JP2013099470A - 椅子張り用布帛 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、軽量化、蒸れ解消、短時間の座り心地の快適さは勿論、長時間座ったままの状態での座り心地も快適な椅子を得ることのできる椅子張り用布帛を提供するものである。
【解決手段】
本発明の椅子張り用布帛は、目付けが200〜1200g/m、厚みが0.3〜3mm、布帛中に使用される弾性糸の使用量が30〜80wt%である布帛を、座面部面積Eの5〜50%エリアで伸縮性が大きいエリアF1,F2を設け、布帛の最大圧力値E(g/cm)を、同一編地で伸縮性の大きいエリアを設けなかった布帛の同じ座面場所における最大圧力値P(g/cm)で除したE/P値が0.4〜0.97の範囲なるようにした。
【選択図】 図1

Description

本発明は、椅子張り用の布帛に関し、特に長時間使用しても疲れ難い椅子張り用布帛に関する。
近年、特に事務用椅子の特性としてデザインは勿論のことであるが、軽量であること、及び、蒸れないとか長時間の使用でも疲れない等の座り心地が良好であることが謳われている。そのため、従来から使用されてきたパイプ椅子、すなわち臀部を置く座面部が硬い平板の上に薄い発泡ウレタン層を貼り、さらにその上をフラットな薄い皮膜で覆った安価なパイプ椅子から、厚みのあるウレタンフォームや詰め綿等のクッション材料を詰め込んでなる柔らかで、かつ、座面に臀部曲面の凹みを持たせた座面部を備えた詰め綿式椅子に変わってきた。
しかしながら、このような詰め綿式椅子は詰め物を用いているため、決して軽量ではなく、また特に夏場にはその詰め物のために蒸れやすい欠点があり、さらに座面に臀部曲面の凹みを持たせたにも拘らず長時間使用すると底付き感があるため臀部を圧迫し、従来のパイプ椅子において発生した痺れ感が解消できていないのである。
上記の欠点等を解消せんとして弾性糸を含んだ伸縮性のあるメッシュ状布帛を使用した椅子が開発された。
しかしながら、伸縮性メッシュ状布帛をもって作られた椅子は、軽量にすること及び蒸れをなくすことは解決したが、底付き感は解消されておらず、長時間座り続けると臀部が次第に圧迫され、その結果として臀部に軽い痺れを感ずることについては未だ解決されていない。この軽い痺れ感の原因は、伸縮性ある布帛を使用しているにも拘わらず着座した時の体重による荷重によって弾性糸全体がほんの少しだけ均等に伸ばされた状態となって留まっているために、伸縮性布帛が全体的に緊張状態となっており、この伸縮性布帛の緊張状態による臀部への耐圧分散が臀部の凹凸形状に拘わらず均等となるため、臀部の凸部では体圧分散が高い反力となって伸縮性布帛より押し返されることにある。したがって長時間座り続けると、あたかも少し硬いシートに座っているような状態と似た感じとなり、それが臀部圧迫となって痺れを感ずるのである。
上記した伸縮性メッシュ状布帛で作られた椅子は、軽量、蒸れ解消、短時間の座り心地を良好にすることは達成できたが、長時間座ったままの状態では痺れをもよおすため、長時間の座り心地については満足が得られていないのが現状である。
本発明は、上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、軽量、蒸れ解消、短時間の座り心地は勿論、長時間座ったままの状態での座り心地も快適な椅子を得ることのできる椅子張り用布帛を提供するものである。
(1)本発明に係る椅子張り用布帛は、布帛の少なくとも1つのエリアが該エリアの他の部分より伸縮性が大きいことを特徴とする。
すなわち、上記(1)の椅子張り用布帛は、例えば少なくとも目付けが200g/m以上、1200g/m以下で、厚みが0.3mm以上、3mm以下の布帛であって、該布帛の少なくとも1エリアが他の部分より伸縮性が大きいことを特徴とするため、例えば臀部の凸状部が置かれる位置を伸縮性が大きいエリアとすると、臀部の凸状に沿って布帛が伸長するので底付き感が少なく、また、臀部の凸状部以外の箇所は比較的伸縮性が小さいので身体の荷重全体を安定的に十分に支持することができる。したがって、軽量で、長時間の使用でも底付き感が少なく、疲れ難い椅子張り用布帛を得ることができる。
(2)また、上記(1)の構成において、該布帛中に重量パーセントで30%以上、100%以下の弾性糸が含まれている構成としてもよい。
すなわち、上記(2)の椅子張り用布帛は、例えば少なくとも目付けが200g/m以上、1200g/m以下で、厚みが0.3mm以上、3mm以下の布帛であって、該布帛の少なくとも1エリアが他の部分より伸縮性が大きく、該布帛中に重量パーセントで30%以上、100%以下の弾性糸が含まれていることを特徴とするため、上記(1)の構成においては、弾性糸を含まず布帛の組織のみを変化させることや、布帛に対する他の加工方法で布帛に部分的に伸縮性を付与する構成も含むものであるが、上記(2)の構成においては、例えば伸縮性を大きくする箇所に弾性糸を使用すれば、布帛の組織を変化させるか否かに拘わらず、必要な箇所の伸縮性を大きくすることが可能となるため、製作容易で、軽量で底付き感が少なく、長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛を得ることができる。
(3)さらに、上記(1)又は(2)の構成において、該布帛を張設した椅子における座面部の布帛部における伸縮性が大きいエリアの面積が5%〜50%である構成としてもよい。
すなわち、上記(3)の椅子張り用布帛は、該布帛を張設した椅子において、背もたれ部を除いた座面部で布帛部の伸縮性が大きいエリアの面積が5%〜50%であることを特徴とするため、例えば布帛の伸縮性が比較的小さい箇所で身体の荷重を安定的に支持し、布帛の伸縮性の大きい箇所で臀部の凸状部に沿って布帛が伸長するので良好な座り心地感が得られ、さらに軽量で底付き感が少なく、長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛を得ることができる。
(4)さらにまた、上記(1)〜(3)の各構成において、椅子に仕上がった状態の座面部において、人が着座することによる荷重領域に伸縮性が大きいエリアを設けた場合の布帛の該荷重領域における最大圧力値E(g/cm)を、伸縮性の大きいエリアを設けなかった場合の布帛の荷重領域における最大圧力値P(g/cm)で除したE/P値が0.4〜0.97の範囲である構成としてもよい。
すなわち、上記(4)の椅子張り用布帛は、椅子に仕上がった時の背もたれ部を除いた座面部に於いて、圧力分布・面圧測定シート(株式会社ケン・オートメーションのXSENSOR)を座面部に置き、その上に同一人物が座ることでの体圧分散測定方法において、伸縮性が大きいエリアを設けた布帛の最大圧力値E(g/cm)を、同一編地で伸縮性の大きいエリアを設けなかった布帛の同じ座面場所における最大圧力値P(g/cm)で除したE/P値が0.4〜0.97の範囲であるため、軽量で底付き感が少なく長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛を得ることができる。
(5)また、上記(1)〜(4)の各構成において、伸縮性を大きくするエリアを、布帛の伸縮性を大きくするエリア外の部分に樹脂を付与することにより樹脂を付与した部分の布帛組織又は弾性糸の伸縮性を抑制し、伸縮性を大きくするエリアの伸縮を残すことにより形成してもよい。
(6)さらに、上記(1)〜(4)の各構成において、伸縮性を大きくするエリアの形状に穴を開けた多孔通気フィルムを前記布帛に接着することにより、多孔通気フィルムを接着した布帛において伸縮性を大きくするエリア外の部分における布帛組織又は弾性糸の伸縮性を抑制し、伸縮性を大きくするエリアの伸縮性を残すことにより、伸縮性を大きくするエリアを形成してもよい。
(7)さらにまた、上記(1)〜(4)の各構成において、伸縮性を大きくするエリアを、布帛の伸縮性を大きくするエリア外の部分を加熱セット又は部分溶融させることによって、加熱セット又は部分溶融した部分の布帛組織又は弾性糸の伸縮性を抑制し、伸縮性を大きくするエリアの伸縮を残すことにより伸縮性の大きいエリアを形成してもよい。
すなわち、上記(5)〜(7)の椅子張り用布帛は、伸縮性の大きいエリアを得る方法が、布帛のエリア外の部分に樹脂をプリント等で付与する方法や、あるいはエリア形状に穴を開けた多孔通気フィルムを接着する方法により、布帛のエリア外の部分の布帛組織又は弾性糸の伸縮を抑制し、エリア部分の伸縮は残すことによる方法、あるいは、布帛のエリア外の部分を加熱セット若しくは部分溶融させることによって、布帛のエリア外の部分の布帛組織又は弾性糸の伸びを抑制し、エリア部分の伸縮は残すことによる方法であるため、布帛の伸縮性を大小に変化させるために必ずしも布帛組織を変化させたり、部分的に弾性糸を挿入することなく、後加工により伸縮性の大きいエリアを得ることが可能であるため生産が容易であり、さらに軽量で底付き感が少なく、長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛を得ることができる。
(8)また、上記()〜(4)の各構成において、該布帛に弾性糸を含み、伸縮性を大きくするエリアを、少なくとも前記弾性糸の1つが、200℃以下の融点成分を一部に有し、伸縮性を大きくするエリア外の部分のみを加熱して溶融又は半溶融させることにより伸縮性の大きいエリアを形成してもよい。
すなわち、上記(8)の椅子張り用布帛は、少なくとも布帛を構成する繊維の1つが、200℃以下の融点成分を一部に有する弾性糸であり、エリア外部分のみを加熱して溶融〜半溶融させることを特徴とするため、さらに軽量で底付き感が少なく、長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛を得ることができる。
(9)さらに、上記(2)〜(8)の各構成において、該布帛に弾性糸を含み、少なくとも布帛を構成する繊維の弾性糸の1つが、ポリエステル系エラストマーである構成としてもよい。
すなわち、上記(9)の椅子張り用布帛は、布帛を構成する繊維の弾性糸が東洋紡績株式会社が製造するポリエステル系エラストマーのダイヤフローラ(登録商標)であることを特徴とするため、さらに軽量で底付き感が少なく、長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛となる。
(10)さらにまた、上記(1)〜(9)の各構成において、該布帛が編物である構成としてもよい。
すなわち、上記(10)の椅子張り用布帛は、該布帛が編物であるため、さらに軽量で底付き感が少なく、長時間使用でも疲れ難い椅子張り用布帛となる。
本発明の椅子張り用布帛は、従来からある椅子に使用されている布帛の問題点であった軽量とすること、及び、蒸れないようにすることの他に、短時間及び長時間の使用でも臀部に痺れ感が発生しないことを達成することができた。
本実施例における椅子張り用布帛に関して、(a)は布帛のサイズを示す平面図であり、(b)は前記(a)の布帛において、座面部の伸縮性を大きくするエリア部F1,F2の形状を示す平面図であり、(c)は前記(a)の布帛に金属パイプを挿入した状態を示す平面図である。 座面部と背面部とを取り外したパイプ椅子の斜視図である。 図2に示すパイプ椅子に図1の(c)に示す布帛を固定した斜視図である。 (a)は圧力分布・面厚測定シートの概略平面図であり、(b)は圧力分布・面厚測定シートを座面部に設置してコンピュータに接続した状態を示す概略側面図である。 被験者が着座した状態を示す斜視図である。 開発品と比較品との測定結果を示す体圧分散画像である。 開発品と比較品との測定結果を示す体圧分散グラフである。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に使用される椅子用布帛の目付けは200g/m以上、1200g/m以下が好ましい。200g/m未満では中高生以上の体格を有する者の使用には耐久性が無い。また1200g/mを超える布帛では軽量を謳うにはふさわしくない以上に通気性低下から蒸れ性の増加や、伸縮性エリア特性が発揮できないためである。標準的な体格を有するものに対して汎用性を備えた商品としてより好ましくは椅子用布帛の目付けは300g/mから850g/mである。
また本発明に使用される椅子用布帛の厚みとしては0.3mm以上、3.0mm以下が好ましい。0.3mm未満では、中高生以上の体格を有する者の使用には耐久性が無いだけでなく、椅子の骨組みと接する部分は何かと他の機材(机の脚部等)に当たり、穴や破れを生じやすくなる。また3.0mmを越えると当たりによる穴や破れは少ないが、軽量を謳うにはふさわしくない以上に通気性低下から蒸れ性の増加や、伸縮性エリア特性が発揮できないためである。さらに耐久性を向上させ、軽量化を十分に謳え、通気性が良好で伸縮性エリア特性がさらに発揮されるためには、より好ましくは0.7mmから2.0mmである。
また本発明に使用される椅子用布帛中に含まれる弾性糸としては特に制限するものでなく、天然ゴムやスパンデックス等のウレタン系繊維やポリエステルーエーテル共重合繊維やポリオレフィン系弾性糸などの伸縮性能を保有する素材であればモノフィラメントであってもマルチフィラメントでも良い。布帛中に占める弾性糸の重量%割合は30%以上、100%以下が好ましい。30%未満では長時間使用の椅子から立ち上がった時に臀部によって加圧された本発明のエリアを含めた部分の弾性回復が遅れ、凹んだままの状態の持続時間が長くなる。また、より好ましくは40%から70〜80%である。その理由は、弾性糸として東洋紡績株式会社が製造するポリエステル系エラストマーのダイヤフローラ(登録商標)を使用した場合、当該弾性糸は吸水性が乏しいため弾性糸の使用量を100重量%とすると、身体から発する汗などの体液がそのまま滞留することとなり、蒸れるなどの不快感に繋がる可能性がある。そのため、70〜80重量%として他の繊維素材を混合することにより、前記の体液が他の繊維素材が吸収して発散することとなり、快適なしよう考えられる。この場合の弾性糸以外の繊維素材としては特に限定しないが、汎用性繊維素材の面からポリエステル繊維が好ましい。
また本発明に使用される椅子用布帛中の大きな伸縮特性値を示すエリアの面積は、椅子の座面の場所の面積の5%以上、50%以下が好ましい。5%未満では座った時の臀部の膨らみ部を受け止めるには面積が小さすぎて本発明の効果が得られないばかりか、エリア部位とエリア外部位との境界部が臀部に圧迫となってくる。また50%を超えると、使用者の臀部のほとんどの部分がエリア内に入り込むためにエリア部で体重を受けることになって、底付き感が発生してしまうからである。標準的な体格を有するものに対して汎用性を備えた商品としてより好ましくは10%から35%である。
また本発明に使用される椅子用布帛中の大きな伸縮特性値を示すエリアを得る方法としては、エリア外部位の伸縮性をエリア内部位より小さくすれば得られる。この方法として例えばエリア外部面積のみに樹脂が付着するように形取ったスクリーンプリントにて、低伸縮性を有する、例えばウレタン系樹脂を付与〜硬化させる方法や、エリア部分をくりぬいた多孔性フィルムを布帛に接着する方法、更にはエリア外部のみを加熱セットする方法などがあるが、上述に限定するものでない。それらの方法でエリア内は自由度ある布帛のままであるために低い圧縮時応力値を示すエリアとなる。このときに使用する樹脂やフィルム素材や加熱条件については特に限定しないが、樹脂やフィルムは多少は伸縮性を有する樹脂の方が好ましい。全く伸縮性をなくすとエリア外が硬く感じて好ましくなく、エリア外でも多少の伸縮性をもたせる方が好ましい。
また本発明に使用される椅子用布帛中の大きな伸縮特性値を示すエリアを得る別の方法としては、弾性糸を含む布帛を軽い緊張下若しくは無緊張下にてエリア外部のみを加熱セットして伸縮性を抑える方法がある。これによりエリア内部位は加熱されないので伸縮自由度ある布帛のままであるために大きな伸縮特性値を示すエリアとなる。この方法としては、エリア形状を切り取った2枚の加熱プレス板で布帛を加熱加圧しても良く、その場合は製作容易で量産可能となり、コストダウンが図れる利点がある。
また本発明に使用される椅子用布帛中の大きな伸縮特性値を示すエリアを得る別の方法としては、少なくとも布帛を構成する繊維の1つが、200℃以下の低融点成分を保有することが好ましい。エリア外のこの低融点部を加熱して一部を溶融させることで伸縮性を抑えることである。200℃を超えるとエリア外部布帛の熱収縮が大きくなって、エリア内外境目のエリア内側にダブ付きシワ(パッカリング)が発生する可能性が増してくる。好ましくは180℃以下が良く、その場合には、エリア内外境目のエリア内側にダブ付きシワ(パッカリング)が発生する可能性がなくなる利点がある。
また本発明に使用される椅子用布帛中の大きな伸縮特性値を示すエリアを得る別の方法としては、弾性糸の融点が布帛を構成する他の繊維の融点より低いことが望ましい。この弾性糸の構造としては弾性糸全体が融点の低い繊維であっても良く、低融点部位が芯鞘構造の鞘であっても良く、特に限定するものでない。ただ融点としては200℃以下、好ましくは185℃以下が良い。
また本発明に使用される椅子用布帛の組織としては織物より編物が好ましい。その理由の1つとして織物布帛に加重が掛かるとその部分の経糸と緯糸のみが加重を受け止めることとなり、方向としてはタテとヨコ方向のみであって斜め方向は掛かりにくい。これが座ったときの底付き感を大きくするのである。その点、編物の方が上述の加工等で収縮差によるエリア境界部でのシワが発生し難いことや、編物特有のマルチ方向への荷重分散性および伸縮性を発揮する。更に好ましくは緯編で構成するのが適切である。すなわち、経編では結節箇所で糸の動きが規制されて布帛全体の伸縮性がなくなるため伸縮性を維持するために緯編が好ましい。また、緯編は経編に比べて小ロットで製作でき、製造のための準備が簡単である。
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこの実施例に限定されるものではない。
口径30インチの18ゲージシングル丸編機を使用し、弾性糸として500デシテックスの黒色モノフィラメント(ダイヤフローラ:東洋紡株式会社製)を、他の原糸としてポリエステル660デシテックスー192フィラメントの1ヒーター加工糸を編みこんで生機密度でタテ19コース/インチ、ヨコ20ウェール/インチ、生機目付け540g/m、厚み1.35mm、幅が筒状の畳んだ状態で104cm(開反して208cm)を編成した。
次にこの生機を開反して収縮抑制に軽い緊張下でエリア部以外の密度が19コース/インチ、ヨコ23ウェール/インチになるように、エリア部に相当する部分が長径15cm×短径10cm/穴の楕円形穴を短径間方向に2cm離した1対の楕円状穴にくりぬいた2枚の金属板(電熱による温度調節が可能)で180℃±1℃条件にて50秒間挟んで、黒色モノフィラメントの一部を溶かして溶着した。この部分の厚みは1.1mmであった。一方エリア部は加熱を受けないのでほぼ生機状態を維持した。
次にこの布帛を図1の(a)及び(b)の如く裁断する。すなわち、図1は、本実施例における椅子張り用布帛であって、図1(a)に示すように、横41cm、縦46.5cmの座面部Eとなる矩形の四方に6cm幅の縫い代A,B,C,Dを有するサイズの布帛を形成した。なお、図中のF1,F2は、座面部Eの伸縮性を大きくするエリア部の形状を示す。そして、縫代を利用して図1の(c)に示すように、その6cm幅の縫い代A,B,C,D4辺を3cm幅に折り曲げ縫製して筒状とし、長さ約60cmで15mm径の金属パイプLを挿入した。
これを、図2に示す座面部と背面部とを取り除いた既成のパイプ椅子Hの骨組み(座面部の左右パイプ間隔は41cmである。)に、図3に示すように図1(c)の布帛を固定する。すなわち、縫製して得られた布帛筒部に挿入した15mm径の金属パイプLの4本をそれぞれ椅子の脚部パイプMの外側に位置させて引っ張りながら張設し、戻らぬように脚部パイプMと筒部よりはみ出た金属パイプLとを固定した。この固定した状態の座面部となる布帛Eは、タテ18コース/インチ、ヨコ24ウェール/インチであり、エリア部F1,F2の長径は14cm、短径は11cmの楕円形をなす。
次にこの張設した座面部布帛面Eに図4の(a)に示す圧力分布・面圧測定シートO((株ケン・オートメーションの面圧測定シートXSENSOR)を、図4の(b)に示すように座面部の上に設置してコンピュータKと接続し、面圧データが採れるようにした。図4(a)に示す圧力分布・面厚測定シートOは、横がA〜AKの36箇所に区切られ、縦が1〜36の36箇所に区切られて、それぞれのセルが測定点を表す。なお、図中の符号Nは床面を示し、符号Pは15mm径金属パイプを使用して4辺を張設した布帛が着座によって弛んだ状態を示す。この状態で図5に示すように披検者Jをエリア部F1,F2に臀部中央が位置するように着座させ、表1、図6及び図7に示すデータを得た。なお、表1、図6及び図7においては、本実施例のものを開発品と表示する。図6は、開発品と比較品との測定結果を示す体圧分散画像を示し、図7は、開発品と比較品との測定結果を示す体圧分散グラフであって、図6の横方向2本線の間における縦方向の測定値を平均した値を縦軸に表し、横軸は、A〜AKの36箇所の測定点を表す。表1は、図6の横方向2本線の間における縦方向の測定値を平均した値をセル毎に表したものである。
[比較例]
実施例同様の生機を使用して開反し、収縮抑制に緊張下でエリア部の無い状態の2枚の金属板(電熱による温度調節が可能)で180℃±1℃で50秒間挟んで、黒色モノフィラメントの一部を溶かして溶着した。また、その密度が19コース/インチ、ヨコ23ウェール/インチになるよう黒色モノフィラメントの一部を溶かして溶着した。以降は実施例と同様に、縫製、パイプ挿入、パイプ椅子に固定、面圧測定シート、披検者を着座、データ採取をその順で行い、表1、図6及び図7に示すデータを得た。なお、表1、図6及び図7においては、本比較例のものを比較品と表示する。図6は、開発品と比較品との測定結果を示す体圧分散画像を示し、図7は、開発品と比較品との測定結果を示す体圧分散グラフであって、図6の横方向2本線の間における縦方向の測定値を平均した値を縦軸に表し、横軸は、A〜AKの36箇所の測定点を表す。表1は、図6の横方向2本線の間における縦方向の測定値を平均した値をセル毎に表したものである。
以上の結果、セルIDのうちL〜O及びY〜ACの臀部の突出部に相当する部分において、顕著な結果が出た。すなわち、セルIDのうちL〜Oの範囲において、比較品は圧力集中が162g/m〜104g/mと大きく、その範囲における開発品は、圧力集中が136g/m〜59g/m と小さくなり、26g/m〜89g/mの差が出る結果が出た。また、セルIDのうちY〜ACの範囲において、比較品は圧力集中が131g/m〜80g/mと大きく、その範囲における開発品は、圧力集中が102g/m〜42g/m と小さくなり、29g/m〜55g/mの差が出る結果が出た。この結果により、臀部の突出部付近における圧力集中が大幅に緩和され、長時間座っていても、臀部の突出部に対する加圧が小さいので、疲れや痺れの発生が少ないので快適な座り心地が得られることが判明した。
産業上の利用分野
本発明は軽量で蒸れが無く、長時間の使用で疲れにくい椅子用布帛に関する。
A,B,C,D・・・15mm径金属パイプ挿入筒の形成用縫代
E・・・座面部
F1,F2・・・エリア部
H・・・座面部及び背面部を取り払ったパイプ椅子のパイプ構造体
J・・・着座被験者
K・・・コンピュータ
L・・・サンプルを張設するために使用した15mm径金属パイプ
M・・・パイプ椅子の脚部
N・・・床面
O・・・体圧分散測定センサー
P・・・15mm径金属パイプを使用して4辺を張設した布帛が着座によって弛んだ状態

Claims (10)

  1. 布帛の少なくとも1つのエリアが該エリアの他の部分より伸縮性が大きい
    ことを特徴とする椅子張り用布帛。
  2. 該布帛中に重量パーセントで30%以上、100%以下の弾性糸が含まれている
    ことを特徴とする請求項1に記載の椅子張り用布帛。
  3. 該布帛を張設した椅子における座面部の布帛部における伸縮性が大きいエリアの面積が5%〜50%である
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の椅子張り用布帛。
  4. 椅子に仕上がった状態の座面部において、
    人が着座することによる荷重領域に伸縮性が大きいエリアを設けた場合の布帛の該荷重領域における最大圧力値E(g/cm)を、伸縮性の大きいエリアを設けなかった場合の布帛の荷重領域における最大圧力値P(g/cm)で除したE/P値が0.4〜0.97の範囲である
    ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
  5. 伸縮性を大きくするエリアを、布帛の伸縮性を大きくするエリア外の部分に樹脂を付与することにより樹脂を付与した部分の布帛組織又は弾性糸の伸縮性を抑制し、伸縮性を大きくするエリアの伸縮を残すことにより形成した
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
  6. 伸縮性を大きくするエリアを、伸縮性を大きくするエリアの形状に穴を開けた多孔通気フィルムを前記布帛に接着することにより多孔通気フィルムを接着した布帛の伸縮性を大きくするエリア外の部分の布帛組織又は弾性糸の伸縮性を抑制し、伸縮性を大きくするエリアの伸縮を残すことにより形成した
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
  7. 伸縮性を大きくするエリアを、布帛の伸縮性を大きくするエリア外の部分を加熱セット又は部分溶融させることによって、加熱セット又は部分溶融した部分の布帛組織又は弾性糸の伸縮性を抑制し、伸縮性を大きくするエリアの伸縮を残すことにより伸縮性の大きいエリアを形成した
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
  8. 該布帛に弾性糸を含み、伸縮性を大きくするエリアを、少なくとも前記弾性糸の1つが、200℃以下の融点成分を一部に有し、伸縮性を大きくするエリア外の部分のみを加熱して溶融又は半溶融させることにより伸縮性の大きいエリアを形成した
    ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
  9. 該布帛に弾性糸を含み、少なくとも布帛を構成する繊維の弾性糸の1つが、ポリエステル系エラストマーであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
  10. 該布帛が編物であることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の椅子張り用布帛。
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