以下、図面を参照しながら本発明の苗移植機の一実施の形態にかかる乗用田植機について説明する。
図1は本実施の形態にかかる乗用田植機1の側面図である。図2は本実施の形態にかかる乗用田植機1の平面図である。なお、図2では、植付装置の図示を省略した。
なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
図1、図2に示す様に、本実施形態の乗用田植機1の走行車体2は、左右一対の前輪5と、左右一対の後輪10とを備えた四輪駆動車両である。また、走行車体2の後部には、植付装置昇降機構70によって昇降可能な植付装置60が備えられている。
植付装置昇降機構70は、上リンク部材73と下リンク部材74とで構成された左右一対の昇降リンク装置71を有しており、植付装置60は、この昇降リンク装置71を介して走行車体2に取り付けられている。
植付装置60は、苗植付部61と、苗載置台65と、フロート80等を備えている。
苗植付部61は、苗載置台65に載置された苗を圃場に植え付ける装置であり、2条毎に1つずつ配設されており、2条分の植込杆62を備えている。植込杆62は、苗載置台65から苗を取って各条毎に植え付けることができるように構成されている。
なお、本実施の形態の乗用田植機1は、苗植付部61を3つ備えた6条植えの田植機であるものとする。なお、苗植付部61は増加させて8条植え、10条植えとしてもよく、減少させて4条植えとしてもよい。さらに、苗植付部61は植込杆62を左右一方のみ設けて構成してもよく、7条植えや5条植えの構成とすることも可能である。
また、フロート80は、苗載置台65の下部に配設され、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して均すことにより整地をすることができるように設けられている。フロート80は、機体左右幅方向の中央部に配置されたメインフロート81と、メインフロート81の左右両側に配置された右サイドフロート82Rと左サイドフロート82Lとを備える。
また、走行車体2は、車体の骨格をなすメインフレーム3と、メインフレーム3の上に搭載されたエンジン20と、エンジン20で発生した動力を駆動輪(前輪5及び後輪10)と施肥機構100と植付装置60とに伝える動力伝達装置25と、を備えている。エンジン20には、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
また、エンジン20は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、機体の搭乗ステップであるフロアステップ40よりも上方に突出させた状態で配置されている。
また、フロアステップ40は、左右方向において機体中央に位置するメインステップ41と、メインステップ41の左右両側に位置するサイドステップ42と、で構成されている。また、フロアステップ40は、その一部が網目状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、フロアステップ40の左右前部に設けられた格子状の貫通孔により、操縦席55に着座して機体を操縦する作業者が左右一対の前輪5を目視できて操縦がし易い構成である。
また、このフロアステップ40の左右方向における両側には、作業者がフロアステップ40に乗り降りする際に足をかける乗降ステップ45が配設されている。
また、フロアステップ40の後方には、後輪10のフェンダを兼ねた後部ステップであるリアステップ47が設けられている。このリアステップ47は、フロアステップ40よりも高い位置に配設されており、エンジン20の左右それぞれの側方から後方にかけて配置されている。
なお、リアステップ47の左右両端側には、施肥機構100が設けられている。施肥機構100については、更に後述する。
エンジン20は、これらのフロアステップ40とリアステップ47とから上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン20を覆うエンジンカバー21が配設されている。
また、走行車体2には、エンジンカバー21の上部に操縦席55が設置されており、操縦席55の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部50が配設されている。この操縦部50は、フロアステップ40の床面から上方に突出した状態で配置されている。
この操縦部50の内部には、各種の操作装置やエンジン用燃料の燃料タンク等が配設されており、操縦部50の前部には、開閉可能なフロントカバー51が設けられている。また、操縦部50の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、及び、前輪5を操舵するためのハンドル52が配設されている。また、レバーとしては、走行車体2の前後進及び走行速度を操作する変速レバーと、植付装置60の動作状態を、少なくとも植付装置昇降機構70による上昇状態を含んで切り替えることができる植付昇降レバーとが配設されている。
また、走行車体2の前側の左右両側には、補充用の苗を載積する予備苗枠90が配設されている。この予備苗枠90は、フロアステップ40の床面から突出した支持軸91によって支持されている。
また、このように配設される予備苗枠90の下部には、乗用田植機1が有する各電気装置で使用する電気を蓄電するバッテリ95が配設されている。
また、動力伝達装置25は、エンジン20で発生した動力を変速する主変速機としての油圧式無段変速装置(HST(Hydro Static Transmission))26と、この油圧式無段変速装置26にエンジン20からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構(図示省略)とを有している。油圧式無段変速装置26は、エンジン20からの動力で駆動する油圧ポンプ(図示省略)によって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータ(図示省略)で機械的な力(回転力)に変換して出力する。
なお、本実施の形態の走行車体2は、本発明の走行車体の一例にあたる。また、本実施の形態の植付装置60は、本発明の植付装置の一例にあたる。
次に、本実施の形態の乗用田植機1における施肥機構100の構成を中心に、主として図1〜図5を用いて説明する。
図3は、施肥機構100の左側面である。
また、図4は、右側施肥装置群100Rを構成する右最前側施肥装置101Rの概略部分断面図であり、走行車体2の右側に配置された施肥装置を乗用田植機1の正面から見た図である。また、図5は、施肥機構100を乗用田植機1の背面から見た概略図である。
本実施の形態の乗用田植機1では、図1、図2に示す様に、走行車体2のリアステップ47の左右両側に、圃場に粒状の肥料を供給する施肥機構100が配置されている。
即ち、本実施の形態の施肥機構100は、(1)リアステップ47の左側に配置された左側施肥装置群100Lと、(2)リアステップ47の右側に配置された右側施肥装置群100Rと、(3)左側施肥装置群100Lを構成する3つの施肥装置から繰り出される肥料を圃場に案内する3本の左側施肥ホース(図2の符号141L〜143L参照)からなる左側施肥ホース群140Lと、(4)右側施肥装置群100Rを構成する3つの施肥装置から繰り出される肥料を圃場に案内する3本の右側施肥ホース(図2の符号141R〜143R参照)からなる右側施肥ホース群140Rと、(5)左側施肥装置群100Lを構成する3つの左側施肥装置(図3の符号101L〜103L参照)と、3本の左側施肥ホースのそれぞれを連結する3つの左側L型施肥ジョイント130Lと、(6)右側施肥装置群100Rを構成する3つの右側施肥装置(図3の符号101R〜103R参照)と、3本の右側施肥ホースのそれぞれを連結する3つの右側L型施肥ジョイント130Rと、(7)3つの左側施肥装置の内側下方に配置され、肥料を搬送する搬送風を後述する繰出装置120の下部に案内する左側エアチャンバー150Lと、(8)3つの右側施肥装置の内側下方に配置され、肥料を搬送する搬送風を後述する繰出装置120の下部に案内する右側エアチャンバー150Rと、(9)左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rのそれぞれの後端部を、上記搬送風が通過可能に連結した連結ダクト160と、(10)左側エアチャンバー150Lの前端部に連結され、上記搬送風を発生させるブロア170とを備えている。
そして、上述した通り、左右一対の施肥装置群100L、100Rは、それぞれ、走行車体2の前後方向に3つの施肥装置を備えている。
具体的には、左側施肥装置群100Lは、図3に示す様に、3つの施肥装置の内、最も前側に配置された左最前側施肥装置101Lと、最も後側に配置された左最後側施肥装置103Lと、左最前側施肥装置101Lと左最後側施肥装置103Lとの間に配置された左中央施肥装置102Lとから構成されている。
また、右側施肥装置群100Rは、図3に示す様に、3つの施肥装置の内、最も前側に配置された右最前側施肥装置101Rと、最も後側に配置された右最後側施肥装置103Rと、右最前側施肥装置101Rと右最後側施肥装置103Rとの間に配置された右中央施肥装置102Rとから構成されている。
なお、本実施の形態の左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rは、本発明の左右一対の第1通風部材の一例にあたる。また、本実施の形態の連結ダクト160は、本発明の第2通風部材の一例にあたる。また、本実施の形態のブロア170は、本発明の風発生装置の一例にあたる。
次に、右最前側施肥装置101Rについての概略部分断面図を示した図4を参照しながら、施肥装置の構成について更に説明する。
本実施の形態では、上記6つの施肥装置101L〜103L、101R〜103Rは、基本的に同じ構成であるので、右最前側施肥装置101Rを除く他の施肥装置の説明は省略する。
即ち、図4に示す様に、右最前側施肥装置101Rは、粒状の肥料を貯留する施肥ホッパ110と、施肥ホッパ110の下方に接続され、肥料を設定量ずつ繰り出す繰出装置120とを有している。
更に、繰出装置120には、図4に示す様に、繰出軸121が走行車体2の前後方向に沿って回動自在に装着されており、繰出軸121には施肥ホッパ110の投下口111から投下される肥料を受け、設定量の肥料を所定間隔毎に下方に送り出す繰出ロール122が設けられる。また、繰出ロール122の外周表面には、肥料を受ける繰出溝122aが複数形成されている。
また、繰出装置120は、繰出ロール122から下方に送り出された肥料を右側L型施肥ジョイント130Rに放出するための肥料放出口123と、繰出ロール122から下方に送り出された肥料を右側L型施肥ジョイント130R側に向けて搬送する搬送風を導入するための搬送風導入口124とを有している。
肥料放出口123は、走行車体2の左右幅方向を基準として、走行車体2の中央位置から外側に向けて突き出している。また、搬送風導入口124は、肥料放出口123と対向する位置に配置されており、走行車体2の内側に向けて突き出している。
図4に示す、右最前側施肥装置101Rでは、肥料放出口123に対して右側L型施肥ジョイント130Rの一端部130Raが連結されており、搬送風導入口124に対して右側アチャンバー150Rの外周側面に形成された搬送風吹き出し口150Raが連結されている。
なお、右側L型施肥ジョイント130Rの他端部130Rbは、右側第1施肥ホース141Rに連結されている。
この構成により、図4に示す通り、繰出ロール122から下方に送り出された肥料は、搬送風吹き出し口150Raから吹き込む送風(図4の矢印A参照)によって、走行車体2の左右幅方向を基準として、走行車体2の中央位置から外側に向けて方向を変えて搬送されて(図4の矢印B参照)、肥料放出口123から右側L型施肥ジョイント130Rに送り込まれ、右側第1施肥ホース141Rに搬送される。
また、肥料放出口123に一端部130Ra(図3、図4参照)が連結された右側L型施肥ジョイント130Rは、その他端部130Rb(図3、図4参照)が、平面視で、走行車体2の後方に向けて略90度で曲げられており(図2参照)、且つ、その他端部130Rbが、側面視で、走行車体2の斜め下方後ろ向きに緩やかカーブを成した鈍角で曲げられた(図3参照)屈曲部を有するL型成形部材であり、例えば、ゴム製の部材である。
なお、左側L型施肥ジョイント130Lは、右側L型施肥ジョイント130Rと左右対称形状を成したL型成形部材であり、例えば、ゴム製の部材である。
また、上述した通り、右最前側施肥装置101Rの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した右側L型施肥ジョイント130Rが連結されており、更にその先には、右側第1施肥ホース141Rが連結されている。また、この構成と同様に、右中央施肥装置102R、及び右最後側施肥装置103Rのそれぞれの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した右側L型施肥ジョイント130Rが連結されており、更にその先には、右側第2施肥ホース142R、及び右側第3施肥ホース143Rがそれぞれ連結されている。
また、上記構成と同様に、左最前側施肥装置101L、左中央施肥装置102L、及び左最後側施肥装置103Lのそれぞれの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した左側L型施肥ジョイント130Lが連結されており、更にその先には、左側第1施肥ホース141L、左側第2施肥ホース142L、及び左側第3施肥ホース143Lがそれぞれ連結されている。
なお、本実施の形態の右最前側施肥装置101R、右中央施肥装置102R、及び右最後側施肥装置103Rは、本発明の右側に配置された施肥装置の一例にあたり、本実施の形態の左最前側施肥装置101L、左中央施肥装置102L、及び左最後側施肥装置103Lは、本発明の左側に配置された施肥装置の一例にあたる。
また、本実施の形態の右側第1施肥ホース141R、右側第2施肥ホース142R、右側第3施肥ホース143R、左側第1施肥ホース141L、左側第2施肥ホース142L、及び左側第3施肥ホース143Lは、本発明の施肥ホースの一例にあたる。
また、本実施の形態の施肥ホッパ110は、本発明の施肥ホッパの一例にあたり、本実施の形態の繰出装置120は、本発明の繰出装置の一例にあたる。
また、本実施の形態の肥料放出口123は、本発明の肥料放出口の一例にあたる。
また、本実施の形態の左右一対のL型施肥ジョイント130、130Rは、本発明の施肥ジョイントの一例にあたる。
なお、走行車体2の左右両側にそれぞれ3つ隣接配置された施肥ホッパ110の下部に連結された各繰出装置120の前側には、繰出軸121の回動を入切するクラッチレバー125(図1〜図3参照)が、繰出装置120施肥伝動軸126(図3参照)上に設けられている。
また、クラッチレバー125の全ての取っ手部は、走行車体2の内側に向けて突き出しており、各取っ手部は走行車体2の前後方向に回動可能であり、各取っ手部を前側に回動させる操作をすることで、各条の繰出軸121のクラッチが切れる様に、クラッチレバー125の配置方向が統一されている。
これにより、作業者がリアステップ47側から、左右両側に配置されたクラッチレバー125を操作する際、全てのクラッチレバー125の入切方向が統一されており、分かり易く、使いやすい。また、各クラッチレバー125を各繰出装置120の前側に配置したことで、作業者が視認し易く使いやすい。
また、走行車体2の左右両側にそれぞれ3つ隣接配置された施肥ホッパ110の上端部には、左右一対のホッパ蓋部材104L、104Rが回動可能に設けられている。
また、走行車体2の左右両側に配置された左右一対の施肥装置群100L、100Rのそれぞれの内側には、左右一対の手すり105L、105Rが、リアステップ47に立設されている。
以上構成によれば、右側の各施肥ホース141R〜143Rを連結する右側L型施肥ジョイント130R、及び左側の各施肥ホース141L〜143Lを連結する左側L型施肥ジョイント130Lを、それぞれ走行車体2の後側に屈曲させたことにより、各施肥ホースを肥料放出口123付近で曲げることなく配置することが出来るので、各施肥ホースの着脱時に各施肥ホースの曲げ方を調整する必要がなく、メンテナンス性が向上する。
また、肥料放出口123を、走行車体2の後方に向けて構成するのではなく、走行車体2の左右幅方向を基準として中央部から外側に向けて構成することにより、メンテナンス時に肥料放出口123を露出させる際、右側L型施肥ジョイント130R、及び左側L型施肥ジョイント130Lを、走行車体2の外側に向けて引き抜くことが出来るので、周辺部材を外す必要がなく簡単に分解出来、メンテナンス性がより一層向上する。
次に、右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の各施肥ホース141L〜143Lの配置について、図2、図3、図5を参照しながら説明する。
本実施の形態では、右側L型施肥ジョイント130Rに連結された右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側L型施肥ジョイント130Lに連結された左側の各施肥ホース141L〜143Lは、図2に示す様に、それぞれ、平面視で施肥装置の外側を通り、走行車体2の後方へ向けて進み、右最後側施肥装置103R及び左最後側施肥装置103Lの後方で走行車体2の内側へ向けて屈曲され、更に、肥料の各施肥ホース内の搬送方向を基準として、その屈曲された位置の下流側において各条毎に後方へ向けて屈曲されて、各施肥ホースの先端部(図示省略)が、各条の植込杆62の苗の植付位置の近傍に固定されている。
ここで、各施肥ホースの各条毎に後方に向けて屈曲されている屈曲位置について更に説明する。
即ち、走行車体2の左右両側の前後方向にそれぞれ3つ並べて配置されている施肥装置の内、より前側に配置された施肥装置に連結された施肥ホースの屈曲位置の方が、より後側に配置された施肥装置に連結された施肥ホースの屈曲位置よりも、平面視で、走行車体2の左右幅方向の中央位置を基準としてより外側に位置する様に構成されている(図2参照)。
具体的には、走行車体2の右側の3つの施肥装置(図3参照)の内、最も前側に配置された右最前側施肥装置101Rの繰出装置120に右側L型施肥ジョイント130Rを介して連結された右側第1施肥ホース141Rの上記屈曲位置は、平面視で、走行車体2の左右幅後方の中央位置を基準として最も右外側寄りに位置しており、右側第1施肥ホース141Rの先端部は、右1条(左6条)の苗の植付位置の近傍に固定されている(図2、図5参照)。
また、走行車体2の右側の3つの施肥装置(図3参照)の内、最も後側に配置された右最後側施肥装置103Rの繰出装置120に右側L型施肥ジョイント130Rを介して連結された右側第3施肥ホース143Rの上記屈曲位置は、平面視で、走行車体2の左右幅後方の中央位置を基準として最も中央寄りに位置しており、右側第3施肥ホース143Rの先端部は、右3条(左4条)の苗の植付位置の近傍に固定されている(図2、図5参照)。
また、走行車体2の右側の3つの施肥装置(図3参照)の内、中央に配置された右中央施肥装置102Rの繰出装置120に右側L型施肥ジョイント130Rを介して連結された右側第2施肥ホース142Rの上記屈曲位置は、平面視で、右側第1施肥ホース141Rの屈曲位置と右側第3施肥ホース143Rの屈曲位置との間に位置しており、右側第2施肥ホース142Rの先端部は、右2条(左5条)の苗の植付位置の近傍に固定されている(図2、図5参照)。
また、走行車体2の左側の3つの施肥装置(図3参照)の内、最も前側に配置された左最前側施肥装置101Lの繰出装置120に左側L型施肥ジョイント130Lを介して連結された左側第1施肥ホース141Lの上記屈曲位置は、平面視で、走行車体2の左右幅後方の中央位置を基準として最も左外側寄りに位置しており、左側第1施肥ホース141Lの先端部は、左1条の苗の植付位置の近傍に固定されている(図2、図5参照)。
また、走行車体2の左側の3つの施肥装置(図3参照)の内、最も後側に配置された左最後側施肥装置103Lの繰出装置120に左側L型施肥ジョイント130Lを介して連結された左側第3施肥ホース143Lの上記屈曲位置は、平面視で、走行車体2の左右幅後方の中央位置を基準として最も中央寄りに位置しており、左側第3施肥ホース143Lの先端部は、左3条の苗の植付位置の近傍に固定されている(図2、図5参照)。
また、走行車体2の左側の3つの施肥装置(図3参照)の内、中央に配置された左中央施肥装置102Lの繰出装置120に左側L型施肥ジョイント130Lを介して連結された左側第2施肥ホース142Lの上記屈曲位置は、平面視で、左側第1施肥ホース141Lの屈曲位置と左側第3施肥ホース143Lの屈曲位置との間に位置しており、左側第2施肥ホース142Lの先端部は、左2条の苗の植付位置の近傍に固定されている(図2、図5参照)。
上記構成によれば、各施肥ホースを最も後側に配置された施肥ホッパ110の後方で走行車体2の内側に屈曲させることにより、各施肥ホースの屈曲半径(例えば、R100)を緩やかにすることができるので、肥料の移動経路に詰まりやすい箇所が生じにくく、施肥量の安定化が図られる。
また、走行車体2のより前側に配置された施肥装置の繰出装置120に連結される施肥ホースほど、走行車体2の左右幅方向の中央位置を基準としてより外側位置で後方に屈曲させることにより、繰出装置120から肥料排出位置までの距離の差を小さくすることができるので、肥料が圃場に供給されるタイミングがバラ付くことが防止され、施肥精度が向上する。
また、施肥ホースの長さの差を無くすことが可能となるので、長さの異なる施肥ホースが不要となり、部材の共用化が図られる。
次に、右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の各施肥ホース141L〜143Lの配策について、図2、図3、図5を参照しながら説明する。
本実施の形態では、平面視で、左右一対の施肥装置群100L、100Rの外側に配置された各施肥ホースを、走行車体2の左右両側に設けられた施肥フレーム(図示省略)に固定し、更に、走行車体2の後方へ向けて進み右最後側施肥装置103R及び左最後側施肥装置103Lの後方で走行車体2の内側へ向けて屈曲された各施肥ホースを、走行車体2の後部側において走行車体フレーム(図示省略)に固定するためのホースガイド部材180を12個備えている。
また、ホースガイド部材180は、1本、2本、または3本の施肥ホースを纏めて保持するホース保持部181と、ホース保持部181を施肥フレームまたは走行車体フレームに固定するための固定部182とから構成されている(図3参照)。
具体的には、左右一対の施肥装置群100L、100Rの外側に配置された各施肥ホースに対しては、左右一対のL型施肥ジョイント130L、130Rと各施肥ホースとの連結位置、即ち、左右それぞれ3箇所の計6箇所の連結位置において、ホースガイド部材180が設けられている(図2、図3参照)。
また、走行車体2の後部側に配置された各施肥ホースに対しては、後方に向けて屈曲されている屈曲位置、即ち、左右それぞれに3箇所の計6箇所の屈曲位置の上流側において、ホースガイド部材180が設けられている(図2、図5参照)。
なお、本実施の形態のホースガイド部材180は、本発明の側部ホースガイドの一例にあたり、また、本発明の後部ホースガイドの一例にあたる。
また、本実施の形態のホース保持部181は、本発明の側部ホース保持部の一例にあたり、また、本発明の後部ホース保持部の一例にあたる。
上記構成によれば、ホースガイド部材180を各施肥ジョイントと各施肥ホースの連結部に配置することにより、各施肥ジョイントと各施肥ホースを取り付ける位置がわかりやすく、肥料の供給を妨げない施肥ホースの配索を容易に実現することができるので、施肥量の安定化が図られると共に、メンテナンス性が向上する。
また、ホースガイド部材180を各施肥ホースの後方への屈曲部の上流側またはその屈曲部の周辺に配置したことにより、各施肥ホースの屈曲半径が変化することを防止できるので、各条への肥料の供給タイミングがバラ付くことや、肥料の供給量が不安定になることが防止され、施肥精度が向上する。
また、走行車体2の左右両側に配置されたホースガイド部材180と、走行車体2の後部側に配置されたホースガイド部材180を、施肥ホース1つにつき各々1つずつ設けることにより、複数の施肥ホースを装着する際、各ホースガイド部材で複数の施肥ホースを纏めて保持することができるので、ホースガイド部材180を施肥ホースの数以上に設ける必要が無く、部品点数の削減が図られる。
なお、上記実施の形態では、作業者が、連結ダクト160を誤って踏むことを防止する部材を設けていない構成について説明したが、これに限らず例えば、図6、図7に示す様に、連結ダクト160を誤って踏むことを防止するガードパイプ190を設けた構成であっても良い。ガードパイプ190は、本発明の防護部材の一例にあたる。
ここでは、図6、図7を用いて、連結ダクト160に沿って配置され、連結ダクト160よりも上方に位置するガードパイプ190とそれに関連する部材について説明する。
図6は、本発明の実施の形態の施肥機構100の変形例として、ガードパイプ190とそれに関連する部材を設けた構成示す概略図であり、連結ダクト160を乗用田植機1の左側面から見た概略断面図である。図7は、図6に示す施肥機構の変形例を乗用田植機1の背面から見た図である。
ガードパイプ190は、図7に示す通り、その左右両端部190L、190Rが、左右一対の手すり105L、105Rにそれぞれ固定されており、連結ダクト160に沿って配置されると共に、連結ダクト160よりも上方に位置している。
これにより、作業者が、作業中に誤って連結ダクト160を足191で踏むことが防止出来、連結ダクト160の変形や破損を防ぐことが出来る。
また、連結ダクト160の変形が防止出来るので、連結ダクト160の変形による搬送風の流れの変化を防止出来、その結果、肥料の供給タイミングや肥料の供給量の変化を防止出来て、施肥精度が向上する。
また、連結ダクト160の破損が防止出来るので、搬送風が途中で抜け出すことを防止出来、左右に配置された各繰出装置120から放出される肥料を安定して肥料供給部まで搬送することが出来る。
更に、この構成の場合、図6、図7に示す様に、連結ダクト160を保持したダクト取付ステー200が、ガードパイプ190に固定されている。また、走行車体2の後部側に配置された各施肥ホースを1本、又は2本纏めて保持した施肥ホース取付ステー210が、ダクト取付ステー200を介して若しくはガードパイプ190に直接固定されている。
なお、本実施の形態のダクト取付ステー200は、本発明の取り付け部材の一例にあたる。
具体的には、ダクト取付ステー200は、図6に示す様に、連結ダクト160を内周部に保持するリング状部材201と、そのリング状部材201の外周面に連結された板状の固定部202とから構成されており、固定部202の上端部202aが、走行車体2の後部側に配置されたガードパイプ190に固定されている。
更にまた、各種ハーネスの取付ステー(図示省略)や各種ケーブルの取付ステー(図示省略)が、ガードパイプ190に直接又は間接に固定されている。
これにより、ガードパイプ190に対して、ダクト取付ステー200、施肥ホース取付ステー210、各種ハーネスの取付ステー(図示省略)、及び各種ケーブルの取付ステー(図示省略)等を固定することが出来、ガードパイプ190が、配策ガイド機能を兼ねることが出来るので、部品点数の削減を実現出来る。
次に、図8(a)、図8(b)を用いて、エンジン20の上部に設けられたエアクリーナへの吸気用カバーを中心に説明する。
なお、図8(a)、図8(b)において、上記実施の形態と同じ構成部品には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図8(a)は、本発明の実施の形態における乗用田植機1のエンジンカバー21の内部を示す概略の左側面模式図であり、図8(b)は、図8(a)に示す吸気用カバー320について改良された構成例を示す概略の左側面模式図である。
図8(a)に示す様に、エンジンカバー21の上面の、操縦席55の左右両側に形成されている左右一対のエンジン吸気口300L、300Rと、エンジンカバー21で覆われたエアクリーナ吸気口310とが、ダクト状の吸気用カバー320により連結されている。
また、エンジン20の前面側に設けられた冷却ファン330により吸引された冷却用空気は、高温部を冷却した後、エンジン20の上部前側に設けられた排出口331から前方側に排出される。
また、排出口331の上方で、且つ、吸気用カバー320の下方には、断熱板333が設けられている。
上記構成によれば、吸気用カバー320と、断熱板333とを設けたことにより、排出口331から排出される熱気をエアクリーナ吸気口310から吸引されることが防止出来る。
なお、排出口331の開口面積を大きくする(例えば、排出口331の横幅を冷却ファン330の開口径と同程度にする)ことで、排出口331から熱気が流れやすくなり、熱気の滞留を防ぐことが出来る。
また、吸気用カバー320は、図8(b)に示す様に、第1カバー321の下端部を、第2カバー322の下端面より下方に突き出した構成とし、且つ、第1カバー321の下端部の先端部321aに孔を設けることで、第1カバー321の内壁面に生じた結露水等がその孔から吸気用カバー320の外へ放出されるので、結露水等が第1カバー321から第2カバー322を介してエアクリーナ吸気口310内に浸入することを極力防止出来る。
なお、図8(a)では、吸気用カバー320と断熱板333とを設けた場合について説明したが、これに限らず例えば、吸気用カバー320を設けて、断熱板333を設けない場合であっても、排出口331から排出される熱気をエアクリーナ吸気口310から吸引されることが防止出来る。
次に、図9(a)、図9(b)を用いて、副変速部のシフタ軸に泥除け用のブーツを装着した構成について説明する。
図9(a)は、副変速部340の部分断面図であり、図9(b)は、図9(a)に示すシフタ軸350及びその周辺の拡大図である。
図9(b)に示す様に、シフタ軸350の先端側の変速ストローク部分とオイルシールベアリング351が、蛇腹部361を有した伸縮自在のゴム製のブーツ360で覆われている。
また、ブーツ360の先端側の蛇腹先端部361aは、シフタ軸350に対して留め金370で固定されている。一方、ブーツ360の蛇腹根本部361bは、蛇腹根本部361bの内周面に形成されたブーツ側凸部362が、副変速部340が内蔵されているトランスミッションケース341側のシフタ軸貫通部342の外周部に形成されたケース側凹部342aに引っ掛かる様に構成されており、ブーツ側凸部362の位置に対応する蛇腹根本部361bの外周面にハーネスバンド371を巻き付けてしっかり固定されている。留め金370の方が、ハーネスバンド371より外れやすく構成されている。
なお、ブーツ360の内側にはグリスが充填されている。
これにより、トランスミッションケース341の底部で泥が付着し易い場所に位置する、シフタ軸350の先端側の変速ストローク部分とオイルシールベアリング351を、伸縮自在のゴム製のブーツ360で覆う構成としたことで、オイルシールを保護し耐久性を向上させることが出来る。
また、留め金370の方が、ハーネスバンド371より外れやすく構成されていることで、ブーツ360の周囲に泥が固着した場合でも、ブーツ360の先端側である蛇腹先端部361aがシフタ軸350から外れることで、シール部へ偏荷重が加わらない様に出来る。
次に、図10(a)、図10(b)を用いて、エンジン20の排気管のマフラー尾管400に、乱流発生用のエクステンションパイプ410を後付けする構成について説明する。
図10(a)は、マフラー尾管400に、排気音改善のための乱流発生用のエクステンションパイプ410を取り付ける前の状態を示す図であり、図10(b)は、図10(a)に示すマフラー尾管400に、乱流発生用のエクステンションパイプ410を取り付けた状態を示す図である。
なお、図10(a)、図10(b)において、上記実施の形態と同じ構成部品には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図10(a)に示す様に、マフラー尾管400の先端部の外周面の両側には、突起状の溶接ビード401が溶接されている。
一方、エクステンションパイプ410の入り口側は、図10(a)に示す用に、マフラー尾管400に形成された溶接ビード401の位置と対応する位置に切り欠き部411が形成されており、出口側は、乱流を発生させるために凹凸形状を成しているが、凸状部の先端は平面部分412を有している。
また、エクステンションパイプ410の内径は、マフラー尾管400の外径より少し小さく構成されている、エクステンションパイプ410をマフラー尾管400に取り付ける際には、エクステンションパイプ410を加熱し膨張させて、エクステンションパイプ410の入り口側をマフラー尾管400の先端部に合わせて、エクステンションパイプ410の出口側の平面部分412を叩くことで嵌め込む。
これにより、エクステンションパイプ410が冷却されると収縮して、所謂しまり嵌めとなり、振動が多いマフラーに対しても、脱落し難い後付け部品を実現出来、排気音の改善が確実に行える。
次に、図11(a)〜図11(c)を用いて、ハンドル52により前輪5を操舵する際に用いるステアリングギヤ380の構成について説明する。
図11(a)は、乗用田植機1のステアリングギヤ380の平面図である。また、図11(b)は、図11(a)のステアリングギヤ380を矢印Xに沿って見た側面図である。また、図11(c)は、図11(a)のQ−Q断面矢視図である。
ステアリングギヤ380は、図11(a)に示す様に、抜き形状を設けず、薄肉部に適宜リブを設けることで、略トラス構造を実現している。
具体的には、ステアリングギヤ380は、中央のボス部381からラジアル方向に形成された複数の第1リブ382aと、両端の端部ストッパ部383からボス部381の折線に沿って形成された第2リブ382aと、薄肉部384と、扇状の円弧部にギヤ歯385とを有している。
第2リブ382bの厚みは、第1リブ382aの厚みよりも厚く構成されている。
これにより、ステアリングギヤ380に抜き形状が無いので、抜き形状がある場合の様に、油圧オイルが撹拌されサクションホースでエアかみを起こす可能性が低減されて、油圧オイル経路の安定化による油圧作動の安定化が実現出来る。
また、ステアリングギヤに抜き形状がある場合は、抜き型の製作に必要なコストが高くなるが、抜き形状が無いステアリングギヤ380の場合は、型費が易くなる。
また、強度が必要な部分にはリブ形状を設け、その他の部分は薄肉形状としたことで、端部ストッパ部383の強度の安定化が図れるとともに、ステアリングギヤ380の軽量化が実現できる。
次に、図12を用いて、サクションホース420とトランスミッションケース341を繋ぐ中間部材であるアダプタCOMP430の取り付け位置、及び検油ボルト440の取り付け位置について説明する。
なお、図12において、上記実施の形態と同じ構成部品には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図12は、乗用田植機1のトランスミッションケース341の合わせ面を示す図である。
図12に示す様に、アダプタCOMP430をトランスミッションケース341に固定するための取り付けボルト431a、431bの下孔の位置は、その下孔の中心を結ぶ線431が水平に対して斜めになる様に配置されている。
これにより、トランスミッションケース341の壁面と取り付けボルト431a、431bとの間に工具が入る寸法を確保出来、分解・組み立て性の向上が図れる。
また、図12に示す様に、検油ボルト440の取り付け位置をオイルホース450より後方(図12では、左側)に配置することで、視認性を高めると共に、田植え作業中において前下がり傾向にある乗用型田植機1で、油面低下を早期に検出出来るので、オイル不足の検知遅れを防止出来る。
次に、図13(a)、図13(b)を用いて、サクションホース420を油圧オイルフィルターとして用いる構成について説明する。
なお、図13(a)、図13(b)において、上記実施の形態と同じ構成部品には同じ符号を付し、その説明を省略する。
図13(a)は、乗用田植機1を正面から見たときのトランスミッションケース341の横断面の概略図であり、図13(b)は、サクションホースガイド460の右側面図である。
図13(a)に示すサクションホース420は、その外周面が金属製メッシュで構成されており、油圧オイルフィルターとして用いられる。
サクションホースガイド460は、図13(b)に示す様に、サクションホース420を内周側で保持するために線材を略U字状に成形した保持部461と、保持部461の一端側をカールさせて形成されたボルト貫通部462と、保持部461の他端側を左側トランスミッションケース341L側(図13(b)中の奥側)に向け曲げられた位置決め用端部463とから構成されている。
この構成により、サクションホースガイド460は、位置決め用端部463が左側トランスミッションケース341Lの凹部に挿入されて位置決めされ、ボルト貫通部462にボルト421を挿入して左側トランスミッションケース341Lの合わせ面に固定される。
また、サクションホース420の根本部420aは、アダプタCOMP430で右側トランスミッションケース341Rに固定されており、サクションホース420の先端部420bは、左側トランスミッションケース341Lの合わせ面にボルト421で固定されているサクションホースガイド460の保持部461により保持される。
これにより、サクションホース420の先端部420bが確実に保持されるので、オイル流れによる先端部420bの動きが抑制され、破損を防止出来る。
また、サクションホース420はオイルへの暴露面積が多いほどフィルター効果が高いが、先端部420bを線材であるサクションホースガイド460で保持する構成としたことで、オイルへの暴露面積を損なうことなく、先端部420bを確実に保持出来る。
また、サクションホース420の根本部420aを右側トランスミッションケース341Rに固定し、サクションホース420の先端部420bは、左側トランスミッションケース341L側で保持される構成としたことで、サクションホース420の長さを長く取れ、オイルへの暴露面積を多く取れる。
また、分解・組み立て時において、左側トランスミッションケース341Lは、走行車体2側に残るので、サクションホースガイド460の有無が容易に確認出来て、サクションホースガイド460の装着忘れを防止出来る。
尚、上記実施の形態では、本発明の苗移植機の一例として6条型の乗用田植機を構成した場合について説明した。しかしこれに限らず例えば、4条植え或いは8条植えの構成であっても良く、条数に限定されない。
また、上記実施の形態では、左右一対のL型施肥ジョイント130L、130Rが、平面視で、走行車体2の後方に向けて曲げられた屈曲部を有する場合について説明したが、これに限らず例えば、前方に向けて曲げられた屈曲部を有する構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、リアステップ47の左右両端側に配置された左側施肥装置群100L、及び右側施肥装置群100Rには、それぞれ施肥装置が3つずつ設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、それぞれ2つずつ或いは4つずつ等、幾つ設けられていても良い。
また、移植対象の苗は、稲の苗に限らず、苗移植装置で自動植付可能であれば、野菜や果物等いかなる苗であっても良い。