JP2019014850A - 粒子分散ポリイミド前駆体溶液、多孔質ポリイミドフィルムの製造方法、および多孔質ポリイミドフィルム - Google Patents
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- Macromolecular Compounds Obtained By Forming Nitrogen-Containing Linkages In General (AREA)
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Abstract
Description
例えば、テトラカルボン酸二無水物およびジアミンが、それぞれ1種ずつのみを用いて合成したポリイミド前駆体を含むポリイミド前駆体溶液中で、粒子が分散しているポリイミド前駆体溶液(粒子分散ポリイミド前駆体溶液)は、ポリイミド前駆体と粒子との間の相互作用が低くなりやすく、ポリイミド前駆体溶液中の粒子分散安定性が低下する場合がある。
溶媒、下記式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び粒子を含む粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(1):Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が5/95以上95/5以下である。
(2):Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が5/95以上95/5以下である。
(3):前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が0.015mmol/g以上であり、前記各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が9mmol/g以下である。
前記A1が下記A1−1で示される基であり、前記A2が下記A2−1から下記A2−5までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項1に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記B1が下記B1−1または下記B1−2で示される基あり、前記B2が下記B2−1から下記B2−7までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項1又は請求項2に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記条件(1)を満たすとき、下記(I−3)および下記(I−4)で示されるいずれかの条件を満たし、前記条件(2)を満たすとき、下記(I−1)および下記(I−2)で示されるいずれかの条件を満たす請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(I−1)前記A1/A2が60/40以上100/0以下、かつ、前記B1/B2が5/95以上40/60以下
(I−2)前記A1/A2が0/100以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上95/5以下
(I−3)前記A1/A2が5/95以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上100/0以下
(I−4)前記A1/A2が60/40以上95/5以下、かつ、前記B1/B2のモル比が0/100以上40/60以下
前記(I−1)から前記(I−4)までに示される条件が、それぞれ下記(II−1)から下記(II−4)までに示される条件である請求項4に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(II−1)前記A1/A2が100/0、かつ、前記B1/B2が5/95以上30/70以下
(II−2)前記A1/A2が0/100、かつ、前記B1/B2が70/30以上95/5以下
(II−3)前記A1/A2が5/95以上30/70以下、かつ、前記B1/B2が100/0
(II−4)前記A1/A2が70/30以上95/5以下、かつ、前記B1/B2が0/100
前記A1が前記A1−1で示される基であり、前記A2が前記A2−1で示される基であり、前記B1が前記B1−1で示される基であり、前記B2が前記B2−1で示される基である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項7に係る発明は、
前記ポリイミド前駆体において、前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する前記各原料単量体成分のうち、前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が、0.03mmol/g以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項8に係る発明は、
前記ポリイミド前駆体において、前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する前記各原料単量体成分のうち、前記最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が、7mmol/g以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記粒子が樹脂粒子である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
さらに有機アミン化合物を含有し、全溶媒中の水の占める割合が50質量%以上である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項11に係る発明は、
前記有機アミン化合物が、3級アミン化合物である請求項10に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項12に係る発明は、
さらに非プロトン性極性溶剤を、ポリイミド前駆体溶液中の粒子とポリイミド前駆体の合計量に対して3質量%以上50質量%以下で含有する請求項10又は請求項11に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
前記粒子の体積平均粒径が、0.1μm以上0.5μm以下である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項14に係る発明は、
前記粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子の体積粒度分布指標が、1.30以下である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項15に係る発明は、
前記粒子の含有量が、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して30質量%以上85質量%以下である請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
請求項1〜請求項15いずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程と、
前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有する球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。
下記式(III)で示される繰り返し単位を有するポリイミドを含有し、球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルム。
(1):Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が5/95以上95/5以下である。
(2):Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が5/95以上95/5以下である。
前記A1が下記A1−1で示される基であり、前記A2が下記A2−1から下記A2−5までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項17に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
前記B1が下記B1−1または下記B1−2で示される基あり、前記B2が下記B2−1から下記B2−7までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項17又は請求項18に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
前記条件(1)を満たすとき、下記(III−3)および下記(III−4)で示されるいずれかの条件を満たし、前記条件(2)を満たすとき、下記(III−1)および下記(III−2)で示されるいずれかの条件を満たす請求項17〜請求項19のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
(III−1)前記A1/A2が60/40以上100/0以下、かつ、前記B1/B2が5/95以上40/60以下
(III−2)前記A1/A2が0/100以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上95/5以下
(III−3)前記A1/A2が5/95以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上100/0以下
(III−4)前記A1/A2が60/40以上95/5以下、かつ、前記B1/B2のモル比が0/100以上40/60以下
前記(III−1)から前記(III−4)までに示される条件が、それぞれ下記(IV−1)から下記(IV−4)までに示される条件である請求項20に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
(IV−1)前記A1/A2が100/0、かつ、前記B1/B2が5/95以上30/70以下
(IV−2)前記A1/A2が0/100、かつ、前記B1/B2が70/30以上95/5以下
(IV−3)前記A1/A2が5/95以上30/70以下、かつ、前記B1/B2が100/0
(IV−4)前記A1/A2が70/30以上95/5以下、かつ、前記B1/B2が0/100
前記A1が前記A1−1で示される基であり、前記A2が前記A2−1で示される基であり、前記B1が前記B1−1で示される基であり、前記B2が前記B2−1で示される基である請求項17〜請求項21のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
さらに、ポリイミド以外の樹脂を、多孔質ポリイミドフィルム全体に対して0.005質量%以上1質量%以下で含有する請求項17〜請求項22のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
請求項7に係る発明によれば、式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体において、A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率が、0.011mmol/gである場合に比べ、ポリイミド前駆体溶液中の粒子分散安定性の低下が抑制される粒子分散ポリイミド前駆体溶液が提供される。
請求項8に係る発明によれば、式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体として、A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率と、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率との差が10.634mmol/gである場合に比べ、ポリイミド前駆体溶液中の粒子分散安定性の低下が抑制される粒子分散ポリイミド前駆体溶液が提供される。
本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、溶媒、上記の式(I)(一般式(I))で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び粒子を含む。
溶媒は、ポリイミド前駆体を溶解し、粒子を溶解しない溶媒である。また、粒子はポリイミド前駆体溶液中で分散されている状態となっている。
このような、空孔が球状に近く、かつ空孔径が均一に近い多孔質ポリイミドフィルムは、相分離法で作製された不均一な多孔質ポリイミドフィルムと比較し、多くの産業用途で利点を有する。
ところで、球状に近い粒子および非球状の粒子のいずれの粒子を用いた場合でも、多孔質ポリイミドフィルムの作製は可能である。
しかし、例えば、粒子を用いて多孔質ポリイミドフィルムを作製する場合に、使用するポリイミド前駆体溶液中で、粒子の分散安定性が低下する場合があることが分かってきた。
このように、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを、それぞれ1種ずつのみを用いて合成したポリイミド前駆体を含む粒子分散ポリイミド前駆体溶液中では、粒子の分散安定性が低い場合があることが分かってきた。
これに対し、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子分散安定性の低下が抑制されるため、上記のような熱履歴を経た場合であっても、粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子分散安定性の低下が抑制されやすいと考えられる。
ポリイミド前駆体は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して得られる、式(I)で表される繰り返し単位を有する樹脂(ポリアミック酸)である。
(1):Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が5/95以上95/5以下である。
(2):Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が5/95以上95/5以下(モル比)である。
(3):前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が0.015mmol/g以上であり、前記各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が9mmol/g以下である。
また、上記(1)の条件を満たしていれば、Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1および芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2を含んでいてもよい。同様に、上記のBの条件を満たしていれば、Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1および芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2を含んでいてもよい。
さらに、AとBとは、上記(1)の条件及び上記(2)の条件のいずれの条件を満足していてもよい。
なお、「ゼロを除く」は、上記A1、A2、B1、およびB2を構成する各原料単量体成分のうち、含有しない成分を除くことを表す。
さらに、上記各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の粒子に対する比率と最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率との差は、上記のように9mmol/g以下である。この両者の差は、粒子分散安定性の低下がより抑制されやすくなる点で、7mmol/g以下が好ましく、5mmol/g以下がより好ましく、3mmol/g以下が最も好ましい。この値が9mmol/gを超えると、粒子の量に対してポリイミド前駆体の繰り返し単位の規則性が大きくなり過ぎ、粒子分散安定性が低下する。
まず、測定対象となる粒子分散ポリイミド前駆体溶液から、粒子を分離する。次に、粒子を分離したポリイミド前駆体溶液に対して、メタノールを加えて、ポリイミド前駆体の再沈物を得る。この再沈殿物を耐圧容器に入れて、1N水酸化ナトリウム水溶液を加え、100℃で2時間処理を行い、ポリイミド前駆体の加水分解物を得る。次に、この加水分解物をクロロホルムで抽出作業を行い、クロロホルム相の濃縮液から、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びガスクロマトグラフィー法によって分析し、ジアミン化合物由来の成分の構造および量を測定する。また、この加水分解物のクロロホルム不溶相である水相を中和し、凍結乾燥後、乾燥固形分を得る。これにメタノールによる抽出作業を行い、その溶解物を、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、およびガスクロマトグラフィー法によって分析し、テトラカルボン酸二無水物由来の成分の構造および量を測定する。
なお、ポリイミドフィルム中のA1、A2、B1、およびB2は、ポリイミドフィルムを、赤外分光法、核磁気共鳴分光法、及びガスクロマトグラフィー法によって分析する。
また、分離した粒子から、粒子分散ポリイミド前駆体溶液に含まれる粒子の固形分含有量を測定する。そして、粒子の含有量の測定結果と、上記A1、A2、B1、およびB2の測定結果とから、単位粒子質量当たりに対する上記A1、A2、B1、およびB2の各原料単量体成分のうちの0(ゼロ)を除く最も含有量の少ないモル量の比と、単位粒子質量当たりに対する上記A1、A2、B1、およびB2の各原料単量体成分のうちの最も含有量の多いモル量の比を下記式1および下記式2にしたがって算出する。また、最も含有量の多い成分の粒子に対する比率と最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の粒子に対する比率との差を下記式3にしたがって算出する。
式1:各原料単量体成分のうち0を除く最も含有量の少ない成分のモル量/粒子の質量
式2:各原料単量体成分のうち最も含有量の多い成分のモル量/粒子の質量
式3:(上記の各原料単量体成分のうち最も含有量の多い成分のモル量/粒子の質量)−(上記の各原料単量体成分のうち0を除く最も含有量の少ない成分のモル量/粒子の質量)
ここで、単環の芳香環は、ヘテロ原子を有する芳香環でもよいが、ベンゼン環であることが好ましい。
なお、下記のA1−1、A2−1〜A2−5、B1−1、B1−2、及びB2−1〜B2−7で示す化合物において、「*」は結合部を表す。
上記以外のテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、具体的には、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物などが挙げられる。
ジアミン化合物としては、芳香環を1つ有していれば、特に限定されるものではない。ジアミン化合物は、芳香環に2つのアミノ基が直接置換している芳香族化合物でもよく、芳香環を含まず芳香環に2つのアミノ基が置換していない脂肪族化合物でもよい。ジアミン化合物としては、芳香環に2つのアミノ基が直接置換している芳香族ジアミン化合物であることが好ましい。つまり、B1としては、芳香環を1つ有する芳香族ジアミン化合物のうち、芳香環に置換している2つのアミノ基を除いた残基であることがよい。このうち、下記B1−1およびB1−2で示される化合物が好ましく、下記B1−1で示される化合物がより好ましい。
上記以外のジアミン化合物としては、例えば、具体的には、4,4’−ジアミノベンズアニリド、3,5−ジアミノ−3’−トリフルオロメチルベンズアニリド、3,5−ジアミノ−4’−トリフルオロメチルベンズアニリド、メタキシリレンジアミンなどが挙げられる。
上記以外のジアミン化合物としては、例えば、具体的には、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−ビス(4−アミノフェノキシ)−ビフェニル、1,3’−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル等のジアミン化合物などが挙げられる。
(I−2) A1/A2が0/100以上40/60以下、かつ、B1/B2が60/40以上95/5以下
(I−3) A1/A2が5/95以上40/60以下、かつ、B1/B2が60/40以上100/0以下
(I−4) A1/A2が60/40以上95/5以下、かつ、B1/B2が0/100以上40/60以下
(II−2) A1/A2が0/100、かつ、B1/B2が70/30以上95/5以下
(II−3) A1/A2が5/95以上30/70以下、かつ、B1/B2が100/0
(II−4) A1/A2が70/30以上95/5以下、かつ、B1/B2が0/100
・カラム:東ソーTSKgelα−M(7.8mm I.D×30cm)
・溶離液:DMF(ジメチルホルムアミド)/30mMLiBr/60mMリン酸
・流速:0.6mL/min
・注入量:60μL
・検出器:RI(示差屈折率検出器)
粒子は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液中に、粒子が溶解せず分散している状態であり、さらに、多孔質ポリイミドフィルムを作製するときに、後述する粒子除去工程で除去可能であれば、粒子の材質は特に限定されない。粒子は、後述する樹脂粒子および無機粒子に大別される。
また、粒子の体積粒度分布指標(GSDv)は、1.30以下が好ましく、1.25以下がより好ましく、1.20以下が最も好ましい。粒子の体積粒度分布指標は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子の粒度分布から、(D84v/D16v)1/2として算出される。
そして、小径側から描いた体積累積分布のうち、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50v、累積84%となる粒径を体積粒径D84vとする。
なお、本明細書中において、粒子における「球状」とは、球状、及びほぼ球状(球状に近い形状)の両者の形状を包含するものである。具体的には、長径と短径の比(長径/短径)が1以上1.5以下である粒子の割合が90%以上存在することを意味する。長径と短径の比が1に近づくほど真球状に近くなる。
樹脂粒子は、後述するように乳化重合などの公知の製造法により、球状に近い粒子を作製しやすくなる。さらに、樹脂粒子およびポリイミド前駆体は有機材料なので、無機粒子を使用する場合と比較し、塗膜中の粒子分散性やポリイミド前駆体との界面密着が向上しやすくなる。また、多孔質ポリイミドフィルムを作製するときに、空孔および空孔径がより均一に近い多孔質ポリイミドフィルムが得られやすくなる。これらの理由で樹脂粒子を用いることが好ましい。
樹脂粒子としては、具体的には、例えば、ポリスチレン類、ポリ(メタ)アクリル酸類、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルエーテルなどに代表されるビニル系ポリマー;ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミドなどに代表される縮合系ポリマー;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエンなどに代表される炭化水素系ポリマー;ポリテトラフルオロエチレン、ポリビニルフルオリドなどに代表されるフッ素系ポリマー;などの樹脂粒子が挙げられる。
ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」および「メタクリル」のいずれをも含むことを意味する。また、(メタ)アクリル酸類とは、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミドを含む。
その他の単量体として、酢酸ビニルなどの単官能単量体を併用してもよい。
また、ビニル樹脂は、これらの単量体を単独で用いた樹脂でもよいし、2種以上の単量体を用いた共重合体である樹脂であってもよい。
無機粒子としては、例えば、具体的には、シリカ(二酸化ケイ素)粒子、酸化マグネシウム粒子、アルミナ粒子、ジルコニア粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化カルシウム粒子、二酸化チタン粒子、酸化亜鉛粒子、酸化セリウム粒子などの無機粒子が挙げられる。粒子の形状は、上述した通り、球状であることがよい。この観点で、無機粒子としては、シリカ粒子、酸化マグネシウム粒子、炭酸カルシウム粒子、酸化マグネシウム粒子、アルミナ粒子の無機粒子が好ましく、シリカ粒子、酸化チタン粒子、アルミナ粒子の無機粒子がより好ましく、シリカ粒子がさらに好ましい。これらの無機粒子は1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液中で、ポリイミド前駆体が溶解し、かつ粒子が溶解せずに分散している状態となるのであれば、特に限定されるものではない。溶媒は、有機系溶媒および水系溶媒のいずれでもよい。溶媒は、ポリイミド前駆体は溶解し、粒子は溶解せずに分散している状態に応じて選択さればよい。
有機系溶媒は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液中において、ポリイミド前駆体は溶解し、粒子は溶解せず分散している状態が得られるように選択される。有機系溶媒を選択する場合、ポリイミド前駆体に対する良溶媒(S1)と、良溶媒(S1)以外の溶媒(S2)との混合溶媒が好ましい。
これらの中でも、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチルウレア、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトンが好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、テトラメチルウレア、ジメチルスルホキシド、γ―ブチロラクトンがより好ましく、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ―ブチロラクトンがさらに好ましい。
本明細書において水系溶媒とは、具体的には、以下に示す水性溶剤である。
水性溶剤は、水を含む水性溶剤である。具体的には、水性溶剤は、全水性溶剤に対して水を50質量%以上含有する溶剤であることがよい。水としては、例えば、蒸留水、イオン交換水、限外濾過水、純水等が挙げられる。
粒子として樹脂粒子を用いる場合、上記水溶性の有機溶剤としては、樹脂粒子が溶解しないものが好ましい。この理由は、例えば、水と水溶性の有機溶剤とを含む水性溶剤とした場合に、樹脂粒子分散液中で樹脂粒子を溶解していなくても、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の塗膜を得る過程で樹脂粒子が溶解してしまうことが懸念されるためである。
ここで、溶媒として水性溶剤を用いるとき、後述の有機アミン化合物を含有し、全溶媒中に示す水の割合が50質量%以上である水性溶剤であることがよい。また、この水性溶剤に、非プロトン性極性溶剤を、粒子とポリイミド前駆体の合計量に対し3質量%以上50質量%以下含有する水性溶剤でもよい。
溶媒が水系溶媒の場合、ポリイミド前駆体を溶解させるために、有機アミン化合物を添加して水溶化させる。有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体(そのカルボキシ基)をアミン塩化して、その水性溶剤に対する溶解性を高めると共に、イミド化促進剤としても機能する化合物である。具体的には、有機アミン化合物は、分子量170以下のアミン化合物であることがよい。有機アミン化合物は、ポリイミド前駆体の原料となるジアミン化合物を除く化合物であることがよい。
なお、有機アミン化合物は、水溶性の化合物であることがよい。水溶性とは、25℃において、対象物質が水に対して1質量%以上溶解することを意味する。
これらの中でも、有機アミン化合物としては、2級アミン化合物、及び3級アミン化合物から選択される少なくとも一種(特に、3級アミン化合物)がよい。有機アミン化合物として、3級アミン化合物又は2級アミン化合物を適用すると(特に、3級アミン化合物)、ポリイミド前駆体の溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなり、また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性が向上し易くなる。
2級アミン化合物としては、例えば、ジメチルアミン、2−(メチルアミノ)エタノール、2−(エチルアミノ)エタノール、モルホリンなどが挙げられる。
3級アミン化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
ル類(イミダゾール骨格を有するアミン化合物)、モルホリン類(モルホリン骨格を有するアミン化合物)、ポリアニリン、ポリピリジン、ポリアミンなどが挙げられる。
有機アミン化合物の含有量を上記範囲とすると、ポリイミド前駆体の水性溶剤に対する溶解性が高まり易くなり、製膜性が向上し易くなる。また、ポリイミド前駆体溶液の保存安定性も向上し易くなる。
本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、イミド化反応促進のための触媒や、製膜品質向上のためのレベリング材などを含んでいてもよい。
イミド化反応促進のための触媒には、酸無水物など脱水剤、フェノール誘導体、スルホン酸誘導体、安息香酸誘導体などの酸触媒などを使用してもよい。
導電剤としては、例えば、カーボンブラック(例えばpH5.0以下の酸性カーボンブラック);金属(例えばアルミニウムやニッケル等);金属酸化物(例えば酸化イットリウム、酸化錫等);イオン導電性物質(例えばチタン酸カリウム、LiCl等);等が挙げられる。これら導電材料は、1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
液中の粒子分散安定性の低下が抑制されやすくなる点で、本実施形態の粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、以下の態様が好ましい態様として挙げられる。
本実施形態の粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、樹脂粒子、前述の式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び溶媒を含む。そして、ポリイミド前駆体は、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル換算比A1/A2、および芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル換算比B1/B2が、下記(I−1)から下記(I−4)までで示されるいずれかの条件を満たすことが好ましい。さらに、粒子分散ポリイミド前駆体溶液は、水系溶媒、及び3級アミンを含有することが好ましい。
(II−1) A1/A2のモル比が100/0、かつ、B1/B2のモル比が5/95以上30/70以下
(II−2) A1/A2のモル比が0/100、かつ、B1/B2のモル比が70/30以上95/5以下
(II−3) A1/A2のモル比が5/95以上30/70以下、かつ、B1/B2のモル比が100/0
(II−4) A1/A2のモル比が70/30以上95/5以下、かつ、B1/B2が0/100
粒子が、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体からなる群から選ばれる少なくとも一つの樹脂粒子である。
前述の式(1)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体として、芳香環を1つ有する4価の有機基A1がA1−1で示される基であり、芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2がA2−1で示される基あり、芳香環を1つ有する2価の有機基B1がB1−1で示される基であり、芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2がB2−1で示される基であることが好ましい。
溶媒は、有機アミン化合物を含有し、全溶媒中に示す水の割合が50質量%以上である水性溶剤であることがよい。また、水性溶剤には、非プロトン性極性溶剤を、粒子とポリイミド前駆体の合計量に対し3質量%以上50質量%以下含有していてもよい。このうち、有機アミンとしては、3級アミン化合物が好ましく、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、2−ジメチルアミノプロパノール、ピリジン、トリエチルアミン、ピコリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジンからなる群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液の作製方法としては、下記の(i)、(ii)による方法が挙げられる。
(i)ポリイミド前駆体溶液を作製した後、粒子と混合、分散する方法
(ii)粒子分散液を作製し、その分散液中でポリイミド前駆体を合成する方法
まず、粒子を分散する前のポリイミド前駆体溶液は、公知の方法を用い、溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成してポリイミド前駆体溶液を得る方法が挙げられる。
なお、水系溶媒の場合は、上述の水性溶剤を使用し、有機アミンの存在下で重合してポリイミド前駆体溶液が得られる。他の例としては、非プロトン性極性溶剤等(例えば、N−メチルピロリドン(NMP)等)の有機溶剤中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成した後、水や、アルコール等の水性溶剤に投入して樹脂(ポリイミド前駆体)を析出させる。その後、水性溶剤に、ポリイミド前駆体と有機アミン化合物とを溶解させ、ポリイミド前駆体溶液を得る方法が挙げられる。
樹脂粒子を作製する場合、例えば、樹脂粒子がビニル樹脂粒子である場合には、公知の重合法(乳化重合、ソープフリー乳化重合、懸濁重合、ミニエマルション重合、マイクロエマルション重合等のラジカル重合法)により、水性溶剤中で作製できる。
なお、混合、攪拌、及び分散の方法は特に制限されない。また、粒子の分散性を向上させるため、公知の非イオン性またはイオン性の界面活性剤を添加してもよい。
有機系溶媒で、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を作製する場合は、まず、粒子が溶解せず、ポリイミド前駆体は溶解する有機系溶媒に、粒子が分散された溶液を準備する。次に、その溶液中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成して粒子分散ポリイミド前駆体溶液を得る。
水系溶媒(水性溶剤)で、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を作製する場合は、まず、粒子の水性溶剤分散液を準備する。次に、その溶液中で、かつ有機アミンの存在下で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを重合して樹脂(ポリイミド前駆体)を生成して粒子分散ポリイミド前駆体溶液を得る。
粒子含有ポリイミドフィルムは、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、塗膜を加熱することで得られる。
なお、粒子含有ポリイミドフィルムは、イミド化が完了した粒子含有ポリイミドフィルムのみならず、イミド化が完了する前の部分的にイミド化された粒子含有ポリイミドフィルムも含む。
まず、上述の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を準備する。次に、粒子分散ポリイミド前駆体溶液を基板上に塗布し、塗膜を形成する。
基板としては、例えば、樹脂製基板;ガラス製基板;セラミック製基板;金属基板;これらの材料が組み合わされた複合材料基板が挙げられる。なお、基板は、剥離処理が施された剥離層を備えていてもよい。
また、粒子分散ポリイミド前駆体溶液を基板に塗布する方法としては、特に制限はなく、例えば、スプレー塗布、回転塗布法、ロール塗布法、バー塗布法、スリットダイ塗布法、インクジェット塗布法等の各種の方法が挙げられる。
次に、上記の塗膜形成工程で得られた塗膜に対して、乾燥処理を行う。この乾燥処理により、被膜(乾燥したイミド化前の被膜)を形成する。
乾燥処理の加熱条件は、例えば80℃以上200℃以下の温度で10分間以上60分間以下がよく、温度が高いほど加熱時間は短くてよい。加熱するときには、熱風を当てることも有効である。また、加熱は、温度を段階的に上昇させてもよく、昇温速度を変化させずに上昇させてもよい。
イミド化処理の加熱条件としては、例えば150℃以上400℃以下(好ましくは200℃以上300℃以下)で、20分間以上60分間以下加熱することで、イミド化反応が起こり、ポリイミドフィルムが形成される。加熱反応の際、加熱の最終温度に達する前に、温度を段階的、又は一定速度で徐々に上昇させて加熱することがよい。
本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムの製造方法は、本実施形態に係る粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程と、前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有する。
ここで、本実施形態に係る多孔質ポリイミドフィルムの製造方法によれば、球状の粒子を用いることで、球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルムが得られる。
第1の工程は、まず、上述の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を準備する。次に、基板上に、粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布し、ポリイミド前駆体溶液と、粒子とを含む塗膜を形成する。そして、基板上に形成された塗膜を乾燥して、ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する。
第2の工程は、第1の工程で得られたポリイミド前駆体及び粒子を含む被膜を加熱して、ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する工程である。そして、第2の工程には、粒子を除去する処理を含んでいる。粒子を除去する処理を経て、多孔質ポリイミドフィルムが得られる。
なお、本実施形態において、ポリイミド前駆体をイミド化する過程とは、第1の工程で得られたポリイミド前駆体及び粒子を含む被膜を加熱して、イミド化を進行させ、イミド化が完了した後のポリイミドフィルムとなるよりも前の状態となる過程を示す。
まず、樹脂粒子を除去する処理について説明する。
樹脂粒子を除去する処理としては、例えば、樹脂粒子を加熱により除去する方法、樹脂粒子を溶解する有機溶剤により除去する方法、樹脂粒子をレーザ等による分解により除去する方法等が挙げられる。これらのうち、樹脂粒子を加熱により除去する方法、樹脂粒子を溶解する有機溶剤により除去する方法が好ましい。
また、加熱により樹脂粒子を除去して多孔質化する場合は、塗布後の乾燥温度では分解せず、ポリイミド前駆体の皮膜をイミド化させる温度により熱分解させる。この観点から、樹脂粒子の熱分解開始温度は、150℃以上320℃以下であることがよく、180℃以上300℃以下であることが好ましく、200℃以上280℃以下であることがより好ましい。
無機粒子を除去する処理としては、無機粒子は溶解するがポリイミド前駆体またはポリイミドは溶解しない液体(以下、「粒子除去液」と称することがある)を用いて除去する方法が挙げられる。粒子除去液は、使用する無機粒子により選択される。例えば、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ホウ酸、過塩素酸、リン酸、硫酸、硝酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸などの酸の水溶液;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、アンモニア、上述の有機アミンなどの塩基の水溶液;が挙げられる。また、使用する無機粒子とポリイミド前駆体によっては、水単独でも使用可能である。
ポリイミド膜中のポリイミド前駆体のイミド化率が10%未満であるとき(すなわち、ポリイミド膜が溶媒に溶解できる状態)に粒子を露出させる処理を行う場合、上記のポリイミド膜中に埋没している粒子を露出させる処理としては、拭き取る処理、溶媒に浸漬する処理等が挙げられる。その際に使用する溶媒としては、本実施形態の粒子分散ポリイミド前駆体溶液に用いた溶媒と同じものでも、異なるものでもよい。
例えば、機械的に切削する場合には、ポリイミド膜に埋没している粒子の上部の領域(つまり、粒子の基板から離れた側の領域)に存在する粒子の一部分が、粒子の上部に存在しているポリイミド膜とともに切削され、切削された粒子がポリイミド膜の表面から露出される。
なお、ガス分離膜のように表面に開孔していないスキン層を持つことが好ましく、この場合には粒子を露出させる処理は行わないことがよい。
一部がイミド化したポリイミド前駆体は、例えば、下記一般式(V−1)、下記一般式(V−2)、及び下記一般式(V−3)で表される繰り返し単位を有する構造の前駆体が挙げられる。
・ポリイミド前駆体試料の作製
(i)測定対象となるポリイミド前駆体組成物を、シリコーンウェハー上に、膜厚1μm以上10μm以下の範囲で塗布して、塗膜試料を作製する。
(ii)塗膜試料をテトラヒドロフラン(THF)中に20分間浸漬させて、塗膜試料中の溶媒をテトラヒドロフラン(THF)に置換する。浸漬させる溶媒は、THFに限定されることなく、ポリイミド前駆体を溶解せず、ポリイミド前駆体組成物に含まれている溶媒成分と混和し得る溶媒より選択できる。具体的には、メタノール、エタノールなどのアルコール溶媒、ジオキサンなどのエーテル化合物が使用できる。
(iii)塗膜試料を、THF中より取り出し、塗膜試料表面に付着しているTHFにN2ガスを吹き付け、取り除く。10mmHg以下の減圧下、5℃以上25℃以下の範囲にて12時間以上処理して塗膜試料を乾燥させ、ポリイミド前駆体試料を作製する。
(iv)上記(i)と同様に、測定対象となるポリイミド前駆体組成物をシリコーンウェハー上に塗布して、塗膜試料を作製する。
(v)塗膜試料を380℃にて60分間加熱してイミド化反応を行い、100%イミド化標準試料を作製する。
(vi)フーリエ変換赤外分光光度計(堀場製作所製FT−730)を用いて、100%イミド化標準試料、ポリイミド前駆体試料の赤外吸光スペクトルを測定する。100%イミド化標準試料の1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab’(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab’(1780cm−1))の比I’(100)を求める。
(vii)同様にして、ポリイミド前駆体試料について測定を行い、1500cm−1付近の芳香環由来吸光ピーク(Ab(1500cm−1))に対する、1780cm−1付近のイミド結合由来の吸光ピーク(Ab(1780cm−1))の比I(x)を求める。
・式: ポリイミド前駆体のイミド化率=I(x)/I’(100)
・式: I’(100)=(Ab’(1780cm−1))/(Ab’(1500cm−1))
・式: I(x)=(Ab(1780cm−1))/(Ab(1500cm−1))
以下、本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムについて説明する。
(1):Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が5/95以上95/5以下である。
(2):Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が5/95以上95/5以下である。
(III−2):A1/A2が0/100以上40/60以下、かつ、B1/B2が60/40以上95/5以下
(III−3):前記A1/A2が5/95以上40/60以下、かつ、前記B1/B2が60/40以上100/0以下
(III−4):前記A1/A2が60/40以上95/5以下、かつ、前記B1/B2が0/100以上40/60以下
(IV−1):A1/A2が100/0、かつ、B1/B2が5/95以上30/70以下
(IV−2):A1/A2が0/100、かつ、B1/B2が70/30以上95/5以下
(IV−3):A1/A2が5/95以上30/70以下、かつ、B1/B2が100/0
(IV−4):A1/A2が70/30以上95/5以下、かつ、B1/B2が0/100
本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムは、特に限定されないが、空孔率が30%以上であることがよい。また、空孔率が40%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましい。空孔率の上限は、特に限定されないが、90%以下の範囲であることがよい。
また、空孔は、空孔どうしが互いに連結されて連なった形状であることが好ましい。空孔どうしが互いに連結されている部分の空孔径は、例えば、空孔の最大径の1/100以上1/2以下であることがよく、1/50以上1/3以下であることが好ましく、1/20以上1/4以下であることがより好ましい。具体的には、空孔どうしが互いに連結されて連なっている部分の空孔径の平均値は、5nm以上1500nm以下であることがよい。
「空孔の最大径と最小径の比率」とは、空孔の最大径を最小径で除した値(つまり、空孔径の最大値/最小値)で表される比率である。
多孔質ポリイミドフィルムに含有するポリイミド樹脂以外の樹脂の存在状態は、特に限定されない。例えば、多孔質ポリイミドフィルムの内部、多孔質ポリイミドフィルムの表面(多孔質ポリイミドフィルムの空孔の表面を含む)の少なくとも一方に存在していればよい。
多孔質ポリイミドフィルム中のポリイミド以外の樹脂の存在およびその含有量は、例えば、熱分解ガスクロマトグラフ質量分析(GC−MS)によって検出される成分を分析および定量することで測定することができる。具体的には、以下のように測定する。
多孔質ポリイミドフィルム中の含有成分を、落下型の熱分解装置(フロンティアラボ社製、PY−2020D)を設置したガスクロマトグラフ質量分析計(島津社製GCMS QP−2010)により分析する。
ポリイミド以外の樹脂の成分について、多孔質ポリイミドフィルム0.20mgを精確に秤量し、熱分解温度600℃で測定する。ポリイミド以外の樹脂については、熱分解温度400℃と熱分解温度600℃のクロマトグラムを比較し、例えば、ポリスチレンの解重合によるスチレンモノマーが熱分解温度400℃よりも熱分解温度600℃で多く検出されることでポリマー由来であることを確認できる。
熱分解装置:フロンティアラボ社製、PY−2020D
ガスクロマトグラフ質量分析計:島津社製、GCMS QP−2010
熱分解温度:400℃、600℃
ガスクロマト導入温度:280℃
Inject方法:スプリット比1:50
カラム:フロンティアラボ社製、Ultra ALLOY−5,0.25μm、0.25μm ID、30m
ガスクロマト温度プログラム:40℃→20℃/min→280℃・10min保持
マスレンジ:EI、m/z=29−600(ポリイミド樹脂以外の樹脂の含有量)
本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムが適用される用途としては、例えば、リチウム電池等の電池セパレータ;電解コンデンサー用のセパレータ;燃料電池等の電解質膜;電池電極材;気体又は液体の分離膜;低誘電率材料;ろ過膜;等が挙げられる。
これは、本実施形態の多孔質ポリイミドフィルムの空孔の形状、空孔径のバラつきが抑制されるためと推測される。
また、例えば、電池電極材に適用した場合には、電解液に接触する機会が増加するため、電池の容量が増えると考えられる。これは、多孔質ポリイミドフィルムに含有させた電極用のカーボンブラック等の材料が、多孔質ポリイミドフィルムの空孔径の表面や、フィルムの表面に露出する量が増加するためと推測される。
さらに、例えば、多孔質ポリイミドフィルムの空孔内に、例えば、いわゆるイオン性液体をゲル化したイオン性ゲル等を充填して電解質膜として適用することも可能である。本実施形態の製造方法により、工程が簡略化されるため、より低コストの電解質膜が得られると考えられる。
また、別の例として、フィルターに適用した場合には、ろ過速度を低下させずにろ過効率を向上させることが可能となると考えられる。
テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とをそれぞれ1種ずつのみを用いて合成したポリイミド前駆体を用いた粒子分散ポリイミド前駆体溶液を使用した場合、膜中の粒子の凝集抑制、乾燥皮膜を剥離した場合の取り扱い性、多孔質ポリイミドフィルムの熱軟化耐性、折れ曲げ耐性など、目的とする特性を全て満たすことができないことが分かってきた。
粒子分散ポリイミド前駆体溶液の粒子分散について評価を行った。具体的な方法は以下のとおりである。
粒子分散ポリイミド前駆体溶液を、60℃の恒温槽中で静置して保管し、粒子の分散状態を目視で評価した。粒子の分散が悪化すると、溶液の層分離や粒子の沈降が観察される。
A+: 保管開始後2ヶ月超でも溶液に変化なし
A : 保管開始後1ヵ月超2ヵ月以内で層分離または粒子の沈降が見られる
B : 保管開始後2週間超1ヵ月以内で層分離または粒子の沈降が見られる
C : 保管開始後2週間以内で層分離または粒子の沈降が見られる
粒子分散ポリイミド前駆体溶液を、60℃の恒温槽中で静置して1日間保管し、その後0℃の恒温槽中で静置して1日間保管した。この保管サイクルを1サイクルとして、保管サイクルを繰り返し、粒子の分散状態を目視で評価した。粒子の分散が悪化すると、溶液の層分離や粒子の沈降が観察される。
A+:保管10サイクル超でも溶液に変化なし
A :保管7サイクル超10サイクル以内で層分離または粒子の沈降が見られる
B :保管5サイクル超7サイクル以内で層分離または粒子の沈降が見られる
C :保管5サイクル以内で層分離または粒子の沈降が見られる
既述の方法により、GC−MSを用いて各成分の含有量を測定した。
1)粒子含有ポリイミド前駆体溶液を作製直後に製膜した粒子含有ポリイミド皮膜、2)上述の加熱および冷蔵による繰り返し経時評価を5サイクル繰り返した粒子含有ポリイミド前駆体溶液を用いて製膜した粒子含有ポリイミド皮膜の2種類について、それぞれ粒子凝集の評価を行った。具体的な方法は以下のとおりである。
粒子含有ポリイミド皮膜1cm2角の面積を倍率100の顕微鏡で観察し、以下の基準で粒子凝集を評価した。
A+:10μm未満の凝集が5個未満である
A :10μm未満の凝集が5個以上みられる
B :10μm以上50μm未満の凝集が見られる
C :50μm以上の凝集が見られる
アプリケータを用いてシリコーン系離型剤で離型処理された5cm角の大きさのPET基材に、粒子含有ポリイミド前駆体溶液を、焼成後の膜厚が25μmとなるよう塗布し、70℃で1時間送風乾燥を行った後、基材から剥離して、膜厚25μmの粒子含有ポリイミド皮膜の自立膜を得た。この粒子含有ポリイミド皮膜の取扱い性を以下の基準で評価した。
A+:内径5cm未満の円筒に沿ってフィルムを丸めると割れ・破損が発生する
A :内径5cm以上10cm未満の円筒に沿ってフィルムを丸めると割れ・破損が発生する
B :内径10cm以上の円筒に沿ってフィルムを丸めると割れ・破損が発生する
C :フィルムを少しでも丸めると割れ・破損が発生する
空孔形状の指標として、長径と短径の比率を算出し、長径と短径の比率が1以上1.5以下の割合を算出した。また、空孔分布の指標として、最大径と最小径の比率を算出した。算出は、いずれも既述の方法で行った。
A+:95%以上
A :90%以上95%未満
B :85%以上90%未満
C :85%未満
A+:1以上1.8以下
A :1.8超1.9以下
B :1.9超2以下
C :2を超える
作製した多孔質ポリイミドフィルムをホットプレート上でそれぞれ400℃/410℃/420℃)で3時間加熱し、加熱後の多孔質膜について既述のSEM観察で空孔形状を観察し、以下の基準で評価した。
A+:420℃加熱でも空孔形状・空孔径に変化が見られない
A :420℃加熱で空孔形状に変化が見られるが、空孔径は同等
B :410℃加熱で空孔形状に変化が見られ、空孔径が変化する
C :400℃加熱で空孔形状に変化が見られ、空孔径が変化する
作製した多孔質ポリイミドフィルムを1cm2角に切りだし、評価用試料を10枚採取した。試料を減圧濾過用フィルターホルダー(ADVANTEC社製、KGS−04)のファンネルとベース部との間に挟み込んでセットし、試料を挟み込んだフィルターホルダーを逆さに向けて水中に漬け、ファンネル内の予め決められた位置まで水を満たした。ベース部のファンネルとベース部とが接していない側分から0.5気圧(0.05MPas)の空気圧を負荷し、50mlの空気が通過する時間(秒)を測定し、ガス透過時間の最大値と最小値、平均値を求め、以下の式よりガス透過性のバラつきを算出した。この値が小さい方がガス透過性のバラつきが小さく、良好な特性である。
(式)ガス透過性のバラつき
=(ガス透過時間の最大値−ガス透過時間の最小値)/ガス透過時間の平均値
A+:バラつきが0.3未満
A :バラつきが0.3以上0.4未満
B :バラつきが0.4以上0.5未満
C :バラつきが0.5以上
作製した5cm角の大きさの多孔質ポリイミドフィルムを、製膜時に基材と接していた面を山折りにして半分に折り曲げ、製膜時に基材と接していた面から500gの荷重をかけて24時間静置した。その後、荷重を解き折れ曲げていた部分を目視で観察し、以下の基準で評価した。
−評価基準−
A+:折り曲げた跡が付かず、膜の破損も見られない
A :折り曲げた跡が付くが、膜の破損は見られない
B :折り曲げた跡が付き、折り曲げた部分の一部で膜割れが見られる
C :折り曲げた部分で膜が割れる
(PMMA粒子分散液−1の作製)
メタクリル酸メチル670質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)25.0質量部、イオン交換水670質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、モノマー乳化液を作製した。続いて、Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1500質量部を反応容器に投入した。窒素気流下、75℃に加熱した後、モノマー乳化液のうち75質量部を添加した後に、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させた後に、残りのモノマー乳化液を220分かけて滴下し、さらに50分間反応させた後、冷却して、樹脂粒子の分散液であるPMMA粒子分散液−1を得た。固形分濃度は22.8質量%であった。この樹脂粒子の平均粒径は0.40μmであった。
(PMMA粒子分散液−2の作製)
メタクリル酸メチル670質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)31.4質量部、イオン交換水670質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、モノマー乳化液を作製した。続いて、Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1500質量部を反応容器に投入した。窒素気流下、75℃に加熱した後、モノマー乳化液のうち75質量部を添加した後に、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させた後に、残りのモノマー乳化液を220分かけて滴下し、さらに50分間反応させた後、冷却して、樹脂粒子の分散液であるPMMA粒子分散液−2を得た。固形分濃度は23.2質量%であった。この樹脂粒子の平均粒径は0.32μmであった。
(PSt粒子分散液−1の合成)
スチレン670質量部、界面活性剤Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)17.0質量部、イオン交換水670質量部を混合し、ディゾルバーにより、1,500回転で30分間攪拌、乳化を行い、モノマー乳化液を作製した。続いて、Dowfax2A1(47%溶液、ダウ・ケミカル社製)1.10質量部、イオン交換水1500質量部を反応容器に投入した。窒素気流下、75℃に加熱した後、モノマー乳化液のうち75質量部を添加した後に、過硫酸アンモニウム15質量部をイオン交換水98質量部に溶解させた重合開始剤溶液を10分かけて滴下した。滴下後50分間反応させた後に、残りのモノマー乳化液を220分かけて滴下し、さらに50分間反応させた後、冷却して、PSt粒子分散液−1を得た。固形分濃度は22.8質量%であった。この樹脂粒子の平均粒径は0.42μmであった。
(PSt粒子粉体−1の作製)
合成例3で得られたPSt粒子分散液−1:固形分換算で樹脂粒子100質量部(水:338.6質量部含有)を凍結乾燥し、粉体を取り出した。得られた粉体100質量部に脱イオン水20質量部を加えて撹拌した後、遠心分離にかけて粒子を沈降させ、上澄みを取り除いた。この操作を3回繰り返した後、再び凍結乾燥し、PSt粒子粉体−1を取り出した。
(既述の作製法(ii)による、水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A1)の作製)
PMMA粒子分散液−1:固形分換算で樹脂粒子100g(水:340.6g含有)に、イオン交換水:42.74g、N−メチルピロリドン:2.25g、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):9.38g(0.086735モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):0.91g(0.004565モル)、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):26.86g(0.0913モル)とを添加し、20℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、N−メチルモルホリン(有機アミン化合物):27.7g(0.2739モル)を、ゆっくりと添加し、反応温度60℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A1)を得た。粒子の質量/(全固形分の質量)は0.73、固形分濃度:25質量%。得られた粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A1)を水で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、PMMA粒子分散液−1と同様に平均粒径は0.40μmの単一のピークを持ち、良好な分散状態であった。また、既述の方法により算出した体積粒度分布指標(GSDv)は1.16であった。
なお、上記条件では、PMMA粒子分散液−1の添加量は、PMMA粒子(固形分)の質量/溶液の全固形分の質量が0.73となるように計算された量である。テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量が同モルとなるように計算された量である。p−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量は、両者のモル比(p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)が95/5となるように計算された量である。N−メチルピロリドンの量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して15質量%となるように計算された量である。添加したイオン交換水の量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が25質量%となるように計算された量である。添加したN−メチルモルホリンの量は、生成するポリイミド前駆体(ポリアミック酸)のカルボキシ基に対して150モル%となるように計算された量である。
用いる材料と各種比率を表1〜表3に記載した値に変更する以外は、実施例A1と同様にして、水系のポリイミド前駆体溶液の作製および製膜評価を行った。
(水系のポリイミド前駆体溶液−1の合成)
イオン交換水:35.12質量部、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):6.49質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):3.00質量部、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):21.18質量部を添加し、20℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、N−メチルモルホリン(有機アミン化合物):21.85質量部を、ゆっくりと添加し、反応温度60℃に保持しながら、24時間攪拌して溶解、反応を行い、水系のポリイミド前駆体溶液−1を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0.96/1となるように計算された量である。p−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量は、両者のモル比(p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)が80/20となるように計算された量である。添加したイオン交換水の量は、得られるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度(有機アミン化合物を除く)が35質量%となるように計算された量である。添加したN−メチルモルホリンの量は、生成するポリイミド前駆体(ポリアミック酸)のカルボキシ基に対して150モル%となるように計算された量である。
(既述の作製法(i)による水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A31)の作製)
上記の合成例5で得た水系のポリイミド前駆体溶液−1:固形分換算で7.00g(溶液として20g)に、イオン交換水:1.16g、N−メチルピロリドン:3.85gを添加し、60℃に加温しながら混合した。その後、PMMA粒子分散液−1:固形分換算で樹脂粒子18.93g(水:77.2g含有)を添加し、60℃に加温した後、撹拌装置「泡取り練太郎」(シンキー製)で2000rpmで2分間、2200rpmで2分間混合撹拌した。その後、再度60℃に加温し、さらに2000rpmで2分間、2200rpmで2分間混合撹拌し、水系の粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A31)を得た。粒子の質量/(溶液の全固形分の質量)は0.73、固形分濃度:24質量%。得られた粒子分散ポリイミド前駆体溶液(A31)を水で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、PMMA粒子分散液−1と同様に平均粒径は0.40μmの単一のピークを持ち、良好な分散状態であった。また、既述の方法により算出した体積粒度分布指標(GSDv)は1.16であった。
なお、上記条件では、PMMA粒子分散液−1の添加量は、PMMA粒子(固形分)の質量/溶液の全固形分の質量が0.73となるように計算された量である。N−メチルピロリドンの量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して15質量%となるように計算された量である。添加したイオン交換水の量は、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が24質量%となるように計算された量である。
用いる材料と各種比率を表3に記載した値となるように変更する以外は、実施例A31と同様にして、水系のポリイミド前駆体溶液の作製および製膜評価を行った。
(有機系溶媒での粒子分散ポリイミド前駆体溶液(B1)の作製)
N,N−ジメチルアセトアミド:144.33質量部、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):9.38質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):0.91質量部を添加し、50℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):25.79質量部を添加し、反応温度50℃に保持しながら、15時間攪拌して溶解、反応を行い、固形分濃度20質量%の有機系溶媒でのポリイミド前駆体溶液を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0.96/1となるように計算された量である。p−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量は、両者のモル比(p−フェニレンジアミン/4,4’−ジアミノジフェニルエーテル)が95/5となるように計算された量である。添加したN,N−ジメチルアセトアミドの量は、得られるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が20質量%となるように計算された量である。
得られた粒子分散ポリイミド前駆体溶液(B1)を同組成の有機系溶媒で希釈し、既述の方法により粒度分布を測定したところ、PSt粒子分散液−1と同様に平均粒径は0.42μmの単一のピークを持ち、良好な分散状態であった。また、既述の方法により算出した体積粒度分布指標(GSDv)は1.15であった。
なお、上記条件では、PSt粒子粉体−1の添加量は、PMMA粒子(固形分)の質量/溶液の全固形分の質量が0.73となるように計算された量である。N,N−ジメチルアセトアミドおよびトリグライムの添加量は、固形分濃度が30質量%となり、N,N−ジメチルアセトアミド/トリグライムの質量比率が50/50となるように計算された量である。
用いる材料と各種比率を表4に記載した値に変更する以外は実施例B1と同様にして、有機系溶媒でのポリイミド前駆体溶液の作製および製膜評価を行った。
(熱分解により粒子を除去する場合)
上記で得た粒子含有ポリイミド前駆体溶液を、アプリケータを用いて76mm×52mmの大きさのガラス基材に、焼成後の膜厚が25μmとなるよう塗布し、70℃で1時間送風乾燥を行った後、70℃から昇温速度5℃/分で、各表に示す温度まで昇温し、さらにその温度で30分保持した。その後、室温まで放冷し、水に浸漬して多孔質ポリイミドフィルムを得た。
上記で得た粒子含有ポリイミド前駆体溶液を、アプリケータを用いて76mm×52mmの大きさのガラス基材に、焼成後の膜厚が25μmとなるよう塗布し、70℃で1時間送風乾燥を行った後、各表に示す溶媒に2時間浸漬した。膜を風乾した後、70℃から昇温速度5℃/分で、表1に示す温度まで昇温し、さらにその温度で30分保持した。その後、室温まで放冷し、水に浸漬して多孔質ポリイミドフィルムを得た。
(空孔が球状でない多孔質ポリイミドフィルムの作製)
N,N−ジメチルアセトアミド:72.38質量部、p−フェニレンジアミン(分子量108.14):6.08質量部、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(分子量200.24):3.75質量部とを添加し、50℃で10分間攪拌して分散させた。ついで、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(分子量294.22):21.18質量部を添加し、反応温度50℃に保持しながら、15時間攪拌して溶解、反応を行い、固形分濃度30質量%の有機系溶媒でのポリイミド前駆体溶液を得た。
なお、上記条件では、テトラカルボン酸二無水物の総量とジアミンの総量のモル比が0.96/1となるように計算された量である。p−フェニレンジアミンと4,4’−ジアミノジフェニルエーテルの添加量は、両者のモル比が75/25となるように計算された量である。添加したN,N−ジメチルアセトアミドの量は、得られるポリイミド前駆体溶液の固形分濃度が30質量%となるように計算された量である。
・「PI」:ポリイミド
−テトラカルボン酸二無水物−
・「PMDA」:ピロメリット酸二無水物
・「BPDA」:3,3’,4,4’−ビフェニル テトラカルボン酸二無水物
・「酸無水物1」:3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物
・「酸無水物2」:3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物
−ジアミン化合物−
・「PDA」:p−フェニレンジアミン
・「ODA」:4,4 ’−ジアミノジフェニルエーテル
・「ジアミン1」:4,4’−ジアミノジフェニルスルホン
・「ジアミン2」:4,4’−ジアミノジフェニルメタン
−有機アミン化合物−
・「MMO」:N−メチルモルホリン
・「DMAEt」:ジメチルアミノエタノール
・「DMIz」:1,2−ジメチルイミダゾール
・「2E4MIz」:2−エチル−4−メチルイミダゾール
−粒子−
・「PMMA−1」:合成例1で得られたPMMA粒子分散液−1
・「PMMA−2」:合成例2で得られたPMMA粒子分散液−2
・「PSt−1」:合成例3で得られたPSt粒子分散液−1
・「PSt」:合成例4で得られたPSt粒子粉体−1
・「シリカ−1」:日本触媒製シーホスターKE−P30(球状、平均粒子径0.3μm)
−溶媒−
・「NMP」:N−メチルピロリドン
・「DMAc」:N,N−ジメチルアセトアミド
・「EG」:エチレングリコール
−分散剤−
・「Dowfax」:Dowfax2A1
・「C12EO」:ポリオキシエチレンドデシルエーテル
−粒子除去のための溶剤−
・「THF」テトラヒドロフラン
・「10%HF」:10質量%濃度フッ酸
・「THF/tol」:テトラヒドロフラン/トルエン=50/50(質量比)混合溶媒
Claims (23)
- 溶媒、下記式(I)で示される繰り返し単位を有するポリイミド前駆体、及び粒子を含む粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(式(I)中、Aは4価の有機基、Bは2価の有機基であり、下記条件(1)および(2)の少なくとも一方を満たし、かつ、下記条件(3)を満たす。
(1):Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が5/95以上95/5以下である。
(2):Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が5/95以上95/5以下である。
(3):前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する各原料単量体成分のうち、最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が0.015mmol/g以上であり、前記各原料単量体成分のうち、最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が9mmol/g以下である。) - 前記A1が下記A1−1で示される基であり、前記A2が下記A2−1から下記A2−5までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項1に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記B1が下記B1−1または下記B1−2で示される基あり、前記B2が下記B2−1から下記B2−7までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項1又は請求項2に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記条件(1)を満たすとき、下記(I−3)および下記(I−4)で示されるいずれかの条件を満たし、前記条件(2)を満たすとき、下記(I−1)および下記(I−2)で示されるいずれかの条件を満たす請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(I−1)前記A1/A2が60/40以上100/0以下、かつ、前記B1/B2が5/95以上40/60以下
(I−2)前記A1/A2が0/100以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上95/5以下
(I−3)前記A1/A2が5/95以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上100/0以下
(I−4)前記A1/A2が60/40以上95/5以下、かつ、前記B1/B2のモル比が0/100以上40/60以下 - 前記(I−1)から前記(I−4)までに示される条件が、それぞれ下記(II−1)から下記(II−4)までに示される条件である請求項4に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
(II−1)前記A1/A2が100/0、かつ、前記B1/B2が5/95以上30/70以下
(II−2)前記A1/A2が0/100、かつ、前記B1/B2が70/30以上95/5以下
(II−3)前記A1/A2が5/95以上30/70以下、かつ、前記B1/B2が100/0
(II−4)前記A1/A2が70/30以上95/5以下、かつ、前記B1/B2が0/100 - 前記A1が前記A1−1で示される基であり、前記A2が前記A2−1で示される基であり、前記B1が前記B1−1で示される基であり、前記B2が前記B2−1で示される基である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記ポリイミド前駆体において、前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する前記各原料単量体成分のうち、前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率が、0.03mmol/g以上である請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記ポリイミド前駆体において、前記A1、前記A2、前記B1、および前記B2を構成する前記各原料単量体成分のうち、前記最も含有量の多い成分の前記粒子に対する比率と前記最も含有量の少ない成分(ゼロを除く)の前記粒子に対する比率との差が、7mmol/g以下である請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子が樹脂粒子である請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- さらに有機アミン化合物を含有し、全溶媒中の水の占める割合が50質量%以上である請求項1〜請求項9のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記有機アミン化合物が、3級アミン化合物である請求項10に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- さらに非プロトン性極性溶剤を、ポリイミド前駆体溶液中の粒子とポリイミド前駆体の合計量に対して3質量%以上50質量%以下で含有する請求項10又は請求項11に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子の体積平均粒径が、0.1μm以上0.5μm以下である請求項1〜請求項12のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子分散ポリイミド前駆体溶液中の粒子の体積粒度分布指標が、1.30以下である請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 前記粒子の含有量が、粒子分散ポリイミド前駆体溶液の固形分に対して30質量%以上85質量%以下である請求項1〜請求項14のいずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液。
- 請求項1〜請求項15いずれか1項に記載の粒子分散ポリイミド前駆体溶液を塗布して塗膜を形成した後、前記塗膜を乾燥して、前記ポリイミド前駆体及び前記粒子を含む被膜を形成する第1の工程と、
前記被膜を加熱して、前記ポリイミド前駆体をイミド化してポリイミドフィルムを形成する第2の工程であって、前記粒子を除去する処理を含む第2の工程と、を有する球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルムの製造方法。 - 下記式(III)で示される繰り返し単位を有するポリイミドを含有し、球状の空孔を備えている多孔質ポリイミドフィルム。
(式(III)中、Aは4価の有機基、Bは2価の有機基であり、かつ、下記条件(1)および(2)の少なくとも一方を満たす。
(1):Aは、芳香環を1つ有する4価の有機基A1と芳香環を2つ以上有する4価の有機基A2とのモル比(A1/A2)が5/95以上95/5以下である。
(2):Bは、芳香環を1つ有する2価の有機基B1と芳香環を2つ以上有する2価の有機基B2とのモル比(B1/B2)が5/95以上95/5以下である。) - 前記A1が下記A1−1で示される基であり、前記A2が下記A2−1から下記A2−5までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項17に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
- 前記B1が下記B1−1または下記B1−2で示される基あり、前記B2が下記B2−1から下記B2−7までに示される群から選択されるいずれか1つの基である請求項17又は請求項18に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
- 前記条件(1)を満たすとき、下記(III−3)および下記(III−4)で示されるいずれかの条件を満たし、前記条件(2)を満たすとき、下記(III−1)および下記(III−2)で示されるいずれかの条件を満たす請求項17〜請求項19のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
(III−1)前記A1/A2が60/40以上100/0以下、かつ、前記B1/B2が5/95以上40/60以下
(III−2)前記A1/A2が0/100以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上95/5以下
(III−3)前記A1/A2が5/95以上40/60以下、かつ、前記B1/B2のモル比が60/40以上100/0以下
(III−4)前記A1/A2が60/40以上95/5以下、かつ、前記B1/B2のモル比が0/100以上40/60以下 - 前記(III−1)から前記(III−4)までに示される条件が、それぞれ下記(IV−1)から下記(IV−4)までに示される条件である請求項20に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
(IV−1)前記A1/A2が100/0、かつ、前記B1/B2が5/95以上30/70以下
(IV−2)前記A1/A2が0/100、かつ、前記B1/B2が70/30以上95/5以下
(IV−3)前記A1/A2が5/95以上30/70以下、かつ、前記B1/B2が100/0
(IV−4)前記A1/A2が70/30以上95/5以下、かつ、前記B1/B2が0/100 - 前記A1が前記A1−1で示される基であり、前記A2が前記A2−1で示される基であり、前記B1が前記B1−1で示される基であり、前記B2が前記B2−1で示される基である請求項17〜請求項21のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
- さらに、ポリイミド以外の樹脂を、多孔質ポリイミドフィルム全体に対して0.005質量%以上1質量%以下で含有する請求項17〜請求項22のいずれか1項に記載の多孔質ポリイミドフィルム。
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