JP4988973B1 - 非水系二次電池用セパレータおよび非水系二次電池 - Google Patents
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Abstract
【選択図】なし
Description
1. 多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも一方の面に形成されたポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、前記接着性多孔質層の結晶化度が20〜35%であることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。
2. 前記多孔質基材の一方の面に成形されている前記接着性多孔質層の重量が0.5〜1.5g/m2であることを特徴とする上記1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
3. 前記接着性多孔質層は前記多孔質基材の表裏両面に形成されていることを特徴とする上記1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
4. 前記多孔質基材の両面に形成された前記接着性多孔質層の両面合計の重量が、1.0g/m2以上3.0g/m2以下であり、前記接着性多孔質層の一面側の重量と他面側の重量の差が、両面合計の重量に対して20%以下であることを特徴とする上記3に記載の非水系二次電池用セパレータ。
5. 前記接着性多孔質層を形成した状態の前記非水系二次電池用セパレータのガーレ値から、前記多孔質基材のガーレ値を減算した値が、300秒/100cc以下であることを特徴とする上記1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
6. 前記多孔質基材がポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
7. 前記多孔質基材がポリエチレンとポリプロピレンとを含むポリオレフィン微多孔膜であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
8. 前記ポリオレフィン微多孔膜が少なくとも2層以上の構造となっており、当該2層のうち一方の層はポリエチレンを含み、他方の層はポリプロピレンを含むことを特徴とする上記7に記載の非水系二次電池用セパレータ。
9. 上記1〜8のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
本発明において、多孔質基材とは内部に空孔ないし空隙を有する基材を意味する。このような基材としては、微多孔膜や、不織布、紙状シート等の繊維状物からなる多孔性シート、あるいは、これら微多孔膜や多孔性シートに他の多孔性層を1層以上積層させた複合多孔質シート等を挙げることができる。なお、微多孔膜とは、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった膜を意味する。
本発明の非水系二次電池用セパレータには、重量平均分子量が10万〜300万のポリフッ化ビニリデン系樹脂が好適に用いられる。重量平均分子量が10万より小さいポリフッ化ビニリデン樹脂を適用すると、電極との接着力が弱く好ましくない。重量平均分子量は、接着力の観点から、50万以上であることがさらに好ましい。また、重量平均分子量が300万より大きくなると成形時の粘度が高く成形することが困難となったり、ポリフッ化ビニリデンからなる多孔構造をえるときに十分な結晶を形成することができず好適な多孔構造を得ることが困難となったりして好ましくない。このような成形性の観点から、重量平均分子量は200万以下がより好ましく、120万以下がさらに好ましい。ここでポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC法)により求めることができる。
本発明の非水系二次電池用セパレータでは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる接着性多孔質層の結晶化度を20〜35%の範囲とする必要がある。ここで、接着性多孔質層とは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含んで構成されており、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった多孔質層を意味する。また、結晶化度はX線回折法より得られた回折ピークの積分強度より求めることができる。
本発明の非水系二次電池用セパレータは、上述したように、多孔質基材と、多孔質基材の少なくとも一方の面に形成されたポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層とを備えている。ここで、接着性多孔質層は、電解液を含んだ状態で熱プレスによって電極と接着する接着層であるため、セパレータの最外層として存在する必要がある。当然、正極、負極両方とセパレータを接着させた方がサイクル寿命の観点から好ましいので、多孔質基材の表裏に接着性多孔質層を形成させた方が好ましい。
上述した本発明の非水系二次電池用セパレータは、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む溶液を多孔質基材上に直接塗工して、ポリフッ化ビニリデン系樹脂を固化させることで、接着性多孔質層を多孔質基材上に一体的に形成する方法で製造できる。
本発明の非水系二次電池は、上述した本発明のセパレータを用いたことを特徴とする。
本発明において、非水系二次電池は、正極および負極の間にセパレータが配置され、これらの電池素子が電解液と共に外装内に封入された構成となっている。非水系二次電池としてはリチウムイオン二次電池が好適である。
(ポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層の結晶化度の測定方法)
セパレータから剥ぎ取ったポリフッ化ビニリデン系樹脂を試料とし、これをX線回折法により結晶化度を求めた。測定には「NANO−Viewer」(リガク社製)を用い、25℃で透過法にて行い、イメージングプレートを用いて検出した。イメージングプレートで得られた2次元データを2θプロファイルに変換し2θ=8〜30°の範囲をカーブフィッティング(ガウス関数/ローレンツ関数=50/50)し、ピークの結晶成分由来の積分強度Ic、非晶成分由来の積分強度Iaを求めた。結晶化度Xc(%)は、下記式1により算出した。
Xc={Ic/(Ic+Ia)}×100 …(1)
接触式の厚み計(LITEMATIC ミツトヨ社製)を用いて測定した。測定端子は直径5mmの円柱状のものを用い、測定中には7gの荷重が印加されるように調整して行った。
サンプルを10cm×10cmに切り出し、その重量を測定した。重量を面積で割ることで目付を求めた。
エネルギー分散型蛍光X線分析装置(EDX−800HS 島津製作所)を用いてFKαのスペクトル強度からポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量を測定した。この測定ではX線を照射した面のポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量が測定される。よって表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層を形成した場合、表裏各々の測定を行うことで表裏各々のポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量が測定され、それを合計することで表裏合計の重量が測定できる。
複合セパレータの空孔率ε(%)は以下の式2から算出した。
ε={1―(Wa/0.95+Wb/1.78)/t}×100 …(2)
ここで、Waは基材の目付(g/m2)、Wbはポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量(g/m2)、tは膜厚(μm)である。
JIS P8117に従い、ガーレ式デンソメータ(G−B2C 東洋精機社製)にて測定した。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂としてフッ化ビニリデン−ヘキサフロロプロピレン共重合体であるARKEM社製のKYNAR2851を用いた。該ポリフッ化ビニリデン系樹脂を8重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=7/3重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを膜厚9μm、ガーレ値160秒/100cc、空孔率43%のポリエチレン微多孔膜(TN0901:SK社製)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=57/30/13重量比の凝固液(10℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することでポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層が形成された本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。このセパレータについて、接着性多孔質層の結晶化度(PVdF系樹脂の結晶化度)、セパレータの膜厚、目付けおよび空孔率、接着性多孔質層の重量(両面の合計重量、表面の重量、裏面の重量、表面側の重量と裏面側の重量差の両面合計重量に対する割合)、およびセパレータのガーレ値の測定結果を表1に示す。なお、以下の実施例および比較例のセパレータについても同様に表1にまとめて示す。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として乳化重合のポリフッ化ビニリデンであるSolvay社製のHylar460を用い、凝固液の温度を40℃に設定した以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを作製した。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として重量平均分子量が573×103のポリフッ化ビニリデンであるSolvay社製のSolef1015を用いた以外は、実施例1と同様にして非水系二次電池用セパレータを作製した。
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/クロロトリフロロエチレン=88.0/6.5/5.5重量比となるポリフッ化ビニリデン系樹脂を乳化重合にて作製した。このポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は41万であった。該ポリフッ化ビニリデンを8重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=55/45重量比である混合溶媒に溶解し、塗工液を作製した。これを膜厚9μm、ガーレ値160秒/100cc、空孔率43%のポリエチレン微多孔膜(TN0901:SK社製)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=50/30/20重量比の凝固液(20℃)に浸漬することで固化させた。これを水洗、乾燥することでポリオレフィン系微多孔膜の表裏両面にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層が形成された本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
実施例1と同様の塗工液、およびポリエチレン微多孔膜を用い、同様の方法で、表1に示したように塗工量のみ変化させて本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
実施例1と同様の塗工液、およびポリエチレン微多孔膜を用い、同様の方法で、表1に示したように表裏の塗工量のみ変化させて本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンの3層構造からなる膜厚12μm、ガーレ値425秒/100cc、空孔率38%のポリオレフィン微多孔膜(M824 セルガード社)をポリオレフィン微多孔膜として用いた以外は、実施例1と同様にして本発明の非水系二次電池用セパレータを得た。
凝固液の温度を40℃とした以外は、実施例1と同様にして非水系二次電池用セパレータを作製した。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として懸濁重合のポリフッ化ビニリデンであるARKEM社製のKYNAR741を用いた以外は、実施例2と同様にして非水系二次電池用セパレータを作製した。
ポリフッ化ビニリデン系樹脂として重量平均分子量が244×103のポリフッ化ビニリデンであるSolvay社製のSolef1008を用いた以外は、実施例3と同様にして非水系二次電池用セパレータを作製した。
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/クロロトリフロロエチレン=96.0/2.5/1.5重量比となるポリフッ化ビニリデン系樹脂を乳化重合にて作製した。このポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は41万であった。該ポリフッ化ビニリデンを用いた以外は実施例4と同様にして非水系二次電池用セパレータを得た。
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/クロロトリフロロエチレン=61.0/20.0/19.0重量比となるポリフッ化ビニリデン系樹脂を乳化重合にて作製した。このポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は41万であった。該ポリフッ化ビニリデンを用い、凝固液の温度を0℃に設定した以外は、実施例4と同様にして非水系二次電池用セパレータを得た。
共重合組成がフッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン/クロロトリフロロエチレン=92.0/4.5/3.5重量比となるポリフッ化ビニリデン系樹脂を乳化重合にて作製した。このポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量は41万であった。該ポリフッ化ビニリデンを12重量%でジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=60/40重量比である混合溶媒に溶解し塗工液を作製した。これを膜厚9μm、ガーレ値160秒/100cc、空孔率43%のポリエチレン微多孔膜(TN0901:SK社製)の両面に等量塗工し、水/ジメチルアセトアミド/トリプロピレングリコール=50/30/20重量比の凝固液(40℃)に浸漬することで固化させ、これを水洗、乾燥することで、ポリオレフィン系微多孔膜にポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層が形成された非水系二次電池用セパレータを得た。
フッ化ビニリデン/ヘキサフロロプロピレン共重合体(クレハ化学社製#8500)の3質量%ジメチルカーボネート溶液を、膜厚9μm、ガーレ値160秒/100cc、空孔率43%のポリエチレン微多孔膜(TN0901:SK社製)の両面に等量塗工し、これを乾燥した。しかし、得られた塗工膜は緻密膜であり、接着性多孔質層を備えた非水系二次電池用セパレータは得られなかった。なお、当該複合膜のガーレ値を測定したところ、2000秒/100cc以上であり、透過性が著しく悪いものであった。
(負極の作製)
負極活物質である人造黒鉛(MCMB25−28 大阪ガス化学社製)300g、バインダーである日本ゼオン製の「BM−400B」(スチレン−ブタジエン共重合体の変性体を40重量%含む水溶性分散液)7.5g、増粘剤であるカルボキシメチルセルロース3g、適量の水を双腕式混合機にて攪拌し、負極用スラリーを作製した。この負極用スラリーを負極集電体である厚さ10μmの銅箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして負極活物質層を有する負極を作製した。
正極活物質であるコバルト酸リチウム(セルシードC 日本化学工業社製)粉末を89.5g、導電助剤のアセチレンブラック(デンカブラック 電気化学工業社製)4.5g、バインダーであるポリフッ化ビニリデン(KFポリマー W#1100 クレハ化学社製)を6重量%となるようにNMPに溶解した溶液をポリフッ化ビニリデンの重量が6重量%となるように双腕式混合機にて攪拌し、正極用スラリーを作製した。この正極用スラリーを正極集電体である厚さ20μmのアルミ箔に塗布し、得られた塗膜を乾燥し、プレスして正極活物質層を有する正極を作製した。
前記作製した正極と負極とをセパレータを介して接合させ、これに電解液をしみ込ませ、この電池素子をアルミラミネートパックに真空シーラーを用いて封入し、試験セルを作製した。ここで電解液は1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。この試験セルを熱プレス機によりプレスした後にセルを解体し剥離強度を測定することで接着性を評価した。プレス条件は2通り試行し、1つ目の条件(接着性テスト1)は、印加荷重が電極1cm2当たり20kgの荷重がかかる条件で行い、温度は90℃、時間は2分とした。2つ目の条件(接着性テスト2)は、印加荷重が電極1cm2当たり20kgの荷重がかかる条件で行い、温度は70℃、時間は2分とした。
実施例1〜4、比較例1〜6について前記の接着性テストを行った。結果は実施例1のセパレータを用いた場合の剥離強度を100としたときの相対値で表2に示す。表2より電極との接着性が正負極ともポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶化度に依存していることが分かり、特にその傾向はバインダー樹脂にスチレン−ブラジエンゴムを適用した負極側で顕著である。この表2の結果よりポリフッ化ビニリデン系樹脂の結晶化度が35%以下ものは電極との接着性が好適であると判断される。
各サンプルについて、接着後のイオン透過性を評価するために、次のようにして電池負荷特性試験を行なった。まず、上述した「電極との接着性テスト」で用いた電極と同様の方法で正極と負極を作製した。この正極と負極にリードタブを溶接し、セパレータを介してこれら正負極を接合させ、電解液をしみ込ませてアルミパック中に真空シーラーを用いて封入した。ここで電解液は1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。これを熱プレス機により電極1cm2当たり20kgの荷重をかけ、90℃、2分の熱プレスを行うことで試験電池を作製した。電池の負荷特性については、25℃にて0.2Cの放電容量を基準にした2Cの相対放電容量を測定し、これを接着後のイオン透過性の指標とした。
各サンプルについて、次のようにして電池サイクル試験を行なった。まず、上述した「電極との接着性テスト」で用いた電極と同様の方法で、正極と負極を作製した。この正極と負極にリードタブを溶接し、セパレータを介してこれら正負極を接合させ、電解液をしみ込ませてアルミパック中に真空シーラーを用いて封入した。ここで電解液は1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用いた。これを熱プレス機により電極1cm2当たり20kgの荷重をかけ、90℃、2分の熱プレスを行うことで試験電池を作製した。充電条件は1C、4.2Vの定電流定電圧充電、放電条件は1C、2.75Vカットオフの定電流放電とし電池サイクル試験を実施した。ここでサイクル特性の指標は100サイクル後の容量維持率とした。
実施例1および5〜8についても前記同様の電極との接着性テスト1を実施した。結果は実施例1のセパレータを用いた場合の剥離強度を100としたときの相対値で表3に示す。結晶化度ほどは影響がないものの、ポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量も接着性に影響していることが分かり、片面の重量が0.5g/m2より小さくなると接着性が低下する傾向が確認された。よって、十分な接着性を確保するという観点において片面のポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量は0.5g/m2以上であることがより好ましい。
実施例1及び5〜8について上記の電池負荷特性試験を行った。0.2C放電容量基準の2Cの相対放電容量を指標とし、その結果を表3に示す。ポリフッ化ビニリデン系樹脂重量が多くなると放電性が低下する傾向が確認されるが、これはポリフッ化ビニリデン系樹脂からなる多孔質層により電池の内部抵抗が増加するためである。片面のポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量が1.5g/m2より大きくなると放電性の低下がやや大きくなることから片面のポリフッ化ビニリデン系樹脂の重量として1.5g/m2以下が特に好ましい。
実施例1、9、10のセパレータを用いた電池について前記の方法に従いサイクル特性評価を行った。その結果を表4に示す。表4よりポリフッ化ビニリデン系樹脂重量の表裏差が大きくなるとサイクル特性が低下していくことが分かる。これは接着性やイオンの移動性が表裏で異なりサイクルを重ねるごとにその不均一性の影響が現れているものと考えられる。また、実施例9,10のセパレータはややカールする傾向にありそのような力学的ひずみも影響している可能性もある。そのような観点からポリフッ化ビニリデン系樹脂重量の表裏差は{|表の重量−裏の重量|}/合計重量}×100を指標とした場合20%以下がより好ましいことが分かる。
実施例1のセパレータと実施例11のセパレータ耐熱性を熱機械物性測定(TMA)により比較した。それぞれのセパレータを幅4mmに切り出しチャック間距離10mmとなるようにセットした。印加荷重10mNとし昇温速度10℃/minで昇温させていき、セパレータが破断する温度を測定した。実施例1のセパレータは155℃で破断が確認されたの対し、実施例11のセパレータは180℃で破断が確認された。ポリプロピレンを適用することは耐熱性の観点からは好ましいことが分かる。
実施例1と比較例1〜6のセパレータについて、各種電解液を用いて、上記と同様にして電極との接着性テスト1を実施した。なお、電解液Aとして1M LiPF6 エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/7重量比)を用い、電解液Bとして1M LiPF6 エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート/エチルメチルカーボネート(3/2/5重量比)を用い、電解液Cとして1M LiPF6 エチレンカーボネート/プロピレンカーボネート(1/1重量比)を用いた。結果を表5に示す。なお、表5には、実施例1のセパレータの正極、負極おのおので得られた剥離強度を100としたときの剥離強度の相対値で表し、正極と負極の剥離強度の平均値が70以上のものについては〇(良好)と記載し、50以上70未満のものについては△(やや良好)と記載し、50未満のものについては×(不良)と記載した。
Claims (9)
- 多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも一方の面に形成されたポリフッ化ビニリデン系樹脂を含む接着性多孔質層と、を備えた非水系二次電池用セパレータであって、
前記接着性多孔質層の結晶化度が20〜35%であることを特徴とする非水系二次電池用セパレータ。 - 前記多孔質基材の一方の面に成形されている前記接着性多孔質層の重量が0.5〜1.5g/m2であることを特徴とする請求項1に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記接着性多孔質層は前記多孔質基材の表裏両面に形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質基材の両面に形成された前記接着性多孔質層の両面合計の重量が、1.0g/m2以上3.0g/m2以下であり、
前記接着性多孔質層の一面側の重量と他面側の重量の差が、両面合計の重量に対して20%以下であることを特徴とする請求項3に記載の非水系二次電池用セパレータ。 - 前記接着性多孔質層を形成した状態の前記非水系二次電池用セパレータのガーレ値から、前記多孔質基材のガーレ値を減算した値が、300秒/100cc以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質基材がポリエチレンを含むポリオレフィン微多孔膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記多孔質基材がポリエチレンとポリプロピレンとを含むポリオレフィン微多孔膜であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 前記ポリオレフィン微多孔膜が少なくとも2層以上の構造となっており、当該2層のうち一方の層はポリエチレンを含み、他方の層はポリプロピレンを含むことを特徴とする請求項7に記載の非水系二次電池用セパレータ。
- 請求項1〜8のいずれかに記載のセパレータを用いた非水系二次電池。
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