JP2013211160A - 電池用セパレータ、及びそれを用いた電池 - Google Patents

電池用セパレータ、及びそれを用いた電池 Download PDF

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Tomoaki Satomi
倫明 里見
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Masahiro Shinkai
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Abstract

【課題】
高温状態で電池電極間の短絡を防止するとともに、発熱反応の進行を防止することができる電池用セパレータ及び電池を提供する。
【解決手段】
本発明に係る電池用セパレータは、融点もしくはガラス転移温度が160℃を超える耐熱性樹脂を含有して形成される耐熱性多孔質層を有し、上記耐熱性多孔質層内に融点もしくはガラス転移温度が160℃以下である樹脂粒子を含有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、電池用セパレータ、及びそれを用いた電池に関するものである。
近年の電子技術の進歩に伴い、カメラ一体型VTR、携帯電話、ラップトップコンピューター等の小型のポータブル電子機器が開発され、それらに使用するためのポータブル電源として、小型且つ軽量で高エネルギー密度の二次電池の開発が強く要請されている。
このような要請に応える二次電池としては、理論上高電圧を発生でき、且つ高エネルギー密度を有するリチウム、ナトリウム、アルミニウム等の軽金属を負極活物質として用いる非水電解液二次電池が期待されている。中でも、リチウムイオンの充放電を、非水系電解液を介して行うリチウムイオン二次電池は、水溶液系電解液二次電池であるニッケル・カドミウム電池や鉛蓄電池と比較して、高出力及び高エネルギー密度を実現できるものとして活発に研究開発が進められている。
このようなリチウムイオン二次電池のセパレータとして、ポリオレフィン多孔質膜を使用するのが一般的であった。これは、電池の外部加熱や異常電流が流れたときに電池温度が著しく上昇し、可燃性ガスの発生や電池の破裂や発火を未然に防ぐためであり、電池温度の著しい上昇によって、ポリオレフィン多孔質膜が収縮又は溶融し、孔を閉塞してイオン透過性を遮断する機能(シャットダウン機能)を発揮すると考えられているためである。しかしながら、例えば、ポリオレフィン類の融点もしくはガラス転移温度、すなわち160℃を超えるような高温にまで温度が上昇した場合には、ポリオレフィン多孔質膜が溶融してしまい、十分な短絡防止機能を発揮できない可能性があった。
車載向けの電子機器の使用条件の中では、真夏の車中ダッシュボード上の環境温度が最も高く、100℃以上になる場合もあると言われている。特に電子機器を突発的に前記環境に置いた場合、熱衝撃によって環境以上の温度に達することがある。その原因は不明ではあるが、活性な電極材料が急激な温度変化におかれた場合、何らかの反応が加速され、一部反応熱を発し、環境温度以上に電池温度が上昇することが考えられる。この時、ポリオレフィン多孔質膜は部分的に溶融し、電池電極間での短絡が起こり、温度上昇を助長する。その際には、急激に安全性の低下が生じるおそれがある。
このようなリチウムイオン二次電池における短絡を防止できるセパレータとして、耐熱性セパレータがあり、特許文献1では融点又は炭化温度が300℃以上の耐熱性パルプ繊維と、融点が200℃以上の熱可塑性繊維とを含有する不織布からなるものが提案され、特許文献2では、耐熱性バリアフィルムと、保液層フィルムとが接着されてなるものが提案されている。
特開2006−19191号公報 特開2004−363048号公報
しかしながら、このような耐熱性セパレータを用いた場合には、高温状態で電池電極間の短絡は発生しないが、電池電圧が保持されるために、活性な電極材料による発熱反応が更に進行し、安全性が低下する可能性がある。
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、高温状態で電池電極間の短絡を防止するとともに発熱反応の進行を防止することができる電池用セパレータ及びそれを用いた電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係るセパレータは、少なくとも一層の、融点もしくはガラス転移温度が160℃を超える耐熱性樹脂を含有して形成される耐熱性多孔質層を有し、上記耐熱性多孔質層に融点もしくはガラス転移温度が160℃以下である樹脂粒子を含有する。
上記本発明に係るセパレータを用いた電池では、160℃を超えるような高温にまで温度が上昇したとしても、電池電極間の短絡を防止すると共に、電池電圧を下げ発熱反応の進行を防止することができる。これは、耐熱性多孔質層によって高温での膜形状が維持され、電池電極間のギャップが確保されることにより短絡を防止し、この状態で、耐熱性多孔質層中に内包される樹脂粒子は融点もしくはガラス転移温度を超え流動的になり、もはや粒子状に止まらずに溶出し、樹脂粒子が占有していた部分がボイドとなる。ボイド部分では正極側から負極側までに至る膜内の孔路が、その他の多孔質部分と比較して極端に短くなるため、絶縁抵抗が減少し、微小に発生する電気伝導性によって負極から正極に電子が供与され、電池電圧が降下する。つまり、微少な電流のリークにより電圧降下が生じると考えている。
上記セパレータにおいて、上記樹脂粒子の粒子径は上記耐熱性多孔質層の厚みの1/3より大きいことが好ましい。樹脂粒子が耐熱性多孔質層の厚みの1/3より大きいことで、樹脂粒子から耐熱性多孔質層の表面までの最短距離は樹脂粒子の粒子径よりも小さくなるため、温度上昇により樹脂粒子が耐熱性多孔質層の外部まで溶出しやすくなり、溶出して形成されるボイドにおいて効果的に絶縁抵抗減少作用を発揮し、十分な電気伝導性を確保することができる。
上記セパレータにおいて、上記樹脂粒子が上記耐熱性多孔質層の表面に露出せずに上記耐熱性多孔質層に包埋されていることが好ましい。上記樹脂粒子は電解液を保持できないために実質的にイオン伝導性を持たないが、耐熱性多孔質層に包埋され、内部に位置することで、上記セパレータを用いた電池において上記耐熱性多孔質層と電極が隣接する場合においても、電極表面でのイオンの拡散を阻害することなく、サイクル特性に優れた電池を提供することができる。
上記セパレータにおいて、上記樹脂粒子は上記耐熱性多孔質層の表面及び裏面のうちいずれか一方側に偏って配置されていることが好ましい。一方側に偏在することで、実質的にイオン伝導性を持たない樹脂粒子が厚み方向に対して常に一定の位置に存在するようになり、セパレータに電解液が充填した際のイオン伝導性が面内で均一になるため、サイクル特性に優れた電池を提供することができる。また、樹脂粒子が偏在していない方の面は、温度上昇により樹脂粒子が溶出しても強度が保持されるため、負極側に配置されたときに、デンドライトなどの析出物の成長による破膜を防止し、安全性に優れた電池を提供することができる。
本発明は、また、正極と、負極と、電解質と、上述したセパレータとを備える電池を提供する。この様な構成によれば、高温状態で電池電極間の短絡が無く、電池電圧が速やかに降下し、発熱反応の進行を防止することができる。
本発明によれば、高温状態で電池電極間の短絡を防止するとともに、発熱反応の進行を防止することができる電池用セパレータと、それを備えた電池を提供することができる。
図1は本発明の電池用セパレータの一実施形態を示す模式断面図である。 図2aは本実施形態の電池用セパレータにおける樹脂粒子の配置パターンを示す模式断面図である。 図2bは本実施形態の電池用セパレータにおける樹脂粒子の別の配置パターンを示す模式断面図である。 図2cは本実施形態の電池用セパレータにおける樹脂粒子の別の配置パターンを示す模式断面図である。 図3は本発明の電池の一実施形態を示す模式断面図である。
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面中、同一または相当部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。また、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(電池用セパレータ)
図1は本発明の電池用セパレータの一実施形態を示す模式断面図である。図1に示すように、本実施形態の電池用セパレータ10は、耐熱性多孔質層12内に樹脂粒子121が含有されてなる。
(樹脂粒子)
まず、樹脂粒子について説明する。樹脂粒子は融点もしくはガラス転移温度が160℃以下である熱可塑性樹脂であることが好ましい。このような樹脂の材質として、具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、アクリル樹脂、ABS樹脂などが挙げられる。樹脂粒子の材質は1種類でもよく、2種類以上でもよい。安全性の観点から電池が130℃を超えるような高温になる前に電池電圧を下げることがより好ましいため、樹脂粒子の融点もしくはガラス転移温度は130℃以下であることがより好ましく、100℃以下であることがさらに好ましい。
樹脂粒子は融点もしくはガラス転移温度を越えた際には、速やかに溶出することが望まれる。樹脂粒子の160℃での溶融粘度は1×10mPa・sec以下であることが好ましく、1×10mPa・sec以下であることがより好ましい。
耐熱性多孔質層に含有される耐熱性樹脂と、樹脂粒子との融点もしくはガラス転移温度の差は、大きいほど高温での膜形状保持特性と電池電圧降下特性が効果的に得られる。したがって、その差は60℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましい。
樹脂粒子の粒子径としては、耐熱性多孔質層の膜厚より小さいことが好ましく、温度上昇時の絶縁抵抗減少の観点からは膜厚の1/3よりも大きいことが好ましい。
耐熱多孔質層が樹脂粒子と耐熱性樹脂のみからなる場合、樹脂粒子の含有量は、耐熱性多孔質100質量部に対して1質量部〜100質量部、すなわち、耐熱性多孔質層全体の0.99質量%〜50質量%がよい。好ましくは、5質量部〜25質量部、すなわち、耐熱性多孔質層全体の4.8質量%〜20質量%とするのがよい。樹脂粒子の含有量が100質量部より大きいと、温度上昇によって樹脂粒子が溶出した後の耐熱性多孔質層の空隙率が高すぎてしまい、強度が不足する可能性があり、1質量部より小さいと、温度上昇時の絶縁抵抗の減少が小さく、電池電圧を速やかに下げることができなくなる可能性がある。
樹脂粒子の粒子径としては、耐熱性多孔質層の膜厚より小さいことが好ましく、温度上昇時の絶縁抵抗減少の観点からは膜厚の1/3よりも大きいことが好ましい。
樹脂粒子の形状は球状、偏平状、棒状、どのような形状であってもよく、また、保液性の観点から、多孔質体であってもよい。
次に、樹脂粒子の位置を示すため、セパレータ断面形状の例を、図2a〜図2cに示す。図2a〜図2cは、樹脂粒子が存在する部分の耐熱性多孔質層の膜面と垂直な平面で切断した断面図である。
図2aに示す樹脂粒子121は、粒子径が、耐熱性多孔質層12の膜厚より大きく、耐熱性多孔質層12の両面から突出する状態で保持されている。
図2bに示す樹脂粒子121は、樹脂粒子の一部が耐熱性多孔質層12内に埋め込まれているものの、樹脂粒子のその他の部分は、耐熱性多孔質層12の一方の表面より突出している。
図2cに示す樹脂粒子121は、耐熱性多孔質層12のどちらの表面とも交わっていない。つまり、樹脂粒子121は、耐熱性多孔質層12内に完全に包埋されている状態である。
図2aに示す断面形状を有する電池用セパレータ10では、樹脂粒子121の粒子径が耐熱性多孔質層12の膜厚より大きく、耐熱性多孔質層12を貫くように両面から突出しているため、温度上昇時に樹脂粒子121が溶出した後には、曲路率1の貫通孔が形成される。このような断面形状を有するセパレータ10は、樹脂粒子121の溶出によるボイド形成において絶縁抵抗の減少率が大きく、高温での電池電圧を降下させる効果をより十分に得ることができる。
図2bに示す断面形状を有する電池用セパレータ10では、樹脂粒子121の一部が耐熱性多孔質層12の一方の表面から突出しているため、温度上昇時に樹脂粒子121が溶出した後にも、一部の耐熱性多孔質層12が電池電極間のギャップを確保し、電極物質の乖離などにより生じる短絡を防止することができ、耐熱性多孔質層12の効果である高温での短絡防止効果をより十分に得ることができる。
図2cに示す断面形状を有する電池用セパレータ10では、樹脂粒子121が耐熱性多孔質層12の表面に露出せずに耐熱性多孔質層12に包埋されている。電解液を保持することがなく、実質的にイオン伝導性を持たない樹脂粒子121が耐熱性多孔質層12の表面に露出しないことで、電極表面でのイオンの拡散を阻害することがないため、セパレータ自体の効果であるイオン伝導性を十分に得ることができる。
また、樹脂粒子121が耐熱性多孔質層12の膜の表面から突出することなく、膜の内部に保持されているため、温度上昇時に樹脂粒子121が溶出した後にも、電池電極表面上に耐熱性多孔質層12が存在することにより、電極物質の乖離を防止することができ、耐熱性多孔質層12の効果である高温での短絡防止効果をより十分に得ることができる。
耐熱性多孔質層12の一方の表面から樹脂粒子121までの距離Aおよび他方の表面から樹脂粒子121までの距離Bは0より大きければ、いかなる値であってもよいが、強度および電極表面でのイオン拡散性の観点から0.5μm以上であることが好ましい。
これらの断面形状の中でも、高温での絶縁抵抗減少による電池電圧を降下させる効果、並びに、高温での短絡防止効果がバランス良く高水準で得られることから、図2cに示す形態が最も好ましい。
樹脂粒子は1つであってもよく、複数分散していてもよいが、高温での絶縁抵抗減少による電池電圧を降下させる観点から複数分散することが好ましい。複数分散する粒子は、面内でのイオン伝導性均一化の観点から、耐熱性多孔質層の表面及び裏面のうちいずれか一方側に偏って配置されていることがさらに好ましい。
樹脂粒子を耐熱性多孔質層の表面及び裏面のうちいずれか一方側に偏って配置させる手法としては、樹脂粒子を含まない耐熱性多孔質層と樹脂粒子を含んだ耐熱性多孔質層を貼り合せたり、耐熱性多孔質層をキャストした後に膜面に樹脂粒子を埋没させるなどして作製することが出来る。また、密度の小さい樹脂粒子を耐熱性多孔質層に混ぜ込んでキャストした後に、エージングしてから製膜することで、密度の小さい樹脂粒子を表面に偏在させることも出来る。このときの樹脂粒子の密度は、1g/cmより小さいことが好ましく、0.9g/cmより小さいことがより好ましい。
複数分散する粒子は、融点もしくはガラス転移温度が160℃以下の樹脂であれば、異なる材質で、融点もしくはガラス転移温度が異なる粒子であってもよい。
(耐熱性多孔質層)
次に、耐熱性多孔質層について説明する。耐熱性多孔質層は、高温時における形状安定性が必要である。これを達成するためにはマクロな熱機械強度、高温化学安定性などの性質を一定範囲内に規定する必要がある。
マクロな熱機械強度においては、まず耐熱性多孔質層自身の形態を規定することが重要である。一定以上の強度を得るには、一定以上の厚みを持つ均質なフィルム状であることが好ましい。
耐熱性多孔質層の膜厚としては、0.5μm以上であることが好ましく、1μm以上、25μm以下の範囲であることがより好ましく、2μm以上、15μm以下の範囲であることがさらに好ましい。膜厚が薄すぎると、絶縁性が不充分だったり、強度が不足し取り扱い時に破断する虞があったり、高温での膜形状維持特性が十分に得られなかったりする。膜厚が厚すぎると、電気化学反応に寄与しないセパレータの体積が占める割合が多くなって高電気容量化が達成できない場合がある。
また、耐熱性多孔質層は、電池において正極と負極の間に配置するため、反応イオン種の移動を妨げないように、最小限の貫通孔を有する必要がある。面方向から見た孔の形状としては、いずれの形状も使用可能であるが、長方形、台形、三角形などの矩形、円形、楕円形や少なくとも一部が曲線で囲まれる形などが好ましい。また、それらが2種以上含まれていてもよい。
耐熱性多孔質層において、孔の大きさとしては、0.01μm以上、50μm以下の範囲が好ましく、0.05μm以上、20μm以下の範囲がより好ましく、0.1μm以上、10μm以下の範囲がさらに好ましい。耐熱性多孔質層の孔径が50μmより大きいと、膜強度が下がって電池において正極と負極との間で短絡が起きやすくなる。一方、耐熱性多孔質層の孔径が0.01μmより小さいと、イオン透過性が悪くなる。孔の大きさは水銀ポロシメータなどで測定することができる。孔の形成方法としては、貧溶媒誘起相分離、熱誘起相分離、延伸、微粒子を混ぜる、レーザーで孔をあける等の方法が挙げられる。
耐熱性多孔質層の空隙率は、30%以上、90%以下の範囲が好ましく、35%以上、70%以下の範囲がより好ましく、40%以上、60%以下の範囲がさらに好ましい。空隙率が30%未満では反応イオン種が十分に移動できない場合があり、90%を超えると強度が不十分となる場合がある。なお、空隙率とはフィルムの単位体積当たりに占める空隙の割合であり、貫通孔部分も含むものである。
耐熱性多孔質層に含有される耐熱性樹脂としては、融点もしくはガラス転移温度が160℃以上であり、220℃以上であることがさらに好ましい。過酷な使用による高温下でもより安全であるために、本発明における耐熱性樹脂は、荷重たわみ温度が160℃を超える樹脂から選ばれた少なくとも1種の耐熱性樹脂であることがより好ましい。
このような耐熱性樹脂として、具体的には、例えばポリベンズイミダゾール、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリアリレート、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエステル樹脂、ポリエチレンナフタレート、エチレン−シクロオレフィン共重合体、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレンの共重合体、アラミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、芳香族ポリエステルからなる群から選ばれる有機高分子化合物等が好ましいものとして挙げられる。また、高温環境下における化学的安定性(耐溶剤性、耐薬品性、耐酸化還元性、耐酸塩基性)に優れたものが好ましい。その中でも特に、耐熱性、加工性をバランスよく高水準で得られるものとしてポリアミドイミド、アラミドが好ましい。
耐熱性多孔質層の材質として、無機微粉末を使用していてもよい。無機微粉末の粒径は、耐熱性多孔質層の膜厚より小さいことが好ましく、一次粒子の平均粒径が2.0μm以下であることが好ましい。より好ましくは、1.0μm以下である。無機微粉末は樹脂粒子と比較して小粒径のものがよく、薄膜化に有利である。
また、耐熱性多孔質層の熱収縮率は、150℃で30分放置した状態で、10%未満であることが好ましく、5%未満であることがより好ましい。
本発明で使用される耐熱性多孔質層は、孔構造をできるだけ保つ、変形の少ないもの、もしくは、変形してもできるだけ孔形状が元に戻る弾性の高いものが好ましい。電池内部では充放電を繰り返すことによって、電極材質が膨れ、それによるセパレータへの圧力上昇があるからである。
耐熱性多孔質層の作製方法としては、上述した膜厚のものが得られればいかなる方法も利用可能である。押し出し成型、キャスト、圧延、繊維の編み込み、湿式延伸法、湿式凝固法などが挙げられる。湿式延伸法では、例えば、互いに相溶しない樹脂を混練し、相分離させ海島構造を形成した後、シート化して延伸し、島部分を抽出する方法がある。湿式凝固法では、基材膜に前記多孔性膜を形成する樹脂の有機溶媒溶液を塗布し、次いで樹脂に対して貧溶媒となる溶液からなる凝固浴中に浸漬し多孔性膜を被膜形成する。また、剥離性のある工程紙や工程フィルム上に湿式凝固法により多孔性膜を形成し、剥離させて製造する方法も行える。これらは、1層からなるものでも良いし、2層以上であってもかまわない。樹脂としてポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリサルホン、ポリフェニルサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン、芳香族ポリエステル、ポリエーテルサルホン、ポリエーテルイミドなどの耐熱樹脂を使用する場合は、好適な有機溶剤として、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、γ‐ブチロラクトンなどの極性有機溶媒が挙げられる。樹脂の有機溶媒溶液中には、多孔形成助剤として、単独では樹脂を溶解しないが、樹脂を溶解する溶媒と相溶可能な他の溶媒を含んでいてもよい。上記有機溶媒を使用する場合は、多孔形成助剤として、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコールなどのグリコール類、ポリビニルピロリドン、その他の界面活性剤が挙げられる。
(電池)
以下、リチウムイオン2次電池を例にとって各構成部材について詳細に説明する。図3は、本実施形態に係るリチウムイオン2次電池を示す模式断面図である。図3に示すように、リチウムイオン2次電池100は、正極20と、正極20に対向する負極30と、正極20及び負極30の間に介在し、正極20の主面及び負極30の主面にそれぞれに接触するセパレータ10と、を備えたリチウムイオン2次電池である。ここで、セパレータ10は、上述した電池用セパレータ10である。
リチウムイオン2次電池100は、主として、発電要素40、発電要素40を密閉した状態で収容するケース50、及び発電要素40に接続された一対のリード60,62を備えている。
発電要素40は、一対の正極20、負極30が、電池用セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。正極活物質層24の主面及び負極活物質層34の主面が、電池用セパレータ10の主面にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード60,62が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極20及び負極30を総称して、電極20,30といい、正極集電体22及び負極集電体32を総称して集電体22,32といい、正極活物質層24及び負極活物質層34を総称して活物質層24,34ということがある。
まず、電極20,30の各構成部材について、順をおって具体的に説明する。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミ、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、正極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入(インターカレーション)、又は、リチウムイオンと該リチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている正極活物質を使用できる。例えば、リチウム含有金属酸化物が挙げられる。リチウム含有金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、及び、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiV)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn又はFeを示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)等が挙げられる。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、活物質と集電体22とを結合している。バインダーは、上述の結合が可能なものであればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFPTFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
更に、上記の他に、バインダーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン・ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電助剤粒子の機能も発揮するので導電助剤を添加しなくてもよい。
イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリエーテル化合物の架橋体高分子、ポリエピクロルヒドリン、ポリフォスファゼン、ポリシロキサン、ポリビニルピロリドン、ポリビニリデンカーボネート、ポリアクリロニトリル等)のモノマーと、LiClO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiCl、LiBr、Li(CFSON、LiN(CSO等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤または熱重合開始剤が挙げられる。
導電助剤も、正極活物質層24の導電性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、黒鉛、カーボンブラック等の炭素材料や、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
正極活物質層24中のバインダーの含有量は特に限定されないが、活物質、導電助剤及びバインダーの質量の和を基準にして、1質量%〜15質量%であることが好ましく、3質量%〜10質量%であることがより好ましい。活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、得られた電極活物質層24において、バインダーの量が少なすぎて強固な活物質層を形成できなくなる傾向を抑制できる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
正極活物質層24中の導電助剤の含有量も特に限定されないが、添加する場合には通常、活物質に対して0.5質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜12質量%とすることがより好ましい。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質層34は、負極活物質、バインダー、及び、必要に応じた量の導電助剤から主に構成されるものである。負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵及び放出、リチウムイオンの脱離及び挿入、又は、リチウムイオンと、そのリチウムイオンのカウンターアニオン(例えば、ClO )とのドープ及び脱ドープを可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン2次電池に用いられている負極活物質を使用することができる。例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体等の炭素材料、Al、Si、Sn等のリチウムと化合することができる金属、SiO、SnO等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)、等が挙げられる。
バインダー及び導電助剤には、上述した正極20に用いる材料と同様の材料を用いることができる。また、バインダー及び導電助剤の含有量も、上述した正極20における含有量と同様の含有量を採用すればよい。
電極20,30は、通常用いられる方法により作製できる。例えば、活物質、バインダー、溶媒、及び、導電助剤を含む塗料を集電体上に塗布し、集電体上に塗布された塗料中の溶媒を除去することにより製造することができる。
溶媒としては、例えば、NMP、N,N−ジメチルホルムアミド等を用いることができる。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
集電体22,32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する方法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体22,32を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして活物質層24,34が形成された電極を、その後、必要に応じて例えば、ロールプレス装置等によりプレス処理すればよい。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
以上の工程を経て、電極20,30を作製することができる。
次に、リチウムイオン2次電池100の他の構成要素を説明する。
セパレータ10は、上述の通り、耐熱性多孔質層12を中心に説明しているが、多層膜としても良い。例えばポリオレフィン樹脂による多孔質樹脂基体(いわゆる微多孔膜)の上に耐熱性多孔質層を形成してもよい。図3では多孔質樹脂基体14上に耐熱性多孔質層12を形成したものを示している。もちろん耐熱性多孔質層12のみであってもよい。この多孔質樹脂基体に用いられるポリオレフィン樹脂は、ポリエチレンや、ポリプロピレン等の公知のポリオレフィン樹脂を用いることができる。
その他、多孔質樹脂基体には、不織布、紙、等も利用可能である。
電解質は、正極活物質層24、負極活物質層34、及び、電池用セパレータ10の内部に含有させるものである。電解質としては、特に限定されず、例えば、本実施形態では、リチウム塩を含む電解質溶液(電解質水溶液、有機溶媒を使用する電解質溶液)を使用することができる。ただし、電解質水溶液は電気化学的に分解電圧が低いことにより、充電時の耐用電圧が低く制限されるので、有機溶媒を使用する電解質溶液(非水電解質溶液)であることが好ましい。電解質溶液としては、リチウム塩を非水溶媒(有機溶媒)に溶解したものが好適に使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)、LiBOB等の塩が使用できる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
また、有機溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、及び、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
ケース50は、その内部に発電要素40及び電解質溶液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からのリチウムイオン2次電池100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図3に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミやニッケル等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード60,62を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間に電池用セパレータ10を挟んだ状態で、電解液と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
≪実施例1≫
(1)正極の作製
正極活物質としてコバルト酸リチウム(LiCoO)粉末90質量部と、アセチレンブラック5質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)5質量部をNMP中に分散させ、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ20μmのアルミ箔上に塗工し、温度140℃で30分間乾燥した後にプレスして、正極を得た。
(2)負極の作製
負極活物質として天然黒鉛粉末90質量部と、PVDF10質量部をNMP中に分散させてスラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmの銅箔上に塗工し、温度140℃で30分間減圧乾燥した後にプレスして、負極を得た。
(3)非水電解液
エチレンカーボネート(EC)とジエチルカーボネート(DEC)の混合溶媒(50:50)に、LiPFを1.0mol/Lとなるように溶解させた非水電解液を用意した。
(4)セパレータ
ポリアミドイミド樹脂溶液(不揮発分濃度:25質量%、溶媒:NMP)40質量部に、ポリエチレングリコール20質量部とNMP35質量部、樹脂粒子としてポリエチレン微粉末(平均粒子径:6μm、融点:105℃)5質量部を加えて、室温で均一になるように混合し、スラリーを調整した。得られたスラリーをシリコーン剥離剤がコーティングされたポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗工し、厚み102μmの塗膜を形成した。この塗膜をPETフィルムとともにイオン交換水70質量部、ポリエチレングリコール20質量部及びエタノール10質量部からなる45℃の溶液中に3分間浸漬し、次いでイオン交換水で水洗した後に60℃の熱風で30分間乾燥させた。乾燥した塗膜をPETフィルムから慎重に剥離することで、厚みが28μmの耐熱性多孔質層を形成した。このとき樹脂粒子は耐熱性多孔質層内に包埋されて形成されていた。
(6)電池の作製
上記正極、負極、非水電解液、およびセパレータを用いて、実施例1のリチウムイオン2次電池(2032型コインセル)を作製した。
≪実施例2≫
樹脂粒子としてポリエチレン微粉末(平均粒子径:11μm、融点:105℃)を用いてセパレータを作製したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン2次電池(2032型コインセル)を作製した。
≪実施例3≫
ポリスルホン10質量部をNMP65質量部に溶解させ、ポリエチレングリコール20質量部と樹脂粒子としてポリエチレン微粉末(平均粒子径:6μm、融点:105℃)5質量部を加えて、室温で均一になるように混合し、スラリーを調整してセパレータを作製したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン2次電池(2032型コインセル)を作製した。
≪比較例1≫
樹脂粒子を用いずにセパレータを作製したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン2次電池(2032型コインセル)を作製した。
≪比較例2≫
樹脂粒子としてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)微粉末(平均粒子径:8μm、融点:320℃)を用いてセパレータを作製したこと以外は、実施例1と同様にしてリチウムイオン2次電池(2032型コインセル)を作製した。
≪評価≫
実施例1〜3及び比較例1,2のリチウムイオン二次電池(2032型コインセル)を、3〜4.2Vの電圧範囲で、0.2Cの定電流充放電を5サイクル実施し、電池が正常に作動することを確認した後、以下の高温安全性試験を行った。高温安全性試験は、0.2Cの定電流で4.2Vまで充電し、更に定電圧法で5時間充電を継続し、満充電状態にした後、電池を温度160℃に設定した熱風オーブン中に保持し、開回路電圧(OCV)変化を測定した。その結果を表1に示す。リチウムイオン二次電池は、高電圧(高エネルギー)を保った状態で長時間高温に曝されることで、電解液や電極活物質の分解及びそれに伴う副反応等で自己発熱し、電池の安全性が著しく損なわれる。そのため、本安全試験では3時間以内に電池電圧が2V以下になるものが、「高温安全性を有する」と定義した。
Figure 2013211160
表1に示す結果から、耐熱性多孔質層に融点もしくはガラス転移温度が160℃以下である樹脂粒子を含むセパレータを用いることによって、満充電した電池が160℃で3時間以内に2V以下になり、高温安全性を有するものであることがわかった。また、耐熱性多孔質層の膜厚の1/3以上の樹脂粒子を用いると、満充電した電池が160℃で1時間以内に2V以下になり、高温安全性を有するものであることがわかった。
本発明によって、高温状態での電池電圧を速やかに下げることができる高温安全性に優れた電池を提供することができる。したがって、本発明は産業界への寄与が大である。
10…セパレータ、12…耐熱性多孔質層、14…多孔質樹脂基体、20…正極、22…正極集電体、24…正極活物質層、30…負極、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…発電要素、50…ケース、52…金属箔、54…高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン2次電池

Claims (5)

  1. 融点もしくはガラス転移温度が160℃を超える耐熱性樹脂を含有して形成される耐熱性多孔質層を有し、前記耐熱性多孔質層内には融点もしくはガラス転移温度が160℃以下である樹脂粒子を含有することを特徴とする電池用セパレータ。
  2. 前記樹脂粒子の粒子径が前記耐熱性多孔質層の厚みの1/3よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の電池用セパレータ。
  3. 前記樹脂粒子が、前記耐熱性多孔質層の表面に露出せずに前記耐熱性多孔質層内に包埋されていることを特徴とする請求項1または2に記載の電池用セパレータ。
  4. 前記樹脂粒子が、前記耐熱性多孔質層の表面及び裏面のうちいずれか一方側に偏って配置されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の電池用セパレータ。
  5. 正極と、負極と、電解質と、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の電池用セパレータと、を備える電池。
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