JP2004321104A - 粉粒体吐出機 - Google Patents
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Abstract
【課題】粉粒体貯留タンク内の粉粒体を繰り出す複数の粉粒体繰出部を設けると共に、風が流れるエアチャンバから圧力風を吸入する複数の管を設け、該各管に供給される圧力風により粉粒体繰出部から繰り出された粉粒体を各吐出口へ移送して吐出する粉粒体吐出機において、管に供給される圧力風が弱いと、粉粒体が、吐出口への移送路の中途部で詰まり、吐出口まで移送されないおそれがある。逆に、管に供給される圧力風が強すぎると、粉粒体が、粉粒体繰出部の繰出口へ逆流して円滑に移送されなかったり、吐出口への移送路で激しく衝突して崩れたり、吐出口で過大に加勢した状態で吐出したりして、適正な状態で吐出口に供給されないおそれがある。
【解決手段】上記構成の粉粒体吐出機において、エアチャンバの風の流れ方向における各管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成した。
【選択図】 図20
【解決手段】上記構成の粉粒体吐出機において、エアチャンバの風の流れ方向における各管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成した。
【選択図】 図20
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、施肥装置、播種装置あるいは薬剤散布装置等を備える粉粒体吐出機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉粒体貯留タンク内の粉粒体を繰り出す粉粒体繰出部を設けると共に、風が流れるエアチャンバから圧力風を吸入する管を設け、該管に供給される圧力風により粉粒体繰出部から繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する粉粒体吐出機がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000ー270638号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の粉粒体吐出機においては、管に供給される圧力風が弱いと、粉粒体が、吐出口への移送路の中途部で詰まり、吐出口まで移送されないおそれがある。逆に、管に供給される圧力風が強すぎると、粉粒体が、粉粒体繰出部の繰出口へ逆流して円滑に移送されなかったり、吐出口への移送路で激しく衝突して崩れたり、吐出口で過大に加勢した状態で吐出したりして、適正な状態で吐出口に供給されないおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出す粉粒体繰出部61を設けると共に、風が流れるエアチャンバ68から圧力風を吸入する管80を設け、該管80に供給される圧力風により粉粒体繰出部61から繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する粉粒体吐出機において、エアチャンバ68の風の流れ方向における前記管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更可能に構成したことを特徴とする粉粒体吐出機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の粉粒体吐出機は、粉粒体繰出部61により粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出し、風が流れるエアチャンバ68から管80を介して供給される圧力風により繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における前記管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更することにより、管80が吸入する圧力風の流量が変化し、管80に供給される圧力風の強さが変化する。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、複数の粉粒体繰出部61に対応して管80及び吐出口を複数設け、それぞれの管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体吐出機とした。
従って、請求項2に記載の粉粒体吐出機は、請求項1に記載の粉粒体吐出機の作用に加えて、複数の粉粒体繰出部61により粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出し、圧力風により繰り出された粉粒体を複数の吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における管80の圧力風吸入口211の投影面積をそれぞれの管80で個別に変更することにより、管80が吸入する圧力風の流量が各管80で個別に変化し、各管80に供給される圧力風の強さを独立して変化させ、各管80に供給される圧力風の強さを適正値に均一化できる。
【0008】
【発明の効果】
よって、請求項1に記載の粉粒体吐出機は、管80に供給される圧力風の強さを変化させて適正にできるので、粉粒体繰出部61から繰り出された粉粒体を適正な状態で吐出口に供給でき、粉粒体の施用を適正に行える。
【0009】
また、請求項2に記載の粉粒体吐出機は、請求項1に記載の粉粒体吐出機の効果に加えて、同一のエアチャンバ68から吸入する各管80の圧力風の強さを適正に均一化できるので、各吐出口へ粉粒体を適正な状態で供給でき、各条の粉粒体の施用を適正に行える。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、施肥装置付きの乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0011】
走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪10,10及び後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該前輪ファイナルケースの変向可能な前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸に前輪10,10が取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0012】
原動機となるエンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジンの回転動力が、第一ベルト伝動装置21及び第二ベルト伝動装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構27によって施肥装置5へ伝動される。
【0013】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するボンネット32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びボンネット32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0014】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム45の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダを油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0015】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a,…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a,…に供給すると苗送りベルト51b,…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a,…に供給された苗を苗植付具52aで圃場に植付ける苗植付装置52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ53,53等を備えている。伝動ケース50内には、苗植付装置52,…の作動を2条単位で入・切する計3個の植付畦クラッチ54(1・2),54(3・4),54(5・6)が設けられている。これらの植付畦クラッチは、後述する畦クラッチレバー110(1・2),110(3・4),110(5・6)で入・切操作する。
【0016】
苗植付部4の下部にはセンターフロート55及びサイドフロート56,56が設けられている。これらフロートを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロートが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52,…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が上下動検出機構57により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0017】
施肥装置5は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)60に貯留されている肥料(粉粒体)を肥料繰出部(粉粒体繰出部)61,…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を肥料移送ホース(粉粒体移送ホース)62,…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63,…まで導き、施肥ガイド63,…の前側に設けた作溝体64,…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。モータ66で駆動のブロア67で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ68を経由して肥料移送ホース62,…内に吹き込み、肥料移送ホース62,…内の肥料を苗植付部側の肥料吐出口へ強制的に移送するようになっている。
【0018】
図13に示すように、前記施肥ガイド63の後面には、該施肥ガイド63に肥料が詰まったことを検出する肥料詰まりセンサ200を設けている。肥料詰まりセンサ200の直ぐ上となる施肥ガイド63の後面には空気抜き孔201を左右方向に複数個配列しており、肥料移送ホース62から施肥ガイド63までの圧力風の流れが円滑になるようにしている。尚、前記空気抜き孔201は、フロート55、56の上面より上位に設けられ、圃場の土壌や水がかかりにくい位置に配置されている。これにより、肥料が施肥ガイド63の空気抜き孔201付近まで確実に移送され、施肥ガイド63内の肥料通路はその面積が広く略鉛直方向に向いているために肥料が確実に落下し、圃場へ確実に施肥することができる。従来、圃場の土壌が軟らかかったり水位が高かったりすると、施肥ガイドが圃場の土壌又は水に深く沈み込み、施肥ガイドの下部の吐出口が土壌又は水で完全に塞がれ、肥料移送ホースから施肥ガイドまでの圧力風の流れを阻害し、圃場へ適正に施肥できないおそれがある。また、従来、肥料移送ホースの中途部に空気抜き孔を設けたものがあるが、空気抜き孔付近から施肥ガイドまでの肥料移送経路が前後に傾斜しているために、この肥料移送経路で肥料が詰まるおそれがある。
【0019】
尚、図14に示すように、空気抜き孔201を施肥ガイド63の直ぐ上の変形しない肥料移送ホース62部分に設けてもよい。要するに、吐出口から略鉛直上方の位置近傍に空気抜き孔201を配置すればよい。この空気抜き孔201は、下側に向けられており、肥料移送ホース62内で前上側から流れてくる圧力風をスムーズに外部へ排出することができる。肥料移送ホース62から空気抜き孔201への連通路202には、空気抜き孔201から肥料が外部へ吐出しないように網状体203を設けている。
【0020】
以下、図3〜図12に示す施肥装置本体部の各部の構成について説明する。
各条が一体に成形された肥料貯留タンク60は、上部に後側を支点にして開閉可能な蓋60aが取り付けられている。肥料貯留タンク60の下部は各条ごとに漏斗状になっており、その下部が肥料繰出部61,…の上端に接続されている。肥料貯留タンク60はその背面下部で、左右方向に長い施肥フレーム70から上方に突設した支持板71に回動自在に取り付けられており、図3で二点鎖線で示すように、肥料繰出部61,…から分離して後方に回動させられるようになっている。肥料貯留タンク60の下部を肥料繰出部61,…の上端に接続した通常位置では、係止具72により肥料貯留タンク60を固定する。
【0021】
図15に示すように、肥料貯留タンク60内には、左右方向において該タンク60の各条ごとの肥料繰出部61への供給口の互いの中間位置に支持パイプ(支持部材)204を設けている。この支持パイプ204は、肥料繰出部61への供給口の互いの中間位置それぞれに設けられているわけではなく、前記中間位置のうちの一部の適宜位置に設けられ、肥料貯留タンク60内で該タンク60の前壁から底壁を介して後壁に至るよう側面視でコの字型に構成されて肥料貯留タンク60の壁部に接触しており、両端が肥料貯留タンク60の前壁と後壁とに取付ボルト205により固定されている。この支持パイプ204により、複数条分が一体で構成される肥料貯留タンク60の剛性を増し、肥料貯留タンク60の強度向上を図っている。特に、低コスト化のため樹脂シートにより肥料貯留タンクを真空成形した場合、厚みが不均一となりやすく肥料貯留タンクの剛性が低下し、肥料満載時に肥料貯留タンクが変形するおそれがあるが、前記支持パイプ204により肥料貯留タンク60の強度向上が図れるので、肥料貯留タンク60の変形を防止できる。また、支持パイプ204が肥料貯留タンク60内に設けられるので、肥料貯留タンク60への肥料補給作業の邪魔になることもない。
【0022】
尚、図16に示すように、例えば10条植え等の多条植えの苗移植機の場合、限られた左右幅で施肥装置5を多条分構成するしなければならないので、所望の容量を得るべく肥料貯留タンク60の上下幅あるいは前後幅が大きくなり、肥料貯留タンク60の強度不足が懸念されるが、前記支持パイプ204により肥料貯留タンク60の強度向上が図れる。図16のものは、5条分の肥料貯留タンク60を左右に設け、該タンク60の肥料繰出部61への供給口の互いの中間位置(4箇所)のうちの一部の適宜位置(2箇所)に支持パイプ204を設けた構成となっている。尚、左右の肥料貯留タンク60は、同一部品であり、左右対称に配置している。
【0023】
図17及び図18は異なる肥料貯留タンク60を示すものであるが、肥料貯留タンク60の壁部を外側に凸状に屈曲し、この屈曲部内側に支持パイプ204を配置しており、肥料貯留タンク60の更なる強度向上が図れる。また、図17に示すものは、左右に複数設けた支持パイプ204の前側上端を繋ぐ補強フレーム206を設けており、この補強フレーム206に肥料袋等を載せて肥料貯留タンク60へ肥料補給することができ、肥料補給の容易化を図ると共に、肥料補給時に肥料袋等を肥料貯留タンク60上へ載せることによる該タンク60の変形を合理的に防止できる。この補強フレーム206は、正面視門型形状で、両端が支持パイプ204端に挿入されている。この補強フレーム206を支持パイプ204に対して上下移動させ、肥料補給時には作業者が適宜の高さに設定変更できるようにすると、更なる肥料補給の容易化が図れる。また、図18に示すものは、支持パイプの後側上端と肥料貯留タンク60の蓋60aとの間に圧縮スプリング等の弾性部材207を設けており、この弾性部材207により蓋60aを開く方向に付勢して該蓋60aを開いた状態で保持でき、肥料補給時に風等で蓋60aが勝手に閉じるようなことを防止し、肥料補給の容易化が図れる。
【0024】
また、図15に示すように、肥料繰出部61へ該タンク60内の肥料の重量が肥料繰出部61へ過度に作用したり、該タンク60内で肥料がブリッジ現象を起こしたり、あるいは大きな塊の肥料が肥料繰出部61へ供給されたりして、肥料が肥料繰出部61へ適正に供給されずに繰出が不適正になるのを防止するべく、肥料貯留タンク60内の肥料の落下流れを整流化すると共に大きな塊の肥料を受け止めて肥料繰出部61への供給を阻止する網208を設けている。この網208は、格子状に形成され、肥料繰出部61への供給口の上方に(前後に)傾斜して各条ごとに配置されている。肥料貯留タンク60の壁内面には網を係止する凸状の網係止部209を設け、肥料貯留タンク60の漏斗状部分の上端で網係止部209と対向する壁内面に網208の傾斜下位側端部を合わせ、その状態で網208の傾斜上位側端部を下方に押し込んで網係止部209に係止させ、網208を装着して固定するようになっている。また、網208には、上面が下方に凹状に構成される肥料溜まり208aを2箇所設けている。この網208は(前後に)傾斜しているので、上側の肥料の重量により撓みにくく、肥料の整流化及び受け止めを適正に行える。また、大きな肥料塊は肥料溜まり208aに供給されやすくなり、大きな肥料塊を肥料繰出部61へ落下させずに網208を取り外して容易に回収できる。また、網208の装着又は取り外しにあたり、前記肥料溜まり208aに指を入れてつまんで網208を撓ませながら行え、網208の装着又は取り外しが容易になる。従来の網は、図19に示すように、水平に配置されているので、肥料の重量により中央が撓みやすく、撓みにより網208−1と肥料貯留タンク60−1の壁内面との間に隙間が生じてこの隙間に肥料が詰まり、網208−1の装着又は取り外しが困難になるおそれがある。また、網208−1の撓みにより、肥料の整流化及び受け止めが不適正になるおそれがある。更には、網208−1の上面が平面状であるため、網208−1の装着又は取り外しが困難であると共に、網208−1を取り外す際に、受け止めた大きな肥料塊を肥料繰出部61−1へ落下させてしまうおそれがある。
【0025】
肥料貯留タンク60の下部には、肥料貯留タンク60から肥料繰出部61への肥料供給を停止する場合や、肥料貯留タンク60を回動させたときに中の肥料が流出するのを防ぐ開閉シャッタ73が設けられている。この開閉シャッタ73は、スライド支持部材74にスライド自在に支持されていて、把手73aをつかんで図6で実線で示す閉じた位置と二点鎖線で示す開いた位置とにスライドさせるようになっている。開閉シャッタ73を閉じた状態にしないと係止具72を外せないので、誤ってシャッタ73を開けたまま肥料貯留タンク60を回動させて肥料を流出させることの防止になっている。
【0026】
開閉シャッタ73の下側には、肥料貯留タンク60を肥料繰出部61に接続したときに肥料繰出部61の上部に挿入される筒状部75が形成されている。筒状部75と肥料繰出部61の上部との間に隙間が形成されるようになっている。肥料貯留タンク60に肥料が入っている状態で開閉シャッタ73を閉じて肥料貯留タンク60を回動させるとき、肥料繰出部61の上端よりも上側かつ開閉シャッタ73よりも下側に位置していた肥料が前記隙間に流入することにより、肥料繰出部61から肥料が溢れ落ちるのを防いでいる。
【0027】
肥料貯留タンク60下端部には、肥料貯留タンク60を肥料繰出部61に接続するときの緩衝用の弾性体76aと両者間の気密保持のためのパッキン76bとが取り付けられている。パッキン76bは肥料繰出部61の上端部分とその少し下方の部分の2箇所で肥料繰出部61のケースと接触するようになっている。このため、肥料繰出部61のケースとパッキン76bとの間に空間が有り、肥料貯留タンク60と肥料繰出部61との位置関係が多少ずれてもこの空間で吸収され、両者間の気密性が損われない。
【0028】
肥料繰出部61は、肥料貯留タンク60内の肥料を下方に繰り出す繰出ロール77を内蔵している。繰出ロール77は、外周部に肥料が入り込む複数本(図示例では6本)の溝77a,…が形成された回転体で、左右方向に設けた繰出軸78の角軸部78a(図示例は四角軸)にそれぞれ一体回転するように嵌合している。繰出ロール77が図6の矢印方向に回転することにより、肥料貯留タンク60から落下供給される肥料が溝77aに収容されて下方に搬送され、下端の繰出口61aから繰り出される。
【0029】
繰出ロール77の前側には該繰出ロールの外周面に摺接するブラシ79が着脱自在に設けられており、このブラシ79が溝77aから溢れる肥料を受けて下方へ落下するのを規制することにより、溝77aに肥料が摺り切り状態で収容され、肥料繰出量を一定に保持するようになっている。
【0030】
肥料繰出部61の繰出口61aには、若干後ろ下がりで略前後方向に連通する接続管80が設けられている。この接続管80の後端に前記肥料移送ホース62のホッパ側の端部が接続される。一方、接続管80の前端部はエアチャンバ68の背面部に挿入連結されている。エアチャンバ68の左端部はエア切替管81を介してブロア67に接続されており、該ブロア67からの圧力風がエアチャンバ68を経由し接続管80から肥料移送ホース62に吹き込まれるようになっている。肥料移送ホース62は、接続管80の少し後方の位置で、後述する左右方向に長い肥料回収管85に固定されたホースホルダ82により下から支えられている。
【0031】
図20に示すように、接続管80の前端部には圧力風吸入口211を設け、該圧力風吸入口211は、左側に切欠部211aを備えて左側から見えるように拡張されている。従って、圧力風吸入口211は、左側のブロア67から流れるエアチャンバ68内の圧力風を効率良く受け止めて吸入できる。圧力風吸入口211を備える接続管80の前端部となる吸入口部212は接続管80本体に対して該管80中心回り(前後方向の軸回り)に回動可能に設けられ、この回動により左側から見た圧力風吸入口211の投影面積が変更され、圧力風吸入口211の圧力風の吸入量を変更調節できる。
【0032】
また、図22及び図23に示すように、吸入口部212を接続管80本体に対して該管80中心回り(前後方向の軸回り)に回動させることにより、吸入口部212と接続管80本体との間の螺子部213で該吸入口部212を前後移動させ、エアチャンバ68への吸入口部212の挿入代(出代)を変更して、左側から見た圧力風吸入口211の投影面積を変更する構成としてもよい。尚、エアチャンバ68への吸入口部212の挿入代(出代)を変更する構成とすると、変更調節した吸入口部212における風の流れの抵抗が変わって、変更調節した吸入口部212よりエアチャンバ68の圧力風の流れの下手側の吸入口部212に影響して該吸入口部212の圧力風の吸入量が変化し、各条の圧力風吸入口211の圧力風の吸入量を変更調節するのが困難となるおそれがあるので、適確に精度よく変更設定できるのであれば、図20のように吸入口部212の挿入代(出代)を変えずに圧力風吸入口211の投影面積を変更する構成とするのが好ましい。
【0033】
また、繰出ロール77の後側には、下端が繰出ロール77の上端よりも下位になる位置に肥料排出口83が形成されている。この肥料排出口83は後ろ下がりに傾斜しており、その中間部に上端側を支点にして開閉自在な排出シャッタ84が取り付けられている。そして、各肥料繰出部の肥料排出口83と肥料繰出部61の後方に設けた左右方向に長い肥料回収管85とが肥料排出管83aで接続されている。
【0034】
肥料回収管85の左端部は、前記エア切替管81を介してブロア67に接続されている。エア切替管81は二股状の管であって、一方にエアチャンバ68が接続され、他方に肥料回収管85が接続されている。エア切替管81にはエア切替シャッタ86が設けられ、ブロア67から吹き出されるエアをエアチャンバ側に供給する状態と肥料回収管側に供給する状態とに切り替えられようになっている。肥料回収管85の右端部は下向きに屈曲し、その先端部にフレキシブルな回収シュート87が接続されている。
【0035】
図7は排出シャッタ及びエア切替シャッタの開閉機構を示す図である。回収シュート87の近傍に肥料回収レバー90が回動自在に設けられている。この肥料回収レバー90の回動支点軸90aと同軸上に設けられた左右方向のシャッタ開閉伝達軸91には扇形プレート92が取り付けられており、この扇形プレート92に形成された円弧状の長穴92aに、肥料回収レバー90に固着されたピン90bが遊嵌している。シャッタ開閉伝達軸91には各肥料繰出部ごとに開閉ギヤ93が取り付けられ、該ギヤ93が排出シャッタ84の回動軸84aに取り付けた半円形ギヤ94と噛み合っている(図6参照)。また、肥料回収レバー90には、エア切替ワイヤ95の一端が繋がれている。エア切替ワイヤ95の他端は、エア切替シャッタ86の回動軸86aに取り付けたアーム96に引張りスプリング97を介して繋がれている。
【0036】
肥料回収レバー90を回動操作すると、エア切替ワイヤ95が引かれてエア切替シャッタ86を切り替え、ブロア67から吹き出される圧力風が肥料回収管85に供給されるようになる。肥料回収レバー90の回動操作量が少ないうちは、ピン90bが長穴92aの中を移動するだけにすぎないので、シャッタ開閉伝達軸91は回動しない。しかしながら、肥料回収レバー90を一定量以上回動操作すると、ピン90bが扇形プレート92に係合し、シャッタ開閉伝達軸91が回動する。これにより、排出シャッタ84,…が開き、肥料貯留タンク60内の肥料が肥料回収管85に排出される。尚、開閉ギヤ93,…は条ごとに位相をずらして設けられており、ブロアに近い側の肥料繰出部から順に排出シャッタ84が開くようになっている。これにより、一度の多量の肥料が肥料回収管85内に流れ込むのを防ぎ、肥料回収管85内を肥料が円滑に流れ、同管内で肥料詰まりが生じないようにしている。
【0037】
肥料回収レバー90はレバーガイド98に沿って回動操作するようになっている。このレバーガイド98にはガイド穴98a,98bが形成されており、肥料回収レバー90の撓みを利用して肥料回収レバー90の係合部(図示せず)をガイド穴98a,98bに係合させることにより、肥料回収レバー90をエア切替シャッタ86だけが切り替えられる位置P1と、エア切替シャッタ86及び排出シャッタ84,…の両方が切り替えられる位置P2とに固定することができるようになっている。
【0038】
次に、施肥伝動機構27について説明する。尚、施肥伝動機構27は、左から数えて第4条と第5条の肥料繰出部61の間に配置されている。
前記植付クラッチケース25の後面から突出するクランクア−ム131が出力回転し、該クランクア−ム131に連結した上下方向に延びる駆動側揺動ロッド132の上下方向の往復動作が上側のカウンタア−ム133に伝動される。尚、カウンタア−ム133は、側面視でくの字形状になっており、前記駆動側揺動ロッド132と後記する従動側揺動ロッド134とが連結されている。そして、カウンタア−ム133の往復揺動による従動側揺動ロッド134の前後方向の往復動作がカウンタア−ム133の後側の繰出入力ア−ム135ヘ伝動され、この繰出入力ア−ム135の前後方向の往復作動が左側の一方向クラッチ136Lへ伝動される。尚、一方向クラッチ136L,136Rは、左右に2個設けられており、左右方向の同一の一方向クラッチ軸137回りに回動する構成となっており、外環部138L,138Rと前記一方向クラッチ軸137との間に複数の伝動用ロ−ラ139を備えたロ−ラクラッチであり、外環部138L,138Rの回動を一方向クラッチ軸137に伝達するようになっている。従って、左側の一方向クラッチ136Lは、外環部138Lが繰出入力ア−ム135と一体に設けられ、繰出入力ア−ム135の前後方向の往復作動における一方向となる外環部138Lの回動を一方向クラッチ軸137に伝達するようになっている。尚、左右の一方向クラッチ136L,136Rは、それぞれの外環部138L,138Rの同じ方向の回動で一方向クラッチ軸137に伝達するようになっている。
【0039】
左側の一方向クラッチ136Lの外環部138Lの上側には該外環部138Lと一体の第一ア−ム140を設け、この第一ア−ム140と前側にある第二ア−ム141とを第一リンク142により連結している。第二ア−ム141は、左右方向の中継軸143と一体回転する構成となっており、該中継軸143の下側で前記第一リンク142を連結するべく中継軸143から下側に延びている。第二ア−ム141の右側には前記中継軸143と一体回転する第三ア−ム144を中継軸143から上側に延設しており、この第三ア−ム144は第二ア−ム141と一体回転する。第三ア−ム144の中継軸143より上側の位置には第二リンク145を連結しており、この第二リンク145の他端側には第四ア−ム146を連結している。この第四ア−ム146は、右側の一方向クラッチ136Rの外環部138Rの上側に該外環部138Rと一体に設けられている。従って、左側の一方向クラッチ136Lの外環部138Lの往復回動により第一ア−ム140が前後方向に往復回動し、第一リンク142を介して第二ア−ム141へ伝達され、該第二ア−ム141が第一ア−ム140と同期して同じ側に前後方向に往復回動する。第三ア−ム144は、中継軸143に対して第二ア−ム141とは上下反対側(上側)に延びているので、その第二リンク145との連結位置では第二ア−ム141の往復回動と同期して第二ア−ム141の第一リンク142の連結位置における前後方向の往復動とは前後反対側に往復揺動することになる。そして、第三ア−ム144の往復動が第二リンク145を介して第四ア−ム146へ伝達され、第四ア−ム146が第三ア−ム144と同期して同じ側に前後方向に往復回動するので、右側の一方向クラッチ136Rの外環部138Rは、左側の一方向クラッチ136Lの外環部138Lの往復回動と同期して反対側に回動する。従って、前記第一ア−ム140乃至第四ア−ム146、第一リンク142及び第二リンク145により、逆転伝達機構を構成している。
【0040】
よって、前記逆転伝達機構により左右の一方向クラッチ136L,136Rの外環部138L,138Rが互いに反対側に回動するため、繰出入力ア−ム135の往復作動において左右の一方向クラッチ136L,136Rの何れか一方が一方向クラッチ軸137を同じ一方向(正転方向)に回転させることとなり、常時、連続的に一方向クラッチ軸137を駆動することができる。
【0041】
左右の一方向クラッチ136L,136Rの間には一方向クラッチ軸137とキ−147aにより一体回転する駆動ギヤ147を設け、この駆動ギヤ147が後述する繰出駆動軸105と一体回転する従動ギヤ148に噛み合う。従って、一方向クラッチ軸137の連続回転が繰出駆動軸105へ伝動される。尚、駆動ギヤ147の歯数は、従動ギヤ148の歯数より多く、従動ギヤ148の歯数の約2倍となっている。従って、駆動ギヤ147及び従動ギヤ148により、回転速度を増速して伝動する増速伝動部を構成している。尚、左右の一方向クラッチ136L,136Rのそれぞれの外環部138L,138Rの外周には、一方向クラッチ136L,136Rの伝動用ロ−ラ139部分へ肥料や塵等の異物が混入しないように駆動ギヤ147の基部内径部との隙間を塞ぐシール材149を設けている。尚、左右の一方向クラッチ136L,136Rの伝動用ロ−ラ139の駆動ギヤ147とは反対側にも、外環部138L,138Rの内面と一方向クラッチ軸137の外面とに接触するように外側シール材149aを設けている。
【0042】
従って、左右の一方向クラッチ136L,136Rの間に駆動ギヤ147を設けているので、左右何れの一方向クラッチ136L,136Rが伝動状態であっても伝動する一方向クラッチ136L,136Rと駆動ギヤ147並びにキ−147aとが近いため、左右一対の一方向クラッチ136L,136Rの左右一方側に駆動ギヤ147を配置した場合と比較して、一方向クラッチ136L,136Rにより伝動される動力を駆動ギヤ147へ適正な速度で精度良く伝動することができ、肥料繰出部61の肥料の繰出量を適正に安定させることができる。また、一方向クラッチ136L,136Rの外環部138L,138Rと駆動ギヤ147の基部内径部との隙間を塞ぐシール材149が一方向クラッチ軸137方向において前記外環部138L,138Rと重複する構成となるので、一方向クラッチ136L,136Rの伝動用ロ−ラ139と駆動ギヤ147との左右方向(一方向クラッチ軸137方向)の位置を近づけることができ、一方向クラッチ136L,136Rにより伝動される動力を駆動ギヤ147へ適正な速度でより精度良く伝動することができる。従来の一般的な一方向クラッチを使用すると、この一方向クラッチは、図10に示す外側シール材149aのように、伝動用ロ−ラの外側(一方向クラッチ軸方向の外側)にシール材を設けているので、そのシール材の一方向クラッチ軸方向の厚み分駆動ギヤ並びにキ−と伝動用ロ−ラとの間隔を設けなければならず、駆動ギヤ147の回転作動速度が一方向クラッチ軸の支持におけるがたの影響を受けやすくなって不適正になったり不安定になったりすることが考えられる。
【0043】
逆転伝達機構の左右には、該逆転伝達機構を支持する逆転用支持部材150L,150Rをそれぞれ設けている。この逆転用支持部材150L,150Rは、鋳物により構成され、施肥装置5の基部フレ−ム151に締付ボルト152にて固定されており、一方向クラッチ軸137、繰出駆動軸105及び逆転伝達機構の中継軸143を軸受するボ−ルベアリング153、154、155をそれぞれ備えている。尚、繰出駆動軸105は、逆転用支持部材150L,150Rを貫通して左右に長く設けられている。従って、前記一方向クラッチ軸137、繰出駆動軸105及び中継軸143は、左右の逆転用支持部材150L,150Rにより左右で軸受され、一方向クラッチ137、逆転伝達機構及び駆動ギヤ147並びに従動ギヤ148等の施肥伝動機構27の伝動部の左右で両持支持されているので、支持剛性が向上し、繰出伝動が適正に精度良く行われる。特に、図9及び図10に示すように、第二ア−ム141は左側の逆転用支持部材150Lに近づけて配置され、第三ア−ム144は右側の逆転用支持部材150Rに近づけて配置されているので、中継軸143におけるこれらのア−ム141,144から受ける作動荷重を左右それぞれのボ−ルベアリング155がしっかりと受け、前記ア−ム141,144の伝達精度の向上を図ることができる。
【0044】
左側の逆転用支持部材150Lの左側には、繰出量調節機構156を設けている。この繰出量調節機構156は、前部に繰出量調節ねじ部分157を備える繰出量調節軸158と該軸158の後部に取り付けた繰出量調節ハンドル159とを備えている。繰出量調節軸158の中途部には該軸158が回動できるように外嵌された軸支持部材160を設けており、この軸支持部材160に固着した左右方向の軸支持支点軸160aを左側の逆転用支持部材150Lに挿入した構成となっている。従って、繰出量調節機構156は、前記軸支持支点軸160a回りに回動可能に設けられている。尚、軸支持支点軸160aは、繰出量調節軸158の右側で左側の逆転用支持部材150Lに支持されると共に、左側で格別に設けた調節軸支持フレ−ム161に支持されている。従って、繰出量調節機構156は、軸支持支点軸160a部分において繰出量調節軸158の左右で両持支持された構成となっている。
【0045】
カウンタア−ム133の回動軸162を支持するカウンタ支持部材163の上部には、雌ねじ部分164aを備える主要部が側面視六角形の位置調節体164を左右方向の軸回りに回動可能に設けている。尚、カウンタ支持部材163の後端部には左右方向の同一直線上に軸心が位置するカウンタ支点軸165を左右それぞれ設け、カウンタ支持部材163は、このカウンタ支点軸165回りに基部フレ−ム151に対して回動可能に設けられている。尚、基部フレ−ム151にはカウンタ支点軸165を装着する孔166を複数個(4個)前後に配列しており、型式、仕様等により施肥装置5のスペースが制限されるようなときにはカウンタ支点軸165の前後位置を変更して対応し、カウンタ支持部材163及び基部フレ−ム151等の部品の共用化を図っている。カウンタ支点軸165部分は基部フレ−ム151とは別の補強部材167により機体に支持されており、カウンタ支点軸165の位置が変わってもカウンタ支点軸165部分に補強部材167を取り付けて剛性を保ち、カウンタ支点軸165の位置が変化しにくいようにしている。前記位置調節体164の雌ねじ部分164aに繰出量調節軸158の前部の繰出量調節ねじ部分157が螺合しており、繰出量調節軸158の回動により位置調節体164が前後に移動してカウンタ支持部材163がカウンタ支点軸165回りに回動し、カウンタア−ム133の回動軸162を前上方あるいは後下方に移動させる構成となっている。従って、カウンタア−ム133の回動軸162を移動させることにより、カウンタア−ム133の姿勢が変化し、例えば前記回動軸162を前上方へ移動させると、駆動側揺動ロッド132及び従動側揺動ロッド134が共にカウンタア−ム133と直角に近い状態で交差するように姿勢が変更されるので、駆動側揺動ロッド132で作動するカウンタア−ム133及び従動側揺動ロッド134で作動する繰出入力ア−ム135の揺動ストロ−ク(揺動角)がそれぞれ大きくなり、一方向クラッチ軸137ひいては繰出駆動軸105の回転速度が大きくなって、肥料繰出部61による繰出量が多くなる。一方、前記回動軸162を後下方へ移動させると、駆動側揺動ロッド132及び従動側揺動ロッド134が共にカウンタア−ム133と直角からかけ離れた状態で交差するように姿勢が変更されるので、駆動側揺動ロッド132で作動するカウンタア−ム133及び従動側揺動ロッド134で作動する繰出入力ア−ム135の揺動ストロ−ク(揺動角)がそれぞれ小さくなり、一方向クラッチ軸137ひいては繰出駆動軸105の回転速度が小さくなって、肥料繰出部61による繰出量が多くなる。従って、繰出量調節ハンドル159を操作して繰出量調節軸158を回動させることにより、施肥装置5の肥料の繰出量を連続的に変更して調節できるようになっている。
【0046】
カウンタ支持部材163は、左右のプレ−ト部163aと該左右のプレ−ト部163aを繋ぐ前部プレ−ト部163bとにより平面視コの字状に構成され、前記左右のプレ−ト部163aに位置調節体164、カウンタア−ム133の回動軸162及びカウンタ支点軸165を軸受するボ−ルベアリング168,169,170をそれぞれ設けている。従って、位置調節体164及びカウンタア−ム133の回動軸162は左右のボ−ルベアリング168,169により両持支持され、左右のカウンタ支点軸165は左右に配置したそれぞれのボ−ルベアリング170により左右別個に支持されている。よって、繰出量調節軸158の繰出量調節ねじ部分157と位置調節体164の雌ねじ部分164aとの螺合部は螺合しているためにがたが生じやすく、カウンタ支持部材163の回動位置が不安定になる要因となりやすいが、この螺合部の左右にボ−ルベアリング168を設けて位置調節体164を両持支持しているので、カウンタ支持部材163の回動位置の安定を図ることができ、繰出量調節の適正化及び施肥装置5の肥料の繰出量の安定化を図ることができる。尚、図11に示すように、前記螺合部を位置調節体164の左右のボ−ルベアリング168の一方(左側のボ−ルベアリング168)に近づけて配置しているので、位置調節体164における螺合部のカウンタ支持部材163に対する位置が変化しにくく、カウンタ支持部材163の回動位置の更なる安定化を図ることができる。また、カウンタア−ム133は、往復揺動する構成であるので、該ア−ム133の回動軸162の位置が少しでも変化すると、回動量(揺動量)が変化して肥料繰出部61の肥料の繰出量が変化しやすい傾向がある。しかしながら、カウンタア−ム133の回動軸162を左右のボ−ルベアリング169により両持支持しているので、カウンタ支持部材163に対する前記回動軸162の位置が変化しにくく、カウンタア−ム133の回動量(揺動量)の安定化を図ることができ、ひいては施肥装置5の肥料の繰出量の安定化を図ることができる。
【0047】
尚、位置調節体164は、左右両端部164bが丸軸状に構成され、この左右両端部164bをボ−ルベアリング168に嵌合させて左右方向の軸回りに回動可能となっている。前部プレ−ト部163bの繰出量調節軸158の延長線上となる適所には孔171を設け、繰出量調節ハンドル159の操作により繰出量調節軸158の繰出量調節ねじ部分157が位置調節体164の前側に大きく突出する状態となっても、繰出量調節軸158が前記孔171を貫通するようにしてカウンタ支持部材163と干渉しないようになっている。また、前部プレ−ト部163bの下部には切欠き172を設け、カウンタア−ム133が前記切欠き172を貫通するようにしている。
【0048】
繰出量調節軸158の軸支持部材160より前側の部分には繰出量表示用ねじ部分173を設けると共に、該ねじ部分173に螺合する雌ねじ部分174aを備える繰出量表示具174を設けている。尚、繰出量表示具174は、繰出量表示用ねじ部分173を覆うカバ−175の右側部に設けた長孔部176に係合し、この長孔部176から一部がカバ−175の右側に突出するように設けられ、前記カバ−175に対して回動しないように支持されると共に前記長孔部176に案内されて繰出量調節軸158方向に移動可能に支持され、繰出量調節軸158の回動に伴って該軸158方向に移動する構成となっている。前記カバ−175の長孔部176の縁にはこの長孔方向に目盛177をつけていると共に、繰出量表示具174にはマ−ク178をつけており、該マ−ク178が指し示す目盛177を読みながら作業者が肥料の繰出量を認識したり調節したりするようになっている。
【0049】
繰出量調節軸158は側面視で前上がり姿勢に傾斜して設けられ、繰出量調節軸158の前端部に設けた繰出量調節ハンドル159を肥料繰出部61より前側に配置している。従って、作業者は、肥料繰出部61が邪魔にならずに座席31に座ったまま、走行車体2側から繰出量調節ハンドル159を容易に操作することができる。
【0050】
繰出駆動軸105に伝達された施肥動力は、2条ごとに1組設けられた施肥畦クラッチ106,…を介して、繰出駆動軸105に回転自在に外嵌する筒軸107,…に伝達される。そして、一対の繰出伝動ギヤ108a,108bを介して、各筒軸107から各条の繰出軸79へ伝動される。駆動側の繰出伝動ギヤ108aは筒軸107に摺動自在に嵌合しており、該ギヤ108aをずらして一対の繰出伝動ギヤ108a,108bの噛み合いを解除することができる。つまり、条ごとに施肥作動を入り・切りする単条クラッチ108として構成されているのである。
【0051】
左から数えて第1条と第2条の施肥作動を入・切する施肥畦クラッチ106(1・2)及び第3条と第4条の施肥作動を入・切する施肥畦クラッチ106(3・4)は、第2条の肥料繰出部61と第3条の肥料繰出部61との間隔部にそれぞれ設けられている。第5条と第6条の施肥作動を入・切する施肥畦クラッチ106(5・6)は、第6条の肥料繰出部61の右側すなわち施肥装置の右端に設けられている。これらの施肥畦クラッチを操作する畦クラッチレバー110(1・2),110(3・4),110(5・6)は、先端を前方に突出させて上下に回動操作するように設けられている。左右の後輪11,11は平面視で第1条の肥料繰出部61と第2条の肥料繰出部61との間隔部及び第5条の肥料繰出部61と第6条の肥料繰出部61との間隔部にそれぞれ位置しており、後輪11,11と畦クラッチレバー110,…とが同じ肥料繰出部間にないように配置されている。
【0052】
また、左から1条目の施肥作動を入・切する単条クラッチ108(1)及び左から2条目の施肥作動を入・切する単条クラッチ108(2)は、1条目と2条目の間隔部にそれぞれ設けられている。同様に、単条クラッチ108(3)及び単条クラッチ108(4)は3条目と4条目の間隔部に設けられ、単条クラッチ108(5)及び単条クラッチ108(6)は5条目と6条目の間隔部に設けられている。これらの単条クラッチ108,…は切替つまみ111で操作する。
【0053】
施肥作業時には、繰出ロール77を正転(図6の矢印方向)させ、肥料貯留タンク60の肥料を繰出口61aから下方に繰り出す。繰出口61aから繰り出された肥料は、管状部61b及び肥料移送ホース62内をブロア67から吹き出される圧力風によって運ばれ、肥料移送ホース62の先端吐出口から施肥ガイド63に吐出され圃場に供給される。尚、繰出量調節機構156により、繰出駆動軸105の回転速度を変更して肥料吐出量を無段階に調節できる。
【0054】
肥料回収時には、肥料貯留タンク60の肥料を肥料排出口83から排出する。排出された肥料は、肥料回収管85及び回収シュート87内をブロア67から吹き出される圧力風によって運ばれ、回収シュート先端の回収口から吐出されて回収容器等に回収される。
【0055】
また、各畦クラッチレバー110,…には、施肥畦クラッチ106,…の入・切に連係して前記植付畦クラッチ54,…を入・切するためのケーブル120,…が繋がれている。畦クラッチレバー110,…は後輪のない粉粒体繰出部間に設けられているので、ケーブル120,…を肥料移送ホース62,…及び後輪11,11と干渉することなく配索することが可能になっている。
【0056】
ところで、肥料貯留タンク60の蓋60aには、各条ごとの肥料減少センサ215を設けている。この肥料減少センサ215は、下方に光を照射することにより肥料貯留タンク60内の肥料上面の高さを検出するものであり、肥料繰出部61への各供給口の上方に配置されている。作業時には肥料減少センサ215が肥料貯留タンク60内の肥料残量を各条ごとに逐次検出し、肥料残量の減少が著しく少ないときに制御装置によりランプ等で警告する警告手段を設けている。これにより、肥料繰出部61、接続管80、肥料移送ホース62及び施肥ガイド63からなる肥料移送経路のどの箇所で肥料が詰まる等のトラブルが発生しても、このトラブルにより各条ごとに適正に施肥が行われていないことを認識でき、不適正な施肥作業を未然に防止できる。尚、肥料繰出部61の繰出量設定により適正な肥料減少量が異なるため、繰出量設定の変更に連動して警告手段が作動する判断基準を変更するようにしてもよい。尚、前記肥料減少センサ215に代えて、重量式等、肥料の減少を検出する他の形態のセンサとしてもよい。従来、上述のような肥料減少センサは知られているが、該センサの検出により肥料の減少量が適正になるように繰出量設定を自動的に補正するだけであり、肥料残量の減少が著しく少ないときに警告するものはなかった。また、施肥ガイドに肥料詰まりセンサを設けたものは知られているが、この肥料詰まりセンサではその移送上手の肥料繰出部、接続管及び肥料移送ホース等の肥料移送経路における肥料が詰まる等のトラブルを検出できない。
【0057】
尚、肥料減少センサ215の検出により、肥料の減少量が適正になるように繰出量調節軸158をアクチュエータにより回動させて繰出量を自動的に補正するようにしてもよい。このとき、制御装置により、圃場における機体の位置をGPSで検出して機体の実走行速度を演算すると共に、走行車輪となる前輪10又は後輪11の回転数を車輪回転数センサにより同時に検出して車輪の回転数に基づく理論走行速度を演算し、前記実走行速度と理論走行速度との差異から走行スリップ率を演算し、該走行スリップ率に基づいて実際の走行距離に対応する繰出量となるよう繰出量を自動的に補正するとよい。これにより、圃場の単位面積当たりの粉粒体の繰出量の適正化が図れる。従来は、走行車輪の回転に連動して繰出量が変更されるのみであるので、圃場状況によって走行スリップ率が異なると、圃場の単位面積当たりの粉粒体の繰出量に誤差が生じ、肥料の場合は圃場における肥効がばらつくおそれがある。併せて、走行スリップ率に基づいて苗植付部4の作動速度を自動的に補正すれば、植付株間の適正化が図れる。
【0058】
以上により、施肥装置付きの乗用型の田植機1は、肥料貯留タンク60内の肥料を繰り出す肥料繰出部61を設けると共に、風が流れるエアチャンバ68から圧力風を吸入する接続管80を設け、該接続管80に供給される圧力風により肥料繰出部61から繰り出された肥料を吐出口へ移送して吐出し、エアチャンバ68の風の流れ方向における前記接続管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更可能に構成した。また、複数の肥料繰出部61に対応して接続管80及び吐出口を複数設け、それぞれの接続管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成した。
【0059】
従って、肥料繰出部61により肥料貯留タンク60内の肥料を繰り出し、風が流れるエアチャンバ68から接続管80を介して供給される圧力風により繰り出された肥料粉粒体を吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における前記接続管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更することにより、接続管80が吸入する圧力風の流量が変化し、接続管80に供給される圧力風の強さが変化する。また、複数の肥料繰出部61により肥料貯留タンク60内の肥料を繰り出し、圧力風により繰り出された肥料を複数の吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における接続管80の圧力風吸入口211の投影面積をそれぞれの接続管80で個別に変更することにより、接続管80が吸入する圧力風の流量が各接続管80で個別に変化し、各接続管80に供給される圧力風の強さを独立して変化させ、各接続管80に供給される圧力風の強さを適正値に均一化できる。
【0060】
よって、接続管80に供給される圧力風の強さを変化させて適正にできるので、肥料繰出部61から繰り出された肥料を適正な状態で吐出口に供給でき、圧力風が強すぎて圃場面で肥料が跳ね返って所望の位置に吐出できなかったり圧力風が弱くて接続管80、肥料移送ホース62及び施肥ガイド63からなる肥料移送経路で肥料が詰まったりするのを防止でき、圃場に施肥を適正に行えて、適正に肥効を得ることができる。また、同一のエアチャンバ68から吸入する各接続管80の圧力風の強さを適正に均一化できるので、各吐出口へ肥料を適正な状態で供給でき、各条の施肥を適正に行える。
【0061】
尚、この発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
尚、この発明の実施の形態は粉粒体吐出装置として施肥装置5について記述したが、播種装置や薬剤散布装置に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用施肥田植機の側面図
【図2】乗用施肥田植機の平面図
【図3】施肥装置の一部の側面図
【図4】施肥装置の一部の平面図
【図5】施肥装置の一部の背面図
【図6】肥料繰出部を示す側面断面図
【図7】排出シャッタ及びエア切替シャッタの開閉機構を示す図
【図8】施肥伝動機構を示す側面図
【図9】施肥伝動機構を示す平面図
【図10】逆転伝達機構及び繰出量調節機構の一部を示す展開平面断面図
【図11】カウンタ支持部材を示す展開背面断面図
【図12】肥料繰出部への伝動構成を示す断面図
【図13】施肥ガイドを示す側面断面図
【図14】異なる空気抜き孔を示す側面図
【図15】肥料貯留タンクの側面断面図
【図16】異なる肥料貯留タンクを示す背面図
【図17】異なる肥料貯留タンクを示す斜視図
【図18】異なる肥料貯留タンクを示す斜視図
【図19】従来の網を示す側面断面図
【図20】接続管を示す側面図
【図21】吸入口部の変更調節を判り易く示した正面図
【図22】異なる接続管を示す側面図
【図23】(a)異なる吸入口部を示す正面図、(b)異なる吸入口部を示す側面断面図
【符号の説明】
1…乗用型の田植機、5…施肥装置、60…肥料貯留タンク、61…肥料繰出部、68…エアチャンバ、80…接続管、211…圧力風吸入口
【発明の属する技術分野】
この発明は、施肥装置、播種装置あるいは薬剤散布装置等を備える粉粒体吐出機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来、粉粒体貯留タンク内の粉粒体を繰り出す粉粒体繰出部を設けると共に、風が流れるエアチャンバから圧力風を吸入する管を設け、該管に供給される圧力風により粉粒体繰出部から繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する粉粒体吐出機がある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開2000ー270638号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術の粉粒体吐出機においては、管に供給される圧力風が弱いと、粉粒体が、吐出口への移送路の中途部で詰まり、吐出口まで移送されないおそれがある。逆に、管に供給される圧力風が強すぎると、粉粒体が、粉粒体繰出部の繰出口へ逆流して円滑に移送されなかったり、吐出口への移送路で激しく衝突して崩れたり、吐出口で過大に加勢した状態で吐出したりして、適正な状態で吐出口に供給されないおそれがある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明は、上記課題を解決するべく次の技術的手段を講じた。
すなわち、請求項1に係る発明は、粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出す粉粒体繰出部61を設けると共に、風が流れるエアチャンバ68から圧力風を吸入する管80を設け、該管80に供給される圧力風により粉粒体繰出部61から繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する粉粒体吐出機において、エアチャンバ68の風の流れ方向における前記管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更可能に構成したことを特徴とする粉粒体吐出機とした。
【0006】
従って、請求項1に記載の粉粒体吐出機は、粉粒体繰出部61により粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出し、風が流れるエアチャンバ68から管80を介して供給される圧力風により繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における前記管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更することにより、管80が吸入する圧力風の流量が変化し、管80に供給される圧力風の強さが変化する。
【0007】
また、請求項2に係る発明は、複数の粉粒体繰出部61に対応して管80及び吐出口を複数設け、それぞれの管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体吐出機とした。
従って、請求項2に記載の粉粒体吐出機は、請求項1に記載の粉粒体吐出機の作用に加えて、複数の粉粒体繰出部61により粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出し、圧力風により繰り出された粉粒体を複数の吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における管80の圧力風吸入口211の投影面積をそれぞれの管80で個別に変更することにより、管80が吸入する圧力風の流量が各管80で個別に変化し、各管80に供給される圧力風の強さを独立して変化させ、各管80に供給される圧力風の強さを適正値に均一化できる。
【0008】
【発明の効果】
よって、請求項1に記載の粉粒体吐出機は、管80に供給される圧力風の強さを変化させて適正にできるので、粉粒体繰出部61から繰り出された粉粒体を適正な状態で吐出口に供給でき、粉粒体の施用を適正に行える。
【0009】
また、請求項2に記載の粉粒体吐出機は、請求項1に記載の粉粒体吐出機の効果に加えて、同一のエアチャンバ68から吸入する各管80の圧力風の強さを適正に均一化できるので、各吐出口へ粉粒体を適正な状態で供給でき、各条の粉粒体の施用を適正に行える。
【0010】
【発明の実施の形態】
この発明の実施の一形態を図面に基づき説明する。
図1及び図2は、施肥装置付きの乗用型の田植機1を示すものであり、この乗用型の田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
【0011】
走行車体2は、駆動輪である各左右一対の前輪10,10及び後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該前輪ファイナルケースの変向可能な前輪支持部から外向きに突出する前輪車軸に前輪10,10が取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸を支点にして後輪ギヤケース18,18がローリング自在に支持され、その後輪ギヤケース18,18から外向きに突出する後輪車軸に後輪11,11が取り付けられている。
【0012】
原動機となるエンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジンの回転動力が、第一ベルト伝動装置21及び第二ベルト伝動装置23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース内のトランスミッションにて変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが後輪ギヤケース18,18に伝達されて後輪11,11を駆動する。また、外部取出動力は、走行車体2の後部に設けた植付クラッチケース25に伝達され、それから植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動されるとともに、施肥伝動機構27によって施肥装置5へ伝動される。
【0013】
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するボンネット32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びボンネット32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の後部は、後輪フェンダを兼ねるリヤステップ36となっている。また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が機体よりも側方に張り出す位置と内側に収納した位置とに回動可能に設けられている。
【0014】
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、1本の上リンク40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、その先端側に縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に固着した支持部材と上リンク40に一体形成したスイングアーム45の先端部との間に昇降油圧シリンダ46が設けられており、該シリンダを油圧で伸縮させることにより、上リンク40が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
【0015】
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a,…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a,…に供給すると苗送りベルト51b,…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a,…に供給された苗を苗植付具52aで圃場に植付ける苗植付装置52,…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ53,53等を備えている。伝動ケース50内には、苗植付装置52,…の作動を2条単位で入・切する計3個の植付畦クラッチ54(1・2),54(3・4),54(5・6)が設けられている。これらの植付畦クラッチは、後述する畦クラッチレバー110(1・2),110(3・4),110(5・6)で入・切操作する。
【0016】
苗植付部4の下部にはセンターフロート55及びサイドフロート56,56が設けられている。これらフロートを圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロートが泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52,…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が上下動検出機構57により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
【0017】
施肥装置5は、肥料貯留タンク(粉粒体貯留タンク)60に貯留されている肥料(粉粒体)を肥料繰出部(粉粒体繰出部)61,…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を肥料移送ホース(粉粒体移送ホース)62,…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド63,…まで導き、施肥ガイド63,…の前側に設けた作溝体64,…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥溝内に吐出するようになっている。モータ66で駆動のブロア67で発生させた圧力風を左右方向に長いエアチャンバ68を経由して肥料移送ホース62,…内に吹き込み、肥料移送ホース62,…内の肥料を苗植付部側の肥料吐出口へ強制的に移送するようになっている。
【0018】
図13に示すように、前記施肥ガイド63の後面には、該施肥ガイド63に肥料が詰まったことを検出する肥料詰まりセンサ200を設けている。肥料詰まりセンサ200の直ぐ上となる施肥ガイド63の後面には空気抜き孔201を左右方向に複数個配列しており、肥料移送ホース62から施肥ガイド63までの圧力風の流れが円滑になるようにしている。尚、前記空気抜き孔201は、フロート55、56の上面より上位に設けられ、圃場の土壌や水がかかりにくい位置に配置されている。これにより、肥料が施肥ガイド63の空気抜き孔201付近まで確実に移送され、施肥ガイド63内の肥料通路はその面積が広く略鉛直方向に向いているために肥料が確実に落下し、圃場へ確実に施肥することができる。従来、圃場の土壌が軟らかかったり水位が高かったりすると、施肥ガイドが圃場の土壌又は水に深く沈み込み、施肥ガイドの下部の吐出口が土壌又は水で完全に塞がれ、肥料移送ホースから施肥ガイドまでの圧力風の流れを阻害し、圃場へ適正に施肥できないおそれがある。また、従来、肥料移送ホースの中途部に空気抜き孔を設けたものがあるが、空気抜き孔付近から施肥ガイドまでの肥料移送経路が前後に傾斜しているために、この肥料移送経路で肥料が詰まるおそれがある。
【0019】
尚、図14に示すように、空気抜き孔201を施肥ガイド63の直ぐ上の変形しない肥料移送ホース62部分に設けてもよい。要するに、吐出口から略鉛直上方の位置近傍に空気抜き孔201を配置すればよい。この空気抜き孔201は、下側に向けられており、肥料移送ホース62内で前上側から流れてくる圧力風をスムーズに外部へ排出することができる。肥料移送ホース62から空気抜き孔201への連通路202には、空気抜き孔201から肥料が外部へ吐出しないように網状体203を設けている。
【0020】
以下、図3〜図12に示す施肥装置本体部の各部の構成について説明する。
各条が一体に成形された肥料貯留タンク60は、上部に後側を支点にして開閉可能な蓋60aが取り付けられている。肥料貯留タンク60の下部は各条ごとに漏斗状になっており、その下部が肥料繰出部61,…の上端に接続されている。肥料貯留タンク60はその背面下部で、左右方向に長い施肥フレーム70から上方に突設した支持板71に回動自在に取り付けられており、図3で二点鎖線で示すように、肥料繰出部61,…から分離して後方に回動させられるようになっている。肥料貯留タンク60の下部を肥料繰出部61,…の上端に接続した通常位置では、係止具72により肥料貯留タンク60を固定する。
【0021】
図15に示すように、肥料貯留タンク60内には、左右方向において該タンク60の各条ごとの肥料繰出部61への供給口の互いの中間位置に支持パイプ(支持部材)204を設けている。この支持パイプ204は、肥料繰出部61への供給口の互いの中間位置それぞれに設けられているわけではなく、前記中間位置のうちの一部の適宜位置に設けられ、肥料貯留タンク60内で該タンク60の前壁から底壁を介して後壁に至るよう側面視でコの字型に構成されて肥料貯留タンク60の壁部に接触しており、両端が肥料貯留タンク60の前壁と後壁とに取付ボルト205により固定されている。この支持パイプ204により、複数条分が一体で構成される肥料貯留タンク60の剛性を増し、肥料貯留タンク60の強度向上を図っている。特に、低コスト化のため樹脂シートにより肥料貯留タンクを真空成形した場合、厚みが不均一となりやすく肥料貯留タンクの剛性が低下し、肥料満載時に肥料貯留タンクが変形するおそれがあるが、前記支持パイプ204により肥料貯留タンク60の強度向上が図れるので、肥料貯留タンク60の変形を防止できる。また、支持パイプ204が肥料貯留タンク60内に設けられるので、肥料貯留タンク60への肥料補給作業の邪魔になることもない。
【0022】
尚、図16に示すように、例えば10条植え等の多条植えの苗移植機の場合、限られた左右幅で施肥装置5を多条分構成するしなければならないので、所望の容量を得るべく肥料貯留タンク60の上下幅あるいは前後幅が大きくなり、肥料貯留タンク60の強度不足が懸念されるが、前記支持パイプ204により肥料貯留タンク60の強度向上が図れる。図16のものは、5条分の肥料貯留タンク60を左右に設け、該タンク60の肥料繰出部61への供給口の互いの中間位置(4箇所)のうちの一部の適宜位置(2箇所)に支持パイプ204を設けた構成となっている。尚、左右の肥料貯留タンク60は、同一部品であり、左右対称に配置している。
【0023】
図17及び図18は異なる肥料貯留タンク60を示すものであるが、肥料貯留タンク60の壁部を外側に凸状に屈曲し、この屈曲部内側に支持パイプ204を配置しており、肥料貯留タンク60の更なる強度向上が図れる。また、図17に示すものは、左右に複数設けた支持パイプ204の前側上端を繋ぐ補強フレーム206を設けており、この補強フレーム206に肥料袋等を載せて肥料貯留タンク60へ肥料補給することができ、肥料補給の容易化を図ると共に、肥料補給時に肥料袋等を肥料貯留タンク60上へ載せることによる該タンク60の変形を合理的に防止できる。この補強フレーム206は、正面視門型形状で、両端が支持パイプ204端に挿入されている。この補強フレーム206を支持パイプ204に対して上下移動させ、肥料補給時には作業者が適宜の高さに設定変更できるようにすると、更なる肥料補給の容易化が図れる。また、図18に示すものは、支持パイプの後側上端と肥料貯留タンク60の蓋60aとの間に圧縮スプリング等の弾性部材207を設けており、この弾性部材207により蓋60aを開く方向に付勢して該蓋60aを開いた状態で保持でき、肥料補給時に風等で蓋60aが勝手に閉じるようなことを防止し、肥料補給の容易化が図れる。
【0024】
また、図15に示すように、肥料繰出部61へ該タンク60内の肥料の重量が肥料繰出部61へ過度に作用したり、該タンク60内で肥料がブリッジ現象を起こしたり、あるいは大きな塊の肥料が肥料繰出部61へ供給されたりして、肥料が肥料繰出部61へ適正に供給されずに繰出が不適正になるのを防止するべく、肥料貯留タンク60内の肥料の落下流れを整流化すると共に大きな塊の肥料を受け止めて肥料繰出部61への供給を阻止する網208を設けている。この網208は、格子状に形成され、肥料繰出部61への供給口の上方に(前後に)傾斜して各条ごとに配置されている。肥料貯留タンク60の壁内面には網を係止する凸状の網係止部209を設け、肥料貯留タンク60の漏斗状部分の上端で網係止部209と対向する壁内面に網208の傾斜下位側端部を合わせ、その状態で網208の傾斜上位側端部を下方に押し込んで網係止部209に係止させ、網208を装着して固定するようになっている。また、網208には、上面が下方に凹状に構成される肥料溜まり208aを2箇所設けている。この網208は(前後に)傾斜しているので、上側の肥料の重量により撓みにくく、肥料の整流化及び受け止めを適正に行える。また、大きな肥料塊は肥料溜まり208aに供給されやすくなり、大きな肥料塊を肥料繰出部61へ落下させずに網208を取り外して容易に回収できる。また、網208の装着又は取り外しにあたり、前記肥料溜まり208aに指を入れてつまんで網208を撓ませながら行え、網208の装着又は取り外しが容易になる。従来の網は、図19に示すように、水平に配置されているので、肥料の重量により中央が撓みやすく、撓みにより網208−1と肥料貯留タンク60−1の壁内面との間に隙間が生じてこの隙間に肥料が詰まり、網208−1の装着又は取り外しが困難になるおそれがある。また、網208−1の撓みにより、肥料の整流化及び受け止めが不適正になるおそれがある。更には、網208−1の上面が平面状であるため、網208−1の装着又は取り外しが困難であると共に、網208−1を取り外す際に、受け止めた大きな肥料塊を肥料繰出部61−1へ落下させてしまうおそれがある。
【0025】
肥料貯留タンク60の下部には、肥料貯留タンク60から肥料繰出部61への肥料供給を停止する場合や、肥料貯留タンク60を回動させたときに中の肥料が流出するのを防ぐ開閉シャッタ73が設けられている。この開閉シャッタ73は、スライド支持部材74にスライド自在に支持されていて、把手73aをつかんで図6で実線で示す閉じた位置と二点鎖線で示す開いた位置とにスライドさせるようになっている。開閉シャッタ73を閉じた状態にしないと係止具72を外せないので、誤ってシャッタ73を開けたまま肥料貯留タンク60を回動させて肥料を流出させることの防止になっている。
【0026】
開閉シャッタ73の下側には、肥料貯留タンク60を肥料繰出部61に接続したときに肥料繰出部61の上部に挿入される筒状部75が形成されている。筒状部75と肥料繰出部61の上部との間に隙間が形成されるようになっている。肥料貯留タンク60に肥料が入っている状態で開閉シャッタ73を閉じて肥料貯留タンク60を回動させるとき、肥料繰出部61の上端よりも上側かつ開閉シャッタ73よりも下側に位置していた肥料が前記隙間に流入することにより、肥料繰出部61から肥料が溢れ落ちるのを防いでいる。
【0027】
肥料貯留タンク60下端部には、肥料貯留タンク60を肥料繰出部61に接続するときの緩衝用の弾性体76aと両者間の気密保持のためのパッキン76bとが取り付けられている。パッキン76bは肥料繰出部61の上端部分とその少し下方の部分の2箇所で肥料繰出部61のケースと接触するようになっている。このため、肥料繰出部61のケースとパッキン76bとの間に空間が有り、肥料貯留タンク60と肥料繰出部61との位置関係が多少ずれてもこの空間で吸収され、両者間の気密性が損われない。
【0028】
肥料繰出部61は、肥料貯留タンク60内の肥料を下方に繰り出す繰出ロール77を内蔵している。繰出ロール77は、外周部に肥料が入り込む複数本(図示例では6本)の溝77a,…が形成された回転体で、左右方向に設けた繰出軸78の角軸部78a(図示例は四角軸)にそれぞれ一体回転するように嵌合している。繰出ロール77が図6の矢印方向に回転することにより、肥料貯留タンク60から落下供給される肥料が溝77aに収容されて下方に搬送され、下端の繰出口61aから繰り出される。
【0029】
繰出ロール77の前側には該繰出ロールの外周面に摺接するブラシ79が着脱自在に設けられており、このブラシ79が溝77aから溢れる肥料を受けて下方へ落下するのを規制することにより、溝77aに肥料が摺り切り状態で収容され、肥料繰出量を一定に保持するようになっている。
【0030】
肥料繰出部61の繰出口61aには、若干後ろ下がりで略前後方向に連通する接続管80が設けられている。この接続管80の後端に前記肥料移送ホース62のホッパ側の端部が接続される。一方、接続管80の前端部はエアチャンバ68の背面部に挿入連結されている。エアチャンバ68の左端部はエア切替管81を介してブロア67に接続されており、該ブロア67からの圧力風がエアチャンバ68を経由し接続管80から肥料移送ホース62に吹き込まれるようになっている。肥料移送ホース62は、接続管80の少し後方の位置で、後述する左右方向に長い肥料回収管85に固定されたホースホルダ82により下から支えられている。
【0031】
図20に示すように、接続管80の前端部には圧力風吸入口211を設け、該圧力風吸入口211は、左側に切欠部211aを備えて左側から見えるように拡張されている。従って、圧力風吸入口211は、左側のブロア67から流れるエアチャンバ68内の圧力風を効率良く受け止めて吸入できる。圧力風吸入口211を備える接続管80の前端部となる吸入口部212は接続管80本体に対して該管80中心回り(前後方向の軸回り)に回動可能に設けられ、この回動により左側から見た圧力風吸入口211の投影面積が変更され、圧力風吸入口211の圧力風の吸入量を変更調節できる。
【0032】
また、図22及び図23に示すように、吸入口部212を接続管80本体に対して該管80中心回り(前後方向の軸回り)に回動させることにより、吸入口部212と接続管80本体との間の螺子部213で該吸入口部212を前後移動させ、エアチャンバ68への吸入口部212の挿入代(出代)を変更して、左側から見た圧力風吸入口211の投影面積を変更する構成としてもよい。尚、エアチャンバ68への吸入口部212の挿入代(出代)を変更する構成とすると、変更調節した吸入口部212における風の流れの抵抗が変わって、変更調節した吸入口部212よりエアチャンバ68の圧力風の流れの下手側の吸入口部212に影響して該吸入口部212の圧力風の吸入量が変化し、各条の圧力風吸入口211の圧力風の吸入量を変更調節するのが困難となるおそれがあるので、適確に精度よく変更設定できるのであれば、図20のように吸入口部212の挿入代(出代)を変えずに圧力風吸入口211の投影面積を変更する構成とするのが好ましい。
【0033】
また、繰出ロール77の後側には、下端が繰出ロール77の上端よりも下位になる位置に肥料排出口83が形成されている。この肥料排出口83は後ろ下がりに傾斜しており、その中間部に上端側を支点にして開閉自在な排出シャッタ84が取り付けられている。そして、各肥料繰出部の肥料排出口83と肥料繰出部61の後方に設けた左右方向に長い肥料回収管85とが肥料排出管83aで接続されている。
【0034】
肥料回収管85の左端部は、前記エア切替管81を介してブロア67に接続されている。エア切替管81は二股状の管であって、一方にエアチャンバ68が接続され、他方に肥料回収管85が接続されている。エア切替管81にはエア切替シャッタ86が設けられ、ブロア67から吹き出されるエアをエアチャンバ側に供給する状態と肥料回収管側に供給する状態とに切り替えられようになっている。肥料回収管85の右端部は下向きに屈曲し、その先端部にフレキシブルな回収シュート87が接続されている。
【0035】
図7は排出シャッタ及びエア切替シャッタの開閉機構を示す図である。回収シュート87の近傍に肥料回収レバー90が回動自在に設けられている。この肥料回収レバー90の回動支点軸90aと同軸上に設けられた左右方向のシャッタ開閉伝達軸91には扇形プレート92が取り付けられており、この扇形プレート92に形成された円弧状の長穴92aに、肥料回収レバー90に固着されたピン90bが遊嵌している。シャッタ開閉伝達軸91には各肥料繰出部ごとに開閉ギヤ93が取り付けられ、該ギヤ93が排出シャッタ84の回動軸84aに取り付けた半円形ギヤ94と噛み合っている(図6参照)。また、肥料回収レバー90には、エア切替ワイヤ95の一端が繋がれている。エア切替ワイヤ95の他端は、エア切替シャッタ86の回動軸86aに取り付けたアーム96に引張りスプリング97を介して繋がれている。
【0036】
肥料回収レバー90を回動操作すると、エア切替ワイヤ95が引かれてエア切替シャッタ86を切り替え、ブロア67から吹き出される圧力風が肥料回収管85に供給されるようになる。肥料回収レバー90の回動操作量が少ないうちは、ピン90bが長穴92aの中を移動するだけにすぎないので、シャッタ開閉伝達軸91は回動しない。しかしながら、肥料回収レバー90を一定量以上回動操作すると、ピン90bが扇形プレート92に係合し、シャッタ開閉伝達軸91が回動する。これにより、排出シャッタ84,…が開き、肥料貯留タンク60内の肥料が肥料回収管85に排出される。尚、開閉ギヤ93,…は条ごとに位相をずらして設けられており、ブロアに近い側の肥料繰出部から順に排出シャッタ84が開くようになっている。これにより、一度の多量の肥料が肥料回収管85内に流れ込むのを防ぎ、肥料回収管85内を肥料が円滑に流れ、同管内で肥料詰まりが生じないようにしている。
【0037】
肥料回収レバー90はレバーガイド98に沿って回動操作するようになっている。このレバーガイド98にはガイド穴98a,98bが形成されており、肥料回収レバー90の撓みを利用して肥料回収レバー90の係合部(図示せず)をガイド穴98a,98bに係合させることにより、肥料回収レバー90をエア切替シャッタ86だけが切り替えられる位置P1と、エア切替シャッタ86及び排出シャッタ84,…の両方が切り替えられる位置P2とに固定することができるようになっている。
【0038】
次に、施肥伝動機構27について説明する。尚、施肥伝動機構27は、左から数えて第4条と第5条の肥料繰出部61の間に配置されている。
前記植付クラッチケース25の後面から突出するクランクア−ム131が出力回転し、該クランクア−ム131に連結した上下方向に延びる駆動側揺動ロッド132の上下方向の往復動作が上側のカウンタア−ム133に伝動される。尚、カウンタア−ム133は、側面視でくの字形状になっており、前記駆動側揺動ロッド132と後記する従動側揺動ロッド134とが連結されている。そして、カウンタア−ム133の往復揺動による従動側揺動ロッド134の前後方向の往復動作がカウンタア−ム133の後側の繰出入力ア−ム135ヘ伝動され、この繰出入力ア−ム135の前後方向の往復作動が左側の一方向クラッチ136Lへ伝動される。尚、一方向クラッチ136L,136Rは、左右に2個設けられており、左右方向の同一の一方向クラッチ軸137回りに回動する構成となっており、外環部138L,138Rと前記一方向クラッチ軸137との間に複数の伝動用ロ−ラ139を備えたロ−ラクラッチであり、外環部138L,138Rの回動を一方向クラッチ軸137に伝達するようになっている。従って、左側の一方向クラッチ136Lは、外環部138Lが繰出入力ア−ム135と一体に設けられ、繰出入力ア−ム135の前後方向の往復作動における一方向となる外環部138Lの回動を一方向クラッチ軸137に伝達するようになっている。尚、左右の一方向クラッチ136L,136Rは、それぞれの外環部138L,138Rの同じ方向の回動で一方向クラッチ軸137に伝達するようになっている。
【0039】
左側の一方向クラッチ136Lの外環部138Lの上側には該外環部138Lと一体の第一ア−ム140を設け、この第一ア−ム140と前側にある第二ア−ム141とを第一リンク142により連結している。第二ア−ム141は、左右方向の中継軸143と一体回転する構成となっており、該中継軸143の下側で前記第一リンク142を連結するべく中継軸143から下側に延びている。第二ア−ム141の右側には前記中継軸143と一体回転する第三ア−ム144を中継軸143から上側に延設しており、この第三ア−ム144は第二ア−ム141と一体回転する。第三ア−ム144の中継軸143より上側の位置には第二リンク145を連結しており、この第二リンク145の他端側には第四ア−ム146を連結している。この第四ア−ム146は、右側の一方向クラッチ136Rの外環部138Rの上側に該外環部138Rと一体に設けられている。従って、左側の一方向クラッチ136Lの外環部138Lの往復回動により第一ア−ム140が前後方向に往復回動し、第一リンク142を介して第二ア−ム141へ伝達され、該第二ア−ム141が第一ア−ム140と同期して同じ側に前後方向に往復回動する。第三ア−ム144は、中継軸143に対して第二ア−ム141とは上下反対側(上側)に延びているので、その第二リンク145との連結位置では第二ア−ム141の往復回動と同期して第二ア−ム141の第一リンク142の連結位置における前後方向の往復動とは前後反対側に往復揺動することになる。そして、第三ア−ム144の往復動が第二リンク145を介して第四ア−ム146へ伝達され、第四ア−ム146が第三ア−ム144と同期して同じ側に前後方向に往復回動するので、右側の一方向クラッチ136Rの外環部138Rは、左側の一方向クラッチ136Lの外環部138Lの往復回動と同期して反対側に回動する。従って、前記第一ア−ム140乃至第四ア−ム146、第一リンク142及び第二リンク145により、逆転伝達機構を構成している。
【0040】
よって、前記逆転伝達機構により左右の一方向クラッチ136L,136Rの外環部138L,138Rが互いに反対側に回動するため、繰出入力ア−ム135の往復作動において左右の一方向クラッチ136L,136Rの何れか一方が一方向クラッチ軸137を同じ一方向(正転方向)に回転させることとなり、常時、連続的に一方向クラッチ軸137を駆動することができる。
【0041】
左右の一方向クラッチ136L,136Rの間には一方向クラッチ軸137とキ−147aにより一体回転する駆動ギヤ147を設け、この駆動ギヤ147が後述する繰出駆動軸105と一体回転する従動ギヤ148に噛み合う。従って、一方向クラッチ軸137の連続回転が繰出駆動軸105へ伝動される。尚、駆動ギヤ147の歯数は、従動ギヤ148の歯数より多く、従動ギヤ148の歯数の約2倍となっている。従って、駆動ギヤ147及び従動ギヤ148により、回転速度を増速して伝動する増速伝動部を構成している。尚、左右の一方向クラッチ136L,136Rのそれぞれの外環部138L,138Rの外周には、一方向クラッチ136L,136Rの伝動用ロ−ラ139部分へ肥料や塵等の異物が混入しないように駆動ギヤ147の基部内径部との隙間を塞ぐシール材149を設けている。尚、左右の一方向クラッチ136L,136Rの伝動用ロ−ラ139の駆動ギヤ147とは反対側にも、外環部138L,138Rの内面と一方向クラッチ軸137の外面とに接触するように外側シール材149aを設けている。
【0042】
従って、左右の一方向クラッチ136L,136Rの間に駆動ギヤ147を設けているので、左右何れの一方向クラッチ136L,136Rが伝動状態であっても伝動する一方向クラッチ136L,136Rと駆動ギヤ147並びにキ−147aとが近いため、左右一対の一方向クラッチ136L,136Rの左右一方側に駆動ギヤ147を配置した場合と比較して、一方向クラッチ136L,136Rにより伝動される動力を駆動ギヤ147へ適正な速度で精度良く伝動することができ、肥料繰出部61の肥料の繰出量を適正に安定させることができる。また、一方向クラッチ136L,136Rの外環部138L,138Rと駆動ギヤ147の基部内径部との隙間を塞ぐシール材149が一方向クラッチ軸137方向において前記外環部138L,138Rと重複する構成となるので、一方向クラッチ136L,136Rの伝動用ロ−ラ139と駆動ギヤ147との左右方向(一方向クラッチ軸137方向)の位置を近づけることができ、一方向クラッチ136L,136Rにより伝動される動力を駆動ギヤ147へ適正な速度でより精度良く伝動することができる。従来の一般的な一方向クラッチを使用すると、この一方向クラッチは、図10に示す外側シール材149aのように、伝動用ロ−ラの外側(一方向クラッチ軸方向の外側)にシール材を設けているので、そのシール材の一方向クラッチ軸方向の厚み分駆動ギヤ並びにキ−と伝動用ロ−ラとの間隔を設けなければならず、駆動ギヤ147の回転作動速度が一方向クラッチ軸の支持におけるがたの影響を受けやすくなって不適正になったり不安定になったりすることが考えられる。
【0043】
逆転伝達機構の左右には、該逆転伝達機構を支持する逆転用支持部材150L,150Rをそれぞれ設けている。この逆転用支持部材150L,150Rは、鋳物により構成され、施肥装置5の基部フレ−ム151に締付ボルト152にて固定されており、一方向クラッチ軸137、繰出駆動軸105及び逆転伝達機構の中継軸143を軸受するボ−ルベアリング153、154、155をそれぞれ備えている。尚、繰出駆動軸105は、逆転用支持部材150L,150Rを貫通して左右に長く設けられている。従って、前記一方向クラッチ軸137、繰出駆動軸105及び中継軸143は、左右の逆転用支持部材150L,150Rにより左右で軸受され、一方向クラッチ137、逆転伝達機構及び駆動ギヤ147並びに従動ギヤ148等の施肥伝動機構27の伝動部の左右で両持支持されているので、支持剛性が向上し、繰出伝動が適正に精度良く行われる。特に、図9及び図10に示すように、第二ア−ム141は左側の逆転用支持部材150Lに近づけて配置され、第三ア−ム144は右側の逆転用支持部材150Rに近づけて配置されているので、中継軸143におけるこれらのア−ム141,144から受ける作動荷重を左右それぞれのボ−ルベアリング155がしっかりと受け、前記ア−ム141,144の伝達精度の向上を図ることができる。
【0044】
左側の逆転用支持部材150Lの左側には、繰出量調節機構156を設けている。この繰出量調節機構156は、前部に繰出量調節ねじ部分157を備える繰出量調節軸158と該軸158の後部に取り付けた繰出量調節ハンドル159とを備えている。繰出量調節軸158の中途部には該軸158が回動できるように外嵌された軸支持部材160を設けており、この軸支持部材160に固着した左右方向の軸支持支点軸160aを左側の逆転用支持部材150Lに挿入した構成となっている。従って、繰出量調節機構156は、前記軸支持支点軸160a回りに回動可能に設けられている。尚、軸支持支点軸160aは、繰出量調節軸158の右側で左側の逆転用支持部材150Lに支持されると共に、左側で格別に設けた調節軸支持フレ−ム161に支持されている。従って、繰出量調節機構156は、軸支持支点軸160a部分において繰出量調節軸158の左右で両持支持された構成となっている。
【0045】
カウンタア−ム133の回動軸162を支持するカウンタ支持部材163の上部には、雌ねじ部分164aを備える主要部が側面視六角形の位置調節体164を左右方向の軸回りに回動可能に設けている。尚、カウンタ支持部材163の後端部には左右方向の同一直線上に軸心が位置するカウンタ支点軸165を左右それぞれ設け、カウンタ支持部材163は、このカウンタ支点軸165回りに基部フレ−ム151に対して回動可能に設けられている。尚、基部フレ−ム151にはカウンタ支点軸165を装着する孔166を複数個(4個)前後に配列しており、型式、仕様等により施肥装置5のスペースが制限されるようなときにはカウンタ支点軸165の前後位置を変更して対応し、カウンタ支持部材163及び基部フレ−ム151等の部品の共用化を図っている。カウンタ支点軸165部分は基部フレ−ム151とは別の補強部材167により機体に支持されており、カウンタ支点軸165の位置が変わってもカウンタ支点軸165部分に補強部材167を取り付けて剛性を保ち、カウンタ支点軸165の位置が変化しにくいようにしている。前記位置調節体164の雌ねじ部分164aに繰出量調節軸158の前部の繰出量調節ねじ部分157が螺合しており、繰出量調節軸158の回動により位置調節体164が前後に移動してカウンタ支持部材163がカウンタ支点軸165回りに回動し、カウンタア−ム133の回動軸162を前上方あるいは後下方に移動させる構成となっている。従って、カウンタア−ム133の回動軸162を移動させることにより、カウンタア−ム133の姿勢が変化し、例えば前記回動軸162を前上方へ移動させると、駆動側揺動ロッド132及び従動側揺動ロッド134が共にカウンタア−ム133と直角に近い状態で交差するように姿勢が変更されるので、駆動側揺動ロッド132で作動するカウンタア−ム133及び従動側揺動ロッド134で作動する繰出入力ア−ム135の揺動ストロ−ク(揺動角)がそれぞれ大きくなり、一方向クラッチ軸137ひいては繰出駆動軸105の回転速度が大きくなって、肥料繰出部61による繰出量が多くなる。一方、前記回動軸162を後下方へ移動させると、駆動側揺動ロッド132及び従動側揺動ロッド134が共にカウンタア−ム133と直角からかけ離れた状態で交差するように姿勢が変更されるので、駆動側揺動ロッド132で作動するカウンタア−ム133及び従動側揺動ロッド134で作動する繰出入力ア−ム135の揺動ストロ−ク(揺動角)がそれぞれ小さくなり、一方向クラッチ軸137ひいては繰出駆動軸105の回転速度が小さくなって、肥料繰出部61による繰出量が多くなる。従って、繰出量調節ハンドル159を操作して繰出量調節軸158を回動させることにより、施肥装置5の肥料の繰出量を連続的に変更して調節できるようになっている。
【0046】
カウンタ支持部材163は、左右のプレ−ト部163aと該左右のプレ−ト部163aを繋ぐ前部プレ−ト部163bとにより平面視コの字状に構成され、前記左右のプレ−ト部163aに位置調節体164、カウンタア−ム133の回動軸162及びカウンタ支点軸165を軸受するボ−ルベアリング168,169,170をそれぞれ設けている。従って、位置調節体164及びカウンタア−ム133の回動軸162は左右のボ−ルベアリング168,169により両持支持され、左右のカウンタ支点軸165は左右に配置したそれぞれのボ−ルベアリング170により左右別個に支持されている。よって、繰出量調節軸158の繰出量調節ねじ部分157と位置調節体164の雌ねじ部分164aとの螺合部は螺合しているためにがたが生じやすく、カウンタ支持部材163の回動位置が不安定になる要因となりやすいが、この螺合部の左右にボ−ルベアリング168を設けて位置調節体164を両持支持しているので、カウンタ支持部材163の回動位置の安定を図ることができ、繰出量調節の適正化及び施肥装置5の肥料の繰出量の安定化を図ることができる。尚、図11に示すように、前記螺合部を位置調節体164の左右のボ−ルベアリング168の一方(左側のボ−ルベアリング168)に近づけて配置しているので、位置調節体164における螺合部のカウンタ支持部材163に対する位置が変化しにくく、カウンタ支持部材163の回動位置の更なる安定化を図ることができる。また、カウンタア−ム133は、往復揺動する構成であるので、該ア−ム133の回動軸162の位置が少しでも変化すると、回動量(揺動量)が変化して肥料繰出部61の肥料の繰出量が変化しやすい傾向がある。しかしながら、カウンタア−ム133の回動軸162を左右のボ−ルベアリング169により両持支持しているので、カウンタ支持部材163に対する前記回動軸162の位置が変化しにくく、カウンタア−ム133の回動量(揺動量)の安定化を図ることができ、ひいては施肥装置5の肥料の繰出量の安定化を図ることができる。
【0047】
尚、位置調節体164は、左右両端部164bが丸軸状に構成され、この左右両端部164bをボ−ルベアリング168に嵌合させて左右方向の軸回りに回動可能となっている。前部プレ−ト部163bの繰出量調節軸158の延長線上となる適所には孔171を設け、繰出量調節ハンドル159の操作により繰出量調節軸158の繰出量調節ねじ部分157が位置調節体164の前側に大きく突出する状態となっても、繰出量調節軸158が前記孔171を貫通するようにしてカウンタ支持部材163と干渉しないようになっている。また、前部プレ−ト部163bの下部には切欠き172を設け、カウンタア−ム133が前記切欠き172を貫通するようにしている。
【0048】
繰出量調節軸158の軸支持部材160より前側の部分には繰出量表示用ねじ部分173を設けると共に、該ねじ部分173に螺合する雌ねじ部分174aを備える繰出量表示具174を設けている。尚、繰出量表示具174は、繰出量表示用ねじ部分173を覆うカバ−175の右側部に設けた長孔部176に係合し、この長孔部176から一部がカバ−175の右側に突出するように設けられ、前記カバ−175に対して回動しないように支持されると共に前記長孔部176に案内されて繰出量調節軸158方向に移動可能に支持され、繰出量調節軸158の回動に伴って該軸158方向に移動する構成となっている。前記カバ−175の長孔部176の縁にはこの長孔方向に目盛177をつけていると共に、繰出量表示具174にはマ−ク178をつけており、該マ−ク178が指し示す目盛177を読みながら作業者が肥料の繰出量を認識したり調節したりするようになっている。
【0049】
繰出量調節軸158は側面視で前上がり姿勢に傾斜して設けられ、繰出量調節軸158の前端部に設けた繰出量調節ハンドル159を肥料繰出部61より前側に配置している。従って、作業者は、肥料繰出部61が邪魔にならずに座席31に座ったまま、走行車体2側から繰出量調節ハンドル159を容易に操作することができる。
【0050】
繰出駆動軸105に伝達された施肥動力は、2条ごとに1組設けられた施肥畦クラッチ106,…を介して、繰出駆動軸105に回転自在に外嵌する筒軸107,…に伝達される。そして、一対の繰出伝動ギヤ108a,108bを介して、各筒軸107から各条の繰出軸79へ伝動される。駆動側の繰出伝動ギヤ108aは筒軸107に摺動自在に嵌合しており、該ギヤ108aをずらして一対の繰出伝動ギヤ108a,108bの噛み合いを解除することができる。つまり、条ごとに施肥作動を入り・切りする単条クラッチ108として構成されているのである。
【0051】
左から数えて第1条と第2条の施肥作動を入・切する施肥畦クラッチ106(1・2)及び第3条と第4条の施肥作動を入・切する施肥畦クラッチ106(3・4)は、第2条の肥料繰出部61と第3条の肥料繰出部61との間隔部にそれぞれ設けられている。第5条と第6条の施肥作動を入・切する施肥畦クラッチ106(5・6)は、第6条の肥料繰出部61の右側すなわち施肥装置の右端に設けられている。これらの施肥畦クラッチを操作する畦クラッチレバー110(1・2),110(3・4),110(5・6)は、先端を前方に突出させて上下に回動操作するように設けられている。左右の後輪11,11は平面視で第1条の肥料繰出部61と第2条の肥料繰出部61との間隔部及び第5条の肥料繰出部61と第6条の肥料繰出部61との間隔部にそれぞれ位置しており、後輪11,11と畦クラッチレバー110,…とが同じ肥料繰出部間にないように配置されている。
【0052】
また、左から1条目の施肥作動を入・切する単条クラッチ108(1)及び左から2条目の施肥作動を入・切する単条クラッチ108(2)は、1条目と2条目の間隔部にそれぞれ設けられている。同様に、単条クラッチ108(3)及び単条クラッチ108(4)は3条目と4条目の間隔部に設けられ、単条クラッチ108(5)及び単条クラッチ108(6)は5条目と6条目の間隔部に設けられている。これらの単条クラッチ108,…は切替つまみ111で操作する。
【0053】
施肥作業時には、繰出ロール77を正転(図6の矢印方向)させ、肥料貯留タンク60の肥料を繰出口61aから下方に繰り出す。繰出口61aから繰り出された肥料は、管状部61b及び肥料移送ホース62内をブロア67から吹き出される圧力風によって運ばれ、肥料移送ホース62の先端吐出口から施肥ガイド63に吐出され圃場に供給される。尚、繰出量調節機構156により、繰出駆動軸105の回転速度を変更して肥料吐出量を無段階に調節できる。
【0054】
肥料回収時には、肥料貯留タンク60の肥料を肥料排出口83から排出する。排出された肥料は、肥料回収管85及び回収シュート87内をブロア67から吹き出される圧力風によって運ばれ、回収シュート先端の回収口から吐出されて回収容器等に回収される。
【0055】
また、各畦クラッチレバー110,…には、施肥畦クラッチ106,…の入・切に連係して前記植付畦クラッチ54,…を入・切するためのケーブル120,…が繋がれている。畦クラッチレバー110,…は後輪のない粉粒体繰出部間に設けられているので、ケーブル120,…を肥料移送ホース62,…及び後輪11,11と干渉することなく配索することが可能になっている。
【0056】
ところで、肥料貯留タンク60の蓋60aには、各条ごとの肥料減少センサ215を設けている。この肥料減少センサ215は、下方に光を照射することにより肥料貯留タンク60内の肥料上面の高さを検出するものであり、肥料繰出部61への各供給口の上方に配置されている。作業時には肥料減少センサ215が肥料貯留タンク60内の肥料残量を各条ごとに逐次検出し、肥料残量の減少が著しく少ないときに制御装置によりランプ等で警告する警告手段を設けている。これにより、肥料繰出部61、接続管80、肥料移送ホース62及び施肥ガイド63からなる肥料移送経路のどの箇所で肥料が詰まる等のトラブルが発生しても、このトラブルにより各条ごとに適正に施肥が行われていないことを認識でき、不適正な施肥作業を未然に防止できる。尚、肥料繰出部61の繰出量設定により適正な肥料減少量が異なるため、繰出量設定の変更に連動して警告手段が作動する判断基準を変更するようにしてもよい。尚、前記肥料減少センサ215に代えて、重量式等、肥料の減少を検出する他の形態のセンサとしてもよい。従来、上述のような肥料減少センサは知られているが、該センサの検出により肥料の減少量が適正になるように繰出量設定を自動的に補正するだけであり、肥料残量の減少が著しく少ないときに警告するものはなかった。また、施肥ガイドに肥料詰まりセンサを設けたものは知られているが、この肥料詰まりセンサではその移送上手の肥料繰出部、接続管及び肥料移送ホース等の肥料移送経路における肥料が詰まる等のトラブルを検出できない。
【0057】
尚、肥料減少センサ215の検出により、肥料の減少量が適正になるように繰出量調節軸158をアクチュエータにより回動させて繰出量を自動的に補正するようにしてもよい。このとき、制御装置により、圃場における機体の位置をGPSで検出して機体の実走行速度を演算すると共に、走行車輪となる前輪10又は後輪11の回転数を車輪回転数センサにより同時に検出して車輪の回転数に基づく理論走行速度を演算し、前記実走行速度と理論走行速度との差異から走行スリップ率を演算し、該走行スリップ率に基づいて実際の走行距離に対応する繰出量となるよう繰出量を自動的に補正するとよい。これにより、圃場の単位面積当たりの粉粒体の繰出量の適正化が図れる。従来は、走行車輪の回転に連動して繰出量が変更されるのみであるので、圃場状況によって走行スリップ率が異なると、圃場の単位面積当たりの粉粒体の繰出量に誤差が生じ、肥料の場合は圃場における肥効がばらつくおそれがある。併せて、走行スリップ率に基づいて苗植付部4の作動速度を自動的に補正すれば、植付株間の適正化が図れる。
【0058】
以上により、施肥装置付きの乗用型の田植機1は、肥料貯留タンク60内の肥料を繰り出す肥料繰出部61を設けると共に、風が流れるエアチャンバ68から圧力風を吸入する接続管80を設け、該接続管80に供給される圧力風により肥料繰出部61から繰り出された肥料を吐出口へ移送して吐出し、エアチャンバ68の風の流れ方向における前記接続管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更可能に構成した。また、複数の肥料繰出部61に対応して接続管80及び吐出口を複数設け、それぞれの接続管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成した。
【0059】
従って、肥料繰出部61により肥料貯留タンク60内の肥料を繰り出し、風が流れるエアチャンバ68から接続管80を介して供給される圧力風により繰り出された肥料粉粒体を吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における前記接続管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更することにより、接続管80が吸入する圧力風の流量が変化し、接続管80に供給される圧力風の強さが変化する。また、複数の肥料繰出部61により肥料貯留タンク60内の肥料を繰り出し、圧力風により繰り出された肥料を複数の吐出口へ移送して吐出する。エアチャンバ68の風の流れ方向における接続管80の圧力風吸入口211の投影面積をそれぞれの接続管80で個別に変更することにより、接続管80が吸入する圧力風の流量が各接続管80で個別に変化し、各接続管80に供給される圧力風の強さを独立して変化させ、各接続管80に供給される圧力風の強さを適正値に均一化できる。
【0060】
よって、接続管80に供給される圧力風の強さを変化させて適正にできるので、肥料繰出部61から繰り出された肥料を適正な状態で吐出口に供給でき、圧力風が強すぎて圃場面で肥料が跳ね返って所望の位置に吐出できなかったり圧力風が弱くて接続管80、肥料移送ホース62及び施肥ガイド63からなる肥料移送経路で肥料が詰まったりするのを防止でき、圃場に施肥を適正に行えて、適正に肥効を得ることができる。また、同一のエアチャンバ68から吸入する各接続管80の圧力風の強さを適正に均一化できるので、各吐出口へ肥料を適正な状態で供給でき、各条の施肥を適正に行える。
【0061】
尚、この発明の実施の形態は乗用型の田植機1について記述したが、本発明は乗用型の田植機に限定されるものではない。
尚、この発明の実施の形態は粉粒体吐出装置として施肥装置5について記述したが、播種装置や薬剤散布装置に使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】乗用施肥田植機の側面図
【図2】乗用施肥田植機の平面図
【図3】施肥装置の一部の側面図
【図4】施肥装置の一部の平面図
【図5】施肥装置の一部の背面図
【図6】肥料繰出部を示す側面断面図
【図7】排出シャッタ及びエア切替シャッタの開閉機構を示す図
【図8】施肥伝動機構を示す側面図
【図9】施肥伝動機構を示す平面図
【図10】逆転伝達機構及び繰出量調節機構の一部を示す展開平面断面図
【図11】カウンタ支持部材を示す展開背面断面図
【図12】肥料繰出部への伝動構成を示す断面図
【図13】施肥ガイドを示す側面断面図
【図14】異なる空気抜き孔を示す側面図
【図15】肥料貯留タンクの側面断面図
【図16】異なる肥料貯留タンクを示す背面図
【図17】異なる肥料貯留タンクを示す斜視図
【図18】異なる肥料貯留タンクを示す斜視図
【図19】従来の網を示す側面断面図
【図20】接続管を示す側面図
【図21】吸入口部の変更調節を判り易く示した正面図
【図22】異なる接続管を示す側面図
【図23】(a)異なる吸入口部を示す正面図、(b)異なる吸入口部を示す側面断面図
【符号の説明】
1…乗用型の田植機、5…施肥装置、60…肥料貯留タンク、61…肥料繰出部、68…エアチャンバ、80…接続管、211…圧力風吸入口
Claims (2)
- 粉粒体貯留タンク60内の粉粒体を繰り出す粉粒体繰出部61を設けると共に、風が流れるエアチャンバ68から圧力風を吸入する管80を設け、該管80に供給される圧力風により粉粒体繰出部61から繰り出された粉粒体を吐出口へ移送して吐出する粉粒体吐出機において、エアチャンバ68の風の流れ方向における前記管80の圧力風吸入口211の投影面積を変更可能に構成したことを特徴とする粉粒体吐出機。
- 複数の粉粒体繰出部61に対応して管80及び吐出口を複数設け、それぞれの管80の圧力風吸入口211の投影面積を個別に変更可能に構成したことを特徴とする請求項1に記載の粉粒体吐出機。
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