JP3593450B2 - 釣り用リールの回転体を支持する支持機構 - Google Patents

釣り用リールの回転体を支持する支持機構 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
釣り糸を巻き取る回転体を有する釣り用リールにおける回転体を支持する支持機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
釣り用リール、特に両軸受リールは、釣り糸が巻かれるスプールが回転するリールであって、リール本体と、リール本体に回転自在に支持されたスプールと、スプールを回転させるハンドルとを備えている。スプールとハンドルとの間には、ハンドルからの回転をスプールに伝達するギア機構及びギア機構とスプールとを係脱するクラッチ機構が設けられている。スプールの中心にはスプール軸が貫通しており、このスプール軸は転がり軸受によりリール本体に回転自在に支持されている。
【0003】
この種の両軸受リール、特にルアーフィッシングに使用されるベイトキャスティングリールでは、巻き上げ時等の高負荷低速回転時の伝達効率を向上させるため、スプールを支持するための軸受として玉軸受等の転がり軸受を用いることが望ましい。また、キャスティング時等の低負荷高速回転時のノイズを防ぐためには、ブッシュ等の滑り軸受を用いることが望ましい。そこで従来のベイトリールでは、スプール軸と転がり軸受の内輪とを締まり嵌めにするとキャスティング時等の低負荷高速回転時に抵抗が大きくなることを考慮して、内輪とスプール軸との間に僅かな隙間を設けて内輪とスプール軸とが摺動するようにしている。このような構成により、低負荷時には転がり軸受が滑り軸受として機能して抵抗が少なくなる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の構成では、低負荷時には、転がり軸受の内輪とスプール軸とが滑ることによって、転がり軸受の転動体の転がりが少なくなり、ノイズが小さくなる。また、高負荷時には、内輪とスプール軸とが圧接して、転がり軸受が滑り軸受としてではなく転がり軸受として働く。
【0005】
しかし、低負荷時であってもスプール軸が内輪に接するため、内輪及び転動体がスプール軸の回転に従ってある程度回転しノイズが発生する。
本発明の課題は、内輪とスプール軸との間に隙間を設けて内輪とスプール軸とが摺動し得るようにした釣り用リールにおいて、低負荷高速回転時に発生するノイズが少ないスプールの支持機構を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る支持機構は、釣り糸を巻き取る回転体を有する釣り用リールにおける回転体を支持する支持機構であって、内輪と、外輪と、転動体とを備えている。内輪は、回転体の回転軸の外周面を覆うように配置されており、回転体の回転軸と所定の隙間を持った状態で遊嵌する。外輪は、内輪の外周側に配置されており、釣り用リールの本体に支持される。転動体は、内輪と外輪との間に保持される。また、内輪は、外輪に対して軸方向に付勢されている。
【0007】
魚がかかったときなど高負荷で釣り糸を巻き上げるときには、釣り用リールの回転体の回転軸が内輪と圧接し、転動体が内輪と外輪との間で転動することによって回転体が釣り用リールの本体に対して回転する。
キャスティング時など低負荷で回転体を回転させるときには、隙間を持って遊嵌している回転軸と内輪とが摺動して相対回転する。また、低負荷ではあっても回転軸と内輪とは接するので、内輪は回転軸に対して摺動しつつ回転軸の回転に従って回転軸の回転数よりも小さな回転数で回転する。このように回転軸の回転によってある程度内輪が回転するため、転動体も外輪と内輪との間で転動する。
【0008】
このような支持機構では、内輪と回転軸との間に隙間が存在するため、内輪は回転軸に対して軸方向に移動可能である。したがって、内輪が外輪に対して付勢されていなければ、転動体が内輪と外輪との間でがたついてノイズが大きくなる。しかし、ここでは内輪を外輪に対して軸方向に付勢しているため、回転体を回転させるとき、特に低負荷で回転体を回転させるときに、転動体のがたつきが小さくなり、発生するノイズが抑えられる。
【0009】
発明2に係る支持機構は、発明1に記載の支持機構において、内輪は、外輪に対して、磁力によって軸方向に付勢されている。
ここでは、磁力を利用しているため、外輪と相対回転する内輪を、外輪に対して容易に付勢させることができる。また、磁力を利用しているため、内輪及び外輪に接して両者の相対回転を阻害するような付勢部材を設ける必要がなくなる。
【0010】
発明3に係る支持機構は、発明2に記載の支持機構において、内輪及び外輪はそれぞれ着磁されている。
ここでは、内輪及び外輪を着磁することにより、内輪を外輪に対して磁力によって付勢している。したがって、内輪を外輪に対して付勢する別個の付勢部材や磁石を設ける必要がなく、省スペース化を図ることができる。
【0011】
発明4に係る支持機構は、発明2に記載の支持機構において、釣り用リールの本体あるいは外輪に支持される磁石を備えている。内輪は、磁性体であるか、あるいは着磁されており、磁石によって吸引あるいは離反させられる。
発明5に係る支持機構は、発明4に係る支持機構において、磁石は、内輪との距離の変更ができるように支持されている。
【0012】
ここでは、磁石と内輪との距離を変更することができ、これにより内輪を外輪に対して付勢する力を適正な値に調整することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
〔実施形態1〕
図1及び図2において、本発明の一実施形態による両軸受リールは、ベイトキャスト用のロープロフィール型のリールである。このリールは、リール本体1と、リール本体1の側方に配置されたスプール回転用ハンドル2と、ハンドル2のリール本体1側に配置されたドラグ調整用のスタードラグ3とを備えている。ハンドル2は、板状のアーム部2aと、アーム部2aの両端に回転自在に装着された把手2bとを有するダブルハンドル形のものである。
【0014】
図3に示すように、リール本体1は、フレーム5と、フレーム5の両側方に装着された第1側カバー6a及び第2側カバー6bとを有している。また、リール本体1は、図1及び図2に示すように、前方を覆う前カバー7と、上部を覆うサムレスト8とを有している。リール本体1の内部には、後述するように糸巻用のスプール12が回転自在に装着されている。
【0015】
フレーム5は、図3及び図4に示すように所定の間隔をあけて互いに対向するように配置された1対の側板5a,5bと、これらの側板5a,5bを連結する複数の連結部とを有している。下側の連結部には、図3に示すように、リールを釣り竿Rに装着するための前後に長いステンレス製の装着脚部4がネジ止めされている。
【0016】
第1側カバー6aは、スプール12の着脱を可能にするためにフレーム5に揺動自在に装着されフレーム5に対して開閉可能である。前カバー7は、図3に示すように、リール本体1の前部において側板5a,5b間に装着されている。前カバー7は、その上方に配置されたサムレスト8との間で前部に形成された開口を有している。開口は、釣り糸が通過し得るように横長に形成されている。カバー部材10a,10bはボルトによりサムレスト8及び前カバー7にそれぞれ固定されている。サムレスト8は、図1〜図3に示すように、平面視コ字状にリール本体1の上部に装着されている。このサムレスト8の前部8aに釣り竿を持つ手H(図1参照)の親指を置くことでパーミングを行える。サムレスト8の上面はそれぞれ上方に凸に湾曲した曲面で構成されている。
【0017】
フレーム5内には、図3及び図4に示すように、釣り竿Rと直交する方向に配置されたスプール12と、スプール12内に均一に釣り糸を巻くためのレベルワインド機構15と、サミングを行う場合の親指の当てとなる、クラッチレバー17とが配置されている。またフレーム5と第2側カバー6bとの間には、ハンドル2からの回転力をスプール12及びレベルワインド機構15に伝えるためのギア機構18と、クラッチ機構13と、クラッチ機構13の係脱を行うためのクラッチ係脱機構19と、クラッチレバー17の操作に応じてクラッチ機構の係脱を制御するための係脱制御機構20と、ドラグ機構21と、スプール12の回転時の抵抗力を調整するためのキャスティングコントロール機構22とが配置されている。また、フレーム5と第1側カバー6aとの間には、キャスティング時のバックラッシュを抑えるための遠心ブレーキ機構23が配置されている。
【0018】
スプール12は、両側部に皿状のフランジ部12aを有しており、両フランジ部12aの間に筒状の糸巻き胴部12bを有している。また、スプール12は、糸巻き胴部12bの内周側の軸方向の実質的に中央部に一体で形成された筒状のボス部12cを有しており、ボス部12cを貫通するスプール軸16にセレーション結合により回転不能に固定されている。この固定方法はセレーション結合に限定されず、キー結合やスプライン結合等の種々の結合方法を用いることができる。
【0019】
スプール軸16は、側板5bを貫通して第2側カバー6bの外方に延びている。その延びた一端は、第2被支持部16dで第2軸受62によって支持されている(図5参照)。
第2軸受62は、主として、内輪62aと、外輪62bと、複数の玉(転動体)62cとから構成されている。図5に示すように、内輪62a及び外輪62bは円弧状の溝を有しており、複数の玉62cは両溝の間で保持される。なお、複数の玉62cは図示しない保持器によって保持されている。外輪62bは、第2側カバー6bに形成されたボス部6cに固定されている。また、外輪62bに隣接する位置には第2側カバー6bに環状の磁石支持部81が固定され、磁石支持部81の内周面にはネジ溝が形成されている。この磁石支持部81のネジ溝には、永久磁石82aを有する磁石組立体82がねじ込まれる。永久磁石82aは、内輪62aと隣接しており、磁石組立体82のねじ込み量を調整することで内輪62aとの距離s2が変わる。内輪62aは、スプール軸16の第2被支持部16dの外周面を覆うようにして、スプール軸16と遊嵌している。したがって、内輪62aと第2被支持部16dとの間には隙間g2が存在する。また、内輪62aは磁性体であり、永久磁石82a側(図5の左側)に引っ張られる。すなわち、内輪62aは、第2側カバー6bに固定されている外輪62bに対してスプール軸16に沿った方向に付勢されている状態となる。
【0020】
またスプール軸16の他端は、第1被支持部16cで第1軸受61によって支持されている(図6参照)。
第1軸受61は、主として、内輪61aと、外輪61bと、複数の玉(転動体)61cとから構成されている。図6に示すように、内輪61a及び外輪61bは円弧状の溝を有しており、複数の玉61cは両溝の間で保持される。なお、複数の玉61cは図示しない保持器によって保持されている。外輪61bは、側板5aに形成された筒部71に固定されている。また、外輪61bに隣接する位置には筒部71に固定された環状の磁石支持部72があり、磁石支持部72の内周面にはネジ溝が形成されている。この磁石支持部72のネジ溝には、永久磁石73aを有する磁石組立体73がねじ込まれる。永久磁石73aは、内輪61aと隣接しており、磁石組立体73のねじ込み量を調整することで内輪61aとの距離s1が変わる。内輪61aは、スプール軸16の第1被支持部16cの外周面を覆うようにして、スプール軸16と遊嵌している。したがって、内輪61aと第1被支持部16cとの間には隙間g1が存在する。また、内輪61aは磁性体であり、永久磁石73a側(図6の右側)に引っ張られる。すなわち、内輪61aは、筒部71に固定されている外輪61bに対してスプール軸16に沿った方向に付勢されている状態となる。
【0021】
スプール軸16の大径部分16aの右端は、図4に示すように側板5bの貫通部部分に配置されており、そこにはクラッチ機構13を構成する係合ピン16bが固定されている。係合ピン16bは、直径に沿って大径部分16aを貫通しており、その両端が径方向に突出している。
レベルワインド機構15は、図4に示すように、1対の側板5a,5b間に固定されたガイド筒25と、ガイド筒25内に回転自在に支持されたウォームシャフト26と、ラインガイド27とを有している。このレベルワインド機構15では、ギア機構18を介してウォームシャフト26が回転させられることにより、ラインガイド27がガイド筒25に沿って往復動する。このラインガイド27のガイドリング内に釣り糸が挿通されて釣り糸がスプール12に均一に巻き付けられる。
【0022】
ギア機構18は、ハンドル軸30と、ハンドル軸30に固定されたメインギア31と、メインギア31に噛み合う筒状のピニオンギア32と、前述のウォームシャフト26端部に固定されたギア28aと、ハンドル軸30に回転不能に固定され、ギア28aに噛み合うギア28bとを有している。
ピニオンギア32は、図4に示すように、側板5bの外方から内方に延び、中心にスプール軸16が貫通する筒状部材であり、スプール軸16に軸方向に移動自在に装着されている。また、ピニオンギア32の図4左端部は、軸受43により側板5bに回転自在かつ軸方向移動自在に支持されている。この軸受43はシールドボールベアリングである。
【0023】
ピニオンギア32は、図4右端側外周部に形成されメインギア31に噛合する歯部32aと、他端側に形成された噛み合い部32bと、歯部32aと噛み合い部32bとの間に形成されたくびれ部32cとを有している。噛み合い部32bは、ピニオンギア32の端面に直径に沿って形成された凹溝からなり、そこにスプール軸16を貫通して固定された係合ピン16bが係止される。ここではピニオンギア32が外方に移動してその噛み合い部32bとスプール軸16の係合ピン16bとが離脱すると、ハンドル軸30からの回転力はスプール12に伝達されない。この噛み合い部32bと係合ピン16bとによりクラッチ機構13が構成される。係合ピン16bと噛み合い部32bとが係合すると、スプール軸16より大径のピニオンギア32からスプール軸16にトルクが直接伝達されるので、ねじれ変形がより少なくなり、トルク伝達効率が向上する。
【0024】
クラッチレバー17は、図2に示すように、1対の側板5a,5b間の後部でスプール12後方に配置されている。フレーム5の側板5a,5bには長孔(図示せず)が形成されており、クラッチレバー17の回転軸17aがこの長孔に回転自在に支持されている。このため、クラッチレバー17は長孔に沿って上下方向にスライドすることも可能である。
【0025】
クラッチ係脱機構19は、図4に示すように、クラッチヨーク40を有している。クラッチヨーク40は、スプール軸16の外周側に配置されており、2本のピン41(一方のみ図示)によってスプール軸16の軸芯と平行に移動可能に支持されている。なお、スプール軸16はクラッチヨーク40に対して回転可能である。すなわち、スプール軸16が回転してもクラッチヨーク40は回転しない。またクラッチヨーク40はその中央部にピニオンギア32のくびれ部32cに係合する係合部40aを有している。またクラッチヨーク40を支持する各ピン41の外周で、クラッチヨーク40と第2側カバー6bとの間にはスプリング42が配置されており、クラッチヨーク40はスプリング42によって常に内方に付勢されている。このクラッチヨーク40は、クラッチレバー17の操作により、スプール軸16に沿った方向に移動する。
【0026】
次に動作について説明する。
通常状態では、ピニオンギア32は内方のクラッチ係合位置に位置しており、その噛み合い部32bとスプール軸16の係合ピン16bとが係合してクラッチオン状態となっており、ハンドル2からの回転力は、ハンドル軸30、メインギア31及びピニオンギア32を介してスプール軸16及びスプール12に伝達される。釣り糸の巻き上げ時に大きな負荷が作用すると、第1及び第2軸受61,62の内輪61a,62aとスプール軸16の第1及び第2被支持部16c、16dとの隙間g1,g2がなくなり、第1及び第2軸受61,62は転がり軸受として働く。
【0027】
キャスティングを行う場合には、クラッチレバー17が下方に押される。そしてクラッチレバー17の移動により、クラッチヨーク40が外方に移動し、クラッチヨーク40に係合するピニオンギア32も同方向に移動させられる。この状態では、噛み合い部32bと係合ピン16bとの係合が外れクラッチオフ状態となり、ハンドル軸30からの回転はスプール軸16及びスプール12に伝達されない。このようにクラッチオフ状態として釣り竿を振ると、ルアーが投げられスプール12が糸繰り出し方向に勢いよく回転する。
【0028】
キャスティングを行う場合には負荷が小さいので、第1及び第2軸受61,62の内輪61a,62aとスプール軸16の第1及び第2被支持部16c、16dとは、それぞれ摺動する。すなわち、第1及び第2軸受61,62は滑り軸受として働く。しかしながら、低負荷ではあってもスプール軸16と内輪61a,62aとは接するので、内輪61a,62aはスプール軸16に対して滑りつつスプール軸16の回転につられてスプール軸16の回転数よりも小さな回転数で回転する。このようにスプール軸16の回転によってある程度内輪61a,62aが回転するため、玉61c、62cも外輪61b、62bと内輪61a,62aとの間で転動する。しかし、ここでは内輪61a,62aを外輪61b、62bに対して永久磁石73a,82aによって軸方向に付勢しているため、キャスティングを行うときに、内輪61a,62a及び外輪61b、62bに保持される玉61c,62cのがたつきが小さくなり、発生するノイズが抑えられる。
【0029】
また、ここでは磁力を利用して非接触で内輪61a,62aを外輪61b、62bに対して付勢させているため、第1及び第2軸受61,62の回転抵抗を小さく抑えることができる。
また、永久磁石73a,82aと内輪61a,62aとの距離s1,s2を変更することができるので、内輪61a,62aを付勢する力を適正な値に調整することができる。
【0030】
なお、図面における隙間寸法等は、理解を容易ならしめるために実寸よりも大きく描いている。
〔実施形態2〕
前記実施形態1では、永久磁石73a,82aを内輪61a,62aに隣接させて配備することにより内輪61a,62aを外輪61b、62bに対して軸方向に付勢しているが、実施形態1の磁石組立体73,82や磁石支持部72,81を設けずに、図7及び図8に示すように、内輪63a,64a及び外輪63b、64b自身を磁化させても良い。
【0031】
図7に示すスプール軸16の第2被支持部16dを支える第2軸受64は、主として、内輪64aと、外輪64bと、複数の玉(転動体)64cとから構成されている。内輪64a及び外輪64bは円弧状の溝を有しており、複数の玉64cは両溝の間で保持される。なお、複数の玉64cは図示しない保持器によって保持されている。外輪64bは、第2側カバー6bに形成されたボス部6cに固定されている。内輪64aは、スプール軸16の第2被支持部16dの外周面を覆うようにして、スプール軸16と遊嵌している。したがって、内輪64aと第2被支持部16dとの間には隙間g2が存在する。また、図7に示すように外輪64b及び内輪64aは着磁されており、内輪64aは外輪64bに対してスプール軸16に沿った方向に付勢されている状態である。なお、ここでは、外輪64bにはスプール12側(図7の左側)に非磁性部64eが形成されており、内輪64aにはハンドル2側(図7の右側)に非磁性部64dが形成されているため、スプール軸16に沿った方向に対して外輪64bのN極及びS極と内輪64aのN極及びS極とはその位置がずれている。
【0032】
図8に示すスプール軸16の第1被支持部16cを支える第1軸受63は、主として、内輪63aと、外輪63bと、複数の玉(転動体)63cとから構成されている。内輪63a及び外輪63bは円弧状の溝を有しており、複数の玉63cは両溝の間で保持される。なお、複数の玉63cは図示しない保持器によって保持されている。外輪63bは、側板5aに形成された筒部71に固定されている。内輪63aは、スプール軸16の第1被支持部16cの外周面を覆うようにして、スプール軸16と遊嵌している。したがって、内輪63aと第1被支持部16cとの間には隙間g1が存在する。また、図8に示すように外輪63b及び内輪63aは着磁されており、内輪63aは外輪63bに対してスプール軸16に沿った方向に付勢されている状態である。なお、ここでは、外輪63bにはスプール12側と反対側(図8の左側)に非磁性部63eが形成されており、内輪63aにはスプール12側(図8の右側)に非磁性部63dが形成されているため、スプール軸16に沿った方向に対して外輪63bのN極及びS極と内輪63aのN極及びS極とはその位置がずれている。
【0033】
このようにしても、磁力により内輪63a,64aが外輪63b、64bに対して軸方向に付勢されるため、キャスティングを行うときに、内輪63a,64a及び外輪63b、64bに保持される玉63c,64cのがたつきが小さくなり、発生するノイズが抑えられる。
ここでは内輪63a,64aを外輪63b、64bに対して付勢する別個の付勢部材や永久磁石を設ける必要がないため、省スペース化を図ることができる。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、釣り用リールで内輪とスプール軸(回転軸)との間に隙間が存在する場合にも、内輪を外輪に対して軸方向に付勢しているため、内輪とスプール軸とを滑らせて低負荷でスプールを高回転させるときの転動体のがたつきが小さくなり、発生するノイズが抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による両軸受リールの斜視図。
【図2】両軸受リールの上面図。
【図3】両軸受リールの正面図。
【図4】両軸受リールの断面図。
【図5】第2軸受近傍の拡大図。
【図6】第1軸受近傍の拡大図。
【図7】第2実施形態の第2軸受近傍の拡大図。
【図8】第2実施形態の第1軸受近傍の拡大図。
【符号の説明】
1 リール本体
12 スプール(回転体)
16 スプール軸(回転軸)
61a,62a,63a,64a 内輪
61b,62b,63b,64b 外輪
61c,62c,63c,64c 玉(転動体)
73a,82a 永久磁石

Claims (5)

  1. 釣り糸を巻き取る回転体を有する釣り用リールにおける前記回転体を支持する支持機構であって、
    前記回転体の回転軸の外周面を覆うように配置され、前記回転体の回転軸と所定の隙間を持った状態で遊嵌する内輪と、
    前記内輪の外周側に配置され、前記釣り用リールの本体に支持される外輪と、前記内輪と前記外輪との間に保持される転動体と、
    を備え、
    前記外輪に対して前記内輪が軸方向に付勢されている支持機構。
  2. 前記内輪は、前記外輪に対して、磁力によって軸方向に付勢されている、請求項1に記載の支持機構。
  3. 前記内輪及び前記外輪はそれぞれ着磁されている、請求項2に記載の支持機構。
  4. 前記内輪は、磁性体であるか、あるいは着磁されており、
    前記釣り用リールの本体あるいは前記外輪に支持され、前記内輪を吸引あるいは離反させる磁石をさらに備えている、
    請求項2に記載の支持機構。
  5. 前記磁石は、前記内輪との距離の変更ができるように支持されている、請求項4に記載の支持機構。
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