JP2018152336A - リチウム二次電池用電極用塗液、リチウム二次電池用電極の製造方法およびリチウム二次電池用電極 - Google Patents

リチウム二次電池用電極用塗液、リチウム二次電池用電極の製造方法およびリチウム二次電池用電極 Download PDF

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Abstract

【課題】リチウム二次電池用電極の活物質層上に、イオン透過性に優れ、良好なサイクル特性を有する多孔質ポリアミドイミド(PAI)層を形成させるための塗液の提供を目的とする。多孔質PAI層が、電極活物質層に積層一体化されたリチウム二次電池用電極を、簡便かつ経済的に製造する方法の提供を目的とする。【解決手段】以下の特徴を有するリチウム二次電池用電極用塗液。1)溶質が、PAIからなる。2)溶媒が、PAIに対する良溶媒と貧溶媒との混合溶媒からなり、貧溶媒がアルコール系溶媒である。3)フィラを含有する。【選択図】なし

Description

本発明は、安全性に優れ、かつ充放電サイクル特性の良好なリチウム二次電池用電極の簡便かつ経済的な製造方法に関する。
リチウム二次電池において、電極表面の傷や凹凸が原因となって、電極に接しているセパレータの電気絶縁性を破壊することがある。その結果、電気的な内部短絡が発生することがある。
この内部短絡を防止するため、電極活物質層表面に絶縁性の多孔質膜からなる保護層を設けることが提案されている。例えば、特許文献1、2には、イオン透過性の保護層を形成させるための方法として、ポリイミド等からなる耐熱性の保護層形成用塗膜を電極表面に形成した後、その乾燥前に、水、メチルアルコール等の凝固液を含む凝固浴に浸漬することにより、塗膜内で相分離を起こさせて多孔質保護層を得る方法が提案されている。しかしながら、このような方法で得られた電極は、活物質層と多孔質層との接着性が低いため、短絡に対する防止効果は、必ずしも充分なものではなく、電池の安全性確保の観点から改善すべき点があった。また、多孔質保護層のイオン透過性も充分なものではなく、電極として用いた際、充分なサイクル特性が得られなかった。さらに、水やメチルアルコール等の凝固液を用いて相分離を起こさせる方法で得られる電極は、活物質層全体が凝固浴と接するので、その凝固液が活物質層本来の特性を損なうことがあった。これらの問題点に加え、この方法については、凝固浴から凝固液を含む廃液が発生するので、環境適合性の観点から、製造法としても問題があった。
このような問題を解決するための方法として、特許文献3には、リチウム二次電池用電極を製造するための方法であって、金属箔上に形成された電極活物質層の表面にポリアミドイミド(PAI)と溶媒とを含む塗液を塗布して塗膜を形成し、しかる後、前記塗膜中の溶媒を除去する際、塗膜中に残存する貧溶媒の作用を利用して塗膜内で相分離を起こさせて、イオン透過性を有する耐熱性多孔質PAI層を形成せしめる方法が開示されており、貧溶媒として、テトラグライム、トリグライム等のエーテル系溶媒が有効であると記載されている。この方法により、高いイオン透過性を有する多孔質PAI層を形成させることができるが、高価なエーテル系溶媒を多量に用いる必要があり、経済性の観点において、改良すべき点があった。
一方、特許文献4には、貧溶媒として、アルコール系溶媒を含むPAI溶液から、多孔質PAIフィルムを得る方法が開示されている。この方法では、貧溶媒であるアルコールの使用量を少なくしても気孔率の高い多孔質PAIフィルムが得られる。
特許第3371839号公報 特許第3593345号公報 国際公開2014−106954号 特開2016−222912号公報
しかしながら、特許文献4に記載された多孔質PAIフィルム形成用溶液を用いて、リチウム二次電池用電極の多孔質PAI層を形成した場合、充分なイオン透過性が得られない場合があり、リチウム二次電池用電極として良好なサイクル特性を得るには改良すべき点があった。
本発明は、イオン透過性に優れ、良好なサイクル特性を有する多孔質PAI層が、電極活物質層に積層一体化されたリチウム二次電池用電極を、簡便かつ経済的に製造することができる塗液およびこれを用いたリチウム二次電池用電極の製造方法の提供を目的とする。
本発明者らは、多孔質PAI層形成用の塗液組成を特定のものとすることにより前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
<1> 以下の特徴を有するリチウム二次電池用電極用塗液。
1)溶質が、PAIからなる。
2)溶媒が、PAIに対する良溶媒と貧溶媒との混合溶媒からなり、貧溶媒がアルコール系溶媒である。
3)フィラを含有する。
<2> リチウム二次電池用電極を製造するための方法であって、金属箔上に形成された電極活物質層の表面に、前記塗液を塗布して塗膜を形成し、しかる後、前記塗膜中の溶媒を除去する際、塗膜中に残存するアルコール系溶媒の作用を利用して塗膜内で相分離を起こさせて、イオン透過性を有する多孔質PAI層を形成せしめることを特徴とするリチウム二次電池用電極の製造方法。
<3> 前記製造方法により得られるリチウム二次電池用電極。
本発明の塗液を用いて得られる、多孔質PAI層が形成されたリチウム二次電池用電極は、イオン透過性に優れるので良好なサイクル特性を有する。
本発明の塗液を用いて、金属箔上に形成された電極活物質層の表面にイオン透過性を有する多孔質PAI層を形成させる。リチウム二次電池用電極とは、リチウムイオン二次電池を構成する電極であって、正極活物質層が正極集電体に接合された正極、または、負極活物質層が負極集電体に接合された負極をいう。電極活物質層は、正極活物質層と負極活物質層の総称である。なお、リチウム二次電池の安全性向上の観点から、多孔質PAI層は、負極活物質層上に形成させることが好ましい。このようにすることにより、負極活物質表面において、リチウムデンドライト(金属リチウムの針状結晶)の発生を抑制することができる。このリチウムデンドライトは、電気的な短絡を生じさせる虞がある。
金属箔としては、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔、アルミ箔等の金属箔を使用することができる。金属箔は、リチウム二次電池用電極として作用するものであり、正極にはアルミ箔が、負極には銅箔が好ましく用いられる。これらの金属箔の厚みは5〜50μmが好ましく、9〜18μmがより好ましい。これらの金属箔の表面は、活物質層との接着性を向上させるための粗面化処理や防錆処理がなされていてもよい。
正極活物質層は、正極活物質粒子を樹脂バインダで結着して得られる層である。正極活物質粒子として用いられる材料としては、リチウムイオンを吸蔵保存できるものが好ましく、蓄電素子の正極活物質として一般に用いられるものを挙げることができる。例えば、酸化物系(LiCoO、LiNiO、LiMn等)、複合酸化物系、リン酸鉄系(LiFePO、LiFePOF等)、高分子化合物系(ポリアニリン、ポリチオフェン等)等の活物質粒子を挙げることができる。これらの中でも、LiCoO、LiNiO、LiFePOが好ましい。正極活物質層には、その内部抵抗を低下させるため、カーボン(黒鉛、カーボンブラック等)粒子や金属(銀、銅、ニッケル等)粒子等の導電助剤が、1〜30質量%程度配合されていてもよい。
負極活物質層は、負極活物質粒子を樹脂バインダで結着して得られる層である。負極活物質粒子として用いられる材料としては、リチウムイオンを吸蔵保存できるものが好ましく、蓄電素子の負極活物質として一般に用いられるものを挙げることができる。例えば、グラファイト、アモルファスカーボン、シリコン系、錫系等の活物質粒子を挙げることができる。これらの中でもグラファイト粒子、シリコン系粒子が好ましい。シリコン系粒子としては、例えば、シリコン単体、シリコン合金、シリコン・二酸化珪素複合体等の粒子を挙げることができる。ここで、シリコン単体とは、純度が95質量%以上の結晶質または非晶質のシリコンをいう。負極活物質層には、その内部抵抗を低下させるため、カーボン(黒鉛、カーボンブラック等)粒子や金属(銀、銅、ニッケル等)粒子等の導電助剤が、1〜30質量%程度配合されていてもよい。
活物質粒子や導電助剤の平均粒子径は、正極、負極いずれも50μm以下が好ましく、10μm以下がさらに好ましい。平均粒子径は、小さすぎても樹脂バインダによる結着が難しくなるので、通常0.1μm以上、好ましくは0.5μm以上である。
電極活物質層の気孔率は、正極、負極いずれも5〜50体積%が好ましく、10〜40体積%がより好ましい。
電極活物質層の厚みは、通常20〜200μm程度である。
活物質粒子を結着させるための樹脂バインダとしては、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ビニリデンフロライド−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド−テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドイミド等、公知の樹脂バインダを挙げることができる。
多孔質PAI層を形成するPAIは、原料であるトリカルボン酸成分とジアミン成分との重縮合反応を行うことにより得られる高分子である。
PAIのトリカルボン酸成分は、1分子あたり3個のカルボキシル基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環を有する有機化合物であって、当該3個のカルボキシル基のうち、少なくとも2個のカルボキシル基が酸無水物形態を形成し得る位置に配置されたものである。
芳香族トリカルボン酸成分として、例えば、ベンゼントリカルボン酸成分、ナフタレントリカルボン酸成分を挙げることができる。
ベンゼントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、トリメリット酸、ヘミメリット酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドを挙げることができる。
ナフタレントリカルボン酸成分の具体例として、例えば、1,2,3−ナフタレントリカルボン酸、1,6,7−ナフタレントリカルボン酸、1,4,5−ナフタレントリカルボン酸、ならびにこれらの無水物およびそのモノクロライドを挙げることができる。
芳香族トリカルボン酸成分の中では、トリメリット酸および無水トリメリット酸クロライド(TAC)が好ましい。
トリカルボン酸成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、トリカルボン酸成分は、その一部がテレフタル酸、イソフタル酸、ピロメリット酸、3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸等の成分で置換されたものを用いてもよい。
PAIのジアミン成分は、1分子あたり2個の1級アミノ基(その誘導体を含む)および1個以上の芳香環を有する有機化合物である。
芳香族ジアミン成分の具体例として、例えば、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(DADE)、m−フェニレンジアミン(MDA)、p−フェニレンジアミン、4,4′−ジフェニルメタンジアミン(DMA)、4,4′−ジフェニルエーテルジアミン、ジフェニルスルホン−4,4′−ジアミン、ジフェニルー4,4′−ジアミン、o−トリジン、2,4−トリレンジアミン、2,6−トリレンジアミン、キシリレンジアミン、ナフタレンジアミン、ならびにこれらのジイソシアネート誘導体を挙げることができる。
芳香族ジアミン成分の中では、DADE、MDAおよびDMAが好ましい。
芳香族ジアミン成分は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
PAIは、通常、200℃以上のガラス転移温度を有する。ガラス転移温度は、DSC(示差熱分析)により測定された値を用いている。
本発明の塗液には、PAIに対する良溶媒と貧溶媒とからなる混合溶媒が含まれている。ここで、良溶媒とは、PAIに対する25℃での溶解度が、1質量%以上である溶媒のことであり、貧溶媒とは、PAIに対する25℃での溶解度が、1質量%未満である溶媒のことである。
本発明で用いられる良溶媒としては、アミド系溶媒を用いることが好ましい。アミド系溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン(NMP 沸点:202℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(沸点:153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAc 沸点:166℃)を挙げることができる。アミド系溶媒は、これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、NMPが好ましい。
本発明で用いられる貧溶媒は、アルコール系溶媒であることが必要である。アルコール溶媒としては、沸点が200℃以上で、前記アミド系溶媒よりも沸点が高いものを用いることが好ましい。また、その沸点差は、5℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、50℃以上が更に好ましい。アルコール系溶媒としては、例えば、ジエチレングリコール(沸点:244℃)、トリエチレングリコール(沸点:287℃)、ジプロピレングリコール(沸点232℃)、トリプロピレングリコール(TPG 沸点:273℃)、ジエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:194℃)、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル(沸点:242℃)、トリエチレングルコールモノメチルエーテル(沸点:249℃)を挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、TPGが好ましい。
混合溶媒中におけるアルコール系溶媒の含有量は、全溶媒質量に対し、1質量%以上、50質量%未満であることが好ましく、5質量%以上、30質量%以下とすることがより好ましい。溶媒組成を前記のようにすることにより、PAI塗液から得られる塗膜を乾燥して固化させる際に、塗膜中に残存するアルコール系溶媒(貧溶媒)の作用により、効率よく相分離が起こり、高い気孔率を有する多孔質PAI層を形成させることができる。なお、このような溶媒組成を有するPAI溶液については、特許文献4を参照することができる。なお、ここで用いられるPAI溶液は、均一な溶液である。均一な溶液とは、可視光線に対して透明な溶液をいう。
このような均一溶液を用いることにより、塗膜乾燥時に均一な相分離現象が誘起される。従い、例えば、特開2007−269575号公報に開示されたような、ミクロ相分離した、不均一なPAI溶液は好ましくない。
本発明の塗液は、前記PAI溶液にフィラを配合することが必要である。このようにすることにより、形成される多孔質PAI層の良好なイオン透過性を確保することができる。すなわち、貧溶媒の作用により形成される多孔質構造と、フィラの配合により形成される多孔質構造の相乗効果により、良好なイオン透過性が得られるのである。
フィラの種類に制限は無く、有機フィラ、無機フィラおよびその混合物等を用いることができる。有機フィラの具体例としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独または2種類以上の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン−6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン−エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂等の重合体からなる粉体を挙げることができる。有機フィラは、単独または2種以上を混合して用いることができる。無機フィラの具体例としては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉体を挙げることができる。具体例としては、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、硫酸バリウムまたは炭酸カルシウム等からなる粉体を挙げることができる。無機フィラは、単独または2種以上を混合して用いることができる。これらの無機フィラの中でも、化学的安定性の観点から、アルミナ粉体が好ましい。
フィラの形状に制限はなく、略球状、板状、柱状、針状、ウィスカー状、繊維状等の粒子を用いることができ、略球状粒子が好ましい。略球状粒子のアスペクト比(粒子の長径/粒子の短径)は1以上、1.5以下とすることが好ましい。
フィラの平均粒子径に制限はないが、0.01μm以上、2μm以下であることが好ましい。平均粒子径はレーザ回折散乱法に基づく測定装置により測定することができる。
フィラは、その表面が、界面活性剤やシランカップラのような表面処理剤で処理されていてもよい。
フィラ配合量に制限はないが、通常、PAI固形分に対し、10〜1000質量%であり、50〜600質量%とすることが好ましい。
PAI塗液中におけるPAI固形分濃度は、1〜50質量%が好ましく、2〜30質量%がより好ましい。
必要に応じて、PAI塗液に、各種界面活性剤やシランカップラ等、公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、PAI塗液に、イミド系高分子以外の他のポリマーを、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
前記のようにして得られた PAI塗液を、電極活物質層の表面に塗布し、100〜180℃で乾燥することにより、塗膜中に残存する貧溶媒の作用を利用して塗膜内で相分離を起こさせて、イオン透過性が良好なPAI多孔質層を形成することができる。PAI多孔質層の厚みに制限はないが、1〜20μmとすることが好ましく、2〜10μmとすることがより好ましい。
PAI塗液を塗布するに際しては、ロールツーロールにより連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法が採用でき、いずれの方法でもよい。塗布装置としては、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等が使用できる。
以上述べた如く、本発明の電極を、簡単なプロセスで容易に製造することができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例で使用した電極を以下のようにして得た。
負極活物質である黒鉛粒子(平均粒子径8μm)88質量部と、導電助剤のカーボンブラック(アセチレンブラック)5質量部と、バインダ樹脂であるPVDF7質量部とを、N−メチル−2−ピロリドン中に均一に分散して、固形分濃度25質量%の負極活物質分散体を得た。この分散体を負極集電体である厚さ18μmの銅箔に塗布し、得られた塗膜を150℃で20分乾燥後、熱プレスして、銅箔上に形成された厚みが100μmの負極活物質層を設けた電極(P−1)を得た。
下記の実施例及び比較例において得られた電極の特性等は、以下の方法で評価した。
(1)イオン透過性
電極を直径16mmの円形に打ち抜き、ポリエチレン製多孔膜からなるセパレータと、リチウム箔とを順に積層し、これをステンレス製のコイン型外装容器中に収納した。この外装容器中に電解液(溶媒:エチレンカーボネートとジメチルカーボネートとを体積比で1:1の割合で混合した混合溶媒、電解質:1MLiPF)を注入し、外装容器にパッキンを介してステンレス製のキャップをかぶせて固定し、電池缶を封止して、評価用のセルを得た。このセルを用い、25℃で、100KHzでのインピーダンスから、多孔質PAI層の積層前後のイオン抵抗率を算出し、積層後電極のイオン抵抗率の積層前電極(P−1)に対する比率(イオン抵抗上昇率)を求めることによりイオン透過性を評価した。
(2)サイクル特性
前記で得られた試験セルを用い、測定温度:30℃、電圧範囲:0.01〜2V、充電電流および放電電流:500mA/g−電極活物質層の充放電条件で繰り返しの充放電を行い、20回目放電容量の2回目放電容量に対する比率(放電容量維持率)を求めることによりサイクル特性を評価した。
<実施例1>
特許文献4の記載に準拠してPAI溶液を調製した。すなわち、TACと、DADEおよびMDAとを共重合(共重合モル比:DADE/MDA=7/3)して得られるPAI粉体(ガラス転移温度280℃)と、を、NMPとTPGとからなる混合溶媒(質量比 NMP/TPG=75/25)に、30℃で溶解して、PAIの固形分濃度が13質量%の均一なPAI溶液(L−1)を得た。この溶液に、前記混合溶媒と、市販の球状アルミナ粉体(平均粒径:0.2μm)と、を加え、ボールミルで混合することによりPAI塗液(L−2)を得た。
L−2の固形分濃度は、25質量%であり、PAIとアルミナの質量比は、PAI/アルミナ=40/60であった。L−2を、電極(P−1)表面に塗布し、150℃で20分乾燥することにより、厚みが5μmの多孔質PAI層が形成された電極(P−2)を得た。P−2のイオン抵抗上昇率は15%、放電容量維持率は95%以上であった。
<実施例2>
PAIとアルミナとの質量比を、PAI/アルミナ=30/70としたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI塗液(L−3)を得た。L−3を、電極(P−1)表面に塗布し、150℃で20分乾燥することにより、厚みが5μmの多孔質PAI層が形成された電極(P−3)を得た。P−3のイオン抵抗上昇率は12%、放電容量維持率は95%以上であった。
<実施例3>
PAIとアルミナとの質量比を、PAI/アルミナ=50/50としたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI塗液(L−4)を得た。L−4を、電極(P−1)表面に塗布し、150℃で20分乾燥することにより、厚みが5μmの多孔質PAI層が形成された電極(P−4)を得た。P−4のイオン抵抗上昇率は18%、放電容量維持率は95%以上であった。
<比較例1>
PAI粉体を溶解させるための溶媒としてNMPのみを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、PAI塗液(M−1)を得た。M−1を、電極(P−1)表面に塗布し、150℃で20分乾燥することにより、厚みが4μmの多孔質PAI層が形成された電極(R−1)を得た。R−1のイオン抵抗上昇率は26%、放電容量維持率は91%であった。
<比較例2>
アルミナが配合されていないL−1を、電極(P−1)表面に塗布し、150℃で20分乾燥することにより、厚みが5μmの多孔質PAI層が形成された電極(R−2)を得た。R−2のイオン抵抗上昇率は31%、放電容量維持率は88%であった。
以上、実施例、比較例で示したように、本発明の塗液を用いて得られるリチウム二次電池用電極は、その多孔質PAI層において、貧溶媒であるTPGと、フィラであるアルミナとによる相乗的な作用による気孔形成ができるので、多孔質PAI層が積層一体化された電極の良好なイオン透過性を確保できることが判る。また、この効果により良好なサイクル特性を得られることが判る。また、本発明の製造方法によれば、環境適合性の高い、簡単なプロセスで、安全性に優れた電極を製造することができる。
本発明の塗液を用いて、リチウム二次電池用電極の活物質層上に、イオン透過性に優れた耐熱性のPAI多孔質層を形成させることができるので、安全性、サイクル特性に優れたリチウム二次電池用電極として好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 以下の特徴を有するリチウム二次電池用電極用塗液。
    1)溶質が、ポリアミドイミド(PAI)からなる。
    2)溶媒が、PAIに対する良溶媒と貧溶媒との混合溶媒からなり、貧溶媒がアルコール系溶媒である。
    3)フィラを含有する。
  2. リチウム二次電池用電極を製造するための方法であって、金属箔上に形成された電極活物質層の表面に、請求項1記載の塗液を塗布して塗膜を形成し、しかる後、前記塗膜中の溶媒を除去する際、塗膜中に残存するアルコール系溶媒の作用を利用して塗膜内で相分離を起こさせて、イオン透過性を有する多孔質PAI層を形成せしめることを特徴とするリチウム二次電池用電極の製造方法。
  3. 請求項2に記載の製造方法により得られるリチウム二次電池用電極。
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