JP2010218749A - 非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 - Google Patents

非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、シャットダウン機能および耐熱性に優れ、さらに充放電時の体積変化率が大きい電極を用いた場合にも、電極の体積変化に好適に追従できるセパレータを提供することを目的とする。
【解決手段】ポリオレフィン多孔質基材と、この多孔質基材の片面または両面に被覆された耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、接触底面が直径0.5cmの円状の接触端子を有した接触式膜厚計を用いて、印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL1とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL2とした場合に、L1−L2=2.0〜10μmとなることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
【選択図】なし

Description

本発明は非水系二次電池用セパレータに関するものであり、特に非水系二次電池の安全性および電池特性を向上させる技術に関するものである。
リチウムイオン二次電池に代表される非水系二次電池は、高エネルギー密度であり、携帯電話・ノートパソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及している。このリチウムイオン二次電池は、更なる高エネルギー密度化が求められているが、安全性の確保が技術的な課題となっている。
リチウムイオン二次電池の安全性確保においてセパレータの役割は重要であり、シャットダウン機能を有するという観点から、現状ではポリオレフィン、特にポリエチレン微多孔膜が用いられている。ここで、シャットダウン機能とは、電池の温度が上昇したときに、微多孔膜の孔が閉塞し電流を遮断する機能のことを言い、電池の熱暴走を食い止める働きがある。
一方、リチウムイオン二次電池は、年々高エネルギー密度化がなされており、安全性確保のためシャットダウン機能に加えて耐熱性も要求されてきている。しかしながら、シャットダウン機能は、ポリエチレンの溶融による孔の閉塞をその作動原理としているので耐熱性と相反するものである。このため、シャットダウン機能が作動した後、さらに電池がシャットダウン機能が作動する温度以上に曝され続けた場合に、セパレータの溶融(いわゆるメルトダウン)が進行してしまう場合がある。このメルトダウンの結果、電池内部で短絡が生じ、これに伴って大きな熱が発生してしまい、電池は発煙・発火・爆発といった危険に曝されることになる。このため、セパレータにはシャットダウン機能に加えて、シャットダウン機能が作動する温度近傍でメルトダウンが生じない程度の、十分な耐熱性が要求されている。
この点において、従来、耐熱性とシャットダウン機能を両立させるために、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面を耐熱性多孔質層で被覆したり、耐熱性繊維からなる不織布を積層させるという技術が提案されている。例えば、ポリエチレン微多孔膜の片面又は両面に、ポリアミドやポリイミド等の耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層を積層した非水電解質電池セパレータが知られている(特許文献1〜5参照)。
ところで、リチウムイオン電池の高容量化という点では、近年、様々な高容量タイプの正極材料や負極材料の開発が行われている。しかし、このような高容量タイプの正・負極材料には、充放電時における体積変化が大きなものが多く存在するため、電極の大きな体積変化によって電池特性が低下してしまうといった問題が生じてくる。
すなわち、セパレータは、電池内においては正極と負極の間に配置されているため、電池の充放電が行われた場合、電極の膨張・収縮によってセパレータの厚み方向に圧縮力や回復力が作用する。従来のコバルト酸リチウムやハードカーボンなどの低容量タイプの正負極材料の場合は、電極の体積変化が小さいため、セパレータの厚み方向への変形も小さく、電池特性への影響も特にはない。ところが、高容量タイプの正・負極活物質など、充放電時における体積変化率が大きい電極材料を用いた場合、電極からセパレータに与えられる作用力も大きくなる。そして、電極の体積変化にセパレータが追随できない場合は、局所的にセパレータに折れやシワが生じたり、電極とセパレータとの間に隙間が生じたりする場合がある。特に、電極とセパレータとを巻き回した円筒型や扁平円筒型の電池においては、セパレータと電極との間にせん断力が生じやすいため、セパレータの折れ等の問題はより深刻なものとなる。さらに、特許文献1〜3に記載されたような従来の耐熱セパレータの場合、すべり性の悪い耐熱樹脂によって耐熱性多孔質層が形成されているため、セパレータの折れ等の問題はより発生しやすいと言える。このようなセパレータの折れ等は、最終的には電池のサイクル特性の低下につながってしまう。
この点、従来の特許文献4,5に記載された技術では、耐熱性多孔質層に無機フィラーを含む構成であるため、耐熱性樹脂のすべり性低下については若干の改善が期待される。しかしながら、電極の体積変化の問題については未解決のままである。
特開2002−355938号公報 特開2005−209570号公報 特開2005−285385号公報 特開2000−030686号公報 特開2008−300362号公報
上記のような課題に鑑みて、本発明は、シャットダウン機能および耐熱性に優れ、さらに充放電時の体積変化率が大きい電極を用いた場合にも、電極の体積変化に好適に追従できるセパレータを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は以下の構成を採用する。
1. ポリオレフィン多孔質基材と、この多孔質基材の片面または両面に被覆された耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、接触底面が直径0.5cmの円状の接触端子を有した接触式膜厚計を用いて、印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL1とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL2とした場合に、L1−L2=2.0〜10μmとなることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
2. 前記セパレータの静摩擦係数が0.3〜1.0であることを特徴とする上記1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記耐熱性多孔質層は、空孔率が50〜80%であり、かつ、BET法で測定した平均孔径が50〜300nmであることを特徴とする上記1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 前記耐熱性樹脂は、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドから成る群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする上記1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
5. 前記多孔質基材について、前記接触式膜厚計を用いて印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL3とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL4とした場合に、L3−L4=0.1〜2.0μmとなることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
6. 前記多孔質基材は、空孔率が30〜70%であり、かつ、BET法で測定した平均孔径が10〜400nmであることを特徴とする上記5に記載の非水系二次電池用セパレータ。
7. 前記耐熱性多孔質層が無機フィラーを含むことを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
8. 前記無機フィラーが金属水酸化物および金属酸化物のうち少なくとも1種からなることを特徴とする上記7に記載の非水系二次電池用セパレータ。
9. 前記無機フィラーの平均粒径は0.1〜1μmであることを特徴とする上記7または8に記載の非水系二次電池用セパレータ。
10. 前記無機フィラーの含有量が前記耐熱性樹脂の体積に対し0.4〜4倍であることを特徴とする上記7〜9のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
11. リチウムのドープおよび脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であって、正極集電体および正極活物質層を有する正極と、負極集電体および負極活物質層を有する負極と、これらの電極間に配置された上記1〜10のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータと、非水電解質とを備えて構成されたことを特徴とする非水系二次電池。
12. 前記正極活物質は、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が1%以上であることを特徴とする上記11記載の非水系二次電池。
13. 前記負極活物質は、リチウムをドープする過程における体積変化率が3%以上であることを特徴とする上記12に記載の非水系二次電池。
本発明によれば、シャットダウン機能、耐熱性および電極の体積変化への追従性に優れたセパレータを提供することができる。かかるセパレータは、非水系二次電池の安全性および電池特性を向上する技術として非常に有用である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[非水系二次電池用セパレータ]
本発明の非水系二次電池用セパレータは、ポリオレフィン多孔質基材と、この多孔質基材の片面または両面に被覆された耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、接触底面が直径0.5cmの円状の接触端子を有した接触式膜厚計を用いて、印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL1とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL2とした場合に、L1−L2=2.0〜10μmとなることを特徴とする非水系二次電池用セパレータである。
このような本発明の非水系二次電池用セパレータによれば、ポリオレフィン多孔質基材によりシャットダウン機能が得られると共に、耐熱性多孔質層によりシャットダウン温度以上の温度においても溶融しない耐熱性を得ることができる。そして、本発明のセパレータは、セパレータへの接触圧を比較的弱くして測定した場合の膜厚L1と、接触圧を比較的強くした場合の膜厚L2との関係がL1−L2=2.0〜10μmとなるようにして、柔軟性が大きなものとなっているため、電極の体積変化にも好適に追従できる。よって、充放電時の体積変化率が大きい電極を用いた場合にも、局所的にセパレータに折れやシワが生じたり、電極とセパレータとの間に隙間が生じたりするような問題を防ぐことができる。このため、本発明のセパレータによれば、安全性およびサイクル特性に優れた電池を提供することができ、特に高容量タイプの電極材料を用いた電池に好適に使用することができる。
本発明の非水系二次電池用セパレータは、印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL1とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL2とした場合に、膜厚差L1−L2=2.0〜10μmの範囲とすることが必要である。より好ましい膜厚差(L1−L2)は、2.0〜5.0μmの範囲である。ここで、本発明で言うところの膜厚差(L1−L2)は、セパレータの“柔軟性”の指標を表すものである。なお、膜厚差(L1−L2)が2.0μm未満の場合、電極の体積変化にセパレータが追従できにくくなり、上述したセパレータの折れ等の問題が生じる恐れがあるため好ましくない。一方、膜厚差(L1−L2)が10μmを超える場合、セパレータ全体の厚みが大きくなり過ぎたり、強度が低下して実用的でなくなるため好ましくない。かかる膜厚差(L1−L2)の関係を得るためには、耐熱性多孔質層の材質や空孔率、孔径、膜厚、無機フィラーの粒径や含有量といった因子を制御することが重要であり、また、ポリオレフィン多孔質基材における上述した材質等の因子を制御することも重要である。
本発明では、セパレータの静摩擦係数は0.3〜1.0であるのが好ましく、0.3〜0.7であればより好ましい。このようなセパレータであれば、充放電時に電極が大きく変形しても、セパレータが電極に対して滑るようになため、円筒型や扁平円筒型の電池に適用した場合であっても、セパレータの折れ等の問題をより好適に防止することができる。また、セパレータが滑りやすいことから、電極とセパレータを重ね合わせて電池に組み込む工程においても巻取りをスムーズに行うことができる等、といった製造上の利点もある。なお、セパレータの静摩擦係数が0.3未満の場合は、滑りが良すぎて端面ずれなどが生じ易く、製造性の問題が発生する場合があるため好ましくない。一方、静摩擦係数が1.0を超える場合、充放電時における電極の体積変化の問題が顕著に現れるようになるため好ましくない。かかる静摩擦係数の調整法は、特に限定されるものではないが、例えば耐熱性多孔質層に無機フィラーやシリコーン樹脂等の滑剤を適宜添加することで調整可能である。
なお、本発明のセパレータの膜厚は、電池のエネルギー密度や出力特性を良好にする観点で、25μm以下が好ましい。非水系二次電池用セパレータの物性としては、ガーレ値(JIS・P8117)は10〜1000sec/100ccであり、膜抵抗は0.5〜10ohm・cmであり、突き刺し強度は10〜1000gであることが好ましい。
本発明におけるポリオレフィン多孔質基材は、内部に空孔ないし空隙を有する基材であって、例えば微多孔膜、不織布、紙状シート、その他三次元ネットーワーク構造を有するシート等が挙げられる。このうち特に、セパレータの厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整し易い点、ハンドリング性および強度の観点から、微多孔膜であることが好ましい。微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。
多孔質基材を構成するポリオレフィン樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等が挙げられる。中でも良好なシャットダウン機能が得られる点でポリエチレンが好ましく、特に、高密度ポリエチレンや、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンの混合物が好適である。ポリエチレンの分子量は、重量平均分子量が10万〜1000万であることが好適である。また、例えば、ポリエチレン以外に、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等の他のポリオレフィンを混合して用いても良い。
本発明におけるポリオレフィン多孔質基材は、前記接触式膜厚計を用いて印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL3とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL4とした場合に、L3−L4=0.1〜2.0μmとなることが好ましい。より好ましい印加荷重の厚み差(L3−L4)は、0.5〜1.8μmである。このような多孔質基材は、セパレータ全体において比較的変形し難い部分になっているため、セパレータ全体の形状を良好に維持できると共に適切な強度を付与することができ、ハンドリング性が良好なものとなる。なお、印加荷重の厚み差(L3−L4)が0.1μm未満の場合、セパレータ全体の厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整し難くなるため好ましくない。一方、印加荷重の厚み差(L3‐L4)が2μmを超える場合、ハンドリング性が低下するため好ましくない。
本発明におけるポリオレフィン多孔質基材は、空孔率が30〜70%であり、かつ、BET法で測定した平均孔径が10〜400nmであることが好ましい。かかる範囲であれば、セパレータ全体の厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整するのに好適である。なお、多孔質基材の空孔率が30%未満あるいは平均孔径が10nm未満の場合は、膜抵抗が高くなり過ぎ、かつ多孔質基材も変形し難くなり過ぎるため好ましくない。一方、多孔質基材の空孔率が70%を超える場合あるいは平均孔径が400nmを超える場合は、セパレータの熱収縮率が高くなり過ぎるため好ましくない。
なお、本発明におけるポリオレフィン多孔質基材の膜厚は、5〜20μmであることが好ましい。多孔質基材のガーレ値(JIS・P8117)は、10〜500sec/100ccが好ましい。
本発明における耐熱性多孔質層は、耐熱性樹脂を含んで構成されており、内部に多数の微細孔を有し、かつ、これら微細孔が互いに連結された多孔質構造となっている。かかる耐熱性多孔質層は、塗工法によりポリオレフィン多孔質基材の片面又は両面に直接固着された状態で被覆されていることが好ましい。
耐熱性樹脂は、融点が200℃以上の樹脂、あるいは、実質的に融点が存在しない樹脂についてはその熱分解温度が200℃以上の樹脂であれば好適に用いることができる。このような耐熱性樹脂としては、例えば全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドおよびセルロースのうちの少なくとも1種が挙げられる。特に、耐久性の観点から全芳香族ポリアミドが好適であり、さらに多孔質層を形成しやすく耐酸化還元性に優れるという観点からメタ型芳香族ポリアミドが好適である。
耐熱性多孔質層は、ハンドリング性、耐久性および熱収縮の抑制効果の観点から、ポリオレフィン多孔質基材の表裏両面に形成された方が好ましい。耐熱性多孔質層の厚みは、耐熱性多孔質層がポリオレフィン多孔質基材の両面に形成されている場合は該耐熱性多孔質層の厚みの合計が3μm以上12μm以下であることが好ましく、耐熱性多孔質層が片面にのみ形成されている場合は3μm以上12μm以下であることが好ましい。
耐熱性多孔質層は、空孔率が50〜80%であり、かつ、BET法で測定した平均孔径が50〜300nmであることが好ましい。かかる範囲であれば、セパレータ全体の厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整するのに好適である。なお、耐熱性多孔質層の空孔率が50%未満あるいは平均孔径が50nm未満の場合は、膜抵抗が高くなり過ぎ、かつセパレータ全体の厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整し難くなるため好ましくない。一方、耐熱性多孔質層の空孔率が80%を超える場合あるいは平均孔径が300nmを超える場合は、セパレータの熱収縮率が高くなり過ぎるため好ましくない。
本発明において、耐熱性多孔質層は無機フィラーを含有していることが好ましい。無機フィラーを適切に添加することで、シャットダウン特性を向上させたり、ポリオレフィンの融点を超える高温領域でのセパレータの熱収縮を抑制したり、膜抵抗を低減させたり、摩擦係数を低減させたりすることができる。無機フィラーの材質としては、アルミナ、ジルコニア、イットリア、セリア、マグネシア、チタニア、シリカなどの金属酸化物、炭化アルミニウム、炭化チタン、炭化タングステン等の金属炭化物、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等の金属窒化物、炭酸カルシウム、硫酸バリウムなどの塩の類、水酸化アルミニウム、ベーマイト、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等、もしくはこれらの2種以上の組合せが挙げられる。また、これらは多孔質形状であっても良く、非晶または結晶どちらでも良い。中でも、高温下におけるセパレータの熱収縮の抑制の観点から、金属水酸化物および金属酸化物のうち少なくとも1種からなることが好ましい。特に、水酸化アルミニウムやベーマイト等の金属水酸化物は、アルミナ等の金属酸化物に比べて柔らかく、セパレータの製造装置あるいは電池の製造装置を傷つけることがないため好ましい。
本発明では無機フィラーの含有量が耐熱性樹脂の体積に対し0.4〜4倍であることが好ましい。無機フィラーの含有量が0.4倍より低いと、すべり性の向上効果が得られ難く、高温における寸法安定性といった耐熱性にかかわる特性等も不十分となる場合がある。また、無機フィラーの含有量が4倍を超えると、耐熱性多孔質層が緻密化されすぎ、セパレータ全体の厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整し難くなるため好ましくない。
本発明では無機フィラーの平均粒子径は0.1〜1μmの範囲が好ましい。無機フィラーの平均粒子径が1μmを超えると、耐熱性多孔質層を適切な厚みで成形することが困難になる上、セパレータ全体の厚み差(L1−L2)を本発明の範囲内に調整し難くなるため好ましくない。また、無機フィラーの平均粒子径が0.1μmより小さくなるとすべり性向上の効果が得られ難いため好ましくない。
[ポリオレフィン微多孔膜の製造方法]
本発明における多孔質基材として使用可能なポリオレフィン微多孔膜は、例えば下記に示す方法で製造できる。すなわち、(I)ポリオレフィン組成物をパラフィン、流動パラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油、テトラリン、エチレングリコール、グリセリン、デカリン、トルエン、キシレン、ジエチルトリアミン、エチルジアミン、ジメチルスルホキシド、ヘキサン等の溶剤に溶解させた溶液を調整する工程、(II)前記溶液をポリオレフィン組成物の融点以上かつ融点+60℃以下の温度でダイより押出し、冷却してゲル状組成物を形成する工程、(III)前記ゲル状組成物を延伸する工程、(IV)延伸されたゲル状組成物を熱固定する工程、(V)前記溶剤を除去する工程、(VI)アニールする工程を含む一連の工程により製造される。
ここで、延伸工程は二軸延伸が好ましく、縦延伸、横延伸を別々に実施する逐次二軸延伸、縦延伸、横延伸を同時に実施する同時二軸延伸いずれの方法も好適に用いることが可能である。
本発明で用いるポリオレフィン微多孔膜は、例えば、該溶剤に流動パラフィンとデカリンからなる混合溶剤を用い、ポリオレフィン組成物の濃度を15〜35重量%とし、延伸倍率を50〜100倍(縦延伸倍率×横延伸倍率)とし、熱固定温度を110〜140℃とし、アニール温度を熱固定温度以下の温度とすることで得ることができるが、これに限定されるものではない。
なお、ポリオレフィン組成物の濃度を低くしたり、延伸倍率を大きくすると、平均孔径が大きくなる傾向がある。また、ポリオレフィン組成物の濃度を高くしたり、延伸倍率を低くしたりすると、平均孔径が小さくなったりする傾向がある。また、熱固定温度を高くすると、平均孔径が大きくなることがあり、逆に熱固定温度を低くすると平均孔径が小さくなり過ぎることがある。アニール温度を熱固定温度より高くしたり、アニール時に大きく変形させるようなことがあると、平均孔径が大きくなったりすることがある。ポリオレフィン組成物の濃度を35重量%以上としたり、熱固定温度を140℃より高くしたり、アニールを熱固定温度より高い温度で実施したりすると、空孔率が低くなり過ぎることがある。また、アニール時に大きな変形を伴うことがあっても、、空孔率が低くなり過ぎることがある。ポリオレフィン組成物の濃度を15重量%より低くすると、空孔率が高くなり過ぎることがある。
[非水系二次電池用セパレータの製造方法]
本発明の非水系二次電池用セパレータの製造方法は特に限定されないが、例えば、以下の(i)〜(iv)の工程を含む製造方法により製造可能である。すなわち、(i)耐熱性樹脂および水溶性有機溶剤を含む塗工用スラリーを作製する工程と、(ii)得られた塗工用スラリーをポリオレフィン多孔質基材の片面又は両面に塗工する工程と、(iii)塗工されたスラリー中の耐熱性樹脂を凝固させる工程と、(iv)この凝固工程後のシートを水洗および乾燥する工程と、を実施することからなる製造方法である。
前記工程(i)において、水溶性有機溶剤としては、耐熱性樹脂に対して良溶媒である溶剤であれば特に限定されないが、具体的には例えばN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどの極性溶剤を使用することができる。また、スラリー中には、さらに耐熱性樹脂に対して貧溶媒となる溶剤も、一部混合して用いることもできる。このような貧溶媒を適用することでミクロ相分離構造が誘発され、耐熱性多孔質層を形成する上で多孔化が容易となる。貧溶媒としては、アルコールの類が好適であり、特にグリコールのような多価アルコールが好適である。なお、耐熱性多孔質層中に無機フィラーを含ませる態様のセパレータを得るためには、当該スラリー中にさらに無機フィラーを適量混合させればよい。スラリー中における耐熱性樹脂の濃度は4〜9重量%であることが好ましい。
工程(ii)において、ポリオレフィン多孔質基材へのスラリーの塗工量は2〜3g/m程度が好ましい。塗工方法は、ナイフコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法、マイヤーバー法、ダイコーター法、リバースロールコーター法、インクジェット法、スプレー法、ロールコーター法などが挙げられる。中でも、塗膜を均一に塗布するという観点において、リバースロールコーター法が好適である。また、塗工時のスラリー温度を調整することで耐熱多孔質層を安定に得ることが出来る。ここでスラリー温度は特に限定されるものではないが、5℃〜40℃の範囲が好ましい。
工程(iii)において、スラリー中の耐熱性樹脂を凝固させる方法としては、塗工後のポリオレフィン多孔質基材に対して凝固液をスプレーで吹き付ける方法や、凝固液の入った浴(凝固浴)中に当該基材を浸漬する方法などが挙げられる。凝固液は、耐熱性樹脂を凝固できるものであれば特に限定されないが、水、又はスラリーに用いた良溶媒に水を適当量含ませた混合液が好ましい。ここで、水の混合量は凝固液に対して40〜80重量%が好適である。また、凝固液の温度と上記工程(ii)におけるスラリー温度との差が小さいことが好ましく、例えば温度差は30℃以内であれば好適である。更に、これら凝固浴に浸漬した後、直ちに第2凝固浴に浸漬する方法も、本発明のセパレータにおける膜厚差(L1−L2)を得る上で望ましい。この第2凝固浴は水、又はスラリーに用いた良溶媒に水を適当量含ませた混合液が好ましい。ここで、水の混合量は凝固液に対して40重量%以上が好適である。
工程(iv)において、乾燥方法は特に限定されないが、乾燥温度は50〜80℃が適当である。高い乾燥温度を適用する場合は、熱収縮による寸法変化が起こらないようにするためにロールに接触させるような方法を適用することが好ましい。
[非水系二次電池]
本発明の非水系二次電池は、リチウムのドープおよび脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であって、正極集電体および正極活物質層を有する正極と、負極集電体および負極活物質層を有する負極と、これらの電極間に配置された上記の本発明セパレータと、非水電解質とを備えて構成されたことを特徴とする非水系二次電池である。かかる本発明の非水系二次電池は、高温時における安全性や耐久性に優れ、サイクル特性等にも優れている。
本発明において、正極活物質は、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が1%以上であることが好ましい。かかる正極活物質としては、例えばLiMn、LiCoO、LiNiO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75、あるいはこれらの二種以上を組み合わせたもの等を挙げることができる。なお、正極活物質の体積変化率が1%未満の場合、電池の放電容量が小さなものとなり、かつ、本発明のセパレータの利点が活かされないため好ましくない。
かかる正極活物質は、正極集電体上に積層された正極層中に存在している。当該正極層は正極活物質、バインダーおよび導電助剤を含んだ構成とすることができる。このような正極層は、正極活物質、バインダー、導電助剤および溶剤を混練してスラリーを作製し、これを正極集電体上へ塗工し、乾燥・プレスすることで作製することができる。この場合、正極活物質、バインダーおよび導電助剤の合計重量を100%としたとき、正極活物質の重量は80〜98重量%、バインダーは2〜20重量%、導電助剤は0〜10重量%の範囲が好適である。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンが好適に用いられる。導電助剤は、黒鉛粉末、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長カーボンファイバー等が好適に用いられる。集電体にはアルミ箔、ステンレススチール等が好適である。
本発明において、負極活物質は、リチウムをドープする過程における体積変化率が3%以上であることが好ましい。かかる負極活物質としては、例えばSn、SnSb、AgSn、人造黒鉛、グラファイト、Si、SiO、Vあるいはこれらの二種以上を組み合わせたもの等を挙げることができる。なお、負極活物質の体積変化率が3%未満の場合には、電池の放電容量が小さなものとなり、かつ、本発明セパレータの利点が活かされないため好ましくない。
かかる負極活物質は、負極集電体上に積層された負極層中に存在している。当該負極層は負極活物質、バインダーおよび導電助剤を含んだ構成とすることができる。このような負極層は、負極活物質、バインダー、導電助剤および溶剤を混練してスラリーを作製し、これを負極集電体上へ塗工し、乾燥・プレスすることで作製することができる。この場合、負極活物質、バインダーおよび導電助剤の合計重量を100%としたとき、負極活物質の重量は80〜98重量%、バインダーは2〜20重量%、導電助剤は0〜10重量%の範囲が好適である。バインダーとしては、ポリフッ化ビニリデンやカルボキシメチルセルロース等が挙げられる。導電助剤は黒鉛粉末、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、気相成長カーボンファイバー等が好適に用いられる。集電体には銅箔、ステンレススチール等が好適である。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解させた非水系電解液が用いられる。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClO等が好適に用いられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)、ジメチルカーボネート(DMC)、ジエチルカーボネート(DEC)、エチルメチルカーボネート(EMC)等が挙げられる。これらリチウム塩及び非水系溶媒は単独で用いても2種類以上混合して用いても構わない。リチウム塩の濃度は0.5〜2.0Mの範囲が好適である。また、電解液にビニレンカーボネートを添加した方が耐久性の観点から好適である。
本発明の非水系二次電池において、上記正極、負極、セパレータからなる電池エレメントは円筒状または扁平状に捲回したり、積層構造としたりして外装中に封入される。外装は金属ケース、アルミラミネートフィルムケース等の如何なる形態においても適用可能である。
本発明の実施例および比較例における各種物性の測定方法は次の通りである。
[膜厚並びに膜厚差(L1−L2)の測定]
サンプルとなるセパレータを、長さ方向に15cm、幅方向に50cmのサイズで採取した。このサンプルについて、接触式の膜厚計を用いて任意の20点について測定した。膜厚計は、接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)、接触端子底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。測定においては、先ず、印加荷重36g/cmで20点測定し、これらの平均値L1を求めた。この際、測定箇所にはマーカーにて印を付しておいた。次いで、先ほど印を付した20点について、印加荷重1.2kg/cmで膜厚を測定し、これらの平均値L2を求めた。そして、L1とL2との差である膜厚差(L1−L2)を求めた。なお、ポリオレフィン多孔質基材の膜厚差(L3−L4)についても上記と同様にして求め、この場合、上記のL1をL3と読み替え、上記のL2をL4と読み替えればよい。また、本発明の「膜厚」で特に指定のない場合は、荷重36g/cmの時の数値を用いた。
[空孔率]
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の重量がWa、Wb、Wc…、Wn(g・cm)であり、それぞれの真密度がda、db、dc…、dn(g/cm)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は下記式(1)より求めた。
ε={1−(Wa/da+Wb/db+Wc/dc+…+Wn/dn)/t}×100 …(1)
なお、荷重下空孔率は材料に荷重を掛けて測定した際の空孔率を示す。また、単に空孔率と称する場合は荷重36g/cmの時の空孔率を示す。
[耐熱性多孔質層の孔径]
まず、サンプルとなるセパレータ、基材、フィラーのそれぞれの窒素ガス吸着量を、JIS Z 8830に準じた窒素ガス吸着法によって求めた。測定は、NOVA−1200(ユアサアイオニクス社製)を用い、3点法にて行った。そして、得られた窒素ガス吸着量から、下記式(2)に基づいて各セパレータ、基材、フィラーの比表面積を求めた。
1/[W・{(P/P)−1}]={(C−1)/(Wm・C)}(P/P)(1/(Wm・C) …(2)
ここで、Pは吸着平衡における吸着質の気体の圧力、Pは吸着平衡における吸着質の飽和蒸気圧、Wは吸着平衡圧Pにおける吸着量、Wmは単分子吸着量、CはBET定数である。
そして、サンプル中の細孔の構造が全て円柱状であると仮定し、細孔容積と表面積の測定結果から平均孔径を算出した。具体的に、セパレータの比表面積をSt、基材の比表面積をSs、無機フィラーの比表面積をSfとし、この比表面積にサンプルを構成する重量をかけることでサンプル中の構成材料の表面積を求めることができる。すなわち、耐熱性樹脂の重量をWa、無機フィラーの重量をWf、基材のポリオレフィン微多孔膜の重量をWsとすると、耐熱性樹脂の表面積はSt・(Wa+Wf+Ws)−(Ss・Ws+Sf・Wf)、基材のポリオレフィン微多孔膜の表面積は、Ss・Wsとなる。
全細孔容積をVt2、円柱状細孔の直径をRt2、円柱状細孔の全長をLt2とすると、以下の(3)〜(5)の式が成立する。
St・(Wa+Wf+Ws)−Ss・Ws=π・Rt2・Lt2 … (3)
Vt2=π(Rt2/2)・Lt2 … (4)
Vt2=ε・(Wa/da+Wf/df+Vt2) … (5)
ここで、Wfは無機フィラーの重量、dfは無機フィラーの密度である。上記(3)〜(5)の式から、耐熱性多孔質層中の細孔の平均孔径Rt2を求めた。なお、不織布に耐熱多孔質層を積層したものについても同様の方法で平均孔径を求めることができる。
[ポリオレフィン微多孔膜の孔径]
基材のポリオレフィン微多孔膜がフィブリル状繊維質から構成され、細孔が円柱状の孔であると仮定する。フィブリル繊維質の全体積をVs1、全細孔体積をVs2とする。フィブリルの直径をRs1とし、円柱状孔の直径をRs2とし、フィブリル全長をLs1とし、円柱状孔全長をLs2とすると、以下の(6)〜(10)の式が成立する。
Ss・Ws=π・Rs1・Ls1=π・Rs2・Ls2 … (6)
Vs1=π・(Rs1/2)・Ls1 … (7)
Vs2=π・(Rs/2)・Ls2 …(8)
Vs2=ε・(Vs1+Vs2) … (9)
Vs1=Ws/ds … (10)
ここで、εは空孔率、dsはポリオレフィンの比重である。上記(6)〜(10)の式から基材のポリオレフィン微多孔膜の細孔の平均孔径Rs2を求めた。なお、不織布についても同様に平均孔径を求めることができる。
[無機フィラーの平均粒子径]
レーザー回折式粒度分布測定装置(シスメックス社製、マスターサイザー2000)を用いて測定を行った。分散媒としては水を用い、分散剤として非イオン性界面活性剤「Triton X−100」を微量用いた。体積粒度分布における中心粒子径(D50)を平均粒子径とした。
[耐熱性多孔質層の塗工量]
耐熱性多孔質層を塗工したセパレータとこれに用いたポリエチレン微多孔膜の目付を測定し、これらの差から耐熱性多孔質層の塗工量を求めた。なお、目付は、サンプルを10cm×10cmに切り出して、この重量を測定し、これを1m当たりの重量に変換することで求めた。
[ガーレ値]
ガーレ値(秒/100cc)はJIS P8117に従い測定した。
[実施例1]
(1)ポリエチレン微多孔膜の作製
ポリエチレンパウダーとしてTicona社製のGUR2126(重量平均分子量415万、融点141℃)とGURX143(重量平均分子量56万、融点135℃)を用いた。GUR2126とGURX143を1:9(重量比)となるようにして、ポリエチレン濃度が30重量%となるように流動パラフィンとデカリンの混合溶媒中に溶解させ、ポリエチレン溶液を作製した。該ポリエチレン溶液の組成はポリエチレン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(重量比)である。このポリエチレン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却して、60℃で8分、95℃で15分乾燥し、ゲル状テープ(ベーステープ)を作製した。該ベーステープを縦延伸、横延伸と逐次行う2軸延伸にて延伸した。ここで、縦延伸は5.5倍、延伸温度は90℃、横延伸は延伸倍率11.0倍、延伸温度は105℃とした。横延伸の後に125℃で熱固定を行った。次にこれを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理することでポリエチレン微多孔膜を得た。このポリエチレン微多孔膜の物性は、膜厚L3は10.3μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L4は9.5μm、膜厚差(L3−L4)は0.8μm、空孔率50%、ガーレ値268秒/100cc、膜抵抗2.641ohm・cm、突刺強度443g、BET法により測定した平均孔径は42.1nmであった。
(2)セパレータの作製
メタ型全芳香族ポリアミドとしてポリメタフェニレンイソフタルアミドであるコーネックス(登録商標;帝人テクノプロダクツ社製)を用いた。無機微粒子として平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工製;H‐43M)を用いた。
コーネックスと水酸化アルミニウムが重量比で23:77(体積比は34:66)となるように調整し、これらをコーネックスが5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比で50:50となっている混合溶媒に混合し塗工液を作製した。
マイヤーバー(番手6)を2本対峙させ、マイヤーバー間のクリアランスを30μmに調整し、これらマイヤーバーの両側から20℃に調整した該塗工液を供給し、マイヤーバー間にあるポリエチレン微多孔膜を引っ張りながら通過させることでポリエチレン微多孔膜の表裏両面に該塗工液を塗工した。
これを重量比で水:該混合溶媒=50:50で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水:該混合溶媒=90:10に調整した第2凝固浴に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、コーネックスと水酸化アルミニウムからなる耐熱性多孔質層をポリエチレン微多孔膜の表裏両面に形成した。
上記のような手法で作製した本発明の非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が18.2μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が15.9μm、膜厚差(L1−L2)は2.3μm、塗工量は6.08g/m、ガーレ値は380秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み7.9μm、塗工量は6.08g/m、空孔率65%、BET法平均孔径151nmであった。なお、これらの物性を表1に示した。また、以下に説明する実施例2〜4および比較例1〜4についても同様に表1にまとめて示した。
[実施例2]
ポリエチレン微多孔膜およびメタ型全芳香族ポリアミドには、実施例1と同様のものを用いた。また、無機微粒子として平均粒子径0.8μmのα−アルミナ(昭和電工社製;AL160SG−3)を用いた。
コーネックスとアルミナが重量比で15:85(体積比は34:66)となるように調整し、これらをコーネックスが5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比で50:50となっている混合溶媒に混合し塗工液を作製した。マイヤーバーを2本対峙させ、その間に25℃に調整した該塗工液を適量載せた。ポリエチレン微多孔膜を塗工液が載っているマイヤーバー間を通過させてポリエチレン微多孔膜の両面に塗工液を塗工した。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは30μmに調整し、マイヤーバーの番手は2本とも6を用いた。
これを重量比で水:該混合溶媒=50:50で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水:該混合溶媒=99:1に調整した第2凝固浴に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、耐熱性多孔質層をポリエチレン微多孔膜の表裏両面に形成した。
上記のような手法で作製した本発明の非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が17.5μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が15.5μm、膜厚差(L1−L2)は2.0μm、ガーレ値は390秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み7.2μm、塗工量は7.58g/m、空孔率70%、BET法平均孔径217nmであった。
[実施例3]
ポリエチレン微多孔膜は、実施例1と同様のものを用いた。耐熱性樹脂には、ポリエーテルスルホン(PES、住友化学社製 スミカエクセルPES4800P)を用いた。無機微粒子として平均粒子径0.8μmのα−アルミナ(昭和電工社製;AL160SG−3)を用いた。
PESとアルミナが重量比で15:85(体積比は34:66)となるように調整し、これらをPESが5.5重量%となるようにジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が重量比で50:50となっている混合溶媒に混合し塗工液を作製した。
マイヤーバーを2本対峙させた。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは30μmに調整し、マイヤーバーの番手は2本とも6を用いた。これらマイヤーバーの両側から25℃に調整した該塗工液を供給し、マイヤーバー間にあるポリエチレン微多孔膜を引っ張りながら通過させることでポリエチレン微多孔膜の表裏両面に該塗工液を塗工した。
これを重量比で水:該混合溶媒=50:50で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水:該混合溶媒=61:39に調整した第2凝固浴に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、PESとアルミナからなる多孔質層をポリエチレン微多孔膜の表裏両面に形成した。
上記のような手法で作製した本発明の非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が21μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が18μm、膜厚差(L1−L2)は3.0μm、ガーレ値は410秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み10.7μm、塗工量は12.08g/m、空孔率68%、BET法平均孔径185nmであった。
[実施例4]
実施例1における塗工液の作製において、コーネックスと水酸化アルミニウムが重量比で80:20(体積比は88:12)となるように調整した点以外は実施例1と同様にして、本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
このセパレータの物性は、膜厚L1が21μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が18μm、膜厚差(L1−L2)が3.0μm、ガーレ値が388秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚みは10.7μm、塗工量は6.08g/m、空孔率は64%、BET法平均孔径は124nmであった。
[比較例1]
多孔質基材として、ポリエチレンテレフタレート(PET)よりなる不織布(帝人ファイバー株式会社製)を用いた。この不織布は、目付7g/m、膜厚L3が15.0μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L4が14.6μm、膜厚差(L3−L4)は0.4μm、空孔率67%、BET法で測定した平均孔径が90nm、ガーレ値120秒/100cc、突刺強度が320gであった。塗工液には実施例1と同じものを用いた。
PET不織布をガラス板上に固定し、番手6のマイヤーバーを用いて25℃に調整した該塗工液をPET不織布の両面に塗工した。ここでマイヤーバーとPET不織布のクリアランスは40μmとした。塗工液を塗工したPET不織布を重量比で水:該混合溶媒=50:50で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水:該混合溶媒=98:2に調整した第2凝固浴に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、耐熱性多孔質層をPET不織布の両面に形成した。
上記のような手法で作製した非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が20.8μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が18.3μm、膜厚差(L1−L2)は2.5μm、ガーレ値は381秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み5.8μm、塗工量は5.0g/m、空孔率76%、BET法平均孔径238nmであった。
[比較例2]
ポリエチレン微多孔膜および塗工液として、実施例1に示したものと同じものを用いた。
マイヤーバーを2本対峙させた。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは60μmに調整し、マイヤーバーの番手は2本とも6を用いた。これらマイヤーバーの両側から9℃に調整した該塗工液を供給し、マイヤーバー間にあるポリエチレン微多孔膜を引っ張りながら通過させることでポリエチレン微多孔膜の表裏両面に該塗工液を塗工した。これを重量比で水:該混合溶媒=50:50で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、コーネックスと水酸化アルミニウムからなる多孔質層をポリエチレン微多孔膜の表裏両面に形成した。
上記のような手法で作製した非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が27.0μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が16.5μm、膜厚差(L1−L2)は10.5μm、ガーレ値は410秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み16.7μm、塗工量は12.08g/m、空孔率80%、BET法平均孔径110nmであった。
[比較例3]
ポリエチレン微多孔膜および塗工液として、実施例1に示したものと同じものを用いた。
マイヤーバーを2本対峙させた。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは30μmに調整し、マイヤーバーの番手は2本とも6を用いた。これらマイヤーバーの両側から0℃に調整した該塗工液を供給し、マイヤーバー間にあるポリエチレン微多孔膜を引っ張りながら通過させることでポリエチレン微多孔膜の表裏両面に該塗工液を塗工した。これを重量比で水:該混合溶媒=70:40で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、コーネックスと水酸化アルミニウムからなる多孔質層をポリエチレン微多孔膜の表裏両面に形成した。
上記のような手法で作製した非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が25.0μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が14.0μm、膜厚差(L1−L2)は11.0μm、ガーレ値は405秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み14.7μm、塗工量は9.08g/m、空孔率83%、BET法平均孔径280nmであった。
[比較例4]
ポリエチレン微多孔膜および塗工液として、実施例1に示したものと同じものを用いた。
マイヤーバーを2本対峙させた。ここで、マイヤーバー間のクリアランスは20μmに調整し、マイヤーバーの番手は2本とも6を用いた。これらマイヤーバーの両側から4℃に調整した該塗工液を供給し、マイヤーバー間にあるポリエチレン微多孔膜を引っ張りながら通過させることでポリエチレン微多孔膜の表裏両面に該塗工液を塗工した。これを重量比で水:該混合溶媒=50:50で40℃となっている凝固液中に浸漬し、次いで水洗・乾燥を行い、コーネックスと水酸化アルミニウムからなる多孔質層をポリエチレン微多孔膜の表裏両面に形成した。
上記のような手法で作製した非水系二次電池用セパレータの特性は以下の通りであった。膜厚L1が12μm、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚L2が11μm、膜厚差(L1−L2)は1.0μm、ガーレ値は385秒/100ccであった。また、耐熱性多孔質層の厚み1.7μm、塗工量は2.08g/m、空孔率66%、BET法平均孔径179nmであった。
Figure 2010218749
[膜抵抗]
上述のようにして作製した実施例1〜4および比較例1〜4の各セパレータについて、膜抵抗を測定した。具体的に、まずサンプルとなるセパレータを2.6cm×2.0cmのサイズに切り出した。切り出したサンプルを、非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に浸漬し、風乾した。厚さ20μmのアルミ箔を、2.0cm×1.4cmに切り出しリードタブを付けた。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔間に切り出したセパレータを、アルミ箔が短絡しないように挟んだ。電解液には、プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートが1対1の重量比で混合された溶媒中にLiBFを1M溶解させたものを用い、この電解液を上記セパレータに含浸させた。これをアルミラミネートパック中に、タブがアルミパックの外に出るようにして減圧封入した。このようなセルを、アルミ箔中にセパレータが1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製した。このセルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で、振幅10mV、周波数100kHzにてこのセルの抵抗を測定した。測定されたセルの抵抗値を、セパレータの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し、傾きを求めた。この傾きに、電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じて、セパレータ1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm)を求めた。結果を表2にまとめて示す。
[静摩擦係数]
セパレータの滑り性を評価するために、東洋精機社製のカード摩擦試験機を用いて、セパレータの摩擦係数を測定した。具体的には、荷重1kgのおもりにセパレータを貼り付け、セパレータを貼り付けた面を試験機におけるSUS製のステージ面に接触させ、このおもりを押すのに必要な力を測定した。そして、この力と垂直抗力から摩擦係数を求めた。なお、該おもりのセパレータを貼り付けた面は7cm×7cmの正方形状の平面であった。結果を表2にまとめて示す。
[シャットダウン(SD)特性]
上述のようにして作製した実施例1〜4および比較例1〜4の各セパレータについて、SD特性を評価した。具体的にまず、セパレータをΦ19mmに打ち抜き、非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)の3重量%メタノール溶液中に浸漬して風乾する。そしてセパレータに電解液を含浸させSUS板(Φ15.5mm)に挟んだ。ここで電解液は1M LiBF プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(1/1重量比)を用いた。これを2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れた。昇温速度1.6℃/分で昇温させ、同時に振幅10mV、1kHzの周波数の交流を印加することでセルの抵抗を測定した。その結果、昇温時に抵抗値が1.0×10ohm・cm以上まで上昇した場合にシャットダウン機能が発現されたとみなし、シャットダウン機能がある場合は○、無い場合は×と評価した。結果を表2にまとめて示す。
[耐熱性]
上記のSD特性の評価において、シャットダウン機能が発現した後、150〜190℃の温度下においても抵抗値が1.0×10ohm・cm以上のレベルを維持し続けた場合は、メルトダウンが生じておらず耐熱性に優れているため、耐熱性が良好(○)と判断した。一方、150〜190℃における抵抗値が1.0×10ohm・cmを下回った場合は、耐熱性が不良(×)と判断した。結果を表2にまとめて示す。
Figure 2010218749
[実施例5〜8、比較例5〜8]
実施例1〜4、比較例1〜4のセパレータを用いて、以下のようにして18650型円筒電池を作成し、サイクル特性を評価した。
(1)負極の作製
平均粒子径10mに分級した錫粉末(三菱マテリアル製)100重量部、アセチレンブラック5重量部、およびポリフッ化ビニリデン10重量部となるように、これらの材料をN−メチルピロリドンに溶解、分散させた負極剤ペーストを準備した。この負極剤ペーストではポリフッ化ビニリデンの濃度を6重量%とした。得られたペーストを厚さ18μmの銅箔上へ塗工し、乾燥後プレスして総厚み100μmとなるように負極を作製した。これを幅52mmにスリットし、端部にタブを接合して負極を作製した。なお、負極活物質の錫の体積変化率は370%であった。
(2) 正極の作製
乾燥重量換算で、正極活物質のコバルト酸リチウム(LiCoO;日本化学工業社製)粉末89.5重量部、アセチレンブラック(デンカブラック;電気化学工業社製)粉末4.5重量部、および、ポリフッ化ビニリデン(クレハ化学工業株式会社製)6重量部となるように、これらの材料をN−メチルピロリドンに溶解させた正極剤ペーストを準備した。この正極剤ペーストではポリフッ化ビニリデンの濃度を6重量%とした。得られたペーストを厚さ20μmのアルミ箔上へ塗工し、乾燥後プレスして総厚み100μmとなるように正極を作製した。これを幅55mmにスリットし、端部にタブを接合して正極を作製した。なお、正極活物質のLiCoOの体積変化率は1.8%であった。
(3)電極群の作製
上記で得られた正極および負極を、実施例1〜4、比較例1〜4の各セパレータを介して両端に正極集電体および負極集電体が露出する形で円筒状に捲回し、捲回型電極群(直径17mm、長さ60mm)を作製した。
(4)円筒型電池の作製
上記で得られた各捲回型電極群を、直径18mm、高さ65mmの有底円筒形の電池ケースに挿入した。それと共に、正極リードの他端を封口板に接続し、負極リードの多端を電池ケースの底に接続した。この電池ケースを円筒状のプラスチック製外装体に挿入した後、電池ケース内に非水電解液5.2mlを注液し、電池ケースの開口端部をかしめて封口板を固定し、電池ケースを密閉して本発明の非水電解質二次電池(実施例5〜8、比較例5〜8)を作製した。ここで非水電解液には、エチレンカーボネートとエチルメチルカーボネートが3対7の重量比で混合された混合溶液に、LiPFを1Mの濃度で溶解させたものを用いた。
(5)円筒型電池のサイクル特性評価
実施例1〜4および比較例1〜4のセパレータを用いて作成した円筒型電池(実施例5〜8、比較例5〜8)について、4.0Vの定電流・定電圧充電と、2.75Vの定電流放電を100サイクル繰り返した後に、放電容量を測定した。
サイクル特性の評価は、放電容量保持率(%)=100サイクル後の放電容量/3サイクル後の放電容量で行った。放電容量保持率が80%超であれば良(○)と評価し、70〜80%の場合は△と評価し、70%未満の場合は不良(×)と評価した。結果を表3に示す。また、以下の実施例9〜13についても同様にまとめて表3に示した。
[実施例9]
実施例5における負極材料をSiO粉末(和光純薬社製、試薬)に変更した点以外は実施例5と同様にして、本発明の非水系二次電池を作製した。なお、負極活物質のSiOの体積変化率は120%であった。
[実施例10]
実施例5における負極材料をSiに変更した点以外は実施例5と同様にして、本発明の非水系二次電池を作製した。なお、負極活物質のSiの体積変化率は200%であった。
[実施例11]
実施例5における負極材料をハードカーボン(昭和電工社製)に変更した点以外は実施例5と同様にして、本発明の非水系二次電池を作製した。なお、負極活物質のハードカーボンの体積変化率は5%であった。
[実施例12]
実施例5における負極材料を天然グラファイト(グラフテック社製)に変更した点以外は実施例5と同様にして、本発明の非水系二次電池を作製した。なお、負極活物質の天然グラファイトの体積変化率は5%であった。
[実施例13]
実施例5における負極材料をSnSbに変更した点以外は実施例5と同様にして、本発明の非水系二次電池を作製した。なお、負極活物質のSnSbの体積変化率は20%であった。
Figure 2010218749

Claims (13)

  1. ポリオレフィン多孔質基材と、この多孔質基材の片面または両面に被覆された耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、
    接触底面が直径0.5cmの円状の接触端子を有した接触式膜厚計を用いて、印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL1とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL2とした場合に、L1−L2=2.0〜10μmとなることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
  2. 前記セパレータの静摩擦係数が0.3〜1.0であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  3. 前記耐熱性多孔質層は、空孔率が50〜80%であり、かつ、BET法で測定した平均孔径が50〜300nmであることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  4. 前記耐熱性樹脂は、芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミドから成る群から選ばれる少なくとも一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
  5. 前記多孔質基材について、前記接触式膜厚計を用いて印加荷重36g/cmで測定した膜厚をL3とし、印加荷重1.2kg/cmで測定した膜厚をL4とした場合に、L3−L4=0.1〜2.0μmとなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
  6. 前記多孔質基材は、空孔率が30〜70%であり、かつ、BET法で測定した平均孔径が10〜400nmであることを特徴とする請求項5に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  7. 前記耐熱性多孔質層が無機フィラーを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
  8. 前記無機フィラーが金属水酸化物および金属酸化物のうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求項7に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  9. 前記無機フィラーの平均粒径は0.1〜1μmであることを特徴とする請求項7または8に記載の非水系二次電池用セパレータ。
  10. 前記無機フィラーの含有量が前記耐熱性樹脂の体積に対し0.4〜4倍であることを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
  11. リチウムのドープおよび脱ドープにより起電力を得る非水系二次電池であって、正極集電体および正極活物質層を有する正極と、負極集電体および負極活物質層を有する負極と、これらの電極間に配置された請求項1〜10のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータと、非水電解質とを備えて構成されたことを特徴とする非水系二次電池。
  12. 前記正極活物質は、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が1%以上であることを特徴とする請求項11記載の非水系二次電池。
  13. 前記負極活物質は、リチウムをドープする過程における体積変化率が3%以上であることを特徴とする請求項11または12に記載の非水系二次電池。
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