JP2018158145A - スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具 - Google Patents

スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具 Download PDF

Info

Publication number
JP2018158145A
JP2018158145A JP2018115471A JP2018115471A JP2018158145A JP 2018158145 A JP2018158145 A JP 2018158145A JP 2018115471 A JP2018115471 A JP 2018115471A JP 2018115471 A JP2018115471 A JP 2018115471A JP 2018158145 A JP2018158145 A JP 2018158145A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
transfer
seat
wheelchair
sheet material
board
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2018115471A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6615948B2 (ja
Inventor
一至 山本
Kazushi Yamamoto
一至 山本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
YOKOKI CO Ltd
Original Assignee
YOKOKI CO Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by YOKOKI CO Ltd filed Critical YOKOKI CO Ltd
Publication of JP2018158145A publication Critical patent/JP2018158145A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6615948B2 publication Critical patent/JP6615948B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61GTRANSPORT, PERSONAL CONVEYANCES, OR ACCOMMODATION SPECIALLY ADAPTED FOR PATIENTS OR DISABLED PERSONS; OPERATING TABLES OR CHAIRS; CHAIRS FOR DENTISTRY; FUNERAL DEVICES
    • A61G7/00Beds specially adapted for nursing; Devices for lifting patients or disabled persons
    • A61G7/10Devices for lifting patients or disabled persons, e.g. special adaptations of hoists thereto
    • A61G7/1025Lateral movement of patients, e.g. horizontal transfer
    • A61G7/1026Sliding sheets or mats
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61GTRANSPORT, PERSONAL CONVEYANCES, OR ACCOMMODATION SPECIALLY ADAPTED FOR PATIENTS OR DISABLED PERSONS; OPERATING TABLES OR CHAIRS; CHAIRS FOR DENTISTRY; FUNERAL DEVICES
    • A61G7/00Beds specially adapted for nursing; Devices for lifting patients or disabled persons
    • A61G7/10Devices for lifting patients or disabled persons, e.g. special adaptations of hoists thereto
    • A61G7/1025Lateral movement of patients, e.g. horizontal transfer
    • A61G7/103Transfer boards
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61GTRANSPORT, PERSONAL CONVEYANCES, OR ACCOMMODATION SPECIALLY ADAPTED FOR PATIENTS OR DISABLED PERSONS; OPERATING TABLES OR CHAIRS; CHAIRS FOR DENTISTRY; FUNERAL DEVICES
    • A61G2200/00Information related to the kind of patient or his position
    • A61G2200/30Specific positions of the patient
    • A61G2200/34Specific positions of the patient sitting

Abstract

【課題】車椅子とベッド間等の移乗に際しての要介護者及び介護者双方の身体又は精神的負担を低減することを、より簡素な方法及び/又は機構で実現すること。
【解決手段】移乗支援方法は、少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付けるステップと、移送機構(340)のシート材(344)上に移送具(40)を配置するステップと、座部(300)上からスライディングボード(80)上に向かう方向又はこれとは反対方向に移送具(40)が移動することとシート材(344)が周方向に回動することが連動する態様で、移送具(40)を動かし、及び/又はシート材(344)を周方向に回動させるステップを含む。
【選択図】図1

Description

本開示は、スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具に関する。
特許文献1は、同文献の図7及び段落0029等から理解できるように、車椅子の座席部のベルトコンベアを横方向に作動させることを開示する。ベルトコンベアは、モーターからの動力に応じて作動する。
特許文献2は、同文献の図6乃至図9から理解できるように、要介護者が着座した車椅子上のクッション材を持ち上げ、車椅子とベッド間に架け渡された移乗部材を介して車椅子とベッド間で要介護者を移乗させることを開示する。
特開2000−201978号公報 特開2013−106718号公報
車椅子とベッド間等の移乗に際しての要介護者及び介護者双方の身体又は精神的負担を低減することを、より簡素な方法及び/又は機構で実現することに意義がある。
本開示の一態様に係る移乗支援方法は、スライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗支援方法であって、
少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付け、前記座部(300)の座面を提供する前記シート材(344)の上面と前記スライディングボード(80)の上面が上下で重ならない態様で隣接して配置されるステップと、
前記シート材(344)の前記上面上に移送具(40)を載置するステップと、
前記シート材(344)の前記上面上に前記移送具(40)を介して要介護者が着座した状態で、前記要介護者が前記座部(300)上から前記スライディングボード(80)上に移るように前記移送具(40)を引くステップを含む。
幾つかの実施形態においては、前記スライディングボード(80)が鉛直方向に直交する左右方向において前記車椅子(60)の前記座部(300)に対して取り付けられ、
前記車椅子(60)のアーム部(107)が前記鉛直方向に直交する前後方向から前記左右方向に配向及び固定される。
幾つかの実施形態においては、前記要介護者が前記座部(300)上から前記スライディングボード(80)上に移るように前記移送具(40)が引かれる際、駆動源(343p)からの動力によって前記移送具(40)が載置された前記シート材(344)の上部領域が、前記移送具(40)が引かれる方向と同一方向に送られる。
幾つかの実施形態においては、前記スライディングボード(80)が前記車椅子(60)に対して枢動可能に取り付けられる。
幾つかの実施形態においては、前記移送機構(340)及び前記スライディングボード(80)が、鉛直方向に直交する左右方向において一緒に変位可能である。
幾つかの実施形態においては、前記移送機構(340)は、駆動源(372p)からの動力によって鉛直方向に直交する左右方向に動かされる。
幾つかの実施形態においては、前記移送具(40)は、前記シート材(344)に対して着脱可能に面着される。
幾つかの実施形態においては、前記移送具(40)は、雄材が配された1以上の係合領域(45)を有する。
幾つかの実施形態においては、前記シート材(344)は、前記雄材が係合可能な素材を含む。
本開示の別態様に係るスライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗支援方法であって、
少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付け、前記座部(300)の座面を提供する前記シート材(344)の上面と前記スライディングボード(80)の上面が上下で重ならない態様で隣接して配置されるステップと、
前記要介護者が前記座部(300)外から前記スライディングボード(80)を介して前記座部(300)上に移るように移送具(40)を引くステップを含む。
幾つかの実施形態においては、移乗支援方法は、前記シート材(344)に対して移送具(40)を着脱可能に取り付けるステップを更に含む。
幾つかの実施形態においては、前記シート材(344)に対して移送具(40)を着脱可能に取り付けるステップは、前記シート材(344)の前記上面に移送具(40)を面着するステップを含む。
幾つかの実施形態においては、前記要介護者が前記座部(300)外から前記座部(300)上に移るように前記移送具(40)が引かれる際、駆動源(343p)からの動力によって、前記シート材(344)の上部領域が、前記移送具(40)が引かれる方向と同一方向に送られる。
幾つかの実施形態においては、操作具を用いて前記回転軸部(342)に回転力を供給して前記シート材(344)を周方向に送るステップを更に含む。
幾つかの実施形態においては、前記移送具(40)は、上面及び下面を有する薄型基材(41)を含み、
前記薄型基材(41)の下面には、前記シート材(344)に接触するように設けられた低摩擦材(44)を含み、前記低摩擦材(44)がフッ素繊維製の布を含む。
幾つかの実施形態においては、前記移送具(40)は、上面及び下面を有する薄型基材(41)を含み、前記薄型基材(41)の上面にはクッション座部(46)が着脱可能又は着脱不能に設けられる。
本開示の一態様に係る車椅子は、少なくとも一対の車輪(61)が設けられた車体フレーム(100)と、
前記車体フレーム(100)に対して昇降具(200)を介して実装された座部(300)を備える車椅子(60)であって、
前記座部(300)は、少なくとも一つの移送機構(340)と、スライディングボード(80)が取り付けられるボード取り付け部(360)を含み、
前記移送機構(340)は、少なくとも一対の回転軸部(342)と、前記少なくとも一対の回転軸部(342)に無端状に巻き掛けられたシート材(344)を含み、
前記ボード取り付け部(360)に取り付けられる前記スライディングボード(80)の上面が、前記座部(300)の座面を提供する前記シート材(344)の上面に上下で重ならない態様で隣接して配置可能である。幾つかの場合、車椅子は、ボード取り付け部(360)に取り付けられるスライディングボード(80)を更に含む。
幾つかの実施形態においては、前記ボード取り付け部(360)は、前記移送機構(340)に隣接して設けられる、又は、前記移送機構(340)に組み込まれる。
幾つかの実施形態においては、前記ボード取り付け部(360)が、前記移送機構(340)に組み込まれ、
前記ボード取り付け部(360)は、前記移送機構(340)の構成部材(349)に凸設又は凹設される。
幾つかの実施形態においては、前記ボード取り付け部(360)は、前記スライディングボード(80)の枢動を許容するように構成される。
幾つかの実施形態においては、前記ボード取り付け部(360)は、前記スライディングボード(80)の第1嵌合部(83m)が嵌合可能である第1被嵌合部(363m)を含み、
前記第1嵌合部(83m)と前記第1被嵌合部(363m)の嵌合により前記スライディングボード(80)の回転軸の位置が定められる。
幾つかの実施形態においては、前記ボード取り付け部(360)は、前記スライディングボード(80)の第2嵌合部(83n)が嵌合可能である第2被嵌合部(363n)を含み、
前記第2被嵌合部(363n)は、前記第1被嵌合部(363m)回りに弧状に延びる。
幾つかの実施形態においては、前記座部(300)がベースプレート(320)を更に含み、
前記移送機構(340)及び前記ボード取り付け部(360)は、前記ベースプレート(320)に対して相対的に変位不能又は変位可能である。
幾つかの実施形態においては、前記座部(300)がベースプレート(320)を更に含み、
前記移送機構(340)は、前記ベースプレート(320)に対して相対的に変位可能な態様で前記ベースプレート(320)上に実装される。
幾つかの実施形態においては、前記移送機構(340)は、前記ベースプレート(320)上に1以上のリニアガイド(371)を介して実装される。
幾つかの実施形態においては、車椅子は、前記移送機構(340)を前記ベースプレート(320)に対して相対的に変位させるためのリニアアクチュエータ(372)を更に備える。
幾つかの実施形態においては、前記移送機構(340)は、前記リニアアクチュエータ(372)の作動に応じて各車輪(61)上を横切る。
幾つかの実施形態においては、前記シート材(344)は、駆動源(343p)から供給される動力に応じて周方向に送られる。
幾つかの実施形態においては、前記移送機構(340)は、前記シート材(344)を周方向に送る少なくとも一つの駆動ロール(343)を含み、前記駆動ロール(343)は、前記少なくとも一対の回転軸部(342)の間に設けられる。
幾つかの実施形態においては、前記駆動ロール(343)は、前記座部(300)の座面を提供する前記シート材(344)の上部領域以外の領域に対して係合する。
幾つかの実施形態においては、前記シート材(344)は、雄材が係合可能な素材を含む。
幾つかの実施形態においては、前記移送機構(340)は、前記一対の車輪(61)の最小幅(Wmin61)よりも大きく、前記一対の車輪(61)の最大幅(Wmax61)よりも小さい幅を有する。
幾つかの実施形態においては、前記座部(300)の座面を提供する前記シート材(344)の上面に載置可能である移送具(40)を別体として備える。
幾つかの実施形態においては、要介護者が前記座部(300)上から前記スライディングボード(80)上へ移るように前記移送具(40)が引かれる時、前記移送機構(340)の前記シート材(344)が前記移送具(40)に連行される。
幾つかの実施形態においては、前記移送具(40)は、上面及び下面を有する薄型基材(41)を含み、
前記薄型基材(41)の下面には、前記シート材(344)に接触するように設けられた低摩擦材(44)を含み、前記低摩擦材(44)がフッ素繊維製の布を含む。
幾つかの実施形態においては、前記移送具(40)は、上面及び下面を有する薄型基材(41)を含み、前記薄型基材(41)にはクッション座部(46)が着脱可能又は着脱不能に設けられる。
幾つかの実施形態においては、前記座部(300)は、前記回転軸部(342)に対して回転力を伝達可能に設けられる回転力受け部(326)を有し、
前記回転力受け部(326)に対して嵌合した操作具(381)の操作に基づいて前記回転軸部(342)を回転させ、前記シート材(344)を送ることができる。
本開示の一態様に係る移送具は、スライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗のために用いられ、車椅子(60)の座部(300)及びスライディングボード(80)上に亘り摺動可能である移送具(40)であって、
上面及び下面を有し、一方向に長尺である薄型基材(41)と、
前記薄型基材(41)の下面に設けられる1以上の低摩擦材(44)を備え、
前記低摩擦材(44)がフッ素繊維製の布を含む。
幾つかの実施形態においては、前記薄型基材(41)の下面には雄材が配された1以上の係合領域(45)が設けられる。
本開示の一態様によれば、移乗に際しての要介護者及び介護者双方の身体又は精神的負担を低減することを、より簡素な方法及び/又は機構で実現することができる。
本開示の実施形態例に係る移乗支援方法に用いられる車椅子、スライディングボード、及び移送具を概略的に図示する。スライディングボードが車椅子とベッドの間に架け渡され、車椅子の座部及びスライディングボード上に移送具が配されている。要介護者は、移送具を介して車椅子の座部上に着座する。要介護者の図示は省略する。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な斜視図であり、車椅子の前方から車椅子を斜視する。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な斜視図であり、車椅子の後方から車椅子を斜視する。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な前面模式図である。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な側面模式図である。 スライディングボードが取り付けられるボード取り付け部を示す概略的な斜視図である。 スライディングボードが取り付けられるボード取り付け部とスライディングボードの連結態様を示す概略図であり、スライディングボードの嵌合突片がボード取り付け部の嵌合溝に挿入されることを部分断面にて示す。 シート材の下方沈みを阻止又は低減する手段の作動前及び作動後の状態を示す概略図である。 シート材の下方沈みを阻止又は低減する手段を作動するための操作具を示す概略図である。 スライディングボードの概略的な上面模式図である。 スライディングボードの概略的な断面構成を示す模式図である。 移送具の概略的な下面模式図である。 本開示の別の実施形態例に係る車椅子を用いた移乗支援方法を概略的に図示する。 別例の移送具の概略的な上面模式図である。 別例の移送具の概略的な前面模式図である。 別例の車椅子の部分的な概略図であり、クッション座部が一体的に設けられた移送具が移送機構のシート材上に配されることを図示する。 別例の車椅子の部分的な概略図であり、移送機構のシート材の下方沈みが低減又は阻止されることを図示する。 移送具の薄型基材の各端部が車椅子の座部の下方に配置可能であることを示す概略図である。 更なる別例の移送具の概略的な上面模式図である。 更なる別例の移送具の概略的な前面模式図である。 本開示のまた別の実施形態例に係る移乗支援方法に用いられる車椅子、スライディングボード、及び移送具を概略的に図示する。スライディングボードが車椅子とベッドの間に架け渡され、車椅子の座部及びスライディングボード上に移送具が配されている。要介護者は、移送具を介して車椅子の座部上に着座する。要介護者の図示は省略する。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な斜視図であり、車椅子の前方から車椅子を斜視する。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な前面模式図であり、移送機構が初期位置にある。 本開示の実施形態例に係る車椅子の概略的な前面模式図であり、移送機構が左端位置にある。 本開示の実施形態例に係る車椅子の移送機構の概略的な断面模式図であり、左右方向に平行な平面における移送機構の断面を主に示す。ベースプレートを間に挟んで移送機構とリニアアクチュエータが結合することも示される。 本開示の実施形態例に係る車椅子の移送機構の概略的な側面模式図であり、ベースプレートに隣接して配された連結具を介して移送機構とリニアアクチュエータが結合することが示される。 本開示の実施形態例に係る車椅子に組み込まれる制御システムの概略的なブロック図である。 本開示の実施形態例に係る車椅子に取り付けられるスライディングボードの概略的な斜視図である。 車椅子の移送機構に組み込まれたボード取り付け部に対してスライディングボードがどのように取り付けられるかを示す概略的な模式図である。 車椅子の移送機構に組み込まれたボード取り付け部に対してスライディングボードがどのように取り付けられるかを示す概略的な模式図である。 車椅子の移送機構とベッドの間に架け渡されたスライディングボードが要介護者の移乗のために用いられる使用例を示す概略図である。 移送機構が左方変位して移送機構がベッドに隣接して配置される状態で要介護者の移乗が行われる別の使用例を示す概略図である。 更なる別例の移送具の概略的な下面模式図である。
以下、図1乃至図33を参照しつつ、本発明の非限定の例示の実施の形態について説明する。開示の1以上の実施形態及び実施形態に包含される各特徴は、個々に独立したものではない。当業者は、過剰説明を要せず、各実施形態及び/又は各特徴を組み合わせることができ、また、この組み合わせによる相乗効果も理解可能である。実施形態間の重複説明は、原則的に省略する。参照図面は、発明の記述を主たる目的とするものであり、作図の便宜のために簡略化されている場合がある。
図1は、スライディングボード80を介して車椅子60上の要介護者をベッド20上に移乗することを概略的に示す。スライディングボード80は、車椅子60とベッド20の間に架け渡される。車椅子60に対してスライディングボード80の近位端部が固定され、左右方向においてスライディングボード80が車椅子60の座部に対して横付けされる。スライディングボード80の遠位端部は、ベッド20上に配される。
車椅子60の座部上には移送具40が配される。要介護者は、移送具40を介して車椅子60の座部上に着座する。幾つかの場合、要介護者が車椅子60の座部に着座する時、車椅子60の座部上に予め移送具40が配され、移送具40を介して車椅子60の座部上に要介護者が着座する。別の場合、移送の都度、移送具40は、要介護者の臀部と車椅子60の座部の間に挿入及び配置される。
移送具40は、車椅子60の座部上及びスライディングボード80上に亘り摺動可能である。車椅子60から離間するように、つまり、移乗先のベッド20に向けて介護者が移送具40を引くことにより、移送具40上に着座した要介護者を車椅子60上から車椅子60外へ移動させることができる。要介護者は、移送具40に着座したまま、移送具40と共に左方にスライド移動させられる。後述の説明から理解されるように、移送具40のスライド移動を円滑化するための様々な取り組みが、特に車椅子60及び移送具40に対して施されている。従来の手法と比較して、介護者及び要介護者双方の身体的及び/又は精神的負担が大きく低減される。なお、要介護者は、移送具40と共に、車椅子60の座部上からスライディングボード80上に移り、続いてスライディングボード80上からベッド20上に移ることができる。ベッド20上から車椅子60の座部上に戻ることも同様に理解できる。
移乗先として示すベッド20は、単なる一例である。別例においては、洋式トイレの座部、車椅子の座席、これ以外の物が挙げられる。スライディングボード80の形状、厚み、構造は、移乗先に合わせて変更可能である。スライディングボード80の遠位端部をベッド20に対して固定することも可能である。
上述に概説したスライディングボード80を用いた要介護者の移乗支援方法についてより良く理解するため、まず、これに用いられる車椅子60の構成について図2乃至図9を参照してより詳細に説明する。なお、方向を示す用語については、図2を基準として理解される。図2のUWとDW間の双頭矢印は、鉛直方向に一致する上下方向を示す。UWに向かう矢印が上方を示す。DWに向かう矢印が下方を示す。RWとLW間の双頭矢印は、上下方向に直交する左右方向を示す。左右方向は、車椅子60に着座する要介護者を基準として理解される。RWに向かう矢印が右方を示す。LWに向かう矢印が左方を示す。FWとBW間の双頭矢印は、上下及び左右方向に直交する前後方向を示す。FWに向かう矢印は、前方を示す。BWに向かう矢印は、後方を示す。なお、以降の記述又は図面の開示自体に基づいて、追加的又は代替的に方向を再定義できるものとする。
図2の図示例の車椅子60は、専ら介護者により手押しされることに適する車椅子である。車椅子60は、一対の車輪61が回転可能に設けられた車体フレーム100と、車体フレーム100に対して昇降具200を介して実装された座部300と、座部300に対して枢動可能に取り付けられた背もたれ部400を含み、更に、別体として、図1に図示した移送具40を有する。車椅子60は、補助輪62及びフットレスト63も具備する。補助輪やフットレストといった周知構成の詳細説明は省略する。別例においては、車椅子60が電動車椅子として構築され、モーター、モーター制御部、及び電源等が組み込まれる。更なる別例においては、車椅子60は、着座した要介護者が各車輪61を手で前方又は後方に送ることにより自走可能に構築される。移乗に際して車輪61を退去させる機構も該分野において良く知られている。
車体フレーム100は、上下方向、左右方向、及び前後方向に平行又は沿って延びる複数の棒部から構築される。図示の車体フレーム100以外のフレーム構成も当然に想定される。図示例の車体フレーム100は、各車輪61及び各補助輪62が固定される左右一対の下部棒部101、各下部棒部101の上方で平行に延びる左右一対の上部棒部102、下部棒部101と上部棒部102を連結するべく上下方向に延びる4本の縦棒部103、左右一対の上部棒部102を連結するべく左右方向に延びる2本の上部横棒部104を含む。車体フレーム100は、更に、昇降具200が実装される昇降具実装部105、介護者が車椅子60を操作するための操作フレーム106、及び要介護者の左右変位を規制するための左右一対のアーム部107を有する。
昇降具実装部105は、昇降具200が実装される実装基板105mを有する。実装基板105mは、下部棒部101よりも鉛直方向下方に位置付けられる。これにより、車椅子60の座部300をより低位置に位置付け可能である。実装基板105mは、図示のように2カ所で屈曲した棒部及びこの屈曲棒部を連結する補強棒部上に固定される。
操作フレーム106は、図示のように座部300及び背もたれ部400の後方に設けられる。操作フレーム106は、上部棒部102の後端部に連結した左右一対の縦棒部106mと、左右方向に延びて縦棒部106m同士を連結する横棒部106n、横棒部106nに取り付けられた左右一対のブレーキ操作部106rを有する。ブレーキ操作部106rの操作により車輪61の回転を制止できる。幾つかの場合、車椅子60にはディスクブレーキ機構が実装される。車椅子60の車輪61の制動の仕組み自体は公知であり、その詳細説明は省略する。
各アーム部107は、鉛直方向に沿う回転軸、端的には、操作フレーム106の縦棒部106mに関して旋回可能であり、前後方向に配向された第1姿勢と、左右方向に配向された第2姿勢を取り、第1姿勢と第2姿勢の間で旋回可能である。図示例のアーム部107は、縦棒部106mを周囲する筒部107m、筒部107mの上端部に一端が連結し、筒部107mの下端部に他端が連結したU字部107n、及び、オプションとして、U字部107nに設けられたクッション性のアームレスト107rを有する。別例においては、別形状のアーム部107が用いられる。
操作フレーム106に対してアーム部107を適切な姿勢及び高さで固定可能である。図3に示すように、各アーム部107の筒部107mには、操作フレーム106に対するアーム部107の位置を固定するためのロック具108が設けられる。また、縦棒部106mには、その周方向に複数の嵌合孔が設けられ、この嵌合孔群が上下方向に複数段設けられる。ロック具108の嵌合突起が、縦棒部106mの嵌合孔に嵌合することにより縦棒部106mに対してアーム部107が位置固定される。縦棒部106mの異なる嵌合孔にロック具364の嵌合突起を嵌合することにより、アーム部107の高さ及び配向を異ならせることができる。
図1に示すように車椅子60上からベッド20上に要介護者を移乗させる際、移乗先のベッド20寄りのアーム部107を前後方向から左右方向に配向及び固定させる。これにより、アーム部107が要介護者の一時的な背もたれ部として機能し、移乗過程で要介護者の姿勢を適切に支持することに資する。
図2に示すように座部300は、昇降具200を介して車体フレーム100の昇降具実装基板105mに実装される。昇降具200は、例えば、ガス又は油圧スプリングであり、ガス又はオイルが充填された本体チューブ及びピストンロッドを有する。昇降具200は、操作レバー(操作子)200iを具備し、この操作によりピストンロッドのロックが解除される。汎用のガス又はオイルスプリングは、本体チューブに対してピストンロッドが回転可能である。図示例では、昇降具200の本体チューブに対するピストンロッドの回転を阻止するための回転防止構造210が設けられる。
図示例の回転防止構造210は、図4に端的に図示のように、座部300側、端的には後述のベースプレート320の下面に固定された箱部(第1回転防止具)210mと、本体チューブを挟むように設けられた左右一対の壁部(第2回転防止具)210nを有する。箱部210m内に壁部210nが挿入されると、鉛直方向に直交する平面における箱部210mの回転が阻止され、従って、車体フレーム100に対する座部300の回転が阻止される。別例においては、箱部と壁部の配置関係が逆である。箱部及び壁部に例示される第1回転防止具と第2回転防止具の具体的な形状や、回転規制に至る相互の係合態様は任意である。
図2から良く理解されるように、座部300は、昇降具200のピストンロッドが連結されるベースプレート320、ベースプレート320に実装される移送機構340、及びベースプレート320に実装されるボード取り付け部360を有する。上述の背もたれ部400は、車体フレーム100ではなく座部300に対して枢動可能に設けられる。座部300に対して背もたれ部400を取り付けることにより、昇降具200の作動に基づいて座部300と一緒に背もたれ部400を上下させることができる。なお、図示例の背もたれ部400は、座部300に対して枢動可能に設けられた背もたれフレーム410と、背もたれフレームに対して張られたシート材420を有する。
座部300のベースプレート320は、例えば、金属製平板である。別例においては、金属以外の材料、例えば、樹脂、強化樹脂が部分的又は全体的に用いられる。移送機構340は、左右一対の回転軸部342と、左右一対の回転軸部342に無端状に巻き掛けられたシート材344を有する。各回転軸部342は、前後方向に延びる棒材であり、ベースプレート320上に回転可能に軸支される。説明の便宜上、左右一対の回転軸部342を第1及び第2回転軸部と呼ぶ場合がある。なお、別例においては、複数の移送機構が、ベースプレート上に設けられる。
シート材344は、第1回転軸部から第2回転軸部に向かって延びる上部領域と、第2回転軸部の外周に接触しながら半円弧状に延びて方向転換する第1反転領域と、第2回転軸部から第1回転軸部に向かって延びる下部領域と、第1回転軸部の外周に接触しながら半円弧状に延びて方向転換する第2反転領域を含む。シート材344が周方向に送られるため、上部領域、第1反転領域、下部領域、及び第2反転領域は、シート材344の一定部分により構成されない。シート材344は、強化繊維の織物又は編物又はこれらの複合品、又は樹脂シート、又はゴムシート等であり得る。
シート材344の上部領域の上面により車椅子60の座部300の座面が提供される。車椅子60の座部300の座面上に要介護者が直接的に着座することは必須ではない。幾つかの場合、移送具40を介して、また、幾つかの場合、移送具40のクッション座部を介して、要介護者は、車椅子60の座部300の座面に着座する。
図示例では、各回転軸部342は、ベースプレート320上に固定された軸支部322により回転可能に支持される。軸支部322は、ベアリングを含む。ベアリングの外輪がベースプレート320に対して又はベースプレート320側に対して固定され、ベアリングの内輪が回転軸部342に対して又は回転軸部342側に対して固定される。2本の回転軸部342の前端部及び後端部のため合計4個の軸支部322が設けられる。
座部300は、各回転軸部342に対して回転力を伝達可能に設けられる左右一対の回転力受け部326を有する。回転力受け部326は、図示例では、ベアリングの内輪又は回転軸部342に対して連結した六角ナットである。六角ナットを回転可能であるナット受け部を有する操作具381が用いられ、六角ナットを介して回転軸部342が回転させられる。端的には、前後方向に直交する平面において操作具381を回転軸部342に関して旋回することにより、回転軸部342を手動で回転し、シート材344を周方向に送ることができる。なお、確認までに述べれば、シート材344に関して述べる周方向は、回転軸部342の回転軸沿いに移送機構340を見る時、回転軸部342の回転によりシート材344が送られる時計回り又は反時計回りの方向を意味する。なお、回転力受け部326の具体的な構成は任意であり、別例においては、6角ナット以外の部品が用いられる。
図示例においては、ベースプレート320の前端部には前壁324が設けられる。上述の回転力受け部326が前壁324の孔内に設けられ、要介護者との接触が回避される。前壁324の前壁面が、操作具381の旋回を支持する支持面として機能する。
図3から良く理解できるように、座部300は、回転軸部342の回転を禁止するための回転禁止具328を更に有する。回転禁止具328は、ベースプレート320に対して固定される。回転禁止具328の作動により回転軸部342の回転が禁止され、望まない時に移送機構340が作動してシート材344が周方向に送られることを阻止できる。回転禁止具328は、例えば、回転軸部342に対して同軸に固定された六角ナットに嵌合するナット受け具を含む。回転禁止具328の操作子の操作により六角ナットとナット受け具の嵌合及び非嵌合状態を切り替え可能である。別形態においては、別の種類の回転禁止具が用いられる。
必ずしもこの限りではないが、図2から良く理解できるように、ボード取り付け部360は、移送機構340に対して左右方向において隣接して設けられる。スライディングボード80がボード取り付け部360に取り付けられる時、スライディングボード80は、左右方向において移送機構340に対して隣接して配置される。図示例では、ボード取り付け部360は、移送機構340の左右一方側に設けられる。別例においては、ボード取り付け部360は、移送機構340の左右両側に設けられる。
ボード取り付け部360は、鉛直方向上方に開口し、前後方向に長く延びる嵌合溝363が設けられた金属製又は樹脂製又はこれ以外の材料の構造体である。スライディングボード80に設けられた嵌合突片83が嵌合溝363に挿入され、これによりスライディングボード80がボード取り付け部360に対して取り付けられる。必ずしもこの限りではないが、スライディングボード80がボード取り付け部360に対して取り付けられる時、ボード取り付け部360の上面にスライディングボード80が載置される。
ボード取り付け部360には、ボード取り付け部360に対して取り付けられた状態のスライディングボード80をロックするためのロック具364が設けられる。ロック具364は、図示例では、ボード取り付け部360の嵌合溝363から外れないようにスライディングボード80の嵌合突片83をロックする。
図示例のロック具364は、ボード取り付け部360の左壁面に設けられ、ボード取り付け部360の壁部を貫通する貫通孔を介して嵌合溝363内に突出可能である突起を有する。嵌合溝363に挿入される嵌合突片83には1以上の嵌合孔が設けられる。嵌合溝363におけるロック具364の突起の突出及び非突出を切り替えることにより、嵌合突片83の1以上の嵌合孔とロック具364の突起の嵌合及び非嵌合を切り替えることができる。ロック具364は、例えば、インデックスプランジャである。別例においては、別の種類のロック具が用いられ、別態様でスライディングボード80がボード取り付け部360に対してロックされる。別例においては、2以上のロック具が用いられる。
図示例では、ボード取り付け部360には凹状嵌合部、つまり嵌合溝363が設けられ、スライディングボード80には凸状被嵌合部、つまり嵌合突片83が設けられる。別例においては、ボード取り付け部360には凸状嵌合部が設けられ、スライディングボード80には凹状被嵌合部が設けられる。
図7に示すようにボード取り付け部360に対してスライディングボード80が取り付けられる時、スライディングボード80が移送機構340に対して左方に隣接して配置される。座部300の座面を提供するシート材344の上面とスライディングボード80の上面が上下に重ならない態様で左右方向において隣接して配置される。
移乗に際しては、座部300の座面を提供する移送機構340のシート材344の上面上に予め移送具40が載置される。若しくは、車椅子60の座部300上に着座した要介護者の臀部と座部300の間に移送具40が挿入及び配置される。次に、移送具40上に要介護者が着座した状態で座部300上からスライディングボード80上に移るように移送具40が引かれる。移送具40が引かれる方向は、図1の図示例では左方である。しかしながら、別例においては、右方、前方、又は後方、又は鉛直方向に交差する任意の斜め方向であり得る。
図示例では、移送機構340の左方に隣接してスライディングボード80が配される。幾つかの場合、座部300の座面を提供する移送機構340のシート材344の上面とスライディングボード80の上面の鉛直方向沿いの間隔が僅かである。図7に示す場合、座部300の座面を提供するシート材344の上面とスライディングボード80の上面の間には僅かな隙間52が設けられるだけである。移送機構340とスライディングボード80の間の移送具40の円滑な移動が確保される。
幾つかの場合、移送具40が、座部300の移送機構340のシート材344上を摺動する時、移送具40によりシート材344が連行される。このシート材344の連行により、シート材344が周方向に送られ、また回転軸部342も受動的に回転する。移送機構340のシート材344と移送具40の間の接触抵抗により移送具40を引くことが重くなることが回避又は低減される。
スライディングボード80の上面は、凸凹がない平坦面である。従って、移送具40がスライディングボード80上に進入した後も移送具40の摺動は円滑である。要介護者は、移送具40に着座した状態のまま移送機構340上を左方に変位し、移送機構340上からスライディングボード80上へ移り、続いてスライディングボード80上を変位する。要介護者は、ベッド20上に移った後、座位を崩し、ベッド上に横たわることができる。
移乗に際して、上述の操作具381を旋回させることにより回転軸部342を手動で回転させ、シート材344を周方向に送ることができる。移送具40の初動に要する力が低減され、移送具40を引く介護者の負担が低減される。別例においては、電動モーターからの回転力が、上述の回転力受け部326に供給される。このような場合、車椅子60の座部300上で移送具40を引く労力が低減される。必ずしもこの限りではないが、幾つかの場合、移送具40を引く者と、操作具381を回転させる者、オプションとして要介護者の姿勢を支える者の2者又は3者協働により、要介護者の移乗を円滑化することができる。
幾つかの場合、一対の回転軸部342の間でシート材344が適当な張力で張られ、要介護者に対して快適な座面が提供される。しかしながら、要介護者の体重が重い場合などには、座部300の座面を提供するシート材344の上部領域の下方沈みが顕在化し得る。図示例においては、この点に鑑みて、車椅子60は、このシート材344の上部領域の下方沈みを阻止又は低減する手段390を有する。手段390は、下方沈みを阻止又は低減するユニット又は構造と読み替えて理解することもできる。
この手段390は、無端状のシート材344により周囲される位置に配される。図示例では、手段390は、図8の如く板バネ391を有し、この板バネ391の変形に応じてシート材344の上部領域の下方沈みを阻止又は低減する。板バネ391は、シート材344の上部領域の下方沈みを阻止するべく上方に突出する状態又は姿勢を取ることができる。別例においては、板バネ以外の手段が採用される。例えば、エアー注入により膨張可能な袋体が用いられ、これが、無端状のシート材344により周囲される位置に配される。このような場合においても同様の効果が得られる。なお、エアー吸引により袋体を縮小することができる。
図8及び図9の図示例においては、上述の下方沈み阻止又は低減手段390は、板バネ391、平板392、押動部材393、シャフト394、及び回転力受け部395を有する。回転力受け部395に対して操作具396を嵌合し、操作具396を旋回することにより回転力受け部395に回転力を供給することができる。回転力受け部395は、操作具396からの回転力を受けてシャフト394を前進させる。押動部材393がシャフト394の先端に固定されており、板バネ391の板端を押し、板バネ391が上方に突出した屈曲形状に撓む。板バネ391により上方に押された平板392がシート材344の上部領域の下方沈みを阻止又は低減する。操作具396を反対方向に旋回させれば、シャフト394が後退し、押動部材393も後退し、板バネ391が元形状に戻る。
移乗に際して、操作具396を旋回することにより板バネ391を上方に突出させ、シート材344の下方沈みを阻止又は低減することができる。必ずしもこの限りではないが、幾つかの場合、移送具40を引く者、又は操作具381を回転させる者、又はオプションとして要介護者の姿勢を支える者のいずれかが、予め事前に操作具396を旋回してシート材344の上部領域の下方沈みを低減又は阻止する状態を確保する。この状態で要介護者を移乗させることにより特に要介護者の身体的負担が低減される。
スライディングボード80の具体的形状や構成材料は様々であり得る。図10及び図11の図示例のスライディングボード80は、1カ所で屈曲した主ボード81と、ボード取り付け部360に対して主ボード81を取り付けるためのボード連結部82を有する。ボード連結部82には上述の嵌合突片83が設けられる。
ボード連結部82は、車椅子60から相対的に離れた位置にある遠位部82mと、車椅子60に対して相対的に近い位置にある近位部82nを有する。ボード連結部82の遠位部82m上に主ボード81の近位端部が積層され、ボルト及びナット等の締結具により両者が連結される。遠位部82mには、近位部82nの上面88に対して段下げされた段差面84が設けられる。主ボード81が段差面84に載置され、主ボード81の上面と近位部82nの上面88が面一になる。近位部82nには、遠位部82mの下面85に対して段下げされた段差面86が設けられる。嵌合突片83は、段差面86から下方に突出する。ボード連結部82の近位部82nの上下厚は、座部300の座面とスライディングボード80の上面の間の上下間隔を低減するために、より好適には両者を面一にするために適切に調整可能である。
主ボード81の上面と比較するとボード連結部82の上面は高い摩擦係数を有し得る。ボード連結部82の遠位部82m上への主ボード81の載置により、ボード連結部82の上面の露出面積が低減される。一例においては、主ボード81が樹脂製であり、ボード連結部82が金属製である。ボード連結部82に対して金属製の嵌合突片83が固定される。主ボード81の上面は低摩擦材によりコーティングされ、又は低摩擦材により被覆される。低摩擦材は、幾つかの場合、フッ素樹脂、フッ素繊維が織られた布等である。
図12の図示例の移送具40は、上面及び下面を有し、一方向に長尺である薄型基材41を含む。図12は、移送具40の薄型基材41の下面を示す。薄型基材41は、単層又は複層の断面構成を有し得る。例えば、薄型基材41は、その構成層として、高強度繊維、例えば、アラミド繊維が織られた1以上の基布を含む。幾つかの場合、薄型基材41は、可撓性を有し、折り曲げ又は丸めることができる。薄型基材41の両端部42には取手口43が設けられる。介護者は、取手口43に指を通し、移送具40を引くことができる。幾つかの場合、薄型基材41の両端部42が追加の層又は構造により補強される。別例においては、取手口43以外の形態、例えば、アーチ形状の取手が設けられる。
薄型基材41の下面には1以上の低摩擦材44が貼り合わせ固定される。図示例の場合、3つの低摩擦材44が用いられ、各低摩擦材44が薄型基材41の長手方向に長く延びる。低摩擦材44は、例えば、フッ素繊維製の布を含む。フッ素繊維は、フッ素樹脂から成る繊維である。これにより移送具40とスライディングボード80の上面の間の摺動抵抗が減じられ、移乗の円滑化が促進される。
上述の説明から理解されるように、スライディングボード80を用いた要介護者の移乗支援方法においては、
(I)少なくとも一対の回転軸部342にシート材344が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構340が設けられた座部300を有する車椅子60に対してスライディングボード80を取り付け、座部300の座面を提供するシート材344の上面とスライディングボード80の上面が上下で重ならない態様で隣接して配置されるステップと、
(II)シート材344の上面上に移送具40を載置するステップと、
(III)シート材344の上面上に移送具40を介して要介護者が着座した状態で、要介護者が座部300上からスライディングボード80上に移るように移送具40を引くステップを含む。
(I)〜(III)は順不定であるものと理解され、各ステップ間の時間的な間隔についても何らの制約がないものと理解される。例えば、ステップ(I)の前、ステップ(II)又は(III)が行われる。ある場合、ステップ(III)に際して、移送機構340のシート材344が移送具40に連行される。別の場合、回転軸部に対してモーター等から回転力が供給される。回転軸部の回転速度が低速であれば、同様、シート材344が移送具40に連行される。
また、移乗先、例えば、ベッド20上から車椅子60上に要介護者を移乗する場合、移乗支援方法は、
(IV)少なくとも一対の回転軸部342にシート材344が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構340が設けられた座部300を有する車椅子60に対してスライディングボード80を取り付け、座部300の座面を提供するシート材344の上面とスライディングボード80の上面が上下で重ならない態様で隣接して配置されるステップと、
(V)要介護者が座部300外からスライディングボード80を介して座部300上に移るように移送具40を引くステップを含む。
図13乃至図18に示す別の実施形態例においては、移送具40にはクッション座部46が設けられる。これにより、車椅子60の座部300上に移送具40を常時配置されることに対する違和感が低減され、また座り心地も高められる。図13から理解できるように、移乗支援方法については、図1乃至図12を参照して説明した実施形態例と同様に理解される。
移送具40に対するクッション座部46の組み込み態様は様々であり得る。図14及び図15の図示例においては、移送具40の薄型基材41の上面、特にその長手方向中央にクッション座部46が固定される。クッション座部46の上下厚は、薄型基材41の上下厚よりも大きい。クッション座部46は、任意の材質のフォーム材と、フォーム材を被覆する被覆材を含む。薄型基材41に対するクッション座部46の固定方法は、例えば、接着、縫着、融着等が想定される。
幾つかの場合、クッション座部46は、薄型基材41に対して着脱可能に設けられ、クッション座部の種類が変更可能である。例えば、クッション座部の中央に開口が設けられたトイレ仕様のクッション座部に交換可能である。薄型基材41及びスライディングボード80にも開口が設けられる。スライディングボード80を介して車椅子60上から洋式トイレの座部上に移送具40を移動し、要介護者も車椅子60上から洋式トイレの座部上に移動する。排泄物は、クッション座部46の開口、薄型基材41の開口、スライディングボード80の開口を通じて洋式トイレ内に落下する。
別形態においては、薄型基材41がクッション座部46の同寸法に形成され、移送具40の小型化が図られる。本実施形態例の薄型基材41の下面にも低摩擦材44が設けられ、図1乃至図12を参照して説明した実施形態例と同様の効果が得られる。
図16から理解できるように、アーム部107が前後方向に配向される時、アーム部107は、クッション座部46の左右方向の変位を規制することに貢献する。幾つかの場合、座部300の座面上における移送具40の変位を規制するための手段が設けられる。この手段は、例えば、ファスニング部品、例えば、面ファスナー、スライドファスナー、スナップボタン、バックル等を含むことができる。例えば、移送具40(例えば、薄型基材41又はクッション座部46)と移送機構340(例えば、シート材344)がファスニング部品により連結される。別例では、移送具40とベースプレート320がファスニング部品により連結される。このようにして座部300上における移送具40、特にクッション座部46の変位が規制される。なお、シート材344の周方向の変位は、回転禁止具328の作動により阻止することができる。
図1乃至図12を参照して説明した実施形態例においては、車椅子60の座部300の座り心地が、一対の回転軸部342の間でシート材344が適切な張力で張られることにより確保される。他方、本実施形態例においては、移送具40のクッション座部46により快適な座り心地が確保される。従って、車椅子60の座部300自体の座り心地を低減することが許容される。本実施形態例では、図17に示すようにシート材344の上部領域の下方沈みを低減又は阻止する手段390として、ベースプレート320に対して固定された構造体、図示例では平板399が用いられる。これによりクッション座部46の下方沈みが好適に抑制される。
平板399は、上述の場合と同様、シート材344により周囲される位置に配される。平板399は、ベースプレート320の上面よりも所定高さだけ高くに位置付けられ、ベースプレート320の上面に対して一定間隔を空けて対向配置される。図示例の平板399は、ベースプレート320の前壁324の上面と、ベースプレート320のスペーサー部325の上面に載置及び固定される。
図示例の移送具40の薄型基材41は、図1乃至図12を参照して説明した実施形態例と同様に長尺であり、車椅子60の通常の移動に際しては邪魔になり得る。本実施形態例では、座部300が車体フレーム100に対して上下変位可能であり、ベースプレート320と車体フレーム100の間には隙間が存在する。図18から理解できるように、薄型基材41の各端部42を座部300と車体フレーム100の間の隙間を介して座部300の下方に配することができる。より端的には、薄型基材41の端部42が、ベースプレート320の下面と、車体フレーム100の棒部(上部棒部102、上部横棒部104)の間に配される。
幾つかの場合、薄型基材41の各端部42をベースプレート320に対して磁着することができる。別の場合、ベースプレート320に対して各端部42をファスニング部品を介して連結することができる。
図19及び図20に示す形態においては、移送具40を、第1領域40j、中央領域40k、及び第2領域40hに分割可能である。端的には、第1領域40jと中央領域40kがファスニング部品、図示例では、スライドファスナー47により連結及び分離可能である。同様に、第2領域40hと中央領域40kがファスニング部品、図示例では、スライドファスナー47により連結及び分離可能である。
第1及び第2領域40j、40hは、移送に際して移送具40を引くためにのみ用いられ、それ以外の場合は不要である。スライドファスナー47により中央領域40kに対して第1及び第2領域40j、40hを連結及び分離可能とし、車椅子60の通常の外見や操作性が妨害されることが抑制される。この場合も、座部300の座面上における移送具40、特に中央領域40k及びクッション座部46の変位を規制するための手段が設けられ得る。
図21乃至図33を参照して移乗支援方法と、これに用いられる車椅子、スライディングボード、及び移送具の更なる形態例について記述する。本実施形態例においても、上述の様々な実施形態例について記述したものと同様の移乗支援方法が実施され得る。すなわち、本実施形態例に係る移乗支援方法は、上述の(I)〜(III)のステップ、及び/又は、上述の(IV)及び(V)のステップを含み得る。本実施形態例においては、上述の車椅子、スライディングボード、及び移送具とは異なるように構成された車椅子、スライディングボード、及び移送具が用いられ得る。このような場合においても、相違点に起因する効果を除いて、上述と同様の効果が達成され得る。
図21、図22、及び図31の参照から良く分かるように、本実施形態においても、スライディングボード80の上面が、座部300の座面を提供するシート材344の上面に上下で重ならない態様で隣接して配置可能である。車椅子60、より端的には座部300に対するスライディングボード80の取り付けに関して、上述の実施形態においては、ボード取り付け部360が移送機構340に隣接して設けられるが、本実施形態においては、ボード取り付け部360は、移送機構340に組み込まれる。このような場合においても、この相違点に起因する効果を除いて、上述と同様の効果が達成され得る。
スライディングボード80の上面が、座部300の座面を提供するシート材344の上面に上下で重ならない態様で隣接して配置される限りにおいて、ボード取り付け部360は任意の様々な位置に配され、任意の様々な形状を取り得る。ボード取り付け部360の個数も適切に決定される。ボード取り付け部360は、任意の様々な素材から構成され得、例えば、金属板や樹脂部を含み得る。
図示例を含む幾つかの実施形態においては、ボード取り付け部360は、移送機構340の構成部材に凸設又は凹設され、図22の図示例では、移送機構340の壁部349に凸設又は凹設される。図22の図示例を含む幾つかの場合、ボード取り付け部360は、移送機構340の壁部349に凹設される。ボード取り付け部360が移送機構340の壁部349に凸設される場合に生じ得る座部300に着座した要介護者との干渉が回避され得る。スライディングボード80には1以上の嵌合部が設けられ、ボード取り付け部360には嵌合部が嵌合する1以上の被嵌合部が設けられる。スライディングボード80の嵌合部とボード取り付け部360の被嵌合部が嵌合し、スライディングボード80とボード取り付け部360の連結が達成される。スライディングボード80とボード取り付け部360の連結は、実施形態に依存して、スライディングボード80の変位を許容せず、又は、スライディングボード80の変位を許容する。
図22の図示例を含む幾つかの場合、移送機構340は、回転軸部342が回転可能に取り付けられた1以上の壁部349を有する。壁部349には1以上のボード取り付け部360が設けられる。図22の図示例を含む幾つかの場合、移送機構340は、回転軸部342が回転可能に取り付けられた2つの壁部349を有する。2つの壁部349は、前壁部349mと後壁部349nを含む。前壁部349m及び後壁部349nの左右の端部にはボード取り付け部360が設けられる。回転軸部342は、幾つかの場合、ベアリングを介して壁部349に取り付けられる。例えば、ベアリングの内輪が回転軸部342に固定され、ベアリングの外輪が壁部349に対して固定される(逆の場合も想定される)。
前壁部349mと後壁部349nは、各々、左右方向に延びる平板部であり、回転軸部342に巻き掛けられたシート材344を挟むように設けられる。前壁部349mと後壁部349nは、各々、シート材344の前後方向の変位を規制し得る。前壁部349mが金属平板から成る幾つかの場合、要介護者の肌がそこに接触する際に要介護者が感じる冷感を防止する冷感防止材が前壁部349mの前面上に配備され得る。
図示例を含む幾つかの実施形態においては、ボード取り付け部360は、スライディングボード80の枢動を許容するように構成される。上下方向における座部300の位置、つまり座部300の高さは、昇降具200の操作により適切に決定することができる。しかしながら、要介護者の移乗の都度、座部300の高さ調整をすることは煩雑となり得る。かかる観点から、図示例を含む幾つかの実施形態においては、ボード取り付け部360は、スライディングボード80の枢動を許容するように構成される。スライディングボード80が、座部300の座面を提供するシート材344の上面と移乗先、例えば、ベッド20の上面の間で傾斜することができ、これにより、座部300の高さ調整の必要性を解消又は低減することができる。
上述の実施形態においては、移送機構340及びボード取り付け部360は、ベースプレート320に対して相対的に変位不能である。他方、本実施形態においては、移送機構340及びボード取り付け部360は、ベースプレート320に対して相対的に変位可能である。図示例を含む幾つかの場合、移送機構340が、ベースプレート320に対して相対的に変位可能である。移送機構340に対して組み込まれるボード取り付け部360も、ベースプレート320に対して相対的に変位可能である。かかる場合、要介護者の移乗に際して要介護者が着座した移送具40を引く距離が短縮化され得る。図示例を含む幾つかの実施形態においては、移送機構340及びボード取り付け部360は、左右方向においてベースプレート320に対して相対的に変位可能である。
上述の実施形態とは異なり、本実施形態に係る移送機構340は、ベースプレート320上に移動可能に実装される。図示例を含む幾つかの実施形態においては、移送機構340は、ベースプレート320上に1以上のリニアガイド371を介して実装される(図26参照)。幾つかの場合、リニアガイド371は、左右方向に延びる。幾つかの場合、リニアガイド371は、レールと、レール上を移動するスライダーを含む。レールは左右方向に延びる。スライダーは、レール上を左右方向に移動する。ある一例では、レールがベースプレート320に対して固定され、スライダーが移送機構340に対して固定され得る。別例では、レールが移送機構340に対して固定され、スライダーがベースプレート320に対して固定され得る。
図示例を含む幾つかの実施形態においては、車椅子60及び/又は座部300は、移送機構340をベースプレート320に対して相対的に変位させるためのリニアアクチュエータ372を更に備える(図23等参照)。リニアアクチュエータ372の作動に応じて移送機構340が左右方向に動かされる。図23は、初期位置にある移送機構340を実線にて示し、左端位置にある移送機構340を破線で示す。図24は、左端位置にある移送機構340を実線で示す。リニアアクチュエータ372の作動に応じて移送機構340が移送先寄りに動かされ、同様、移送具40を介して移送機構340上に着座している要介護者も移送先寄りに動かされる。要介護者の移乗のために移送具40を引く距離が短縮化され、要介護者の移乗作業の負担が軽減され得る。移乗先から車椅子60上に要介護者を移す場合も同様の効果が得られる。
図示例を含む幾つかの実施形態においては、移送機構340は、一対の車輪61の最小幅Wmin61よりも大きく、一対の車輪61の最大幅Wmax61よりも小さい幅を有する。図23から分かるように、移送機構340の左右幅W340は、左右一対の車輪61の最小左右幅Wmin61よりも大きく、左右一対の車輪61の最大左右幅Wmax61よりも小さい。移送機構340は、初期位置にある時、各車輪61上に亘り設けられる。移送機構340の左端部が左側車輪61上に配され、移送機構340の右端部が右側車輪61上に配される。座部300の座面の十分な左右幅が確保され、また、移送機構340が左右方向に動く際の要介護者の安定性が高められる。
図示例を含む幾つかの実施形態においては、移送機構340は、左端位置にある時、左側車輪61よりもベースプレート320から左方に遠くに位置する(図24参照)。図示は省略するが、移送機構340は、右端位置にある時、右側車輪61よりもベースプレート320から右方に遠くに位置する。図示例を含む幾つかの実施形態においては、移送機構340は、リニアアクチュエータ372の作動に応じて各車輪61上を横切り、車輪61よりも左右方向外側まで移動する。左右方向外側は、左右方向における車椅子60の中心から左方又は右方に離れる方向を意味する。移送機構340がリニアアクチュエータ372の作動に応じて一方の車輪61上のみを横切る場合も想定される。
上述の実施形態と同様、車椅子60上からベッド20上に要介護者を移乗させる際、移乗先のベッド20寄りのアーム部107が前後方向から左右方向に配向及び固定される。アーム部107は、要介護者の移動の障害物としてではなく要介護者を支える支持具として機能する。
以下、図面を参照しつつより詳細に記述する。図示例を含む幾つかの実施形態においては、図22に示すように、車椅子60は、一対の車輪61が回転可能に設けられた車体フレーム100と、車体フレーム100に対して昇降具200を介して実装された座部300と、座部300、より詳細には後述のベースプレート320に対して枢動可能に設けられた背もたれ部400を含み、更に、別体として、図21に図示した移送具40を有する。背もたれ部400が、座部300ではなく車体フレーム100に対して枢動可能に設けられる別例も想定される。
図25及び図26を参照して図示例を含む幾つかの例に係る座部300の構成例について記述する。座部300は、ベースプレート320、移送機構340、リニアガイド371、及びリニアアクチュエータ372を含む。移送機構340は、ベースプレート320の上面にリニアガイド371を介して実装される。リニアアクチュエータ372は、ベースプレート320の下面に対して実装又は位置付けられる。リニアアクチュエータ372によって移送機構340が左右方向に動かされる。
移送機構340は、一対の回転軸部342、駆動ロール343、一対の回転軸部342に無端状に巻き掛けられたシート材344、テンションロール346、上側平板347、下側平板348、及び壁部349を有する。図示例を含む幾つかの場合、一対の回転軸部342、駆動ロール343、テンションロール346が、上述した前壁部349mと後壁部349nの間で回転可能に設けられる。端的には、一対の回転軸部342、駆動ロール343、テンションロール346が、前壁部349mと後壁部349nにより回転可能に軸支される。一対の回転軸部342、駆動ロール343、テンションロール346は、いずれも前後方向に沿う回転軸を有する。各回転軸部342の回転軸は、鉛直方向に直交する共通の平面に存在する。駆動ロール343の回転軸やテンションロール346の回転軸は、回転軸部342の回転軸が存在する平面に対して平行な別の平面に存在する。なお、実施形態によっては、駆動ロール343の軸長やテンションロール346の軸長が、回転軸部342の軸長とは異なり得る。
駆動ロール343は、少なくとも一対の回転軸部342の間に設けられる。駆動ロール343の回転に応じてシート材344が周方向に送られる。駆動ロール343は、座部300の座面を提供するシート材344の上部領域以外の領域、例えば、下部領域に対して係合及び接触する。駆動ロール343は、座部300の後方、ベースプレート320の後方に取り付けられた駆動源343pからの動力に応じて回転する。テンションロール346は、シート材344に対して張力を付与するロールである。テンションロール346もシート材344の上部領域以外の領域、例えば、下部領域に接触する。上側平板347は、シート材344により包囲される。他方、下側平板348は、シート材344により包囲されない。上側平板347は、座部300の座面を提供するシート材344の上部領域の直下に配され、シート材344の下方沈みを阻止する。下側平板348は、ベースプレート320に対面する。下側平板348とベースプレート320がリニアガイド371を介して結合する。
図示例を含む幾つかの場合、2つのテンションロール346が駆動ロール343を挟むように設けられる。回転軸部342と駆動ロール343の間でシート材344がテンションロール346により上方に押される。シート材344は、回転軸部342からテンションロール346に向けて上り傾斜し、テンションロール346から駆動ロール343に向けて下り傾斜する。テンションロール346を採用する以外の方法でシート材344に対して張力を付与することも想定される。
幾つかの場合、シート材344と駆動ロール343間で凸部と凹部が係合し、これにより、駆動ロール343の軸方向におけるシート材344の変位が回避又は抑制される。代替又は追加的に、シート材344と回転軸部342間で凸部と凹部が係合し、及び/又は、シート材344とテンションロール346間で凸部と凹部が係合し得る。
リニアアクチュエータ372は、図示例では、シリンダーであり、シリンダー本体372mに対してロッド372nが変位可能である。シリンダーのロッド372nの先端部は、連結具373を介して移送機構340の下側平板348に対して連結される。リニアアクチュエータ372は、ぼーるネジ等の他の種類のリニアアクチュエータであり得る。リニアアクチュエータ372がぼーるネジの場合、ぼーるネジのナット部が移送機構340の下側平板348に対して連結される。1以上のリニアアクチュエータ372が採用される別例も想定される。
ベースプレート320は、リニアアクチュエータ372と移送機構340の連結を許容するように形状付けられる。図示例では、リニアアクチュエータ372と移送機構340がベースプレート320よりも前方で結合し、つまり、連結具373がベースプレート320の前方に位置する。この場合、ベースプレート320の前端部320mが前壁部349mよりも後方に位置する。別例では、リニアアクチュエータ372と移送機構340がベースプレート320の後方で結合し、つまり、連結具373がベースプレート320の後方に位置する。この場合、ベースプレート320の後端部320nが後壁部349nよりも前方に位置する。更なる別例では、リニアアクチュエータ372と移送機構340がベースプレート320の開口内で結合し、つまり、連結具373がベースプレート320の開口内に位置する。移送機構340が初期位置にある時(図23参照)、ベースプレート320上には移送機構340が配され、ベースプレート320を上方から視認することができない。移送機構340が左端位置にある時(図24参照)、移送機構340の移動に応じてベースプレート320の一部、つまりは右側部分が上方に露出する。移送機構340が右端位置にある時(不図示)、移送機構340の移動に応じてベースプレート320の一部、つまりは左側部分が上方に露出する。
リニアアクチュエータ372は、電動リニアアクチュエータであり得る。リニアアクチュエータ372は、ベースプレート320の下方に配された駆動源372p、例えば、電動モーターから供給される動力に応じて作動する。リニアアクチュエータ372は、ブラケット372bを介してベースプレート320に対して取り付けられる。移送機構340が初期位置にある時、リニアアクチュエータ372上には移送機構340が配され、リニアアクチュエータ372を上方から視認することができない。移送機構340が右端位置にある時、リニアアクチュエータ372上には移送機構340が配され、リニアアクチュエータ372を上方から視認することができない。移送機構340が左端位置にある時、リニアアクチュエータ372の一部が上方から視認され得る。
図示例を含む幾つかの場合、車椅子60は、昇降具200を駆動するための第1駆動源200pと、駆動ロール343を駆動するための第2駆動源343pと、リニアアクチュエータ372を駆動するための第3駆動源372pと、各駆動源200p,343p,372pを制御するためのコントローラ900を有する。第1乃至第3駆動源のいずれか一つ又は二つが採用される別例も想定される。車椅子60は、左側車輪61を回転するための第4駆動源、及び/又は、右側車輪61を回転するための第5駆動源を有し得る。幾つかの駆動源が一つの駆動源に統合される形態も想定される。
コントローラ900は、有線又は無線にて各駆動部に対して通信可能に接続される。コントローラ900は、ボタン、キーボード、ジョイスティック、コントロールローラ、コントロールボールといった様々な入力装置を有する。要介護者又は介護者は、コントローラ900の入力装置を操作し、コントローラ900は、これに応じて様々な指令を生成する。コントローラ900は、ハードウェア又はソフトウェア又はこれら両方に基づいて構築され得る。コントローラ900が音声認識装置を含む場合、音声認識装置により識別される音声に応じた制御指令がコントローラ900で生成される。コントローラ900は、スマートフォン、タブレット端末、スマートウォッチなどの電子機器により代替され得る。
各駆動源200p,343p,372pは、コントローラ900から供給される指令に応じて作動する。各駆動源200p,343p,372pは、図示例を含む幾つかの場合、電動モーターである。車椅子60に実装されるバッテリー又は商用電源から供給される電力に応じて電動モーターが作動する。各電動モーターで生成される動力は、各々、昇降具200、駆動ロール343、リニアアクチュエータ372に供給される。コントローラ900は、昇降具200、駆動ロール343、リニアアクチュエータ372に個別に指令を供給する。要介護者又は介護者は、コントローラ900の操作により座部300の高さを簡単に設定できる。要介護者又は介護者は、コントローラ900の操作により適切なタイミングで移送機構340のシート材344を周方向に回転させることができる。要介護者又は介護者は、コントローラ900の操作により適切なタイミングで移送機構340を左方又は右方へ変位させることができる。
車椅子60は、上述の実施形態に係る車椅子と以下の点で異なる。車体フレーム100の各上部棒部102は、前後方向において2カ所で屈曲している。前側の縦棒部103は、その上端が後方に向くように湾曲している。背もたれ部400の背もたれフレーム410に対して左右一対のハンドル部106pと、左右一対のブレーキ操作部106rが取り付けられる。背もたれ部400のフレームの上部棒部415に対してコントローラ900を掛けることが可能である。
アーム部107は、上述の実施形態とは異なり、座部300のベースプレート320に対して取り付けられる。アーム部107は、鉛直方向に沿う回転軸に関して旋回可能であり、前後方向に配向された第1姿勢と、左右方向に配向された第2姿勢を取り、第1姿勢と第2姿勢の間で旋回可能である。アーム部107は、鉛直方向沿いに延びる縦棒部107aと、鉛直方向に交差及び/又は直交するように延びる横棒部107bと、縦棒部107aと横棒部107bを連結する連結棒107cを有する。横棒部107bにクッション性のアームレスト107rが設けられる。別例においては、別形状のアーム部107が用いられ得る。幾つかの場合、アーム部107のアームレスト107rの高さが調整可能である。
本実施形態においては、上述の実施形態のスライディングボード80と比較して小型なスライディングボード80が採用される。スライディングボード80を小型とすることによりスライディングボード80を持ち運び可能とすることが許容される。
上述のように、スライディングボード80には1以上の嵌合部が設けられ、ボード取り付け部360には嵌合部が嵌合する1以上の被嵌合部が設けられる。図示例を含む幾つかの場合、嵌合部及び被嵌合部は、嵌合突起及び嵌合孔の一方及び他方である。図示例を含む幾つかの場合、スライディングボード80は、第1及び第2嵌合突起83m,83nを有する。ボード取り付け部360は、スライディングボード80の第1及び第2嵌合突起83m,83nが個別に嵌合可能である第1及び第2嵌合孔363m,363nを有する。第1及び第2嵌合突起83m,83nがボード取り付け部360に設けられ、第1及び第2嵌合孔363m,363nがスライディングボード80に設けられる別例も想定される。
第1嵌合突起83mと第1嵌合孔363mの嵌合によりスライディングボード80の回転軸の位置が定められる。第2嵌合孔363nは、第1嵌合孔363m回りに及び/又はスライディングボード80の回転軸回りに弧状に延びる。従って、第2嵌合突起83nと第2嵌合孔363nの嵌合は、図29及び図30に示すようなスライディングボード80の枢動を許容する。
図29は、スライディングボード80が鉛直方向沿いに配向された状態を示す。図30は、スライディングボード80が鉛直方向に直交する左右方向に配向された状態を示す。図29に示すように、上方に向けて開口した第1嵌合孔363mの導入口を介して、第1嵌合孔363mに第1嵌合突起83mが挿入され、上方に向けて開口した第2嵌合孔363nの導入口を介して、第2嵌合孔363nに第2嵌合突起83nが挿入される。図29に示す直立姿勢から図30に示す水平姿勢にスライディングボード80が枢動する時、スライディングボード80が第1嵌合孔363mと第1嵌合突起83mの嵌合から定まる回転軸回りに枢動する。スライディングボード80の枢動に際して、第2嵌合孔363nから構成された弧状通路内を第2嵌合突起83nが進行する。第2嵌合突起83nが、第2嵌合孔363nから構成された弧状通路の終端部に到達することは必須ではない。図30から分かるように、第2嵌合突起83nが、第2嵌合孔363nから構成された弧状通路の終端部に到達するとすれば、スライディングボード80は左斜め下に傾斜する傾斜姿勢を取る。
ボード取り付け部360に取り付けられたスライディングボード80は逆方向に枢動され、ボード取り付け部360から取り外される。ボード取り付け部360に対するスライディングボード80の取り付け状態は、ロック具なしで実現可能である。
図示例を含む幾つかの場合、前側のボード取り付け部360が、移送機構340の前壁部349mに設けられ、後側のボード取り付け部360が、移送機構340の後壁部349nに設けられる。つまり、幾つかの場合、移送機構340は、前後一対のボード取り付け部360を有する。図示例を含む幾つかの場合、スライディングボード80又はボード取り付け部360に設けられる複数の嵌合突起が異なる径の柱状部である。図示例を幾つかの場合、大径の嵌合突起が上述の第1嵌合突起として機能し、第1嵌合孔と共にスライディングボード80の回転軸を定める。
図示例を含む幾つかの場合、スライディングボード80は、図28乃至図30から分かるように、平板状の主ボード81と、ボード取り付け部360に対して主ボード81を機械的に取り付けるための1以上のボード連結部82を有する。スライディングボード80が図30に示すように移送機構340に対して取り付けられる時、スライディングボード80の主ボード81の上面が、座部300の座面を提供する移送機構340のシート材344の上面に隣接して配置される。スライディングボード80が図30に示すように移送機構340に対して取り付けられる時、ボード連結部82は、移送機構340の前方又は後方に配され、移送機構340との干渉が回避される。端的には、前側のボード連結部82は、前壁部349mの前隣りに配され、後側のボード連結部82は、後壁部349nの後隣りに配される。スライディングボード80は、上述の前後一対のボード取り付け部360に対応して一対のボード連結部82を有する。スライディングボード80が1つのボード連結部82のみを有する別形態も想定される。スライディングボード80が3つ以上のボード連結部82を有する別形態も想定される。
図示例を含む幾つかの場合、上述の実施形態と同様、図31に示すように、スライディングボード80を移送機構340と移送先、例えば、ベッド20の間に架け渡し、移送具40(不図示)を用いて、又は、移送具40を用いることなく、要介護者(不図示)を座部300上からベッド20上に送り出すことができる。スライディングボード80が鉛直方向に直交する左右方向において車椅子60の座部300に対して取り付けられる。また、車椅子60のアーム部107が鉛直方向に直交する前後方向から左右方向に配向及び固定される。アーム部107が移動中の要介護者の背中を支える支持具として機能する。
図示例を含む幾つかの場合、スライディングボード80が車椅子60に対して枢動可能に取り付けられる。昇降具200を調整することの手間が回避又は低減され得る。
図示例を含む幾つかの場合、図32に示すように、スライディングボード80を用いることなく、要介護者(不図示)が座部300上から移送先、例えば、ベッド20へ、送り出すことができる。移送機構340及びスライディングボード80が、鉛直方向に直交する左右方向において一緒に変位可能である。また、移送機構340は、上述の第3駆動源372pからの動力によって鉛直方向に直交する左右方向に動かされる。リニアアクチュエータ372の作動により移送機構340が左方又は右方に送り出され、移送機構340を移送先のベッド20等に横付けすることが許容される。スライディングボード80の使用が回避され、スライディングボード80を取り付ける手間が回避される。
図示例を含む幾つかの場合、移送具40が引かれる際、上述の第2駆動源343pからの動力によって移送具40が載置されたシート材344の上部領域が、移送具40が引かれる方向と同一方向に送られる。要介護者が座部300上から移乗先、例えば、ベッド20上に移る際、又は、要介護者がベッド20上から座部300上に移る際、要介護者の初動に要する力が低減され、座部300上からスライディングボード80上への要介護者の移動が円滑化される。
図示例を含む幾つかの場合、図33に示すように、移送具40は、移送機構340のシート材344に対して着脱可能に面着される。例えば、面ファスナーの雄材及び雌材の一方がシート材344に設けられ、又は含められる。また、面ファスナーの雄材及び雌材の他方が移送具40に設けられ、又は含められる。雄材は、フックであり、雌材は、ループであり得る。移送機構340のシート材344に対して移送具40を面着することにより、移送機構340のシート材344と移送具40間の滑りが解消又は低減される。上述のように第2駆動源343pからの動力により移送機構340のシート材344が送られる際、第2駆動源343pからの動力に応じてシート材344に面着した移送具40も移動する。車椅子60上から移送先又は移送先から車椅子60上への要介護者の初動に要する労力が低減され得る。
図示例を含む幾つかの場合、移送具40は、雄材が配された1以上の係合領域45を有する(図33参照)。移送機構340のシート材344は、雄材が係合可能な素材を含む。移送機構340のシート材344に対して移送具40の係合領域45が面着されることによりシート材344と移送具40を連結することができる。図33の図示例を含む幾つかの場合、移送具40の長手方向の中央の低摩擦材44を挟むように係合領域45が設けられる。係合領域45には雄材、つまりは係合突起が2次元状に配される。シート材344は、雌材が外面に貼り付けられ、又は、不織布を外面に有し、又は、不織布から成る。係合領域45の雄材が、シート材344の外面の不織布のループといった雌材に係合する。雄材や雌材の具体的な構成や密度は、当業者により適切に設定される。
幾つかの場合、移送具40は、要介護者のズボン又はスカートに対して着脱可能である。要介護者とズボン又はスカートと移送具40の上面が、面ファスナー又はベルトといった任意の様々な締結手段により締結され得る。このような場合、要介護者がトイレの座部上に着座した状態でズボン又はスカートを脱衣する際、移送具40がズボン又はスカートに連行される。移送具40をトイレの座部上から除去する手間が解消又は低減される。
移乗先、例えば、ベッド20上から車椅子60上に要介護者を移乗する場合、移乗支援方法は、上述の(IV)及び(V)のステップを含む。この移乗支援方法は、シート材344に対して移送具40を着脱可能に取り付けるステップを更に含み得る。シート材344と移送具40の滑りが解消又は低減される。シート材344に対して移送具40を着脱可能に取り付けるステップは、シート材344の上面に移送具40を面着するステップを含み得る。更には、要介護者が座部300外から座部300上に移るように移送具40が引かれる際、駆動源343pからの動力によって、シート材344の上部領域が、移送具40が引かれる方向と同一方向に送られ得る。要介護者の初動に要する労力が低減され得る。
上述の教示を踏まえると、当業者をすれば、各実施形態に対して様々な変更を加えることができる。請求の範囲に盛り込まれた符号は、参考のためであり、請求の範囲を限定解釈する目的で参照されるべきものではない。別例においては、移送機構のシート材が左右方向ではなく前後方向又は斜め方向に送られる。別例においては、スライディングボードに傾斜面を設け、車椅子の座部上からベッド上への移乗が更に簡単になる。別例においては、移送機構のシート材に複数の開口が設けられ、改善された通気性が提供される。
上述の記述において言及された各特徴は、他の特徴とは無関係に独立した特徴として把握され得る。「幾つかの実施形態において」、「幾つかの場合」、「幾つかの例」といった表現によって、そこで述べられた特徴が、他の特徴とは無関係に把握され、また、不開示の様々な実施形態においても通用することが明示される。「図示例を含む幾つかの実施形態」、「図示例を含む幾つかの場合」といった表現は、様々な実施形態又は場合において非限定の図示例が含まれることを明示する。
例えば、本開示では、座部(300)の座面を提供するシート材(344)の上面とスライディングボード(80)の上面が上下で重ならない態様で隣接して配置されることが一貫して開示されている。しかしながら、上述の記述において言及された他の特徴は、この特徴とは無関係に独立して把握され得る。つまり、本開示には、次の発明も開示されている。
−付記1−
スライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗支援方法であって、
少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付けるステップと、
前記シート材(344)に対して移送具(40)を着脱可能に取り付けるステップと、
前記シート材(344)の上面上に前記移送具(40)を介して要介護者が着座した状態で、前記要介護者が前記座部(300)上から前記スライディングボード(80)上に移るように前記移送具(40)を引くステップを含む、移乗支援方法。
−付記2−
前記シート材(344)に対して移送具(40)を着脱可能に取り付けるステップは、前記シート材(344)の前記上面に移送具(40)を面着するステップを含む、付記1に記載の移乗支援方法。
−付記3−
前記要介護者が前記座部(300)上から前記スライディングボード(80)上に移るように前記移送具(40)が引かれる際、駆動源(343p)からの動力によって前記移送具(40)が載置された前記シート材(344)の上部領域が、前記移送具(40)が引かれる方向と同一方向に送られる、付記1又は2に記載の移乗支援方法。
−付記4−
前記スライディングボード(80)が鉛直方向に直交する左右方向において前記車椅子(60)の前記座部(300)に対して取り付けられ、
前記車椅子(60)のアーム部(107)が前記鉛直方向に直交する前後方向から前記左右方向に配向及び固定される、付記1乃至3のいずれか一項に記載の移乗支援方法。
−付記5−
前記スライディングボード(80)が前記車椅子(60)に対して枢動可能に取り付けられる、付記1乃至4のいずれか一項に記載の移乗支援方法。
−付記6−
前記移送機構(340)及び前記スライディングボード(80)が、鉛直方向に直交する左右方向において一緒に変位可能である、付記1乃至5のいずれか一項に記載の移乗支援方法。
−付記7−
前記移送機構(340)は、駆動源(372p)からの動力によって鉛直方向に直交する左右方向に動かされる、付記1乃至6のいずれか一項に記載の移乗支援方法。
−付記8−
スライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗支援方法であって、
少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付るステップと、
前記シート材(344)に対して移送具(40)を着脱可能に取り付けるステップと、
前記要介護者が前記座部(300)外から前記スライディングボード(80)を介して前記座部(300)上に移るように移送具(40)を引くステップを含む、移乗支援方法。
−付記9−
前記シート材(344)に対して移送具(40)を着脱可能に取り付けるステップは、前記シート材(344)の前記上面に移送具(40)を面着するステップを含む、付記8に記載の移乗支援方法。
−付記10−
前記要介護者が前記座部(300)外から前記座部(300)上に移るように前記移送具(40)が引かれる際、駆動源(343p)からの動力によって、前記シート材(344)の上部領域が、前記移送具(40)が引かれる方向と同一方向に送られる、付記8又は9に記載の移乗支援方法。
60 車椅子
80 スライディングボード
300 座部
340 移送機構
342 回転軸部
344 シート材

Claims (14)

  1. スライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗支援方法であって、
    少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付けるステップと、
    前記移送機構(340)の前記シート材(344)上に移送具(40)を配置するステップと、
    前記座部(300)上から前記スライディングボード(80)上に向かう方向又はこれとは反対方向に前記移送具(40)が移動することと前記シート材(344)が周方向に回動することが連動する態様で、前記移送具(40)を動かし、及び/又は前記シート材(344)を周方向に回動させるステップを含む、移乗支援方法。
  2. 前記移送機構(340)の前記シート材(344)上に移送具(40)を配置するステップは、前記移送機構(340)の前記シート材(344)に対して移送具(40)を面着するステップを含む、請求項1に記載の移乗支援方法。
  3. 前記移送具(40)は、複数の雄材が配された1以上の係合領域(45)を有し、前記シート材(344)は、前記雄材が係合可能な素材を含む、請求項1又は2に記載の移乗支援方法。
  4. 前記移送具(40)は、前記係合領域(45)と、これに隣接する低摩擦材(44)を有する可撓性の薄型基材(41)を含む、請求項3に記載の移乗支援方法。
  5. 前記スライディングボード(80)が前記車椅子(60)に対して枢動可能に取り付けられる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の移乗支援方法。
  6. 前記移送機構(340)及び前記スライディングボード(80)が、鉛直方向に直交する左右方向において一緒に変位可能である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の移乗支援方法。
  7. 少なくとも一対の車輪(61)が設けられた車体フレーム(100)と、
    前記車体フレーム(100)に対して実装された座部(300)を備える車椅子(60)であって、
    前記座部(300)は、少なくとも一つの移送機構(340)と、スライディングボード(80)が取り付けられるボード取り付け部(360)を含み、
    前記移送機構(340)は、少なくとも一対の回転軸部(342)と、前記少なくとも一対の回転軸部(342)に無端状に巻き掛けられたシート材(344)を含み、
    前記車椅子(60)とは別体の移送具(40)が前記シート材(344)に対して面着可能であり、
    前記シート材(344)を周方向に回動させることに基づいて、前記シート材(344)に対して面着した前記移送具(40)が、前記ボード取り付け部(360)に取り付けられた前記スライディングボード(80)上と前記座部(300)上で移動可能である、車椅子。
  8. 前記移送具(40)は、雄材が配された1以上の係合領域(45)を有し、前記シート材(344)は、前記雄材が係合可能な素材を含む、請求項7に記載の車椅子。
  9. 前記移送具(40)は、前記係合領域(45)と、これに隣接する低摩擦材(44)を有する可撓性の薄型基材(41)を含む、請求項8に記載の車椅子。
  10. 前記ボード取り付け部(360)は、前記移送機構(340)に隣接して設けられる、又は、前記移送機構(340)に組み込まれる、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の車椅子。
  11. 前記ボード取り付け部(360)は、前記スライディングボード(80)の枢動を許容するように構成される、請求項7乃至10のいずれか一項に記載の車椅子。
  12. 前記座部(300)がベースプレート(320)を更に含み、
    前記移送機構(340)及び前記ボード取り付け部(360)は、前記ベースプレート(320)に対して相対的に変位可能である、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の車椅子。
  13. 少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)の座部(300)に対して面着可能である移送具(40)であって、
    上面及び下面を有し、一方向に長尺である薄型基材(41)と、
    前記薄型基材(41)の下面に設けられる1以上の低摩擦材(44)と、
    前記薄型基材(41)の下面に設けられ、複数の雄材が配された1以上の係合領域(45)を備え、
    前記低摩擦材(44)と前記係合領域(45)が前記薄型基材(41)の長手方向において隣接して配置される、移送具。
  14. スライディングボード(80)を用いた要介護者の移乗支援方法であって、
    少なくとも一対の回転軸部(342)にシート材(344)が無端状に巻き掛けられた少なくとも一つの移送機構(340)が設けられた座部(300)を有する車椅子(60)に対してスライディングボード(80)を取り付けるステップと、
    前記移送機構(340)の前記シート材(344)に対して移送具(40)を面着するステップと、
    前記シート材(344)に対して面着した前記移送具(40)が前記座部(300)上と前記スライディングボード(80)上で移動するように前記シート材(344)を周方向に回動させるステップを含む、移乗支援方法。
JP2018115471A 2016-02-05 2018-06-18 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具 Expired - Fee Related JP6615948B2 (ja)

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016021019 2016-02-05
JP2016021019 2016-02-05

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016256404A Division JP6412913B2 (ja) 2016-02-05 2016-12-28 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018158145A true JP2018158145A (ja) 2018-10-11
JP6615948B2 JP6615948B2 (ja) 2019-12-04

Family

ID=59627619

Family Applications (2)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016256404A Expired - Fee Related JP6412913B2 (ja) 2016-02-05 2016-12-28 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具
JP2018115471A Expired - Fee Related JP6615948B2 (ja) 2016-02-05 2018-06-18 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具

Family Applications Before (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016256404A Expired - Fee Related JP6412913B2 (ja) 2016-02-05 2016-12-28 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具

Country Status (2)

Country Link
JP (2) JP6412913B2 (ja)
CN (1) CN108245341A (ja)

Families Citing this family (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6412913B2 (ja) * 2016-02-05 2018-10-24 ヨコキ株式会社 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具
JP6779441B2 (ja) * 2017-11-16 2020-11-04 ヨコキ株式会社 コンベヤ装置及びその製造方法、並びに車椅子
WO2020030136A1 (en) * 2018-08-10 2020-02-13 Care Automation Holdings Ltd. Social & smart fleet management system for care giving
GB2580912B (en) * 2019-01-29 2023-02-08 Roma Medical Ltd Apparatus
CN112076032B (zh) * 2020-10-16 2021-08-24 鹤壁市人民医院 一种心内科护理床
CN112914895B (zh) * 2021-03-23 2022-04-12 合肥工业大学 一种行动不便患者护理设备

Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH09108279A (ja) * 1995-10-23 1997-04-28 Seiken:Kk ストレッチャー
US5651149A (en) * 1994-02-11 1997-07-29 Mangar International Limited Apparatus for moving disabled persons
JPH1156906A (ja) * 1997-08-22 1999-03-02 Sanyo Electric Co Ltd 移載介助装置
JP2000201978A (ja) * 1999-01-19 2000-07-25 Tokai Kako Kk 介護用の椅子並びに寝台
JP2001029394A (ja) * 1999-07-22 2001-02-06 Shigeo Ishioka 介護用車椅子から自動車への移乗装置
JP2001087319A (ja) * 1999-09-21 2001-04-03 Toyo Sangyo Sozo Center 横移乗機能付き車椅子
JP2008073083A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Toray Ind Inc 摺動用布帛および摺動用衣類
JP2011092446A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Toyota Motor Corp 移動補助装置
JP2013106718A (ja) * 2011-11-18 2013-06-06 Echigo Kogyo Kk 車椅子用クッション及びそれを備えた車椅子
JP2017140366A (ja) * 2016-02-05 2017-08-17 ヨコキ株式会社 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN201832052U (zh) * 2010-04-20 2011-05-18 李敦基 一种残障便利车
KR101483499B1 (ko) * 2011-08-09 2015-01-16 가부시키가이샤 티엔케이 침대 휠체어간 이동 보조장치
CN205598118U (zh) * 2016-03-01 2016-09-28 上海麦得可医疗器械销售有限公司 一种具人体搬运功能的电动轮椅
CN205569196U (zh) * 2016-03-15 2016-09-14 哈尔滨工程大学 一种可辅助上下床可如厕的多功能轮椅

Patent Citations (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US5651149A (en) * 1994-02-11 1997-07-29 Mangar International Limited Apparatus for moving disabled persons
JPH09108279A (ja) * 1995-10-23 1997-04-28 Seiken:Kk ストレッチャー
JPH1156906A (ja) * 1997-08-22 1999-03-02 Sanyo Electric Co Ltd 移載介助装置
JP2000201978A (ja) * 1999-01-19 2000-07-25 Tokai Kako Kk 介護用の椅子並びに寝台
JP2001029394A (ja) * 1999-07-22 2001-02-06 Shigeo Ishioka 介護用車椅子から自動車への移乗装置
JP2001087319A (ja) * 1999-09-21 2001-04-03 Toyo Sangyo Sozo Center 横移乗機能付き車椅子
JP2008073083A (ja) * 2006-09-19 2008-04-03 Toray Ind Inc 摺動用布帛および摺動用衣類
JP2011092446A (ja) * 2009-10-30 2011-05-12 Toyota Motor Corp 移動補助装置
JP2013106718A (ja) * 2011-11-18 2013-06-06 Echigo Kogyo Kk 車椅子用クッション及びそれを備えた車椅子
JP2017140366A (ja) * 2016-02-05 2017-08-17 ヨコキ株式会社 スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017140366A (ja) 2017-08-17
CN108245341A (zh) 2018-07-06
JP6615948B2 (ja) 2019-12-04
JP6412913B2 (ja) 2018-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6615948B2 (ja) スライディングボードを用いた要介護者の移乗支援方法、車椅子、及び移送具
KR101406496B1 (ko) 브레이크 부착 휠체어
US20140265500A1 (en) Medical support apparatus
JP2521301Y2 (ja) 座位保持用車椅子
JP2017124125A (ja) 車椅子
KR20120100155A (ko) 시트와 등받이가 움직이는 휠체어
JP5067806B2 (ja) リクライニング可能な車椅子
JP2008259736A (ja) 患者用寝椅子搬送装置及び方法
WO1988010082A1 (en) Appliance for disabled persons
JP2009106692A (ja) 介護用椅子
JP6082376B2 (ja) 移乗移動装置
JP4199233B2 (ja) 車椅子
JP4834730B2 (ja) 伸縮式足掛け付きアームチェア
JP5771344B1 (ja) 介護用車椅子
JP5964154B2 (ja) 車椅子
JP2005118144A (ja) 折り畳み式車椅子
JP5390234B2 (ja) 椅子
JPS6337882Y2 (ja)
JP2001333938A (ja) 介護用車椅子
JP4482756B2 (ja) 立ち上がりやすい背上げ可能なベッド
JP2018175130A (ja) 移乗介護椅子
JP2016202822A (ja) 移動補助器
KR101244450B1 (ko) 휠체어 사용자의 하중을 이용한 휠체어 제동장치
JP5917229B2 (ja) 入浴用車椅子
JP6529814B2 (ja) 移動補助器

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180618

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180626

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190312

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190308

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190411

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20191008

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20191106

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6615948

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees