JP6303871B2 - セパレータおよびリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
前記結着剤は、ポリアクリル酸がマグネシウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンからなる群から選択される少なくともひとつ以上の金属カチオンで架橋されたポリアクリル酸塩であることを特徴とする。
金属カチオンが5質量%以下であれば、耐熱層スラリーは適切な粘度に調製され、分散後においても無機粒子の凝集を防いで安定なスラリーが保持でき、塗布の際にも良好な塗布面が得られる。
平均重合度が30000以下であれば、耐熱層スラリーは適切な粘度に調製され、分散後においても無機粒子の凝集を防いで安定なスラリーが保持でき、塗布の際にも良好な塗布面が得られる。
本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図2を参照して簡単に説明する。リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液をケース50に収容している。
本実施形態のセパレータ10は、図1に示す通り、多孔質膜14と、多孔質膜14の少なくとも片面に塗布された耐熱層12から成る。
本実施形態の耐熱層12は、結着剤と無機粒子を主成分として構成され、無機粒子間の間隙により通気性を有する膜である。さらに、無機粒子同士の結着力を高めるためにマグネシウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンのいずれか一つ以上の金属カチオンで架橋されたポリアクリル酸塩からなる結着剤を含有している。
本実施形態の無機粒子と結着剤とからなる耐熱層12は、無機粒子間の間隙により通気性を有する膜である。さらに、結着剤は無機粒子同士の結着力を高めるためにマグネシウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンのいずれか一つ以上の金属カチオンで架橋されたポリアクリル酸塩を含有している。
本実施形態の結着剤は、金属カチオンで架橋されたポリアクリル酸塩を含むものであれば、他に特に限定されない
ポリアクリル酸塩の平均重合度は2500〜30000であることが好ましい。平均重合度が2500以上であれば、ポリアクリル酸塩は十分な機械的強度を有し、耐熱層の脱落を抑制することが可能となる。平均重合度が30000以下であれば、耐熱層スラリーは適切な粘度に調製され、分散後においても無機粒子の凝集を防いで安定なスラリーが保持でき、塗布の際にも良好な塗布面が得られる。
金属カチオンは結着剤に対して0.1〜5質量%含まれることが好ましい。金属カチオンが0.1質量%以上であれば、十分に架橋され、機械的強度がより向上する。金属カチオンが5質量%以下であれば、耐熱層スラリーは適切な粘度に調製され、分散後においても無機粒子の凝集を防いで安定なスラリーが保持でき、塗布の際にも良好な塗布面が得られる。
本実施形態の無機粒子は、電気化学的に不活性なものであれば特に制限されず、例えば酸化ケイ素、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム等が挙げられる。これらの内1種を用いても、2種以上を併用しても構わない。
本実施形態のセパレータ10に用いる多孔質膜14としては、ポリオレフィンを主体とする多孔質膜が用いられ、その多孔質膜としては、微細孔膜状、不織布状、紙状、その他三次元ネットワーク状の多孔質構造を有した基材を挙げることができるが、より優れたシャットダウン特性が得られ、かつ、耐熱層の塗工性が良好になる点で、微細孔膜であることが好ましい。
耐熱層12は、有機溶媒または、無機溶媒中に分散された塗料を各種コータ―、スプレー等により、多孔質膜14に塗布した後、塗料中の溶媒を除去することで得られる。塗料の無機粒子の固形分に制限はないが、特定の膜厚にするための粘度等を調整する必要がある。また、溶媒の除去法は特に限定されず、適宜乾燥させる等の方法を用いることができる。このようにして耐熱層12及びセパレータ10が作製される。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質としては、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li(CoxNiyMnz)O2、Li(NixCoyAlz)O2、Li(MnxAly)2O4、Li[LiwMnxNiyCoz]O2、LiVOPO4、LiFePO4等のリチウム含有金属酸化物が挙げられる。バインダーは、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーの材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
次に、本実施形態に係る電極20,30の製造方法について説明する。
上記塗料を、集電体22、32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
本実施形態の電解液は、溶質と溶媒と添加剤にて構成される。
溶質としてはリチウムイオン二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に限定されず公知の材料を用いることができるが、具体的には、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2、LiN(CF3CF2CO)2等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶質としてはLiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPF6がより好ましい。溶質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
溶媒としては、特に限定されず公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
また、添加剤として、公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2,−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
分散性は、分散処理した後スラリーの外観を目視により下記の通り判断する。
○:無機粒子の凝集による目に見える粒などが無く、粘度の著しい上昇も無い
△:無機粒子の凝集が一部ある、または粘度がやや上昇する
×:無機粒子が凝集して粒が目に見える、または粘度が著しく上昇する
○:適切な粘度に調製され、外観ムラなく塗布可能である
△:粘度がやや高い、あるいは低く、外観にややムラが生じる
×:粘度が高すぎる、あるいは低すぎ、外観にムラが生じる
JIS Z0237に準拠して、微多孔膜と耐熱層の剥離強度を測定した。まずサンプルとしてセパレータを横50mm×縦250mmに切り出し、幅20mmの両面粘着テープを張り付けた固定板状に固定した。この固定板を引っ張り試験器の下部チャックで固定し、セパレータの端を180°折り返すように25mm剥がした。この剥がした先に、幅20mm長さ200mmのPETフィルム片を貼り付け、PETフィルム片の逆端を引っ張り試験器の上部チャックに固定した。引っ張り速度300mm/minで測定を行い、測定開始から90mm剥がした時点から100mmの長さの剥離強度の平均値を測定値とした。
下記の実施例に示す通りに作製したセルを充放電試験機で、充放電レートを0.5C(25℃で定電流放電を行ったときに2時間で放電終了となる電流値)でセル電圧が4.35Vとなるまで充電したあとセル電圧が2.8Vとなるまで放電した場合の放電容量を測定した。これを1サイクルとして、400回(400サイクル)繰り返した。初回の放電容量と400サイクル後の放電容量を比較し、初回の放電容量に対しての400サイクル後の放電容量の割合によって、サイクル特性を下記の通りに判定した。
○:初回放電容量に対する400サイクル後の放電容量が80%以上
△:初回放電容量に対する400サイクル後の放電容量が70%以上80%未満
×:初回放電容量に対する400サイクル後の放電容量が70%未満
結着剤を架橋させる金属カチオンは、次の方法で定量可能である。まず、耐熱層を水に分散、溶解させ、遠心分離、あるいはフィルターにより無機粒子を除去した溶液が得られる。この溶液に対してICP分析を行うことで、金属カチオン量の定量が可能である。
無機粒子に酸化アルミニウムを用い、分散剤、カルボキシメチルセルロースがそれぞれ98:1:1となるように秤量し、ここに純水を、純水:酸化アルミニウム=50:50となるように加え、プラネタリミキサーで混合し、分散機で分散させてスラリーを得た。
このスラリーに予めマグネシウムイオンで架橋した、平均重合度15000のポリアクリル酸を、酸化アルミニウム:ポリアクリル酸が95:5になるように加え、さらに純水を、スラリーの固形分が30質量%になるように加え耐熱層スラリーを調製した。なお、マグネシウムイオンの量は耐熱層スラリーの固形分に対して3%となるようにした。このスラリーを、グラビアコーターにより、多孔質膜であるポリエチレンセパレータフィルムに塗布し、乾燥させることで耐熱層を有するセパレータを得た。この時の耐熱層の膜厚は3μmとした。
このセパレータを用い、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を用いた電極を積層し、この積層体をアルミラミネート外装体を用い封入した。その後、電解液として、エチレンカーボネート30体積%とジエチルカーボネート70体積%の混合溶媒にLiPF6を1M(mol/L)溶解させたものを用い、積層体を収納した外装体内に注入し、リチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをカルシウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをストロンチウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをバリウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをアルミニウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをニッケルイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンを銅イオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンを亜鉛イオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをナトリウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをカリウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させるマグネシウムイオンの量を耐熱層スラリーの固形分に対して0.1質量%にした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させるマグネシウムイオンの量を耐熱層スラリーの固形分に対して5質量%にした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
平均重合度15000のポリアクリル酸の代わりに平均重合度2500のポリアクリル酸を使用した点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
平均重合度15000のポリアクリル酸の代わりに平均重合度30000のポリアクリル酸を使用した点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させるマグネシウムイオンの量を耐熱層スラリーの固形分に対して0.05質量%にした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させるマグネシウムイオンの量を耐熱層スラリーの固形分に対して8質量%にした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
平均重合度15000のポリアクリル酸の代わりに平均重合度1000のポリアクリル酸を使用した点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
平均重合度15000のポリアクリル酸の代わりに平均重合度40000のポリアクリル酸を使用した点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
無機粒子に炭酸カルシウム、架橋させる金属カチオンをカルシウムイオンにした点以外は実施例1と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをマグネシウムイオンにした点以外は実施例17と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
架橋させる金属カチオンをアルミニウムイオンにした点以外は実施例13と同様に耐熱層を有するセパレータ、およびリチウムイオン二次電池を作製した。
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂からなる多孔質膜の少なくとも片面に、無機粒子と結着剤とからなる耐熱層を有し、
前記結着剤は、ポリアクリル酸がマグネシウムイオン、アルカリ土類金属イオン、アルミニウムイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオンからなる群から選択される少なくともひとつ以上の金属カチオンで架橋されたポリアクリル酸塩を含むことを特徴とするセパレータ。 - 前記耐熱層に前記金属カチオンが0.1〜5質量%含まれる請求項1に記載のセパレータ。
- 前記ポリアクリル酸塩の平均重合度が2500〜30000であることを特徴とする請求項1または2に記載のセパレータ。
- 前記無機粒子が前記金属カチオンと同じ金属元素を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のセパレータ。
- 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に設けられる請求項1〜4のいずれか1項に記載のセパレータと、非水電解質とを備えることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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