JP2006331759A - 電子部品用セパレータ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、薄膜化が容易で、機械的強度、寸法安定性、耐熱性に優れ、且つ、シャットダウン機能を有した電子部品用セパレータを提供する。また、均一な多孔質構造を形成することが可能であり、生産性に優れた電子部品用セパレータの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の電子部品用セパレータは、ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料と、110℃から160℃の融点を有する有機フィラー粒子とにより形成された多孔質膜よりなる。本発明の電子部品用セパレータは、リチウムイオン電池、ポリマーリチウム電池、アルミニウム電解コンデンサまたは電気二重層キャパシタ等の電子部品に好適に用いられる。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子部品、特に、リチウムイオン電池、ポリマーリチウム電池、アルミニウム電解コンデンサまたは電気二重層キャパシタに好適に用いられる電子部品用セパレータおよびその製造方法に関する。
近年、産業機器、民生機器に関わらず電気・電子機器の需要増加及びハイブリッド自動車の開発により、電子部品であるリチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池の需要が著しく増加している。これらの電気・電子機器は高容量化、高機能化が日進月歩で進行しており、リチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池においても高容量化、高機能化が要求されている。
リチウムイオン二次電池及びポリマーリチウム二次電池は、活物質とリチウム含有酸化物とポリフッ化ビニリデン等のバインダーとを1−メチル−2−ピロリドン中で混合し、アルミニウム製集電体上にシート化した正極、リチウムイオンを吸蔵放出し得る炭素質材料とポリフッ化ビニリデン等のバインダーとを1−メチル−2−ピロリドン中で混合し、銅製集電体上にシート化した負極、およびポリフッ化ビニリデンやポリエチレン等より成る多孔質電解質膜を、正極、電解質膜、負極の順に捲回もしくは積層された電極体に駆動用電解液を含浸し、アルミニウムケースにより封止された構造のものである。また、アルミニウム電解コンデンサは、エッチングした後、化成処理を施して誘電体被膜を形成したアルミニウム製正極箔と、エッチングされたアルミニウム製負極箔とを、セパレータを介して捲回もしくは積層した電極体に駆動用電解液を含浸し、アルミニウムケースと封口体により封止し、短絡しないように正極リードと負極リードを封止体を貫通させて外部に引き出した構造のものである。また、電気二重層キャパシタは、活性炭と導電剤及びバインダーを混練したものをアルミニウム製正極、負極各集電極の両面に貼り付け、セパレータを介して捲回又は積層した電極体に駆動用電解液を含浸し、アルミニウムケースと封止体により梱包され、短絡しないように正極リードと負極リードを封止体を貫通させて外部に引き出した構造のものである。
従来、上記リチウムイオン電池またはポリマーリチウム電池のセパレータとしては、ポリオレフィン系の多孔質膜や不織布が使用されており、アルミニウム電解コンデンサおよび電気二重層キャパシタのセパレータとしては、セルロースパルプからなる紙やセルロース繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維等からなる不織布が使用されている。
ところで、上記のような電子部品は、高容量化、高機能化の試みが進んでいる。高容量化すると、異常充電時などに異常発熱が大きくなるため、高温に耐え得るための耐熱性、高い機械的強度、優れた耐熱寸法安定性を持ったセパレータが求められている。一方、電子部品の高機能化の対策の一つとして、急速充放電特性の向上、高出力特性の向上等が試みられており、セパレータについては、薄膜化および均一性の向上が強く要求されている。上記のような従来のセパレータでは、耐熱性が不十分であるばかりでなく、薄膜化した場合、貫通孔が存在しやすくなり、また機械的強度が低下し、その結果、電極間で内部短絡を生じたり、均一性が不十分でイオン移動または電子移動が局所的に集中する部分が発生して、信頼性を低下させるなどの問題がある。薄膜化する場合、機械的強度を確保する方法としては、空隙率を低下させればよいが、その場合、内部抵抗の上昇を伴い、高機能化の要求を満たすことができなくなる。
また、電池の安全性機構の一つとして、セパレータのシャットダウン機能がある。ここでいうシャットダウン機能とは、電子部品内の温度が何らかの異常によって上昇した際に、110〜160℃付近でセパレータを構成する樹脂が熱溶融し、セパレータの微細孔が閉鎖されて電流の流れを止める機能を意味する。このシャットダウン機能は、電子部品設計上必ずしも必要とするものではないが、併用する2重3重の安全機構の一つの手段として有用であり、その機能を有することを求められる場合が少なくない。その機能を発現するセパレータとしては、ポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフィン系の多孔質膜や不織布が挙げられる。
例えば、特許文献1には、ポリオレフィンを延伸して作製される比較的透気度の値が高い微多孔膜(延伸膜)に針やレーザーで貫通孔を設けたものをセパレータとして使用することが提案されている。しかしながら、このようなセパレータは、120℃以上の高温になると、微細孔が閉鎖されると同時に、大きな形状変化を伴った寸法変化、すなわち熱収縮を起こすという問題を抱えている。高温時での熱収縮はメルトダウンと呼ばれ、メルトダウンが生じると電極同士が直接接触するため、急激な異常発熱を生じ、さらには発火に至る恐れもある。また、その周囲に、例えば電解液に膨潤するポリマー多孔質層を設けた場合においては、そのポリマー多孔質層を構成する多孔質体が数μm以上の大口径の孔を含んでいると、上記貫通孔とポリマー多孔質層の大口径の孔がセパレータの垂直方向に連通した部分において短絡を起こすという問題がある。したがって、上記微多孔膜そのものがシャットダウン機能を有していても、常温における通常使用環境において、セパレータ本来の機能である電気絶縁性が低下するという問題がある。
また、特許文献2には、電池が異常発熱する環境下および過充電時での安全性を確保する目的で、複合膜中にポリエチレン粒子等のフィラーを混合してシャットダウン機能をもたせることが提案されている。そして具体的には、ポリエチレン微粒子が付着した不織布にフッ化ビニリデン樹脂含有塗布液を含浸塗布した後、溶媒水溶液中に浸漬して凝固させ、溶媒を除去することによって製造することが記載されている。しかしながら、特許文献2には、形成されるセパレータにおける細孔の孔径、微粒子の含有量および微粒子と孔径との関係などについては何等考慮が払われていなく、十分なシャットダウン効果の発現は期待できない。さらに上記の特許文献2に記載の製造方法では、フィラー粒子が添加されているため、多孔質構造体の孔径が小さくなると、連通孔が閉塞される確率が高くなり、したがって、透気度の値が上昇し、電池性能に支障をきたすという問題がある。また、溶剤が抽出される際に、しわ等の欠陥を生じる場合がある他、膜厚の均一性が阻害される等の問題がある。
以上のような危険性を伴なう問題を解決するためにも、シャットダウン機能の発現と、メルトダウンの抑制の両立が求められているが、これまでそれを満足するセパレータは存在しなかった。
国際公開WO01/67536号公報 特開2003−317693号公報
したがって、本発明の目的は、電子部品用セパレータにおける上記のような問題を解決し、薄膜化が容易で、機械的強度、寸法安定性、耐熱性に優れ、且つ、シャットダウン機能を有する電子部品用セパレータを提供することにある。また、均一な多孔質構造を形成することが可能であり、生産性に優れた電子部品用セパレータの製造方法を提供することにある。
上記の課題を達成するための本発明の電子部品用セパレータは、ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料と、110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の有機フィラー粒子とにより形成された多孔質膜よりなることを特徴とする。
本発明の電子部品用セパレータにおいて、ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂としては、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアクリロニトリルのいずれか1種、またはそれら2種類以上の混合物であることが好ましい。前記有機フィラー粒子としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、それらの変性物の粒子であることが好ましい。前記有機フィラー粒子の含有量は、多孔質膜の全固形分に対して30〜75重量%であることが好ましい。前記有機フィラー粒子の一次平均粒子径は、0.1μm以上であって、多孔質膜の膜厚の2/3以下であることが好ましい。また、本発明の電子部品用セパレータは、その膜厚が1〜50μmであることが好ましい。
本発明の電子部品用セパレータの製造方法は、上記の電子部品用セパレータを製造するためのものであって、その第1の態様は、下記成分(a)〜(d)を含む塗料を基材に塗布し、乾燥することにより多孔質膜を形成し、その後、基材を除去することを特徴とする。
(a)ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料
(b)110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の有機フィラー粒子
(c)前記樹脂材料を溶解する良溶媒の少なくとも1種
(d)前記樹脂材料を溶解しない貧溶媒の少なくとも1種
また、第2の態様は、下記成分(a)〜(c)を含む塗料を基材に塗布した後、良溶媒と混合可能で前記樹脂材料を溶解しない貧溶媒中に浸漬させ、乾燥することにより多孔質膜を形成し、その後、基材を除去することを特徴とする。
(a)ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料
(b)110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の有機フィラー粒子
(c)前記樹脂材料を溶解する良溶媒の少なくとも1種
本発明の電子部品用セパレータは、薄膜化が容易で、機械的強度、寸法安定性、耐熱性に優れ、且つ、シャットダウン機能を有し、種々の実用特性を良好に保ちつつ、加熱時にも熱収縮が極めて少なく、高信頼性を得ることが可能であって、作業性、生産性に優れたものである。また、本発明の電子部品用セパレータの製造方法は、均一な多孔質構造を形成することが可能であり、生産性に優れている。したがって、本発明の製造方法によって製造された電子部品用セパレータは、リチウムイオン電池、ポリマーリチウム電池、アルミニウム電解コンデンサまたは電気二重層キャパシタ等の電子部品に好適に用いられ、特に耐熱性が要求される大型の電子部品に好適に用いることができる。
本発明の電子部品用セパレータを構成する樹脂材料の主材は、ガラス転移点が180℃以上の耐熱性及び電気絶縁性を有する合成樹脂である。具体的には、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリエーテルエーテルケトンおよびポリフェニレンスルフィドの少なくとも1種からなるもの、またはこれらの2種以上の混合物が好ましい。これらの合成樹脂は、公知の技術を用いて製造することができる。本発明の電子部品用セパレータの耐熱性、寸法安定性、機械的強度は、これら合成樹脂に依存するために、その特性が極めて重要であり、特に耐熱性の点ではガラス転移点が重要な特性となる。合成樹脂のガラス転移点が180℃に満たないと、電子部品が180℃以上の高温に発熱した際に、寸法変化ならびに変形を起こす可能性が高く、電子部品性能の劣化に繋がるため好ましくない。電子部品の製造や電子部品の使用環境によっては、200℃以上の高温環境下にさらされることもあり、200℃以上のガラス転移点を有することがより好ましい。前記ガラス転移点の測定方法と解析方法は、JIS K 7121に記載の方法により行うことができる。
また、後述する本発明の製造方法においては、樹脂材料を溶媒中に溶解または分散して使用するが、その場合、多孔質膜の機械的強度、均一性をより良好するためには、溶媒に溶解する合成樹脂を用いるのが好ましく、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアクリロニトリルのいずれか1種、またはそれらの2種以上の混合物を用いるのが好ましい。中でも、機械的強度に優れたポリアミドイミドおよびポリフェニルスルホンが特に好適に用いられる。
本発明において、多孔質膜は、上記ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂のみを用いて形成されてもよいが、機械的強度、寸法安定性、耐熱性を損なわない範囲で、ガラス転移点が180℃未満の合成樹脂を含有させることも可能である。そのような合成樹脂を含有させることによって、電子部品に用いられる電解液の濡れ性の向上、保持性の向上、可とう性の向上等がはかられる。ガラス転移点が180℃未満の合成樹脂の含有量としては、全樹脂成分の20重量%以下の範囲にすることが好ましい。20重量%より多くの添加量になると、耐熱性が低下して、本発明の目的を達成することができなくなる。ガラス転移点が180℃未満の合成樹脂の具体例としては、電解液の濡れ性の向上および保液性の向上を目的とする場合、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド等が挙げられる。また、可とう性の向上を目的とする場合の具体例としては、アクリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエン共重合体等が挙げられる。
本発明において、多孔質膜には、電気絶縁性の有機フィラー粒子を含有させることが必要である。電子部品用セパレータは、実質上遮蔽構造を有さない連通孔を有する多孔質膜よりなるが、このような多孔質膜を得るためにフィラー粒子を含有させることが必要である。フィラー粒子の存在は、本発明の製造方法、すなわち、多孔質構造化の際に、孔が存在しない緻密層(スキン層)の形成を防ぐ効果がある。その理由は定かではないが、後述する本発明の乾式法および湿式法による製造方法において、樹脂溶液に均一分散しているフィラー粒子と樹脂界面の間に溶媒が偏在し、フィラー粒子の周囲で優先的に多孔化が進行するためと考えられる。フィラー粒子は、塗布した塗料の表面および内部に均一に分散しているため、相分離状態が塗布厚方向にて均一になりやすいためと推測される。緻密層の形成を防ぐことで、多孔質膜の一方の面から他方の面に連通した多孔質構造体とすることができ、電子部品内部でのイオン伝導、電子伝導を妨げることがなくなる。
本発明に用いる有機フィラー粒子は、110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の粒子である。フィラー粒子の融点が110℃よりも低い場合は、電子部品を通常使用する温度領域で熱溶融により多孔質構造の細孔を塞いでしまい、イオン伝導性が悪くなる。一方融点が160℃より高い場合は、シャットダウン以前の発熱によって電池内部の化学反応が生じ、急激な温度上昇による暴走状態に陥ることがあり、シャットダウン機能が働かず、安全性に寄与しない。また、有機フィラー粒子は、電解液に溶解またはゲル化しないものである必要がある。電解液に溶解またはゲル化しやすい材質であると、更に目詰まりしやすくなるために、電子部品性能を低下させてしまう。さらに、有機フィラー粒子は電気絶縁性であることが必要である。導電性の有機フィラー粒子は、内部短絡を起こすので使用することができない。有機フィラー粒子の形状には特に制限はなく、無定型フィラー、板状フィラー、針状フィラー、球形フィラーが用いられるが、多孔質膜に均一に分散させるためには、球形フィラーが最も適している。有機フィラーの材質の具体的な例としては、例えば、ポリウレタン、ポリスチレン、アルキルアクリレート共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール、天然ワックス、または、これらの変性物が挙げられる。中でも耐薬品性、耐熱性及び分散性に優れたポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの変性物の粒子が好適に用いられる。さらに、融点の異なる2種類以上の粒子を混合して用いることも可能である。なお、前記融点の測定は、JIS K 7121に記載の方法により行うことができる。
前記したように、本発明で用いられる有機フィラー粒子は、緻密層の形成を防ぐ効果があり、更に、電池の安全性に寄与するシャットダウン機能があるが、その含有量は、多孔質膜の全固形分に対して30〜75重量%であることが好ましく、更に好ましくは、40〜70重量%である。有機フィラー粒子が少なすぎると緻密層の形成を妨げる効果が減少するため好ましくなく、多すぎると多孔質膜の機械的強度を低下ならびに耐熱性を損なうために好ましくない。また、有機フィラー粒子が少なすぎると溶融した樹脂が細孔をふさぐのに十分な量が足りないためにシャットダウン機能が発現されにくくなる。
本発明に用いられる有機フィラー粒子は、その一次平均粒子径が0.1μm以上で最終的に得られる多孔質膜の膜厚の2/3以下であることが好ましい。より好ましくは、1〜10μmの範囲である。平均孔径が0.1μmより小さいと、高温状態で粒子が溶融した場合に細孔を塞ぐことが難しくなり好ましくない。また、多孔質膜の膜厚の2/3より大きいと、多孔質膜の表面上に突起状に突出する粒子が存在しやすくなり、膜厚に斑が生じる可能性があり好ましくない。なお、上記の一次平均粒子径は、レーザー回折散乱法(マイクロトラック法)による粒度分布測定から求めた体積平均粒子径である。
本発明の電子部品セパレータにおいて、多孔質膜は多数の連続する細孔を有するものであって、その細孔のバブルポイント法による平均孔径が0.1〜5μmであることが好ましく、より好ましくは、0.5〜3μmの範囲である。平均孔径が0.1μm未満の場合は、イオン伝導性を阻害する場合があり好ましくないほか、電解液の含浸性が低下する傾向があり好ましくない。また、5μmより大きい孔径となる場合、特にセパレータを薄膜した場合において内部短絡などの不具合を生じるため好ましくない。
多孔質膜の細孔の連通性を評価するものとして、JIS P 8117に記載のガーレー式透気度測定装置において測定した透気度がある。透気度の数値が低いほど、空気の透過性がよいことを示しており、電子部品用セパレータにおいては、透気度の数値が低いことが好ましい。本発明の電子部品用セパレータについては、透気度が100秒/100ml以下であることが好ましく、電子部品に用いた場合、内部抵抗を低下させることができる優れたセパレータとなる。透気度は、有機フィラー粒子の粒径、含有量を調整することによって容易に制御することができ、本発明においては、透気度を30秒/100ml以下とすることも容易であり、更に好ましいセパレータとなる。
本発明の電子部品用セパレータは、膜厚が1〜50μmの範囲にあるのが好ましい。本発明の電子部品用セパレータは、50μm以下の薄膜であっても実用上問題のない優れた機械的強度を有しており、それより大きい膜厚はむしろ必要性がない。一方、膜厚が1μm未満の場合、機械的強度が低下し、また、取り扱い性も悪化するため、生産性が悪くなるので好ましくない。本発明のセパレータのより好ましい膜厚は3〜30μmであり、更に好ましくは5〜15μmである。本発明のセパレータにおいては、膜厚15μm以下でも十分高い機械的強度を有しており、薄膜化により、内部抵抗が低下するので、実用上問題ない優れた電子部品を得ることができるようになる。
本発明の電子部品用セパレータは、空隙率が30〜90%の範囲とすることが好ましい。空隙率が低すぎると内部抵抗が大きくなり電子部品の性能の悪化に繋がる。また、空隙率が高すぎると機械的強度が低下し、本発明の目的を達成することが難しくなる。より好ましい空隙率の範囲は、50〜80%であり、この範囲であれば、本発明のセパレータは機械的強度が十分に保たれ、内部抵抗も低く、イオン伝導性、電子伝導性に優れたセパレータとなる。
上記のような耐熱性が高く、透気性に優れ、機械的強度が高く、薄膜化が可能な本発明の電子部品用セパレータは、電子部品に用いた場合、低内部抵抗、高容量化、高温対応、高信頼性、長寿命などに寄与するため、リチウムイオン電池、ポリマーリチウム電池、アルミニウム電解コンデンサまたは電気二重層キャパシタに好適に用いることができる。また、膜の耐熱性がありながらシャットダウン機能を有する本発明のセパレータは、電子部品の信頼性をより高めるものとして、好適に用いることができる。
本発明のセパレータは、製造方法に特徴があり生産性にも優れている。それは多孔質構造化の方法にある。上記のように、公知の多孔質化方法では緻密層を有する膜になりやすいが、本発明の製造方法によれば、緻密層になることなく多孔質膜を得ることができる。
本発明の電子部品用セパレータの製造方法の一つは乾式法である。すなわち、(a)ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料、(b)110℃から160℃の融点を有する有機フィラー粒子、(c)前記樹脂材料を溶解する良溶媒の少なくとも1種及び(d)前記樹脂材料を溶解しない貧溶媒の少なくとも1種、を含む塗料を基材に塗布し、乾燥することで多孔質膜を形成し、その後、基材を除去することによって電子部品用セパレータを作製することができる。ここで塗料に用いられる良溶媒には特に制限はないが、樹脂材料を溶解できる溶剤であれば好適に使用することができる。主な例としては、1−メチル−2ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、2−ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤等が挙げられる。上記樹脂材料を溶解しない貧溶媒には特に制限はなく、樹脂材料の溶解性を確認して用いればよい。貧溶媒の種類、性状、物理特性、添加量は多孔質膜の孔径、空隙率等に大きく影響を与えるため、以下のような条件で適宜選択されることが好ましい。貧溶媒は良溶媒より沸点が高い方が多孔質膜の空隙率が大きくなりやすく、更に、添加量が多いほど空隙率が高くなりやすいが、多すぎると塗料の粘度等が高くなりすぎるため、取り扱い性が悪く生産性が悪化する。好ましい貧溶媒の特性と添加量は、沸点が良溶媒より10〜20℃高く、添加量が全溶媒に対して10〜30重量%の範囲である。上記の良溶媒を用いた場合に選択できる貧溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、オクタノール、デカノール等のアルコール類、ノナン、デカン等の脂肪族炭化水素類、フタル酸ジブチル等のエステル類が挙げられる。
前記成分(a)〜(d)の塗料への添加方法には特に制限はないが、例えば、樹脂材料を良溶媒に溶解した後、フィラー粒子を混合、分散し、貧溶媒を添加することによっても容易に塗料を調製することが可能である。得られた塗料は基材上にキャスティング等により塗布される。基材としては平滑なものならば如何なるものでも使用することができ、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、アルミニウム等の金属箔、各種ガラス等が挙げられる。これらの基材は、離型処理、易接着処理等の表面処理を施したものでもよく、塗布方法により適宜選択すればよい。基材上に塗布されたキャストフィルムは、室温から110℃程度の範囲で乾燥し、溶媒を蒸発させ、それにより基材上に多孔質膜が形成される。乾燥方法は減圧下でも常圧下でもよく、風乾でもよい。形成された多孔質膜を基材から剥離することによって、本発明の電子部品用セパレータが得られる。上記の製造方法は、簡便で生産性が良いため、本発明の電子部品用セパレータを安価に製造することが可能である。
本発明の電子部品用セパレータの製造方法の他の一つは湿式法である。すなわち、(a)ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料、(b)110℃から160℃の融点を有する有機フィラー粒子及び(c)前記樹脂材料を溶解する良溶媒の少なくとも1種、を含む塗料を基材に塗布した後、前記良溶媒と混合可能で樹脂材料を溶解しない貧溶媒中に浸漬させ、乾燥することによって多孔質膜を形成し、その後、基材を除去することによって電子部品用セパレータを得ることができる。ここで塗料に用いられる良溶媒には特に制限はないが、樹脂材料を溶解できる溶剤であれば好適に使用することができる。主な例としては、1−メチル−2ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶剤、2−ブタノン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤等が挙げられる。上記良溶媒と混合可能で樹脂材料を溶解しない貧溶媒には特に制限はなく、樹脂材料の溶解性、および良溶媒との混和性を確認して用いればよい。上記の良溶媒を用いた場合に選択できる貧溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリン等のグリコール類、メタノール、エタノール等のアルコール類、水、およびこれらの混合物が挙げられる。
前記成分(a)〜(c)の塗料への添加方法に特に制限はないが、樹脂材料を良溶媒に溶解後、フィラー粒子を混合、分散することによっても容易に塗料を調製することが可能である。また、得られた塗料は基材上にキャスティング等により塗布される。基材としては平滑なものならば如何なるものでも使用することができ、例えば、ポリオレフィンフィルム、ポリエステルフィルム等の樹脂フィルム、アルミ等の金属箔、各種ガラス等が挙げられる。これらの基材は、離型処理、易接着処理等の表面処理を施したものでもよく、塗布方法により適宜選択すればよい。基材上に塗布されたキャストフィルムは貧溶媒中に浸漬させることにより、耐熱性高分子溶液相と貧溶媒の接触によって相分離が進行し、基材上に多孔質構造を有する層が形成される。その後、基材ごと貧溶媒中より引き出し、室温から110℃程度の範囲で乾燥し、貧溶媒を蒸発させる。乾燥方法は減圧下でも常圧下でもよく、風乾でもよい。形成された多孔質膜を基材から剥離することによって、本発明の電子部品用セパレータが得られる。上記の製造方法は、簡便で生産性が良いため、本発明の電子部品用セパレータを安価に製造することが可能である。
次に、本発明を実施例によって説明する。
ガラス転移点が300℃であるポリアミドイミドを良溶媒のN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、貧溶媒としてエチレングリコール、および、フィラー粒子として一次平均粒子径が3μmで融点が126℃の変性ポリエチレン粒子を添加混合し、塗料を得た。最終的な塗料の固形分濃度は30重量%であり、固形分中のフィラー粒子は30重量%であった。次にポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム基材上に、上記塗料をキャスティング法により塗布し、80℃の送風乾燥機中で乾燥させ、溶剤を完全に蒸発させた。その後、樹脂フィルム基材を剥離し、本発明の電子部品用セパレータを得た。なお、得られた多孔質膜の厚みは30μmであった。
塗布量を調節した以外は、実施例1と同様にして本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは20μmであった。
塗布量を調節した以外は、実施例1と同様にして本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは16μmであった。
塗料の固形分濃度を30重量%、固形分中の変性ポリエチレン粒子の量を50重量%とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは16μmであった。
塗料の固形分濃度を40重量%、固形分中の変性ポリエチレン粒子の量を80重量%とした以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは20μmであった。
フィラー粒子として、一次平均粒径が5μmで融点が150℃の変性ポリプロピレン粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは20μmであった。
フィラー粒子として、一次平均粒子径が3μmで融点が150℃の変性ポリプロピレン粒子を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは12μmであった。
ポリアミドイミドの代わりにガラス転移点が185℃であるポリスルホンを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは20μmであった。
ポリアミドイミドの代わりにガラス転移点が220℃であるポリフェニルスルホンを用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは20μmであった。
ガラス転移点が300℃であるポリアミドイミドを、良溶媒のN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、フィラー粒子として一次平均粒子径が3μmで融点が126℃の変性ポリエチレン粒子を添加混合し塗料を調製した。最終的な塗料の固形分濃度は20重量%であり、固形分中のフィラー粒子は50重量%であった。次にポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム基材上に、上記塗料をキャスティング法により塗布した後、蒸留水に浸漬し、十分に溶媒を拡散させた。水中より引き上げた後、50℃の送風乾燥機中で乾燥させ溶剤を完全に蒸発させた。その後、樹脂フィルム基材を剥離し、本発明の電子部品用セパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは25μmであった。
[比較例1]
リチウムイオン二次電池において、現在広く使われているポリエチレン製延伸多孔質フィルムを比較用のセパレータとした。このポリエチレン製セパレータの膜厚は20μmであった。
[比較例2]
電気二重層キャパシタにおいて、現在広く用いられているセルロースパルプからなる紙製セパレータを比較用のセパレータとした。この紙製セパレータの膜厚は30μmであった。
[比較例3]
ガラス転移点が300℃であるポリアミドイミドを、良溶媒のN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、貧溶媒としてエチレングリコールを添加混合し、フィラー粒子を含まない塗料を調製した。最終的な固形分濃度は10重量%であった。次にポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム基材上に、上記塗料をキャスティング法により塗布し、80℃の送風乾燥機中で乾燥させ溶剤を完全に蒸発させた。その後、樹脂フィルム基材を剥離し、多孔質膜よりなる比較用のセパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは25μmであった。
[比較例4]
ガラス転移点が300℃であるポリアミドイミドを、良溶媒のN,N−ジメチルアセトアミドに溶解し、フィラー粒子を含まない塗料を調製した。最終的な固形分濃度は10重量%であった。次にポリエチレンテレフタレートからなる樹脂フィルム基材上に、上記塗料をキャスティング法により塗布した後、蒸留水に浸漬し十分に溶媒を拡散させた。水中より引き上げた後、50℃の送風乾燥機中で乾燥させ溶剤を完全に蒸発させた。その後、樹脂フィルム基材を剥離し、多孔質膜よりなる比較用のセパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは25μmであった。
[比較例5]
フィラー粒子を一次平均粒径が3μmで融点が300℃のポリテトラフルオロエチレン粒子に代えた以外は、実施例1と同様にして多孔質膜を形成し、比較用のセパレータを得た。得られた多孔質膜の厚みは15μmであった。
上記実施例1〜10及び比較例1〜5で得られたセパレータについて下記評価を行い、電子部品用セパレータとしての特性を評価した。なお、多孔質膜製造に用いた樹脂材料の種類およびガラス転移点、フィラー粒子の種類、一次平均粒子径、融点および全固形分中の含有量、多孔質膜の膜厚および膜厚に対するフィラー粒子の粒子径の比を表1にまとめて示す。表1において、変性PEは変性ポリエチレンを、変性PPは変性ポリプロピレンを、PTFEはポリテトラフルオロエチレンを意味する。
Figure 2006331759
<透気度>
上記実施例1〜10及び比較例1〜5で得られたセパレータについて、JIS P−8117に準拠した安田精機社製ガーレー式デンソメーターB型により、透気度を測定した。その結果を表2に示す
Figure 2006331759
以上の結果から、本発明の電子部品用セパレータは、いずれも低い透気度を有しており、多孔質膜の厚み方向で均一な細孔と且つ連通孔を有していることが確認された。これに対して、比較例3および4のセパレータは透気度が高く、多孔質内部に緻密層を有していることが確認された。
<耐熱寸法安定性>
10×10cmのサイズで、厚さが5mmの2枚のガラス板間に、実施例及び比較例のセパレータを5×5cmの正方形に切り出した試験片を挟んだ後に、水平にしてアルミニウム製のバットに静置し、140℃、170℃のオーブン中にそれぞれ24時間放置して熱による面積変化を調べた。面積変化を、面積変化率(%)=(試験後の面積/試験前の面積:25cm)×100として評価し、耐熱寸法安定性の指標とした。その結果を表3に示す。
Figure 2006331759
以上の結果から、耐熱性の樹脂材料を用いた本発明の電子部品用セパレータは、耐熱寸法安定性が何れも良好であることが確認された。一方、耐熱性の樹脂材料を用いていない比較例1のセパレータは、耐熱寸法安定性に劣るものであり、170℃では完全に溶解して、形状を全く維持していなかった。
<イオン伝導度>
イオン伝導度は、エチレンカーボネートとジメチルカーボネートが重量比で1:1の割合で混合した溶媒に、1mol/lとなるようにLiPFを溶解した電解液中に実施例1〜10および比較例1〜5のセパレータを真空含浸した後、これを溶媒中から引き上げ、表面に付着した溶媒を慎重に拭き取り、この電解液を含有した電子部品用セパレータについて、交流インピーダンス法を用いて測定した。イオン伝導度の測定は、20℃の環境下で行った。この際の電極にはステンレス電極を用いた。その結果を表4に示す。
<シャットダウン機能>
シャットダウン機能の有効性を評価するために、上記耐熱寸法安定性の評価にて実施した加熱処理後の試験片について、上記と同様に測定を行ない、イオン伝導度の減少状態からシャットダウン機能の有効性を評価した。表4に140℃および170℃に加熱処理後の試験片のイオン伝導度を示す。
Figure 2006331759
上記の結果から、本発明の電子部品用セパレータは、何れもイオン伝導度が優れたものであることが確認された。一方、比較例3および4のセパレータは、イオン伝導性が極端に悪く、電子部品用セパレータとしては使用できないものであった。
また、本発明の電子部品用セパレータは、いずれもシャットダウン機能を有していることが分かった。これに対して、比較例2ないし比較例5のセパレータは、シャットダウン機能を有していなかった。
加熱処理後の試験片におけるシャットダウン機能の有効性について検討すると、実施例1〜5および実施例8〜9のセパレータでは140℃でイオン伝導度の急激な減少が見られ、比較例1のセパレータに匹敵するシャットダウン機能を有していることが分かる。また、これら実施例の170℃に加熱後の試験片は、高い抵抗を維持しており(イオン伝導度が減少した状態を維持しており)、高い耐熱性とシャットダウン性の両立ができていることが分かる。さらに、実施例6および7のセパレータでは、変性PPの融点が高いためにシャットダウン機能を発現する温度が高くなるものの、その機能は有効に働いていることが分かる。それに対して、比較例1のセパレータでは、140℃でのシャットダウン機能は認められるものの、170℃では収縮が著しく生じ、メルトダウンにより電極間が接触してショートが生じているものと推測される。また、比較例2ないし比較例5のセパレータは、シャットダウン機能を有していない。
以上の4種類の評価結果を纏めると、本発明の電子部品用セパレータは、多孔質膜の膜厚方向に均一な連通孔を有し、耐熱性、イオン伝導性、シャットダウン機能の全てを満足するものであることが分かる。したがって、本発明の電子部品用セパレータは、最近の電子部品の高容量化、高機能化の要求に十分対応できるものである。一方、比較例のセパレータは、これら要求を満たすには不十分であることが分かる。

Claims (8)

  1. ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料と、110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の有機フィラー粒子とにより形成された多孔質膜よりなることを特徴とする電子部品用セパレータ。
  2. 前記ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂が、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホンおよびポリアクリロニトリルのいずれか1種、またはそれらの2種以上の混合物であることを特徴とする請求項1に記載の電子部品用セパレータ。
  3. 前記有機フィラー粒子が、ポリエチレン、ポリプロピレン、または、これらの変性物の粒子であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子部品用セパレータ。
  4. 前記有機フィラー粒子の含有量が、多孔質膜の全固形分に対して30〜75重量%であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の電子部品用セパレータ。
  5. 前記有機フィラー粒子の一次平均粒子径が、0.1μm以上であって、多孔質膜の膜厚の2/3以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の電子部品用セパレータ。
  6. 膜厚が1〜50μmであることを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の電子部品用セパレータ。
  7. 下記成分(a)〜(d)を含む塗料を基材に塗布し、乾燥することにより多孔質膜を形成し、その後、基材を除去することを特徴とする電子部品用セパレータの製造方法。
    (a)ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料
    (b)110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の有機フィラー粒子
    (c)前記樹脂材料を溶解する良溶媒の少なくとも1種
    (d)前記樹脂材料を溶解しない貧溶媒の少なくとも1種
  8. 下記成分(a)〜(c)を含む塗料を基材に塗布した後、良溶媒と混合可能で下記樹脂材料を溶解しない貧溶媒中に浸漬させ、乾燥することにより多孔質膜を形成し、その後、基材を除去することを特徴とする電子部品用セパレータの製造方法。
    (a)ガラス転移点が180℃以上の合成樹脂を主材とする樹脂材料
    (b)110〜160℃の融点を有する電気絶縁性の有機フィラー粒子
    (c)前記樹脂材料を溶解する良溶媒の少なくとも1種
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