〔圃場作業機の基本構成〕
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ここでは、本発明の圃場作業機の一例として乗用型田植機を例に挙げて説明する。なお、図1及び図2に示されているように、本実施形態では、矢印Fが走行機体1の機体前部側、矢印Bが走行機体1の機体後部側、矢印Lが走行機体1の機体左側、矢印Rが走行機体1の機体右側である。
乗用型田植機には、左右一対の操舵車輪2と、左右一対の後車輪3とを有する走行機体1と、圃場に対する苗の植え付けが可能な作業装置としての八条植え型式の苗植付装置Wと、が備えられている。左右一対の操舵車輪2は、走行機体1の機体前側に設けられて走行機体1の向きを変更操作自在なように構成され、左右一対の後車輪3は、走行機体1の機体後側に設けられている。苗植付装置Wは、昇降用油圧シリンダ4の伸縮作動により昇降作動するリンク機構5を介して、走行機体1の後端に昇降自在に連結されている。
走行機体1の前部には、開閉式のボンネット6が備えられている。ボンネット6の先端位置には、マーカ(不図示)によって圃場に描かれる指標ライン(不図示)に沿って走行するための目安となる棒状のセンターマスコット7が備えられている。走行機体1には、前後方向に沿って延びる機体フレーム1Fが備えられ、機体フレーム1Fの前部には支持支柱フレーム8が立設されている。
ボンネット6内には、エンジンEが備えられている。詳述はしないが、エンジンEの動力が、機体に備えられた変速装置を介して操舵車輪2及び後車輪3に伝達され、変速後の動力が電動モータ駆動式の植付クラッチ(不図示)を介して苗植付装置Wに伝達される。
八条植え型式の苗植付装置Wに、四個の伝動ケース10と、八個の回転ケース11と、整地フロート12と、苗載せ台13と、整地ロータ14と、が備えられている。回転ケース11は、各伝動ケース10の後部の左側部及び右側部に、夫々回転自在に支持されている。夫々の回転ケース11の両端部に、一対のロータリ式の植付アーム15が備えられている。整地フロート12は、圃場の田面に接地追従することで田面を整地するものであり、苗植付装置Wに複数備えられている。苗載せ台13に、植え付け用のマット状苗が載置される。
苗植付装置Wは、苗載せ台13を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース10から伝達される動力により各回転ケース11を回転駆動して、苗載せ台13の下部から各植付アーム15により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。苗植付装置Wは、複数の回転ケース11に備えられた植付アーム15により苗を植え付けるように構成されている。回転ケース11が四個の場合は四条植え型式であり、回転ケース11が六個の場合は六条植え型式であり、回転ケース11が八個の場合は八条植え型式であり、回転ケース11が十個の場合は十条植え型式である。
走行機体1におけるボンネット6の左右側部には、二個の予備苗台16が備えられている。予備苗台16は、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能なレール式に構成されている。走行機体1におけるボンネット6の左右側部には、予備苗台16を支持する背高のフレーム部材としての左右一対の予備苗フレーム17が備えられ、左右の予備苗フレーム17の上部同士が連結フレーム18にて連結されている。
走行機体1に衛星測位ユニット19が備えられている。衛星測位ユニット19は、航法衛星からの電波を受信して機体の位置を検出する衛星測位用システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例として、周知の技術であるGPS(Global Positioning System)を利用して、機体の位置を求める。衛星測位ユニット19は、走行機体1の前部に位置する状態で、連結フレーム18に取り付けられている。図1及び図2に示されるように、衛星測位ユニット19が、連結フレーム18と予備苗フレーム17とによって、高い箇所に支持されるものとなる。これにより、衛星測位ユニット19に受信障害が生じるおそれが少なく、衛星測位ユニット19における電波の受信感度を高めることができる。
走行機体1の中央部には、各種の運転操作が行われる搭乗部20が備えられている。搭乗部20には、運転座席21と、操向ハンドル22と、主変速レバー23と、操作レバー24と、が備えられている。運転座席21は、走行機体1の中央部に備えられ、搭乗者が着席可能なように構成されている。操向ハンドル22は、人為操作によって操舵車輪2の操向操作を可能なように構成されている。主変速レバー23は、前後進の切換え操作や走行速度の変更操作が可能なように構成されている。苗植付装置Wの昇降操作と、左右の整地ロータ14の切換えと、が操作レバー24によって行われる。操向ハンドル22、主変速レバー23、操作レバー24等は、運転座席21の機体前部側に位置する操縦塔25の上部に備えられている。搭乗部20の足元部位の左右両方に、搭乗者が搭乗部20へ機体横側方から乗降するための乗降用ステップ26が設けられている。
操作レバー24を上昇位置に操作すると、植付クラッチ(不図示)が切り操作されて苗植付装置Wに対する伝動が遮断され、昇降用油圧シリンダ4を作動して苗植付装置Wが上昇する。操作レバー24を下降位置に操作すると、苗植付装置Wが下降して田面に接地して停止した状態となる。
搭乗者は、田植え作業を開始するときは、操作レバー24を操作して苗植付装置Wを下降させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を開始させて田植え作業を開始する。そして、田植え作業を停止するときは、操作レバー24を操作して苗植付装置Wを上昇させると共に、苗植付装置Wに対する伝動を遮断する。
〔施肥装置〕
図1乃至図4に示されるように、搭乗部20よりも後側に、本発明の供給装置としての施肥装置30が備えられ、施肥装置30は圃場に植え付けられた苗に、例えば肥料や薬剤等の農用資材である粉粒体を供給する。施肥装置30に、ホッパー31と、繰出し部32と、搬送管路50と、施肥排出部34と、作溝器35と、ブロア36と、電動式の駆動モータ37と、が設けられている。
本実施形態では、八条植え型式の苗植付装置Wに対応して、八個の作溝器35が、夫々の回転ケース11の近傍に設けられている。作溝器35によって圃場の田面における夫々の植え付け条の近傍に溝が形成される。八個の施肥排出部34が夫々の作溝器35と一体的に設けられ、八本の搬送管路50が夫々の施肥排出部34に連通接続されている。なお、作溝器35と施肥排出部34とは一体的に設けられても良いし、作溝器35と施肥排出部34との夫々が別体で設けられても良い。
夫々の搬送管路50は、剛性を有する第一管路51と、苗植付装置Wに支持されて剛性を有する第二管路52と、可撓性を有する第三管路53と、の組み合わせによって構成されている。図4に示されるように、第一管路51は繰出し部32の下端と連結され、ブロア36の搬送風を受け入れる空気導入口51aと、管路途中に設けられて繰出し部32から繰り出された粉粒体を受け入れる施肥入口51bと、が形成されている。第二管路52は、苗植付装置Wの支持フレーム(不図示)に支持されて、粉粒体及び搬送風を施肥排出部34へ送り出す。第三管路53は、第一管路51と第二管路52とを連通接続する可撓性のホースであり、苗植付装置Wは上下の昇降動作に対応して湾曲度合いが変形自在な構成となっている。第一管路51は機体側面視で水平方向に沿う状態となっており、第二管路52は機体側面視で後下がりに傾斜する。
図3及び図4に示されるように、機体横方向に沿って四個のホッパー31,31,31,31が左右に振り分けて配置され、夫々のホッパー31よりも下側に繰出し部32が設けられている。右側の二つのホッパー31,31が二つ一組で連結され、左側の二つのホッパー31,31が二つ一組で連結されている。更に、単体の繰出し部32に、二つの繰出しロール38,38が装着可能となっている。つまり、繰出しロール38は、八本の搬送管路50の夫々に対応して設けられる構成であるため、ホッパー31よりも下側に配置された複数の繰出し部32が、異なる植え付け条ごとに施肥可能な構成となっている。夫々の繰出しロール38よりも下側の空間は、夫々異なる搬送管路50の施肥入口51bと連通する。
また、繰出し部32の機体前方に、筒状の送風ダクト39が機体横方向に沿って設けられている。送風ダクト39はブロア36の吐出口と接続され、ブロア36からの搬送風が送風ダクト39に送り込まれる。送風ダクト39の後側部に、第一管路51の空気導入口51aが貫通するための八箇所の貫通孔39aが形成され、夫々の第一管路51の空気導入口51aが送風ダクト39の筒内に挿入される。貫通孔39aと空気導入口51aとは全周に亘って密着し、貫通孔39aから搬送風が漏れ出さないように、第一管路51及び送風ダクト39は構成されている。
夫々の繰出しロール38は駆動モータ37によって駆動され、夫々の繰出しロール38の回転によって、ホッパー31に貯留された粉粒体が繰り出され、夫々の第一管路51の施肥入口51bに粉粒体が案内される。搬送管路50の管路内は、空気導入口51aから施肥排出部34へ搬送風が流れ、搬送方向は空気導入口51aから施肥排出部34へ向かう側の方向となる。施肥入口51bに案内された粉粒体は、ブロア36の搬送風によって施肥排出部34に送られる。換言すると、可撓性を有する第三管路53の一部分が後上がりに傾斜しても、ブロア36の搬送風によって、粉粒体が、この後上がりに傾斜する箇所に滞留することなく第二管路52に案内される。そして、粉粒体は後下がりに傾斜する第二管路52の管路内を自由落下する。作溝器35によって圃場の田面における夫々の植え付け条の近傍に溝が形成され、施肥排出部34に送られた粉粒体は、田面の溝に供給される。
繰出しロール38が、エンジンEのベルト駆動ではなくて電動式の駆動モータ37によって駆動される構成によって、例えば肥料の種類や車速等に応じて駆動モータ37の回転速度の制御が容易になり、田面の溝に供給される粉粒体の供給量を容易に調整できる。また、衛星測位ユニット19によって取得された位置情報と、過去の施肥実績と、に基づいて、位置情報と連係して電動式の駆動モータ37の回転速度を増減制御することによって、位置情報ごとに施肥量を調整する構成であっても良い。
図5に示されるように、駆動モータ37は施肥装置30の機体右側部に備えられ、駆動モータ37の駆動力が減速装置40を介して機体左右に亘る中間伝動軸41に伝達され、中間伝動軸41が回転する。中間伝動軸41の長手方向に沿って四個のホッパー31,31,31,31が一列に配置され、四個のホッパー31,31,31,31よりも下側に四個の繰出し部32,32,32,32が一列に配置されている。四個の繰出し部32,32,32,32に対応して、中間伝動軸41に四個の出力ギア42,42,42,42が設けられ、繰出し部32に、夫々の出力ギア42と係合可能な入力ギア43(図7乃至図11参照)が設けられている。中間伝動軸41の動力が出力ギア42及び入力ギア43を介して夫々の繰出しロール38に伝達され、夫々の繰出しロール38が回転する。また、図6乃至図9に示されるように、繰出し部32に、中間伝動軸41が貫通可能な貫通部76が形成されている。
図4乃至図6に示されるように、ホッパー31は下窄みに形成され、ホッパー31の下端が下方に向けて開口する。ホッパー31の開口の近傍に、当該開口の断面より大きな受け網部材70が載置されている。受け網部材70の網目は、粉粒体の粒子よりも大きく形成され、例えばペレット状の肥料も通過可能な大きさの網目を有する。これにより、受け網部材70は粉粒体の通過を許容しつつも、繰出し部32への異物の入り込みを防止する。ホッパー31の下端に、繰出し部32を上方から覆う開閉蓋69(本発明のベース部に相当)が連結されている。開閉蓋69に、ホッパー31の下端から粉粒体の通過を許容する開口部69aが形成されており、開閉蓋69が閉じられた状態で、ホッパー31と繰出し部32とが連通接続する。
図6及び図7に示されるように、開閉蓋69に、開口部69aを閉塞可能なシャッター部69Bが設けられている。シャッター部69Bに、開口部69aと略同じ大きさの開口部69bが形成されている。シャッター部69Bが機体前方向にスライドすると、開口部69aと開口部69bとが平面視で重複し、ホッパー31から繰出し部32へ粉粒体の通過が可能となる。シャッター部69Bが機体後方向にスライドすると、開口部69aと開口部69bとが平面視で重複しない状態で、シャッター部69Bが開口部69aを閉塞し、ホッパー31から繰出し部32へ粉粒体の通過が不能となる。
図4乃至図6に示されるように、施肥装置30の機体横方向に亘って施肥フレーム60が設けられている。施肥フレーム60は、複数の角形部材60A,60B,60C,60Dによって四辺形に形成され、施肥フレーム60の長手方向が機体横方向に沿う。角形部材60A,60B,60C,60Dによって囲まれた四辺形の内側に、夫々の繰出し部32が機体横方向に並んで配置される。駆動モータ37は施肥フレーム60の右端部、即ち角形部材60Cに支持され、ブロア36は施肥フレーム60の左端部、即ち角形部材60Dに支持されている。
図2及び図5に示されるように、施肥フレーム60の左右両端部に、右側支持フレーム61及び左側支持フレーム62が、施肥装置30を支持する支持フレームとして連結固定されている。右側支持フレーム61のうち、施肥フレーム60の位置する側と反対側の端部は搭乗部20の右側部に連結されている。また、左側支持フレーム62のうち、施肥フレーム60の位置する側と反対側の端部は搭乗部20の左側部に連結されている。更に、施肥フレーム60の機体後端部における左右中央寄りの箇所と、機体フレーム1Fの後端部と、が二つの後端支持フレーム63,63を介して連結固定されている。このように、施肥フレーム60は、右側支持フレーム61と、左側支持フレーム62と、二つの後端支持フレーム63,63と、によって四点支持されている。
右側支持フレーム61は、機体右側の乗降用ステップ26の機体左右内側端よりも外側に延出し、前後方向視において、右側支持フレーム61の左右位置は機体右側の乗降用ステップ26の左右位置と重複する。また、左側支持フレーム62は、機体左側の乗降用ステップ26の機体左右内側端よりも外側に延出し、前後方向視において、左側支持フレーム62の左右位置は機体左側の乗降用ステップ26の左右位置と重複する。つまり、右側支持フレーム61及び左側支持フレーム62は、搭乗部20の保護部材や乗降用ステップ26の手すりに兼用される。
図4乃至図6に示されるように、施肥フレーム60の後端部における左右両端寄りの箇所に、四箇所のホッパー支持部材64,64,64,64が溶接固定されている。また、図7乃至図9に示されるように、夫々の繰出し部32の後端部に揺動支軸33が形成され、揺動支軸33は、ホッパー支持部材64に載置支持される。つまり、繰出し部32の後端部はホッパー支持部材64を介して角形部材60Bに支持され、繰出し部32の前端部が角形部材60Aに支持されている。また、開閉蓋69にも、揺動支軸33と対応する揺動基端部69Aが形成されている。図6において、揺動支軸33は揺動基端部69Aと機体側面視で重複する箇所に位置し、揺動支軸33の中心は軸芯Xとなる。
揺動支軸33以外にも、ホッパー支持部材64の長手方向両端にも揺動支点が形成されている。機体右側における二つ一組の揺動支軸33,33及びホッパー支持部材64,64に対して右側のホッパー支持フレーム65が揺動可能に支持される。機体左側における二つ一組の揺動支軸33,33及びホッパー支持部材64,64に対して左側のホッパー支持フレーム65が揺動可能に支持される。
二つのホッパー支持フレーム65,65は、機体横方向に並んで配置され、ホッパー支持フレーム65の長手方向は機体横方向に沿う。ホッパー支持フレーム65は、金属製のパイプ部材及び角形部材が互いに溶接固定されることによって構成され、ホッパー支持フレーム65の長手方向に沿って、互いに連結された二つのホッパー31,31が、ホッパー支持フレーム65に載置支持されている。
ホッパー支持フレーム65の後部における左右二箇所に揺動支点部材66,66(図4参照)が夫々溶接固定されている。揺動支点部材66とホッパー支持部材64と揺動支軸33と揺動基端部69Aとの夫々に回動ピン67が貫通するための貫通孔が形成されている。側面視で夫々の貫通孔が重複する状態で、夫々一組の揺動支点部材66とホッパー支持部材64と揺動支軸33と揺動基端部69Aとに、回動ピン67が夫々貫通される。これにより、ホッパー支持フレーム65と、ホッパー31と、開閉蓋69と、がホッパー支持部材64及び揺動支軸33に対して軸芯X回りに一体的に揺動可能に支持される。また、繰出し部32に揺動支軸33が備えられる構成であるため、施肥装置30の組付け時に繰出し部32と開閉蓋69との位置ずれが生じ難く、施肥装置30の組付け作業が容易になる。
開閉蓋69と揺動支点部材66と、の夫々の上下高さは、ホッパー31の上下高さよりも低く、かつ、繰出し部32の上下高さよりも高く位置する。また、ホッパー支持フレーム65と開閉蓋69と揺動支点部材66とは、繰出しロール38及び残留資材排出口47よりも上方に配置されている。そして、開閉蓋69は、繰出しロール38及び残留資材排出口47とホッパー31の下端とを連通接続する作業状態と、繰出しロール38及び残留資材排出口47よりも上側の箇所を開放する開放状態と、に切換可能なように構成されている。
図5及び図6に示されるように、施肥フレーム60のうち、左右のホッパー支持フレーム65,65の前部における長手方向中央箇所と対応する二箇所に、係止部68,68が設けられている。夫々の係止部68は、ホッパー支持フレーム65の前部における長手方向中央箇所に形成された非係止部65aと係合することによって、ホッパー支持フレーム65を揺動不能に位置保持する。つまり、係止部68と非係止部65aとによって、ホッパー支持フレーム65を位置保持するバックルが構成されている。
繰出し部32の内部において、機体横方向に並ぶ繰出しロール38に隣接してブラシユニット44が設けられている。ブラシユニット44は、上下方向において繰出しロール38の回転軸芯よりも上方に配置され、かつ、繰出しロール38の回転方向の上手側に設けられている。ブラシユニット44は、繰出しロール38に摺接するブラシ45と、ブラシ45を支持するブラシベース部46とを有する。
繰出し部32のうち、上下方向において繰出しロール38よりもホッパー31の位置する側に、一対の繰出しロール38と隣接して、一対の残留資材排出口47が形成され、残留資材排出口47を開閉可能な排出シャッター48が設けられている。機体横側部のうち、施肥装置30の機体前側右端部に、排出シャッター48を開閉操作可能な開閉レバー49(図3及び図5参照)が設けられ、排出シャッター48と開閉レバー49とがリンク機構55(図4参照)によって連結されている。これにより、排出シャッター48は開閉レバー49の操作によって揺動可能に構成されている。残留資材排出口47を開放する方向に排出シャッター48が揺動操作されると、ホッパー31に貯留された粉粒体は、残留資材排出口47よりも下流側の残留資材排出管路90に案内される。このときの施肥装置30の状態は排出状態となる。残留資材排出口47を閉塞する方向に排出シャッター48が揺動操作されると、ホッパー31に貯留された粉粒体は繰出しロール38に案内される。このときの施肥装置30の状態は繰出し状態となる。つまり、開閉レバー49は、施肥装置30の状態を、上述した繰出し状態と排出状態とに切換可能に構成されている。残留資材排出管路90に関しては後述する。
〔ロールユニット〕
図7乃至図11に示されるように、繰出し部32における繰出しロール38は、繰出し部32に対して着脱可能に構成されている。具体的には、図7及び図8に示されるように、繰出しロール38は、ロールユニット80に装着された状態で、繰出し部32に着脱可能に収納されている。ロールユニット80は、繰出しロール38と、繰出しロール38を回転可能に支持する軸部材81,82と、支持軸受83,84,85と、を含む一体的なモジュールとして構成される。
繰出し部32に、二つの繰出しロール38,38を収納可能な収納箇所71,72が形成されると共に、支持軸受83,84,85と係合して支持軸受83,84,85を下方から支持可能な軸受凹入部73,74,75が形成されている。軸受凹入部74は収納箇所71と収納箇所72との間に位置する。軸部材81の長手方向一端は入力ギア43と一体的に形成されている。また、軸部材81の長手方向他端に、軸部材82と係合する係合部81aが形成され、軸部材82において係合部81aと対向する側の長手方向一端に係合部81aと係合する係合部82aが形成されている。つまり、係合部81aと係合部82aとの対向箇所が、いわゆるインロー構造となっており、軸部材81の係合部81aと、軸部材82の係合部82aと、が互いに係合することによって、軸部材81及び軸部材82が同一軸芯に一体回転する。
繰出しロール38の径方向中心側に、軸芯方向に沿って中空状の孔部38aが形成され、孔部38aの内周表面に、軸芯方向に沿って直線状に延びる凹凸溝が形成されている。同様に、軸部材81及び軸部材82の外周表面に、軸芯方向に沿って直線状に延びる凹凸溝81c,82cが夫々形成されている。凹凸溝81cと凹凸溝82cとは、夫々同一の溝形状を有しており、孔部38aの内周表面の凹凸溝は、凹凸溝81cと凹凸溝82cとの何れにも係合可能となっている。つまり、凹凸溝81c及び凹凸溝82cはスプラインであって、孔部38aはスプライン孔である。繰出しロール38が軸部材81又は軸部材82に外嵌することによって、繰出しロール38は、軸部材81又は軸部材82とスプライン結合して一体回転する。
繰出し部32に二つの繰出しロール38,38が設けられる場合、軸部材81に繰出しロール38が外嵌すると共に軸部材82に繰出しロール38が外嵌する。繰出し部32に単体の繰出しロール38が設けられる場合、軸部材82のみに繰出しロール38が外嵌し、軸部材81は入力ギア43から軸部材82に回転力を伝達するのみの軸となる。もちろん、軸部材81のみに繰出しロール38が外嵌し、軸部材82は軸部材81を支持するのみの軸という構成であっても良い。つまり、ロールユニット80は、複数の繰出しロール38を同一軸芯に装着可能なように構成されている。
このように、軸部材81及び軸部材82が一体回転可能な構成と、軸部材81,82に繰出しロール38が外嵌する構成と、によって、例えば軸部材81又は軸部材82に、軸芯方向の幅が異なる別仕様の繰出しロール38を外嵌したり、軸芯方向の幅が小さな複数の繰出しロール38を外嵌したりできる。このため、施肥装置30が多様な仕様を有する場合であっても、単一仕様の軸部材81,82を共通で使用でき、ロールユニット80の構成を簡素化できる。
軸部材81は支持軸受83を貫通し、軸部材81のうち、入力ギア43と隣接する長手方向一端箇所に、周方向で正円状に形成された軸受嵌合部81bが形成され、軸受嵌合部81bが支持軸受83によって支持される。また、係合部81a及び係合部82aの位置する箇所、即ち軸部材81及び軸部材82の係合箇所が、支持軸受84を貫通する状態で、支持軸受84によって支持される。軸部材82は支持軸受85に挿通され、軸部材82のうち、係合部82aの位置する側と反対側の長手方向一端箇所に、周方向で正円状に形成された軸受嵌合部82bが形成され、軸受嵌合部82bが支持軸受85によって支持される。これにより、軸部材81に外嵌する繰出しロール38は、支持軸受83と支持軸受84との両端で支持され、軸部材82に外嵌する繰出しロール38は、支持軸受84と支持軸受85との両端で支持される。支持軸受83は軸受凹入部73に対して上下方向にスライド可能であり、支持軸受84は軸受凹入部74に対して上下方向にスライド可能であり、支持軸受85は軸受凹入部75に対して上下方向にスライド可能である。このように、ロールユニット80は、組み立て式のモジュールとして構成されている。
図7乃至図11に示されるように、支持軸受85のうち、繰出し部32の外側に位置する箇所に一対の係止部87,87が設けられ、繰出し部32における軸受凹入部75の外側表面に一対の非係止部78,78が形成されている。一対の係止部87,87は、係止部87,87の間に設けられたバネ(不図示)によって、夫々が互いに離間する方向に付勢されている。
一対の係止部87,87のうち、互いに対向する側とは反対側の端部は、上側ほど互いに離間する側に傾斜する傾斜面を有する。このため、例えば支持軸受85が下方向にスライドして、一対の係止部87,87の当該傾斜面が軸受凹入部75と当接すると、一対の係止部87,87の間に設けられたバネ(不図示)の付勢力に抗して、一対の係止部87,87の位置が、互いに接近する方向に変位する。そして、係止部87,87の上下高さと、非係止部78,78の上下高さと、が一致すると、当該バネの付勢力によって、一対の係止部87,87の位置が、互いに離れる方向に変位して、一対の係止部87,87は一対の非係止部78,78と係合する。これにより、支持軸受85は軸受凹入部75に対して位置保持可能に構成されている。
一対の係止部87,87の夫々は、平面視でL字状に形成され、一対の係止部87,87のうち、互いに対向する側の端部は、軸芯Yの軸芯方向に沿って繰出し部32よりも外側に延出する。つまり、作業者がこの延出する箇所を指で摘み、一対の係止部87,87が互いに接近する方向に押圧可能となっている。このため、作業者がこの延出する箇所を押圧すると、一対の係止部87,87の間に設けられたバネ(不図示)の付勢力に抗して、一対の係止部87,87の位置が、互いに接近する方向に変位して、一対の係止部87,87が一対の非係止部78,78から外れる。これにより、支持軸受83は軸受凹入部73に対して着脱可能な構成となっており、支持軸受85は軸受凹入部75に対して着脱可能な構成となっている。
また、一対の係止部87,87は、支持軸受85と同様に支持軸受83にも設けられ、繰出し部32における軸受凹入部73の外側表面に非係止部78,78が形成されている。支持軸受83が軸受凹入部73に装着された状態で、支持軸受83における一対の係止部87,87は、軸受凹入部73の位置する側の一対の非係止部78,78と係合する。これにより、支持軸受83は軸受凹入部73に対して位置保持可能に構成されている。
図8乃至図10に示されるように、繰出し部32にロールユニット80とブラシユニット44とを装着する場合、まず、組付けの完了したロールユニット80を繰出し部32に装着する。このとき、作業者は、支持軸受83が軸受凹入部73に位置し、かつ、支持軸受83が軸受凹入部74に位置し、かつ、支持軸受85が軸受凹入部75に位置するように、ロールユニット80を繰出し部32の収納箇所71,72に向けて押圧する。このとき、支持軸受83は軸受凹入部73に対して下方向にスライドし、支持軸受84は軸受凹入部74に対して下方向にスライドし、支持軸受85は軸受凹入部75に対して下方向にスライドする。支持軸受83における一対の係止部87,87が、軸受凹入部73の位置する側の一対の非係止部78,78と係合し、かつ、支持軸受85における一対の係止部87,87が、軸受凹入部75の位置する側の一対の非係止部78,78と係合すると、ロールユニット80の装着が完了する。
収納箇所71,72は、繰出しロール38の外周表面に隣接してブラシユニット44を収納可能なように構成されている。二つのブラシユニット44が、収納箇所71,72に対して下方向にスライド挿入されると、二つのブラシユニット44の装着が完了する。つまり、繰出し部32に、回転によって粉粒体をホッパー31から繰り出す繰出しロール38が装着されたロールユニット80と、ロールユニット80と横並び配置されたブラシユニット44と、が着脱可能に収納される。
支持軸受84は支持軸受83と支持軸受85との中間に位置し、収納箇所71と収納箇所72とを仕切る壁となっている。図7乃至図10に示されるように、支持軸受84のうち、繰出しロール38の回転下手側の上方箇所から軸部材81,82の軸芯Yの軸芯方向に沿って仕切部88,89が延出する。仕切部88,89は、支持軸受84と一体的に形成されている。側面視において、仕切部88,89は、繰出しロール38の外周よりも外側に沿う円弧状に形成され、繰出しロール38の回転下手側の端部の夫々が、夫々の残留資材排出口47の下部と連続する。このため、残留資材排出口47,47を開放する方向に一対の排出シャッター48,48が揺動操作されると、粉粒体は仕切部88,89から残留資材排出口47,47に案内される。
図7に示されるように、夫々の支持軸受83,85のうち、支持軸受84と対向する側の側部に、夫々の仕切部88,89の突出先端部の入り込みを許容する凹部83a,85aが形成されている。夫々の仕切部88,89の突出先端部が凹部83a,85aに入り込む。このことから、支持軸受84は、仕切部88,89を介して夫々の支持軸受83,85によって両端支持される。これにより、支持軸受84のうち、繰出しロール38の回転方向下手側の箇所が、繰出しロール38の回転に起因して押し上げられる虞が防止される。なお、夫々の仕切部88,89の突出先端部に係止爪が形成され、仕切部88,89が、凹部83a,85aに対してスナップフィット形式にて係合する構成であっても良い。
図6,図8乃至図10に示されるように、支持軸受84のうち、ブラシユニット44と対向する側の側部、即ち繰出しロール38の回転方向上手側に膨出部84aが形成され、膨出部84aは、支持軸受84の側部からブラシユニット44の位置する側に膨出する。また、支持軸受83のうち、ブラシユニット44と対向する側の側部に膨出部83bが形成され、支持軸受85のうち、ブラシユニット44と対向する側の側部に膨出部85bが形成されている。膨出部83b及び膨出部85bは、何れも支持軸受83,85の夫々の側部からブラシユニット44の位置する側に膨出する。
ブラシユニット44におけるブラシベース部46のうち、ブラシ45よりも左右両側、かつ、支持軸受83,84,85と対向する側の上端側部に膨出部46aが形成されている。平面視において、膨出部46aは膨出部83b,84a,85bと重複する。膨出部46aは、膨出部83b,84a,85bよりも上側に位置する状態で、膨出部83b,84a,85bと当接する。ブラシベース部46のうち、支持軸受83,84,85と対向する側と反対側の上端部に、ブラシベース部46の上端部から上方へ突起する二つの突起部46b,46bが形成されている。
突起部46b,46bは、支持軸受83,84,85と対向する側と反対側の側部よりも外側にも突出し、突起部46bの突出する箇所の下端面と、繰出し部32における機体前側の上端面と、が当接する。ブラシユニット44が繰出し部32に装着された状態で、突起部46bの突出上端は開閉蓋69のシャッター部69Bと当接可能であり、開閉蓋69が閉じられた状態で、突起部46bの突出上端が開閉蓋69によって変位不能に押し付けられる。これにより、ブラシベース部46の位置は保持され、繰出しロール38の回転や繰出しロール38とブラシ45との摺接に起因してブラシベース部46が上方向に押し上げられる虞が好適に防止される。また、支持軸受84の膨出部84aが膨出部46aの真下に位置するため、支持軸受84に掛かる押し上げ力が膨出部46aに受け止められる。このため、支持軸受84のうち、繰出しロール38の回転方向上手側の箇所が、繰出しロール38の回転に起因して押し上げられる虞が防止される。
また、突起部46b,46bは、平面視で膨出部83b,84a,85bと重複する状態で、膨出部83b,84a,85bよりも上側に位置する。このため、作業者が、支持軸受83及び支持軸受85の夫々における一対の係止部87,87を操作して、係止部87のロック状態を外した後にロールユニット80を上方向にスライドさせると、突起部46bが膨出部83b,84a,85bによって持ち上げられて、ブラシユニット44はロールユニット80と一緒に外れる。
図11に示されるように、軸受凹入部73,74,75のうち、支持軸受83,84,85と係合する箇所の下端に、傾斜溝73a,74a,74b,75aが形成されている。なお、図11において、軸部材81に外嵌して支持軸受83と支持軸受84との間に位置する繰出しロール38を繰出しロール38Aとし、軸部材82に外嵌して支持軸受84と支持軸受85との間に位置する繰出しロール38を繰出しロール38Bとする。傾斜溝73a,74a,74b,75aの夫々は、繰出しロール38の下端位置よりも下方に位置する。傾斜溝73aと傾斜溝74aとの夫々は、下側ほど繰出しロール38Aの位置する側に近付くように傾斜する傾斜面を有する。また、傾斜溝74bと傾斜溝75aとの夫々は、下側ほど繰出しロール38Bの位置する側に近付くように傾斜する傾斜面を有する。このため、粉粒体が傾斜溝73a,74a,74b,75aの夫々に入り込んでも、これらの傾斜面に沿って粉粒体が自重落下して施肥入口51bを経由して搬送管路50に案内される。
〔残留資材排出経路〕
図3,図12に示されるように、繰出し部32よりも機体後側に、筒状の残留資材排出管路90が備えられている。送風ダクト39はブロア36の吐出口と連通接続可能なように構成され、ブロア36の吐出口に隣接して切換弁部91が備えられている。ブロア36と連通接続する管路を、送風ダクト39と残留資材排出管路90との何れかに切り換え可能なように、切換弁部91は構成されている。切換弁部91はリンク機構55(図4参照)と連動可能に連接し、開閉レバー49の操作によって揺動切換可能に構成されている。
残留資材排出管路90は、切換弁部91における排出方向下流側の分岐管路と、主排出管路92と、第一排出管路93と、第二排出管路94と、によって構成される。当該分岐管路は切換弁部91と一体的に構成された剛性管路である。繰出し部32における一対の排出シャッター48,48よりも排出方向下流側に隣接して、一対の第一排出管路93,93が位置する。第二排出管路94は、一対の第一排出管路93,93が合流する箇所と、更に排出方向下流側で主排出管路92に合流する箇所と、に亘る。
図12に示されるように、本実施形態では、四箇所の繰出し部32に一対の残留資材排出口47,47が設けられ、残留資材排出口47,47に対応して、一対の第一排出管路93,93が備えられている。つまり、一対の第一排出管路93,93は、収納箇所71における残留資材排出口47と、収納箇所72における残留資材排出口47と、の夫々と連通接続する。このことから、合計で八本の第一排出管路93が備えられ、一対の第一排出管路93,93が合流した状態で四本の第二排出管路94が主排出管路92に合流する。このとき、第二排出管路94は、左右一対の第一管路51,51の間の隙間を上下に通過する。そして、左右一対の第一管路51,51よりも下側に配置された主排出管路92に、第二排出管路94が連通する。このように、残留資材排出管路90は、排出経路上流側で複数の残留資材排出口47と連通接続し、排出経路下流側で合流して一つの管路となるように構成されている。なお、本実施形態では、ブロア36は機体左側部に設けられており、主排出管路92の機体左側が排出方向上流側となり、主排出管路92の機体右側が排出方向下流側となる。
主排出管路92は、機体横方向に亘る直線状の第一管路部材92Aと、切換弁部91と第一管路部材92Aとに亘って連通接続する第二管路部材92Bと、第一管路部材92Aよりも排出方向下流側において下方向に延出する第三管路部材92Cと、を有する。第一管路部材92Aは剛性管路によって構成されている。切換弁部91における排出方向下流側の経路は機体後方に向く状態となるため、第二管路部材92Bは弾性管路によって構成されている。第二管路部材92Bの排出方向上流側は機体後方を向き、第二管路部材92Bの排出方向下流側は機体横方向を向くように、第二管路部材92Bは湾曲する。切換弁部91よりも排出方向下流側の分岐管路は剛性管路によって構成され、当該分岐管路と第一管路部材92Aとの繋ぎ目は、第二管路部材92Bによって接続されている。
主排出管路92の上部に、第二排出管路94の下流側の端部が貫通するための四箇所の貫通孔92a,92a,92a,92aが形成され、夫々の第二排出管路94の下流側の端部は、主排出管路92の筒内に挿入される。第二排出管路94のうち、主排出管路92の筒内に挿入される箇所の外周は貫通孔92aと密着し、貫通孔92aから搬送風が漏れ出さないように、主排出管路92及び第二排出管路94は構成されている。
作業者が開閉レバー49を操作して、施肥装置30の状態が繰出し状態から排出状態に切換えられると、残留資材排出口47を開放する方向に、夫々の排出シャッター48が揺動操作される。同時に、残留資材排出管路90をブロア36と連通接続する方向に切換弁部91が揺動操作される。夫々の第一排出管路93及び第二排出管路94は、排出方向下流側ほど機体下側に位置する。このため、残留資材排出口47が開放されると、ホッパー31に貯留された粉粒体は、自重によって第一排出管路93及び第二排出管路94を経由して、主排出管路92に落下する。主排出管路92に落下した粉粒体は、ブロア36の搬送風によって、機体右側、即ち排出方向下流側に圧送され、主排出管路92の第三管路部材92Cに案内される。そして、第三管路部材92Cの排出口から粉粒体が排出され、例えば作業者が用意した袋等に粉粒体が回収される。
〔繰出し部の閉塞構造〕
本実施形態で示された八条植え型式の苗植付装置Wでは、四箇所の繰出し部32に接続された八本の搬送管路50の全てに粉粒体が供給される。しかし、例えば苗植付装置Wが七条植え型式等である場合、二つ一組の繰出しロール38で用いられる繰出し部32の構成であると、繰出し部32における収納箇所71,72のうち、搬送管路50と連通接続せずに粉粒体の供給に使用されないものも存在する。このような場合、粉粒体の供給に使用されない収納箇所71又は収納箇所72に、繰出しロール38が配置されないように構成される。しかし、それだけでは粉粒体の供給に使用されない収納箇所71又は収納箇所72に粉粒体が入り込み、収納箇所71又は収納箇所72に粉粒体が滞留したまま圃場の田面に供給されない虞がある。このような不都合を回避するため、粉粒体の供給に使用されない収納箇所71又は収納箇所72を閉塞する閉塞構造が用いられる。
図13に示されるように、収納箇所71又は収納箇所72を閉塞する閉塞構造は、傾斜案内板95と、第一閉塞蓋96と、第二閉塞蓋97と、第三閉塞板98と、によって構成されている。図13において、収納箇所71が粉粒体の供給に使用されないため、傾斜案内板95は、収納箇所71と連通する側のホッパー31の開口を閉塞するように、傾斜案内板95はホッパー31の底部に設けられる。傾斜案内板95は、下側ほど収納箇所72と連通する側の開口に近付くように傾斜し、収納箇所71の位置する側の粉粒体が、傾斜案内板95の傾斜によって収納箇所72と連通する側の開口に案内される。
第一閉塞蓋96は収納箇所71の上端に設けられ、第二閉塞蓋97は収納箇所71の下端に設けられる。また、収納箇所71のうち、支持軸受84が設けられる側の側部に第三閉塞板98が設けられている。なお、第一閉塞蓋96と第二閉塞蓋97と第三閉塞板98とが一体的な部材として形成されていても良い。第一閉塞蓋96と第二閉塞蓋97とによって、収納箇所71における上下の開口が閉塞され、第三閉塞板98によって、軸部材81,82と支持軸受84との隙間が閉塞される。これにより、収納箇所71に粉粒体等が入り込むことを好適に防止できる。また、収納箇所71よりも下側における第一管路51がブロア36及び収納箇所71と連通接続し、かつ、第一管路51の搬送方向下流側が閉塞される構成であっても、第二閉塞蓋97によって搬送風が収納箇所71に逆流するのを軽減できる。更に、第一閉塞蓋96及び第三閉塞板98によって収納箇所71から当該搬送風が更にホッパー31や収納箇所72に流出する虞を好適に防止できる。
なお、収納箇所72が粉粒体の供給に使用されない場合、傾斜案内板95は、収納箇所72と連通する側のホッパー31の開口を閉塞し、収納箇所72の位置する側の粉粒体が、傾斜案内板95の傾斜によって収納箇所71と連通する側の開口に案内される構成であっても良い。この場合、第一閉塞蓋96は収納箇所72の上端に設けられ、第二閉塞蓋97は収納箇所72の下端に設けられ、第三閉塞板98は、収納箇所72のうち支持軸受84が設けられる側の側部に設けられる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態に例示された構成に限定されるものではなく、以下、本発明の代表的な別実施形態を例示する。
(1)上述した実施形態において、機体左右一方側における二つ一組の揺動支軸33,33及びホッパー支持部材64,64に対して機体左右一方側のホッパー支持フレーム65が揺動可能に支持されるが、上述した実施形態に限定されない。例えば、機体左右一方側のホッパー支持フレーム65が、揺動支軸33のみに揺動可能に支持される構成であっても良い。また、ホッパー支持フレーム65が設けられず、開閉蓋69と、開閉蓋69よりも上側に連結されたホッパー31と、が揺動支軸33のみに揺動可能に支持される構成であっても良い。
(2)上述した実施形態において、機体横側部のうち、施肥装置30の機体前側右端部に、排出シャッター48を開閉操作可能な開閉レバー49が設けられ、開閉レバー49は全ての排出シャッター48を同時に揺動可能に構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、開閉レバー49は一つである必要はなく、例えば、左右一方側の機体横側部に第一開閉レバーが設けられ、左右他方側の機体横側部に第二開閉レバーが設けられる構成であっても良い。この場合、第一開閉レバーは当該左右一方側の施肥装置30における排出シャッター48を開閉操作可能な構成であって、第二開閉レバーは当該左右一方側の施肥装置30における排出シャッター48を開閉操作可能な構成であっても良い。一つの開閉レバー49を操作して全ての施肥装置30の状態が排出状態になると、全てのホッパー31から残留資材排出管路90に粉粒体が一度に流れ込み、残留資材排出管路90が詰まり気味になって、粉粒体の排出が反って遅くなる場合がある。これに対して第一開閉レバーと第二レバーとによって、左右の施肥装置の状態が夫々別々に排出状態になると、残留資材排出管路90が詰まり難く、円滑に粉粒体の排出が行われ易くなる。
(3)上述した実施形態において、残留資材排出管路90は、排出経路上流側で残留資材排出口47と連通接続する複数の第一排出管路93及び第二排出管路94が、排出経路下流側の主排出管路92で合流して一つの管路となるように構成されているが、上述した実施形態に限定されない。例えば、残留資材排出管路90は、右側の連結されたホッパー31,31と、左側の連結されたホッパー31,31と、で夫々独立した排出管路が形成されていても良い。例えば、右側の繰出し部32,32と連通接続する複数の第一排出管路93が、第二排出管路94で一つの管路として合流し、当該一つの管路としての第二排出管路94が機体下方まで延びる構成であっても良い。また、左側の繰出し部32,32と連通接続する複数の第一排出管路93が、第二排出管路94で一つの管路として合流し、当該一つの管路としての第二排出管路94が機体下方まで延びる構成であっても良い。
(4)上述した実施形態において、主排出管路92はブロア36と連通する構成となっているが、主排出管路92はブロア36と連通していなくても良い。この場合、主排出管路92は下方向に傾斜し、主排出管路92の管路内にある粉粒体が自重で搬送方向下流側に落下する構成であっても良い。
(5)上述した実施形態は、田植機に限定されず、直播機や野菜移植機、圃場における肥料や薬剤の散布機等にも適用可能である。