JP5356878B2 - 非水系二次電池用セパレータ - Google Patents
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Description
そこで、本発明は、耐熱性およびシャットダウン特性に加え、静電気による悪影響を排除し、かつ、電池特性を向上させることができるセパレータを提供することを目的とする。
2. 前記耐熱性多孔質層の目付けが2〜10g/m2であることを特徴とする上記1記載の非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記セパレータの水分量が平衡含水量よりも小さいことを特徴とする上記1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドから成る群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
5. 前記耐熱性樹脂が、ポリメタフェニレンイソフタルアミドであることを特徴とする上記4に記載の非水系二次電池用セパレータ。
6. 前記耐熱性多孔質層が無機フィラーを含むことを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
7. 前記無機フィラーが金属水酸化物および金属酸化物のうち少なくとも一種からなることを特徴とする上記6に記載の非水系二次電池用セパレータ。
8. 前記無機フィラーが水酸化アルミニウムからなることを特徴とする上記7に記載の非水系二次電池用セパレータ。
9. 前記無機フィラーの含有量が前記耐熱性樹脂の体積に対し0.4〜4倍であることを特徴とする上記6〜8のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
[非水系二次電池用セパレータ]
本発明の非水系二次電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔膜の片面または両面に耐熱性多孔質層が被覆された非水系二次電池用セパレータであって、該セパレータは、温度20℃、相対湿度40%における平衡含水量が0.01〜0.5g/m2であり、かつ、水分を0.005〜0.1g/m2含んでいることを特徴とする。
本発明におけるポリオレフィン微多孔膜は、例えば下記に示す方法で製造できる。すなわち、(I)ポリオレフィン組成物をパラフィン、流動パラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油、テトラリン、エチレングリコール、グリセリン、デカリン、トルエン、キシレン、ジエチルトリアミン、エチルジアミン、ジメチルスルホキシド、ヘキサン等の溶剤に溶解させた溶液を調整する工程、(II)前記溶液をポリオレフィン組成物の融点以上かつ融点+60℃以下の温度でダイより押出し、冷却してゲル状組成物を形成する工程、(III)前記ゲル状組成物を延伸する工程、(IV)延伸されたゲル状組成物を熱固定する工程、(V)前記溶剤を除去する工程、(VI)アニールする工程を含む一連の工程により製造される。
本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(i)〜(iv)の工程を含む製造方法により製造可能である。すなわち、(i)耐熱性樹脂および水溶性有機溶剤を含む塗工用スラリーを作製する工程と、(ii)得られた塗工用スラリーをポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に塗工する工程と、(iii)塗工されたスラリー中の耐熱性樹脂を凝固させる工程と、(iv)この凝固工程後のシートを水洗および乾燥する工程と、を実施することからなる製造方法である。
本発明のセパレータは、リチウムのドープおよび脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であればいずれにも適用することができ、このような非水系二次電池の中でもリチウムイオン二次電池が好ましい。
一般的に、非水系二次電池は、正極と、負極と、これらの電極間に配置されたセパレータと、電解液とを備えて構成されており、このような電池要素は外装に封入されている。
[平衡含水量]
温度20℃、相対湿度40%環境下において、サンプルとなるセパレータを三日間静置して調湿したサンプルを、水分気化装置(三菱アナリテック社製VA−100型)中120℃で水分を気化させた後、カールフィッシャー水分計(三菱化学社製、CA−100)を用いて水分を測定した。
電池に組み込む直前のセパレータについて、水分気化装置(三菱アナリテック社製VA−100型)中120℃で水分を気化させた後、カールフィッシャー水分計(三菱化学社製、CA−100)を用いて水分を測定した。
接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することで求めた。ここで、接触端子は底面が直径0.5cmの円柱状のものを用い、接触端子に1.2kg/cm2の荷重が印加されるような条件で測定した。
耐熱性多孔質層を塗工したセパレータとこれに用いたポリエチレン微多孔膜の目付を測定し、これらの差から耐熱性多孔質層の塗工量を求めた。なお、目付けは、サンプルとなるセパレータを10cm×10cmに切り出しこの重量を測定し、これを1m2当たりの重量に変換することで求めた。
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の重量がWa、Wb、Wc…、Wn(g・cm2)であり、それぞれの真密度がda、db、dc…、dn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は下記式より求めた。
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100
ガーレ値(秒/100cc)はJIS P8117に従い測定した。
サンプルとなるセパレータを2.6cm×2.0cmのサイズに切り出した。切り出したサンプルを、非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に浸漬し、風乾した。厚さ20μmのアルミ箔を、2.0cm×1.4cmに切り出しリードタブを付けた。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔間に切り出したセパレータを、アルミ箔が短絡しないように挟んだ。電解液には、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートが1対1の重量比で混合された溶媒中にLiBF4を1M溶解させたものを用い、この電解液を上記セパレータに含浸させた。これをアルミラミネートパック中に、タブがアルミパックの外に出るようにして減圧封入した。このようなセルを、アルミ箔中にセパレータが1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製した。このセルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で、振幅10mV、周波数100kHzにてこのセルの抵抗を測定した。測定されたセルの抵抗値を、セパレータの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し、傾きを求めた。この傾きに、電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じて、セパレータ1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm2)を求めた。
サンプルとなるセパレータをΦ19mmに打ち抜き、非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)の3重量%メタノール溶液中に浸漬して風乾した。そしてセパレータに電解液を含浸させSUS板(Φ15.5mm)に挟んだ。電解液には、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートが1対1の重量比で混合された溶媒中に、LiBF4を1M溶解させたものを用いた。これを2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れた。昇温速度1.6℃/分で昇温させ、同時に振幅10mV、1kHzの周波数の交流を印加することでセルの抵抗を測定した。セルの抵抗が104ohm・cm2以上となったときシャットダウンが起こったと判断し、そのときの温度をシャットダウン温度とした。また、シャットダウン特性は、シャットダウンが起こり、200℃までセルの抵抗が103ohm・cm2以上を維持した場合において○と判断し、そうでない場合は×と判断した。
オネストメーター(シシド静電気社製:HO110型)を用い耐電圧半減期を測定した。測定環境は温度20℃、湿度50%とした。サンプルとなるセパレータをサンプルホルダーに固定し、電圧印加装置とサンプルとの間の距離を20mmとし、印加電圧5kVの条件で電圧を印加した。帯電が飽和したのち3分間の電圧減衰挙動を確認し、この減衰曲線から半減期を算出した。なお、この耐電圧半減期が短いほど、帯電を低いレベルに保つことができ、ハンドリング性が良好なセパレータであると言える。半減期が30分以内のものが静電特性良(○)、半減期が30分よりも長いもの静電特性不良(×)とした。
以下の実施例および比較例で作製したセパレータを用いて、以下に示す方法でラミネート型電池を作製した。
メソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB:大阪瓦斯化学社製)粉末87重量部、アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名デンカブラック)3重量部、ポリフッ化ビニリデン(クレハ化学社製)10重量部となるようにN−メチル−2ピロリドン溶媒を用いてこれらを混練し、スラリーを作製した。得られたスラリーを厚さが18μmの銅箔上に塗布乾燥後プレスし、90μmの負極を得た。
コバルト酸リチウム(LiCoO2;日本化学工業社製)粉末89.5重量部、アセチレンブラック(電気化学工業社製;商品名デンカブラック)4.5重量部、ポリフッ化ビニリデン(クレハ化学社製)6重量部となるようにN−メチル−2ピロリドン溶媒を用いてこれらを混練し、スラリーを作製した。得られたスラリーを厚さが20μmのアルミ箔上に塗布乾燥後プレスし、100μmの正極を得た。
上記正極を14mm×20mmのサイズに切り出しタブを付けた。また上記負極は16mm×22mmのサイズに切り出しタブを付けた。セパレータは以下の実施例および比較例で作製したものを用い、20mm×26mmのサイズに切り出した。これらを、正極/セパレータ/負極の順で積層させて接合し、セパレータに電解液を注入してアルミラミネートフィルム内に封入することで、非水系二次電池を作製した。ここで電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートが3対7の重量比で混合された混合溶液に、LiPF6を1Mの濃度で溶解させたものを用いた。ここで、この試作電池は正極面積が2×1.4cm2、負極面積は2.2×1.6cm2で、容量は8mAh(4.2V−2.75Vの範囲)である。
前述の方法で作製した各電池について、4.2Vの定電流・定電圧充電と、2.75Vの定電流放電を30サイクル繰り返した後に、放電容量を測定した。サイクル特性は下記式に示す放電容量保持率で評価した。なお、放電容量保持率が70%以上である場合をサイクル特性を良(○)、70%未満を不良(×)と判断した。
放電容量保持率=30サイクル後の放電容量/3サイクル後の放電容量
以下の実施例および比較例で作製したセパレータを用いて、前述のサイクル特性と同様の方法に従い非水系二次電池を作製した。この電池を4.2Vまで充電した。電池をオーブンに入れ、5kgの錘をのせた。この状態で電池温度が2℃/分で昇温するようにオーブンを設定し電池を200℃まで加熱した。そのときの電池電圧の変化を記録した。室温の電池電圧に対し200℃の電池電圧が60%以上であった場合を○と評価し、60%未満であった場合を×と評価した。
(1)ポリメタフェニレンイソフタルアミドの製造
イソフタル酸クロライド160.5gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解し、撹拌しながら、メタフェニレンジアミン85.2gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解した溶液を、細流として徐々に加えていくと白濁した乳白色の溶液が得られた。撹拌を約5分間継続した後、更に撹拌しながら炭酸ソーダ167.6g、食塩317gを3400mlの水に溶かした水溶液を速やかに加え、5分間撹拌した。反応系は数秒後に粘度が増大後、再び低下し、白色の懸濁液が得られた。これを静置し、分離した透明な水溶液層を取り除き、ろ過によってポリメタフェニレンイソフタルアミドの白色重合体185.3gが得られた。
ポリエチレンパウダーとして、Ticona社製のGUR2126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143(重量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR2126とGURX143を、1:9(重量比)となるようにして、ポリエチレン濃度が30重量%となるように流動パラフィン(松村石油研究所社製;スモイルP−350P;沸点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。このポリエチレン溶液の組成は、ポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(重量比)であった。
前記で得られたポリメタフェニレンイソフタルアミドとポリエチレン多孔膜を用い、そして、これに無機フィラーを併用して、本発明の非水系二次電池用セパレータを製造した。
具体的には、ポリメタフェニレンイソフタルアミドと平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工社製;H−43M)からなる無機フィラーとが、重量比で2:98となるように調整し、これらをポリメタフェニレンイソフタルアミド濃度が2重量%となるように、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比50:50となっている混合溶媒に混合し、塗工用スラリーを得た。
そして、このセパレータに対して、55℃で10時間乾燥することで、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータに含まれる水分量は0.005g/m2であった。なお、この実施例1に関する各種物性および電池特性の測定結果については表1に示した。また、以下の実施例および比較例についても、同様に表1にまとめて示した。
ポリメタフェニレンイソフタルアミドと無機フィラーの重量比が37:63であること、スラリー中のポリメタフェニレンイソフタルアミド濃度が5重量%であること、およびマイヤーバーのクリアランスが20μmであること以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池用セパレータを作製した。
ポリメタフェニレンイソフタルアミドと無機フィラーの重量比が98:2であること、スラリー中のポリメタフェニレンイソフタルアミド濃度が8重量%であること、およびマイヤーバーのクリアランスが22μmであること以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池用セパレータを作製した。
実施例3で得た乾燥前のセパレータを50℃で5時間乾燥することで、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータに含まれる水分量は0.1g/m2であった。
実施例1で得た乾燥前のセパレータを30℃で5時間乾燥することで、非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータに含まれる水分量は0.02g/m2であった。
実施例1で得た乾燥前のセパレータを55℃で48時間乾燥することで、比較例1の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータに含まれる水分量は0.001g/m2であった。
実施例1で得た乾燥前のセパレータを25℃で5時間乾燥することで、比較例2の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータに含まれる水分量は0.2g/m2であった。
ポリメタフェニレンイソフタルアミドと無機フィラーの重量比が97:3であること、スラリー中のポリメタフェニレンイソフタルアミド濃度が8重量%であること、およびマイヤーバーのクリアランスが30μmであること以外は実施例1と同様にして、非水系二次電池用セパレータを作製した。
なお、比較例3のセパレータにおいては、サイクル特性の測定途中で電池膨れが生じたため、測定不可であった。
Claims (8)
- ポリオレフィン微多孔膜の片面または両面に、耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層が被覆された非水系二次電池用セパレータであって、
該セパレータは、温度20℃、相対湿度40%における平衡含水量が0.01〜0.5g/m2であり、かつ、乾燥処理を行った状態で水分を0.005〜0.1g/m2含んでおり、
前記セパレータの水分量が平衡含水量よりも小さいことを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。 - 前記耐熱性多孔質層の目付けが2〜10g/m2であることを特徴とする請求項1記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記耐熱性樹脂が、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドから成る群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記耐熱性樹脂が、ポリメタフェニレンイソフタルアミドであることを特徴とする請求項3に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記耐熱性多孔質層が無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記無機フィラーが金属水酸化物および金属酸化物のうち少なくとも一種からなることを特徴とする請求項5に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記無機フィラーが水酸化アルミニウムからなることを特徴とする請求項6に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記無機フィラーの含有量が前記耐熱性樹脂の体積に対し0.4〜4倍であることを特徴とする請求項5〜7のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
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