JP2012209196A - 多層セパレータの製造方法 - Google Patents

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孝将 南
Tomoaki Satomi
倫明 里見
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Abstract

【課題】積層した多孔質膜の界面での剥離が生じ難い多層セパレータを製造することができる多層セパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】多孔質基体14と、該多孔質基体14の少なくとも一方の面に形成された耐熱性多孔質膜と、を備える多層セパレータの製造方法であって、多孔質基体14の少なくとも一方の面に、耐熱性樹脂を含有する耐熱性塗布液を塗布して塗膜11を形成する塗布ステップと、塗膜11の表面に、気体、液体、又は気体と液体との混合物からなる流体4を吹き付けることにより圧力を印加する加圧ステップと、を含む方法により耐熱性多孔質膜を形成する工程を有する、多層セパレータの製造方法。
【選択図】図2

Description

本発明は、多層セパレータの製造方法に関する。
従来、様々な多孔質膜が開発されており、フィルター、電解膜、非水溶媒型電池のセパレータ等として使用されている。
リチウムイオン2次電池の分野では、反応性の高い活物質を使用しているために、電池あるいは使用機器には各種の安全装置が設けられている。リチウムイオン2次電池においては、外部回路の短絡、過充電等により、電池の発熱、発火、あるいは破裂事故等が発生することを防止するための一つの手段として、正極と負極とを分離するセパレータが活用されている。すなわち、セパレータには、ポリエチレンやポリプロピレン製の微多孔性膜の孔が、異常時の発熱によって閉塞し、セパレータを通じた電池反応を停止する機能を有するとともに、高温になってもセパレータとしての形状を維持し、正極と負極とが直接接触することを防止する機能を有することが要求されている。
特に、近年需要が増加している大容量のリチウムイオン2次電池では、容量が大きいために内部短絡を起こすとその箇所が発熱し、内部短絡が拡大しやすいため、このような場合に発生しがちな事故を回避し得る高性能なセパレータの開発が切望されている。
さらに、現在、広く用いられている延伸によって製造した微多孔性のセパレータは、膜形状維持特性が必ずしも十分ではなく、高温でも膜形状維持特性に優れたセパレータが求められている。
こうした従来のポリオレフィン微多孔膜のもつ問題点を解消するために、これまで種々の試みがなされ、その1つとして、ポリオレフィン微多孔膜を基材としてその上にポリオレフィンよりも融点の高い耐熱性樹脂からなる多孔質膜をコーティングして一体化した多層セパレータが、異常発熱時の膜孔の閉塞機能と高温での膜形状維持特性とを両立させるセパレータとして提案されている(特許文献1参照)。具体的には、特許文献1には、電池用セパレータとして、ポリオレフィンからなる微多孔膜と耐熱性樹脂からなる多孔質膜とを複合化した多層セパレータを用いることにより、微少短絡による発熱によりポリオレフィンが溶融した場合でも、耐熱性樹脂は溶融せずに残り、正極と負極とを接触させず、二次的な大面積での短絡を防止し、短絡に伴う電池の急激な温度上昇を防ぐことができることが開示されている。
特開2006−289657号公報
上記特許文献1では、ポリオレフィン微多孔膜に耐熱性樹脂からなる多孔質膜をコーティングして一体化する際の耐熱性樹脂のコーティング方法として、ディップ法、バーコート法などで塗布した後、凝固液に浸漬して多孔化処理を行う方法が採用されている。しかし、このような方法で作製した多層セパレータは、耐熱性樹脂からなる多孔質膜とポリオレフィン微多孔膜との密着性が悪く、膜界面で剥離が生じやすいため信頼性が十分ではないという問題があった。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、積層した多孔質膜の界面での剥離が生じ難い多層セパレータを製造することができる多層セパレータの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、基体となる多孔質膜に耐熱性樹脂を塗布した後、塗布面に流体を衝突させて加圧することで、膜間の良好な密着性が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、多孔質基体と、該多孔質基体の少なくとも一方の面に形成された耐熱性多孔質膜と、を備える多層セパレータの製造方法であって、上記多孔質基体の少なくとも一方の面に、耐熱性樹脂を含有する耐熱性塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布ステップと、上記塗膜の表面に、気体、液体、又は気体と液体との混合物からなる流体を吹き付けることにより圧力を印加する加圧ステップと、を含む方法により上記耐熱性多孔質膜を形成する工程を有する、多層セパレータの製造方法を提供する。
上記多層セパレータの製造方法によれば、多孔質基体に耐熱性樹脂の塗膜を形成した後、加圧ステップによって塗膜に流体を吹き付けることにより、流体の衝突圧力により塗膜を多孔質基体に密着させることができる。また、加圧ステップを行なうことで、塗膜の一部が多孔質基体に入り込み、アンカー効果によって多孔質膜間の密着性を増大させることができる。これにより、塗膜を多孔化して耐熱性多孔質膜を形成した後でも、耐熱性多孔質膜と多孔質基体との接触面積が大きくなり、2層の多孔質膜の界面での剥離が生じ難い多層セパレータを得ることができる。
上記多層セパレータの製造方法において、上記多孔質基体は、融点が150℃以下であるポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜であり、上記耐熱性塗布液は、融点又はガラス転移点が150℃以上の上記耐熱性樹脂を含有する塗布液であることが好ましい。
多孔質基体が上記ポリオレフィン樹脂を含有することにより、多孔質基体は異常発熱時の膜孔の閉塞機能を良好に得ることができる。また、耐熱性塗布液が上記耐熱性樹脂を含有することにより、高温での膜形状維持特性に優れた耐熱性多孔質膜を形成することができる。よって、上記製造方法によれば、異常発熱時の膜孔の閉塞機能と高温での膜形状維持特性とを両立させることができる多層セパレータを得ることができる。
上記多層セパレータの製造方法において、上記流体は、上記耐熱性樹脂に対する貧溶媒を含有することが好ましい。
塗膜に吹き付ける流体に、塗膜中の耐熱性樹脂に対する貧溶媒を含有させることにより、塗膜に貧溶媒が接触することで相分離が進んで耐熱性樹脂が析出し、溶媒を含んだゲル状の塗膜となる。そして、ゲル状の塗膜が流体により加圧されることで、該塗膜を多孔化した後の耐熱性多孔質膜と多孔質基体との接触点が細分化されることとなる。その結果、耐熱性多孔質膜と多孔質基体との密着性を損なうことなく、接触面積増大に伴って耐熱性樹脂により膜界面の膜孔が閉塞することを抑制することができ、透気抵抗度の高い多層セパレータを得ることができる。
上記多層セパレータの製造方法の上記加圧ステップにおいて、上記流体の吹き付けにより上記塗膜の表面に印加する圧力は、5〜100N/mであることが好ましい。印加圧力を上記範囲内とすることにより、膜界面での膜孔の閉塞を十分に抑制しつつ、膜剥離の抑制効果を十分に得ることができる。
本発明によれば、積層した多孔質膜の界面での剥離が生じ難い多層セパレータを製造することができる多層セパレータの製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法により製造する多層セパレータの一実施形態を示す模式断面図である。 本発明の多層セパレータの製造方法における加圧ステップを示す模式図である。 実施例1で作製した多層セパレータから剥離した耐熱性多孔質膜の剥離面の走査型電子顕微鏡写真である。 実施例2で作製した多層セパレータから剥離した耐熱性多孔質膜の剥離面の走査型電子顕微鏡写真である。 比較例1で作製した多層セパレータから剥離した耐熱性多孔質膜の剥離面の走査型電子顕微鏡写真である。 リチウムイオン2次電池の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(多層セパレータ)
図1は、本発明の製造方法により製造する多層セパレータの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、多層セパレータ10は、多孔質基体14と、該多孔質基体14の少なくとも一方の面に形成された耐熱性多孔質膜12と、を備える。以下、本実施形態に係る多層セパレータ10を構成する各多孔質膜について説明する。
多孔質基体14は、ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜(ポリオレフィン微多孔膜)である。上記ポリオレフィン樹脂を含有する多孔質基体14は、公知のものであれば、いかなる材質のものであってもよく、いかなる製法により製造されたものであってもよい。
多孔質基体14に使用されるポリオレフィン樹脂としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセンなどを重合した結晶性の単独重合体または共重合体が挙げられる。これらの単独重合体または共重合体は、1種を単独で使用することができるが、2種以上のものを組み合わせて用いてもよい。多孔質基体14に使用されるポリオレフィン樹脂は、異常発熱時の膜孔の良好な閉塞機能を得る観点から、融点が150℃以下であることが好ましい。
多孔質基体14としては、通常、空孔率が30〜95体積%、膜厚25μmでの透気抵抗度が2000秒/100ml以下、好ましくは800秒/100ml以下、平均貫通孔径が0.005〜1μm、引張破断強度が80MPa以上、好ましくは100MPa以上、突刺強度が3000mN以上、好ましくは5500mN以上の機械物性を有する微多孔膜が望ましい。
本明細書において、空孔率とは、多孔質膜の空孔部分の体積を、多孔質膜の空孔部分と中実部分とを合わせた体積で割った値である。この空孔率は、例えば、重量法により測定できる。
多孔質基体14の厚さは、適宜選択されるが、通常、0.1〜50μmであり、好ましくは1〜25μmである。厚さが0.1μm未満では、膜の機械的強度不足から実用に供することが難しくなる傾向があり、50μmを超えると、実効抵抗が大きくなり過ぎる傾向があり、いずれも好ましくない。
耐熱性多孔質膜12は、耐熱性樹脂を含有する多孔質膜である。耐熱性多孔質膜12は、多層セパレータ10の耐熱性を高めるための被覆層であり、リチウムイオン2次電池を使用する際の一般的条件において熱的に安定であれば特に限定されるものではない。
リチウムイオン2次電池では、約150℃以上でセパレータの熱溶融が問題となることが多いので、耐熱性多孔質膜12としては、特に約150〜500℃の範囲で耐熱性のある多孔質膜を採用することが好ましい。耐熱性に優れ、高温での膜形状維持特性に優れた耐熱性多孔質膜12を得る観点から、耐熱性樹脂は、融点又はガラス転移点が150℃以上の樹脂であることが好ましい。
耐熱性樹脂(耐熱性高分子)としては、特に限定されず、種々の公知の樹脂が挙げられるが、多層セパレータ10はリチウムイオン2次電池の電池用セパレータに利用されることから、電解液に対して親和性を有すると同時に電解液や電池反応に対しても安定であることが望ましい。
このような要求に応える耐熱性樹脂として、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルフィド、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、及びポリフェニレンスルフィドなどを例示できる。これらは直鎖状ポリマーの状態で用いてもよいが、モノマーやオリゴマーやプレポリマーなどの前駆体の状態で用い、それらの前駆体を加熱などの方法で後重合させて架橋体としてもよい。これらの中でも、特に製膜性の観点から、ポリアミドイミドが好適である。これらの耐熱性樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
耐熱性多孔質膜12の平均孔径は、通常、0.1μm以上であり、好ましくは0.2μm以上である。
耐熱性多孔質膜12の空孔率は、透過性の観点からは、20体積%以上であることが好ましく、35体積%以上であることがより好ましい。また、耐熱性多孔質膜12の空孔率は、強度の観点からは、90体積%以下であることが好ましく、75体積%以下であることがより好ましい。
(多層セパレータの製造方法)
本発明の多層セパレータの製造方法は、上述したような多層セパレータ10を製造する方法であって、多孔質基体14の少なくとも一方の面に、耐熱性樹脂を含有する耐熱性塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布ステップと、上記塗膜の表面に、気体、液体、又は気体と液体との混合物からなる流体を吹き付けることにより圧力を印加する加圧ステップと、を含む方法により上記耐熱性多孔質膜12を形成する工程を有する方法である。
塗布ステップにおいて、耐熱性塗布液の塗布は、例えば、ダイコーター、ロールコーター、バーコーターによる塗布や、グラビア印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷などによる一般的な塗布方法により行うことができる。
耐熱性塗布液としては、上述した耐熱性樹脂を溶媒に溶解させた耐熱性樹脂溶液を用いることができる。耐熱性塗布液に用いる溶媒は、以下に示すように、耐熱性樹脂の性状に応じ適宜選択される。例えば、耐熱性樹脂がポリアミドイミドである場合、良溶媒としては、特に限定されるものではないが、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DAMc)、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等が挙げられる。なお、耐熱性樹脂溶液中に水分が存在する場合は、加熱・脱水したモレキュラーシーブで耐熱性樹脂溶液を処理することで、水分を除去しておくことが好ましい。
上記耐熱性塗布液における耐熱性樹脂の濃度としては、製膜するのに好適な粘度が得られる濃度であればよく、特に限定されるものではないが、耐熱性塗布液全量を基準として、概ね1〜20質量%の範囲が好適である。
非水系リチウムイオン2次電池用セパレータにおいて、耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質膜12の孔構造を適切なものとするためには、耐熱性塗布液に相分離剤を混合することが好ましい。
相分離剤としては、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、グリセリン、ポリビニルピロリドン等が挙げられるが、上述した耐熱性樹脂の良溶媒と貧溶媒のどちらに対しても可溶なものであれば用いることが可能である。
上記塗布ステップを行なった後、図2に示すように、多孔質基体14上に形成した塗膜11の表面に、気体、液体、又は気体と液体との混合物からなる流体4を吹き付けることにより圧力を印加する加圧ステップを行なう。加圧ステップにおいて、流体4は、一般的な噴射装置を用い、噴射ノズル2の噴射口から噴射することで塗膜11に吹き付ける。塗膜11は溶媒を含んでいるため、プレス機等を用いて加圧することは困難であるが、流体4を用いた上記加圧ステップによれば、塗膜11を効果的に加圧することが可能となる。
流体4としては、気体、液体、又は気体と液体との混合物を用いることができるが、耐熱性樹脂に対する貧溶媒を含有する流体を用いることが好ましい。貧溶媒を含有する流体を用いる場合、気流中に貧溶媒の液滴を含有させて塗膜11に吹き付けることが好ましい。このとき、液滴の平均粒子径は特に限定されないが、100μm以下とすることが好ましい。
流体4に用いる貧溶媒は、耐熱性樹脂の種類により適宜選択される。耐熱性樹脂がポリアミドイミドである場合、貧溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、水等が挙げられ、中でもアルコール類、水が特に好ましい。また、耐熱性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドである場合、貧溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類等が挙げられる。
加圧ステップにおいて、流体4の吹き付けにより塗膜11の表面に印加する圧力は、5〜100N/mであることが好ましく。10〜70N/mであることがより好ましい。印加圧力が5N/m未満であると、塗膜11の多孔質基体14に対する密着性の向上効果が低下し、多層セパレータ10において膜剥離を抑制する効果が低下する傾向がある。一方、印加圧力が100N/mを超えると、塗膜11と多孔質基体14との界面において膜孔が閉塞し易くなり、透気抵抗度が低下する傾向がある。
上記加圧ステップを行なった後、塗膜11の多孔化を行なうことで、耐熱性多孔質膜12を形成することができる。多孔化の方法としては、耐熱性塗布液に水溶性樹脂等からなる上述した相分離剤を溶解させ、塗膜11を凝固液に浸漬して相分離させる方法が挙げられる。この方法により、優れた透過性を示す多孔性の耐熱性多孔質膜12を形成することができる。ここで、相分離剤は耐熱性樹脂の良溶媒と凝固液との双方に対して可溶である必要がある。相分離剤に適切なものを選択することで、相構造の変化、脱溶媒速度の減少により耐熱性多孔質膜12の表層構造が緻密になることを抑制することができる。なお、加圧ステップに用いる流体4として耐熱性樹脂に対する貧溶媒を含有する流体を用い、加圧ステップのみで塗膜11の多孔化を行ってもよい。この場合、加圧ステップの後に塗膜11を凝固液に浸漬せずに、洗浄及び乾燥を行うことで、多孔性の耐熱性多孔質膜12を形成することができる。この場合、加圧ステップに用いる流体4には、さらに耐熱性樹脂に対する良溶媒を含有させてもよい。
耐熱性塗布液における相分離剤の濃度は、耐熱性塗布液全量を基準として、良好な透過性を有する耐熱性多孔質膜12を得る観点から1質量%以上であることが好ましく、扱いやすい塗布液粘度を得る観点から30質量%以下であることが好ましい。相分離剤のより好ましい濃度は5〜20質量%である。
また、塗膜11を凝固液に浸漬して相分離させる方法で多孔化を行なう場合において、塗膜11を凝固液に浸漬する前に、塗膜11を加湿することが好ましい。塗膜11を加湿してから凝固液に浸漬することで、塗膜11が十分に相分離してから脱溶媒が進行するため、耐熱性多孔質膜12の表層構造が緻密になり難くなる。このとき、加湿は相対湿度60〜100%で行うことが好ましい。なお、加圧ステップのみで塗膜11の多孔化を行う場合は、加湿を行う必要はない。
凝固液は、耐熱性樹脂に対する良溶媒及び貧溶媒の混合液からなる。貧溶媒の割合は、凝固液全量を基準として30〜80質量%が好適である。また、耐熱性塗布液に相分離剤を用いた場合は、耐熱性塗布液中での良溶媒と相分離剤との含有量比とほぼ同等になるように、凝固液にも相分離剤を加えることがプロセス上好ましい。
耐熱性樹脂がポリアミドイミドである場合、良溶媒としては、上述した耐熱性塗布液に用いる良溶媒と同様のものが用いられる。一方、貧溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類、ベンゼン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、水等が挙げられ、中でもアルコール類、水が好ましい。
また、耐熱性樹脂が、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアミド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィドである場合、良溶媒としては、シクロヘキサノン、γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルスルホン等が挙げられる。一方、貧溶媒としては、メタノール、エタノールなどのアルコール類等が挙げられる。
塗膜11を凝固液と接触させて相分離させた後、必要に応じて水洗し、乾燥させることにより、多孔化処理を完結させる。これにより、多孔質基体14上に耐熱性多孔質膜12を形成し、多層セパレータ10を得ることができる。
以上、本発明の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、上記実施形態においては、多層セパレータが2層の多孔質膜からなる場合を示したが、多層セパレータは3層以上の多孔質膜で構成されていてもよい。このような多層セパレータとしては、例えば、多孔質基体14の両面に耐熱性多孔質膜12を形成した3層構造のセパレータが挙げられる。このとき、両面の耐熱性多孔質膜12を、上述した塗布ステップ及び加圧ステップを含む方法により形成することが好ましい。
(リチウムイオン2次電池)
図6は、本実施形態に係るリチウムイオン2次電池を示す模式断面図である。図6に示すように、リチウムイオン2次電池100は、正極20と、正極20に対向する負極30と、正極20及び負極30の間に介在し、正極20の主面及び負極30の主面にそれぞれに接触するセパレータ10と、を備えたリチウムイオン2次電池である。ここで、セパレータ10として、上述した本発明の製造方法により製造した多層セパレータ10が用いられる。
リチウムイオン2次電池100は、主として、発電要素40、発電要素40を密閉した状態で収容するケース50、及び発電要素40に接続された一対のリード60,62を備えている。
発電要素40は、一対の正極20、負極30が、多層セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。正極活物質層24の主面及び負極活物質層34の主面が、多層セパレータ10の主面にそれぞれ接触している。本実施形態においては、多層セパレータ10の耐熱性多孔質膜12と正極活物質層24とが接触し、多孔質基体14と負極活物質層34とが接触しているが、多層セパレータ10の向きは逆であってもよい。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極20及び負極30を総称して、電極20、30といい、正極集電体22及び負極集電体32を総称して集電体22、32といい、正極活物質層24及び負極活物質層34を総称して活物質層24、34ということがある。
まず、電極20、30について具体的に説明する。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている正極活物質を使用できる。例えば、リチウム含有金属酸化物が挙げられる。リチウム含有金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等が挙げられる。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFPTFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。
イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr、Li(CFSON、LiN(CSO等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
導電助剤も、正極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
正極活物質層24中のバインダーの含有量は特に限定されないが、活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1質量%〜15質量%であることが好ましく、3質量%〜10質量%であることがより好ましい。活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、得られた電極活物質層24において、バインダーの量が少なすぎて強固な活物質層を形成できなくなる傾向を抑制できる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
正極活物質層24中の導電助剤の含有量も特に限定されないが、添加する場合には通常、活物質に対して0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜12質量%とすることがより好ましい。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている負極活物質を使用することができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することができる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)、等が挙げられる。
バインダー及び導電助剤には、上述した正極20に用いる材料と同様の材料を用いることができる。また、バインダー及び導電助剤の含有量も、上述した正極20における含有量と同様の含有量を採用すればよい。
電極20、30は、通常用いられる方法により作製できる。例えば、活物質、バインダー、溶媒、及び、導電助剤を含む塗料を集電体上に塗布し、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
集電体22、32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する方法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体22、32を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして活物質層24、34が形成された電極を、その後、必要に応じて例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
以上の工程を経て、電極20、30を作製することができる。
次に、リチウムイオン2次電池100の他の構成要素を説明する。
電解質は、正極活物質層24、負極活物質層34、及び、多層セパレータ10の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
ケース50は、その内部に発電要素40及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン2次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図6に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミ等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60、62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間に多層セパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリアミドイミド樹脂溶液(不揮発分濃度:30質量%、溶媒:NMP、ガラス転移温度:283℃)50質量部に、ポリエチレングリコール(数平均分子量Mn=1000)20質量部とNMP30質量部とを加えて、室温にて均一になるように混合し、耐熱性樹脂溶液(耐熱性塗布液)を調製した。
得られた耐熱性樹脂溶液を、膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(多孔質基体、空孔率:40体積%、シャットダウン温度:134℃)の片面に、バーコータを用いて塗布し、厚み28μmの塗膜を形成した。この塗膜に対して、その上面から、流体噴射ノズルを用いて空気流を塗膜表面への印加圧力が10N/mとなるように吹き付けた。次いで、塗膜をポリエチレン微多孔膜と共に水50質量部、NMP50質量部からなる凝固液に3分間浸漬し、イオン交換水で水洗した後、60℃の熱風で30分間乾燥することで多孔化処理し、ポリエチレン微多孔膜の表面に厚み4μmの耐熱性多孔質膜を形成した。これにより、多層セパレータを得た。得られた多層セパレータは、膜間の密着性が高く、ハンドリング性に優れたものであった。また、得られた多層セパレータにおいて、ポリエチレン微多孔膜と耐熱性多孔質膜との界面には、ポリエチレン微多孔膜表面を覆うように、ポリエチレン微多孔膜と耐熱性多孔質膜とを連結する耐熱性樹脂からなる被膜が部分的に形成されていた。この被膜の厚みは0.5μmであった。
(実施例2)
塗膜に対して上面から吹き付ける空気流に、平均粒子径8μmの水滴を含ませた(空気:水滴の体積比=200:1)こと以外は実施例1と同様にして、ポリエチレン微多孔膜の表面に厚み4μmの耐熱性多孔質膜を形成し、多層セパレータを得た。得られた多層セパレータは、膜間の密着性が高く、ハンドリング性に優れたものであった。また、得られた多層セパレータにおいて、ポリエチレン微多孔膜と耐熱性多孔質膜との界面には、ポリエチレン微多孔膜表面を覆うように、ポリエチレン微多孔膜と耐熱性多孔質膜とを連結する耐熱性樹脂からなる被膜が部分的に形成されていた。この被膜の厚みは0.2μmであった。
(比較例1)
実施例1で用いた耐熱性樹脂溶液を、実施例1で用いたポリエチレン微多孔膜の片面にバーコータを用いて塗布し、厚み28μmの塗膜を形成した。次いで、塗膜をポリエチレン微多孔膜と共に水50質量部、NMP50質量部からなる凝固液に3分間浸漬し、イオン交換水で水洗した後、60℃の熱風で30分間乾燥することで多孔化処理し、ポリエチレン微多孔膜の表面に厚み4μmの耐熱性多孔質膜を形成した。これにより、多層セパレータを得た。得られた多層セパレータは、膜間の密着性が低く、僅かな力でも剥離し易いため、ハンドリングが困難なものであった。
<膜界面の観察>
実施例及び比較例で得られた多層セパレータにおいて、耐熱性多孔質膜をポリエチレン微多孔膜から引き剥がし、引き剥がした耐熱性多孔質膜のポリエチレン微多孔膜と密着していた側の剥離面(図1に示す面F1)を、走査型電子顕微鏡(SEM)により観察した。実施例1〜2及び比較例1の多層セパレータにおける、耐熱性多孔質膜の剥離面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を図3〜5にそれぞれ示す。写真中、明るい(白い)部分Aが、ポリエチレン微多孔膜に接着していた部分(接着部分A)であり、暗い部分Bが、ポリエチレン微多孔膜に接着していなかった部分(非接着部分B)である。なお、黒い部分は空孔である。
図3及び図4に示すように、実施例1及び2の多層セパレータの耐熱性多孔質膜の剥離面は、接着部分Aが多く、耐熱性多孔質膜とポリエチレン微多孔膜との接触面積が大きいことが確認された。図3と図4とを比較した場合、図4の方が、耐熱性多孔質膜がポリエチレン微多孔膜と細かく点接触していることが分かる。このように接触点が細分化されていると、ポリエチレン微多孔膜の膜孔が閉塞し難いため好ましい。実施例2では、噴射する流体に水滴を含ませたため、それによって接触点が細分化されたものと考えられる。一方、図5に示すように、比較例1の多層セパレータの耐熱性多孔質膜の剥離面は、接着部分Aが少なく、大部分が非接着部分Bであり、耐熱性多孔質膜とポリエチレン微多孔膜との接触面積が小さいことが確認された。
<透気抵抗度の測定>
実施例及び比較例で得られた多層セパレータを、5.0cm×5.0cmにカットして試験片とした。この試験片の透気抵抗度を、ガーレー式デンソメーターB型(東洋精機製作所(株)社製)を使用して、JIS P8117−2009に準拠して測定した。測定は5回行い、その平均値を透気抵抗度(秒/100ml)として求めた。
<剥離試験>
実施例及び比較例で得られた多層セパレータの耐熱性多孔質膜について、JIS D0202−1988に準拠して碁盤目テープ剥離試験を行った。試験は、1mmの碁盤目100個を作り、セロハンテープ(商品名:CT24、ニチバン(株)製)を指の腹で耐熱性多孔質膜に密着させた後、剥離することにより行なった。判定は、碁盤目100個の内、剥離しなかった碁盤目の数で表した。碁盤目が1つも剥離しなかった場合は100/100であり、碁盤目が全て剥離した場合は0/100である。
実施例及び比較例で作製した多層セパレータに関する情報及び評価結果を下記表1にまとめて示す。

本発明によって、積層した多孔質膜の界面での剥離が生じ難い多層セパレータを製造することができる多層セパレータの製造方法を提供することができる。したがって、本発明は産業界への寄与が大である。
2…噴射ノズル、4…流体、10…多層セパレータ、11…塗膜、12…耐熱性多孔質膜、14…多孔質基体、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…発電要素、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン2次電池。

Claims (3)

  1. 多孔質基体と、該多孔質基体の少なくとも一方の面に形成された耐熱性多孔質膜と、を備える多層セパレータの製造方法であって、
    前記多孔質基体の少なくとも一方の面に、耐熱性樹脂を含有する耐熱性塗布液を塗布して塗膜を形成する塗布ステップと、
    前記塗膜の表面に、気体、液体、又は気体と液体との混合物からなる流体を吹き付けることにより圧力を印加する加圧ステップと、
    を含む方法により前記耐熱性多孔質膜を形成する工程を有する、多層セパレータの製造方法。
  2. 前記多孔質基体が、融点が150℃以下であるポリオレフィン樹脂を含有する多孔質膜であり、前記耐熱性塗布液が、融点又はガラス転移点が150℃以上の前記耐熱性樹脂を含有する塗布液である、請求項1記載の多層セパレータの製造方法。
  3. 前記流体が、前記耐熱性樹脂に対する貧溶媒を含有する、請求項1又は2記載の多層セパレータの製造方法。
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