JP2001333938A - 介護用車椅子 - Google Patents

介護用車椅子

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JP2001333938A
JP2001333938A JP2000156829A JP2000156829A JP2001333938A JP 2001333938 A JP2001333938 A JP 2001333938A JP 2000156829 A JP2000156829 A JP 2000156829A JP 2000156829 A JP2000156829 A JP 2000156829A JP 2001333938 A JP2001333938 A JP 2001333938A
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Japan
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wheelchair
state
support
patient
seating
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JP2000156829A
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English (en)
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Motoyasu Nakanishi
幹育 中西
Naokazu Toyoshima
直和 豊島
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Suzuki Sogyo Co Ltd
Original Assignee
Suzuki Sogyo Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 患者が介助者の援助をかりてベッドと車椅子
との間を移載する際、患者と介助者とに掛かる負担を、
より軽減させ得る新規な介護用車椅子を提供する。 【解決手段】 本発明の介護用車椅子1は、脚部ユニッ
ト2に対して、着座ユニット3を仰向け状態になるよう
に回動自在に構成するとともに、背もたれ部32と脚も
たせ部33との間に、着座部31に位置し得る支持体5
1が、掛け渡されて成り、患者が一時的に仰向け状態に
寝られるような仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっ
ては、背もたれ部32を後方側に倒すように回動させ、
着座部31と背もたれ部32との屈曲部31aが、下方
に突き出すような状態とし、なお且つ背もたれ部32と
脚もたせ部33とに掛け渡された支持体51を、屈曲部
31aから浮遊させ、ハンモック状態に張設するように
したことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は身体の不自由な患者
等が使用する車椅子に関するものであって、特に患者が
介助者の援助をかりてベッドから車椅子に、あるいは車
椅子からベッドに載り移る際、患者と介助者とに掛かる
負担を、より軽減させ得る新規な介護用車椅子に係るも
のである。
【0002】
【発明の背景】体の不自由な患者等が介助者の援助をか
りてベッドから車椅子に、あるいは車椅子からベッドに
載り移る際には、従来例えば介助者が患者を抱き上げる
ように運んで、車椅子等に載せ換える方法が採られてい
たが、このような方法では、介助者にはもちろんのこ
と、患者にも相当の体力的な負担が掛かっていた。この
ため患者と介助者との双方に掛かる、体力的な負担を減
らし、ベッドと車椅子との間の移載がより簡単に行える
ような、種々の車椅子が改良されてきている。
【0003】このような車椅子としては、例えば背もた
れ部が座面の後端付近を回動基端として傾倒できるよう
にし、且つ脚もたせ部が座面の前端付近を回動基端とし
て扛上できるような構造としたものが存在する。すなわ
ちこのような車椅子は、背もたれ部と脚もたせ部とを座
面に対して回動させることで、結果的に背もたれ部、着
座部、脚もたせ部を、ベットとほぼ同程度の高さを有す
る仰臥受け入れ状態に形成し、ほとんど段差がない状態
でベッドと車椅子との間を載移できるようにしたもので
ある。もちろん着座部は背もたれ部等に対して相対的に
動かないため、着座部の左右から突出するように設けら
れたひじ掛けや手摺り等は、ベッドと車椅子との間で移
載時の障害にならないように適宜格納ないしは着脱自在
に構成されている。
【0004】しかしながらこのようなリクライニング式
の車椅子においては、以下に示すような点においてまだ
改善の余地があった。すなわち例えば仰臥受け入れ状態
に切り替えた車椅子に、患者がベッドから載り移った
後、車椅子の背もたれ部を徐々に扛上させて、患者を仰
臥姿勢から着座姿勢にする場合、患者が腰痛等のため
に、いつもより着座位置を異ならせたい場合には、患者
は通常よりも深くあるいは浅く腰掛けることになり、患
者の腰部の位置と背もたれ部の回動中心とにズレを生じ
ることになる。しかしながら上述したようなリクライニ
ング式の車椅子では、常に背もたれ部の回動中心が定ま
っていること等から、当然このズレは吸収できず患者に
不快感を与えたり、場合によっては患者の腰部等に過度
な負担を強いる結果となっていた。
【0005】また介助者にとっては車椅子の状態を切り
替える度に、背もたれ部と脚もたせ部とを別個に回動さ
せ、また固定する作業そのものが手間の掛かる作業とな
っていた。特に患者自身が、自分の思うように身体を動
かせない場合には、患者が仰臥した車椅子の背もたれ部
を起こす作業は、患者自身による体重移動が期待できな
いため、介助者は患者の体重が直にかかった背もたれ部
を起こすことなり、介助者の腰や腕等に過大な身体的負
担を強いる作業になっていた。またこのような患者の場
合には、上半身を一旦起こした後、車椅子の背もたれ部
を起こすのもかなり手間のかかる作業となっていた。更
に近年の状況では、介助者自身が高齢化となる傾向にあ
るため、車椅子の状態を切り替える都度、背もたれ部と
脚もたせ部との間を行ったり来たりする一見わずかな動
作であっても、介助者にとってはおっくうなものとなっ
ていた。
【0006】もちろんこのような介助者側にかかる負担
を主に軽減する手法としては、背もたれ部と脚もたせ部
とをリンク機構等によって接続し、背もたれ部の傾倒に
連動させて、脚もたせ部を回動させる方法や、背もたれ
部や脚もたせ部等のリクライニングをすべて電動で行う
方法等が可能ではあるものの、このような手法は車椅子
の構造が少なからず複雑化したり、高コスト化を余儀な
くされるものであり、また車椅子全体が大型化を伴う場
合にあっては車椅子そのものの小回りが利かなくなると
いう問題もあった。
【0007】
【開発を試みた技術的課題】本発明はこのような背景を
認識してなされたものであって、背もたれ部等をリクラ
イニングさせて仰臥受け入れ状態に切り替えていた従来
の車椅子の固定観念を捨て、背もたれ部、座面、脚もた
せ部等の着座ユニット全体を回動自在に構成するととも
に、支持体を背もたれ部と脚もたせ部とに掛け渡すこと
によってハンモック状態に張設できるようにし、患者が
仰向けに寝られる仰臥受け入れ状態を確保するようにし
た新規な介護用車椅子の開発を試みたものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち請求項1記載の
介護用車椅子は、前後左右に移動し得る脚部ユニット
と、着座部に対して屈曲状態に形成された背もたれ部及
び脚もたせ部とを有した着座ユニットとを具えて成り、
患者が通常の車椅子として使用する着座受け入れ状態に
加え、患者が一時的に仰向け状態に寝られるように、ほ
ぼ水平面を形成する仰臥受け入れ状態にも切り替え得る
車椅子において、前記着座ユニットは、脚部ユニットに
対して仰向け状態になるように回動自在に構成されると
ともに、前記背もたれ部と脚もたせ部との間には、着座
部に位置し得る支持体が掛け渡されて成り、車椅子を着
座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあ
たっては、背もたれ部を後方側に倒すように回動させ、
着座部と背もたれ部との屈曲部が下方に突き出すような
状態とし、なお且つ背もたれ部と脚もたせ部とに掛け渡
された支持体を、着座部と背もたれ部との屈曲部から浮
遊させ、ハンモック状態に張設するようにしたことを特
徴として成るものである。この発明によれば、ハンモッ
ク状態に張った支持体が徐々に緩められることによっ
て、患者の腰部は、車椅子の着座部と背もたれ部とに自
然に触れるようになる。すなわち患者にとっては、腰部
に車椅子の着座部と背もたれ部とが、無理なく添えられ
るようになるため、着座部と背もたれ部との屈曲部が、
患者の腰部に対して幾らかズレていても、ある程度吸収
でき、患者の腰部を痛めるようなことがない。また着座
ユニットの着座部、背もたれ部、脚もたせ部等は、常に
一体で回動するように構成されているため、車椅子の状
態を切り替える操作が簡単に行え、車椅子の構造を複雑
化させることもない。
【0009】また請求項2記載の介護用車椅子は、前記
請求項1記載の要件に加え、前記支持体は、一端が背も
たれ部に固定状態に取り付けられるとともに、他の一端
は脚もたせ部を経由して適宜の保持部材に取り付けられ
て成り、固定端部から保持部材までの支持体の繰り出し
長さが、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおい
て、ほぼ同じ長さを有するように設定され、車椅子を着
座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあ
たっては、脚もたせ部が扛上することに伴い、この脚も
たせ部と保持部材との間隔が、徐々に拡がるようにし、
これに伴い着座受け入れ状態において背もたれ部及び着
座部に位置していた支持体が引っ張られ、支持体を背も
たれ部と脚もたせ部との間にハンモック状態に張設する
ようにしたことを特徴として成るものである。この発明
によれば、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにお
いて、支持体の繰り出し長さが、ほぼ同寸法に設定さ
れ、車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に
切り替える操作に伴い、支持体は自然にハンモック状態
に張設されるため、支持体を強制的に巻き取って、ハン
モック状に張設する手間が掛からない。一方、患者の側
からみれば、車椅子上に仰向けに寝た状態から徐々に起
こされ、着座姿勢になるに従い、患者の身体を支えてハ
ンモック状の支持体が自然に着座部と背もたれ部とに位
置するようになるため、腰部等に負担を強いられること
がなく、身体が自然に曲げられ、安定的な着座姿勢を得
るようになる。
【0010】また請求項3記載の介護用車椅子は、前記
請求項1または2記載の要件に加え、前記着座ユニット
の回動軸心は、ハンモック状態に張設された支持体を着
座ユニットの上方前後において支持する背もたれ部の固
定端部と脚もたせ部の経由点との間に設けられるもので
あって、前記ハンモック状態の支持体の上に患者が載っ
た際には、脚もたせ部の経由点に、この支持体を吊持す
るための張力が作用し、この力が着座ユニットを着座受
け入れ状態に起こすような回転モーメントとして寄与す
ることを特徴として成るものである。この発明によれ
ば、仰臥受け入れ状態における支持体は、実質的に背も
たれ部の先端部と、脚もたせ部の折り返し部材とによっ
て、ハンモック状態に吊られることになり、この状態で
支持体上に患者が載ると、脚もたせ部の折り返し部材
に、患者を吊り上げようとする張力が作用し、これが着
座ユニットを仰臥受け入れ状態から着座受け入れ状態に
起こすような回転モーメントとして寄与することにな
る。このため介助者は着座ユニットを起こす力が小さく
て済み、介助者の労力が大幅に軽減され得る。因みにこ
のように患者のみならず介助者の体力的負担をも軽減す
ることは、近年、介助者自身が高齢化する状況下におい
て、より重要な効果となるものである。
【0011】また請求項4記載の介護用車椅子は、前記
請求項1、2または3記載の要件に加え、前記支持体の
固定端部に対向する一端は、支持体の繰り出し長さを適
宜調節し得る巻き取り装置によって保持されることを特
徴として成るものである。この発明によれば、支持体は
固定端に対向する側が、脚もたせ部を経由して巻き取り
装置に取り付けられるため、仰臥受け入れ状態における
支持体の張設状態を微調整できる。また車椅子を仰臥受
け入れ状態にした後、この状態から支持体を緊張状態に
張設する場合には、支持体は既にハンモック状態を呈し
ているため、巻き取り回数が少なくて済み、容易に緊張
状態に張ることができる。
【0012】また請求項5記載の介護用車椅子は、前記
請求項1、2、3または4記載の要件に加え、前記着座
ユニットの背もたれ部には、車椅子を仰臥受け入れ状態
に切り替えた際に、床面に当接し、車椅子の転倒防止を
図る支持体が設けられることを特徴として成るものであ
る。この発明によれば、車椅子を着座受け入れ状態から
仰臥受け入れ状態に切り替える際、背もたれ部に設けら
れた支持体が床面に当接して、車椅子の転倒防止を図る
ため、患者がベッドから車椅子に、あるいは車椅子から
ベッドに載り移る際、転倒の心配がなく、確実に、安心
して載り移ることができる。
【0013】更にまた請求項6記載の介護用車椅子は、
前記請求項1、2、3、4または5記載の要件に加え、
前記脚部ユニットには、背もたれ部と脚もたせ部との間
に掛け渡された支持体を下方から支持するたわみ防止部
材が設けられることを特徴として成るものである。この
発明によれば、患者がハンモック状に掛け渡された支持
体上に仰臥することによって、支持体はたわみを生じる
が、このたわみを効果的に減少させ得る。またこのため
患者は、交差した二つの部材によって、より確実に支持
され、高い安心感が得られる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下本発明を図示の実施の形態に
基づいて説明する。本発明の介護用車椅子1は、一例と
して図1〜5に示すように、前後左右に移動できるよう
に構成された脚部ユニット2と、この脚部ユニット2に
対して回動自在に構成される着座ユニット3とを具えて
成り、患者が通常の車椅子として使用する着座受け入れ
状態(図1、3参照)に加え、患者が一時的に仰向け状
態に寝られるように、ほぼ水平状態を呈する仰臥受け入
れ状態(図2、4参照)にも切り替えられるようにした
ものである。ここで本明細書に記載する患者とは、介助
者の介護や支援等を要する高齢者はもちろん、病気や怪
我等によって車椅子を必要とする人等を含むものであ
る。
【0015】そしてこの介護用車椅子1を着座受け入れ
状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、
着座ユニット3を仰向け状態になるように回動させ、上
方を向いたこの着座ユニット3の前後に、織布等の支持
体をハンモック状に張設し、患者が仰臥し得る、ほぼ水
平な面を確保するようにしている。またこのような脚部
ユニット2、着座ユニット3等は、図示したように一例
として金属製のパイプ状部材や板状部材等を適宜組み合
わせて形成されるものであり、このような主要部材に対
して、着座受け入れ状態を維持するためのシートロック
構造4、仰臥受け入れ状態を維持するためのフラットロ
ック構造5、仰臥受け入れ状態における後方や側方等へ
の倒れを防止する転倒防止構造6等が構成されている。
以下上記各部材及び各構造について具体的に説明する。
【0016】まず脚部ユニット2について説明する。こ
のものは、文字通り車椅子の脚部を構成するものであっ
て、着座ユニット3を挟んで、このものを回動自在に支
持するものであり、一例として図3、4等に示すように
側面視四角形状に形成された左右一対の支持フレーム2
1が、着座ユニット3の幅寸法とほぼ同程度の間隔を維
持するように、溶接等によって接続されて成るものであ
る。なお左右の支持フレーム21の間隔を維持するよう
に設けられる連接部材の一部は、特に後述する支持体5
1を折り返し、その繰り出し長さを調節するものでもあ
るため、この部材を脚部側折り返し部材21aと称す
る。そして支持フレーム21の下部には、左右一対の前
輪22及び後輪23が設けられ、後輪23の上方には、
このものの回転を阻止し、車椅子の停止状態を確保する
ストッパ24が設けられている。なお後輪23は前輪2
2よりも大径に形成されるとともに、前輪22のみが水
平旋回自在に構成され、車椅子の方向転換が自在に行え
るように構成されている。また左右の支持フレーム21
の前方上部には、着座ユニット3を回動自在に支持する
ための軸受け部25が設けられている。
【0017】次に着座ユニット3について説明する。こ
のものは、通常の車椅子として使用する着座受け入れ状
態において、患者が安定的な着座姿勢をとるためのもの
であって、着座部31と、背もたれ部32と、脚もたせ
部33とを具えて成るものである。着座部31は、一例
として金属板状部材によって座面34を形成するもので
あって、この座面34に対して背もたれ部32と、脚も
たせ部33とが、共に屈曲状態に形成されている。ここ
で着座部31と背もたれ部32との屈曲部を31aと
し、着座部31と脚もたせ部33との屈曲部を31bと
区別して示すものである。なお図示した実施の形態で
は、背もたれ部32と脚もたせ部33とは、金属製のパ
イプ状部材によってフレーム状に形成した後、幅方向寸
法を維持するように適宜の連接部材を接続して成るもの
であり、更にその上に後述する支持体51を掛けて、背
もたれ部32と脚もたせ部33を形成している。ここで
脚もたせ部33のほぼ中間位置を接続する連接部材は、
特に後述する支持体51を折り返し、その繰り出し長さ
を調節するものでもあるため、この部材を着座側折り返
し部材33aと称する。
【0018】また着座ユニット3は、着座部31の下
方、やや脚もたせ部33に寄った位置に回動軸35が設
けられる。すなわちこの回動軸35は、上記脚部ユニッ
ト2の軸受け部25に嵌め込まれることによって、着座
ユニット3を回動自在に支持し、着座ユニット3を仰向
け状態にし得るものである。更に着座ユニット3には、
着座部31に座った患者がひじを置いたり、手摺りとな
るひじ掛け36が、背もたれ部32に対して折り畳める
ように回動自在に形成されるとともに、背もたれ部32
の背面側には、車椅子を押して移動する際の手押しハン
ドル37が形成されている。また脚もたせ部33の先端
下部には、患者が車椅子に座った際に、足を置く足載せ
台38が折り畳めるように回動自在に設けられている。
【0019】次にシートロック構造4について説明す
る。このものは上述したように本発明の介護用車椅子1
の着座受け入れ状態を維持するためのものであって、具
体的には図2、4等に示すように、左右の支持フレーム
21から内側に突出するように形成されたロック片41
と、着座部31に設けられた開閉自在の挟持片42aを
有したロック装置42とを具えて成るものである。すな
わち着座受け入れ状態においては、挟持片42aを閉鎖
することによってロック片41を挟み込み、着座ユニッ
ト3の回動を阻止するロック状態とし、一方、この状態
から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、ロッ
ク片41を挟み込んだ挟持片42aを開放させ、着座ユ
ニット3の回動を許容するロック解除状態にするのであ
る。なおこの実施の形態では、挟持片42aは、ばね等
によって通常、閉じる方向に付勢され、またこれに伴い
ロック装置42の挟持片42aの開放操作を手押しハン
ドル37近くで行えるようにした、操作レバー43が背
もたれ部32に設けられる。なお挟持片42aと操作レ
バー43との間は、このような開放操作を伝達するため
にワイヤ44等によって連結されている。
【0020】次にフラットロック構造5について説明す
る。このものは上述したように本発明の介護用車椅子1
の仰臥受け入れ状態を確保するためのものであって、具
体的には図2、4等に示すように、患者が仰向け状態に
寝られるようにハンモック状態に張設される支持体51
と、この支持体51の繰り出し長さを調節し、適宜の張
り加減を得られるようにする巻き取り装置52とを具え
て成るものである。
【0021】支持体51は、着座ユニット3の背もたれ
部32から脚もたせ部33に掛け渡されるものであっ
て、この実施の形態では一例として織布を適用するもの
であるが、金属や樹脂等によって形成されたネット状な
いしはフィルム状のものを適用することが可能である
し、あるいは多数の細長い棒状ないしはスラット状の部
材を簾状につなげたもの等を適用することも可能であ
る。因みに支持体51として簾状のものを適用した場合
には、患者が支持体51の上に寝ころんだ際に生じる幅
方向(患者の左右方向)のたわみが、織布等を適用した
場合に対して、減少することが予想される。
【0022】このような支持体51は、一端が背もたれ
部32の上部に、固定状態に取り付けられるとともに、
他の一端が脚もたせ部33の着座側折り返し部材33a
から、支持フレーム21の脚部側折り返し部材21aを
経由して巻き取り装置52に取り付けられている。そし
て着座受け入れ状態においては、背もたれ部32から脚
もたせ部33に到る途中で、着座部31の座面34に密
着し、屈曲部31a、31bにほぼ沿うように掛けられ
て、いわば着座ユニット3のカバーの作用を担うもので
あるが、仰臥受け入れ状態においては、屈曲部31aか
ら充分浮き上がってハンモック状態に掛け渡され、患者
が一時的に仰臥し得る、いわば簡易ベッドの作用を担っ
ている。
【0023】なお支持体51は、上述した着座受け入れ
状態と仰臥受け入れ状態とにおいて背もたれ部32から
巻き取り装置52に至るまでのトータルの繰り出し長さ
が、ほぼ同寸法に設定されている。すなわち着座受け入
れ状態において図3に示すように、背もたれ部32に作
用する長さをL1、着座部31に作用する長さをL2、
脚もたせ部33に作用する(屈曲部31bから着座側折
り返し部材33aまで)長さをL3、着座側折り返し部
材33aから脚部側折り返し部材21aまでの長さをL
4とし、仰臥受け入れ状態において図4に示すように、
背もたれ部32の先端部から着座側折り返し部材33a
までの長さをD1、着座側折り返し部材33aから脚部
側折り返し部材21aまでの長さをD4とすると、
【0024】
【数1】L1+L2+L3+L4≒D1+D4
【0025】とするような設定がなされるのである。因
みに上記数式1において、脚部側折り返し部材21aか
ら巻き取り装置52までの長さを、両辺に加えていない
のは、この寸法が双方の状態においてほぼ等しいためで
ある。
【0026】ここで二つの折り返し部材33a、21a
間の長さ、すなわちL4とD4とを比較すると、仰臥受
け入れ状態においては、脚もたせ部33が扛上された状
態となるため、L4<D4となり、その分、着座受け入
れ状態において背もたれ部32や着座部31に作用して
いた支持体51、特にL1、L2部分が引っ張られ、全
体的に屈曲部31aから充分浮遊したハンモック状態に
張設されるのである。逆にいえば、車椅子の双方の状態
における支持体51の繰り出し長さを同程度に設定し得
るように、着座ユニット3の回動軸35、脚もたせ部3
3の着座側折り返し部材33a、支持フレーム21の脚
部側折り返し部材21a、巻き取り装置52等の相対的
な位置関係を決定するものである。
【0027】このように支持体51は、その上に患者が
着座したり仰臥したりするものであるため、強度、弾
性、耐摩耗性、耐疲労性、耐衝撃性等に優れるととも
に、車椅子の重量をトータルで軽減させるために軽量
化、あるいは病院等で使用されることが多いことから耐
薬品性等にも優れた素材が好ましく、一例として東洋紡
績株式会社製のダイニーマ(登録商標)が適用される。
また患者の身体が主に接触する部位にクッション材を設
けたり、あるいはこのような部位に適宜の滑り止め加工
を施したりすることが好ましい。なお支持体51は、着
座受け入れ状態にあっては、上述したように屈曲部31
a、31bにほぼ沿った折り曲げ状態に設けられ、この
状態で支持体51が着座ユニット3から不用意に離反す
るのを防止するために、ひじ掛け36の下方において支
持体51を背もたれ部32のフレームに一時的に固定す
るための、面状ファスナ53等が設けられている。
【0028】巻き取り装置52は、支持体51を適宜巻
き取ったり、繰り出したりして、その張設状態を微妙に
調節するものであって、一例として図3等に示すよう
に、支持体51の一側端が取り付けられた巻き取り軸5
4と、この巻き取り軸54の端部に設けたウォームギヤ
機構55と、このウォームギヤ機構55を回転させるた
めのハンドル56とを具えて成るものである。そしてハ
ンドル56を適宜の方向に回転させることによって、左
右の支持フレーム21間に支持された巻き取り軸54を
適宜回転させ、支持体51を巻き取ったり、あるいは逆
に支持体51を自在に繰り出し得るようにしている。
【0029】因みにこの実施の形態では、車椅子を着座
受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替える際、こ
の操作に伴って支持体51が人為的な手段を何ら加える
ことなく、ハンモック状態に張設されるような構成を採
るため、実質的に、この巻き取り装置52は、患者の体
重や支持体51の弾性等によって異なるたわみ状態を微
妙に調節するものとなる。しかしながら、支持体51の
張設操作を、必ずしも着座ユニット3の回動と連動させ
る必要はなく、例えば単純に支持体51を着座ユニット
3上に掛け渡し、巻き取り装置52によって積極的に支
持体51を巻き取ったり、繰り出したりして、その状態
に見合った、適宜の張設加減を得るようにしても何ら構
わない。
【0030】次に転倒防止構造6について説明する。こ
のものは上述したように本発明の介護用車椅子1を仰臥
受け入れ状態に切り替えた際に、このものの後方や側方
への転倒を防止するためのものであって、一例として図
5に示すように、背面視略H字状を成す支持部材61が
背もたれ部32の背面側に回動自在に形成されて成るも
のである。なおこの支持部材61には、脚部ユニット2
の支持フレーム21からリンク片62が回動自在に接続
され、仰臥受け入れ状態において支持部材61が床面上
に当接するように構成されている。またこのため、支持
部材61は、着座ユニット3の回動状態に応じて背もた
れ部32からの回動角度が規制されるものである。なお
この実施の形態では、車椅子を仰臥受け入れ状態に切り
替えた後に、その作用高さをベッドの高さに合わせる装
置を、特に設けていないが、脚部ユニット2等に着座ユ
ニット3の昇降を担う、例えばパンタグラフ式の高さ調
整機構を別途設けることが可能である。
【0031】次に以上のように構成される介護用車椅子
1の作動態様について説明する。なお説明にあたって
は、患者がベッドから車椅子に載り移る場合について説
明するものであり、またこのときの車椅子の初期状態
は、通常の車椅子として使用できる着座受け入れ状態に
設定されているものとする(図3参照)。 (1)準備 着座受け入れ状態におけるシートロックを実質的に解除
する作業に先立ち、以下のような準備作業が行われる。
まず通常の着座受け入れ状態に設定された車椅子を、患
者が寝ているベッドの脇の至近位置に移動させ、後輪2
3にストッパ24を下ろし、車椅子が不用意に移動しな
いようにする。そしてこのような作業に伴い、患者がベ
ッドから車椅子に容易に移載できるように、ひじ掛け3
6を背もたれ部32に密着させるように折り畳み、足載
せ台38を脚もたせ部33に密着させるように折り畳
む。またひじ掛け36の下方において支持体51を背も
たれ部に取り付けていた面状ファスナ53を外し、支持
体51の屈曲部31a付近への固定を解除する。
【0032】(2)着座受け入れ状態におけるシートロ
ック解除 シートロック状態では、着座ユニット3に設けられたロ
ック装置42の挟持片42aが閉鎖されることにより、
脚部ユニット2に形成されたロック片41を挟み込み、
着座ユニット3の回動を阻止するようにしている。この
ため、このシートロックを解除するにあたっては、まず
背もたれ部32の背面に設けられた左右の操作レバー4
3を引くことによって、ワイヤ44を介して、挟持片4
2aを開放させ、ロック片41の挟持を解除する。この
状態で着座ユニット3は、回動軸35を中心とした回動
が許容される。
【0033】(3)着座ユニットの回動(着座受け入れ
状態から仰臥受け入れ状態へ) このようにシートロックを解除し、着座ユニット3を回
動許容状態とした後、図6に示すように背もたれ部32
を後方側に倒すように回動させる。この際、着座ユニッ
ト3の回動に伴い、転倒防止を担う支持部材61は、背
もたれ部32に密着した状態から徐々に後方に張り出
し、背もたれ部32と支持部材61との回動角を拡げる
ような回動を行う。なおこのような着座ユニット3の回
動は、図7に示すように、着座ユニット3が仰向き状態
となり、屈曲部31aが下方に突き出された状態で終了
となり、この回動終了状態で支持部材61が、回動自由
端側を床面上に当接させた状態となっている。
【0034】(4)仰臥受け入れ状態の形成 このように着座ユニット3が徐々に仰向け状態にされる
ことに伴い、その一方で、支持体51がハンモック状態
に張設される。これは上述したように着座受け入れ状態
と、仰臥受け入れ状態とにおける支持体51の繰り出し
長さが、ほぼ同程度に設定されることに起因するもので
ある。すなわち着座ユニット3の回動に伴い脚もたせ部
33は徐々に扛上され、従って脚もたせ部33と巻き取
り装置52との間隔(図3、4におけるL4、D4寸法
参照)は、徐々に拡がって行き、結果的に着座受け入れ
状態において背もたれ部32及び着座部31等に位置し
ていた支持体51が引っ張られ、屈曲部31aから浮遊
したハンモック状態に張設されるのである。
【0035】(5)支持体の張り加減の微調整 このように着座ユニット3の回動に伴い支持体51をハ
ンモック状態に張設し、仰臥受け入れ状態を形成する
と、今度は支持体51の張り加減が微妙に調整される。
この微調整は、主に患者の身体の状態や患者の要求ある
いは患者が載り移った後の支持体51のたわみ等を種々
考慮して行われるものであって、一般的には図7に併せ
て示すように、介助者が巻き取り装置52によって、支
持体51を巻き取ることによって、現状よりも強い、ほ
ぼ緊張状態に張設するものである。しかしながらこの支
持体51を、必ずしも緊張状態に張設する必要はなく、
患者が移載を行う際に、沈み込み過ぎ等の不安感を抱く
ことがない範囲で、ある程度、弛みを持たせた状態に張
設することが可能である。
【0036】因みに仰臥受け入れ状態が形成され、支持
体51がハンモック状態に張設された当初の張り加減
を、特に微調整する必要がなければ、この微調整の工程
はもちろん、巻き取り装置52そのものを省略すること
が可能であり、このような場合、支持体51の固定端に
対向する一端は、脚部ユニット2等の適宜の部材に固定
的に保持される。またこのような微調整の工程は、患者
が仰臥受け入れ状態の車椅子に載り移った後に行うこと
も可能であるし、移載の前後において2回、行うことも
可能である。
【0037】(6)患者の載り移り このように支持体51の張り加減が微調整された後、仰
臥受け入れ状態に切り替えられた車椅子に、患者が載り
移る。この際、患者は、体を少しずつ左右等にずらし、
車椅子ににじり寄って、載り移るものであり、患者の状
況に応じて、介助者が患者の移載を援助する(図4参
照)。
【0038】(7)仰臥受け入れ状態 ハンモック状態を呈した車椅子に患者が仰臥した状態で
は、支持体51の両端に、患者の身体を支えるための張
力が作用する。このため支持体51の両端部分を保持す
る背もたれ部32の先端部と巻き取り装置52とには、
一例として図4に示すような、張力F1、F2が作用す
るが、支持体51は着座側折り返し部材33aや脚部側
折り返し部材21a等において折り返されているため、
巻き取り装置52に作用していた張力F2は、支持体5
1を介して、着座側折り返し部材33aに力F3として
伝えられる。すなわちこの状態における背もたれ部32
から脚もたせ部33までの支持体51は、実質的に背も
たれ部32の先端部と、着座側折り返し部材33aとに
よって、患者が載った支持体51を吊持しており、この
うち着座側折り返し部材33aに作用する力F3が、着
座ユニット3を着座受け入れ状態に起こすような回転モ
ーメントとして寄与するのである。
【0039】(8)着座ユニットの回動(着座受け入れ
状態へ) 患者が載った車椅子を仰臥受け入れ状態から着座受け入
れ状態に切り替えるには、図8に示すように、背もたれ
部32が扛上され、着座ユニット3が徐々に正面を向く
ように起こされて行く。この際、今度は着座ユニット3
の回動に伴い、屈曲部31aから浮き上がり、ハンモッ
ク状態に張られていた支持体51は、患者の体重を受け
て、徐々に背もたれ部32と着座部31とに位置するよ
うになる。すなわち患者にとっては、着座ユニット3の
回動に伴い腰部に、自然に着座部31や背もたれ部32
が添えられるようになり、安定的に着座姿勢に移行され
ることになる。このように患者は、着座ユニット3の回
動に伴い、着座部31と背もたれ部32とが自然にあて
がわれるものであり、腰部が無理なく曲げられて行き、
腰部と屈曲部31aとに多少のズレがあっても、吸収さ
れ得る。もちろんこの実施の形態では、支持体51が着
座ユニット3の回動に伴い、屈曲部31aにほぼ沿うよ
うに変形して行くため、患者に着座ユニット3からのず
り落ち感を抱かせることもない。
【0040】一方、介助者にとっては、患者が仰向けに
寝た状態の車椅子を起こす作業が比較的簡単に行える。
これは上述したように着座側折り返し部材33aに作用
する力F3が、着座ユニット3を起こすような回転モー
メントとして貢献するためであり、これによって介助者
が着座ユニット3を起こす力が大幅に軽減され得るので
ある。従って例えば患者自身が自分の思い通りに身体が
動かせず、患者自身の体重移動がほとんど期待できない
ような場合であっても、介助者は腰や腕等に過度な負担
を掛けることなく、着座ユニット3を起こすことができ
るのである。なお支持体51に作用する張力は、車椅子
を仰臥受け入れ状態にし、支持体51をほぼフラット状
態に張設した時が最も大きいため、上記回転モーメント
も、この仰臥受け入れ状態の時が一番大きい。またこの
回転モーメントは患者の体重に比例して大きくなるた
め、本実施の形態を採ることにより、比較的単純な方法
で介助者の負担を軽減することができるのである。
【0041】(9)着座受け入れ状態の維持 そして着座ユニット3が正面を向くように徐々に起こさ
れて行くことに伴い、ロック装置42の挟持片42a
は、脚部ユニット2に形成されたロック片41に徐々に
接近することになり、着座受け入れ状態に到達した段階
で挟持片42aがロック片41を挟み込んだ状態で閉鎖
され、着座ユニット3の回動を阻止したシートロック状
態となる。もちろんこの状態は初期状態と同一の状態で
あり、転倒防止を担う支持部材61は、背もたれ部32
に密着した状態に折り畳まれる。
【0042】(10)車椅子の通常の状態 以上のように車椅子が着座受け入れ状態に切り替えられ
た後、介助者は、カバー状に掛けられた支持体51が、
着座ユニット3から不用意に外れないように、面状ファ
スナ53によって固定したり、ひじ掛け36や足載せ台
38を使用に備えて、背もたれ部32や脚もたせ部33
から立てるようにする。そして最後に後輪23のストッ
パを解除し、車椅子の移動を行うものである。
【0043】なお上述した態様では、面状ファスナ53
の固定解除、あるいはひじ掛け36や足載せ台38の折
り畳み等を、準備段階で行うように説明したが、このよ
うな操作はどれも実質的に患者がベッドから車椅子に乗
り移る前までに行っていればよいため、必ずしも上述し
た操作順序を忠実に実行する必要はない。すなわち、患
者がベッドから車椅子に、より容易に載り移れ、且つ介
助者の負担を減少させるものであれば、上記操作の内容
や順序は、適宜変更することが可能である。また上述し
た態様では、仰臥受け入れ状態にした車椅子の作用高さ
を、ベッドの高さに合わせる操作については、特に触れ
ていないが、着座ユニット3の昇降を担う機構が別途設
けられている場合には、当然この作用高さの調整が移載
の前までに行われる。
【0044】更にまた上述した態様では、支持体51を
ハンモック状態に張設する操作と、着座ユニット3を仰
向け状態にする回動操作とを関連して行えるように設定
したが、これらの操作を全く関連させずに行うこともも
ちろん可能であり、その場合には仰向け状態まで回動さ
せた着座ユニット3の表面に、支持体51が密着するこ
とが考えられるため、この支持体51を巻き取り装置5
2によって巻き取り、屈曲部31aから浮き上がらせた
ハンモック状態に張設するものである。また上述した態
様は、患者がベッドから車椅子に乗り移る態様を述べた
ものであるが、車椅子からベッドに乗り移る態様は、ほ
ぼ上述した態様を逆に行うことになるので省略する。
【0045】
【他の実施の形態】本発明は以上述べた実施の形態を一
つの基本的な技術思想とするものであるが、更に次のよ
うな改変が考えられる。すなわち先の図1〜8に示した
実施の形態において患者は、ハンモック状態に吊られた
支持体51の上に仰臥するものであって、この際、患者
の体重や支持体51そのものの性状によって支持体51
が、過度にたわむことが考えられる。このような状況下
では患者が、車椅子に載り移った際、身体が深く沈み込
むことに伴い、不安感を抱く場合があるため、このよう
な過度のたわみを防止すべく、図9に示すように脚部ユ
ニット2の支持フレーム21上部に、別途織布や板材等
のたわみ防止部材26を掛け渡し、支持体51を下方か
ら支持する手法が採り得る。すなわちこの場合には、患
者は二つの交差する部材によって、支えられることにな
り、支持体51のたわみが効果的に減少されるととも
に、患者が深く沈み込むことがなくなり、患者の不安感
を解消し得るものである。
【0046】また先に述べた基本の実施の形態では、支
持体51の全体を織布、ネット状部材、簾状部材等で形
成し、特にその長手方向において自由に屈曲し得るよう
に形成したが、必ずしも支持体51の全体をこのような
折り返し可能な部材で構成する必要はない。すなわち支
持体51のうち、着座受け入れ状態において着座部31
や背もたれ部32に位置する部位は、仰臥受け入れ状態
において屈曲部31aから浮遊した状態になっても、折
り返されることはほとんどないため、例えば図10に示
すように、支持体51のうち、着座受け入れ状態におい
て着座部31や背もたれ部32に位置する部位には金属
等の板材(順に51A、51Bとする)を適用し、脚も
たせ部33に位置する部位には織布や簾状部材等の屈曲
体51Cを適用し、組み合わせて形成することが可能で
ある。この際二つの板材51A、51Bは、着座受け入
れ状態において着座部31と背もたれ部32とに位置す
るが、仰臥受け入れ状態においては屈曲部31aから充
分浮遊させ得るように、二つの板材51Aと51Bとの
結合部、及び板材51Bと背もたれ部32との結合部
に、ヒンジ等が適用され、回動自在に構成されるもので
ある。なお本明細書の請求項1等に記載する、「ハンモ
ック状態」とは、このように複数の部材を組み合わせて
成る支持体51を、屈曲部31aから充分浮遊させるよ
うに張設した状態をも広義的に含むものである。
【0047】またこのように着座部31に位置する支持
体51を金属等の板材51Aで構成した場合には、基本
の実施の形態で述べた座面34を設ける必要はない。更
にこのような形態を採った場合には、患者を載せた車椅
子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替え
る際、着座部31に位置していた板材51Aが、側面か
ら視て、着座ユニット3のフレーム枠から突出し、仰臥
姿勢に入ろうとする患者の脚部に接触することが考えら
れる。このためここでは図10に併せて示すように、脚
もたせ部33のフレーム枠の内側に案内溝33bを形成
し、板材51Aの突出側の先端をこの案内溝33bに沿
って移動させ、着座ユニット3のフレーム枠からほぼ張
り出させないようにする形態が採り得る。
【0048】
【発明の効果】まず請求項1記載の介護用車椅子によれ
ば、患者が車椅子上で仰向けに寝る場合、患者はハンモ
ック状態に掛け渡された支持体51の上に仰臥するもの
であり、この状態から支持体51が徐々に緩められるこ
とによって、患者の腰部は、車椅子の着座部31と背も
たれ部32とに自然に触れるようになる。従って患者に
とっては、腰部に車椅子の着座部31と背もたれ部32
とが、自然にあてがわれるようになり、このため着座部
31と背もたれ部32との屈曲部31aが、患者の腰部
に対して、多少ずれていても、このズレがある程度吸収
され、患者に無理な姿勢を強いることがない。また着座
部31、背もたれ部32、脚もたせ部33等は、常に一
体で回動するように構成されるため、車椅子の状態を切
り替える操作や動作が減少され、車椅子の構造を複雑化
させることもない。
【0049】また請求項2記載の介護用車椅子によれ
ば、着座受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて、
支持体51の繰り出し長さが、ほぼ同寸法に設定され、
車椅子を着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り
替える操作に伴い、支持体51は自然にハンモック状態
に張設されるため、支持体51を巻き取ってハンモック
状態に張設する必要がない。一方、患者の側からすれ
ば、車椅子上に仰向けに寝た状態から徐々に起こされ、
着座姿勢になるに従い、身体を支えているハンモック状
態の支持体51が、自然に着座部31や背もたれ部32
に位置するようになるため、腰部等に負担を強いられる
ことなく、身体が自然に曲がって行き、安定的な着座姿
勢が得られることになる。
【0050】更にまた請求項3記載の介護用車椅子によ
れば、着座ユニット3の回動軸35は、支持体51を固
定状態に取り付ける固定端部から、支持体51を脚もた
せ部33において折り返す着座側折り返し部材33aま
での間に形成され、ハンモック状態に張設された支持体
51の上に患者が仰臥した状態では、着座側折り返し部
材33aに、患者を吊り上げるための張力が作用し、こ
れが着座ユニット3を着座受け入れ状態に起こすような
回転モーメントとして貢献することになる。このため介
助者が着座ユニット3を起こす力が少なくて済み、介助
者自身が高齢者であっても、患者を仰臥姿勢から着座姿
勢に起こす操作が比較的容易に行え、介助者の腕や腰
等、身体に掛かる負担が大幅に軽減され得る。
【0051】また請求項4記載の介護用車椅子によれ
ば、支持体51は一端が巻き取り装置52に保持される
ため、繰り出し長さを適宜調節でき、特に仰臥受け入れ
状態において、患者の要求に応じた張り加減が再現でき
る。更にこの仰臥受け入れ状態から支持体51を緊張状
態に張設する場合には、支持体51が既にハンモック状
態を呈しているため、巻き取り回数が少なくて済み、容
易に緊張状態に張設することができる。
【0052】また請求項5記載の介護用車椅子によれ
ば、極めて簡単な構造の下に仰臥受け入れ状態の転倒防
止が図れるとともに、患者及び介助者は、安心してベッ
ドと車椅子との間の載り移りが行える。
【0053】また請求項6記載の介護用車椅子によれ
ば、背もたれ部32と脚もたせ部33との間に掛け渡さ
れた支持体51を、下方から支持するたわみ防止部材2
6が、脚部ユニット2に設けられるため、仰臥受け入れ
状態に切り替えられた車椅子に患者が仰向けに寝た際に
生じる支持体51のたわみが、効果的に減少される。ま
た患者は、重なり合った二つの部材によって、より確実
に支持されるため、より高い安心感が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の介護用車椅子の着座受け入れ状態を示
す斜視図である。
【図2】同上仰臥受け入れ状態を示す斜視図である。
【図3】同上着座受け入れ状態を示す側面図である。
【図4】同上仰臥受け入れ状態を示す側面図である。
【図5】同上図3のA方向から視た背面図である。
【図6】同上着座受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に
切り替える際の着座ユニットの回動の様子を示す側面図
である。
【図7】同上着座ユニットの回動終了状態と、ハンモッ
ク状の支持体を緊張状態に張設する様子とを併せ示す側
面図である。
【図8】同上仰臥受け入れ状態から着座受け入れ状態に
切り替える際の着座ユニットの回動の様子を示す側面図
である。
【図9】支持フレームの上部に、支持体を下方から支持
するたわみ防止部材を掛け渡した他の実施の形態を示す
側面図である。
【図10】支持体を二つの板材と、屈曲体とによって組
み合わせて形成し、且つ着座部に位置する板材を着座ユ
ニットのフレーム枠から突出させないようにした他の実
施の形態を示す側面断面図である。
【符号の説明】
1 介護用車椅子 2 脚部ユニット 3 着座ユニット 4 シートロック構造 5 フラットロック構造 6 転倒防止構造 21 支持フレーム 21a 脚部側折り返し部材 22 前輪 23 後輪 24 ストッパ 25 軸受け部 26 たわみ防止部材 31 着座部 31a 屈曲部(着座部と背もたれ部との) 31b 屈曲部(着座部と脚もたせ部との) 32 背もたれ部 33 脚もたせ部 33a 着座側折り返し部材 33b 案内溝 34 座面 35 回動軸 36 ひじ掛け 37 手押しハンドル 38 足載せ台 41 ロック片 42 ロック装置 42a 挟持片 43 操作レバー 44 ワイヤ 51 支持体 51A 板材(着座部に位置する) 51B 板材(背もたれ部に位置する) 51C 屈曲体 52 巻き取り装置 53 面状ファスナ 54 巻き取り軸 55 ウォームギヤ機構 56 ハンドル 61 支持部材 62 リンク片 F1 張力(固定端部に作用する) F2 張力(巻き取り装置に作用する) F3 力(着座側折り返し部材に作用する)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 前後左右に移動し得る脚部ユニットと、
    着座部に対して屈曲状態に形成された背もたれ部及び脚
    もたせ部とを有した着座ユニットとを具えて成り、患者
    が通常の車椅子として使用する着座受け入れ状態に加
    え、患者が一時的に仰向け状態に寝られるように、ほぼ
    水平面を形成する仰臥受け入れ状態にも切り替え得る車
    椅子において、前記着座ユニットは、脚部ユニットに対
    して仰向け状態になるように回動自在に構成されるとと
    もに、前記背もたれ部と脚もたせ部との間には、着座部
    に位置し得る支持体が掛け渡されて成り、車椅子を着座
    受け入れ状態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあた
    っては、背もたれ部を後方側に倒すように回動させ、着
    座部と背もたれ部との屈曲部が下方に突き出すような状
    態とし、なお且つ背もたれ部と脚もたせ部とに掛け渡さ
    れた支持体を、着座部と背もたれ部との屈曲部から浮遊
    させ、ハンモック状態に張設するようにしたことを特徴
    とする介護用車椅子。
  2. 【請求項2】 前記支持体は、一端が背もたれ部に固定
    状態に取り付けられるとともに、他の一端は脚もたせ部
    を経由して適宜の保持部材に取り付けられて成り、固定
    端部から保持部材までの支持体の繰り出し長さが、着座
    受け入れ状態と仰臥受け入れ状態とにおいて、ほぼ同じ
    長さを有するように設定され、車椅子を着座受け入れ状
    態から仰臥受け入れ状態に切り替えるにあたっては、脚
    もたせ部が扛上することに伴い、この脚もたせ部と保持
    部材との間隔が、徐々に拡がるようにし、これに伴い着
    座受け入れ状態において背もたれ部及び着座部に位置し
    ていた支持体が引っ張られ、支持体を背もたれ部と脚も
    たせ部との間にハンモック状態に張設するようにしたこ
    とを特徴とする請求項1記載の介護用車椅子。
  3. 【請求項3】 前記着座ユニットの回動軸心は、ハンモ
    ック状態に張設された支持体を着座ユニットの上方前後
    において支持する背もたれ部の固定端部と脚もたせ部の
    経由点との間に設けられるものであって、前記ハンモッ
    ク状態の支持体の上に患者が載った際には、脚もたせ部
    の経由点に、この支持体を吊持するための張力が作用
    し、この力が着座ユニットを着座け受け入れ状態に起こ
    すような回転モーメントとして寄与することを特徴とす
    る請求項1または2記載の介護用車椅子。
  4. 【請求項4】 前記支持体の固定端部に対向する一端
    は、支持体の繰り出し長さを適宜調節し得る巻き取り装
    置によって保持されることを特徴とする請求項1、2ま
    たは3記載の介護用車椅子。
  5. 【請求項5】 前記着座ユニットの背もたれ部には、車
    椅子を仰臥受け入れ状態に切り替えた際に、床面に当接
    し、車椅子の転倒防止を図る支持体が設けられることを
    特徴とする請求項1、2、3または4記載の介護用車椅
    子。
  6. 【請求項6】 前記脚部ユニットには、背もたれ部と脚
    もたせ部との間に掛け渡された支持体を下方から支持す
    るたわみ防止部材が設けられることを特徴とする請求項
    1、2、3、4または5記載の介護用車椅子。
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