JP6450976B2 - 乗物用シート - Google Patents

乗物用シート Download PDF

Info

Publication number
JP6450976B2
JP6450976B2 JP2015105501A JP2015105501A JP6450976B2 JP 6450976 B2 JP6450976 B2 JP 6450976B2 JP 2015105501 A JP2015105501 A JP 2015105501A JP 2015105501 A JP2015105501 A JP 2015105501A JP 6450976 B2 JP6450976 B2 JP 6450976B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
seat
low
seat cover
yarn
extension
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2015105501A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2016214737A (ja
Inventor
昌平 山田
昌平 山田
慎介 中島
慎介 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Boshoku Corp
Original Assignee
Toyota Boshoku Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Boshoku Corp filed Critical Toyota Boshoku Corp
Priority to JP2015105501A priority Critical patent/JP6450976B2/ja
Publication of JP2016214737A publication Critical patent/JP2016214737A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6450976B2 publication Critical patent/JP6450976B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Knitting Of Fabric (AREA)

Description

本発明は、シートパッドを被覆するシートカバーが、低伸張部位と、低伸張部位よりも伸びやすい高伸張部位を有する乗物用シートに関する。
この種の乗物用シートでは、シート性能向上の観点から、シートカバーの伸び特性を部分的に異ならせたいとの要請がある。例えば乗員に接するシートカバー部分を伸びやすくすることで、乗員に対するフィット感を向上させることができる。またシートカバーの側部を伸びにくくすることにより、カーブ走行時における乗員に対する支持性能が向上する。例えば特許文献1に開示の乗物用シートでは、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、シートパッドを被覆する織物又は編物製のシートカバーを有する。そこでシートカバーに、糸材が密に配置された第一部位と、糸材が疎に配置されて第一部位に比して伸びやすい第二部位を形成する。このように公知技術では、シートカバーをなす糸材が粗密に適宜配置されることで、シートカバーを、部分的に伸びやすくしたり伸びにくくしたりすることができる。
特開2015−2830号公報
しかし公知技術の構成では、第二部位において、シートカバーの糸材が相対的に粗に配置されることから、シートカバーの剛性が低下して支持性能が悪化することが懸念される。このため公知技術の構成は、乗員の支持性能向上の観点から、すんなり採用できる構成ではなかった。本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、シートカバーの伸び特性を性能良く部分的に異ならせることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の乗物用シートは、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、シートパッドを被覆する編物製のシートカバーとを備える。本発明では、シートカバーが、低伸張部位と、低伸張部位よりも伸びやすい高伸張部位を有するのであるが、この種のシート構成では、シートカバーの伸び特性を性能良く部分的に異ならせることが望ましい。
そこで本発明では、低伸張部位と高伸張部位が、所定長さの糸材のループで形成された編目と、編目に比して長い糸材のループで形成された他の編目の少なくとも一方を有して、コース方向及びウェール方向における所定面積当たりの目数が同一とされるとともに、高伸張部位が、低伸張部位に比して多くの他の編目を有して伸びやすくされる。本発明では、高伸張部位が、低伸張部位と同一の目数(編目の数)を有することから、相対的に剛性が極端に低下することを好適に回避することができる。その上で高伸張部位が、低伸張部位に比して、相対的に長い糸材のループで形成された他の編目を多く有して伸びやすくされることにより、乗員に対するフィット感を好適に向上させることができる。
第2発明の乗物用シートは、第1発明の乗物用シートであって、シートカバーをなす糸材の少なくとも一部が嵩高加工された糸材であり、嵩高加工された糸材が、高伸張部位と低伸張部位に跨って配置する。本発明では、ふんわりとした嵩高加工された糸材によって、低伸張部位と高伸張部位の境目が曖昧とされて意匠性に優れるシート構成となる。
本発明に係る第1発明によれば、シートカバーの伸び特性を性能良く部分的に異ならせることができる。また第2発明によれば、シートカバーの伸び特性を更に性能良く部分的に異ならせることができる。
乗物用シートの正面図である。 低伸張部位の正面図である。 高伸張部位の正面図である。 他の高伸張部位の正面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図4を参照して説明する。各図には、適宜、乗物用シート上方に符号UP、乗物用シート下方に符号DWを付す。なお図2〜図4において、各図に示された複数の編目は全て同一ループ長の編目であるが、編目同士の配置関係をわかりやすく図示するため、中央に図示された各編目を太線で示し、端側に図示された各編目を細線で示す。図1の乗物用シート2は、シートクッション4と、シートクッション4に起倒可能に連結するシートバック6と、ヘッドレスト8を有する。これらシート構成部材は、各々、シート骨格をなすシートフレーム(4F,6F)と、シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッド(4P,6P)と、シートパッドを被覆するシートカバー(4S,6S)を有する。ここでシートパッド(4P,6P)は、典型的に略矩形の部材であり、例えばポリウレタンフォーム(密度:10kg/m〜60kg/m)等の発泡樹脂で形成できる。
本実施形態では、図1を参照して、シートクッション4の後部に、シートバック6の下部が起倒可能に連結する。またシートバック6の上部にはヘッドレスト8が一体的に設けられる。このヘッドレスト8は、シートバック6の上部中央が上方に突出することで構成される。そしてシートバック6とヘッドレスト8の間には、意匠性向上の観点等から一対の孔部Hが設けられており、この一対の孔部Hが、シート幅方向に並列して配置する。
[シートバック]
そしてシートバック6は、上述の基本構成(6F,6P,6S)を有して、天板メイン部6aと一対の天板サイド部6bに区分けされる。ここで天板メイン部6aは、シート幅方向におけるシートバック6の中央部位であり、シートバック起立時を基準としてシート上下方向に延びる。また各天板サイド部6bは、各々、シート幅方向における天板メイン部6a両側に配置する部位であり、シートバック起立時を基準としてシート上下方向に延びる。これら各天板サイド部6bは、それぞれ天板メイン部6aよりも着座側に突出しており、カーブ走行時等に乗員側部を支持できる。
[シートクッション]
またシートクッション4は、上述の基本構成(4F,4P,4S)を有して、天板メイン部4aと一対の天板サイド部4bに区分けされる。ここで天板メイン部4aは、シート幅方向におけるシートクッション4の中央部位であり、シート前後方向に延びる。また各天板サイド部4bは、各々、シート幅方向における天板メイン部4a両側に配置する部位であり、シート前後方向に延びる。これら各天板サイド部4bは、それぞれ天板メイン部4aよりも着座側に突出しており、カーブ走行時等に乗員側部を支持できる。
[シートカバー]
そして本実施形態では、シートバック6のシートカバー6Sが、後述する一枚物の編物で構成されており、天板メイン部6aと天板サイド部6bに跨って配置する。このシートカバー6Sは、後述する低伸張部位10aと、複数の高伸張部位(第一高伸張部位21a,第二高伸張部位22a)を有しており、これら部位毎に伸び特性が異なる。またシートクッション4のシートカバー4Sも同様に一枚物の編物で構成されており、天板メイン部4aと天板サイド部4bに跨って配置する。このシートカバー4Sも、後述する低伸張部位10bと、複数の高伸張部位(第一高伸張部位21b,第二高伸張部位22b)を有しており、これら部位毎に伸び特性が異なる。
すなわち乗物用シート2においては、シート性能向上の観点から、各低伸張部位10a,10bが相対的に伸びにくい部位とされ、各高伸張部位21a,22a,21b,22bが相対的に伸びやすい部位とされる。こうして本実施形態では、シートの着座性向上の観点等から、各シートカバー4S,6Sの伸び特性を部分的に異ならせるのであるが、この種のシート構成では、各シートカバー4S,6Sの伸び特性を性能良く異ならせることが望ましい。そこで本実施形態では、後述の構成によって、各シートカバー4S,6Sの伸び特性を性能良く異ならせることとした。以下、各構成について詳述する。
[シートバックの低伸張部位・高伸張部位]
図1のシートカバー6Sにおいては、低伸張部位10aを、シート幅方向におけるシートカバー6S側部と、シートカバー6S中央の一部に設けることができる。シートカバー6S側部の低伸張部位10aは、シート上下方向に連続的に形成されており、ヘッドレスト8の両側と天板サイド部6bに専ら配置する。またシートカバー6S中央の低伸張部位10aは、シート幅方向に天板メイン部6aを横断する帯状の部分であり、略U字状をなしながら天板メイン部6aの下部に配置する。
また高伸張部位(第一高伸張部位21a,第二高伸張部位22a)を、低伸張部位10aの形成箇所を除くシートカバー6S中央に設けることができる。ここで第一高伸張部位21aは、後述の低伸張部位10aよりも伸びやすい部位であり、第二高伸張部位22aは、第一高伸張部位21aよりも伸びやすい部位である。そして第一高伸張部位21aは、天板メイン部6aの下部中央に設けられた半楕円状の部位であり、その一部に、上述の低伸張部位10aが横断状に配置する。また第二高伸張部位22aは、第一高伸張部位21aよりも上の天板メイン部6aの上部と、シート幅方向におけるヘッドレスト8の中央に設けられる。天板メイン部6aの第二高伸張部位22aは、正面視で下部が円形状に凹んだ略矩形状をなしており、シート幅方向で見て孔部Hから下の部分がやや幅狭とされており、下方に向かう途中で幅広な形状とされる。
[シートクッションの低伸張部位・高伸張部位]
図1のシートカバー4Sにおいては、低伸張部位10bを、シートカバー4S側部に設けることができる。シートカバー4S側部の低伸張部位10bは、シート前後方向に連続的に形成されており、シート幅方向における各天板サイド部4bの外側に配置する。また高伸張部位(第一高伸張部位21b,第二高伸張部位22b)を、シートカバー4S中央と、低伸張部位10bの形成箇所を除くシートカバー4S側部に設けることができる。シートカバー4S中央の第一高伸張部位21bは、天板メイン部4aの後部に配置する前部が半円状をなす略矩形状の部位であり、シート幅方向における両側が天板サイド部4bにはみ出して配置する。また第二高伸張部位22bは、第一高伸張部位21bを囲むように、天板メイン部4aの前部と、各天板サイド部4bの内側に設けることができる。
[シートカバーの形成]
本実施形態では、図2〜図4を参照して、糸材Y1を用いて、シートカバー4S,6Sとしての編物を形成する。なおシートカバー4S,6Sとしての編物は、経編又は緯編のいずれであってもよい。ここで緯編として、基本組織(平編,ゴム編(リブ編),パール編)やその変化組織を例示できる。また経編として、基本組織(デンビー編,コード編,アトラス編,鎖編)やその変化組織を例示できる。そして本実施形態では、シートバック6のシートカバー6Sと、シートクッション4のシートカバー4Sが略同一の編み方で形成されることから、以下に、シートバック6のシートカバー6Sを一例に説明する。
ここで糸材Y1として、植物系及び動物系の天然繊維、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる化学繊維及びこれらの混繊糸を例示できる。また糸材Y1は、上記材質の線材であればよく、例えば紡績糸、フィラメント、延伸糸、嵩高加工された糸材(モール糸,タスラン加工糸,仮撚加工糸,カバリング糸等)を例示できる。特にこの種の糸材Y1として、嵩高加工された糸材を用いることが好ましい。そして嵩高加工された糸材としての糸材Y1を、低伸張部位10aと各高伸張部位21a,22aに跨って配置することで、これら隣り合う部位同士の境目が曖昧となる。このため嵩高加工された糸材を、シートカバー6Sの糸材の少なくとも一部に用いることにより、シートカバー6Sが、一見して同様の外観を呈して意匠性に優れるシート構成となる。
そして例えば横編機を用いて、図2〜図4を参照して、シートカバー6Sとしての横編の編物を作成する。このとき本実施形態では、低伸張部位10aと各高伸張部位21a,22aにおいて、コース方向X及びウェール方向Yにおける所定面積当たりの目数(編目の数)が同一に設定されて、各部位における糸材Y1の密度が略同一とされる。このように各高伸張部位21a,22aが、低伸張部位10aと同一の目数を有して同等の密度を有することで、相対的に剛性が極端に低下することを好適に回避できる。なお所定面積とは、例えば縦横1インチの四角で囲ったシートカバー部分の面積のことである。
また本実施形態では、図2を参照して、低伸張部位10aにおいて、所定ループ長L1の糸材Y1のループで形成された編目R1によって全ての編地を形成する。そして図3及び図4を参照して、各高伸張部位21a,22aにおいては、編目R1に比して長い糸材Y1のループで形成された他の編目(中編目R2,大編目R3)にて編地を形成する。すなわち図3を参照して、第一高伸張部位21aにおいては、ループ長L2(L2>L1)の糸材Y1のループで形成された中編目R2によって全ての編地を形成する。さらに図4を参照して、第二高伸張部位22aにおいては、ループ長L3(L3>L2)の糸材Y1のループで形成された大編目R3によって全ての編地を形成する。このように本実施形態では、各高伸張部位21a,22aを形成する他の編目R2,R3が、それぞれ相対的に長いループ長を有することで、低伸張部位10aに比して伸びやすくされる。更に第二高伸張部位22aの大編目R3が、最も長いループ長を有することで、低伸張部位10aに比して更に伸びやすくされる。
ここでシートカバー6Sの裏面には、必要に応じて、パッド材や裏打材(いずれも図示省略)を設けることができる。パッド材は、弾性的に伸縮可能な面状又はマット状の部材である。この種のパッド材の素材として、スラブウレタン、綿材、3Dネット体(繊維を三次元状に編製してなる部材)を例示できる。また裏打材は、シートカバー6Sの裏面側に配置する面状の部材である。この裏打材の素材として、天然繊維又は合成繊維からなる布帛(織物,編物,不織布)や皮革(天然皮革,合成皮革)を例示でき、典型的にはシートカバー6Sよりも剛性に優れる素材で形成できる。そしてシートカバー6Sの裏面に、パッド材と裏打材の少なくとも一方を積層したのち、これらを接着や融着や縫合等の手法で一体化することができる。
[乗物用シートの使用]
図1を参照して、シートバック6に乗員がもたれることにより、乗員背部が天板メイン部6aを強く押圧する。このとき天板メイン部6aの各高伸張部位21a,22aが適度に伸長して乗員にフィットすることから、着座性に優れるシート構成となる。特に本実施例では、第一高伸張部位21aが適度な伸びやすさを有して、乗員背部にフィットしながらしっかりと支持する。また第二高伸張部位22aが、第一高伸張部位21aよりも伸びやすくされて、乗員首部などに柔軟にフィットする。また天板メイン部6aの下部に接した乗員腰部が、天板メイン部6aの低伸張部位10aにてしっかり支持される。そして天板サイド部6bの低伸張部位10aによって、カーブ走行時の乗員をしっかりと支持できる。
またシートクッション4に乗員が着座することにより、乗員臀部が天板メイン部4aを強く押圧する。このとき天板メイン部4aの各高伸張部位21b,22bが適度に伸長して乗員にフィットすることから、着座性に優れるシート構成となる。特に本実施例では、第一高伸張部位21aが適度な伸びやすさを有して、乗員臀部にフィットしながらしっかりと支持する。また第二高伸張部位22bが、第一高伸張部位21bよりも伸びやすくされて、乗員脚部に柔軟にフィットする。そして天板サイド部4b外側の低伸張部位10bによって、カーブ走行時の乗員をしっかりと支持できる。
以上説明したとおり本実施形態では、各高伸張部位21a,22a(21b,22b)が、対応する低伸張部位10a(10b)と同一の目数を有することから、相対的に剛性が極端に低下することを好適に回避することができる。その上で各高伸張部位21a,22a(21b,22b)が、対応する低伸張部位10a(10b)に比して、相対的に長い糸材Y1のループで形成された他の編目R2,R3を多く有して伸びやすくされることにより、乗員に対するフィット感を好適に向上させることができる。また本実施形態では、ふんわりとした嵩高加工された糸材Y1によって、各低伸張部位10a(10b)と対応する高伸張部位21a,22a(21b,22b)の境目が曖昧とされて、境界線に対するぼやかし効果を備えた意匠性に優れるシート構成となる。このため本実施形態によれば、シートカバー4S,6Sの伸び特性を性能良く異ならせることができる。
[試験例]
以下、本実施形態を試験例に基づいて説明するが、本発明は試験例に限定されない。なお後述の[表1]に、実施例1及び2と比較例1の編物の詳細を示す。また[表2]及び[表3]に、実施例3〜7の編物の詳細を示し、[表4]に、実施例3〜7の編物における各試験の結果を示す。
[実施例1]
[表1]に示す実施例1では、横編機(島精機製の型式SWG091N(15ゲージタイプ))を用いて、シートカバーとしての横編みの編物(変形リブ編)を作成した。また編物の糸材として、繊度853dtexのモール糸(東レ社製、品名:NJ42、材質:ポリエチレンテレフタレート(PET))を使用した。また低伸張部位と各高伸張部位においては、いずれもタテ(ウェール方向)の目数を16目/inchに設定し、ヨコ(コース方向)の目数を39目/inchに設定した。そして低伸張部位では、ループ長3.8mmの糸材のループで形成された編目によって全ての編地を形成した。また第一高伸張部位では、ループ長4.1mmの糸材のループで形成された中編目によって全ての編地を形成し、第二高伸張部位では、ループ長4.4mmの糸材のループで形成された大編目によって全ての編地を形成した。
そしてシートカバーの裏面に、裏基布としてのホットメルト不織布と、パッド材としてのスラブウレタンを重ねたのちこれらを140℃の熱ローラーにて接着した。ホットメルト不織布として、呉羽テック社製の品名ダイナック(品番:LNS3010)を使用し、スラブウレタンとして、イノアックコーポレーション社製の品名EL60SF(厚み:5mm)を使用した。
[実施例2]
[表1]に示す実施例2では、低伸張部位において、ループ長3.8mmの糸材のループで形成された編目によって全ての編地を形成した。また第一高伸張部位では、ループ長4.4mmの糸材のループで形成された中編目によって全ての編地を形成し、第二高伸張部位では、ループ長4.9mmの糸材のループで形成された大編目によって全ての編地を形成した。その他の条件は実施例1と同一としたが、ホットメルト不織布とスラブウレタンの接着は省略した。
[実施例3〜実施例7]
実施例3〜実施例7では、それぞれ[表2]に示す糸材を使用し、[表3]に示す条件で編物を作成した。そして実施例3〜実施例7の編物では、一つの低伸張部位と、一つの高伸張部位を作成し、その他の条件は実施例1と同一とした。また実施例3のモール糸として、モリリン社から購入したモール糸(材質:PET)を使用し、実施例4のモール糸として、東レ社製、品名:NJ42、材質:PETの糸材を使用した。また実施例5のスラタン加工糸として、モリリン社から購入したスラタン加工糸(材質:PET)を使用し、実施例6のスラタン加工糸として、カワボウテクスチャード社製、品名:ORL670SD、材質:PETの糸材を使用した。また実施例7の通常PET糸として東レ社製、品名:B20Nの糸材を使用した。
[比較例1]
[表1]に示す比較例1の編物では、ループ長3.8mmの糸材のループで形成された編目によって全ての編地を形成した。その他の条件は実施例1と同一とした。
[乗り心地官能試験]
本試験では、実施例1の編物と、比較例1の編物を、それぞれシートカバーとして使用してその乗り心地を確認した。すなわち図1を参照して、シートパッド(ポリウレタンフォーム製、密度30kg/m、厚み20cm)に各編物を取付けたのち、静的な状態で着座した際の乗り心地を確認した。このとき実施例1の編物においては、図1に示す配置で、低伸張部位と各高伸張部位を配置した。
[編物の平坦性の確認試験]
本試験の評価用サンプルとして、A4サイズの実施例3〜実施例7の各編物を用意した。これら評価用サンプルの中央に、各々、略円形状(φ100)の高伸張部位を形成し、その周りに低伸張部位を形成した。そして評価用サンプルを平坦な試験台上に配置して、編物表面と、編物表面から最も突出した凸部分の頂点との間の距離を測定し、これらの距離を「凸部の距離」とした([表4]を参照)。この凸部分は、高伸張部位の糸材のループによって形成されており、「凸部の距離」が短いほど編物が平坦であることを示す。
[簡易ラミ加工試験(皺の発生確認試験)]
本試験の評価用サンプルとして、A4サイズの実施例3〜実施例7の各編物を用意した。これら評価用サンプルの中央に、各々、略円形状(φ100)の高伸張部位を形成し、その周りに低伸張部位を形成した。そして各実施例の編物の裏面に、実施例1のスラブウレタンを重ねて、スチームアイロンのスチーム(約110℃)で接着した。そして各編物におけるスラブウレタンの皺の有無を目視で確認した。本試験では、スラブウレタンに皺が確認できなかった場合には「○」、皺が確認できた場合には「△」と評価した([表4]を参照)。
[境界線の見え方確認試験]
本試験の評価用サンプルとして、編物の平坦性の確認試験と同一の評価用サンプルを使用した。そして編物から1m離れた場所から編物を目視で確認した。また編物から10cm離れた場所から編物を目視で確認した。本試験では、低伸張部位と高伸張部位の境界線が確認できなかった場合には「◎」、境界線が見えずらかった場合(境界線がぼんやりとして曖昧であった場合)には「○」、境界線が確認できた場合には「△」と評価した([表4]を参照)。
[製編性試験]
本試験では、実施例3〜7の編物の製編に際して、うまく製編できていた場合には「○」、糸切れなどが生じて製編できなかった場合には「×」と評価した([表4]を参照)。
Figure 0006450976

Figure 0006450976
Figure 0006450976

Figure 0006450976

[結果及び考察]
比較例1では、編物全体が一様な伸び特性を有しており、部分的に伸び特性を異ならせることはできなかった。また乗り心地官能試験の結果、比較例1の編物では、臀部や背上部への反発が強いためフィット感に劣り、すわり心地が良くなかった。
これとは異なり実施例1と実施例2の編物では、低伸張部位と各高伸張部位の間で伸び特性を好適に異ならせることができた。この結果は、各高伸張部位が、相対的に長い糸材のループで形成された他の編目を有して伸びやすくされたためと考えられる。さらに実施例1では、編物表面が略平らになり、その裏面にホットメルト不織布とスラブウレタンを良好に接着することができた。そして乗り心地官能試験の結果、実施例1の編物では、臀部や太腿への沈み込みがありフィット感が向上し、乗り心地も良くなった。そして各実施例1及び2の編物によれば、各高伸張部位が、低伸張部位と同一の目数(編目の数)を有することから、相対的に剛性が極端に低下することを好適に回避できることが容易に予測された。このため実施例1及び2によれば、シートカバーの伸び特性を性能良く異ならせることができたことがわかった。
また[表4]の簡易ラミ加工試験の結果を参照して、実施例3〜7の編物においては、スラブウレタンの皺の発生がある程度抑えられた。実施例7においてはループ長差が0.9mm以下、実施例3,4及び6においてもループ長差が0.7〜0.8mm以下までなら簡易ラミ加工時のシワの発生が好適に抑えられた。特に実施例5においては、低伸張部位と高伸張部位のループ長差が1.1mm以下までなら簡易ラミ加工時のシワの発生が好適に抑えられた。この結果は、実施例5のタスラン加工糸が、他の糸材に比して繊度が低く、空隙が多いので編物の凹凸が好適に吸収されたためと考えられる。
また[表4]の境界線の見え方確認試験の結果を参照して、嵩高加工された糸材を用いた実施例3〜6の編物においては、低伸張部位と高伸張部位の境界線が曖昧となり、境界線に対する「ぼやかし効果」があることがわかった。また近距離での見え方確認試験の結果では、同等の繊度である実施例3(モール糸)と実施例6(タスラン加工糸)と比べると、実施例6の方が、ループ長差が長い状態でも境界線に対して差がない結果となった。このことからタスラン加工糸を用いた編物が、特に優れた「ぼやかし効果」を有することがわかった。また実施例5と実施例6とを比べると、実施例6の方が、ループ長差が長い状態でも境界線に対して差がない結果となった。このことから繊度が大きい糸材を用いた編物が、優れた「ぼやかし効果」を有することがわかった。
そして[表4]の製編性試験の結果を参照して、実施例3〜7の編物はいずれも、糸切れなどが生じることなく好適に製編することができた。この結果より、ループ長差が0.3〜1.4mmの範囲においては問題なく製編できることがわかった。
本実施形態の乗物用シートは、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。本実施形態では、各高伸張部位21a,22a(21b,22b)と低伸張部位10a(10b)の構成(形状,寸法,形成位置、形成数等)を例示したが、各部位の構成を限定する趣旨ではない。すなわちシートカバーとしての編物の適所に、低伸張部位と、一種類又は複数種類の高伸張部位を複数又は単数形成することができる。また高伸張部位と低伸張部位は、一種類の糸材又は複数の糸材で形成されていてもよい。なお複数の糸材で形成する場合には、少なくともその一部に嵩高加工された糸材を用いて、この嵩高加工された糸材を、高伸張部位と低伸張部位を横断するように配置することが好ましい。
また本実施形態では、各高伸張部位21a,22a(21b,22b)と低伸張部位10a(10b)の編地全てが、一種類の編目(編目R1又は他の編目R2,R3)で形成される例を説明した。各高伸張部位と低伸張部位は、編目と他の編目の双方を有していても良く、この場合には、高伸張部位が、低伸張部位に比して多くの他の編目を有して伸びやすくされる。そして高伸張部位においては、低伸張部位の境目から離れるに従って次第にループ長が段階的に又は連続的に長くなるように形成されていてもよい。
また本実施形態の構成は、車両や航空機や電車などの乗物用シート全般に適用できる。
2 乗物用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
4S シートカバー
6S シートカバー
4a 天板メイン部
4b 天板サイド部
6a 天板メイン部
6b 天板サイド部
10a,10b 低伸張部位
21a,21b 第一高伸張部位
22a,22b 第二高伸張部位
H 孔部
R1 編目
R2 中編目
R3 大編目
Y1 糸材

Claims (2)

  1. シート外形をなして乗員を弾性的に支持するシートパッドと、前記シートパッドを被覆する編物製のシートカバーとを備え、前記シートカバーが、低伸張部位と、前記低伸張部位よりも伸びやすい高伸張部位を有する乗物用シートにおいて、
    前記低伸張部位と前記高伸張部位が、所定長さの糸材のループで形成された編目と、前記編目に比して長い糸材のループで形成された他の編目の少なくとも一方を有して、コース方向及びウェール方向における所定面積当たりの目数が同一とされるとともに、
    前記高伸張部位が、前記低伸張部位に比して多くの前記他の編目を有して伸びやすくされる乗物用シート。
  2. 前記シートカバーをなす糸材の少なくとも一部が嵩高加工された糸材であり、前記嵩高加工された糸材が、前記高伸張部位と前記低伸張部位に跨って配置する請求項1に記載の乗物用シート。
JP2015105501A 2015-05-25 2015-05-25 乗物用シート Expired - Fee Related JP6450976B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015105501A JP6450976B2 (ja) 2015-05-25 2015-05-25 乗物用シート

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015105501A JP6450976B2 (ja) 2015-05-25 2015-05-25 乗物用シート

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016214737A JP2016214737A (ja) 2016-12-22
JP6450976B2 true JP6450976B2 (ja) 2019-01-16

Family

ID=57579638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015105501A Expired - Fee Related JP6450976B2 (ja) 2015-05-25 2015-05-25 乗物用シート

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6450976B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US11001946B2 (en) * 2018-08-10 2021-05-11 GM Global Technology Operations LLC Knitted durable fabrics for use on vehicle seats
DE102019208225B4 (de) * 2019-06-05 2021-10-28 Brose Fahrzeugteile SE & Co. Kommanditgesellschaft, Coburg Fahrzeugsitz mit einem durchgehenden Sitzbezug

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009161868A (ja) * 2007-12-28 2009-07-23 Gunze Ltd 下半身用衣類
DE102009032398A1 (de) * 2009-07-08 2011-01-13 Franz Kiel Gmbh & Co. Kg Sitzbezug für einen Fahrzeugsitz
JP2013099470A (ja) * 2011-11-09 2013-05-23 Okawa Nitto:Kk 椅子張り用布帛
JP6098388B2 (ja) * 2013-06-20 2017-03-22 トヨタ紡織株式会社 乗物用シート

Also Published As

Publication number Publication date
JP2016214737A (ja) 2016-12-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6213374B2 (ja) 乗物用シート
US8801094B2 (en) Vehicle seat
KR20160124090A (ko) 차량용 시트 및 차량용 시트의 제조 방법
JP6691913B2 (ja) エンボス加工用複合材およびエンボス加工品
US9022481B2 (en) Cushion member and seat structure
JP6450976B2 (ja) 乗物用シート
US20140339878A1 (en) Base net and seat structure
JP2013095349A (ja) 車両用シート
KR20130000221U (ko) 가죽들뜸 방지 및 통풍 기능을 갖는 자동차 시트커버용 원단 및 이를 이용한 자동차 시트커버
JP4544520B2 (ja) 体圧分散型クッション布帛とクッション体
JP6544846B2 (ja) 鉄道車両用座席
CN114575025A (zh) 用热收缩纱线制成的针织制品
JP6152800B2 (ja) 乗物用シート
JP2003342859A (ja) 立体編物及びシート構造
JP6098388B2 (ja) 乗物用シート
JP4772487B2 (ja) 車両用シート構造
JP2017206089A (ja) 乗物用シートのシートカバー
JP6102557B2 (ja) 乗物用シート
JP2017202799A (ja) 乗物用シートのシートカバー
CN112009332B (zh) 舒适就座的技术性针织结构
JP5189285B2 (ja) バケットシート
JP4623490B2 (ja) シート構造
KR101173224B1 (ko) 자동차 내부 패널용 완충 원단
JP6900292B2 (ja) 乗物用シートのシートカバー
JP6856486B2 (ja) 車両用シート

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20171218

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20180927

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20181106

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20181119

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6450976

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees