JP6631095B2 - セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents
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Description
これらの機器に使用される電源には、経済性、高性能、小型軽量などの総合的なバランスの良さから、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の需要が伸びている。さらに一部のハイブリッドカーや電気自動車にまで使用されている。また、これらの電子機器では更なる高性能化及び小型化が進められており、リチウムイオン二次電池に関しても信頼性の向上、長寿命化が要求されている。
そこで本発明は、耐熱多孔質層の接着強度を向上させ、脱落が起きにくいセパレータ、およびそれを使用したリチウムイオン二次電池を提供することを目的とした。
これは、耐熱多孔質層内に硫黄元素を含有することにより、無機粒子表面に硫黄元素を含む各種官能基あるいは硫黄元素などを含む無機化合物が生成され、これらの官能基や無機化合物が元々の粒子を構成する無機化合物よりも樹脂とより強固に接着されるために、耐熱多孔質層の無機粒子の脱落を軽減させることが可能であると推察される。
本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図2を参照して簡単に説明する。リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液をケース50に収容している。
本実施形態のセパレータ10は、図1に示す通り、熱可塑性多孔層14と、熱可塑性多孔層14の少なくとも片面に塗布された耐熱多孔質層12から成り、前記耐熱多孔質層12は、樹脂と、無機粒子に硫黄元素を含有させたものからなる。
本実施形態の耐熱多孔質層12 は、樹脂と無機粒子を主成分として、構成され、無機粒子間の間隙により通気性を有する膜である。さらに、無機粒子同士の結着力を高めるためを樹脂とともに硫黄元素を含有している。
耐熱多孔質層の厚さは、適宜選択されるが、0.1〜10μm、好ましくは0.3〜8μmがよい。本実施形態では特に0.5〜5μmの厚さが好ましい。
無機粒子同士を結着させるための樹脂としては、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、寒天、カラギナン、ファーセラン、ペクチン、スターチ、マンナン、カードラン、アーネストガム、澱粉、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等多糖類;ゼラチン等のタンパク質;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、又はこれらの金属塩等の水溶性高分子や、合成重合体エマルジョンの例としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ポリスチレン系重合体ラテックス、ポリブタジェン系重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリウレタン系重合体ラテックス、ポリメチルメタクリレート系重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリアクリレート系重合体ラテックス、塩化ビニル系重合体ラテックス、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン系共重合体エマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド、アルギン酸とその塩、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。このなかでも、水溶性高分子のカルボキシメチルセルロースやポリアクリル酸、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスがコストや結着性向上の点でより好ましい。
本実施形態の無機粒子としては、具体的にはアルミナ、ベーマイト、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などが好適に用いられる。特にアルミナやベーマイトが好ましい。
無機粒子の平均粒子径は0.01〜2μmの範囲が好ましい。無機粒子の平均粒子径が2μmを超えると、耐熱多孔質層を適切な厚みで成形する上で支障をきたすといった不具合が発生しやすい。
また、無機粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、塗膜強度が低下し粉落ちの課題が生じる可能性がある。
このような構成にすることで、電池を高温にした場合でも、セパレータにしわが発生しにくい。従って、容量の劣化が小さくすることができるため好ましい。さらに、耐熱多孔質層の脱落がなく、耐電圧性が高いリチウムイオン二次電池を提供することができるため好ましい。
さらに硫黄元素を耐熱多孔質層の前記多孔質基材とは反対側の表面に偏在させるためには、上述した耐熱多孔質層用の塗料を多孔質基材上に塗布した後、長時間加熱処理すればよい。具体的には、必ずしもこれに限定されるわけではないが、30℃〜100℃の温度で長時間加熱処理することで硫黄元素を耐熱多孔質層内で偏在させることができる。その際の熱処理時間は例えば1時間から48時間が好ましい。
本実施形態の熱可塑性多孔層14は、熱可塑性樹脂からなる多孔質基材であり、特に限定されるものではなく、公知のものならば、いかなる材質の、いかなる製法によるものであってもよい。
好ましくは、重量平均分子量50万〜150万のポリオレフィン類、熱可塑性エラストマーおよびグラフトコポリマーからなる群より選ばれる1種以上の樹脂からなるものが用いられる。
例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
次に、本実施形態に係るセパレータ10の製造方法について説明する。
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質としては、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、例えば、LiCoO2、LiNiO2、LiMn2O4、Li(CoxNiyMnz)O2、Li(NixCoyAlz)O2、Li(MnxAly)2O4、Li[LiwMnxNiyCoz]O2、LiVOPO4、LiFePO4等のリチウム含有金属酸化物が挙げられる。バインダーは、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーの材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(Li4Ti5O12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
次に、本実施形態に係る電極20,30の製造方法について説明する。
上記塗料を、集電体22、32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
本実施形態の電解液は、溶質と溶媒と添加剤にて構成される。
溶質としてはリチウムイオン二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に限定されず公知の材料を用いることができるが、具体的には、LiPF6、LiClO4、LiBF4、LiAsF6、LiCF3SO3、LiCF3CF2SO3、LiC(CF3SO2)3、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(SO2F)2、LiN(CF3CF2CO)2等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶質としてはLiPF6、LiBF4、LiN(SO2F)2がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPF6がより好ましい。溶質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
溶媒としては、特に限定されず公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
また、添加剤として、公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2,−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60,62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
以上、本実施形態のセパレータ、電解液、電極、ならびに、それらを備えるリチウムイオン二次電池およびそれらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(無機粒子の作製)
無機粒子としてアルミナ(平均粒径:0.20μm)を95質量%、硫黄源として硫黄元素を持つ化合物1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)を5質量%を混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。遊星ボールミルのメディアは直径3mmのジルコニアビーズを用い、回転数は500rpmとし、混合時間は60minとした。
その後、アルミナと1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の混合物を電気炉に入れ、窒素雰囲気に置換してから250℃で3時間加熱した。
これを再度、遊星ボールミルを用いて前記と同じ条件で粉砕混合したものを使用した。
耐熱多孔質層の無機粒子として前記の処理を行ったアルミナを30質量%、樹脂としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、水を溶媒として64質量%混合し、さらに遊星ボールミルにて混合し、塗料を作成した。この塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔質膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて1時間乾燥させることで、セパレータとした。耐熱多孔質層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
耐熱多孔質層中の硫黄元素の含有率の測定方法は、X線光電子分光法(XPS)[アルバック−ファイ株式会社製 PHI Quantera II]を用いて測定した。試料調製はAr雰囲気のグローブボックス中で大気非暴露の状態で行った。この測定により、硫黄元素の含有量と、硫酸塩(SO4 2−)もしくは硫酸エステル(R−O−SO2−O−R)の形態で存在していることが確認できる。
なお、硫黄元素の形態を測定するには、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置)により、硫黄元素がDTD等の化合物の形態で存在しているか否かを確認することができる。上記実施例1にて作製したセパレータは、耐熱多孔質層中にDTDとして存在していることを確認している。
剥離強度の試験方法は、23℃、50%RH条件下で引張り試験機[島津製作所社製 AGS−100NX]を用いて、ピール法(剥離速度300mm/分)にて熱可塑性多孔層と耐熱多孔質層の界面での剥離強度を測定した。測定開始から測定終了までの100mmの間において、経時的に測定し、測定値の平均値を算出した。
実施例2、3、4、5、6の作製に際し、無機粒子作製の際のDTDの量を順に4、7、9、11、15質量%として混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において樹脂として、ポリアクリル酸(PAA)を9質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において樹脂として、ポリアクリル酸(PAA)を6質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において樹脂として、ポリアクリル酸(PAA)を5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において樹脂として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量%、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の替わりに、1,3−プロパンスルトン(PS)を5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の替わりに、ジメチルスルホシキドを5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナを95質量%、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)と、1,3−プロパンスルトン(PS)をそれぞれ2.5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりに炭酸カルシウムを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりにベーマイトを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりにベーマイトを93質量%、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)を7質量%合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりにベーマイトを90質量%、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)を10質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
実施例1と同様の方法にて作製したセパレータをさらに70℃、1時間で熱処理した。このセパレータについてまず、耐熱多孔質層表面のX線光電子分光法測定(XPS)をアルバック−ファイ株式会社製[PHI Quantera II]を用いて行ったところ、166eV〜174eVの間にピークが確認でき硫黄元素を含む化合物が存在していることが確認できた。さらに熱可塑性多孔質層を剥離させ熱可塑性多孔質層と接触していた耐熱多孔質層の熱可塑性多孔質層側の表面についてもX線光電子分光法測定を行ったところ、同様に166eV〜174eVの間にピークが確認でき硫黄元素を含む化合物が存在していることが確認できた。またこのセパレータの硫黄の量は、耐熱多孔質層表面は2.4mol%、耐熱多孔質層の熱可塑性多孔質層側の表面は1.3mol%であることが分かった。
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースを、水を溶媒として混合し、塗料を作成した。この塗料を集電体である銅箔(厚さ15μm)にドクターブレード法で塗布し、80℃で乾燥させた後、圧延し、銅箔表面に負極活物質層を形成した。銅箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、ニッケル箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このニッケル箔と上記塗料を塗布し乾燥した後の銅箔とを超音波溶接した。
正極活物質としてLiCoO2、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン、導電助剤としてカーボンブラック及び黒鉛を、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として混合し、塗料を作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード法で塗布し、100℃で乾燥させた後、圧延し、アルミニウム箔表面に正極活物質層を形成した。なお、アルミニウム箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、アルミニウム箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このアルミニウム箔と上記塗料を塗布し乾燥した後のアルミニウム箔とを超音波溶接した。
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPF6を溶解させた。このようにして非水電解液を作製した。
上述のようにして作製した正極、負極、並びにセパレータを所定の寸法に切断した。切断した正極、負極、セパレータを負極、セパレータ、(耐熱多孔質層)、正極の順序で積層し、積層体を作製した。セパレータの耐熱多孔質層は、正極側と対向するように積層した。さらに外装体の中に前記積層体を入れ、上述のようにして作製した電解液を適当量添加し外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。
(セパレータの作製)
耐熱多孔質層の無機粒子としてアルミナを30質量%、樹脂としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、水を溶媒として64質量%混合し、塗料を作製した。この塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔質膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、セパレータとした。耐熱多孔質層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
硫黄元素の含有量の測定方法、および剥離強度の測定方法は実施例1と同じである。
無機粒子として、シリカを使用した。それ以外は比較例1と同じである。
表1に示すとおり、実施例1〜17は剥離強度が改善されていることが確認できる。
Claims (7)
- 熱可塑性樹脂からなる多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも片面に無機粒子と樹脂とを含有する耐熱多孔質層を持ち、
前記耐熱多孔質層は硫黄元素を含む化合物を含有し、
前記無機粒子は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属リン酸塩、金属水酸化物のいずれかであり、
前記硫黄元素を含む化合物は、硫酸エステル、ジメチルスルホキシド、又は1,3−プロパンスルトン(PS)のいずれかである
ことを特徴とするセパレータ。 - 前記耐熱多孔質層をX線光電子分光法で分析したときに、前記硫黄元素のうち少なくとも一部が結合エネルギー166eV〜174eVの間に二つのピークを有することを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
- 前記硫黄元素を含む化合物の量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して0.2〜4mol%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセパレータ。
- 前記硫黄元素を含む化合物は、前記硫酸エステルであり、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセパレータ。
- 前記1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイドの総量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して1〜3mol%であることを特徴とする請求項4に記載のセパレータ。
- 前記樹脂は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、およびポリアクリル酸(PAA)から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載のセパレータ。
- 請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の前記セパレータを、正極と、負極との間に介在させ、電解液とを備え、前記耐熱多孔質層が前記正極と前記多孔質基材との間に配置し、且つ、前記硫黄元素の含有量は耐熱多孔質層の前記多孔質基材とは反対側の表面に多く偏在していることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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