JP2001104410A - 移乗装置 - Google Patents

移乗装置

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JP2001104410A
JP2001104410A JP28491799A JP28491799A JP2001104410A JP 2001104410 A JP2001104410 A JP 2001104410A JP 28491799 A JP28491799 A JP 28491799A JP 28491799 A JP28491799 A JP 28491799A JP 2001104410 A JP2001104410 A JP 2001104410A
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忠 井浦
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圭二 山本
Yoshiyuki Tsukamura
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】被移乗者の大腿部と背を保持し、移乗に供する
移乗装置を提供する。 【解決手段】後方側が開放された空間を備えた下部フレ
ームと、下部フレームに立設された支柱5と、支柱に設
けられた回動軸受部を介して外側上方から内側下方へ回
動自在に付設された左右一対のアーム6と、アーム後部
に軸承された座部と、座部上方に設け後方側が開放され
た手摺枠体と、手摺枠体の内側略々中間部に設けた係止
体と、係止体に係止する背受シート46と、座部及び手
摺枠体を適宜昇降可能に昇降機構を設けた移乗装置にお
いて、回動軸受部を支柱に固着した上下方向の筒体に上
下方向の軸体と前後方向の筒体から成る回動ボスを軸着
し、回動ボスに被移乗者の膝を迂回する形状であるアー
ムを軸着する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、足の弱った老人、
あるいは肢体不自由者等をベッドから車椅子、あるいは
車椅子や便座、シャワーチェア、ソファー等との相互移
乗の際に、被移乗者を立ち上がらせることなく容易かつ
安全に移乗させることができるコンパクトな移乗装置に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の移乗装置において、被移乗者を
ベルト等で吊り上げる構造のものは、被移乗者を吊り上
げるときや、移乗対象物に降ろすときに手間がかかるう
え、吊り上げという動作からくる不安定感も問題となる
ので、この問題を解決しようという意図から、例えば、
回転盤上に支柱を傾斜動可能に起立させ、その先端に受
け板を設けてなるもの(特開平1−195857号公報
参照)と、キャスター付台座に支柱を立設し、該支柱の
略々膝の高さに相当する位置から傾動可能の枝柱を出
し、該枝柱の先端に身体の保持具を設けて成るもの(特
開平3−218755号公報参照)が提案されている。
【0003】しかしながら、前者、後者ともに、ペダル
を踏んで支柱、枝柱を起立させる構造であるため、受け
板、保持具に被移乗者の上半身をあずけた状態で、主
柱、枝柱をゆっくり、静かに起立、傾斜させることは容
易ではなく、そのため、ペダルを強く踏み過ぎて主柱、
枝柱を急激に起立、傾斜させることがあって、姿勢が不
安定となり、被異常者の目線角度が急に変化することに
より恐怖感を感じさせることがある。さらにこの点は、
被移乗者を当該装置より、目的とする被移乗物に降ろす
ときには被移乗者の体重重心の降下の勢いをも考慮して
操作しなければならず、その不安感のために当該装置の
使用拒否を招くこともあった。
【0004】また、特に、介護者が非力な婦人であった
り、高齢者では操作が困難であり、さらに、被移乗者の
上半身を受板、保持具にあずけた状態では、傾斜角度、
高さ、位置を変えることができず不便である問題もあっ
た。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
に鑑みなされたものであり、被移乗者をベルト等で吊り
上げたり、または、脇、膝を支持することによって移乗
させるものではなく、被移乗者の大腿部と背を保持する
ことによって、様々な寝具、椅子あるいは車椅子及び便
座間の移乗に供する容易かつ安全に操作できるとともに
コンパクトな移乗装置を提供することを課題としてい
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、様々な体格の
被移乗者を移乗可能とするために、後方側が開放された
空間S1を備えた下部フレームと、該下部フレームに立
設された支柱と、該支柱に設けられた回動軸受部を介し
て外側上方(被移乗者の大腿部側部に位置する状態)か
ら内側下方(被移乗者の大腿部下方と椅子体との間に形
成される空間S2に挿通する状態)へ回動自在に付設さ
れた被移乗者の膝を迂回するクランク状の形状をした左
右一対のアームと、該アーム後部に軸承された座部と、
該座部上方に設け後方側が開放された手摺枠体と、該手
摺枠体の略々中間部に設けた係止体と、該係止体に係止
する背受シートと、前記座部及び手摺枠体を適宜昇降可
能に昇降機構を設けた移乗装置において、前記回動軸受
部を前記支柱に固着した上下方向の筒体に上下方向の軸
体と前後方向の筒体から成る回動ボスを軸着し、該回動
ボスに前記アームを軸着することによって、アームが外
側上方及び内側下方においても、前記座部を適宜左右に
回動自在とし座部間隔を調節可能に構成したことを特徴
とする。
【0007】そして、椅子体等と被移乗者の大腿部間に
形成される空間S2に前記座部を容易に挿通させるとと
もに、被移乗者を保持した時体圧を座部全体で保持する
ために、前記座部前端部にストッパー部を備えた軸受部
を設け、アーム後部には係止部材を一体的に設けて前記
座部を軸受けし、座部のストッパー部を前記係止部材に
接触させることによって該座部を所定の範囲でアームに
対し回動自在としたことを特徴とする。
【0008】また、被移乗者の膝を前記回動軸受部に接
触させること無くコンパクトなものとするために、前記
回動軸受部を後方側に傾倒した状態に設けたことを特徴
とする。
【0009】そして、前記アームの作動操作を容易にす
るために、前記アームが外側上方の位置で保持される自
動ロック機構を備えたことを特徴とする。
【0010】さらに、被移乗者の足または指等を挟み込
まないように、前記下部フレームにおいて、足置板下面
に前輪を付設したことを特徴とする。
【0011】そして、前記背受シートの脱着を容易に行
うために、前記係止体を前記手摺枠体の内側に設けたこ
とを特徴とする。
【0012】また、前記背受シートを被移乗者と車椅子
間に挿入可能な剛性及び可撓性を備えた背受部と、該背
受部左右両側に前記係止体に係止する係止部を設けたこ
とを特徴とする。
【0013】そして、被移乗者の体格に適宜調節可能と
するために、前記背受シートの係止部には複数の係止箇
所が備えられていることを特徴とする。
【0014】また、被移乗者の座り心地を良くするため
に、前記背受シートの背受部を曲面を有する立体的な形
状としたことを特徴とする
【0015】さらに、背受シートのずれを防止するため
に、前記背受シートにずれ止めのベルトを設けたことを
特徴とする。
【0016】そして、前記下部フレームに拡縮機構を設
け、前記昇降機構を前記下部フレームに止着した枠体と
該枠体に沿って上下に摺動可能な摺動枠内に設け、前記
拡縮機構のレバーを基準として、該レバーの投影方向摺
動枠面に目印を設け、該レバーと目印により前記座部の
高さを調節できるよう構成したことを特徴とする。
【0017】
【作用】本発明に係る移乗装置を使用して、例えば、ベ
ッドから車椅子へ、車椅子から便座への移乗にあたって
は、介護者の操作により、次の手順に従って行う。 (イ)ベッドの場合には、被移乗者をベッドサイドに腰
掛け姿勢にする。なお、車椅子あるいは便座等において
は、着座した状態のままで良い。 (ロ)アームを操作し、座部を外側上方に回動させ、平
面視において当該移乗装置の後方側が開放した状態と
し、座部が被移乗者の大腿部側部に位置する程度の高さ
に調節する。この時、座部の高さ調節は、摺動枠に設け
た目印とレバーの高さをあわせることによって容易に行
える。なお、アームが外側上方に位置する時には自動ロ
ックがかかり、その位置を保持する構成であるので次の
操作を容易に行うことができる。 (ハ)座部前端部が被移乗者の膝裏部に位置するまで移
乗装置を後退させる。なお、車椅子等のように両側部に
枠体がある場合においても、当該移乗装置の座部は外側
上方に位置する際には互いに支柱に止着された筒体に軸
着された回動ボスが水平回動自在であり、両座部間の幅
は適宜調節可能であるので、前記枠体と大腿部間に容易
に挿入することが可能である。さらに、アーム後方に軸
承された座部も適宜回動自在なので容易に挿入すること
ができる。 (ニ)アームを操作し、座部を外側上方から内側下方へ
回動し、被移乗者の大腿部に沿って大腿部とベッドある
いは椅子体間にできる三角形状の空間S2に座部を挿し
込む。 (ホ)背受シートを被移乗者の背中に沿って挿し込み、
背受シートの係止部を手摺枠体に設けた係止体に係止す
る。なお、該背受シートはある程度の剛性及び可撓性を
備えているので容易に挿し込むことが可能であるととも
に該背受シートには複数の係止箇所が設けられているの
で被移乗者の体格にあわせることが可能である。さら
に、係止体を手摺枠体の内側に設けているので背受シー
トの脱着が容易である。 (ヘ)昇降機構を操作し、被移乗者をベッドあるいは車
椅子から抱き上げた状態とする。 (ト)移乗対象物上に被移乗者を移動し、昇降機構を操
作しながら、目印とレバーの高さをあわせるようにし
て、被移乗者を対象物に着座させる。 (チ)然る後、座部を外側上方へ回動させるとともに、
背受シートを背中から抜き取る。この状態で当該移乗装
置は平面視において後方側が開放されているのでそのま
ま前方に引き出せば移乗を完了する。 (リ)当該両座部は一定の間隔離間されており、また該
座部下側後方すなわち臀部下方は開放されている。これ
により、便座上に移動することによって、排便させるこ
とも可能である。
【0018】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。
【0019】この移乗装置1は、主として走行可能な前
輪2,2及び後輪3,3を備えた下部フレーム4と、支
柱5と、該支柱5に付設された一対のアーム6,6と、
該アーム6,6後部に付設された座部7,7と、該座部
7,7上方に設けられた手摺枠体8から成る。
【0020】前記下部フレーム4は、左右一対の支枠
9,9と、基部プレート10、及び拡縮機構11によっ
て構成されている。前記支枠9は、後輪3の取付部材9
aを固着した横枠9b前方部に前枠9cの一端部を固着
し、該前枠9cの他端部には軸受体9dを固着してお
り、さらに該軸受体9d上面に歯形部材9eを固着し、
前記前枠9c前方部に足置板9fを固着して成る。
【0021】また、前記基部プレート10は側面視にお
いて略々L字状に曲折されたプレート10aと、このプ
レート10a下面に固着された上下方向の一対の軸体1
0b,10b、そして前方部に設けた空孔部に固着され
た上下方向の筒体10cとから成る。
【0022】そして、拡縮機構11は支枠9,9の歯形
部材9e,9eを噛合させた状態で回動自在に前記基部
プレート10の軸体10b,10bに支枠9,9の軸受
体9d,9dを枢止している。また、前記軸受体9d,
9dのいずれか一方には、空孔部12aを備えたプレー
ト12を固着しており、該空孔部12aには前記筒体1
0dに挿通したレバー軸13の下端部に止着された偏心
カム14の軸体14aを挿通している。さらに、レバー
軸13の上部には空孔部13aを設け、L字状のレバー
15を枢止している。すなわち、前記下部フレーム4は
レバー15の回動によって一方の支枠9を軸体10bを
起端として回動自在であり、さらに他方の支枠9も歯形
部材9e,9eの噛合によって連動回動するので、適宜
拡縮自在な構成と成っている。また、後方部が開放され
た空間S1を形成しているので該下部フレーム4を適宜
拡縮し、後退させることによって車椅子Kや便器等に入
り込める形状とされている。さらに、この下部フレーム
は足置板9f,9f下面に前輪2,2を固定しているの
で、前輪2,2の旋回時に被移乗者Mの足または指を挟
み込む恐れが無い。
【0023】5は昇降機構16を備えた支柱であり、本
実施例では角柱としている。この支柱5は前記下部フレ
ーム4の基部プレート10に固定される側面視において
略々L字状のプレート17上に立設された枠体18の外
周部を摺動自在にライニング19,19,・・・を介し
て摺動枠20が取り付けられており、該枠体18及び摺
動枠20に以下に説明する昇降機構16を設けたもので
ある。
【0024】21は螺軸で、前記枠体18内に設けた円
筒状の筒体22上部に止着された螺合体23に螺合され
て、上端は摺動枠20にブラケット24を介して取り付
けたメタル25にベアリング26を介して軸受けされて
いる。なお、27は螺軸21の下端に付設されたぶれ止
めのカラーである。25aはメタル25上端外周部に設
けた係止爪を示す。28は螺軸21の上端にピン止めし
たレバーである。29は回転操作レバーで、前記レバー
28にピン30で枢着された金具31に止着されてい
る。32は金具31に設けられた係止体である。33は
金具31とレバー28との間に介在されたばねで、金具
31を上方へ付勢していて、回転操作レバー29をばね
33に抗して下動すると係止爪25aと係止体32とが
外れ螺軸21が回転できるよう構成されている。
【0025】そして、前記支柱5の摺動枠20の略々中
間部には回動軸受部34を配し、該回動軸受部34には
外側上方から内側下方に回動自在となるようアーム6を
軸支している。この回動軸受部34は前記支柱5に固着
されたブラケット35に固着した中空の筒体36と、該
筒体36に枢止される軸部37aの上部に固着された中
空の筒体37bから成る回動ボス37によって構成され
ている。なお、前記回動ボス37の筒体37b前端部に
は係止爪37cが設けられている。
【0026】なお、前記筒体36あるいは回動ボス37
の筒体37bを後方側に傾倒した状態とすることによっ
て、座部7の軸受部7aを回動軸受部34下方部に位置
することができ、被移乗者Mの膝が回動軸受部34に接
触することを防止できる。そのため、被移乗者Mの膝の
接触防止のためにアーム6を長くする必要がなく、極め
てコンパクトに構成することができる。
【0027】また、アーム6は平面視において、略々コ
字状に形成されており、後側端面には後述する座部7の
回動を規制する係止部材6aを固着している。さらに、
前端部には前記回動ボス37の筒体37bに枢止する軸
体6bが固着されている。なお、該軸体6bには係止爪
38a,38bが形成されたストッパ体38が固着され
ている。すなわち、該アーム6の軸体6bを前記回動ボ
ス37に回動自在に枢着し、回動ボス37を筒体36に
枢着することによって、該アーム6は筒体37bの係止
爪37cとストッパ体38の係止爪38aが接触する範
囲、つまり外側上方から内側下方の範囲内で回動自在で
ある。さらに、筒体37bは前記支柱5側面から離間し
た状態にあるので、軸部37aを起端としてアーム6の
後方部が互いに接近及び離反できる構成である。
【0028】また、39は調節片であって、前記ブラケ
ット35に止着されており、上下にスライド可能に長孔
部39aが設けられている。そして、該調節片39は左
右両側に設けた係止爪39b,39bに前記ストッパ体
の係止爪38b,38bが接触し、回動ボス37の軸部
37aを起端とした回動(座部7,7の開き)を規制す
るものであり、座部7,7間隔を調節可能としている。
【0029】さらに、図6はアーム6を外側上方で保持
する自動ロック機構40を示すものである。この自動ロ
ック機構40は前記回動ボス37の軸部37aに空孔部
37d及び雌ネジ部37eを設け、この空孔部37dに
押圧片41とばね42を挿通し、雄ネジ43によって押
圧片41の押圧力を調整している。そして、該押圧片4
1がアーム6端部に固着された軸体6bに設けた係止孔
6cに係止することによって保持する構成である。な
お、本実施例において押圧片41は棒状で先端部を球状
としたものであるが、球体を用いても何ら問題はない。
【0030】7は座部であって、上面で大腿部を保持す
るため正面視において、円弧状の形状となっている。ま
た、下面前端部には前記アーム6に枢着する軸受部7a
が設けられており、該軸受部7aは図9に示す通り前記
アーム6に固着された係止部材6aに接触するストッパ
ー部7bが備えられている。すなわち、該座部7は前記
ストッパー部7bと係止部材6aが接触する間回動自在
であり、移乗を行う際に挿入し易い座部角度から大腿部
を保持する際に体圧が分散される角度(図2において0
度から反時計まわりに25度)まで回動自在な構成とな
っている。なお、車椅子Kに被移乗者Mが着座した状態
では図18に示すように被移乗者Mの膝裏部と座面間に
は三角形状の空間S2が形成される。また、この空間S
2は車椅子Kの側部フレームから前方にも形成されてい
るので座部7前端部の軸受部7aは大径の軸受部とする
ことが可能である。
【0031】そして、前記座部7上方には手摺44が設
けられている。この手摺44は前記支柱5上部に固着さ
れた後方側が開放された手摺枠体8の左右後端部に止着
されている。なお、該手摺枠体8は後方が開放されてお
ればよく、コ字状、U字状等どのような形状でも問題は
ない。また、該手摺枠体8の内側中間部にはきのこ状の
係止体45,45を固着している。なお、この係止体4
5,45は本実施例においてはきのこ状の形状としてい
るが、後述する背受シート46が外れない形状であれば
よく、その他の形状でも何ら問題はない。また、この係
止体45,45を手摺枠体8の内側に設けることによっ
て、背受シート46の脱着が容易に行える効果がある。
【0032】図10及び図11は本移乗装置に使用する
背受シート46である。この背受シート46は、主とし
て背受部46aと係止部46b,46bからなり、背受
部46aにはある程度の剛性と可撓性を備えた材質を用
いている。すなわち、該背受シート46は車椅子Kから
移乗させる際に車椅子Kの背もたれと被移乗者Mの背中
間に挿し込み、上部から押し込むようにして被移乗者M
の背部に当て、係止部46b,46bを前記係止体4
5,45に係止することができるよう構成されたもので
ある。なお、前記係止部46b,46bは図11,図1
2及び図13に示すように係止箇所を複数設けておくこ
とによって、様々な体格の方を移乗させることが可能と
なる。さらに、図12に示すように背受部46aにスリ
ットを入れ、このスリット部を重ねるように接着、ある
いは縫製することによって該背受部中央に曲面を持たせ
るようにすれと、被移乗者Mの背部を確実に保持できる
効果がある。さらに、図13に示すように背受部46a
両側部に一対のベルト47a,47bを設け、被移乗者
Mの背部を迂回して腹部でベルト47a,47bを装着
することによって、背受シート46が下方にずれること
がなくなり、より安全に使用できる。
【0033】そして、座部7,7の昇降に伴い相対的に
上下に摺動する前記支柱5の摺動枠20には、前記拡縮
機構11のレバー15を基準として車椅子Kの座席シー
トと座部7,7の高さがそろう位置の目印48やベッド
と座部7,7の高さがそろう位置の目印49を設けてい
る。これによって、両アーム6,6を外側上方に挙げた
状態としても、座部7,7の高さ調節が容易に行える。
【0034】この移乗装置1を用いて被移乗者Mを移乗
させる手順について、図14から図19を用いて説明す
る。
【0035】まず、図14から図16に示すようにアー
ム6,6を外側上方に回動し、平面視において後方側が
開放された状態とする。このとき、アーム6,6は回動
軸受部34に設けた自動ロック機構40によって自動的
にロックされているので介護者は次の動作を行いなが
ら、アームを保持する必要が無い。また、自動ロックな
ので、レバー等を解除する必要が無いので移乗操作が簡
便である。
【0036】次に、座部7,7が被移乗者Mの大腿部の
高さになるよう回転操作レバー29を操作する。このと
き、拡縮機構11のレバー15と摺動枠20に設けられ
た目印48または目印49をあわせるように操作すれば
容易に座部7,7と移乗対象物の高さをあわせることが
できる。
【0037】然る後、車椅子Kの幅が下部フレーム4の
空間S1よりも広い場合にはレバー15を操作して、支
枠9,9を広げる。そして、図18に示すように被移乗
者Mの膝裏部後方に座部7,7の軸受部7aが位置する
状態まで挿し込む。この時、両座部7,7は互いに接近
あるいは離反することができるので適宜幅調節をしなが
ら車椅子Kの側枠と被移乗者Mの大腿部間に挿し込む。
【0038】座部7,7を挿し込んだ後、アーム6,6
を内側下方に回動する。なお、自動ロックはアーム6,
6を内側下方に回動させることによって自動的に解除さ
れる。この時、車椅子Kと被移乗者Mの膝裏部には空間
S2ができているので座部7,7前方部に設けた軸受部
7a,7aが車椅子Kあるいは膝に干渉すること無く挿
し込むことができる。
【0039】座部7,7の敷き込みができた後、背受シ
ート46を車椅子Kの背もたれ部と被移乗者Mの背中に
挿し込む。該背受シート46は、ある程度の剛性及び可
撓性があるので上方から軽く押し込むことによって被移
乗者Mの背部まで挿し込むことができる。この後、この
背受シート46の係止部46b,46bを手摺枠体8の
内側に設けた係止体45,45に係止する。該背受シー
ト46には複数の係止箇所を設けているので被移乗者M
の体格に合わせ、適当な位置で係止することが可能であ
る。また、背受部に曲面が形成されるように構成してい
るので被移乗者Mの背中を確実に保持することが可能で
ある。さらに、ずれ止めのベルト47a,47bが設け
られているので背受シート46がずれ落ちることが無
い。
【0040】次に回転操作レバー29を操作し、座部
7,7を上昇させる。すると、座部7,7は所定の角度
まで傾斜するので、体圧が局部的にかかることなく、座
部7,7全体で保持することが可能である。そして、さ
らに上昇させ、車椅子Kから被移乗者Mを引抜くことで
車椅子Kから本移乗装置1に乗せ換えることができる。
【0041】そして、移乗対象物上に被移乗者Mを移動
させ、上記手順を逆に行うことで移乗ができる。
【0042】なお、本移乗装置においては、被移乗者M
の臀部下方は開放されており、便器上に移動させれば排
便させることも可能である。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように本発明の移乗装置
は、外側上方から内側下方に回動自在なアームの後部に
座部を設けているので、車椅子Kからの移乗においても
椅子体と被移乗者Mの大腿部間に形成される空間S2に
座部を挿通させることが可能であり、該座部で大腿部を
保持し、背受シートにより背部を保持することによっ
て、被移乗者Mは着座姿勢に非常に近い姿勢で移乗する
ことができる。そのため、被移乗者Mは吊り上げられて
いるような不安定感を感じること無く移乗させることが
できる。また、体格の異なる方にも適宜座部間隔の調節
及び背受シートの装着位置の調節が可能である。さら
に、本発明の移乗装置は非常にコンパクトかつ操作も簡
便であるので介護者が高齢者であったり、女性であって
も容易に移乗させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる移乗装置の全体正面図
【図2】その全体側面図
【図3】その全体平面図
【図4】下部フレームを示す下面図
【図5】拡縮機構を示す要部拡大図
【図6】支柱を示す側断面図
【図7】回動軸受部を示す要部断面図
【図8】回動軸受部を示す斜視図
【図9】アーム及び座部の作動状態を示す斜視図
【図10】座部取付部を示す側断面図
【図11】背受シートを示す正面図
【図12】背受シートの別例を示す側面図
【図13】背受シートの別例を示す正面図
【図14】アームを外側上方位置までか移動させた時の
全体正面図
【図15】その全体側面図
【図16】その全体平面図
【図17】車椅子からの移乗状態を示す平面説明図
【図18】その側面説明図
【図19】その座部を内側下方位置に回動させた時の側
面説明図
【符号の説明】
1 移乗装置 2 前輪 3 後輪 4 下部フレーム 5 支柱 6 アーム 7 座部 8 手摺枠体 11 拡縮機構 16 昇降機構 34 回動軸受部 36 筒体 37 回動ボス 45 係止体 46 背受シート M 被移乗者 K 車椅子

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 後方側が開放された空間S1を備えた下
    部フレームと、該下部フレームに立設された支柱と、該
    支柱に設けられた回動軸受部を介して外側上方(被移乗
    者の大腿部側部に位置する状態)から内側下方(被移乗
    者の大腿部下方と椅子体との間に形成される空間S2に
    挿通する状態)へ回動自在に付設された被移乗者の膝を
    迂回するクランク状の形状をした左右一対のアームと、
    該アーム後部に軸承された座部と、該座部上方に設け後
    方側が開放された手摺枠体と、該手摺枠体の略々中間部
    に設けた係止体と、該係止体に係止する背受シートと、
    前記座部及び手摺枠体を適宜昇降可能に昇降機構を設け
    た移乗装置において、前記回動軸受部を前記支柱に固着
    した上下方向の筒体に上下方向の軸体と前後方向の筒体
    から成る回動ボスを軸着し、該回動ボスに前記アームを
    軸着することによって、アームが外側上方及び内側下方
    においても、前記座部を適宜左右に回動自在とし座部間
    隔を調節可能に構成したことを特徴とする移乗装置。
  2. 【請求項2】 前記座部前端部にストッパー部を備えた
    軸受部を設け、アーム後部には係止部材を一体的に設け
    て前記座部を軸受けし、座部のストッパー部を前記係止
    部材に接触させることによって該座部を所定の範囲でア
    ームに対し回動自在としたことを特徴とする請求項1記
    載の移乗装置。
  3. 【請求項3】 前記回動軸受部を後方側に傾倒した状態
    に設けたことを特徴とする請求項1または請求項2記載
    の移乗装置。
  4. 【請求項4】 前記アームが外側上方の位置で保持され
    る自動ロック機構を備えたことを特徴とする請求項1,
    2または請求項3記載の移乗装置。
  5. 【請求項5】 前記下部フレームにおいて、足置板下面
    に前輪を付設したことを特徴とする請求項1,2,3ま
    たは請求項4記載の移乗装置。
  6. 【請求項6】 前記係止体を前記手摺枠体の内側に設け
    たことを特徴とする請求項1,2,3,4または請求項
    5記載の移乗装置。
  7. 【請求項7】 前記背受シートを被移乗者と車椅子間に
    挿入可能な剛性及び可撓性を備えた背受部と、該背受部
    左右両側に前記係止体に係止する係止部を設けたことを
    特徴とする請求項1記載の移乗装置。
  8. 【請求項8】 前記背受シートの係止部には複数の係止
    箇所が備えられていることを特徴とする請求項1または
    請求項7記載の移乗装置。
  9. 【請求項9】 前記背受シートの背受部を曲面を有する
    立体的な形状としたことを特徴とする請求項1,7また
    は請求項8記載の移乗装置。
  10. 【請求項10】前記背受シートにずれ止めのベルトを設
    けたことを特徴とする請求項1,7,8または請求項9
    記載の移乗装置。
  11. 【請求項11】前記下部フレームに拡縮機構を設け、前
    記昇降機構を前記下部フレームに止着した枠体と該枠体
    に沿って上下に摺動可能な摺動枠内に設け、前記拡縮機
    構のレバーを基準として、該レバーの投影方向摺動枠面
    に目印を設け、該レバーと目印により前記座部の高さを
    調節できるよう構成したことを特徴とする請求項1,
    2,3,4,5または請求項6記載の移乗装置。
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JP2012090875A (ja) * 2010-10-28 2012-05-17 Tatsumi Yuki Seisakusho:Kk 介護シフター
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