JP3523630B2 - 移乗用具 - Google Patents

移乗用具

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JP3523630B2
JP3523630B2 JP2001322674A JP2001322674A JP3523630B2 JP 3523630 B2 JP3523630 B2 JP 3523630B2 JP 2001322674 A JP2001322674 A JP 2001322674A JP 2001322674 A JP2001322674 A JP 2001322674A JP 3523630 B2 JP3523630 B2 JP 3523630B2
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恒太郎 伊藤
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Takano Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、一人で寝起きでき
ない患者のベッドからストレッチャーあるいはストレッ
チャーからベッドへの移動・トランスファー(本明細書
では移乗と呼ぶ)を行う介護システムおいて利用するの
に好適な移乗用具に関する。さらに詳述すると、本発明
は患者を乗せたままベッドおよびストレッチャー上を摺
動させる移乗用具レバー装置に関する。
【0002】
【従来の技術】一人で寝起きが困難な患者や老人など
(本明細書では総称して「患者」という)が寝た状態の
まま移動できるようキャスタを備えたストレッチャーが
使用されることがある。このストレッチャーによれば、
ベッドと同じように患者を横たわらせたまま移動するこ
とができる。
【0003】患者を寝たままの状態でベッドからストレ
ッチャーに移し換えたり、あるいはその逆にストレッチ
ャーからベッドに移し換えるときには、移乗板と呼ばれ
る道具が使用されることがある(実開平6−50625
号公報参照)。この移乗板は、例えば強化プラスチック
製の剛性の高い平板から成る。そして、患者をベッドか
らストレッチャーに移乗させるときは、ベッド上に横た
わっている患者の体の下に移乗板を差し入れて、該移乗
板に患者を完全に乗せる。この移乗板を患者ごと摺動さ
せてストレッチャーに移動させる。移動後は、患者の体
の下から移乗板を抜き取ってストレッチャーに横たわら
せる。
【0004】ところで、近年、図4に示すように上面を
平坦にしたベッド状態と図5に示すように着座可能な椅
子状態とに形態を変更可能なストレッチャー(本明細書
では、形態可変ストレッチャーと呼ぶ)が開発されてい
る。この種の形態可変ストレッチャーによれば、ベッド
からベッド状態の形態可変ストレッチャーに患者を移乗
した後これを椅子状態に変更することにより、ベッドに
寝た患者を車椅子に移乗する作業を簡易に行うことがで
きる。また、椅子状態の形態可変ストレッチャーをベッ
ド状態に変更してからベッドに患者を移乗させることに
より、車椅子に座った患者をベッドに移乗する作業を簡
易に行うことができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た移乗板は剛性の高い平板であるので、ベッド状態にあ
る形態可変ストレッチャーに移乗板を使って患者を移乗
させると、ストレッチャー上に残った移乗板によって形
態可変ストレッチャーの椅子状態への変更が妨げられて
しまう。このため、形態可変ストレッチャーを椅子状態
に変更するには移乗板を取り除かなければならず、手間
が掛かってしまう。また、この椅子状態にある形態可変
ストレッチャーを再びベッド状態に戻して患者をベッド
に移乗させるときは、移乗板を再度患者の体の下側に入
れなければならず、手間を要してしまい作業性が悪い。
【0006】しかも、移乗板は剛性の高い平板であるの
で、寝心地が悪く、その上に患者が寝続けることは困難
である。移乗された患者の下に移乗板をそのまま敷いて
おくことができないことから、移乗後は移乗板を速やか
に抜き取らなければならず、移乗の作業性が悪かった。
【0007】そこで、本発明は、患者を移乗する際の作
業性を高められる移乗用具を提供することを目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、ベッドあるいはストレッチ
ャーに寝ている患者を寝たままの状態でベッドからスト
レッチャーに移し替えたりあるいはその逆にストレッチ
ャーからベッドに移し替える際に患者を乗せたままベッ
ドおよびストレッチャー上を摺動させる移乗用具におい
て、可撓性を有し、尚かつ患者を容易に移乗できる程度
にベッドおよびストレッチャーに対する摩擦の小さい接
触面を備えると共に、接触面の一部には接触面の他部よ
りも摩擦が大きい高摩擦部を有するようにしている。
【0009】したがって、移乗用具に患者を乗せて摺動
させるときは摺動方向に移乗用具を引っ張る。ここで、
ベッドおよびストレッチャーに対する移乗用具の接触面
は患者を容易に移乗できる程度に摩擦が小さいので、移
乗作業を軽い力で容易に行うことができる。
【0010】また、移乗用具が可撓性を有しているの
で、ベッド状態にある形態可変ストレッチャーに移乗用
具によりベッドから患者を移乗させて、更に形態可変ス
トレッチャーを椅子状態に変更すると、移乗用具がスト
レッチャーの上面の変形に追従して変形する。このた
め、形態可変ストレッチャーに移乗したときでも、患者
の下から移乗用具を抜き取ること無く形態可変ストレッ
チャーを椅子状態とベッド状態とに変更できるようにな
る。
【0011】しかも、接触面の一部には高摩擦部を備え
ているので、形態可変ストレッチャーを椅子状態にした
後に移乗用具と形態可変ストレッチャーとの接触面で患
者の体重によりある程度大きな摩擦を生ずるようにな
る。このため、移乗用具が患者ごと足の方に滑り落ちる
ことを防止できる。
【0012】また、請求項2記載の発明は、請求項1記
載の移乗用具において、高摩擦部は、患者の背中と臀部
を支持する部分にそれぞれ形成されているようにしてい
る。したがって、形態可変ストレッチャーを椅子状態に
変更したときに患者の臀部および背中の荷重が高摩擦部
に作用するようになる。このため、患者の体重の大部分
が高摩擦部に作用するので、移乗用具と形態可変ストレ
ッチャーとの間に大きな摩擦を生じさせることになり、
移乗用具が足方向に滑ってしまうことを効果的に防止す
ることができる。
【0013】さらに、請求項3記載の発明は、請求項1
または2記載の移乗用具において、接触面は、縦糸を移
乗用具の幅方向に向けると共に横糸を移乗用具の長手方
向に向けた織物から成るようにしている。
【0014】この場合、一般に織物は縦糸方向に摩擦が
小さいと共に横糸方向に摩擦が大きいことから、患者の
移乗時に移乗用具を幅方向に摺動させるときはベッドや
ストレッチャーに対する摩擦が小さいので、軽い力で容
易に移乗作業を行うことができる。また、椅子状態の形
態可変ストレッチャーに患者が移乗用具を介して着座し
たときは形態可変ストレッチャーに対して長手方向に大
きな摩擦が生ずるので、移乗用具が患者ごと足方向に滑
り落ちることを効果的に防止できる。
【0015】また、請求項4記載の発明は、請求項1か
ら3までのいずれか記載の移乗用具において、移乗用具
の周縁に設けられた取っ手を有するようにしている。し
たがって、介護者は取っ手を把持して引っ張ることによ
り移乗用具を摺動させることができるので、作業性を高
めることができる。
【0016】そして、請求項5記載の発明は、請求項4
記載の移乗用具において、取っ手は高摩擦部の側部に位
置するようにしている。したがって、取っ手の無い部分
は摩擦が特に小さく滑り易いので、移乗時に元の位置に
取り残されることが抑えられる。
【0017】また、請求項6記載の発明は、請求項4ま
たは5記載の移乗用具において、取っ手は患者の頭部側
の先端部に位置するようにしている。したがって、移乗
用具の位置が足方向にずれているときに頭方向に引っ張
ることにより位置修正することができる。例えば形態可
変ストレッチャーの形態を変更して移乗用具が足側にず
れていったときに、移乗用具を頭側に引っ張って位置修
正することができる。
【0018】さらに、請求項7記載の発明は、請求項1
から6までのいずれか記載の移乗用具において、移乗用
具の側縁に設けられると共に、移乗用具を引っ張るスト
ラップに接続するための牽引用接続具を係止可能なルー
プを有するようにしている。したがって、回転可能なト
ランスファーバーに巻き取られるストラップに牽引用接
続具を介して移乗用具を接続することができるので、こ
のトランスファーバーを用いて移乗用具を引っ張って患
者を移乗させる介護システムを実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明の構成を図面に示す
実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。図1〜図
5に本発明の移乗用具1の実施形態を示す。この移乗用
具1は、ベッド2あるいはストレッチャー3に寝ている
患者を寝たままの状態でベッド2からストレッチャー3
に移し替えたり、あるいはその逆にストレッチャー3か
らベッド2に移し替える際に、患者を乗せたままベッド
2およびストレッチャー3上を摺動させるものである。
この移乗用具1は可撓性を有している。そして、患者を
容易に移乗できる程度にベッド2およびストレッチャー
3に対する摩擦の小さい接触面(裏面)4を備えると共
に、接触面4の一部には接触面4の他部よりも摩擦が大
きい高摩擦部5を有するようにしている。このため、ベ
ッド2およびストレッチャー3に対する移乗用具1の接
触面4は患者を容易に移乗できる程度に摩擦が小さいの
で、移乗用具1に患者を乗せて移乗させる作業を軽い力
で容易に行うことができる。また、移乗用具1が可撓性
を有しているので、形態可変ストレッチャー3に移乗用
具1を敷いたままで形態可変ストレッチャー3を変形し
ても、移乗用具1は形態可変ストレッチャー3の上面の
変形に追従して変形する。よって、患者の下から移乗用
具1を抜き取ること無く形態可変ストレッチャー3を図
5に示す椅子状態と図4に示すベッド状態とに変更でき
るようになる。しかも、接触面4の一部には高摩擦部5
を備えているので、形態可変ストレッチャー3を椅子状
態にした後に移乗用具1と形態可変ストレッチャー3と
の間で患者の体重によりある程度大きな摩擦を生ずるよ
うになる。このため、移乗用具1が患者ごと足の方に滑
り落ちることを防止できる。
【0020】そして、高摩擦部5は、図1に示すように
患者の背中と臀部を支持する部分にそれぞれ形成されて
いる。このため、形態可変ストレッチャー3を椅子状態
に変更したときに患者の臀部および背中の荷重が高摩擦
部5に作用するようになる。よって、患者の体重の大部
分が高摩擦部5に作用するので、移乗用具1と形態可変
ストレッチャー3との間に大きな摩擦を生じさせること
になり、移乗用具1が足方向に滑ってしまうことを効果
的に防止することができる。
【0021】接触面4のうちの高摩擦部5以外の部分
は、高摩擦部5よりも摩擦の小さい低摩擦部6とされて
いる。本実施形態では、患者の頭部と腰部と足部とを支
持する部分に低摩擦部6が設けられている。すなわち、
図1に示すように、3個所の低摩擦部6と2個所の高摩
擦部5とが順に配置されている。そして、高摩擦部5の
布地としては、タフタナイロン70デニール(裏面はネ
オプレン/ブチルゴム混合コーティング)を使用すると
共に、低摩擦部6の布地としてはナイロン70デニール
シリコンコーティングを使用している。
【0022】また、接触面4を形成する織物は、縦糸を
移乗用具1の幅方向に向けると共に横糸を移乗用具1の
長手方向に向けて縫い付けられている。これにより、一
般に織物は縦糸方向に摩擦が小さいと共に横糸方向に摩
擦が大きいことから、患者の移乗時に移乗用具1を幅方
向に摺動させるときはベッド2やストレッチャー3に対
する摩擦が小さくなり軽い力で容易に移乗作業を行うこ
とができる。また、椅子状態の形態可変ストレッチャー
3に患者が移乗用具1を介して着座したときは形態可変
ストレッチャー3に対して長手方向に大きな摩擦が生ず
るようになるので、移乗用具1が患者ごと足方向に滑り
落ちることを効果的に防止できる。
【0023】この移乗用具1は、図3に示すようにウレ
タンクッション7を芯材にして、表側は起毛布地8で、
裏側は高摩擦部5および低摩擦部6を形成するナイロン
布地9で包んで縫製して形成されている。このため、移
乗用具1全体としての可撓性を得ることができる。
【0024】また、表側に起毛布地8を採用しているの
で、患者の肌触りを良好にすることができる。この起毛
布地8は裏面に防水加工を施したものを使用している。
これにより、患者が失禁などを起こしても水分がウレタ
ンクッション7に染み込んだり移乗用具1の裏側まで染
み出してしまうことを防止できる。ここでは起毛布地8
は裏面に防水加工を施したものを使用しているが、これ
には限られず起毛布地8を透水性にしてもウレタンクッ
ション7との間に防水シートを設けるようにしても同様
に失禁等に備えることができる。
【0025】さらに、移乗用具1の周縁には取っ手10
が設けられている。ここでは、布製の帯状の取っ手10
が移乗用具1の周縁に縫い付けられている。各取っ手1
0の中央部には取っ手10を形成する布を長手方向に沿
って二つ折りにして縫い合わせた把持部10aが形成さ
れている。介護者は取っ手10の把持部10aを把持し
て引っ張ることにより移乗用具1を摺動させることがで
きるので、作業性を高めることができる。
【0026】また、取っ手10は合計5箇所の低摩擦部
6および高摩擦部5の側部に位置するように設けられて
いる。このため、例えば介護者が患者を乗せた移乗用具
1を一人で引っ張るときは患者の背中と臀部が乗った2
箇所の高摩擦部5,5の取っ手10,10を引っ張るこ
とになる。よって、移乗用具1が引っ張られたときに、
引っ張られる部分以外の部分は低摩擦なので滑り易く、
元の位置に取り残されることが抑えられる。
【0027】さらに、移乗用具1の両側部に縫い付けら
れた各取っ手10の内側には、ループ11が縫い付けら
れている。このループ11には、図6に示すように移乗
用具1を引っ張るストラップ13に接続するための牽引
用接続具12を係止する。このため、回転可能なトラン
スファーバー14に巻き取られるストラップ13に牽引
用接続具12を介して移乗用具1を接続することができ
るので、このトランスファーバー14を用いて移乗用具
1を引っ張って患者を移乗させる介護システムを実現す
ることができる。
【0028】そして、移乗用具1の長手方向の頭部側端
には、移乗用具1を頭側に引っ張るための取っ手10が
縫い付けられている。このため、移乗用具1の位置が足
方向にずれているときに頭方向に引っ張ることにより位
置修正することができる。例えば形態可変ストレッチャ
ー3の形態を変更して移乗用具1が足側にずれていった
ときに、移乗用具1を頭側に引っ張って位置修正するこ
とができる。すなわち、このストレッチャー3の形態を
変更すると座支点や背支点が移動するので移乗用具1が
下方にずれてしまうことがあるが、頭側の取っ手10を
把持して引っ張り上げることでそれを修正することがで
きる。
【0029】ここで、本実施形態の移乗用具1を利用す
るのに適したストレッチャー3の一実施形態を説明す
る。このストレッチャー3は、寝た状態あるいは座った
状態のいずれの患者でも移動できるよう図4に示すよう
に上面を平坦としたベッド状態と図5に示すような着座
可能な椅子状態とに形態を変更することができる。本実
施形態では、形態可変ストレッチャー3のこのような形
態変更を可能とするため、折り曲げ可能に組み付けた丸
パイプからなるフレーム15によって骨組みを形成して
いる。このフレーム15は例えば軽合金製とすることで
形態可変ストレッチャー3の必要強度を備えつつ軽量化
を図ることができる。
【0030】フレーム15は、回転する機構は径の異な
る丸パイプで形成したヒンジなどの回り対偶によって構
成し、伸縮する機構は径の異なるパイプで構成したすべ
り対偶によって構成することができる。またフレーム1
5全体としては、形態をベッドあるいは椅子としたとき
の形状に応じて種々の構成をとり得る。例えば本実施形
態では、椅子に形態変更したとき、椅子の両側に平行四
辺形の枠組みが形成され、これら枠組みの一部が肘フレ
ーム16として椅子の肘掛けとして機能するように構成
している。
【0031】フレーム15には、頭側から順にヘッドレ
スト19、背凭れ20、座21、フットレスト22が取
り付けられている。これらヘッドレスト19、背凭れ2
0、座21、フットレスト22は、形態可変ストレッチ
ャー3をベッドに形態変更したときに図4に示すように
平坦になってその上にベッド面を形成するようになる。
【0032】さらに、フレーム15は両側に旋回可能な
セーフティーバー17を備える。このセーフティーバー
17は、図4中二点鎖線に示すような上向き状態とする
ことで患者がベッドに形態変更した形態可変ストレッチ
ャー3から転落するのを防止できる。このため、例えば
ベッドに変更した形態可変ストレッチャー3に患者を乗
せて移動させるときの転落防止や、このストレッチャー
3に対して他のベッド2から患者を移乗させるときにス
トレッチャー3のベッド2と反対側から患者が転落する
ことを防止できる。さらに、このストレッチャー3は患
者を乗せて移動できるようキャスタ18を備えている。
【0033】上述した移乗用具1を利用して患者をベッ
ド2から形態可変ストレッチャー3に移乗する動作を以
下に説明する。
【0034】まず、ベッド2に寝ている患者の体の下に
移乗用具1を差し入れて、該移乗用具1に患者の体を完
全に乗せる。そして、一人の介護者が他に道具を使用せ
ずに移乗させる場合は、患者の背中および臀部の側部に
ある形態可変ストレッチャー3側の取っ手10,10を
把持して移乗用具1に患者を乗せたまま引っ張る。この
とき、ベッド2および形態可変ストレッチャー3に対す
る移乗用具1の接触面4は患者を容易に移乗できる程度
に摩擦が小さいので、移乗作業を軽い力で容易に行うこ
とができる。そして、患者は移乗用具1に乗ったまま形
態可変ストレッチャー3に移乗される。
【0035】ここで、形態可変ストレッチャー3のベッ
ド2と反対側のセーフティーバー17は予め上げておく
ことが好ましい。これにより、移乗の勢いにより患者が
形態可変ストレッチャー3から転落することを防止でき
る。また、患者の寝ている位置が縦方向にずれていると
きは、移乗用具1の頭側の取っ手10を把持して引っ張
ったり、足側の縁部を把持して引っ張ることにより、調
整することができる。
【0036】ここで、移乗用具1はウレタンクッション
7を内蔵しているのでクッション性が良好であり、また
表面が起毛布地8から成るので、患者の良好な寝心地を
得ることができる。これにより、患者の下から抜き取ら
ずに敷いたままでも良い。このため、移乗用具1を患者
の下から抜き取る作業を不要にして、移乗の作業性を高
めることができる。
【0037】そして、移乗用具1は可撓性を有している
ので、形態可変ストレッチャー3を図5に示すように椅
子状態に変更するときに、形態可変ストレッチャー3の
表面の変形に追従して変形することができる。形態可変
ストレッチャー3を椅子状態に変更した後は、患者の体
重が主に臀部と背中に掛かるようになるので、高摩擦部
5に大きな荷重が作用するようになる。また、移乗用具
1の裏面のナイロン布地9は横糸を移乗用具1の長手方
向に向けて設けられているので、移乗用具1は長手方向
に高摩擦にされている。よって、移乗用具1が長手方向
に滑り難くなって、患者ごと形態可変ストレッチャー3
の足側に落ちてしまうことを防止できる。
【0038】さらに、形態可変ストレッチャー3の変形
に伴って座支点と背支点が移動するので、患者が座り直
したりすると移乗用具1が足方向に下がってしまうこと
がある。この場合は、頭側の取っ手10を引っ張り上げ
ることにより位置ずれを調整することができる。
【0039】また、この患者を形態可変ストレッチャー
3からベッド2に移乗するときは、形態可変ストレッチ
ャー3をベッド状態に変更して、患者の背中および臀部
のベッド2側の取っ手10を把持して移乗用具1に患者
を乗せたまま引っ張る。これにより、患者が移乗用具1
と共にベッド2に移乗される。
【0040】なお、上述の実施形態は本発明の好適な実
施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発
明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能で
ある。例えば、本実施形態では、一人の介護者により移
乗用具1を引っ張っているが、これには限られず複数の
介護者により引っ張るようにしても良い。例えば2人の
介護者により引っ張る場合は、一人が頭部と背中の側部
の取っ手10を把持すると共にもう一人が臀部と足部の
取っ手10を把持して、2人同時に引っ張るようにす
る。これにより、移乗用具1を全体的により均等に引っ
張ることができるので、移乗作業中の患者の体の曲がり
等を防止することができる。
【0041】また、上述した実施形態では、介護者が道
具を使わずに移乗用具1を直接引っ張っているが、これ
には限られずいわゆるトランスファーバー14を用いて
移乗用具1を引っ張るようにしても良い。すなわち、図
6に示すようにトランスファーバー14は、該トランス
ファーバー14を回転させるハンドル23と基端部がト
ランスファーバー14に止め付けられた複数のストラッ
プ13とを備えている。ストラップ13の先端にはルー
プ26が形成されている。
【0042】このトランスファーバー14を用いて例え
ばベッド2からストレッチャー3に患者の乗った移乗用
具1を移乗させる場合は、ストレッチャー3のベッド2
と反対側部に1組のブラケット24,24を取り付け
る。そして、このブラケット24のL形の溝25にトラ
ンスファーバー14の両端を落とし込むように載せて両
ブラケット24,24間に支持させる。さらに、ストラ
ップ13の先端のループ26と移乗用具1のループ11
とに例えばZ形状の牽引用接続具12を引っ掛けて、ス
トラップ13と移乗用具1とを接続する。図6に示す実
施形態では移乗用具1の5箇所のループ11にストラッ
プ13を接続しているが、これには限られず例えば背中
と臀部の側部の2箇所のループ11のみにストラップ1
3を接続するようにしても良い。
【0043】次いで、ハンドル23を回してストラップ
13をトランスファーバー14に巻き取る。これによ
り、患者の乗った移乗用具1をベッド2からストレッチ
ャー3に移乗させることができる。また、患者の乗った
移乗用具1をストレッチャー3からベッド2に移乗させ
るときは、ブラケット24,24をベッド2のストレッ
チャー3と反対側部に取り付けて、上述した手順と同様
にストラップ13をトランスファーバー14に巻き取れ
ば良い。このトランスファーバー14を用いた場合は、
非力な女性や老人でも簡単にストラップ13を巻き取っ
て移乗用具1および患者を移乗させることができる。
【0044】また、上述した各実施形態では取っ手10
は移乗用具1の片側部の5箇所に設けられているが、こ
れには限られず高摩擦部5の側部のみに設けられていて
も良い。これによれば、取っ手10の無い部分は低摩擦
部6であり摩擦が特に小さく滑り易くなるので、移乗時
に元の位置に取り残されることが抑えられる。また、取
っ手10は高摩擦部5の側部のみに設けられることにも
限られず、引っ張る位置のバランスを考慮して、結果的
に低摩擦部6の側部のみに設けられるようになっても良
い。
【0045】さらに、上述した各実施形態では移乗用具
1の頭部側の先端部に取っ手10が設けられているが、
これには限られずこの取っ手10を省略しても良い。あ
るいは、移乗用具1の足側の先端部に取っ手10を設け
るようにしても良い。また、上述した各実施形態では移
乗用具1に取っ手10およびループ11の双方を設けて
いるが、これには限られずいずれか一方のみを設けるよ
うにしても良い。あるいは両方を設けずに、移乗用具1
の周縁を直接把持して移乗させるようにしても良い。
【0046】そして、上述した各実施形態では、接触面
4は縦糸を幅方向に向けると共に横糸を長手方向に向け
た織物から成るようにしているが、これには限られな
い。すなわち、幅方向に低摩擦で長手方向に高摩擦であ
ることが肝要であり、そのような状態の摩擦を得られる
のであれば縦糸および横糸の向きが異なっても構わな
い。
【0047】また、上述した各実施形態では、高摩擦部
5は患者の背中と臀部を支持する部分にそれぞれ形成さ
れているが、これには限られず他の部分を高摩擦部5に
しても良い。例えば、臀部を支持する部分のみ高摩擦部
5にするようにしても良い。少なくとも接触面4のいず
れかの部位に高摩擦部5が設けられることにより、形態
可変ストレッチャー3を椅子状態にしたときに移乗用具
1が足側に滑り落ちてしまうことを抑制できる。
【0048】
【発明の効果】以上の説明より明らかなように、請求項
1記載の移乗用具によれば、ベッドおよびストレッチャ
ーに対する移乗用具の接触面は患者を容易に移乗できる
程度に摩擦が小さいので、移乗作業を軽い力で容易に行
うことができる。よって、作業性を高めることができ、
非力な老人などでも移乗作業を行うことができるように
なる。
【0049】また、移乗用具が可撓性を有しているの
で、ベッド状態にある形態可変ストレッチャーに移乗用
具によりベッドから患者を移乗させて、更に形態可変ス
トレッチャーを椅子状態に変更すると、移乗用具がスト
レッチャーの上面の変形に追従して変形する。このた
め、形態可変ストレッチャーに移乗したときでも、患者
の下から移乗用具を抜き取ること無く形態可変ストレッ
チャーを椅子状態とベッド状態とに変更できるようにな
る。よって、この種の形態可変ストレッチャーに移乗さ
せるときの作業性を高めることができる。
【0050】しかも、接触面の一部には高摩擦部を備え
ているので、形態可変ストレッチャーを椅子状態にした
後に移乗用具と形態可変ストレッチャーとの接触面で患
者の体重によりある程度大きな摩擦を生ずるようにな
る。このため、移乗用具が患者ごと足の方に滑り落ちる
ことを防止できる。よって、使用中の高い安全性を得る
ことができる。
【0051】また、請求項2記載の移乗用具によれば、
形態可変ストレッチャーを椅子状態に変更したときに患
者の臀部および背中の荷重が高摩擦部に作用するので、
患者の体重の大部分が高摩擦部に作用するようになる。
よって、移乗用具と形態可変ストレッチャーとの間に大
きな摩擦を生じさせることになり、移乗用具が足方向に
滑ってしまうことを効果的に防止することができる。
【0052】さらに、請求項3記載の移乗用具によれ
ば、患者の移乗時に移乗用具を幅方向に摺動させるとき
はベッドやストレッチャーに対する摩擦が小さいので、
軽い力で容易に移乗作業を行うことができる。また、椅
子状態の形態可変ストレッチャーに患者が移乗用具を介
して着座したときは形態可変ストレッチャーに対して長
手方向に大きな摩擦が生ずるので、移乗用具が患者ごと
足方向に滑り落ちることを効果的に防止できる。
【0053】また、請求項4記載の移乗用具によれば、
介護者は取っ手を把持して引っ張ることにより移乗用具
を摺動させることができるので、作業性を高めることが
できる。
【0054】そして、請求項5記載の移乗用具によれ
ば、取っ手は高摩擦部の側部に位置しているので、取っ
手の無い部分は摩擦が特に小さく滑り易く移乗時に元の
位置に取り残されることが抑えられる。
【0055】また、請求項6記載の移乗用具によれば、
移乗用具の位置が足方向にずれているときに頭方向に引
っ張ることにより位置修正することができるようにな
る。よって、例えば形態可変ストレッチャーの形態を変
更して移乗用具が足側にずれていったときに、移乗用具
を頭側に引っ張って位置修正することができる。
【0056】さらに、請求項7記載の移乗用具によれ
ば、回転可能なトランスファーバーに巻き取られるスト
ラップに牽引用接続具を介して移乗用具を接続すること
ができるので、このトランスファーバーを用いて移乗用
具を引っ張って患者を移乗させる介護システムを実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の移乗用具の一実施形態を示す底面図で
ある。
【図2】移乗用具を示す平面図である。
【図3】図2のIII−III線で切断した状態を示す断面図
である。
【図4】ベッド状態にある形態可変ストレッチャに移乗
用具を載置した様子を示す斜視図である。
【図5】椅子状態にある形態可変ストレッチャーに移乗
用具を載置した様子を示す斜視図である。
【図6】トランスファーバーを利用した介護システムを
示す斜視図である。
【符号の説明】 1 移乗用具 2 ベッド 3 ストレッチャー 4 接触面 5 高摩擦部 9 ナイロン布地(織物) 10 取っ手 11 ループ 12 牽引用接続具 13 ストラップ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61G 1/04 A61G 1/00 509 A61G 1/02 503

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベッドあるいはストレッチャーに寝てい
    る患者を寝たままの状態で前記ベッドから前記ストレッ
    チャーに移し替えたりあるいはその逆に前記ストレッチ
    ャーから前記ベッドに移し替える際に前記患者を乗せた
    まま前記ベッドおよび前記ストレッチャー上を摺動させ
    る移乗用具において、可撓性を有し、尚かつ前記患者を
    容易に移乗できる程度に前記ベッドおよび前記ストレッ
    チャーに対する摩擦の小さい接触面を備えると共に、前
    記接触面の一部には前記接触面の他部よりも摩擦が大き
    い高摩擦部を有することを特徴とする移乗用具。
  2. 【請求項2】 前記高摩擦部は、前記患者の背中と臀部
    を支持する部分にそれぞれ形成されていることを特徴と
    する請求項1記載の移乗用具。
  3. 【請求項3】 前記接触面は、縦糸を前記移乗用具の幅
    方向に向けると共に横糸を前記移乗用具の長手方向に向
    けた織物から成ることを特徴とする請求項1または2記
    載の移乗用具。
  4. 【請求項4】 前記移乗用具の周縁に設けられた取っ手
    を有することを特徴とする請求項1から3までのいずれ
    か記載の移乗用具。
  5. 【請求項5】 前記取っ手は前記高摩擦部の側部に位置
    することを特徴とする請求項4記載の移乗用具。
  6. 【請求項6】 前記取っ手は前記患者の頭部側の先端部
    に位置することを特徴とする請求項4または5記載の移
    乗用具。
  7. 【請求項7】 前記移乗用具の側縁に設けられると共
    に、前記移乗用具を引っ張るストラップに接続するため
    の牽引用接続具を係止可能なループを有することを特徴
    とする請求項1から6までのいずれか記載の移乗用具。
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