JP4393686B2 - 車椅子 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は車椅子に関し、特にレッグサポートが改良された車椅子に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
車椅子は、身体障害者、高齢者、負傷者等の自力歩行が困難な者に利用される。図7は、一般的な車椅子が示された右側面図であり、図8はその正面図である。この車椅子は、本体フレーム101、レッグサポート103、押手105、肘掛けパイプ107、肘掛け109、背シート111、大車輪113、ハンドリム115、前輪117、座シート119等を備えている。また、図示は省略されているが、この車椅子は、スカートガード、安全ベルト、介助ブレーキ、駐車ブレーキ等を備えている。レッグサポート103は、レッグパイプ121、レッグレスト123及びフットレスト125から構成されている。
【0003】
利用者(すなわち身体障害者等)が座シート119に着座するときは、足をフットレスト125の上に置く。このとき、利用者の脹ら脛はレッグレスト123に当接する。これにより利用者の脚が安定し、脚への負担が軽減される。すなわち、レッグサポート103は利用者が安全かつ快適に車椅子を利用できるように設けられている。
【0004】
利用者が車椅子に乗るとき及び車椅子から降りるときに、レッグサポート103が利用者の邪魔になることがある。乗降を円滑にする目的で、レッグサポート103が旋回する車椅子も実用化されている。この車椅子では、レッグサポート103が外側方向に旋回する。すなわち、右脚用のレッグサポート103は使用位置(着座した利用者が足をフットレスト125に載せうる位置)よりも右方向に旋回し、左脚用のレッグサポート103は使用位置よりも左方向に旋回する。旋回によって車椅子の前方に障害物(フットレスト125等)がなくなり、利用者の乗降が円滑となる。
【0005】
重度の障害を持つ利用者の中には自力では車椅子から降車できない者もおり、介助者が乗降を手伝わなければならないこともある。例えば、介助者が車椅子をベッドに近づけ、利用者を抱きかかえてベッドに移動させることがある。この場合も、介助者はレッグサポート103を外側に旋回させる。これにより、レッグサポート103が障害物となることなく、介助者が利用者に近づける。
【0006】
利用者の中には、膝が曲がりにくいという障害を負っている者(例えばリューマチの患者)もいる。このような利用者にとっては、レッグパイプ121がほぼ下方に延びるレッグサポート103は使いづらい。このような利用者のために、レッグパイプ121の傾斜角度調整が可能な、いわゆる挙上式のレッグサポート103を備えた車椅子が実用化されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、レッグサポート103が外側に旋回する車椅子では、旋回したレッグサポート103が邪魔になり、介助者が車椅子をベッド等に十分に近づけることができないという問題がある。また、挙上式のレッグサポート103は膝が曲がらない障害者には便利であるが、この挙上式のレッグサポート103を備えた車椅子を膝に障害のない利用者が利用するときは、レッグサポート103が旋回しないので乗降の邪魔になってしまうという問題がある。
【0008】
本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであり、レッグサポートが改良されており種々の用途に適する車椅子の提供をその目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するためになされた発明は、
本体フレームとこの本体フレームに取り付けられたレッグサポートとを備えた車椅子であって、
旋回式レッグサポートと挙上式レッグサポートとが交換可能に構成された車椅子、
である。
【0010】
この車椅子には、2種類のレッグサポートが用意されている。この車椅子が膝が曲がりにくい利用者に利用されるときは、挙上式レッグサポートが本体フレームに取り付けられる。挙上式レッグサポートではレッグパイプの傾斜角度が調整されうる。角度調整により、膝が曲がりにくい利用者の苦痛が解消される。また、この車椅子が膝に障害のない利用者に利用されるときは、旋回式レッグサポートが本体フレームに取り付けられる。旋回式レッグサポートが旋回することにより、旋回式レッグサポートが利用者の乗降の邪魔になることがない。
【0011】
好ましくは、旋回式レッグサポートは、使用位置から内側方向及び使用位置から外側方向の両方に旋回する。旋回式レッグサポートが内側寄りに位置しているときは、旋回式レッグサポートがベッド等の構造物に車椅子が近づくことの妨げとならない。
【0012】
また、上記の目的を達成するためになされた発明は、
本体フレームとこの本体フレームに取り付けられた旋回式レッグサポートとを備えた車椅子であって、
使用位置から内側方向及び使用位置から外側方向の両方に旋回式レッグサポートが旋回するように構成されている車椅子、
である。
【0013】
この車椅子では、旋回式レッグサポートが内側寄りに位置しているときは、旋回式レッグサポートがベッド等の構造物に車椅子が近づくことの妨げとならない。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、適宜図面が参照されつつ、本発明の実施形態が説明される。
【0015】
図1は、本発明の一実施形態にかかる車椅子が示された斜視図である。この車椅子は、本体フレームの一部であるフロントパイプ1、左右一対の旋回式レッグサポート3、押手5、肘掛けパイプ7、肘掛け9、背シート11、大車輪13、ハンドリム15、前輪17、座シート19及び介助ブレーキ21を備えている。旋回式レッグサポート3は、シート状のレッグレスト23を備えている。左右のレッグレスト23は、面ファスナー(図示されず)等で連結されている。
【0016】
図2は、図1の車椅子の旋回式レッグサポート3が示された拡大斜視図である。この図には右側(着座した利用者にとっての右側)の旋回式レッグサポート3が示されているが、左側の旋回式レッグサポート3は、図2が反転された形状である。旋回式レッグサポート3は、レッグパイプ25、フットレスト27及び支持アーム29を備えている。前述のように旋回式レッグサポート3はシート状のレッグレスト23(図1参照)を備えているが、図2ではレッグレスト23の図示が省略されている。
【0017】
レッグパイプ25は一端31から略水平に延び、途中から湾曲して斜め下方に延びている。レッグパイプ25の一端31の近傍には、下方に向けて突出する挿入ピン33が固定されている。支持アーム29はレッグパイプ25から延びており、先端に当接部35が固定されている。この当接部35の横断面形状は、半円形状である。支持アーム29の先端近傍には、固定ピン37が設けられている。この固定ピン37は支持アーム29を貫通しており、その下端は支持アーム29から突出している。固定ピン37は、支持アーム29に対して進退可能である。フットレスト27は板状であり、支軸39によってレッグパイプ25に回転可能に軸支されている。フットレスト27の回転は、フットレスト27が水平になる位置から鉛直になる位置までの約90°の範囲で可能である。
【0018】
図3は、図1の車椅子の一部が示された拡大斜視図である。この車椅子では、挿入ピン33(図2参照)がフロントパイプ1の上端に挿入され、当接部35の内周面がフロントパイプ1の側壁に当接することによって、左右一対の旋回式レッグサポート3がフロントパイプ1に取り付けられている。フロントパイプ1の内径は挿入ピン33の外径よりも十分大きいので、旋回式レッグサポート3はフロントパイプ1に対して旋回可能である。
【0019】
図3では、右側の旋回式レッグサポート3が外側方向(右方向)に旋回して右寄りに位置した状態が示されている。左側の旋回式レッグサポート3は使用位置(着座した利用者がフットレスト27に足を置くことができる位置)にあるが、この左側の旋回式レッグサポート3も外側方向(左方向)に旋回可能である。左右の旋回式レッグサポート3が外側方向に旋回して外寄りに位置した状態では、障害物がなくなって、利用者の座シート19への着座及び車椅子からの降車が円滑に行われうる。
【0020】
使用位置では、固定ピン37の下端がロック穴41に差し込まれており、旋回式レッグサポート3の旋回が阻止されている。固定ピン37が上方に引き上げられることによってロックが解除され、旋回式レッグサポート3の旋回が可能となる。
【0021】
図3と同様に図4も、図1の車椅子の一部が示された拡大斜視図である。この図では、右側の旋回式レッグサポート3が使用位置にある。左側の旋回式レッグサポート3は内側方向(右方向)に旋回させられ、右寄りに位置している。旋回の容易のため、左側のフットレスト27はほぼ鉛直方向に沿って起立させられている。左側の旋回式レッグサポート3と同様に右側の旋回式レッグサポート3も、内側方向(左方向)に旋回可能である。
【0022】
旋回式レッグサポート3が内寄りに位置した状態では車椅子の左右に障害物がなく、例えばベッド等の構造物に車椅子を近接して横付けすることができる。また、車椅子の前方にも障害物がないので、介助者は前方から車椅子に近づき、利用者を抱きかかえてベッドに移すことができる。車椅子とベッドとの距離が近いので、介助者の負担が少ない。また、肘掛けパイプ7が跳ね上げられるか取り外されれば、力のない介助者でも利用者の体を少しずつ滑らせてベッドに移すことができる。
【0023】
この車椅子では、フロントパイプ1から挿入ピン33(図2参照)が抜かれることにより、容易に旋回式レッグサポート3が取り外される。
【0024】
図5は、図1の車椅子に取り付けられうる挙上式レッグサポート43が示された斜視図である。この図には右側の挙上式レッグサポート43が示されているが、左側の挙上式レッグサポート43は、図5が反転された形状である。挙上式レッグサポート43は、取り付け部45、レッグパイプ47、レッグレスト49、フットレスト51及び角度調整部53を備えている。
【0025】
取り付け部45は、基体55と、挿入ピン57と、当接部59と、固定ピン61とを備えている。基体55は、前方寄り(図5における右寄り)に2枚の挟持板63を備えている。挿入ピン57は、基体55から下方に向けて突出している。当接部59も、基体55から下方に向けて突出している。この当接部59の横断面形状は、半円形状である。固定ピン61は当接部59を貫通している。この固定ピン61は、当接部59に対して進退可能である。
【0026】
レッグパイプ47の上端近傍は、ボルト65によって2枚の挟持板63に回動可能に軸支されている。レッグレスト49は、ボルト67によってレッグパイプ47に固定されている。フットレスト51は、レッグパイプ47の下端近傍に固定された支軸69によって、レッグパイプ47に回転可能に軸支されている。
【0027】
角度調整部53は、スライドバー71、L字部材73、バネ75、ロック板77及びレバー79からなる。スライドバー71の上端は、レッグパイプ47に取り付けられている。バネ75は圧縮された状態で、L字部材73とロック板77との間に配置されている。スライドバー71は、L字部材73、バネ75及びロック板77を貫通している。レバー79の下端は、ロック板77に固定されている。
【0028】
ロック板77はバネ75によって下向きに付勢されており、これによってロック板77はスライドバー71に対して斜めに傾いている。この傾きによりスライドバー71がロック板77でロックされ、ロック板77に対するスライドバー71のスライドが阻止されている。図5に示された状態からレバー79が下方に操作されると、ロック板77の傾きが緩やかになり、ロック板77とスライドバー71とがほぼ直交する。するとスライドバー71のロックが解除され、スライドバー71がスライド可能となる。スライドバー71のスライドによりレッグパイプ47がボルト65を中心として回動し、レッグパイプ47の傾斜角度が変動する。スライドバー71が上方にスライドしたときには、レッグパイプ47の軸方向は水平に近づく。逆に、スライドバー71が下方にスライドしたときには、レッグパイプ47の軸方向は鉛直に近づく。
【0029】
図6は、図1の車椅子に図5の挙上式レッグサポート43が取り付けられた様子が示された斜視図である。挙上式レッグサポート43は、挿入ピン57(図5参照)がフロントパイプ1の上端に挿入され、当接部59の内周面がフロントパイプ1の側壁に当接することによって、フロントパイプ1に取り付けられている。固定ピン61の先端がフロントパイプ1に形成された固定孔(図示されず)に差し込まれることによって、挙上式レッグサポート43の脱落が阻止されている。
【0030】
図6では、左側の挙上式レッグサポート43が跳ね上げられた状態が示されている。この状態は、左膝が曲がりにくいという障害を負った利用者に適している。スライドバー71のスライド量が調整されることにより、障害の内容に応じたレッグパイプ47の傾斜角度が達成されうる。右膝が曲がりにくいという障害を負った利用者の場合は、右側の挙上式レッグサポート43が跳ね上げられる。また、両膝が曲がりにくいという障害を負った利用者の場合は、右側の挙上式レッグサポート43が跳ね上げられる。
【0031】
図1から図6に示された車椅子では、ひざが曲がりにくいという障害を負う利用者が利用する場合は、挙上式レッグサポート43がフロントパイプ1(すなわち本体フレーム)に取り付けられ、レッグパイプ47の傾斜角度が調整される。また、このような障害を持たない利用者が利用する場合は、旋回式レッグサポート3がフロントパイプ1に取り付けられる。そして、利用者の乗降時には、旋回式レッグサポート3が外側方向に旋回させられる。また、車椅子がベッド等に近接される必要がある場合は、旋回式レッグサポート3が内側方向に旋回させられる。すなわち、この車椅子は種々の用途に用いられうる。
【0032】
旋回式レッグサポートが外側方向にのみ旋回するものであってもよい。この場合でも、旋回式レッグサポートと挙上式レッグサポート43との使い分けによる利便性は発揮される。
【0033】
挙上式レッグサポート43が用意されず、旋回式レッグサポート3が常に取り付けられる車椅子であってもよい。この場合でも、旋回式レッグサポート3の旋回方向が2方向であることによる利便性は発揮される。
【0034】
【発明の効果】
以上説明されたように、本発明の車椅子は、1台で種々の用途に適合させられうる。この車椅子は、福祉の向上に寄与しうるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の一実施形態にかかる車椅子が示された斜視図である。
【図2】図2は、図1の車椅子の旋回式レッグサポートが示された拡大斜視図である。
【図3】図3は、図1の車椅子の一部が示された拡大斜視図である。
【図4】図4は、図1の車椅子の一部が示された拡大斜視図である。
【図5】図5は、図1の車椅子に取り付けられうる挙上式レッグサポートが示された斜視図である。
【図6】図6は、図1の車椅子に図5の挙上式レッグサポートが取り付けられた様子が示された斜視図である。
【図7】図7は、一般的な車椅子が示された右側面図である。
【図8】図8は、図7の車椅子が示された正面図である。
【符号の説明】
1・・・フロントパイプ
3・・・旋回式レッグサポート
7・・・肘掛けパイプ
19・・・座シート
23、49・・・レッグレスト
25、47・・・レッグパイプ
27、51・・・フットレスト
29・・・支持アーム
33、57・・・挿入ピン
35、59・・・当接部
43・・・挙上式レッグサポート
45・・・取り付け部
53・・・角度調整部
55・・・基体
63・・・挟持板
71・・・スライドバー
73・・・L字部材
75・・・バネ
77・・・ロック板
79・・・レバー
Claims (3)
- 本体フレームとレッグサポートとを備えた車椅子であって、
この本体フレームがその一部であって前方に位置するフロントパイプを有しており、
レッグサポートが下方に向けて突出する挿入ピンと、その横断面形状が半円形状の当接部とを備えており、
この挿入ピンがフロントパイプに挿入され、当接部の半円形状の内周面がフロントパイプの側壁に当接されることによりレッグサポートがフロントパイプに取り付けられており、
挿入ピン及び当接部を備えてフロントパイプに対して旋回可能である旋回式レッグサポートと、挿入ピン及び当接部を備える挙上式レッグサポートとが交換可能に構成された車椅子。 - 使用位置から内側方向及び使用位置から外側方向の両方に旋回式レッグサポートが旋回するように構成されている請求項1に記載の車椅子。
- 本体フレームと旋回式レッグサポートとを備えた車椅子であって、
この本体フレームがその一部であって前方に位置するフロントパイプを有しており、
この旋回式レッグサポートが下方に向けて突出する挿入ピンと、その横断面形状が半円形状の当接部とを備えており、
この挿入ピンがフロントパイプに挿入され、当接部の半円形状の内周面がフロントパイプの側壁に当接されることによりレッグサポートがフロントパイプに対して旋回可能に取り付けられており、
使用位置から内側方向及び使用位置から外側方向の両方に旋回式レッグサポートが旋回するように構成されている車椅子。
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Family Applications (1)
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- 2000-09-11 JP JP2000274336A patent/JP4393686B2/ja not_active Expired - Lifetime
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