JP5745174B2 - 非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 - Google Patents
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Description
本発明は非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池に関するものである。
リチウムイオン二次電池に代表されるような非水系二次電池は、ノートパソコン、携帯電話、デジタルカメラ、カムコーダなどの携帯用電子機器の電源として広く用いられている。更に近年においてこれらの電池は高エネルギー密度を有するという特徴から自動車などへの適用も検討されている。
携帯用電子機器の小型化・軽量化に伴い、非水系二次電池の外装の簡素化がなされてきている。当初は外装としてステンレス製の電池缶が用いられていたが、アルミ缶製の外装が開発され、さらには現在ではアルミラミネートパック製のソフトパック外装も開発されている。アルミラミネート製のソフトパック外装の場合、外装が柔らかいため、充放電に伴って電極とセパレータとの間に隙間が形成される場合があり、サイクル寿命が悪くなるという技術的課題がある。この課題を解決するという観点から、電極とセパレータを接着する技術が重要であり、多くの技術的提案がなされている。
その1つの提案として、従来のセパレータであるポリオレフィン微多孔膜にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層(以下、接着性多孔質層ともいう)を成形したセパレータを用いる技術が知られている(例えば特許文献1〜4参照)。接着性多孔質層は、電解液を含んだ状態で電極に重ねて熱プレスすると、電極とセパレータを良好に接合させることができ、接着剤として機能し得る。そのため、ソフトパック電池のサイクル寿命を改善することができる。
また、従来の金属缶外装を用いて電池を作製する場合、電極とセパレータを重ね合わせた状態で捲回して電池素子を作製し、この素子を電解液と共に金属缶外装内に封入して、電池を作製する。一方、上述した特許文献1〜4のようなセパレータを用いてソフトパック電池を作製する場合は、上記の金属缶外装の電池と同様にして電池素子を作製し、これを電解液と共にソフトパック外装内に封入して、最後に熱プレス工程を加えて、電池を作製する。よって、上記のような接着性多孔質層を有したセパレータを用いる場合、上記の金属缶外装の電池と同様にして電池素子を作製できるため、従来の金属缶外装電池の製造工程に対し大幅な変更を加える必要がない、というメリットもある。
しかしながら、上述した特許文献1〜3は、セパレータと電極との接着性に着目したものであり、接着性多孔質層とポリオレフィン微多孔膜との剥離力については考慮されていない。例えば接着性多孔質層がポリオレフィン微多孔膜から容易に脱落してしまうと、製造歩留まりの低下などの問題にもつながってしまう。また、セパレータは所望のサイズにスリットする場合があるが、その際に接着性多孔質層が容易に脱落してしまうと、スリット性の問題、すなわちスリット後のセパレータ端面が毛羽立ってしまい、製造不良を招くおそれもある。
一方で、接着性多孔質層とポリオレフィン微多孔膜の接着力を強化するために、例えばセパレータを熱プレスしたような場合、接着性多孔質層中の空孔が潰れてしまったり、接着性多孔質層とポリオレフィン微多孔膜の界面における空孔が閉塞してしまい、結果としてイオン透過性が低下するといった問題も懸念される。
なお、特許文献4には、接着性セパレータではないが、ポリプロピレン多孔質膜とフッ素系樹脂膜との剥離強度と透気度を両立させたセパレータが開示されている。しかしこの特許文献4では、セパレータのスリット性に関して十分な検討がなされていない。
このような背景から、本発明は、微多孔膜と接着性多孔質層の間における剥離力を向上し、十分なイオン透過性を確保でき、かつ、スリット性も良好な非水系二次電池用セパレータを提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、以下の構成を採用する。
1. フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められる平均孔径が50nm以上90nm以下である、非水系二次電池用セパレータ。
2.フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められるフィブリル径が150nm以上350nm以下である、非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記接着性多孔質層の比表面積から求められるフィブリル径が50nm以上70nm以下である、上記1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 前記接着性多孔質層の比表面積から求められる平均孔径が、37nm以上74nm以下である、上記1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
5. 前記微多孔膜と前記接着性多孔質層の間における剥離力が0.10N/cm以上である、上記1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
6. 上記1〜5のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
1. フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められる平均孔径が50nm以上90nm以下である、非水系二次電池用セパレータ。
2.フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められるフィブリル径が150nm以上350nm以下である、非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記接着性多孔質層の比表面積から求められるフィブリル径が50nm以上70nm以下である、上記1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 前記接着性多孔質層の比表面積から求められる平均孔径が、37nm以上74nm以下である、上記1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
5. 前記微多孔膜と前記接着性多孔質層の間における剥離力が0.10N/cm以上である、上記1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
6. 上記1〜5のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
本発明によれば、微多孔膜と接着性多孔質層の間における剥離力を向上し、十分なイオン透過性を確保でき、かつ、スリット性も良好な非水系二次電池用セパレータを提供することができる。
以下に、本発明の実施の形態について順次説明する。なお、これらの説明および実施例は本発明を例示するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。また、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
<非水系二次電池用セパレータ>
第一の本発明の非水系二次電池用セパレータは、フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められる平均孔径が50nm以上90nm以下である。
第二の本発明の非水系二次電池用セパレータは、フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められるフィブリル径が150nm以上350nm以下である。
第一の本発明の非水系二次電池用セパレータは、フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められる平均孔径が50nm以上90nm以下である。
第二の本発明の非水系二次電池用セパレータは、フィブリル状の樹脂を含む微多孔膜と、前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、前記微多孔膜の比表面積から求められるフィブリル径が150nm以上350nm以下である。
すなわち、第一の本発明は微多孔膜の平均孔径に着目してなされた発明であり、第二の本発明は微多孔膜のフィブリル径に着目してなされた発明である。両者は本発明を異なる観点から捉えたものであるが、同一の技術課題を解決し得る。
このような第一および第二の本発明によれば、微多孔膜と接着性多孔質層の間における剥離力を向上し、十分なイオン透過性を確保でき、かつ、スリット性も良好な非水系二次電池用セパレータを提供することができる。そして、このような本発明のセパレータを用いれば、サイクル特性やレート特性等の電池特性に優れた電池を提供できる。また、電池やセパレータの製造の際に、セパレータから接着性多孔質層が剥離したり、セパレータのスリットの際に不良品が発生したりすることを防ぐことができ、製造歩留まりの向上にも寄与し得る。
なお、以下では、「第一の本発明」あるいは「第二の本発明」と明示した場合を除き、第一の本発明と第二の本発明の両方に共通する技術事項はまとめて説明する。
このような第一および第二の本発明によれば、微多孔膜と接着性多孔質層の間における剥離力を向上し、十分なイオン透過性を確保でき、かつ、スリット性も良好な非水系二次電池用セパレータを提供することができる。そして、このような本発明のセパレータを用いれば、サイクル特性やレート特性等の電池特性に優れた電池を提供できる。また、電池やセパレータの製造の際に、セパレータから接着性多孔質層が剥離したり、セパレータのスリットの際に不良品が発生したりすることを防ぐことができ、製造歩留まりの向上にも寄与し得る。
なお、以下では、「第一の本発明」あるいは「第二の本発明」と明示した場合を除き、第一の本発明と第二の本発明の両方に共通する技術事項はまとめて説明する。
〔接着性多孔質層〕
本発明において接着性多孔質層は、微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層である。このような接着性多孔質層は、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂が繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっている。そのため、接着性多孔質層は、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。また、接着性多孔質層は、微多孔膜の片面又は両面にセパレータの最外層として設けられ、電極と接着し得る。
本発明において接着性多孔質層は、微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む多孔質層である。このような接着性多孔質層は、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂が繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっている。そのため、接着性多孔質層は、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。また、接着性多孔質層は、微多孔膜の片面又は両面にセパレータの最外層として設けられ、電極と接着し得る。
なお、接着性多孔質層は、本発明の効果を阻害しない範囲で、無機物又は有機物からなるフィラーやその他の成分を含有していてもよい。フィラーを含有することで、セパレータの滑り性や耐熱性を向上し得る。無機フィラーとしては、例えばアルミナ等の金属酸化物や、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物等が挙げられる。有機フィラーとしては、例えばアクリル樹脂等が挙げられる。
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂)
本発明においてポリフッ化ビニリデン系樹脂(以下、PVDF系樹脂と適宜称す)は、フッ化ビニリデンの単独重合体(すなわちポリフッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体、あるいはこれらの混合物が好適に用いられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーは、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、トリフロロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル等の一種類又は二種類以上を用いることができる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、構成単位としてフッ化ビニリデンを70mol%以上含有することが好ましい。さらに電極との接合工程において十分な力学物性を確保するという観点において、構成単位としてフッ化ビニリデンを98mol%以上含むポリフッ化ビニリデン樹脂が好適である。
本発明においてポリフッ化ビニリデン系樹脂(以下、PVDF系樹脂と適宜称す)は、フッ化ビニリデンの単独重合体(すなわちポリフッ化ビニリデン)、フッ化ビニリデンと他の共重合可能なモノマーとの共重合体、あるいはこれらの混合物が好適に用いられる。フッ化ビニリデンと共重合可能なモノマーは、テトラフロロエチレン、ヘキサフロロプロピレン、トリフロロエチレン、トリクロロエチレン、フッ化ビニル等の一種類又は二種類以上を用いることができる。ポリフッ化ビニリデン系樹脂は、構成単位としてフッ化ビニリデンを70mol%以上含有することが好ましい。さらに電極との接合工程において十分な力学物性を確保するという観点において、構成単位としてフッ化ビニリデンを98mol%以上含むポリフッ化ビニリデン樹脂が好適である。
PVDF系樹脂には重量平均分子量が60万以上300万以下の樹脂を用いることが好ましい。重量平均分子量が60万以上のPVDF系樹脂を適用すると、電極との接着力が十分に高く、電極との接着後のイオン透過性も十分なものになる。このような観点では、PVDF系樹脂の重量平均分子量は80万以上であることがさらに好ましい。また、重量平均分子量が300万以下であれば、成形時の粘度が高まらずに済むため良好な成形性が得られ、また、接着性多孔質層が良好に結晶化するために好適な多孔構造を得ることが可能となる。このような観点からは、重量平均分子量は200万以下がより好ましい。ここでポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)により求めることができる。
上記のような比較的分子量の高いポリフッ化ビニリデン系樹脂は、好ましくは乳化重合あるいは懸濁重合、特に好ましくは懸濁重合により得ることができる。
上記のような比較的分子量の高いポリフッ化ビニリデン系樹脂は、好ましくは乳化重合あるいは懸濁重合、特に好ましくは懸濁重合により得ることができる。
(接着性多孔質層の諸物性)
本発明において、接着性多孔質層の比表面積から求められるフィブリル径は50〜70nmであることが好ましい。接着性多孔質層のフィブリル径が50nm以上であれば、上述したイオン透過性と剥離力を維持しつつ、さらに電極とセパレータとの接着力を高めることができる。このような観点では、接着性多孔質層のフィブリル径は53nm以上が好ましく、さらには55nm以上が好ましい。接着性多孔質層のフィブリル径が70nm以下であればイオン透過性がより優れたものになる。このような観点では、接着性多孔質層のフィブリル径は65nm以下が好ましく、さらには63nm以下が好ましい。
本発明において、接着性多孔質層の比表面積から求められるフィブリル径は50〜70nmであることが好ましい。接着性多孔質層のフィブリル径が50nm以上であれば、上述したイオン透過性と剥離力を維持しつつ、さらに電極とセパレータとの接着力を高めることができる。このような観点では、接着性多孔質層のフィブリル径は53nm以上が好ましく、さらには55nm以上が好ましい。接着性多孔質層のフィブリル径が70nm以下であればイオン透過性がより優れたものになる。このような観点では、接着性多孔質層のフィブリル径は65nm以下が好ましく、さらには63nm以下が好ましい。
本発明において、接着性多孔質層の平均孔径は37〜74nmであることが好ましい。接着性多孔質層の平均孔径が74nm以下であれば、上述したイオン透過性と剥離力を維持しつつ、さらに電極とセパレータとの接着力を高めることができる。このような観点では、接着性多孔質層の平均孔径は70nm以下が好ましく、さらには65nm以下が好ましい。接着性多孔質層の平均孔径が34nm以上であれば、イオン透過性がより優れたものになる。このような観点では、接着性多孔質層の平均孔径は45nm以上が好ましく、さらには55nm以上が好ましい。
なお、接着性多孔質層のフィブリル径や平均孔径の制御法としては特に限定されるものではないが、例えばPVDF系樹脂の組成や分子量、後述する製造方法における各工程条件(例えば塗工液の組成や温度、凝固液の組成や温度等)を調整することが挙げられる。
ここで、本発明において、接着性多孔質層のフィブリル径は、PVDF系樹脂フィブリルの全構成が円柱状のフィブリルであると仮定し、PVDF系樹脂の体積と表面積の測定結果から算出する。また、接着性多孔質層中の細孔の平均孔径は、当該細孔の構造が全て円柱状であると仮定し、細孔容積と表面積の測定結果から算出する。以下、これらの算出法について詳述する。
(1)PVDF系樹脂の表面積
まず、以下のガス吸着法による比表面積の測定法(JIS Z 8830に準じた方法、いわゆるBET法)により、非水系二次電池用セパレータの比表面積Stと、基材である微多孔膜の比表面積Ssを求める。
まず、以下のガス吸着法による比表面積の測定法(JIS Z 8830に準じた方法、いわゆるBET法)により、非水系二次電池用セパレータの比表面積Stと、基材である微多孔膜の比表面積Ssを求める。
比表面積Sは、吸着質にN2を用いて各サンプルのN2吸着量を求め、得られたN2吸着量から下記式(1)で示されるBET式を用いて求める。
1/[W・{(P0/P)−1}]={(C−1)/(Wm・C)}(P/P0)(1/(Wm・C) …(1)
ここで、式(1)中、Pは吸着平衡における吸着質の気体の圧力、P0は吸着平衡における吸着質の飽和蒸気圧、Wは吸着平衡圧Pにおける吸着量、Wmは単分子吸着量、CはBET定数を表す。x軸を相対圧力P0/Pとし、y軸を1/[W・{(P0/P)−1}]とすると、線形のプロット(いわゆるBETプロット)が得られる。このプロットにおける傾きをA、切片をBとすると、単分子吸着量Wmは下記式(2)のようになる。
Wm=1/(A+B)…(2)
1/[W・{(P0/P)−1}]={(C−1)/(Wm・C)}(P/P0)(1/(Wm・C) …(1)
ここで、式(1)中、Pは吸着平衡における吸着質の気体の圧力、P0は吸着平衡における吸着質の飽和蒸気圧、Wは吸着平衡圧Pにおける吸着量、Wmは単分子吸着量、CはBET定数を表す。x軸を相対圧力P0/Pとし、y軸を1/[W・{(P0/P)−1}]とすると、線形のプロット(いわゆるBETプロット)が得られる。このプロットにおける傾きをA、切片をBとすると、単分子吸着量Wmは下記式(2)のようになる。
Wm=1/(A+B)…(2)
次いで、比表面積Sは下記式(3)により求まる。
S=(Wm・N・Acs・M)/w…(3)
ここで、Nはアボガドロ数、Mは分子量、Acsは吸着断面積、wはサンプル重量である。なお、N2の場合、吸着断面積Acsは0.16nm2である。
S=(Wm・N・Acs・M)/w…(3)
ここで、Nはアボガドロ数、Mは分子量、Acsは吸着断面積、wはサンプル重量である。なお、N2の場合、吸着断面積Acsは0.16nm2である。
そして、得られた比表面積Sに、サンプルを構成する重量Wを積算することで、サンプル中のそれぞれの構成材料の表面積を求めることができる。すなわち、PVDF系樹脂の重量をWp、微多孔膜の重量をWsとすると、PVDF系樹脂の表面積はSt・(Wp+Ws)−(Ss・Ws)で得られる。なお、微多孔膜の表面積はSs・Wsで得られる。
(2)PVDF系樹脂フィブリルの平均フィブリル径
接着性多孔質層のPVDF系樹脂がフィブリル状繊維質から構成されると仮定する。フィブリル繊維質の全容積をVt1とし、フィブリルの直径をRt1とし、フィブリル全長をLt1とすると、以下の(4)〜(6)の式が成立する。
St・(Wp+Ws)−(Ss・Ws)=π・Rt1・Lt1 …(4)
Vt1=π・(Rt1/2)2・Lt1 …(5)
Vt1=Wp/dp …(6)
ここで、dpはPVDF系樹脂の比重である。上記(4)〜(6)の式から、PVDF系樹脂フィブリルの平均フィブリル径Rt1を求めることができる。
接着性多孔質層のPVDF系樹脂がフィブリル状繊維質から構成されると仮定する。フィブリル繊維質の全容積をVt1とし、フィブリルの直径をRt1とし、フィブリル全長をLt1とすると、以下の(4)〜(6)の式が成立する。
St・(Wp+Ws)−(Ss・Ws)=π・Rt1・Lt1 …(4)
Vt1=π・(Rt1/2)2・Lt1 …(5)
Vt1=Wp/dp …(6)
ここで、dpはPVDF系樹脂の比重である。上記(4)〜(6)の式から、PVDF系樹脂フィブリルの平均フィブリル径Rt1を求めることができる。
(3)接着性多孔質層中の細孔の平均孔径
接着性多孔質層中の細孔の平均孔径は、接着性多孔質層の比表面積から、細孔が円柱状であると仮定して下記方法で算出する。
全細孔容積をVt2、円柱状細孔の直径をRt2、円柱状細孔の全長をLt2、空孔率をεとすると、以下の(7)〜(9)の式が成立する。
St・(Wp+Ws)−Ss・Ws=π・Rt2・Lt2 …(7)
Vt2=π(Rt2/2)2・Lt2 …(8)
Vt2=ε・(Wp/dp+Vt2) …(9)
上記(7)〜(9)の式から、接着性多孔質層中の細孔の平均孔径Rt2を求めることができる。
接着性多孔質層中の細孔の平均孔径は、接着性多孔質層の比表面積から、細孔が円柱状であると仮定して下記方法で算出する。
全細孔容積をVt2、円柱状細孔の直径をRt2、円柱状細孔の全長をLt2、空孔率をεとすると、以下の(7)〜(9)の式が成立する。
St・(Wp+Ws)−Ss・Ws=π・Rt2・Lt2 …(7)
Vt2=π(Rt2/2)2・Lt2 …(8)
Vt2=ε・(Wp/dp+Vt2) …(9)
上記(7)〜(9)の式から、接着性多孔質層中の細孔の平均孔径Rt2を求めることができる。
接着性多孔質層は、微多孔膜の片面のみにあるよりも両面にある方が、電池のサイクル特性が優れる観点から好ましい。接着性多孔質層が微多孔膜の両面にあると、セパレータの両面が接着性多孔質層を介して両電極とよく接着するからである。
本発明において接着性多孔質層の膜厚は、電極との接着性と高エネルギー密度を確保する観点から、微多孔膜の片面において0.5〜5μmであることが好ましい。
本発明において接着性多孔質層は、空孔率が30〜60%であることが好ましい。接着性多孔質層の空孔率が30%以上であると、イオン透過性が良好になる。接着性多孔質層の空孔率が60%以下であると、表面開孔率が高過ぎず電極との接着性により優れる。また、空孔率が60%以下であると、電極と接着させるプレス工程に耐え得る力学的強度を確保できる。
本発明において接着性多孔質層の塗工量は、電極との接着性及びイオン透過性の観点から、微多孔膜の片面において0.5〜1.5g/m2であることが好ましい。塗工量が0.5g/m2以上であると、電極との接着性により優れる。一方、塗工量が1.5g/m2以下であると、イオン透過性により優れ、その結果、電池の負荷特性により優れる。
接着性多孔質層が微多孔膜の両面に設けられている場合、接着性多孔質層の塗工量は、両面の合計として1.0g/m2〜3.0g/m2であることが好ましい。
本発明において接着性多孔質層が微多孔膜の両面に設けられている場合、一方の面の塗工量と他方の面の塗工量との差は、両面合計の塗工量に対して20%以下であることが好ましい。20%以下であると、セパレータがカールしにくいので、その結果、ハンドリング性がよく、またサイクル特性が低下する問題が起きにくい。
〔微多孔膜〕
本発明において、微多孔膜は、フィブリル状の樹脂が繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造の膜である。そのため、微多孔膜は、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。
本発明において、微多孔膜は、フィブリル状の樹脂が繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造の膜である。そのため、微多孔膜は、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている。
第一の本発明において、微多孔膜の比表面積から求められる平均孔径は50〜90nmである。微多孔膜の平均孔径が50nm以上であればイオン透過性が優れたものになる。微多孔膜の平均孔径が95nm以下であれば剥離力とスリット性が優れたものになる。微多孔膜の平均孔径が小さい程、接着性多孔質層との接点が増え、剥離力が向上すると考えられるが、一方で微多孔膜の平均孔径が小さすぎると、微多孔膜と接着性多孔質層との界面における空孔が閉塞されてイオン透過性が低下するものと考えられる。つまり、イオン透過性と剥離力はトレードオフの関係にあり、第一の本発明では微多孔膜の平均孔径は50〜90nmであることで、この両方の特性をバランス良く実現している。スリット性は、必ずしも剥離力と相関するものではないが、微多孔膜の平均孔径を90nm以下とすることで、顕著に優れたものとなる。このような観点では、微多孔膜の平均孔径は60nm以上が好ましく、さらには70nm以上が好ましい。また、微多孔膜の平均孔径87nm以下が好ましく、さらに85nm以下が好ましい。
第二の本発明において、微多孔膜の比表面積から求められるフィブリル径は150〜350nmである。微多孔膜のフィブリル径が350nm以下であればイオン透過性が優れたものになる。微多孔膜のフィブリル径が150nm以上であれば剥離力とスリット性が優れたものになる。微多孔膜のフィブリル径が大きい程、接着性多孔質層との接点が増え、剥離力が向上すると考えられるが、一方で微多孔膜のフィブリル径が大きすぎると、微多孔膜と接着性多孔質層との界面における空孔が閉塞されてイオン透過性が低下するものと考えられる。第二の本発明では微多孔膜のフィブリル径を150〜350nmとすることで、イオン透過性と剥離力をバランス良く実現している。また、微多孔膜のフィブリル径を150nm以上とすることで、スリット性が顕著に優れたものとなる。このような観点では、微多孔膜のフィブリル径は155nm以上が好ましく、さらには160nm以上が好ましい。また、微多孔膜のフィブリル径は320nm以下が好ましく、さらには305nm以下が好ましい。
微多孔膜の平均孔径あるいはフィブリル径の制御方法としては特に限定されるものではないが、例えば微多孔膜の製造における各工程条件(例えば原料ポリマーの分子量や、延伸倍率、熱処理条件等)を調整したり、あるいは、上記平均孔径あるいはフィブリル径を満足する微多孔膜を選定することが挙げられる。
また、微多孔膜の平均孔径およびフィブリル径は次の通り求められる。すなわち、上述したように、微多孔膜の比表面積をSsとし、重量をWsとすると、微多孔膜の表面積はSs・Wsで得られる。微多孔膜がフィブリル状繊維質から構成され、細孔が円柱状の孔であると仮定する。フィブリル繊維質の全体積をVs1、全細孔体積をVs2とする。フィブリルの直径をRs1とし、円柱状孔の直径をRs2とし、フィブリル全長をLs1とし、円柱状孔全長をLs2とすると、以下の(10)〜(14)の式が成立する。
Ss・Ws=π・Rs1・Ls1=π・Rs2・Ls2 …(10)
Vs1=π・(Rs1/2)2・Ls1 …(11)
Vs2=π・(Rs2/2)2・Ls2 …(12)
Vs2=ε・(Vs1+Vs2) …(13)
Vs1=Ws/ds …(14)
ここで、εは空孔率、dsは微多孔膜を構成する樹脂の比重である。上記(10)〜(14)の式からRs1(微多孔膜のフィブリル径)とRs2(微多孔膜の平均孔径)を求めることができる。
Ss・Ws=π・Rs1・Ls1=π・Rs2・Ls2 …(10)
Vs1=π・(Rs1/2)2・Ls1 …(11)
Vs2=π・(Rs2/2)2・Ls2 …(12)
Vs2=ε・(Vs1+Vs2) …(13)
Vs1=Ws/ds …(14)
ここで、εは空孔率、dsは微多孔膜を構成する樹脂の比重である。上記(10)〜(14)の式からRs1(微多孔膜のフィブリル径)とRs2(微多孔膜の平均孔径)を求めることができる。
微多孔膜を構成する材料としては、電池内で電気化学的に安定して使用可能な樹脂材料であればいずれでも使用できるが、例えば熱可塑性樹脂や耐熱性樹脂を使用できる。特に、微多孔膜にシャットダウン機能を付与する観点からは、熱可塑性樹脂を使用することが好ましい。ここで、シャットダウン機能とは、電池温度が高まった場合に、熱可塑性樹脂が溶解して微多孔膜中の孔を閉塞することによりイオンの移動を遮断し、電池の熱暴走を防止する機能をいう。熱可塑性樹脂としては、融点200℃未満の熱可塑性樹脂が適当である。
特に、微多孔膜としてはポリオレフィンを用いた微多孔膜が好適である。ポリオレフィン微多孔膜としては、十分な力学物性とイオン透過性を有した、従来の非水系二次電池用セパレータに適用されているポリオレフィン微多孔膜を用いることができる。そして、ポリオレフィン微多孔膜は、上述したシャットダウン機能を有するという観点から、ポリエチレンを含むことが好ましく、ポリエチレンの含有量としては95重量%以上が好ましい。
別途、高温にさらされたときに容易に破膜しない程度の耐熱性を付与するという観点では、ポリエチレンとポリプロピレンとを含むポリオレフィン微多孔膜が好適である。このようなポリオレフィン微多孔膜としては、ポリエチレンとポリプロピレンが1つのシートにおいて混在している微多孔膜が挙げられる。このような微多孔膜においては、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点から、95重量%以上のポリエチレンと、5重量%以下のポリプロピレンを含むことが好ましい。また、シャットダウン機能と耐熱性の両立という観点では、ポリオレフィン微多孔膜が少なくとも2層以上の構造となっており、当該2層のうち一方の層はポリエチレンを含み、他方の層はポリプロピレンを含む積層構造のポリオレフィン微多孔膜も好ましい。
ポリオレフィンの重量平均分子量は10万〜500万のものが好適である。重量平均分子量が10万より小さいと、十分な力学物性を確保するのが困難となる場合がある。また、500万より大きくなると、シャットダウン特性が悪くなる場合や、成形が困難になる場合がある。
このようなポリオレフィン微多孔膜は、例えば以下の方法で製造可能である。すなわち、(i)溶融したポリオレフィン樹脂をT−ダイから押し出してシート化する工程、(ii)上記シートに結晶化処理を施す工程、(iii)シートを延伸する工程、および(iv)シートを熱処理する工程を順次実施して、微多孔膜を形成する方法が挙げられる。また、(i)流動パラフィンなどの可塑剤と一緒にポリオレフィン樹脂を溶融し、これをT−ダイから押し出し、これを冷却してシート化する工程、(ii)シートを延伸する工程、(iii)シートから可塑剤を抽出する工程、および(iv)シートを熱処理する工程を順次実施して微多孔膜を形成する方法等も挙げられる。
本発明において、微多孔膜の膜厚は、良好な力学物性と内部抵抗を得る観点から、5〜25μmの範囲が好適である。微多孔膜のガーレ値(JIS P8117)は、電池の短絡防止や十分なイオン透過性を得る観点から、50〜800秒/100ccの範囲が好適である。微多孔膜の突刺強度は、製造歩留まりを向上させる観点から、300g以上が好適である。
〔セパレータの諸物性〕
本発明において、微多孔膜と接着性多孔質層との間における剥離力は0.10N/cm以上であることが好ましい。剥離力が0.10N/cm以上であれば、セパレータのハンドリング性に優れるようになり、セパレータや電池の製造工程において接着性多孔質層の脱落を好適に防止でき、製造歩留まりの向上を図れる。このような観点では、剥離力は0.14N/cm以上が好ましく、さらに0.20N/cm以上が好ましい。
本発明において、微多孔膜と接着性多孔質層との間における剥離力は0.10N/cm以上であることが好ましい。剥離力が0.10N/cm以上であれば、セパレータのハンドリング性に優れるようになり、セパレータや電池の製造工程において接着性多孔質層の脱落を好適に防止でき、製造歩留まりの向上を図れる。このような観点では、剥離力は0.14N/cm以上が好ましく、さらに0.20N/cm以上が好ましい。
なお、微多孔膜と接着性多孔質層との間における剥離力の制御方法としては特に限定されるものではないが、例えば上述した微多孔膜の平均孔径あるいはフィブリル径の調整の他にも、基材の表面改質(化学的、物理的)、塗工液中のPVDF系樹脂濃度の調整、微多孔膜と接着性多孔質層との界面における接触面積の制御、塗工圧力や塗工ロールのせん断速度、接着性を高めるポリマー(シアノエチルポリビニルアルコールなど)の添加、塗工液のゲル化など、様々な手法を用いることができる。
本発明のセパレータは、機械強度と電池としたときのエネルギー密度の観点から、全体の膜厚が5μm〜35μmであることが好ましく、10μm〜20μmであることがより好ましい。
本発明のセパレータの空孔率は、電極との接着性、機械的強度、及びイオン透過性の観点から、30%〜60%であることが好ましい。
本発明のセパレータのガーレ値(JIS P8117)は、機械強度と膜抵抗のバランスがよい点で、50秒/100cc〜800秒/100ccであることが好ましい。
本発明のセパレータは、イオン透過性の観点から、微多孔膜のガーレ値と、前記微多孔膜上に接着性多孔質層を設けたセパレータのガーレ値との差が、300秒/100cc以下であることが好ましく、150秒/100cc以下であることがより好ましく、100秒/100cc以下であることが更に好ましい。
本発明のセパレータの膜抵抗は、電池の負荷特性の観点から、1ohm・cm2〜10ohm・cm2であることが好ましい。ここで膜抵抗とは、セパレータに電解液を含浸させたときの抵抗値であり、交流法にて測定される。当然、電解液の種類、温度によって異なるが、上記の数値は電解液として1M LiBF4−プロピレンカーボネート/エチレンカーボネート(質量比1/1)を用い、20℃にて測定した数値である。
本発明のセパレータの105℃における熱収縮率は、MD方向、TD方向ともに、10%以下であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲にあると、セパレータの形状安定性とシャットダウン特性のバランスがとれたものとなる。より好ましくは5%以下である。
〔非水系二次電池用セパレータの製造方法〕
上述した本発明の非水系二次電池用セパレータは、例えばPVDF系樹脂を含む溶液を微多孔膜上に直接塗工して、PVDF系樹脂を固化させることで、接着性多孔質層を微多孔膜上に一体的に形成する方法で製造できる。
上述した本発明の非水系二次電池用セパレータは、例えばPVDF系樹脂を含む溶液を微多孔膜上に直接塗工して、PVDF系樹脂を固化させることで、接着性多孔質層を微多孔膜上に一体的に形成する方法で製造できる。
具体的に、まずPVDF系樹脂を溶媒に溶解して、塗工液を作製する。この塗工液を微多孔膜上へ塗工し、適切な凝固液に浸漬する。これにより、相分離現象を誘発しながら、PVDF系樹脂を固化させる。この工程でPVDF系樹脂からなる層は多孔構造となっている。その後、水洗することで凝固液を除去し、乾燥することで接着性多孔質層を微多孔膜上に一体的に形成することができる。
上記の塗工液としては、PVDF系樹脂を溶解する良溶媒を用いることができる。このような良溶媒としては、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミドなどの極性アミド溶媒を好適に用いることができる。良好な多孔構造を形成するという観点においては、上記の良溶媒に加えて、相分離を誘発させる相分離剤を混合させる方が好ましい。このような相分離剤としては、水、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール、ブタンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、あるいはトリプロピレングリコールなどが挙げられる。このような相分離剤は、塗工に適切な粘度が確保できる範囲で添加することが好ましい。また、接着性多孔質層にフィラーやその他添加物を混入させる場合は、上記塗工液中に混合あるいは溶解させればよい。
塗工液の組成は、PVDF系樹脂が3〜10重量%の濃度で含まれていることが好ましい。溶媒としては、適切な多孔構造を形成する観点から、良溶媒を60重量%以上、相分離剤を40重量%以下含む混合溶媒を用いることが好ましい。
凝固液としては、水、水と前記良溶媒の混合溶媒、あるいは、水と前記良溶媒と前記相分離剤の混合溶媒を用いることができる。特に水と良溶媒と相分離剤の混合溶媒が好ましく、その場合、良溶媒と相分離剤の混合比はPVDF系樹脂の溶解に用いた混合溶媒の混合比に合わせた方が生産性の観点から好適である。水の濃度は、良好な多孔構造を形成し、生産性を向上させる観点から、40〜90重量%であることが好ましい。
微多孔膜への塗工液の塗工は、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、グラビアコーターなどの従来の塗工方式を適用可能である。接着性多孔質層を微多孔膜の両面に形成する場合、塗工液を片面ずつ塗工してから凝固、水洗および乾燥することも可能だが、塗工液を両面同時に微多孔膜上に塗工してから凝固、水洗および乾燥する方が、生産性の観点から好適である。
なお、本発明のセパレータは、上述した湿式塗工法以外に、乾式塗工法でも製造することができる。ここで、乾式塗工法とは、PVDF系樹脂と溶媒を含んだ塗工液を微多孔膜上に塗工し、これを乾燥することで溶媒を揮発除去することにより、多孔膜を得る方法をいう。ただし、乾式塗工法の場合、湿式塗工法と比べて塗工膜が緻密膜になり易く、塗工液にフィラー等を添加しなければ多孔質層を得ることは殆ど不可能である。また、このようなフィラー等を添加したとしても、良好な多孔質構造は得られ難い。よって、このような観点からすれば、本発明では湿式塗工法を用いることが好ましい。
〔非水系二次電池〕
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明のセパレータを用いたことを特徴とする。
本発明において、非水系二次電池は、正極および負極の間にセパレータが配置され、これらの電池素子が電解液と共に外装内に封入された構成となっている。非水系二次電池としてはリチウムイオン二次電池が好適である。
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明のセパレータを用いたことを特徴とする。
本発明において、非水系二次電池は、正極および負極の間にセパレータが配置され、これらの電池素子が電解液と共に外装内に封入された構成となっている。非水系二次電池としてはリチウムイオン二次電池が好適である。
正極としては、正極活物質、バインダー樹脂および導電助剤からなる電極層を、正極集電体上に形成した構成を採用できる。正極活物質としては、例えばコバルト酸リチウム、ニッケル酸リチウム、スピネル構造のマンガン酸リチウム、あるいはオリビン構造のリン酸鉄リチウムなどが挙げられる。本発明では、セパレータの接着性多孔質層を正極側に配置した場合、ポリフッ化ビニリデン系樹脂が耐酸化性に優れるため、4.2V以上の高電圧で作動可能なLiMn1/2Ni1/2O2、LiCo1/3Mn1/3Ni1/3O2といった正極活物質を適用しやすくなるという利点もある。バインダー樹脂としては例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。導電助剤としては例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末などが挙げられる。集電体としては例えば厚さ5〜20μmのアルミ箔などが挙げられる。
負極としては、負極活物質、およびバインダー樹脂からなる電極層を、負極集電体上に形成した構成を採用でき、必要に応じて電極層中に導電助剤を添加してもよい。負極活物質としては、例えばリチウムを電気化学的に吸蔵することができる炭素材料や、シリコンあるいは錫などのリチウムと合金化する材料などを用いることができる。バインダー樹脂としては、例えばポリフッ化ビニリデン系樹脂やブチレン−スタジエンゴムなどが挙げられる。導電助剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、黒鉛粉末などが挙げられる。集電体としては例えば厚さ5〜20μmの銅箔などが挙げられる。また、上記の負極に代えて、金属リチウム箔を負極として用いることも可能である。
電解液は、リチウム塩を適切な溶媒に溶かした構成となっている。リチウム塩としては、例えばLiPF6、LiBF4、LiClO4などが挙げられる。溶媒としては、例えばエチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、フロロエチレンカーボネート、ジフロロエチレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびそのフッ素置換体等の鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等の環状エステル、あるいは、これらの混合溶媒を好適に用いることができる。特に、環状カーボネート/鎖状カーボネート=20〜40/80〜60重量比の溶媒に、リチウム塩を0.5〜1.5M溶解したものが好適である。
本発明の非水系二次電池用セパレータは金属缶外装の電池にも適用可能であるが、電極との接着性が良好であるためアルミラミネートフィルム外装のソフトパック電池に好適に用いられる。このような電池を作製する方法は、前記正極および負極をセパレータを介して接合させ、これに電解液を含浸させアルミラミネートフィルム内に封入する。それを熱プレスすることで、非水系二次電池を得ることができる。このような本発明の構成であれば、電極とセパレータを良好に接着でき、サイクル寿命に優れた非水系二次電池を得ることができる。また、電極とセパレータの接着性が良好なため、安全性にも優れた電池となる。電極とセパレータの接合方法は電極とセパレータを積層させていくスタック方式、電極とセパレータを一緒に捲回する方式などがあり、本発明はいずれにも適用可能である。
以下、本発明を実施例により説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[測定方法]
(膜厚)
接触式の厚み計(LITEMATIC ミツトヨ社製)を用いて測定した。測定端子は直径5mmの円柱状のものを用い、測定中には7gの荷重が印加されるように調整して行った。
(膜厚)
接触式の厚み計(LITEMATIC ミツトヨ社製)を用いて測定した。測定端子は直径5mmの円柱状のものを用い、測定中には7gの荷重が印加されるように調整して行った。
(比表面積、平均孔径、フィブリル径)
窒素ガス吸着法によりBET式から比表面積を求めた。測定はNOVA−1200(ユアサアイオニクス社製)を用い、3点法にて行った。微多孔膜および接着性多孔質層の平均孔径あるいはフィブリル径については、測定した比表面積を用い、上述した計算方法により求めた。
窒素ガス吸着法によりBET式から比表面積を求めた。測定はNOVA−1200(ユアサアイオニクス社製)を用い、3点法にて行った。微多孔膜および接着性多孔質層の平均孔径あるいはフィブリル径については、測定した比表面積を用い、上述した計算方法により求めた。
(空孔率)
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の目付がWa、Wb、Wc…、Wn(g/cm2)であり、それぞれの真密度がxa、xb、xc…、xn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式より求めた。
ε={1−(Wa/xa+Wb/xb+Wc/xc+…+Wn/xn)/t}×100
なお、目付は、サンプルを10cm×10cmに切り出して、その重量を測定し、重量を面積で割ることで求めた。
構成材料がa、b、c…、nからなり、構成材料の目付がWa、Wb、Wc…、Wn(g/cm2)であり、それぞれの真密度がxa、xb、xc…、xn(g/cm3)で、着目する層の膜厚をt(cm)としたとき、空孔率ε(%)は以下の式より求めた。
ε={1−(Wa/xa+Wb/xb+Wc/xc+…+Wn/xn)/t}×100
なお、目付は、サンプルを10cm×10cmに切り出して、その重量を測定し、重量を面積で割ることで求めた。
(ガーレ値)
JIS P8117に従い、ガーレ式デンソメータ(G−B2C 東洋精機社製)にて測定した。
JIS P8117に従い、ガーレ式デンソメータ(G−B2C 東洋精機社製)にて測定した。
(剥離力)
サンプルとなるセパレータに対してT字剥離法による試験を行った。具体的には、3M社製のメンディングテープを両面に張り付けたサンプルを10mm幅に切り取り、20mm/minの速度で接着性多孔質層側のテープの端を引張試験機(ORIENTEC社製 RTC−1210A)で引っ張り、微多孔膜から接着性多孔質層を剥離し、その際の剥離応力を測定した。上記測定結果における変位量10mmから40mmまでの応力の平均値を求めた。各サンプルについて同じ測定を3回行い、3つの応力の平均値から総平均を求め、これを剥離力とした。
サンプルとなるセパレータに対してT字剥離法による試験を行った。具体的には、3M社製のメンディングテープを両面に張り付けたサンプルを10mm幅に切り取り、20mm/minの速度で接着性多孔質層側のテープの端を引張試験機(ORIENTEC社製 RTC−1210A)で引っ張り、微多孔膜から接着性多孔質層を剥離し、その際の剥離応力を測定した。上記測定結果における変位量10mmから40mmまでの応力の平均値を求めた。各サンプルについて同じ測定を3回行い、3つの応力の平均値から総平均を求め、これを剥離力とした。
(膜抵抗)
サンプルとなるセパレータを、2.6cm×2.0cmのサイズに切り出した。非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に、切り出したサンプルを浸漬し、風乾した。厚さ20μmのアルミ箔を2.0cm×1.4cmに切り出し、これにリードタブを付けた。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔が短絡しないように、サンプルをアルミ箔間に挟み込んだ。サンプルに電解液(プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートが1対1の重量比で混合した溶媒に1mol/LのLiBF4を溶解させた液体)を含浸させる。これをアルミラミネートパック中に、タブがアルミパックの外に出るようにして、減圧封入した。このようなセルを、アルミ箔中におけるサンプルの枚数が1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製した。該セルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて該セルの抵抗を測定した。測定されたセルの抵抗値を、サンプルの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し傾きを求めた。この傾きに電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じて、サンプル1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm2)を求めた。
サンプルとなるセパレータを、2.6cm×2.0cmのサイズに切り出した。非イオン性界面活性剤(花王社製;エマルゲン210P)を3重量%溶解したメタノール溶液に、切り出したサンプルを浸漬し、風乾した。厚さ20μmのアルミ箔を2.0cm×1.4cmに切り出し、これにリードタブを付けた。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔が短絡しないように、サンプルをアルミ箔間に挟み込んだ。サンプルに電解液(プロピレンカーボネートとエチレンカーボネートが1対1の重量比で混合した溶媒に1mol/LのLiBF4を溶解させた液体)を含浸させる。これをアルミラミネートパック中に、タブがアルミパックの外に出るようにして、減圧封入した。このようなセルを、アルミ箔中におけるサンプルの枚数が1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製した。該セルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて該セルの抵抗を測定した。測定されたセルの抵抗値を、サンプルの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し傾きを求めた。この傾きに電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じて、サンプル1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm2)を求めた。
(ハンドリング性)
セパレータを搬送速度:40m/min、巻き出し張力:0.3N/cm、巻取り張力:0.1N/cmにて搬送させ、搬送後の接着性多孔質層の剥がれの有無を目視により観察した。そして、下記の評価基準にしたがってハンドリング性を評価した。尚、剥がれにより発生した異物としては、搬送時に落下したもの、巻き取りロールの端面に挟まっているもの、ロール表面に観察されるものを数えた。
<評価基準>
A:剥がれがない。
B:剥がれにより発生した異物が1000m2あたり1個以上5個以下である。
C:剥がれにより発生した異物が1000m2あたり5個より多く20個以下である。
D:剥がれにより発生した異物が1000m2あたり20個より多い。
セパレータを搬送速度:40m/min、巻き出し張力:0.3N/cm、巻取り張力:0.1N/cmにて搬送させ、搬送後の接着性多孔質層の剥がれの有無を目視により観察した。そして、下記の評価基準にしたがってハンドリング性を評価した。尚、剥がれにより発生した異物としては、搬送時に落下したもの、巻き取りロールの端面に挟まっているもの、ロール表面に観察されるものを数えた。
<評価基準>
A:剥がれがない。
B:剥がれにより発生した異物が1000m2あたり1個以上5個以下である。
C:剥がれにより発生した異物が1000m2あたり5個より多く20個以下である。
D:剥がれにより発生した異物が1000m2あたり20個より多い。
(スリット性)
セパレータを搬送速度:40m/min、巻き出し張力:0.3N/cm、巻取り張力:0.1N/cmにて搬送し、水平に搬送しながらステンレス製レザー刃を60°の角度で当て、1000mの長さのセパレータをスリットした。そして、下記の評価基準にしたがってスリット性を評価した。なお、0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉としては、スリット中に脱落した部材、スリットされたセパレータの端面に付着した部材を目視により外観観察されるものを数えた。
<評価基準>
A:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が5個以下である。
B:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が5個超10個以下である。
C:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が10個超20個以下である。
D:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が20個超である。
セパレータを搬送速度:40m/min、巻き出し張力:0.3N/cm、巻取り張力:0.1N/cmにて搬送し、水平に搬送しながらステンレス製レザー刃を60°の角度で当て、1000mの長さのセパレータをスリットした。そして、下記の評価基準にしたがってスリット性を評価した。なお、0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉としては、スリット中に脱落した部材、スリットされたセパレータの端面に付着した部材を目視により外観観察されるものを数えた。
<評価基準>
A:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が5個以下である。
B:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が5個超10個以下である。
C:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が10個超20個以下である。
D:0.5mm以上の接着性多孔質層由来の切粉が20個超である。
(電極との接着性)
(i)負極の作製
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダーであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40重量%含む水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、適量の水を双腕式混合機にて攪拌し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを負極集電体である厚さ10μmの銅箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして負極活物質層を有する負極を作製した。
(i)負極の作製
負極活物質である人造黒鉛300g、バインダーであるスチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40重量%含む水溶性分散液7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、適量の水を双腕式混合機にて攪拌し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを負極集電体である厚さ10μmの銅箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして負極活物質層を有する負極を作製した。
(ii)正極の作製
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末を89.5g、導電助剤のアセチレンブラック4.5g、バインダーであるポリフッ化ビニリデンを6重量%となるようにNMPに溶解した溶液をポリフッ化ビニリデンの重量が6重量%となるように双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして正極活物質層を有する正極を作製した。
正極活物質であるコバルト酸リチウム粉末を89.5g、導電助剤のアセチレンブラック4.5g、バインダーであるポリフッ化ビニリデンを6重量%となるようにNMPに溶解した溶液をポリフッ化ビニリデンの重量が6重量%となるように双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして正極活物質層を有する正極を作製した。
(iii)電池の作製
前記作製した正極と負極とをセパレータを介して接合させ、これに電解液をしみ込ませ、この電池素子をアルミラミネートパックに真空シーラーを用いて封入し、熱プレス機によりプレスして、電池を作製した。ここで電解液は1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。プレス条件は印加荷重が電極1cm2当たり20kgの荷重がかかる条件で、温度は90℃、時間は2分とした。
前記作製した正極と負極とをセパレータを介して接合させ、これに電解液をしみ込ませ、この電池素子をアルミラミネートパックに真空シーラーを用いて封入し、熱プレス機によりプレスして、電池を作製した。ここで電解液は1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。プレス条件は印加荷重が電極1cm2当たり20kgの荷重がかかる条件で、温度は90℃、時間は2分とした。
(iv)電極との接着性の評価
上記のようにして作製した電池を解体し、セパレータと電極との接着性を確認した。なお、接着性は、実施例1のセパレータを用いた場合の剥離強度を100としたときの相対値で評価し、剥離強度が80以上であればA、60以上80未満であればB、60未満の場合はCと評価した。
上記のようにして作製した電池を解体し、セパレータと電極との接着性を確認した。なお、接着性は、実施例1のセパレータを用いた場合の剥離強度を100としたときの相対値で評価し、剥離強度が80以上であればA、60以上80未満であればB、60未満の場合はCと評価した。
<第一の本発明の実施例および比較例>
[実施例1−1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.9/1.1mol%、重量平均分子量195万の共重合体(PVDF−HFP)を用いた。該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%の濃度でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=75/25重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを膜厚12μm、ガーレ値230秒/100cc、平均孔径86nm、空孔率40%のポリエチレン(PE)微多孔膜の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=60/30/10重量比の凝固液(30℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層が形成された、非水系二次電池用セパレータを得た。
このセパレータに関して、微多孔膜、接着性多孔質層およびセパレータについての各種物性の測定結果を表1に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表1にまとめて示す。
[実施例1−1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.9/1.1mol%、重量平均分子量195万の共重合体(PVDF−HFP)を用いた。該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%の濃度でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=75/25重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを膜厚12μm、ガーレ値230秒/100cc、平均孔径86nm、空孔率40%のポリエチレン(PE)微多孔膜の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=60/30/10重量比の凝固液(30℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層が形成された、非水系二次電池用セパレータを得た。
このセパレータに関して、微多孔膜、接着性多孔質層およびセパレータについての各種物性の測定結果を表1に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表1にまとめて示す。
[実施例1−2〜1−7、比較例1−1〜1−3]
微多孔膜として表1に示すものを用い、塗工条件を調整して、実施例1−1と同様にして、表1にそれぞれ示す非水系二次電池用セパレータを得た。
微多孔膜として表1に示すものを用い、塗工条件を調整して、実施例1−1と同様にして、表1にそれぞれ示す非水系二次電池用セパレータを得た。
[比較例1−4]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として重量平均分子量157万のポリフッ化ビニリデン(KFポリマー W#7300:クレハ化学社製)を用いた。該ポリフッ化ビニリデンを5重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。この塗工液を、膜厚9μm、ガーレ値160秒/100cc、空孔率43%のポリエチレン微多孔膜(TN0901:SK社製)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで、ポリマーを固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層が形成された、非水系二次電池用セパレータを得た。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として重量平均分子量157万のポリフッ化ビニリデン(KFポリマー W#7300:クレハ化学社製)を用いた。該ポリフッ化ビニリデンを5重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。この塗工液を、膜厚9μm、ガーレ値160秒/100cc、空孔率43%のポリエチレン微多孔膜(TN0901:SK社製)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで、ポリマーを固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層が形成された、非水系二次電池用セパレータを得た。
<第二の本発明の実施例および比較例>
[実施例2−1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.9/1.1mol%、重量平均分子量195万の共重合体(PVDF−HFP)を用いた。該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%の濃度でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=75/25重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを膜厚9μm、ガーレ値223秒/100cc、フィブリル径162nm、空孔率35%のポリエチレン(PE)微多孔膜の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=60/30/10重量比の凝固液(30℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層が形成された、非水系二次電池用セパレータを得た。
このセパレータに関して、微多孔膜、接着性多孔質層およびセパレータについての各種物性の測定結果を表2に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表2にまとめて示す。
[実施例2−1]
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として、フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン=98.9/1.1mol%、重量平均分子量195万の共重合体(PVDF−HFP)を用いた。該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を5重量%の濃度でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=75/25重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを膜厚9μm、ガーレ値223秒/100cc、フィブリル径162nm、空孔率35%のポリエチレン(PE)微多孔膜の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=60/30/10重量比の凝固液(30℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層が形成された、非水系二次電池用セパレータを得た。
このセパレータに関して、微多孔膜、接着性多孔質層およびセパレータについての各種物性の測定結果を表2に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表2にまとめて示す。
[実施例2−2〜2−7、比較例2−1〜2−2]
微多孔膜として表2に示すものを用い、塗工条件を調整して、実施例2−1と同様にして、表2にそれぞれ示す非水系二次電池用セパレータを得た。
微多孔膜として表2に示すものを用い、塗工条件を調整して、実施例2−1と同様にして、表2にそれぞれ示す非水系二次電池用セパレータを得た。
[比較例2−3]
比較例2−3として、上述した比較例1−4と同じものを用意した。
比較例2−3として、上述した比較例1−4と同じものを用意した。
Claims (6)
- フィブリル状のポリオレフィンを含む微多孔膜と、
前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、
前記微多孔膜は、フィブリル状のポリオレフィンが繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造の膜であり、
前記接着性多孔質層は、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂が繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、
前記微多孔膜の比表面積から求められる平均孔径が50nm以上90nm以下である、
非水系二次電池用セパレータ。 - フィブリル状のポリオレフィンを含む微多孔膜と、
前記微多孔膜の片面または両面に設けられ、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備え、
前記微多孔膜は、フィブリル状のポリオレフィンが繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造の膜であり、
前記接着性多孔質層は、フィブリル状のポリフッ化ビニリデン系樹脂が繋がって三次元網目状構造を構成し、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、
前記微多孔膜の比表面積から求められるフィブリル径が150nm以上350nm以下である、
非水系二次電池用セパレータ。 - 前記接着性多孔質層の比表面積から求められるフィブリル径が50nm以上70nm以下である、請求項1または請求項2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記接着性多孔質層の比表面積から求められる平均孔径が、37nm以上74nm以下である、請求項1〜3のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記微多孔膜と前記接着性多孔質層の間における剥離力が0.10N/cm以上である、請求項1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
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