構成を有していることから、以下に、一つの第一基本模様BP1を一例にその詳細を説明する。この第一基本模様BP1は、三種類の四角形の区画からなり、長方形状の中央区画30と、四つの正方形の角区画31〜34と、台形状の一対の側方区画35,36とで構成されている。そして各区画31〜36の辺は、山折り部位Lmと谷折り部位Lvのいずれかで形成されている。
図3及び図6を参照して、メイン表皮ピースSP1の裏面RSを、山折り部位Lmに沿って山折り状態とし且つ谷折り部位Lvに沿って谷折り状態とする。このとき第一基本模様BP1中の各角区画31〜34を基準として、各メイン表皮ピースSP1をねじり折りしていくことが可能である。例えば本実施例では、図6に示すように第一角区画31と第四角区画34を反時計回りにθ1の二倍だけ回転させながら、周囲のメイン表皮ピースSP1部分を、谷折りと山折りの順に折製しつつ折り重ねていく。また同時に第二角区画32と第三角区画33を時計回りに同量回転させながら、周囲のメイン表皮ピースSP1部分を、山折り部位Lmと谷折り部位Lvの順に折製しつつ折り重ねていく。こうしてねじり折りにおいては、各角区画31〜34を回転中心として、その周囲のメイン表皮ピースSP1部分を折り重ねて面方向に縮小していくことができる。
そして本実施例においては、各意匠表皮部10と一般表皮部20の位置関係を保持部40によって保持しておくことができる。この種の保持部40は、接着剤や接着材(ホットメルト材やテープ材)等で構成された接着層や、ステープルや縫合などの物理的な部材で構成することが可能である。本実施例においては、折製後のメイン表皮ピースSP1の裏面RSに、面状の接着材からなる保持部40を重ねておく。そして保持部40を、加熱したのち固化させてメイン表皮ピースSP1の裏面RSに固着しておくことで、各意匠表皮部10と各一般表皮部20の配置位置を保持することが可能となる。なお保持部40は、メイン表皮ピースSP1の裏面RSのほか、一般表皮部20をなす差込部位20aと充填部位20bの間にも配置することも可能である。
図1のシートバック6の形成においては、シートフレーム6F上のシートパッド6Pをシートカバー6Sで被覆し、このシートカバー6Sによってシートの意匠面を構成する。そしてシートカバー6Sに、シートの意匠性を向上させる観点などから複数の意匠表皮部10を設け、これら複数の意匠表皮部10によって幾何学模様を表現している。この種の構成では、シートカバー6Sの幾何学模様の意匠性を向上させることが望まれており、特に幾何学模様に優れた立体感を出すことが望まれている。
ここで意匠表皮部同士の配置関係は、上述の配置関係のほか、各種の配置関係を取り得る。例えば図7に示す別例1のメイン表皮ピースSP1は、実施例1と概ね同一の基本構成を有しているが、意匠表皮部10同士を相対的に大きく離間配置した点が実施例と異なっている。そして本別例では、図8に示すように第一のタイリングパターンを実施例1から若干変更している。すなわちメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、実施例1と概ね同一の基本模様が設けられているが、第一角区画31と第三角区画33(第二角区画32と第四角区画34)は、実施例1に比して互いに近づく向きにやや倒れた状態となっている。これにより各角区画31〜34にて隣り合っている山折り部位Lmと谷折り部位Lvの角度θ2(θ2<図3のθ1)が狭小となり、ねじり折り時の各角区画31〜34の回転量が少なくなっている。こうして本別例では、各角区画31〜34の回転量を少なくして、面方向の縮小量を少なくする(例えば差込部位20aの面積を小さくする)ことで、意匠表皮部10同士を相対的に疎に配置することが可能となる。
また別例2のメイン表皮ピースSP1では、図9を参照して、複数の意匠表皮部10の平面形状として、正面視で共通の正方形状が用いられている。そして本別例では、複数の意匠表皮部10が平面形状の向きを揃えた状態で等間隔で配置されている点が実施例1と異なっている。すなわち本別例では、共通の正方形状の平面形状内で、その重心を通る対角線としての仮想直線VL2を想定し、この仮想直線VL2の向きを平面形状の向きとする。そして図9で概ね中央に配置する特定の意匠表皮部10の仮想直線VL2は、左側に向かうにつれて次第に上方に向けて傾斜している。また特定の意匠表皮部10の上下左右に隣接している別の意匠表皮部10の仮想直線VL2も、同様に左側に向かうにつれて次第に上方に傾斜している(図9では、便宜上、一つの別の意匠表皮部にのみ仮想直線VL2を図示している)。こうして各意匠表皮部10の向きを揃えておくことで、各意匠表皮部10が整列して配置された外観を呈し、より意匠性に優れる構成となっている。なお各仮想直線VL2同士の配置関係は、完全に平行状態となっていることが望ましいが、外観上概ね同一平行とみなせるならば若干の向きの誤差は許容される。そして各意匠表皮部10を除くメイン表皮ピースSP1部分は一般表皮部20となっている。この一般表皮部20は、実施例1と概ね同一の基本構成を有しており、差込部位20aと、充填部位20bとで構成されている。
上述の各意匠表皮部10は、図10に示す第二のタイリングパターンをメイン表皮ピースSP1の裏面RSに形成し、意匠表皮部10をなす区画を大きく離間配置し且つ向きを揃えておくことにより形成できる。そして本別例のメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、複数の第二基本模様BP2が充填配置されている。各第二基本模様BP2は、菱形の中央区画30aと、四つの正方形の角区画(第一角区画31a〜第四角区画34a)と、平行四辺形状の一対の側方区画35a,36aとで構成され、各区画の配置関係自体は実施例1と概ね同一である。
また別例3のメイン表皮ピースSP1の外面OSは、図12に示すように実施例1と同様の外観を有しているが、隣り合う意匠表皮部10同士が鈍角状(交差角度θa>90°)で交差配置されている点が実施例1と異なっている。そして本別例においても、図13に示すようにメイン表皮ピースSP1の裏面RSのタイリングパターンを実施例1から若干変更している。すなわち本別例の各意匠表皮部10は、意匠表皮部10をなす中央区画30b同士を鈍角状に交差配置することで形成できる。そして隣り合う中央区画30b同士の関係性を保持するように、各側方区画35b,36bの形状は上底側が短尺となっている。さらに第一角区画31bと第四角区画34bは概ね上下に長尺な菱形状となっており、第二角区画32bと第三角区画33bは概ね左右に長尺な菱形状となっている。そして本別例のメイン表皮ピースSP1を、実施例1と同様の手順でねじり折りすることにより、図12に示す意匠表皮部10を形成することができる。
実施例2の乗物用シート2Aでは、実施例1の乗物用シートとほぼ同一の基本構成を備える構成については、対応する符号を付す等して詳細な説明を省略する。そして図14に示す実施例2の乗物用シート2Aは、実施例1と同一の基本構成(4,6,8)を有しているが、シートバック6のシートカバー6Sには、実施例1と異なる幾何学的な平面形状の意匠表皮部10Aが設けられている。すなわち本実施例(及び後述の別例4、5)では、シートカバー6Sを構成するメイン表皮ピースSP1に、図14及び図15を参照して、三角形状を基調とする意匠表皮部10Aが複数設けられている。
そして本実施例のメイン表皮ピースSP1においても、後述するねじり折り処理により、複数の意匠表皮部10Aと、一般表皮部21(詳細後述)をメイン表皮ピースSP1の外面OSに設けることができる。ここで本実施例では、各意匠表皮部10Aの平面形状として、正面視で共通の正三角形(幾何学模様の一例)が用いられているとともに、各意匠表皮部10Aは向きを揃えて配置されている。そして各意匠表皮部10Aは、一つの頂点を上に向け且つ底辺を下に向けて配置されており、さらに各意匠表皮部10Aの3つの頂点は、隣り合っている別の意匠表皮部10Aの辺側に重複して隠されている。このためメイン表皮ピースSP1を正面から見た場合、各意匠表皮部10Aは、概ね六角形状のような外観を呈している。
また一般表皮部21は、意匠表皮部10Aを除くメイン表皮ピースSP1部分であり、差込部位20aと充填部位20bとで構成されている。差込部位20aは、意匠表皮部10Aの各辺の周囲に設けられている二等辺三角形の部分であり、隣接する意匠表皮部10Aの各辺裏側に向けて内折りされて差し込まれている。また充填部位20bは、差込部位20aの周縁から逆向きに折り返されている正三角形の部分であり、各意匠表皮部10A同士の間を埋めるように配置されている。そして本実施例においても、一般表皮部21において、充填部位20bの上に差込部位20aが配置され、さらに差込部位20aが、対応する意匠表皮部10Aの裏側に差し込まれた状態となっている。このため各意匠表皮部10Aは、一般表皮部21の差込部位20aによって充填部位20bから持ち上げられた状態となり、この充填部位20bに比して一段高い外面OS側の位置に配置されている。
そして図16に示すメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、山折り部位Lmと谷折り部位Lvで構成された複数種類の三角形の区画が第三のタイリングパターンで配置されている。本実施例では、複数の区画30b〜39bからなる第三基本模様BP3(図3の二点破線で囲まれた部分を参照)が設けられ、さらに第三基本模様BP3が、後述の所定規則でメイン表皮ピースSP1の裏面RSに充填配置されている。そして各第三基本模様BP3は同一の構成を有していることから、以下に、一つの第三基本模様BP3を一例にその詳細を説明する。この第三基本模様BP3は、三種類の三角形の区画からなり、正三角形の中央区画30bと、六つの正三角形の周辺区画31b〜36bと、三つの二等辺三角形の側方区画37b〜39bとで構成されている。そして各区画31b〜39bの辺は、山折り部位Lmと谷折り部位Lvのいずれかで形成されている。
図16及び図17を参照して、メイン表皮ピースSP1の裏面RSを、山折り部位Lmに沿って山折り状態とし且つ谷折り部位Lvに沿って谷折り状態とする。このとき第三基本模様BP3中の各周辺区画31b〜36bを基準として、各メイン表皮ピースSP1をねじり折りしていくことが可能である。そして本実施例では、中央区画10bの各辺を臨むように対向している一対の周辺区画を対として考える。すなわち第三基本模様BP3には、第一周辺区画31bと第二周辺区画32bの対、第三周辺区画33bと第四周辺区画34bの対、第五周辺区画35bと第六周辺区画36bの対が設けられている。そして第一周辺区画31bを時計回りにθ3の二倍だけ回転させ、同時に第二周辺区画32bを反時計回りに同量回転させながら、周囲のメイン表皮ピースSP1部分を、谷折りと山折りの順に折製しつつ折り重ねていく。また同様に第三周辺区画33bを時計回りに且つ第四周辺区画34bを反時計回りに回転させ、第五周辺区画35bを時計回りに且つ第六周辺区画36bを反時計回りに回転させていく。こうして本実施例のねじり折りにおいても、各周辺区画31b〜36bを回転中心として、その周囲のメイン表皮ピースSP1部分を折り重ねて面方向に縮小していくことができる。
ここで意匠表皮部10A同士の配置関係は、上述の配置関係のほか、各種の配置関係を取り得る。例えば図18に示す別例4のメイン表皮ピースSP1は、実施例2と概ね同一の基本構成を有しているが、意匠表皮部10A同士を相対的に大きく離間配置した点が実施例と異なっている。そして本別例では、図19に示すように第三のタイリングパターンを実施例2から若干変更している。すなわちメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、実施例2と概ね同一の基本模様が設けられているが、第一周辺区画31bと第二角区画32bは、実施例1に比して互いに近づく向きにやや倒れた状態となっている。またほかの周辺区画の対(33bと34bの対、35bと36bの対)も、互いに近づく向きにやや倒れた状態となっている。これにより各周辺区画31b〜36bにて隣り合っている山折り部位Lmと谷折り部位Lvの角度θ4(θ4<図16のθ3)が狭小となり、ねじり折り時の各周辺区画31b〜36bの回転量が少なくなっている。こうして本別例では、各周辺区画31b〜36bの回転量を少なくして、面方向の縮小量を少なくする(例えば差込部位20aの面積を小さくする)ことで、意匠表皮部10A同士を相対的に疎に配置することが可能となる。
また別例5のメイン表皮ピースSP1では、図20を参照して、複数の意匠表皮部10Aが、正三角形の平面形状の向きを揃えた状態で等間隔で離間配置されている点が実施例2と異なっている。こうして各意匠表皮部10Aの向きを揃え且つ離間配置しておくことで、三角形の外観をなす各意匠表皮部10Aが整列して配置された外観を呈し、より意匠性に優れる構成となっている。そして各意匠表皮部10Aを除くメイン表皮ピースSP1部分は一般表皮部21となっており、この一般表皮部21によって各意匠表皮部10A同士の隙が埋められている(図20では、便宜上、一部の一般表皮部にのみ符号を付す)。そして一般表皮部21は、実施例2と概ね同一の基本構成を有しており、差込部位20aと、充填部位20bとで構成されている。
そして上述の各意匠表皮部10Aは、図21に示す第四のタイリングパターンをメイン表皮ピースSP1の裏面RSに形成し、意匠表皮部10Aをなす区画を大きく離間配置し且つ向きを揃えておくことにより形成できる。そして本別例のメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、複数の第四基本模様BP4と二種類の周辺区画34c,35cが充填配置されている。各第四基本模様BP4は、底辺を下に向けた概ね正三角形の輪郭をなしており、メイン表皮ピースの裏面RSで上下に列をなして配置されている。さらに第四基本模様BP4の列の左右にも、上下に半分ずれた状態で別の第四基本模様BP4の列が並列している。そして隣り合う第四基本模様BP4同士は、逆正三角形の周辺区画34cと、正六角形の周辺区画35cとで連結されている。
ここで各意匠表皮部の構成は、上述の構成のほか、各種の構成を取り得る。例えば図22に示す変形例1のメイン表皮ピースSP1には、菱形の複数の意匠表皮部10Bが設けられているとともに、3つの意匠表皮部10Bが集まって六角形状をなしている。すなわち本変形例では、共通の菱形の平面形状内で、その重心を通る対角線(鋭角同士を結ぶ対角線)としての仮想直線VL3を想定し、この仮想直線VL3の向きを平面形状の向きとする。そして3つの仮想直線VL3によって正三角形を形成するように3つ意匠表皮部10Bを配置する。このような配置関係で菱形の意匠表皮部10Bを3つ組み合わせることにより、意匠表皮部10B全体として六角形状の外観を呈するように配置することが可能である。
そして上述の各意匠表皮部10Bは、図23に示す第五のタイリングパターンをメイン表皮ピースSP1の裏面RSに形成し、意匠表皮部10Bをなす区画(中央区画D)を所定の向きで配置することにより形成できる。このメイン表皮ピースSP1の裏面RSには、実施例1と概ね同一の区画配置を備えた3つの第五基本模様BP5が設けられており、上側と右下側と左下側に配置されている。例えば上側に配置する第五基本模様BP5には、平行四辺形の中央区画Dと、2つの台形の側方区画E(E)と、四つの角区画A(A),B(B)が設けられている。そして第一角区画と第四角区画に相当する角区画B(B)が正六角形となっており、第二角区画(第三角区画)に相当する角区画A(A)が正三角形(逆正三角形)となっている。さらに上側と右下側と左下側の第五基本模様BP5は、これらの間に配置する角区画を共通にして連結されている。すなわち本別例では、逆三角形の角区画Aを中心に各第五基本模様BP5を連結し、さらに各第五基本模様BP5の中央区画Dを、逆三角形の角区画Aを中心として、概ね三角形状をなすように配置しておく。そして本変形例のメイン表皮ピースSP1を、各角区画A(A),B(B)を回転させながら、実施例1と同様の手順でねじり折りすることにより、図22に示す意匠表皮部10Bを形成することができる。
変形例1では、3つの意匠表皮部にて特定の幾何学模様(六角形)を構成したが、4つ以上の意匠表皮部を集めて特定の幾何学模様を構成することもできる。例えば図24に示す別例6のメイン表皮ピースSP1には、菱形の複数の意匠表皮部10Cが設けられているとともに、6つの意匠表皮部10Cが集まって六角形状をなしている。そして各意匠表皮部10Cは、図24に示す第六のタイリングパターンを用いて、意匠表皮部10Cとなる区画(中央区画D)を所定の配置関係としておくことで形成することができる。この第六のタイリングパターンでは、6つの第六基本模様BP6を用いており、各第六基本模様BP6は、図23に示す第五基本模様と概ね同一区画配置とされている。そして各第六基本模様BP6では、三角形の角区画Aと、正六角形の角区画Bと、一対の菱形の角区画C,Cと、中央区画Dと、各側方区画E(E)が用いられている。さらに6つの第六基本模様BP6は、正六角形の角区画Bを共通にして連結されている。すなわち本別例では、正六角形の角区画Bを中心に各第六基本模様BP6を連結し、さらに各第六基本模様BP6の中央区画Dを、正六角形の角区画Bの各頂点に配置しておく。そして本変形例のメイン表皮ピースSP1を、各角区画A(A),B(B)を回転させながら、実施例1と同様の手順でねじり折りすることにより、図24に示す意匠表皮部10Cを形成することができる。
ここで上述の各タイリングパターンでは、山折り部位と谷折り部位を逆に配置した(山谷反転した)としても意匠表皮部と一般表皮部とを形成することが可能である。この場合には、各実施例及び各別例で示したメイン表皮ピースの裏面が外面となり、ねじり折りの際の基点となる区画が意匠表皮部を構成することとなる。例えば図26に示す変形例2のメイン表皮ピースSP1には、図13に示すタイリングパターン(実施例1の別例3)の山谷反転を利用して、複数の菱形の意匠表皮部11が形成されている。そして紙面中央で上下に配置されている一対の意匠表皮部11は、鋭角部分が上下に向いた状態となって縦長な外観を呈している。また紙面左右に配置されている一対の意匠表皮部11は、鋭角部分が左右に向いた状態となって横長な外観を呈している。
さらに一つのタイリングパターンにおいて、山折り部位と谷折り部位を逆に配置することで、通常の山谷関係とは全く異なる平面形状を持った意匠表皮部を形成することも可能である。例えば図27に示す変形例3のメイン表皮ピースSP1には、三角形の意匠表皮部11Aと、六角形の意匠表皮部11Bと、四角形の意匠表皮部11Cとが設けられている。そして上述の各意匠表皮部11A〜11Cは、図25に示す第六のタイリングパターン(変形例1の別例6)において、山折り部位と谷折り部位とを逆に配置することで形成されている。このように山谷反転状態としたタイリングパターンにおいては、各角区画A〜Cが、外面側で時計回り(又は反時計回り)に回転して、これら角区画A〜Cの裏面側では、周囲のメイン表皮ピースSP1部分が折り重ねられて集まっていく。こうして本変形例では、三角形の角区画Aが、メイン表皮ピースSP1の外面側に折り出されて、図27に示す三角形の意匠表皮部11Aを構成することとなる。また同様に六角形の意匠表皮部11Bが、メイン表皮ピースSP1の外面側に折り出されて、図27に示す正六角形の角区画Bを構成することとなる。また同様に四角形の意匠表皮部11Cが、メイン表皮ピースSP1の外面側に折り出されて、図27に示す四角形の意匠表皮部11Cを構成することとなる。
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
6F シートフレーム
6P シートパッド
6a 着座部
6b 土手部
6S シートカバー(本発明の表皮)
SP1 メイン表皮ピース
SP2,SP3 サイド表皮ピース
OS メイン表皮ピースの外面(本発明の表皮の外面)
RS メイン表皮ピースの裏面(本発明の表皮の裏面)
10 意匠表皮部
20 一般表皮部
20a 差込部位
20b 充填部位
BP1 第一基本模様(第一のタイリングパターンの基本模様)
30 中央区画
31〜34 角区画
35,36 側方区画
BP2 第二基本模様(第二のタイリングパターンの基本模様)
30a 中央区画
31a〜34a 角区画
35a,36a 側方区画
38x,38y 別の基本模様の側方区画
2A 実施例2の乗物用シート
10A 実施例2の意匠表皮部
21 実施例2の一般表皮部
BP3 第三基本模様(第三のタイリングパターンの基本模様)
30b 中央区画
31b〜36b 周辺区画
37b〜39b 側方区画
BP4 第四基本模様(第四のタイリングパターンの基本模様)
30c 中央区画
31c〜33c 側方区画
34c,35c 周辺区画
10B 変形例1の意匠表皮部
BP5 第五基本模様(第五のタイリングパターンの基本模様)
A,B 角区画
D 中央区画
E 側方区画
10C 変形例2の意匠表皮部
C 角区画(第五のタイリングパターンの基本模様の角区画)
11 変形例3の意匠表皮部
11A〜11C 変形例3の意匠表皮部
40 保持部
Lm 山折り部位
Lv 谷折り部位
VL1〜VL3 仮想直線
Claims (6)
- 部材の外観を構成可能な表皮において、
前記表皮の外面には、幾何学的な平面形状を備えた意匠表皮部と、前記意匠表皮部の裏側に差し込まれている表皮部分を備えた一般表皮部とが配置関係を保った状態で設けられており、
前記外面とは反対の前記表皮の裏面には、前記意匠表皮部を囲むように線状の山折り部位と線状の谷折り部位とが設けられているとともに、前記一般表皮部は、前記表皮を裏面側から見た場合に前記山折り部位に沿って前記表皮を山折り状態とし且つ前記谷折り部位に沿って前記表皮を谷折り状態とすることで構成されている表皮。 - 前記意匠表皮部は、前記一般表皮部に持ち上げられた状態で前記表皮の外面側に配置されている請求項1に記載の表皮。
- 前記表皮の外面には、共通の多角形状の平面形状を備えた複数の意匠表皮部が設けられているとともに、
前記共通の多角形状の平面形状内でその中心を通る一本の仮想直線を想定し、前記仮想直線の向きを平面形状の向きとした場合、複数の意匠表皮部は、前記平面形状の向きを揃えて配置されている請求項1又は2に記載の表皮。 - 前記表皮の外面には、共通の多角形状の平面形状を備えた複数の意匠表皮部が設けられているとともに、
前記共通の多角形状の平面形状内でその中心を通る一本の仮想直線を想定し、前記仮想直線の向きを平面形状の向きとした場合、前記複数の意匠表皮部の中で少なくとも一対の意匠表皮部は、互いに平行移動の関係とならないように前記平面形状の向きを異ならせて配置されている請求項1又は2に記載の表皮。 - 前記表皮の外面には、少なくとも一対の意匠表皮部が設けられているとともに、一方の意匠表皮部の平面形状は、前記一方とは異なる他方の意匠表皮部の平面形状と同形又は異形の多角形状である請求項1又は2に記載の表皮。
- 前記山折り部位と前記谷折り部位は、各々、前記表皮の裏面に設けられた線状の溝で構成されているとともに、前記溝の延長方向に直交する方向の寸法を溝の幅寸法とした場合に、前記谷折り部位をなす溝の幅寸法と、前記山折り部位をなす溝の幅寸法とが異なっている請求項1〜5のいずれか一項に記載の表皮。
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