以下、図面を参照しながら本発明の作業車両の一実施の形態にかかる乗用田植機について説明する。
図1は本実施の形態にかかる乗用田植機1の側面図である。図2は本実施の形態にかかる乗用田植機1の概略平面図である。なお、図2では、植付装置の図示を省略した。
なお、以下の説明においては、前後、左右の方向基準は、操縦席からみて、車体の走行方向を基準として、前後、左右の基準を規定している。
図1、図2に示す様に、本実施形態の乗用田植機1の走行車体2は、左右一対の前輪5と、左右一対の後輪10とを備えた四輪駆動車両である。また、走行車体2の後部には、植付装置昇降機構70によって昇降可能な植付装置60が備えられている。
植付装置昇降機構70は、上リンク部材73と下リンク部材74とで構成された左右一対の昇降リンク装置71を有しており、植付装置60は、この昇降リンク装置71を介して走行車体2に取り付けられている。
植付装置60は、苗植付部61と、苗載置台65と、フロート80等を備えている。
苗植付部61は、苗載置台65に載置された苗を圃場に植え付ける装置であり、2条毎に1つずつ配設されており、2条分の植込杆62を備えている。植込杆62は、苗載置台65から苗を取って各条毎に植え付けることができるように構成されている。
なお、本実施の形態の乗用田植機1は、苗植付部61を3つ備えた6条植えの田植機であるものとする。なお、苗植付部61は増加させて8条植え、10条植えとしてもよく、減少させて4条植えとしてもよい。さらに、苗植付部61は植込杆62を左右一方のみ設けて構成してもよく、7条植えや5条植えの構成とすることも可能である。
また、フロート80は、苗載置台65の下部に配設され、走行車体2の移動と共に、圃場面上を滑走して均すことにより整地をすることができるように設けられている。フロート80は、機体左右幅方向の中央部に配置されたメインフロート81と、メインフロート81の左右両側に配置された右サイドフロート82Rと左サイドフロート82Lとを備える。
また、走行車体2は、車体の骨格をなすメインフレーム3と、メインフレーム3の上に搭載されたエンジン20と、エンジン20で発生した動力を駆動輪(前輪5及び後輪10)と施肥機構100と植付装置60等に伝える動力伝達装置25と、を備えている。エンジン20には、ディーゼル機関やガソリン機関等の熱機関が用いられる。
また、エンジン20は、走行車体2の左右方向における略中央で、且つ、機体の搭乗ステップであるフロアステップ40よりも上方に突出させた状態で配置されている。
また、フロアステップ40は、左右方向において機体中央に位置するメインステップ41と、メインステップ41の左右両側に位置するサイドステップ42と、で構成されている。また、フロアステップ40は、その一部が網目状になることにより、靴に付いた泥を圃場に落とせるようになっている。また、フロアステップ40の左右前部に設けられた格子状の貫通孔により、操縦席55に着座して機体を操縦する作業者が左右一対の前輪5を目視できて操縦がし易い構成である。
また、このフロアステップ40の左右方向における両側には、作業者がフロアステップ40に乗り降りする際に足をかける乗降ステップ45が配設されている。
また、フロアステップ40の後方には、後輪10のフェンダを兼ねた後部ステップであるリアステップ47が設けられている。このリアステップ47は、フロアステップ40よりも高い位置に配設されており、エンジン20の左右それぞれの側方から後方にかけて配置されている。
なお、リアステップ47の左右両端側には、施肥機構100が設けられている。施肥機構100については、更に後述する。
エンジン20は、これらメインステップ41及びリアステップ47から上方に突出しており、これらのステップから突出している部分には、エンジン20を覆うエンジンカバー21が配設されている。
また、走行車体2には、エンジンカバー21の上部に操縦席55が設置されており、操縦席55の前方で、且つ、走行車体2の前側中央部には、操縦部50が配設されている。この操縦部50は、フロアステップ40の床面から上方に突出した状態で配置されている。
この操縦部50の内部には、各種の操作装置やエンジン用燃料の燃料タンク等が配設されており、操縦部50の前部には、開閉可能なフロントカバー51が設けられている。また、操縦部50の上部には、操作装置を作動させる操作レバー等や計器類、及び、前輪5を操舵するためのハンドル52が配設されている。また、レバーとしては、走行車体2の前後進及び走行速度を操作する変速レバーと、植付装置60の動作状態を、少なくとも植付装置昇降機構70による上昇状態を含んで切り替えることができる植付昇降レバー等が配設されている。
また、走行車体2の前側の左右両側には、補充用の苗を載積する予備苗枠90が配設されている。この予備苗枠90は、フロアステップ40の床面から突出した支持軸91によって支持されている。
なお、左右両側のリアステップ47には、補充用の巻き苗を載置することが可能である。
また、このように配設される予備苗枠90の下部には、乗用田植機1が有する各電気装置で使用する電気を蓄電するバッテリ95が配設されている。
また、動力伝達装置25は、エンジン20で発生した動力を変速する主変速機としての油圧式無段変速装置(HST(Hydro Static Transmission))26と、この油圧式無段変速装置26にエンジン20からの動力を伝えるベルト式動力伝達機構(図示省略)とを有している。油圧式無段変速装置26は、エンジン20からの動力で駆動する油圧ポンプ(図示省略)によって油圧を発生させ、この油圧を油圧モータ(図示省略)で機械的な力(回転力)に変換して出力する。
なお、本実施の形態の走行車体2は、本発明の走行車体の一例である。また、本実施の形態のエンジン20は、本発明の動力源の一例である。
次に、本実施の形態の乗用田植機1における施肥機構100の構成を中心に、主として図1〜図6を用いて説明する。
図3は、施肥機構100の左側面である。
また、図4は、右側施肥装置群100Rを構成する右最前側施肥装置101Rの概略部分断面図であり、走行車体2の右側に配置された施肥装置を乗用田植機1の正面から見た図である。
また、図5は、左側エアチャンバー150L、及び、右側エアチャンバー150Rの構成を説明するための概略平面図である。
また、図6は、施肥機構100を乗用田植機1の背面から見た概略図である。
本実施の形態の乗用田植機1では、図1、図2に示す様に、走行車体2のリアステップ47の左右両側に、圃場に粒状の肥料を供給する施肥機構100が配置されている。
即ち、本実施の形態の施肥機構100は、(1)リアステップ47の左側に配置された左側施肥装置群100Lと、(2)リアステップ47の右側に配置された右側施肥装置群100Rと、(3)左側施肥装置群100Lを構成する3つの施肥装置から繰り出される肥料を圃場に案内する3本の左側施肥ホース(図2の符号141L〜143L参照)からなる左側施肥ホース群140Lと、(4)右側施肥装置群100Rを構成する3つの施肥装置から繰り出される肥料を圃場に案内する3本の右側施肥ホース(図2の符号141R〜143R参照)からなる右側施肥ホース群140Rと、(5)左側施肥装置群100Lを構成する3つの左側施肥装置(図3の符号101L〜103L参照)と、3本の左側施肥ホースのそれぞれを連結する3つの左側L型施肥ジョイント130Lと、(6)右側施肥装置群100Rを構成する3つの右側施肥装置(図3の符号101R〜103R参照)と、3本の右側施肥ホースのそれぞれを連結する3つの右側L型施肥ジョイント130Rと、(7)3つの左側施肥装置の内側下方に配置され、肥料を搬送する搬送風を後述する繰出装置120の下部に案内する左側エアチャンバー150Lと、(8)3つの右側施肥装置の内側下方に配置され、肥料を搬送する搬送風を後述する繰出装置120の下部に案内する右側エアチャンバー150Rと、(9)左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rのそれぞれの後端部を、上記搬送風が通過可能に連結した連結ダクト160と、(10)左側エアチャンバー150Lの前端部に連結され、上記搬送風を発生させるブロア170と、(11)左側施肥装置群100L及び右側施肥装置群100Rに設けられた各繰出装置120に、肥料を繰り出すための駆動力を伝動する繰出駆動力伝動機構300(図9(a)、図9(b)参照)と、を備えている。
そして、上述した通り、左右一対の施肥装置群100L、100Rは、それぞれ、走行車体2の前後方向に沿って3つの施肥装置を備えている。
具体的には、左側施肥装置群100Lは、図3に示す様に、3つの施肥装置の内、最も前側に配置された左最前側施肥装置101Lと、最も後側に配置された左最後側施肥装置103Lと、左最前側施肥装置101Lと左最後側施肥装置103Lとの間に配置された左中央施肥装置102Lとから構成されている。
また、右側施肥装置群100Rは、図3に示す様に、3つの施肥装置の内、最も前側に配置された右最前側施肥装置101Rと、最も後側に配置された右最後側施肥装置103Rと、右最前側施肥装置101Rと右最後側施肥装置103Rとの間に配置された右中央施肥装置102Rとから構成されている。
なお、本実施の形態の左最前側施肥装置101Lと、左中央施肥装置102Lと、左最後側施肥装置103Lとのそれぞれは、本発明の左側の施肥装置の一例にあたる。また、本実施の形態の右最前側施肥装置101Rと、右中央施肥装置102Rと、右最後側施肥装置103Rとのそれぞれは、本発明の右側の施肥装置の一例にあたる。
また、本実施の形態の左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rと連結ダクト160は、本発明の送風ダクトの一例にあたる。また、本実施の形態のブロア170は、本発明の送風装置の一例にあたる。
次に、右最前側施肥装置101Rについての概略部分断面図を示した図4を参照しながら、施肥装置の構成について更に説明する。
本実施の形態では、上記6つの施肥装置101L〜103L、101R〜103Rは、基本的に同じ構成であるので、右最前側施肥装置101Rを除く他の施肥装置の説明は省略する。
即ち、図4に示す様に、右最前側施肥装置101Rは、粒状の肥料を貯留する施肥ホッパ110の一部を構成する最前側ホッパ部110aと、最前側ホッパ部110aの下方に接続され、肥料を設定量ずつ繰り出す繰出装置120とを有している。
なお、本実施の形態では、左右一対の施肥装置群100L、100Rのそれぞれに、左右一対の施肥ホッパ110が設けられている。また、左右一対の施肥ホッパ110のそれぞれは、一体物の樹脂成形品であるが、肥料を貯留するための部屋が、前側、中央、後側の3つに仕切られている。そのため、施肥ホッパ110の内、前側の部屋の部分を最前側ホッパ部110a、中央の部屋の部分を中央ホッパ部110b、後側の部屋の部分を最後側ホッパ部110cと呼ぶ。
本実施の形態の最前側ホッパ部110a、中央ホッパ部110b、及び最後側ホッパ部110cのそれぞれは、本発明のホッパ部の一例にあたる。
更に、繰出装置120には、図4に示す様に、繰出軸121が走行車体2の前後方向に沿って回動自在に装着されており、繰出軸121には最前側施肥ホッパ部110aの投下口111から投下されてくる肥料を受け、設定量の肥料を間欠的に下方に送り出す繰出ロール122が設けられている。また、繰出ロール122の外周表面には、投下口111から投下されてくる肥料を受ける繰出溝122aが複数形成されている。
なお、間欠的に回動する繰出ロール122への駆動力の伝動を行う繰出駆動力伝動機構300については、主として、図9(a)〜図11(b)を用いて後述する。
また、繰出装置120は、繰出ロール122から下方に送り出された肥料を右側L型施肥ジョイント130Rに放出するための肥料放出口123と、繰出ロール122から下方に送り出された肥料を右側L型施肥ジョイント130R側に向けて搬送する搬送風を導入するための搬送風導入口124とを有している。
肥料放出口123は、走行車体2の左右幅方向を基準として、走行車体2の中央位置から外側に向けて突き出している。また、搬送風導入口124は、肥料放出口123と対向する位置に配置されており、走行車体2の内側に向けて突き出している。
図4に示す、右最前側施肥装置101Rでは、肥料放出口123に対しては、右側L型施肥ジョイント130Rの一端部130Raが連結されており、搬送風導入口124に対しては、右側エアチャンバー150Rの外周側面に形成された搬送風吹き出し口151が連結されている。
これにより、ブロア170から送り出されてくる風A0(図3参照)は、その一部の風が、搬送風A1として、左側の各繰出装置120の搬送風導入口124に導かれ、残りの風が連結ダクト160を通過し、搬送風A1として、右側の各繰出装置120の搬送風導入口124に導かれる構成である(図4参照)。
なお、右側L型施肥ジョイント130Rの他端部130Rbは、右側第1施肥ホース141Rに連結されている。
上述した構成により、図4に示す通り、繰出ロール122から下方に送り出された肥料は、搬送風導入口124から取り込まれた搬送風A1によって、走行車体2の左右幅方向を基準として、走行車体2の中央位置から外側に向けて方向を変えて搬送されて(図4の矢印B参照)、肥料放出口123から右側L型施肥ジョイント130Rに送り込まれ、右側第1施肥ホース141Rに搬送される。
また、肥料放出口123に一端部130Ra(図3、図4参照)が連結された右側L型施肥ジョイント130Rは、その他端部130Rb(図3、図4参照)が、平面視で、走行車体2の後方に向けて略90度で曲げられており(図2参照)、且つ、その他端部130Rbが、側面視で、走行車体2の斜め下方後ろ向きに緩やかカーブを成した鈍角で曲げられた(図3参照)屈曲部を有するL型成形部材であり、例えば、ゴム製の部材である。
なお、左側L型施肥ジョイント130Lは、右側L型施肥ジョイント130Rと左右対称形状を成したL型成形部材であり、例えば、ゴム製の部材である。
また、上述した通り、右最前側施肥装置101Rの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した右側L型施肥ジョイント130Rが連結されており、更にその先には、右側第1施肥ホース141Rが連結されている(図4参照)。また、この構成と同様に、右中央施肥装置102R、及び右最後側施肥装置103Rのそれぞれの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した右側L型施肥ジョイント130Rが連結されており、更にその先には、右側第2施肥ホース142R、及び右側第3施肥ホース143Rがそれぞれ連結されている(図3参照)。
また、上記構成と同様に、左最前側施肥装置101L、左中央施肥装置102L、及び左最後側施肥装置103Lのそれぞれの繰出装置120の肥料放出口123には、上述した左側L型施肥ジョイント130Lが連結されており、更にその先には、左側第1施肥ホース141L、左側第2施肥ホース142L、及び左側第3施肥ホース143Lがそれぞれ連結されている(図3参照)。
なお、本実施の形態の繰出装置120は、本発明の繰出装置の一例にあたる。
また、走行車体2の左右両側に配置された左右一対の施肥ホッパ110の上端部には、左右一対のホッパ蓋部材104L、104Rが回動可能に設けられている(図3、図6参照)。
また、走行車体2の左右両側に配置された左右一対の施肥装置群100L、100Rのそれぞれの内側には、左右一対の手すり部105L、105Rが、リアステップ47に立設されている(図3、図6参照)。
次に、主として図5を用いて、左側エアチャンバー150L、及び、右側エアチャンバー150Rの構成を説明する。
左側エアチャンバー150Lは、図5に示す様に、ブロア170の吹き出し口172に上流端が連結されゴム製の第1左側エアチャンバー150Laと、第1左側エアチャンバー150Laの下流端にゴム製の連結用部材152を介して上流端が連結されたゴム製の第2左側エアチャンバー150Lbから構成されている。
即ち、第1左側エアチャンバー150Laには、左側第1施肥ホース141Lに向けて肥料を搬送するための搬送風導入口124が連結されている。また、第2左側エアチャンバー150Lbには、左側第2施肥ホース142L及び左側第3施肥ホース143Lに向けて肥料を搬送するための2つの搬送風導入口124が連結されている。
また、右側エアチャンバー150Rは、図5に示す様に、ゴム製の第1右側エアチャンバー150Raと、第1右側エアチャンバー150Raの上流端にゴム製の連結用部材152を介して下流端が連結されたゴム製の第2右側エアチャンバー150Rbから構成されている。
即ち、第1右側エアチャンバー150Raには、右側第1施肥ホース141Rに向けて肥料を搬送するための搬送風導入口124が連結されている。また、第2右側エアチャンバー150Rbには、右側第2施肥ホース142R及び右側第3施肥ホース143Rに向けて肥料を搬送するための2つの搬送風導入口124が連結されている。
ここで、第2左側エアチャンバー150Lbと、第2右側エアチャンバー150Rbは、同一部品であり、部品の共用化が図れると共に、植付条数の増設にも容易に対応可能である。
また、左側エアチャンバー150L及び右側エアチャンバー150Rが、それぞれ比較的短い筒状部材の連結により構成されるので、各筒状部材の製造が容易に行えると共に、連結及び分解がし易いのでメンテナンス性の向上が図られる。
また、第1左側エアチャンバー150Laは、ブロア170の吹き出し口172と連結することにより、保持し易く、余分な保持部品が不要となる。
なお、左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rのそれぞれの後端部は、コーナー連結部材153を介して、連結ダクト160と連結されている。
また、上述した機体の左右両側に配置されている左側エアチャンバー150Lと右側エアチャンバー150Rを、機体の内側から覆うガード部材155が設けられている(図5、図7(a)、図7(b)参照)。
これにより、ガード部材155の上端部155aに作業者の足が乗っても、右側エアチャンバー150R及び左側エアチャンバー150Lが潰れたり、外れてしまうことを防止できる。
次に、右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の各施肥ホース141L〜143Lの配置について、図2、図3、図6を参照しながら説明する。
本実施の形態では、右側の施肥装置群100Rのそれぞれの繰出装置120に、右側L型施肥ジョイント130Rを介して連結された右側の各施肥ホース141R〜143R、及び左側の施肥装置群100Lのそれぞれの繰出装置120に、左側L型施肥ジョイント130Lを介して連結された左側の各施肥ホース141L〜143Lは、図2に示す様に、それぞれ、平面視で施肥装置の外側を通り、走行車体2の後方へ向けて進み、右最後側施肥装置103R及び左最後側施肥装置103Lの後方で走行車体2の内側へ向けて屈曲され(図2、図3、図5参照)、更に、肥料の各施肥ホース内の搬送方向を基準として、その屈曲された位置の下流側において各条毎に後方へ向けて屈曲されて、各施肥ホースの先端部(図示省略)が、各条の植込杆62の苗の植付位置の近傍に固定されている。
本実施の形態では、走行車体2のより前側に配置された施肥装置の繰出装置120に連結される施肥ホースほど、走行車体2の左右幅方向の中央位置を基準としてより外側位置で後方に屈曲させることにより(図2、図5参照)、繰出装置120から肥料排出位置までの距離の差を小さくすることができるので、肥料が圃場に供給されるタイミングがバラ付くことが防止され、施肥精度が向上する。
また、施肥ホースの長さの差を無くすことが可能となるので、長さの異なる施肥ホースが不要となり、部材の共用化が図られる。
なお、各施肥ホースは、ホースガイド部材180により走行車体2の後部側において走行車体フレームに固定されている(図2、図3、図6参照)。
上記構成によれば、肥料の供給を妨げない施肥ホースの配索を容易に実現することができるので、施肥量の安定化が図られると共に、メンテナンス性が向上する。
次に、主として図7(a)〜図8(b)を用いて、ブロア170、及びブロア170の開口部171に連結されている吸入ダクト200等について説明する。
図7(a)は、走行車体2の左側に配置されたブロア170、及びその周辺部材を示す概略背面図であり、図7(b)は、ブロア170、左側の施肥装置群100L、及びその周辺部材を示す概略平面図である。
また、図8(a)は、吸入ダクト200を示す図であり、ブロア170に取り付けられた状態において乗用田植機1の左側面を見たときの図(図1参照)であり、吸入ダクト200以外の部材は図示を省略した。また、図8(b)は、吸入ダクト200を示す図であり、ブロア170に取り付けられた状態において乗用田植機1の背面を見たときの図(図7(a)参照)であり、吸入ダクト200以外の部材は図示を省略した。
本実施の形態では、ブロア170のケーシング173内に収納された送風ファン174(図3参照)は、ケーシング173の外側面に横向きの姿勢で固定された送風モータ175の回転軸175aに固定されている。
また、ブロア170は、図3、図7(a)、図7(b)に示す様に、回転軸175aが機体の左右方向に沿って水平に位置する様に配置されていると共に、ブロア170の吹き出し口172の向きと水平面との成す角度が概ね60°になる様に配置されている。なお、ブロア170の配置については、図14(a)〜図16を用いて、更に後述する。
即ち、ブロア170の吹き出し口172は、水平面との成す角度が概ね60°になる様に、側面視で斜め下方に向けて配置されており、第1左側エアチャンバー150Laの上流端に連結されている(図3参照)。
また、ブロア170は、送風モータ175が、背面視で、左側の手すり部105Lの上端部と、上述したガード部材155の下端部155bとを結ぶライン176より、機体内側に突き出さない様に配置されている。
上述した様に、ブロア170の吹き出し口172を下方斜めに設けたことにより、ケーシング173の内側等に水が溜まるのを防止することが出来る。
また、送風モータ175が機体内側に出すぎない様に構成することにより、作業性を損なわない。
また、ブロア170の開口部171には、吸入ダクト200が連結されている。
吸入ダクト200は、図8(a)、図8(b)に示す様に、ブロア170のケーシング173の側面に設けられた開口部171に連結される外気出口210が上部側面に形成されていると共に、外気を取り込む外気入口220が下部に形成されており、側面視で、略三角形状を成している(図3、図8(a)参照)。
また、外気入口220の外周壁面部221には、その外周が外側に向けて最も広がって形成されている最大外周部222から、外気入口220の水平断面による断面積が下方に向かうに従って狭くなるように階段状の段差部223が2つ形成されている。
これにより、吸入ダクト200の外周壁面にかかった水は、その傾斜面に沿って下方に移動し、階段状の段差部223の部分で、水が切れて落下するので、外気入口220から吸入ダクト200の内部に吸い込まれることが防止できる。
なお、本実施の形態の開口部171は、本発明の開口部の一例にあたる。また、本実施の形態の外気入口220は、本発明の外気出口210は、本発明の外気出口の一例にあたる。また、本実施の形態の吸入ダクト200は、本発明の吸入ダクトの一例にあたり、本実施の形態の段差部223は、本発明の段差部の一例にあたる。
次に、主として、図9(a)〜図11(b)を用いて、繰出駆動力伝動機構300について説明する。
図9(a)は、左側施肥装置群100L及び右側施肥装置群100Rに、肥料を繰出すための駆動力を伝動する繰出駆動力伝動機構300の概略背面図であり、図9(b)は、図9(a)の繰出駆動力伝動機構300の概略右側面図である。
また、図10は、図9(a)の繰出駆動力伝動機構300の概略平面図である。
また、図11(a)は、図9(a)のC部拡大図であり、繰出駆動力伝動機構300に設けられた転がり軸受部材を説明するための概略背面図である。また、図11(b)は、図10のD部拡大図であり、繰出駆動力伝動機構300に設けられた滑り軸受部材を説明するための概略平面図である。
繰出駆動力伝動機構300は、(1)施肥クラッチ装置190の出力回動軸191(図13参照)に固定されたクランクアーム19aに一端部311が回動可能に連結され、他端部312が上方に配置された第一施肥伝動ロッド310と、(2)第一施肥伝動ロッド310の他端部312が、一端部322に固定された入力側第一揺動アーム321を介して上下方向に繰り返し揺動可能に連結され、第一施肥伝動ロッド310により伝動される駆動力を他端部323に固定された出力側第一揺動アーム324から右側施肥装置群100Rの側に中継する駆動軸としての第一中継部材320と、(3)第一中継部材320により中継される駆動力を、第一連結アーム333と駆動アーム332と第二連結アーム334とを介して第二施肥伝動ロッド340及び第二中継部材350に伝動する中間伝動部330と、(4)中間伝動部330により伝動される駆動力を右側施肥装置群100Rの繰出装置120に対し一方向クラッチ右側部370Rを介して伝動する第二施肥伝動ロッド340と、(5)中間伝動部330により伝動される駆動力を左側施肥装置群100Lの側に中継する駆動軸としての第二中継部材350と、(6)第二中継部材350により中継される駆動力を左側施肥装置群100Lの繰出装置120に対し一方向クラッチ左側部370Lを介して伝動する第三施肥伝動ロッド360と、を有している。
なお、施肥クラッチ装置190は、後輪駆動機構を内蔵した後輪駆動ケース11(図13参照)に着脱可能に取り付けられており、後輪駆動機構により分岐されたエンジン20からの駆動力を、出力回動軸191に入り切り可能に伝達する構成である。また、施肥クラッチ装置190の上部には、施肥装置用の回転駆動力の伝達の入り切りを行うためのシフタ部192が設けられている(図13参照)。
図13は、施肥クラッチ装置190を走行車体2の左側から見た概略断面図である。
図13に示す様に、シフタ部192の上方には、シフタ部192を移動させるためのクラッチケーブル193を調整するケーブルアジャスタ部194が、走行車体2のフレームに固定されている。クラッチケーブル193の下端側は、シフタ部192に連結されており、また、クラッチケーブル193の上端側は、操縦部50側に配置された施肥クラッチレバー(図示省略)に連結されている。
これにより、ケーブルアジャスタ部194を高い位置に設けることが出来、深い田んぼで後輪駆動ケース11が水に浸かっても、ケーブルアジャスタ部194は水没せず、クラッチケーブル193の操作不良を起こし難くなる。
また、施肥クラッチ装置190を、後輪駆動ケース11に着脱可能に設ける構成としたことにより、施肥機能の有無に応じて柔軟に対応出来て、後輪駆動ケース11が共用化出来るので、コストダウンが可能となる。
ここで、本実施の形態の後輪駆動ケース11は、本発明の駆動ケースの一例にあたり、本実施の形態の施肥クラッチ装置190は、本発明の施肥クラッチ装置の一例にあたる。また、本実施の形態のシフタ部192は、本発明のシフタ部の一例にあたり、本実施の形態のクラッチケーブル193は、本発明のケーブル部材の一例にあたる。
また、第二施肥伝動ロッド340及び一方向クラッチ右側部370Rは、右最後側施肥装置103R(図3参照)の繰出装置120の背面側に配置されている(図9(b)参照)。
また、一方向クラッチ右側部370Rの入力軸に固定された入力アーム371の先端部は、第二施肥伝動ロッド340の上端部341に回動可能に連結されている。また、一方向クラッチ右側部370Rの出力軸に固定された出力ギヤの一方向への間欠駆動は、繰出伝動ギヤ372を介して、機体の右側に配置された3つの繰出装置120のそれぞれの繰出ロール122に伝動される構成である。
また、第三施肥伝動ロッド360及び一方向クラッチ左側部370Lは、左最後側施肥装置103L(図3参照)の繰出装置120の背面側に配置されている。
また、一方向クラッチ左側部370Lの入力軸に固定された入力アーム371の先端部は、第三施肥伝動ロッド360の上端部361に回動可能に連結されている。また、一方向クラッチ左側部370Lの出力軸に固定された出力動ギヤの一方向の間欠駆動は、繰出伝動ギヤ372を介して、機体の左側に配置された3つの繰出装置120のそれぞれの繰出ロール122に伝動される構成である。
なお、繰出量調整軸331の後端側は、上述した中間伝動部330の揺動支点332a(図9(b)、図11(b)参照)に連結されており、繰出量調整軸331を回動させることにより揺動支点332aが前後方向に移動し、中間伝動部330における駆動アーム332の揺動量を変更することが出来る構成である。
これにより、中間伝動部330から第二施肥伝動ロッド340へ伝動される上下揺動量、及び中間伝動部330から第二中継部材350を介して第三施肥伝動ロッド360へ伝動される上下揺動量を増減させることが出来、右側に配置された各繰出装置120、及び左側に配置された各繰出装置120の繰出量を増減させることが出来る。
次に、第一中継部材320と第二中継部材350の軸受構造について、図9(a)〜図11(b)を用いて説明する。
本実施の形態では、第一中継部材320は、図10に示す様に、その一端部322が、ボールベアリングで構成された転がり軸受部材410(図11(a)参照)により回動可能に支持されており、且つ、その他端部323が、樹脂製ブッシュで構成された滑り軸受部材420(図11(b)参照)により回動可能に支持されている。
なお、上述した通り、第一中継部材320の一端部322には、入力側第一揺動アーム321が固定されており、他端部323には、出力側第一揺動アーム324が固定されている。
また、本実施の形態の、第一中継部材320の一端部322側に設けられたボールベアリングで構成された転がり軸受部材410は、本発明の転がり軸受部材の一例にあたる。また、本実施の形態の、第一中継部材320の他端部323側に設けられた樹脂製ブッシュで構成された滑り軸受部材420は、本発明の第1滑り軸受部材の一例にあたる。
転がり軸受部材410は、図11(a)に示す様に、走行車体2の車体フレームに一端部が固定されたホルダー固定ステー411に対して、転がり軸受部材410を覆うホルダー412を介して締結部材413により着脱可能に固定されている。また、第一中継部材320の一端部322において、ホルダー固定ステー411と入力側第一揺動アーム321との間に形成された貫通孔322aには、図11(a)に示す様に、割りピン414が挿入されており、その割りピン414とホルダー固定ステー411との間には円盤状の座金415が装着されており、第一中継部材320の図中における右方向へのスライド移動を防止することが出来る。
なお、ホルダー固定ステー411の背面側には、第一中継部材320の直径より大きく、且つ、座金415の直径より小さい切り欠き部411aが設けられている。
これにより、締結部材413を緩めてホルダー412を外し、切り欠き部411aを利用することで、第一中継部材320と転がり軸受部材410が一体状態で、簡単にホルダー固定ステー411から取り外すことが出来、メンテナンス性や作業性が向上する。
また、第一中継部材320において、施肥クラッチ装置190からの駆動力を最初に受けることで最も大きな負荷が掛かる入力側第一揺動アーム321の近傍を、転がり軸受部材410により回動可能に支持する構成としたことで、軸受部におけるガタの発生が低減され、繰出駆動力伝動機構300全体の耐久性の向上が図られる。
また、滑り軸受部材420は、図11(b)に示す様に、走行車体2の車体フレームに一端部が固定された鍔部固定ステー421に対して、略円筒形状の樹脂製ブッシュ本体420aの中央部外周に形成された円盤状の鍔部420bを介して締結部材413により着脱可能に固定されている。また、第一中継部材320の他端部323において、滑り軸受部材420の左右両側に形成された貫通孔322aのそれぞれには、図11(b)に示す様に、割りピン414が挿入されており、その割りピン414と樹脂製ブッシュ本体420aの左右両端面との間には座金415が装着されており、第一中継部材320の他端部323の図中における左右方向へのスライド移動を防止することが出来る。
なお、第一中継部材320の他端部323に固定された出力側第一揺動アーム324の先端部は、第一連結アーム333の下端部に回動可能に連結されている(図11(b)参照)。
また、鍔部固定ステー421の背面側には、第一中継部材320の直径より大きく、且つ、座金415の直径より小さい切り欠き部(図示省略)が設けられている。
これにより、締結部材413を緩めて鍔部420bを外すことで、第一中継部材320と滑り軸受部材420が一体状態で、簡単に鍔部固定ステー421から取り外すことが出来、メンテナンス性や作業性が向上する。
また、本実施の形態では、第二中継部材350は、図9(a)、図10に示す様に、中間伝動部330と連結可能に構成された入力側第二揺動アーム351が固定された一端部352の近傍が、上記と同様の樹脂製ブッシュで構成された滑り軸受部材420(図11(b)参照)により回動可能に支持されおり、第三施肥伝動ロッド360と連結可能に構成された出力側第二揺動アーム354が固定された他端部353の近傍が、上記と同様の樹脂製ブッシュで構成された滑り軸受部材420(図11(b)参照)により回動可能に支持され、且つ、その間の2か所において、上記と同様の樹脂製ブッシュで構成された滑り軸受部材420(図11(b)参照)により回動可能に支持されている。
また、第二中継部材350の一端部352を回動可能に支持する滑り軸受部材420の左右両端側には、図11(b)において説明した様に、座金415と割りピン414が装着されており、第二中継部材350の一端部352の図中における左右方向へのスライド移動を防止することが出来る(図10参照)。
なお、第二中継部材350の一端部352に固定された入力側第二揺動アーム351の先端部は、第二連結アーム334の下端部に回動可能に連結されている(図9(b)、図10参照)。
また、第二中継部材350の他端部353を回動可能に支持する滑り軸受部材420の左端側には、図11(a)において説明した様に、座金415と割りピン414が装着されており、第二中継部材350の他端部353の図中における右方向へのスライド移動を防止することが出来る(図10参照)。
上記構成において、第一中継部材320及び第二中継部材350は、座金415と割りピン414により、最低限の箇所で位置決めが出来ると共に、特に、中間伝動部330の駆動アーム332に近い箇所において、滑り軸受部材420の左右両端側に座金415と割りピン414を装着したことで、軸方向のスライド移動を確実に防止出来て、しっかりとした位置決めが行える。
これにより、第一中継部材320の他端部323に固定された出力側第一揺動アーム324が左右方向にずれることが無いので、出力側第一揺動アーム324と駆動アーム332の前端部とを連結する第一連結アーム333の駆動時の軌跡が、平面視で一直線上に乗る様に、第一中継部材320の位置決めが行える。また、これと同時に、第二中継部材350の一端部352に固定された入力側第二揺動アーム351が左右方向にずれることが無いので、入力側第二揺動アーム351と駆動アーム332の後端部とを連結する第二連結アーム334の駆動時の軌跡が、平面視で一直線上に乗る様に、第二中継部材350の位置決めが行える。
上記構成により、第一中継部材320及び第二中継部材350の中間伝動部330の駆動アーム332に近い箇所において、がたつきの発生が防止出来て、低コストで且つ高耐久性を有する繰出駆動力伝動機構300を実現出来る。
ここで、本実施の形態のホルダー固定ステー411は、本発明の板状部材の一例にあたり、本実施の形態のホルダー412は、本発明のホルダーの一例にあたる。また、本実施の形態の割りピン414と座金415は、本発明のずれ低減部材の一例にあたる。また、本実施の形態の出力側第二揺動アーム354は、本発明の回動アーム部材の一例にあたる。
なお、上記構成では、繰出駆動力伝動機構300において、第一中継部材320において入力側第一揺動アーム321が固定された一端部322側のみ転がり軸受部材410により回動可能に支持し、他の部位は、樹脂製ブッシュで構成された滑り軸受部材420(図11(b)参照)により回動可能に支持されている場合について説明したが、これに限らず例えば、第二中継部材350において出力側第二揺動アーム354が固定された他端部353側は、滑り軸受部材420に代えて転がり軸受部材410(図11(a)参照)により回動可能に支持する構成であっても良い。これにより、第二中継部材350の他端部353側の樹脂製ブッシュの滑り軸受部材420によるたわみの駆動ロスを無くすことが出来、入力と出力が同じ位置にあるため駆動ロスが発生し難い一端部352側との肥料の繰り出し量の左右差を低減させることが出来る。
また、上記構成では、第二中継部材350の一端部352と他端部353は、それらの内側近傍において滑り軸受部材420により回動可能に支持される片持ち構造を有している場合について説明したが、これに限らず例えば、図12(a)に示す様に、第二中継部材350の他端部353を更に延長してその先端部353aについても滑り軸受部材420により回動可能に支持する構成としても良い。これにより、第二中継部材350の他端部353側は、出力側第二揺動アーム354の両側近傍において、滑り軸受部材420により回動可能に支持された両持ち構造を成し、第二中継部材350の他端部353側の駆動ロスを低減することが出来、入力と出力が同じ位置にあるため駆動ロスが発生し難い一端部352側との肥料の繰り出し量の左右差を低減させることが出来る。
ここで、図12(a)は、出力側第二揺動アーム354の左右両側近傍において、滑り軸受部材420により回動可能に支持された両持ち構造の第二中継部材350の他端部353側を示す概略平面図であり、図12(b)は、出力側第二揺動アーム354の片側近傍において、滑り軸受部材420により回動可能に支持された片持ち構造の第二中継部材350の他端部353側を示す概略平面図である。なお、図12(a)の構成例に示す、第二中継部材350の他端部353側の、出力側第二揺動アーム354の左右両側近傍に設けられた滑り軸受部材420は、本発明の第2滑り軸受部材の一例にあたる。
また、上記構成では、第一中継部材320の材質については特に限定していないが、例えば、第一中継部材320のシャフト部の材質をステンレス鋼材(SUS)とし、第一中継部材320の両端に固定されている入力側第一揺動アーム321及び出力側第一揺動アーム324の材質はステンレス鋼材でなくても良い。これにより、シャフト部の錆の発生が防止できるので、シャフト部と転がり軸受部材410及び滑り軸受部材420との分解が容易になり、分解、交換、修理等がし易く、サービス性が向上する。
次に、繰出駆動力伝動機構300における各ロッド長さの調整について説明する。
本実施の形態では、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さと、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さは、調整可能に構成されており、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さは、調整出来ない構成である。
工場での出荷段階における、機体の右側に配置された繰出装置120による肥料の繰出量の調整手順、及び機体の左側に配置された繰出装置120による肥料の繰出量の調整手順について説明する。
すなわち、まず工場の作業者は、機体の右側に配置された繰出装置120から繰り出される施肥量が出荷段階において予め定めた設定値になる様に、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを調整する。これにより、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを決定した後、次に、工場の作業者は、機体の左側に配置された繰出装置120から繰り出される施肥量が上記設定値と同じ値になる様に、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さを調整する。これにより、左右の繰出装置120から繰り出される施肥量を所定値に設定すると共に、左右の施肥量の差を所定範囲内におさめることが出来る。
この様に本実施の形態によれば、肥料の繰出量の調整作業が簡単に行えて、調整の順番が分かり易く作業性の向上が図れる。
なお、本実施の形態の繰出駆動力伝動機構300は、本発明の繰出駆動力伝動機構の一例にあたる。また、本実施の形態の第一施肥伝動ロッド310は、本発明の第一施肥伝動部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第一中継部材320は、本発明の第一中継部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第二施肥伝動ロッド340は、本発明の第二施肥伝動部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第二中継部材350は、本発明の第二中継部材の一例にあたる。また、本実施の形態の第三施肥伝動ロッド360は、本発明の第三施肥伝動部材の一例にあたる。また、本実施の形態の中間伝動部330は、本発明の中間伝動部の一例にあたる。
次に、ブロア170の取り付けについて、図14(a)〜図16を用いて説明する。
図14(a)は、走行車体2にブロア170を固定するための第1ブロアステー500の側面図であり、図14(b)は、第1ブロアステー500の平面図である。
また、図15(a)は、第1ブロアステー500を用いて取り付けられたブロア170の左側面図であり、図15(b)は、図15(a)の平面図である。
また、図16は、第2ブロアステー600を用いて取り付けられたブロア170の平面図である。
なお、図14(a)〜図15(b)では、第1ブロアステー500を実線及び破線で示すと共に、第2ブロアステー600を二点鎖線で示した。
第1ブロアステー500は、ブロア170に固定された送風モータ175が横向きの姿勢(図3、図15(a)、図15(b)参照)となる様にブロア170を固定するための部材であり、第2ブロアステー600は、ブロア170に固定された送風モータ175が縦向きの姿勢(図16参照)となる様にブロア170を固定するための部材である。
第2ブロアステー600は、図16において図面の奥側に折り曲げられた第2基部610と、送風モータ175の外周面に沿った円弧状の端部を有する第2ブロア固定部620とを備えている。
第2ブロアステー600は、第2基部610を介して走行車体2側に固定されており、第2ブロア固定部620の円弧状の端面近傍に形成された貫通孔に挿入されたボルト等の締結部材630により、ブロア170のケーシング173をしっかりと固定する構成である。
また、第1ブロアステー500は、図14(a)、図14(b)に示す様に、下方に折り曲げられた第1基部510と、第2ブロアステー600の第2ブロア固定部620の上面に重ねて配置することで双方の孔位置が一致する様に貫通孔520aが形成された重ね合わせ部520と、重ね合わせ部520の端部から上方に立ち上がり、送風モータ175の外周面に沿った円弧状の端部近傍に貫通孔530aを有する第1ブロア固定部530とを備えている。また、第1ブロア固定部530には、上下高さの異なる2か所において、機体内側と外側のそれぞれの向きに折り曲げられた第1折り曲げ部531と第2折り曲げ部532が設けられており、それぞれに貫通孔が形成されている。
本実施の形態では、第1ブロアステー500は、第2ブロアステー600を走行車体2に固定した状態で、その第2ブロアステー600を利用して、走行車体2側に固定する構成である。
即ち、図14(a)〜図15(b)に示す様に、第1ブロアステー500は、第1基部510及び重ね合わせ部520を、第2ブロアステー600の第2基部610及び第2ブロア固定部620の上にそれぞれ重ね合わせる様に配置され、且つ、第1基部510を介して走行車体2側に固定され、重ね合わせ部520と第2ブロア固定部620とが貫通孔520aに挿入されたボルト等の締結部材630によりしっかりと固定される構成である。更にまた、第1ブロアステー500は、第1折り曲げ部531及び第2折り曲げ部532に形成された貫通孔に挿入されたボルト等の締結部材630により、走行車体2側に設けられた固定プレート540等にしっかりと固定される構成である。
なお、ブロア170は、ケーシング173の機体内側に面する側面に設けられた貫通孔と、第1ブロア固定部530に形成された貫通孔530aとを位置合わせして、ボルト等の締結部材630を用いてしっかりと固定される構成である。
上記構成により、第2フロアステー600が既に固定されているので、第1ブロアステー500を外すことにより、ブロア170の取り付けについて、送風モータ175が横向き姿勢の状態(図1、図15(a)、図15(b)参照)から、縦向き姿勢(図16参照)の状態に変更することが出来るし、また、その逆も可能である。
これにより、例えば、深い田んぼで作業する場合など、ブロア170に水が溜まるのを防止することを優先したい場合には、送風モータ175の横向き姿勢でブロア170を使用することが出来るし、田んぼが深く無く、且つブロア170の出っ張りを抑え走行車体2上の作業スペースを有効活用することを優先したい場合には、送風モータ175の縦向き姿勢でブロア170を使用することが出来る。
次に、図17を用いて、エンジン20からの駆動力を苗植付部61側に伝動する伝動軸700の第1ホルダー710内にベアリング軸受部材720を収容し、油脂の脱落を防止する構成について説明する。図17は、ベアリング軸受部材720における油脂の脱落を防止する構成を示す要部断面図である。
図17に示す様に、ベアリング軸受部材720の両側を止め輪721でとめて、その外側にオイルシール730を設けた。ベアリング軸受部材720の内輪と外輪の間、玉の軌道部、及びオイルシール730の内側にもグリスを封入する構成である。
これにより、油脂の脱落を防止出来るので、ベアリング性能の低下を抑え、高耐久性を確保出来る。また、洗車時も油分の脱落が無い。
また、オイルシール730の保護と伝動軸700の位置決めのためにバネ製のプレート740が設けられている。プレート740は、第1ホルダー710とは別部材であり、組み付け時は共締めとする。
この様に、プレート740と第1ホルダー710を別部材とすることで、第1ホルダー710、及びプレート740の形状を単純化することが出来る。また、プレート740の追加により、先にプレート740より位置を決め、その後から第1ホルダー710を固定するので、位置決めはプレート740で行える。また、プレート740が第1ホルダー710と別部材であるため、それぞれ補修、交換が行い易い。
なお、上記の構成例では、プレート740と第1ホルダー710を別部材とした場合について説明したが、これに限らず例えば、図18に示す様に、プレートとホルダーを一体で構成した第2ホルダー1710としても良い。
これにより、部品点数を減らすことが出来、コストダウンを図ることが出来る。また、組み付け忘れを防止することも出来る。図18は、ベアリング軸受部材720における油脂の脱落を防止する別の構成を示す要部断面図である。
次に、図19(a)、図19(b)を用いて、エンジン20からの駆動力を苗植付部61側に伝動する伝動軸700の第1ホルダー710内にベアリング軸受部材720を収容し、油脂の脱落を防止する構成について上記と別の構成例を説明する。図19(a)は、ベアリング軸受部材720における油脂の脱落を防止する別の構成を示す要部断面図であり、図19(b)は、ホルダカバー750の正面図である。なお、図17と同じ構成には同じ符号を付しその説明を省略する。
ホルダカバー750は、図19(a)に示す様に、側面視で略コの字状を成し、伝動軸700に対して後付け出来る様に、正面視でホルダカバー750の中央部に外周形状が円弧状の開口部751と、その開口部751に連通する下向きの切り欠き部752が形成されている(図19(b)参照)。
図19(a)に示す構成例では、伝動軸700の端部に固定されたボルト760を緩めた後、伝動軸700に既に装着されている第1ホルダー710の両端面を覆う様にホルダカバー750を装着し、再びボルド760を締め付けることにより、第1ホルダー710と共締めでホルダカバー750を伝動軸700に後付けで組み付けることが出来る構成である。
これにより、油脂の脱落を防止することが出来ると共に、ホルダカバー750が下向きに開放されているので、泥の落下を促すことが出来る。
なお、上記構成例では、ホルダカバー750に切り欠き部752が形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、切り欠き部752を有さず、正面視でホルダカバー750の中央部に円形状の孔が設けられている構成であっても良い。この場合は、ホルダカバー750を伝動軸700に後付けで組み付けることは出来ないので、ホルダカバー750を第1ホルダー710に予め装着した状態で、伝動軸700を挿入する必要がある。
次に、図20を用いて、エンジン20からの駆動力を苗植付部61側に伝動する伝動軸700の第3ホルダー2710内にベアリング軸受部材720を収容し、油脂の脱落を防止する構成について上記と別の構成例を説明する。図20は、ベアリング軸受部材720における油脂の脱落を防止する別の構成を示す要部断面図である。なお、図17と同じ構成には同じ符号を付しその説明を省略する。
図20に示す構成例では、第3ホルダー2710のフロント側には、共締めのプレート740を設けると共に、リア側には、第3ホルダー2710の内部に内部プレート770を設けた。
これにより、安価に油脂の脱落を防止することが出来る。
なお、上記実施の形態では、吸入ダクト200には段差部223が2段形成されている場合について説明したが、これに限らず例えば、1段であっても良いし、3段以上形成されていても良い。
また、上記実施の形態では、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さと、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さは、調整可能に構成されており、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さは、調整出来ない構成としたが、これに限らず例えば、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さと、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さは、調整可能に構成されており、第三施肥伝動ロッド360のロッド長さは、調整出来ない構成としても良い。この構成の場合における肥料の繰出量の調整は、例えば次の通りである。まず工場の作業者は、機体の左側に配置された繰出装置120に駆動力を伝動する繰出伝動ギヤ372の回転数が出荷段階において予め定めた設定値になる様に、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを調整し、第一施肥伝動ロッド310のロッド長さを決定した後、機体の右側に配置された繰出装置120に駆動力を伝動する繰出伝動ギヤ372の回転数が上記設定値と同じ回転数になる様に、第二施肥伝動ロッド340のロッド長さを調整する。これにより、上記の場合と同様、左右の繰出装置120から繰り出される施肥量を所定値に設定すると共に、左右の施肥量の差を所定範囲内におさめることが出来る。
また、上記実施の形態では、繰出駆動力伝動機構300に関して、工場出荷段階において、左右の施肥量を所定値に設定して、左右の施肥量の差を所定範囲内におさめるために、各ロッド長さを調整可能に構成した場合について説明したが、これに限らず例えば、第一施肥伝動ロッド310、第二施肥伝動ロッド340、及び第三施肥伝動ロッド360については、施肥量を調整するための長さ調整は出来ない構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、繰出駆動力伝動機構300において、第二中継部材350は、第一中継部材320及び中間伝動部330を介して伝動されてくる駆動力を、左側施肥装置群100Lの側に中継する構成として説明したが、これに限らず例えば、第一施肥伝動ロッド310により伝動される駆動力を、第一中継部材320及び中間伝動部330を介さずに左側施肥装置群100Lの側に中継する構成としても良いし、或いは、第二施肥伝動ロッド340により伝動される駆動力を、左側施肥装置群100Lの側に中継する構成としても良い。
また、上記実施の形態では、繰出駆動力伝動機構300において、中間伝動部330を備えた構成について説明したが、中間伝動部330を備えない構成であっても良い。その構成の場合、例えば、回転駆動力出力部19の回動軸の回転数を調節可能とすることにより、肥料の繰出量の調整、即ち繰出量の増減が可能となる。
また、上記実施の形態では、第一中継部材320が、右側施肥装置群100Rの側に駆動力を中継し、且つ、第二中継部材350が、左側施肥装置群100Lの側に駆動力を中継する構成について説明したが、これに限らず例えば、第一中継部材320が、左側施肥装置群100Lの側に駆動力を中継し、且つ、第二中継部材350が、右側施肥装置群100Rの側に駆動力を中継する構成でも良い。
また、上記実施の形態では、本発明の作業車両の一例として6条型の乗用田植機を構成した場合について説明した。しかしこれに限らず例えば、4条植え或いは8条植えの構成であっても良く、条数に限定されない。
また、本発明の作業車両の一例として乗用田植機の場合について説明したが、これに限らず、施肥作業を行う作業車両であればどのような構成であっても良い。
また、上記実施の形態では、リアステップ47の左右両端側に配置された左側施肥装置群100L、及び右側施肥装置群100Rには、それぞれ施肥装置が3つずつ設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、それぞれ2つずつ或いは4つずつ等、幾つ設けられていても良い。