以下、図面を参照しながら本発明の作業車両の一実施の形態にかかる乗用田植機について説明する。
図1は本実施の形態にかかる乗用田植機1の側面図である。図2は本実施の形態にかかる乗用田植機1の概略平面図である。なお、図2では、植付装置の図示を省略した。
なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
図1、図2に示す様に、本実施形態の乗用田植機1の走行車体2は、左右一対の前輪5と、左右一対の後輪10とを備えた四輪駆動車両である。また、走行車体2の後部には、植付装置昇降機構70によって昇降可能な植付装置60が備えられている。
植付装置昇降機構70は、上リンク部材73と下リンク部材74とで構成された左右一対の昇降リンク装置71を有しており、植付装置60は、この昇降リンク装置71を介して走行車体2に取り付けられている。
植付装置60は、苗植付部61と、苗載置台65と、フロート80等を備えている。
苗植付部61は、苗載置台65に載置された苗を圃場に植え付ける装置であり、2条毎に1つずつ配設されており、2条分の植込杆62を備えている。植込杆62は、苗載置台65から苗を取って各条毎に植え付けることができるように構成されている。
なお、本実施の形態の乗用田植機1は、苗植付部61を3つ備えた6条植えの田植機であるものとする。なお、苗植付部61は増加させて8条植え、10条植えとしてもよく、減少させて4条植えとしてもよい。さらに、苗植付部61は植込杆62を左右一方のみ設けて構成してもよく、7条植えや5条植えの構成とすることも可能である。
また、フロート80は、苗載置台65の下部に配設され、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して均すことにより整地をすることができるように設けられている。フロート80は、機体左右幅方向の中央部に配置されたメインフロート81と、メインフロート81の左右両側に配置された右サイドフロート82Rと左サイドフロート82Lとを備える。
また、走行車体2は、車体の骨格をなすメインフレーム3と、メインフレーム3の上に搭載されたエンジン20と、エンジン20で発生した動力を駆動輪(前輪5及び後輪10)と施肥機構100と植付装置60とに伝える動力伝達装置25と、を備えている。エンジン20には、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
また、エンジン20は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、機体の搭乗ステップであるフロアステップ40よりも上方に突出させた状態で配置されている。
また、フロアステップ40は、左右方向において機体中央に位置するメインステップ41と、メインステップ41の左右両側に位置するサイドステップ42と、で構成されている。また、フロアステップ40は、その一部が網目状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、フロアステップ40の左右前部に設けられた格子状の貫通孔により、操縦席55に着座して機体を操縦する作業者が左右一対の前輪5を目視できて操縦がし易い構成である。
また、このフロアステップ40の左右方向における両側には、作業者がフロアステップ40に乗り降りする際に足をかける乗降ステップ45が配設されている。
また、フロアステップ40の後方には、後輪10のフェンダを兼ねた後部ステップであるリアステップ47が設けられている。このリアステップ47は、フロアステップ40よりも高い位置に配設されており、エンジン20の左右それぞれの側方から後方にかけて配置されている。
なお、リアステップ47の左右両端側には、施肥機構100が設けられている。施肥機構100については、更に後述する。
エンジン20は、これらメインステップ41及びリアステップ47から上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン20を覆うエンジンカバー21が配設されている。
また、走行車体2には、エンジンカバー21の上部に操縦席55が設置されており、操縦席55の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部50が配設されている。この操縦部50は、フロアステップ40の床面から上方に突出した状態で配置されている。
この操縦部50の内部には、各種の操作装置やエンジン用燃料の燃料タンク等が配設されており、操縦部50の前部には、開閉可能なフロントカバー51が設けられている。また、操縦部50の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、及び、前輪5を操舵するためのハンドル52が配設されている。また、レバーとしては、走行車体2の前後進及び走行速度を操作する変速レバーと、植付装置60の動作状態を、少なくとも植付装置昇降機構70による上昇状態を含んで切り替えることができる植付昇降レバーとが配設されている。
また、走行車体2の前側の左右両側には、補充用の苗を載積する予備苗枠90が配設されている。この予備苗枠90は、フロアステップ40の床面から突出した支持軸91によって支持されている。
なお、左右両側のリアステップ47には、補充用の巻き苗を載置することが可能である。
また、このように配設される予備苗枠90の下部には、乗用田植機1が有する各電気装置で使用する電気を蓄電するバッテリ95が配設されている。
また、動力伝達装置25は、エンジン20で発生した動力を変速する主変速機としての油圧式無段変速装置(HST(Hydro Static Transmission)
)26と、この油圧式無段変速装置26にエンジン20からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構(図示省略)とを有している。油圧式無段変速装置26は、エンジン20からの動力で駆動する油圧ポンプ(図示省略)によって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータ(図示省略)で機械的な力(回転力)に変換して出力する。
なお、本実施の形態の走行車体2は、本発明の走行車体の一例である。また、本実施の形態のエンジン20は、本発明の動力源の一例である。
次に、本実施の形態の乗用田植機1における施肥機構100の構成を中心に、主として図1〜図6を用いて説明する。
図3は、施肥機構100の左側面である。
また、図4は、右側施肥装置群100Rを構成する右最前側施肥装置101Rの概略部分断面図であり、走行車体2の右側に配置された施肥装置を乗用田植機1の正面から見た図である。
また、図5は、左側エアチャンバー150Lに取り付けられた送風分岐ジョイント200を示す概略平面図である。
また、図6は、施肥機構100を乗用田植機1の背面から見た概略図である。
本実施の形態の乗用田植機1では、図1、図2に示す様に、走行車体2のリアステップ47の左右両側に、圃場に粒状の肥料を供給する施肥機構100が配置されている。
即ち、本実施の形態の施肥機構100は、(1)リアステップ47の左側に配置された左側施肥装置群100Lと、(2)リアステップ47の右側に配置された右側施肥装置群100Rと、(3)左側施肥装置群100Lを構成する3つの施肥装置から繰り出される肥料を圃場に案内する3本の左側施肥ホース(図2の符号141L〜143L参照)からなる左側施肥ホース群140Lと、(4)右側施肥装置群100Rを構成する3つの施肥装置から繰り出される肥料を圃場に案内する3本の右側施肥ホース(図2の符号141R〜143R参照)からなる右側施肥ホース群140Rと、(5)左側施肥装置群100Lを構成する3つの左側施肥装置(図3の符号101L〜103L参照)と、3本の左側施肥ホースのそれぞれを連結する3つの左側L型施肥ジョイント130Lと、(6)右側施肥装置群100Rを構成する3つの右側施肥装置(図3の符号101R〜103R参照)と、3本の右側施肥ホースのそれぞれを連結する3つの右側L型施肥ジョイント130Rと、(7)3つの左側施肥装置の内側下方に配置され、肥料を搬送する搬送風を後述する繰出装置120の下部に案内する左側エアチャンバー150Lと、(8)3つの右側施肥装置の内側下方に配置され、肥料を搬送する搬送風を後述する繰出装置120の下部に案内する右側エアチャンバー150Rと、(9)左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rのそれぞれの後端部を、上記搬送風が通過可能に連結した連結ダクト160と、(10)左側エアチャンバー150Lの前端部に連結され、上記搬送風を発生させるブロア170と、(11)左側施肥装置群100L及び右側施肥装置群100Rに設けられた各繰出装置120に、肥料を繰り出すための駆動力を伝動する繰出駆動力伝動機構300(図7(a)、図7(b)参照)と、を備えている。
そして、上述した通り、左右一対の施肥装置群100L、100Rは、それぞれ、走行車体2の前後方向に沿って3つの施肥装置を備えている。
具体的には、左側施肥装置群100Lは、図3に示す様に、3つの施肥装置の内、最も
前側に配置された左最前側施肥装置101Lと、最も後側に配置された左最後側施肥装置103Lと、左最前側施肥装置101Lと左最後側施肥装置103Lとの間に配置された左中央施肥装置102Lとから構成されている。
また、右側施肥装置群100Rは、図3に示す様に、3つの施肥装置の内、最も前側に配置された右最前側施肥装置101Rと、最も後側に配置された右最後側施肥装置103Rと、右最前側施肥装置101Rと右最後側施肥装置103Rとの間に配置された右中央施肥装置102Rとから構成されている。
なお、本実施の形態の左最前側施肥装置101Lと、左中央施肥装置102Lと、左最後側施肥装置103Lとのそれぞれは、本発明の左側の施肥装置の一例にあたる。また、本実施の形態の右最前側施肥装置101Rと、右中央施肥装置102Rと、右最後側施肥装置103Rとのそれぞれは、本発明の右側の施肥装置の一例にあたる。
また、本実施の形態の左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rと連結ダクト160は、本発明の送風ダクトの一例にあたる。また、本実施の形態のブロア170は、本発明の送風装置の一例にあたる。
次に、右最前側施肥装置101Rについての概略部分断面図を示した図4を参照しながら、施肥装置の構成について更に説明する。
本実施の形態では、上記6つの施肥装置101L〜103L、101R〜103Rは、基本的に同じ構成であるので、右最前側施肥装置101Rを除く他の施肥装置の説明は省略する。
即ち、図4に示す様に、右最前側施肥装置101Rは、粒状の肥料を貯留する施肥ホッパ110の一部を構成する最前側ホッパ部110aと、最前側ホッパ部110aの下方に接続され、肥料を設定量ずつ繰り出す繰出装置120とを有している。
なお、本実施の形態では、左右一対の施肥装置群100L、100Rのそれぞれに、左右一対の施肥ホッパ110が設けられている。また、左右一対の施肥ホッパ110のそれぞれは、一体物の樹脂成形品であるが、肥料を貯留するための部屋が、前側、中央、後側の3つに仕切られている。そのため、施肥ホッパ110の内、前側の部屋の部分を最前側ホッパ部110a、中央の部屋の部分を中央ホッパ部110b、後側の部屋の部分を最後側ホッパ部110cと呼ぶ。
左右一対の施肥ホッパ110の補強構造については、図8(a)〜図9を用いて後述する。
更に、繰出装置120には、図4に示す様に、繰出軸121が走行車体2の前後方向に沿って回動自在に装着されており、繰出軸121には最前側施肥ホッパ部110aの投下口111から投下されてくる肥料を受け、設定量の肥料を間欠的に下方に送り出す繰出ロール122が設けられている。また、繰出ロール122の外周表面には、投下口111から投下されてくる肥料を受ける繰出溝122aが複数形成されている。
なお、間欠的に回動する繰出ロール122への駆動力の伝動については、図7(a)、図7(b)を用いて後述する。
また、繰出装置120は、繰出ロール122から下方に送り出された肥料を右側L型施肥ジョイント130Rに放出するための肥料放出口123と、繰出ロール122から下方
に送り出された肥料を右側L型施肥ジョイント130R側に向けて搬送する搬送風を導入するための搬送風導入口124とを有している。
肥料放出口123は、走行車体2の左右幅方向を基準として、走行車体2の中央位置から外側に向けて突き出している。また、搬送風導入口124は、肥料放出口123と対向する位置に配置されており、走行車体2の内側に向けて突き出している。
図4に示す、右最前側施肥装置101Rでは、肥料放出口123に対しては、右側L型施肥ジョイント130Rの一端部130Raが連結されており、搬送風導入口124に対しては、円筒形状の送風分岐ジョイント200を介して右側エアチャンバー150Rの外周側面に形成された搬送風吹き出し口151が連結されている。
ここで、送風分岐ジョイント200について、図4、図5を用いて説明する。
送風分岐ジョイント200は、図4、図5に示す様に、一方端に連結用開口部201aが形成され、他方端に底部201bが形成された、断面が略円形のゴム製の円筒状部材であり、その円筒状の側壁面には、右側エアチャンバー150R(図5では、左側エアチャンバー150L)の上流側に向けて形成された送風分岐用開口部202を有している。
また、図4、図5に示す様に、右側エアチャンバー150R(図5では、左側エアチャンバー150L)の壁面には、上述した搬送風吹き出し口151が形成されていると共に、当該搬送風吹き出し口151に対向する位置の壁面に送風分岐ジョイント固定孔152が形成されている。
そして、送風分岐ジョイント200は、図4、図5に示す様に、搬送風吹き出し口151と送風分岐ジョイント固定孔152を貫通する様に着脱可能に配置され、連結用開口部201aが、繰出装置120の搬送風導入口124に着脱可能に連結されている。
また、送風分岐ジョイント200の外周側面には、搬送風吹き出し口151の開口縁部151aが嵌合する第1溝部203と、送風分岐ジョイント固定孔152の開口縁部152aが嵌合する第2溝部204が形成されている。これにより、送風分岐ジョイント200が、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lに確実に固定出来て、振動等で外れることが防止できる。
また、送風分岐ジョイント200が、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lに固定された状態では、図4に示す様に、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lの内部空間において、送風分岐ジョイント200の上側には上側空間153aが確保されており、下側には下側空間153bが確保されている。これにより、ブロア170から送り出されてくる風A0は、その一部の風が、各送風分岐ジョイント200の送風分岐用開口部202から取り込まれて、搬送風A1として各繰出装置120の搬送風導入口124に導かれ、残りの風A2が、上側空間153a及び下側空間153b(図4参照)を通過して下流側へと進む構成である。
これにより、各繰出装置120の搬送風導入口124に、ブロア170からの風を取り込みやすく、ブロア170から遠く離れた下流側に配置された繰出装置120の搬送風導入口124であっても、所定以上の風速を維持出来、各条での施肥量のばらつきを低減出来、施肥精度が向上する。
なお、右側L型施肥ジョイント130Rの他端部130Rbは、右側第1施肥ホース141Rに連結されている。
上述した構成により、図4に示す通り、繰出ロール122から下方に送り出された肥料は、送風分岐用開口部202から取り込まれた搬送風A1によって、走行車体2の左右幅方向を基準として、走行車体2の中央位置から外側に向けて方向を変えて搬送されて(図4の矢印B参照)、肥料放出口123から右側L型施肥ジョイント130Rに送り込まれ、右側第1施肥ホース141Rに搬送される。
また、肥料放出口123に一端部130Ra(図3、図4参照)が連結された右側L型施肥ジョイント130Rは、その他端部130Rb(図3、図4参照)が、平面視で、走行車体2の後方に向けて略90度で曲げられており(図2参照)、且つ、その他端部130Rbが、側面視で、走行車体2の斜め下方後ろ向きに緩やかカーブを成した鈍角で曲げられた(図3参照)屈曲部を有するL型成形部材であり、例えば、ゴム製の部材である。
なお、左側L型施肥ジョイント130Lは、右側L型施肥ジョイント130Rと左右対称形状を成したL型成形部材であり、例えば、ゴム製の部材である。
また、上述した通り、右最前側施肥装置101Rの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した右側L型施肥ジョイント130Rが連結されており、更にその先には、右側第1施肥ホース141Rが連結されている(図4参照)。また、この構成と同様に、右中央施肥装置102R、及び右最後側施肥装置103Rのそれぞれの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した右側L型施肥ジョイント130Rが連結されており、更にその先には、右側第2施肥ホース142R、及び右側第3施肥ホース143Rがそれぞれ連結されている(図3参照)。
また、上記構成と同様に、左最前側施肥装置101L、左中央施肥装置102L、及び左最後側施肥装置103Lのそれぞれの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した左側L型施肥ジョイント130Lが連結されており、更にその先には、左側第1施肥ホース141L、左側第2施肥ホース142L、及び左側第3施肥ホース143Lがそれぞれ連結されている(図3参照)。
なお、本実施の形態の施肥ホッパ110は、本発明のホッパ部の一例にあたり、本実施の形態の繰出装置120は、本発明の繰出装置の一例にあたる。
また、本実施の形態の送風分岐ジョイント200は、本発明の送風分岐部材の一例にあたる。また、本実施の形態の搬送風吹き出し口151と送風分岐ジョイント固定孔152は、本発明の貫通孔の一例にあたる。また、本実施の形態の送風分岐用開口部202は、本発明の開口部の一例にあたる。
また、走行車体2の左右両側に配置された左右一対の施肥ホッパ110の上端部には、左右一対のホッパ蓋部材104L、104Rが回動可能に設けられている(図3、図6参照)。
また、走行車体2の左右両側に配置された左右一対の施肥装置群100L、100Rのそれぞれの内側には、左右一対の手すり部105L、105Rが、リアステップ47に立設されている。
なお、左右一対の手すり部105L、105Rの前側下部の形状については、図10(a)を用いて後述する。
次に、右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の各施肥ホース141L〜1
43Lの配置について、図2、図3、図6を参照しながら説明する。
本実施の形態では、右側の施肥装置群100Rのそれぞれの繰出装置120に、右側L型施肥ジョイント130Rを介して連結された右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の施肥装置群100Lのそれぞれの繰出装置120に、左側L型施肥ジョイント130Lを介して連結された左側の各施肥ホース141L〜143Lは、図2に示す様に、それぞれ、平面視で施肥装置の外側を通り、走行車体2の後方へ向けて進み、右最後側施肥装置103R及び左最後側施肥装置103Lの後方で走行車体2の内側へ向けて屈曲され(図2、3参照)、更に、肥料の各施肥ホース内の搬送方向を基準として、その屈曲された位置の下流側において各条毎に後方へ向けて屈曲されて、各施肥ホースの先端部(図示省略)が、各条の植込杆62の苗の植付位置の近傍に固定されている。
ここで、各施肥ホースの各条毎に後方に向けて屈曲されている屈曲位置について更に説明する。
即ち、走行車体2の左右両側の前後方向にそれぞれ3つ並べて配置されている施肥装置の内、より前側に配置された施肥装置に連結された施肥ホースの屈曲位置の方が、より後側に配置された施肥装置に連結された施肥ホースの屈曲位置よりも、平面視で、走行車体2の左右幅方向の中央位置を基準としてより外側に位置する様に構成されている(図2参照)。
上記構成によれば、走行車体2のより前側に配置された施肥装置の繰出装置120に連結される施肥ホースほど、走行車体2の左右幅方向の中央位置を基準としてより外側位置で後方に屈曲させることにより、繰出装置120から肥料排出位置までの距離の差を小さくすることができるので、肥料が圃場に供給されるタイミングがバラ付くことが防止され、施肥精度が向上する。
また、施肥ホースの長さの差を無くすことが可能となるので、長さの異なる施肥ホースが不要となり、部材の共用化が図られる。
次に、右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の各施肥ホース141L〜143Lの配策について、図2、図3、図6を参照しながら説明する。
本実施の形態では、平面視で、左右一対の施肥装置群100L、100Rの外側に配置された各施肥ホースを、走行車体2の左右両側に設けられた施肥フレームに固定し、更に、走行車体2の後方へ向けて進み右最後側施肥装置103R及び左最後側施肥装置103Lの後方で走行車体2の内側へ向けて屈曲された各施肥ホースを、走行車体2の後部側において走行車体フレームに固定するためのホースガイド部材180を8個備えている。
また、ホースガイド部材180は、1本、2本、または3本の施肥ホースを纏めて保持するホース保持部181と、ホース保持部181を施肥フレームまたは走行車体フレームに固定するための固定部182とから構成されている(図3参照)。
具体的には、左右一対の施肥装置群100L、100Rの外側に配置された各施肥ホースに対しては、左右一対のL型施肥ジョイント130L、130Rと各施肥ホースとの連結位置の最下流側の左右それぞれ1箇所の計2箇所の位置において、ホースガイド部材180が設けられている(図2、図3参照)。
また、走行車体2の後部側に配置された各施肥ホースに対しては、後方に向けて屈曲されている屈曲位置、即ち、左右それぞれに3箇所の計6箇所の屈曲位置の上流側において
、ホースガイド部材180が設けられている(図2、図6参照)。
上記構成によれば、肥料の供給を妨げない施肥ホースの配索を容易に実現することができるので、施肥量の安定化が図られると共に、メンテナンス性が向上する。
なお、右側の施肥ホース141R〜143Rを3本纏めて固定する、右最後側施肥装置103Rの後方の屈曲部に配置された2つのホースガイド部材180、及び左側の各施肥ホース141L〜143Lを3本纏めて固定する、左最後側施肥装置103Lの後方の屈曲部に配置された2つのホースガイド部材180は、上記形状(図3参照)に限らず例えば、略三角形の第2ホースガイド部材1180としても良い(図11参照)。なお、略三角形の第2ホースガイド部材1180については、図11を用いて更に後述する。
次に、図7(a)〜図7(b)を用いて、繰出駆動力伝動機構300について説明する。
図7(a)は、左側施肥装置群100L及び右側施肥装置群100Rに、肥料を繰出すための駆動力を伝動する繰出駆動力伝動機構300の概略背面図であり、図7(b)は、図7(a)の繰出駆動力伝動機構300の概略右側面図である。
繰出駆動力伝動機構300は、(1)エンジン20からの駆動力を施肥装置用の回転駆動力として出力する回転駆動力出力部19の回動軸に固定されたクランクアーム19aに一端部311が回動可能に連結され、他端部312が上方に配置された第一施肥伝動ロッド310と、(2)第一施肥伝動ロッド310の他端部312が、一端部322に固定された入力側第一揺動アーム321を介して上下方向に繰り返し揺動可能に連結され、第一施肥伝動ロッド310により伝動される駆動力を他端部323に固定された出力側第一揺動アーム324から右側施肥装置群100Rの側に中継する第一中継部材320と、(3)第一中継部材320により中継される駆動力を、第二施肥伝動ロッド340及び第二中継部材350に伝動する中間伝動部330と、(4)中間伝動部330により伝動される駆動力を右側施肥装置群100Rの繰出装置120に対し一方向クラッチ右側部370Rを介して伝動する第二施肥伝動ロッド340と、(5)中間伝動部330により伝動される駆動力を左側施肥装置群100Lの側に中継する第二中継部材350と、(6)第二中継部材350により中継される駆動力を左側施肥装置群100Lの繰出装置120に対し一方向クラッチ左側部370Lを介して伝動する第三施肥伝動ロッド360と、を有している。
また、第二施肥伝動ロッド340及び一方向クラッチ右側部370Rは、右最後側施肥装置103R(図3参照)の繰出装置120の背面側に配置されている(図7(b)参照)。
また、一方向クラッチ右側部370Rの入力軸に固定された入力アーム371の先端部は、第二施肥伝動ロッド340の上端部341に回動可能に連結されている。また、一方向クラッチ右側部370Rの出力軸に固定された出力ギヤの一方向への間欠駆動は、繰出伝動ギヤ372を介して、機体の右側に配置された3つの繰出装置120のそれぞれの繰出ロール122に伝動される構成である。
また、第三施肥伝動ロッド360及び一方向クラッチ左側部370Lは、左最後側施肥装置103L(図3参照)の繰出装置120の背面側に配置されている。
また、一方向クラッチ左側部370Lの入力軸に固定された入力アーム371の先端部は、第三施肥伝動ロッド360の上端部361に回動可能に連結されている。また、一方向クラッチ左側部370Lの出力軸に固定された出力動ギヤの一方向の間欠駆動は、繰出伝動ギヤ372を介して、機体の左側に配置された3つの繰出装置120のそれぞれの繰出ロール122に伝動される構成である。
また、本実施の形態では、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さと、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さは、調整可能に構成されており、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さは、調整出来ない構成である。
次に、工場での出荷段階における、機体の右側に配置された繰出装置120による肥料の繰出量の調整手順、及び機体の左側に配置された繰出装置120による肥料の繰出量の調整手順について説明する。
すなわち、まず工場の作業者は、機体の右側に配置された繰出装置120から繰り出される施肥量が出荷段階において予め定めた設定値になる様に、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを調整する。これにより、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを決定した後、次に、工場の作業者は、機体の左側に配置された繰出装置120から繰り出される施肥量が上記設定値と同じ値になる様に、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さを調整する。これにより、左右の繰出装置120から繰り出される施肥量を所定値に設定すると共に、左右の施肥量の差を所定範囲内におさめることが出来る。
この様に本実施の形態によれば、肥料の繰出量の調整作業が簡単に行えて、調整の順番が分かり易く作業性の向上が図れる。
なお、本実施の形態の繰出駆動力伝動機構300は、本発明の繰出駆動力伝動機構の一例にあたる。また、本実施の形態の第一施肥伝動ロッド310は、本発明の第一施肥伝動部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第一中継部材320は、本発明の第一中継部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第二施肥伝動ロッド340は、本発明の第二施肥伝動部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第二中継部材350は、本発明の第二中継部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第三施肥伝動ロッド360は、本発明の第三施肥伝動部材の一例にあたる。
次に、左右一対の施肥ホッパ110の補強構造について、図8(a)〜図8(b)を用いて説明する。
図8(a)は、機体右側に配置された施肥ホッパ110の左側面図であり、図8(b)は、図8(a)の施肥ホッパ110の背面図である。
図8(a)、図8(b)に示す様に、施肥ホッパ110の左右両側面部及び底面部の内、最前側ホッパ部110aと中央ホッパ部110bとの境界部、及び中央ホッパ部110bと最後側ホッパ部110cとの境界部には、背面視で略コの字状の第一補強部材400aが取り付けられている。
第一補強部材400aは、金属製のパイプの両端部を押しつぶして平板状を成し、残りの部位はパイプ形状を維持し、コの字状に曲げた部材である(図9参照)。また、パイプ形状を成す部分の内、底面部の中央部分は、施肥ホッパ110を施肥フレームに固定するためのステー410に対して溶接固定されており、平板状の部分において、施肥ホッパ110の左右両側面部に対してボルト固定されている。
また、平板状の部分の上端は、ホッパ蓋部材104Rのフック104aが引っ掛かる引っ掛け部112の下端の位置と同じ高さ、又は当該下端の位置より高い位置まで伸びている。
また、機体左側に配置された施肥ホッパ110についても、図8(a)、図8(b)で説明した構成と同様の構成の第一補強部材400aが設けられている。
この様に、左右の施肥ホッパ110に第一補強部材400aを取り付けたことにより、例えば、フロアステップに大量の巻き苗を載置し施肥装置に荷重がかかっても、施肥ホッパ110が壊れにくい。また、施肥ホッパ110に荷重がかかっても第一補強部材400aが設けられている為、引っ掛け部112が取り付けられている部位がたわみにくいので、施肥ホッパ110のホッパ蓋部材104R(104L)のフック104aの引っ掛かりが確実に行える。
また、振動等による機体と施肥ホッパ110のゆがみを抑えることが出来る。
また、第二補強部材400bは、第一補強部材400aの上端部からホッパ部110の正面及び背面を支持しており、第一補強部材400aと第二補強部材400bはボルトで固定されている。また、第一補強部材400aの一方の上端と、他方の上端とを第二補強部材で繋ぎ、ホッパ部110の周囲を支持することで、強度がより増すことができる。
また、ホッパ部110の下部に肥料が落下する流下部110dを間隔を空けて複数形成し、前記流下部110d同士の間隔部に前記第一補強部材400aを配置していることで、よりホッパ部110がたわみにくい。
また、ホッパ側面部に開閉部104aが設けられている。この開閉部104aは、機体外側から肥料を投入できるよう投入姿勢(図示省略)を可能とするため、ホッパ部の下方に回動支点110eが設けられている。さらに、この開閉部104a機体下方へ回動させると排出姿勢となり、機体外側にホッパ部内の肥料を排出しやすい案内部とすることができる。
また、ホッパ部110の蓋を開けずに開閉部104aを回動させられるように構成しており、操作性が良い。また、この開閉部104aを複数設けることで排出速度を高速化するのも良い。
また、ホッパ部110内の肥料を均一にならすことが可能な、ならし装置(図示省略)を備え、ホッパ部110の内部を機体の左右または前後方向に動作することで、肥料を補給した際、手でならすことが多いため、作業者の負担を軽減することができる。
なお、投入姿勢と排出姿勢に開閉部を固定できる機構(図示省略)を設けるとより作業性が良い。
なお、本実施の形態の第一補強部材400aは、本発明の補強部材の一例にあたる。
次に、機体の左右両側に配置されている左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rを覆うガード部材420について、図9、図10(a)を用いて説明する。
図9は、右側施肥装置群100Rを背面から見た概略図であり、ガード部材420が取り付けられた状態を示す図である。
図10(a)は、図9に示す右側施肥装置群100Rの部分左側面図である。
ここでは、右側エアチャンバー150Rを覆うガード部材420について説明するが、左エアチャンバー150Lを覆うガード部材420についても基本的に同じ構成である。
右側エアチャンバー150Rを覆うガード部材420は、図9、図10(a)に示す様に、リアステップ47の機体右側において(図2参照)、右側エアチャンバー150Rを機体内側から覆う様に配置されている。
また、ガード部材420は、図9に示す様に背面視で、右側エアチャンバー150Rの上面より高い位置に位置する上端部420aから下端部420bに向かうに従って機体中央側に近づく様に45°〜60°程度に傾斜した傾斜面421を有する板状部材である。当該傾斜面421には、繰出装置120から繰り出される肥料の繰出量を表示する繰出量表示部430を視認可能な長方形状の開口部422が設けられており、ガード部材420と繰出量表示部430との間には、少なくとも繰出量表示部430が、前方側から視認可能な隙間が設けられている。
これにより、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lの上面より高い位置に、ガード部材420の上端部420aが位置し、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lを機体内側から覆う様にガード部材420が配置されているので、ガード部材420の上端部420aに作業者の足7が掛かっても、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lが潰れたり、外れてしまうことを防止できる。また、傾斜面421の角度を45°〜60°程度にすることで、巻き苗をリアステップ47に数多く、また高く積みやすく出来る。また、巻き苗をリアステップ47に積むことにより、開口部422が塞がれて、繰出量表示部430を開口部422から視認出来なくなった場合でも、前方側から視認可能な隙間が設けられているので、機体前方側から確認することが出来て、作業性が向上する。
なお、本実施の形態のガード部材420は、本発明のガード部材の一例にあたり、本実施の形態の繰出量表示部430は、本発明の繰出量表示部の一例にあたる。また、本実施の形態の開口部422は、本発明の開口部の一例にあたる。
次に、機体の左右両側の右側施肥装置群100Rと左側施肥装置群100Lのそれぞれに設けられている試し繰出機構の内、右側施肥装置群100Rに設けられている試し繰出機構について、図10(a)〜図10(c)を用いて説明する。
図10(b)は、機体右側の最前側ホッパ部110aの下方に配置された繰出装置120の前方に突出させた、一方向クラッチ右側部370R(図7(a)参照)の出力軸の先端部450と、その先端部450を覆う保護ガイド部材460を示す部分平面図である。
また、図10(c)は、図10(b)に示された保護ガイド部材460の正面図である。
本実施の形態の右側施肥装置群100Rにおける試し繰出機構は、上述した一方向クラッチ右側部370Rの出力軸を、機体右側の最前側ホッパ部110aの下方に配置された繰出装置120の前方に突出させ、その突出させた出力軸の先端部450に試し繰出用ハンドル470を着脱自在に設けた構成である。
右側施肥装置群100Rにおける試し繰出機構の場合、前方に突出した出力軸の先端部450が、むき出し状態になっているので、作業者が機体に乗降する際に、当該先端部に接触する可能性がある。この接触を防止するために、出力軸の先端部450の前側及び左側をカバーする様に、平面視で略L字曲げ状の保護ガイド部材460が設けられている。
保護ガイド部材460の前側壁部には正面視で、出力軸の先端部450に対応する位置に試し繰出用ハンドル470を挿入するための挿入孔461が設けられており、その挿入孔461の内縁部461aが、試し繰出用ハンドル470の外周面を回動可能に支持する構成である。
これにより、試し繰出用ハンドル470を出力軸の先端部450に差し込み、手動により回動させることで、乗用田植機1を走行させずに、右側施肥装置群100R、及び左側施肥装置群100Lにおける肥料の繰出量を施肥作業の前に確認することが出来る。
即ち、散布する肥料の種類や、肥料の管理状態(湿気)等で肥料が実際に繰出される量は異なる。そこで、施肥作業の前に、試し繰出用ハンドル470を回し(例えば、試し繰出用ハンドル470を30回転させて)、肥料が繰出される重量を測定する。肥料が実際に繰出される量を測定した結果に基づいて、繰出し量を調節する。また、試し繰出しによって、肥料の比重を測定する。
また、むき出し状態にある出力軸の先端部450を覆う保護ガイド部材460を設けると共に、試し繰出用ハンドル470を当該先端部450から取り外せる構成であるので、乗降時において、作業者が、出力軸の先端部450や試し繰出用ハンドル470に接触することを防止でき、安全性が向上する。
また、挿入孔461の内縁部461aが、試し繰出用ハンドル470の外周面を回動可能に支持する構成としたことにより、試し繰出用ハンドル470の回動操作が安定して行えて、作業者が試し繰出用ハンドル470を回し易い。
また、最前側に配置された繰出装置120から前方側に露出した出力軸の先端部450
の保護と、試し繰出用ハンドル470の支持とを、一つの保護ガイド部材460で実現したことにより、部品点数の削減が図られる。
なお、左側施肥装置群100Lにおける試し繰出機構は、右側施肥装置群100Rにおける試し繰出機構と基本的には同じ構成であるが、出力軸の先端部450を覆う保護ガイド部材460が設けられていない点で相違する。機体左側の最前側ホッパ部110aの下方に配置された繰出装置120の前方に突出させた出力軸の先端部は、その前方側に配置されたブロア170により概ね覆われており、作業者が機体に乗降する際に、当該先端部に接触する可能性が無いためである。
なお、本実施の形態の保護ガイド部材460は、本発明の保護部材の一例にあたり、本実施の形態の挿入孔461は、本発明の孔部の一例にあたる。また、本実施の形態の試し繰出用ハンドル470は、本発明の手動ハンドルの一例にあたる。
次に、左右一対の手すり部105L、105Rに設けられた補助グリップ106について、図11、図12を用いて説明する。
図11は、左側施肥装置群100Lを背面から見た概略図である。
また、図12は、左側施肥装置群100Lの概略平面図である。
補助グリップ106は、その根元部106aが、左右一対の手すり部105L、105Rのそれぞれの前側の垂直に立ち上がった部位の上側部分に固定され、且つ、その根元部106aから機体外側に向けて突き出した水平部106bの先端側が下方に向けて屈曲されて垂直部106cを成している(図9、図11参照)。
また、補助グリップ106の水平部106bは、図12に示す様に、根元部106aから先端側に向かうに従って、施肥ホッパ110の前側側面110Fから離れる様に機体前側に向けて傾斜している。即ち、水平部106b及び垂直部106cと、施肥ホッパ110の前側側面110Fとの間には、手のひらが入る程度の隙間が設けられている。
これにより、作業者が機体に乗降する際、掴み易い位置に設けられている垂直部106c或いは水平部106bを掴むので、ブロア170を掴んだり、或いは、施肥作業終了後に施肥ホッパ110に残留している肥料を排出させるために設けられた排出レバー107等を掴むことが防止できて、ブロア170の破損や、排出レバー107の誤操作を防止できる。
また、垂直部106c或いは水平部106bは、機体の乗降時に掴みやすい位置に配置されているので、乗降性が向上する。
なお、本実施の形態の左右一対の手すり部105L、105Rは、本発明の左右一対の手すり部の一例にあたり、本実施の形態の補助グリップ106は、本発明の補助グリップの一例にあたる。
次に、左側の施肥ホッパ110の前方下部側に設けられた操作パネル480について、図12、図13を用いて説明する。
図13は、左側施肥装置群100Lの前側の概略左側面図である。
機体に固定された操作パネル480は、左側の施肥ホッパ110の最前側ホッパ部11
0aの前方下部側において(図13参照)、当該操作パネル480の表示面480aが、平面視で、機体前後方向ラインFBL(図12参照)を基準にして、機体内側に向けて概ね斜め45°に傾斜して配置されている。
また、操作パネル480の表示面480aには、施肥機構100の異常(例えば、肥料詰まりや肥料残量減少等)を知らせる警告灯481、警告ブザー482、警告ブザー482を停止させるスイッチ483、及び調整ダイヤル484が配置されている。
この様に、操作パネル480を、平面視で、機体前後方向ラインFBL(図12参照)を基準にして、機体内側に向けて概ね斜め45°に傾斜して配置されていることにより、例えば、機体左側のリアステップ47上に巻き苗を積んでも操作パネル480が巻き苗により隠れることが無いので操作が可能となる。
また、操作パネル480は、左側の施肥ホッパ110の最前側ホッパ部110aの前方下部側に配置されているため、操作し易く、機体外側からでも操作が可能である。
また、操作パネル480は、最前側ホッパ部110aより下部側において、機体に固定されており、左側施肥装置群100Lには固定されていないため、施肥ホッパ110等を取り外すときに邪魔にならず、作業性が良い。
また、警告灯481、警告ブザー482、警告ブザー482を停止させるスイッチ483、及び調整ダイヤル484を、操作パネル480の表示面480a上にまとめて配置することで、配索し易い。
なお、本実施の形態の操作パネル480は、本発明の操作パネルの一例にあたる。
次に、左右一対の手すり部105L、105Rの前側下部の形状について、図7(b)、図10(a)を用いて説明する。
図10(a)に示す様に、右側の施肥ホッパ110の最前側ホッパ部110aの下方に連結された繰出装置120の下方から前方に向けて、繰出量調整軸331(図7(b)参照)が突き出している。
当該繰出量調整軸331の前端部は、側面視で略L字形状の繰出量調整ハンドル490(図10(a)参照)が着脱可能に構成されている。
作業者が、施肥作業を開始する前に、繰出装置120からの肥料の繰出量を調整するために、繰出量調整ハンドル490を繰出量調整軸331の前端部に装着して回動操作を行う場合において、作業者の手が、右側の手すり部105Rに当たらない様に、右側の手すり部105Rの前側の立ち上がり部の下部側は、側面視で、繰出量調整ハンドル490より後方に位置する様に構成されている。
これにより、繰出量調整ハンドル490の握り部の上下左右には、右側の手すり部105Rや右側エアチャンバー150Rが存在せず、繰出量調整ハンドル490の回動操作がし易い。
また、繰出量調整ハンドル490の上方では、右側の手すり部105Rが前方にせり出しているので、作業者が移動する際に、足等が繰出量調整ハンドル490に当たることが防止出来、作業性が向上する。
なお、繰出量調整軸331の後端側は、上述した中間伝動部330に連結されており、繰出量調整軸331を回動させることにより、中間伝動部330における揺動アームの揺動量を変更することが出来る構成である。
これにより、中間伝動部330から第二施肥伝動ロッド340へ伝動される上下揺動量、及び中間伝動部330から第二中継部材350を介して第三施肥伝動ロッド360へ伝動される上下揺動量を増減させることが出来、右側に配置された各繰出装置120、及び左側に配置された各繰出装置120の繰出量を増減させることが出来る。
次に、左右一対の施肥装置群100L、100Rのそれぞれの施肥ホッパ110に取り付けられた左右一対の保護シート500について、図14、図11を用いて説明する。
図14は、左側施肥装置群100Lの左側面図である。
保護シート500は、図14、図11に示す様に、繰出装置120から機体外側に向けて設けられた肥料排出口125及び、肥料排出口125から排出される肥料を受けて機体外側に排出する排出トレイ126を、機体外側から覆うための略長方形状のシート部材である。
この様に保護シート500を設けたことにより、肥料排出口125に水が直接かかることが防止出来るので、肥料排出口125からの水の浸入を防止出来る。
また、肥料排出口125及び排出トレイ126に水や泥が付着しにくくなるので、清掃の手間が少なくなり作業性が向上する。また、錆等の発生も抑制出来るので、防錆対応や、保護ブーツの装着等の必要がない。
なお、保護シート500を半透明にしておくことで、見栄えも良くなる。
また、保護シート500の上端部は、施肥ホッパ110の機体外側の下部に取り付けられており、その下端部の中央には、保護シート引っ掛け用孔501が設けられている。
一方、施肥ホッパ110の機体外側の側面にはフック113が固定されている。
これにより、作業者が、施肥ホッパ110に残留している肥料を排出させる作業を行う際には、保護シート500を持ちあげて、保護シート引っ掛け用孔501をフック113に引っ掛けることにより、肥料排出口125及び排出トレイ126が露出するので、排出作業がスムーズに行える。
次に、上述したホースガイド180(図3参照)の別例としての第2ホースガイド部材1180について図11を用いて説明する。
第2ホースガイド部材1180は、図11に示す様に、背面視で略三角形状を成したホースガイドであり、左側第1施肥ホース141L、左側第2施肥ホース142L、及び左側第3施肥ホース143Lを無理なく配策することが出来る。
なお、ここでは、図11を用いて、左側の施肥装置群100Lの後端側に配置された第2ホースガイド部材1180について説明するが、右側の施肥装置群100Rの後端側に配置された第2ホースガイドについても同じ構成である。
即ち、図11に示す様に、第2ホースガイド部材1180の三角形の機体外側部分の角部に左側第3施肥ホース143Lが通り、残りの2か所の角部には、上側の角部に左側第1施肥ホース141Lが通り、下側の角部に左側第2施肥ホース142Lが通っている。なお、残りの2か所の角部を通る施肥ホースは、上下逆でも良い。
これにより、各施肥ホースの屈曲に無理が掛かりにくいので、組み立ての際に、制限が無くなり、作業性が向上する。
また、図11に示す様に、排出トレイ126の傾斜角度も大きく取ることが出来、排出性能も向上する。
次に、苗載置台65の裏面側に設けられた植付部ホースガイド190について図15(a)〜図16を用いて説明する。
図15(a)は、植付部ホースガイド190の斜視図であり、図15(b)は、植付部ホースガイド190の配置を示すための乗用田植機1の後部の要部平面図である。
また、図16は、乗用田植機1の後部の概略側面図である。
本実施の形態では、図5(a)に示す左右一対の植付部ホースガイド190が、苗載置台65の裏面側の左右両端に設けられている(図5(b)参照)。右側の植付部ホースガイド190は、右側第1施肥ホース141Rと右側第2施肥ホース142Rとをまとめるガイド部材であり、左側の植付部ホースガイド190は、左側第1施肥ホース141Lと左側第2施肥ホース142Lとをまとめるガイド部材である。
また、植付部ホースガイド190は、図15(a)に示す様に、2本の施肥ホースが、その内側を貫通できる様に、金属製の線材を楕円形状に成形したリング部191と、当該リング部191の長手方向両端部に溶接固定された左右一対の金属製の取付部192とから構成されている。
また、左右一対の植付部ホースガイド190は、植付装置60が植付装置昇降機構70により上昇した際、施肥ホースに無理な負荷がかからない最も高い位置に設けられている。また、左右一対の植付部ホースガイド190は、平面視では図15(b)に示す様に、左右一対のロータ支柱13より機体外側に位置し、且つ、左右一対の後輪10と補助車輪11の後方に、前端部がくる様に設けられている。
なお、図15(b)には、平面視でいわゆる門型の整地ロータの動力伝動系の要部が示されており、符号12を付した。
これにより、左右一対のロータ支柱13、左右一対の後輪10及び補助車輪11の全ての部材から、施肥ホースを離すことが出来る。
また、深い圃場では、植付装置60を高い位置に上昇させて植付作業を行う場合が多く、その様な場合には、植付部ホースガイド190を本機に取り付けるよりも、植付装置60側に取り付けた構成の方がより一層効果を発揮する。
次に、ブロア170の吸入口171の周辺の構成について、主として図17(a)、図17(b)を用いて説明する。
図17(a)は、吸入口171に取り付けれたダクト172、及びカバープレート173を示す平面図であり、図17(b)は、カバープレート173の斜視図である。
本実施の形態では、一端部がブロア170の吸入口171に連結されて、他端部172aが、左側施肥装置群110Lの下方において機体後方に向けて開口した、側面視で略L字状のダクト172が設けられている(図3参照)。また、そのダクト172の他端部172aの吸気用の当該開口を、その吸気を妨げない程度に所定距離を隔てて、平面視で略コの字状の部位により覆うカバープレート173が設けられている(図3、図11、図17(a)、図17(b)参照)。
このダクト172とカバープレート173により、ダクト172の吸気用の開口が、リアステップ47に載置されている苗により塞がれたり、水や泥を吸い込んだりすることが低減される。
例えば、洗車時にかかった水はダクト172の吸気用の開口に入りにくくなる。
次に、エンジンカバー21(図1参照)を取り付けるための左右のステー600R、600Lについて、図18(a)〜図18(c)を用いて説明する。
図18(a)は、乗用田植機1の走行車体2のフレーム構成の要部を示す平面図である。
また、図18(b)は、中間フレーム610において、機体右側に取り付ける右側ステー600Rの平面図であり、図18(c)は、図18(b)に示す右側ステー600Rの左側面図である。
走行車体2の骨格部分となるメインフレーム3は、図18(a)に示す様に、平面視で、略長方形状に連結された枠体を成しており、その枠体の左右側の辺部材3R、3Lは、中間部において中間フレーム610により連結されている。また、メインフレーム3の後側の辺部材3Bと中間フレーム610は、中央部においてエンジン支持フレーム620により連結されている。
また、中間フレーム610には、エンジン支持フレーム620の左側において、左側ステー600Lが溶接固定されており、エンジン支持フレーム620の右側において、右側ステー600Rを固定するための右側ステー基部630が溶接固定されている。
右側ステー600Rと左側ステー600Lは、金型が共通であり、同じ形状の金属製の部材であるが、右側ステー600Rの平面視で機体左側の側面にウェルドナット601が溶接固定されている(図18(b)、図18(c)参照)。
これにより、エンジン支持フレーム620にエンジン20を固定した後、右側ステー基部630を挟み込む様にして右側ステー600Rを装着し、機体外側(機体右側)から右側ステー600Rの孔及び右側ステー基部630の孔を貫通し、ウェルドナット601に対して固定用ボルト602を挿入して締め付けることにより、右側ステー600Rを組み付けることが出来る。
この様に、機体外側から固定用ボルト602を締め付けることが出来るので、組み立て性、及び生産性の向上が図れる。
なお、右側ステー600Rの角部603(図18(c)参照)は、側面視で略L字形状を成しており、その端面は、中間フレーム610の外周壁面の下側角部611の周辺の側面及び底面と接触する様に構成されている。
これにより、右側ステー600Rの組み付け時及び組み付け後における回り止めとなると共に、振動にも強いという効果を発揮する。
また、図18(c)に示した角部603の略L字形状は、右側ステー基部630、及び左側ステー600Lの対応する位置の角部についても同様に適用されている。
これにより、右側ステー基部630及び左側ステー600Lを中間フレーム610に溶接固定する際に、中間フレーム610の外周壁面の下側角部611の周辺の側面及び底面の両面に対して溶接されるため、一方の面にしか溶接されない場合に比べて溶接強度の向上が図られる。
これにより、エンジン支持フレーム620が、ディーゼルエンジン仕様と、ガソリンエンジン仕様の何れの仕様に対しても、搭載可能な共用フレームである場合において、ディーゼルエンジン仕様では、マフラー位置と中間フレーム610の右側ステー600Rが近接しており、エンジン組み付けの際に双方の干渉を避けるために、マフラーを斜めにして通す作業が必要であったが、上述した通り、右側ステー600Rを着脱可能な構成としたことにより、エンジン20をエンジン支持フレーム620に搭載した後に、右側ステー600Rを取り付けることが出来るので、エンジン20の仕様に関わらず、組み立て性の向上が図れる。
なお、本実施の形態のメインフレーム3は、本発明のメインフレームの一例にあたり、本実施の形態の中間フレーム610は、本発明の中間フレームの一例にあたる。また、本実施の形態の右側ステー600R、左側ステー600Lは、本発明の左右のステーの一例にあたる。
また、中間フレーム610には、右側ステー600R、及び左側ステー600Lの機体外側に左右一対のハーネスステー640が溶接固定されている。
ハーネスステー640の中央には貫通孔641が設けられており、着脱式のハーネスバンドを通せる様に構成されている。
左右一対のハーネスステー640は、同じ形状の部品であるため、部品の共用化が図られ、また、配策位置が安定する。
また、ハーネスステー640は、側面視でL字状のプレートであり、そのL字状の立ち上がり部642の上端にメインステップ41が載る様に構成されている。また、L字状の立ち上がり部642の立ち上がり高さを高くすることで、メインステップ41によるハーネスの挟み込みを防止出来る。
また、中空の角柱パイプである中間フレーム610には、右側ステー基部630の機体中央側にデフロックペダル用の貫通孔が形成されており、断面が円形のパイプ部材650が、その貫通孔に対してパイプ部材650の両端部が突き出す様に溶接固定されている。
これにより、デフロックペダルの組み立て位置が安定すると共に、中空の角柱パイプである中間フレーム610が補強されるので、強度アップが図れる。
また、図18(c)に示す様に、中間フレーム610の上面の前半分にメインステップ41を載せ、その後側には空間660を設ける構成でも良い。
これにより、中間フレーム610とメインステップ41との間に空間660を設けることで、エンジン20の前面部の風の流れを促すことが出来ると共に、ハーネスを配策するための配策空間を確保出来る。
なお、上記実施の形態では、繰出駆動力伝動機構300において、第二中継部材350は、第一中継部材320及び中間伝動部330を介して伝動されてくる駆動力を、左側施肥装置群100Lの側に中継する構成として説明したが、これに限らず例えば、第一施肥伝動ロッド310により伝動される駆動力を、第一中継部材320及び中間伝動部330を介さずに左側施肥装置群100Lの側に中継する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さと、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さは、調整可能に構成されており、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さは、調整出来ない構成としたが、これに限らず例えば、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さと、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さは、調整可能に構成されており、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さは、調整出来ない構成としても良い。この構成の場合における肥料の繰出量の調整は、例えば次の通りである。まず工場の作業者は、機体の左側に配置された繰出装置120に駆動力を伝動する繰出伝動ギヤ372の回転数が出荷段階において予め定めた設定値になる様に、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを調整し、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを決定した後、機体の右側に配置された繰出装置120に駆動力を伝動する繰出伝動ギヤ372の回転数が上記設定値と同じ回転数になる様に、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さを調整する。これにより、上記の場合と同様、左右の繰出装置120から繰り出される施肥量を所定値に設定すると共に、左右の施肥量の差を所定範囲内におさめることが出来る。
また、上記実施の形態では、繰出駆動力伝動機構300において、中間伝動部330を備えた構成について説明したが、中間伝動部330を備えない構成であっても良い。その構成の場合、例えば、回転駆動力出力部19の回動軸の回転数を調節可能とすることにより、肥料の繰出量の調整、即ち繰出量の増減が可能となる。
また、上記実施の形態では、第一中継部材320が、右側施肥装置群100Rの側に駆動力を中継し、且つ、第二中継部材350が、左側施肥装置群100Lの側に駆動力を中継する構成について説明したが、これに限らず例えば、第一中継部材320が、左側施肥装置群100Lの側に駆動力を中継し、且つ、第二中継部材350が、右側施肥装置群100Rの側に駆動力を中継する構成でも良い。
また、上記実施の形態では、本発明の作業車両の一例として6条型の乗用田植機を構成した場合について説明した。しかしこれに限らず例えば、4条植え或いは8条植えの構成であっても良く、条数に限定されない。
また、本発明の作業車両の一例として乗用田植機の場合について説明したが、これに限らず、施肥作業を行う作業車両であればどのような構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、リアステップ47の左右両端側に配置された左側施肥装置群100L、及び右側施肥装置群100Rには、それぞれ施肥装置が3つずつ設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、それぞれ2つずつ或いは4つずつ等、幾つ設けられていても良い。