JP6631095B2 - セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 - Google Patents

セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、セパレータ、及びそれを用いたリチウムイオン二次電池に関する。
近年、携帯電話、ビデオカメラ、ノートパソコンなどの携帯情報電子機器の普及に伴い、機器の高性能化、小型化、軽量化が急速に発展している。
これらの機器に使用される電源には、経済性、高性能、小型軽量などの総合的なバランスの良さから、二次電池、特にリチウムイオン二次電池の需要が伸びている。さらに一部のハイブリッドカーや電気自動車にまで使用されている。また、これらの電子機器では更なる高性能化及び小型化が進められており、リチウムイオン二次電池に関しても信頼性の向上、長寿命化が要求されている。
リチウムイオン二次電池用途に適するセパレータとして、各種の熱可塑性多孔層が数多く提案されているが、最近ではさらに安全性信頼性を高めるために、特許文献1のように、基材とするセパレータ上に無機粒子と樹脂を含有した耐熱多孔質層を有する無機コートセパレータが提案されている。このような無機コートセパレータを用いることによって、短絡等で異常電流が流れ、ある程度の高温まで電池内の温度が上昇しても、その温度により破膜することなく、シャットダウンした状態を維持することが可能となると記載されている。
特許第5239302号
しかし前述のような耐熱多孔質層を設けたセパレータの場合、耐熱多孔質層と熱可塑性多孔層の接着力、或いは耐熱多孔質層内の無機粒子と樹脂との接着力が低いと、無機粒子の脱落が問題となることがある。無機粒子の脱落により、電池作製時に無機粒子が周りに飛び散り、製造装置の可動部に入って故障の原因となる可能性がある。また、 無機粒子の脱落が起きた箇所は、他の箇所よりも薄くなるため、その部分の絶縁性が低下してしまう恐れもある。そのような箇所は漏れ電流が増加して自己放電が大きくなり、場合によっては短絡の原因などの悪影響が考えられるため、これを極力防止する必要がある。そのため、脱落が起きないように耐熱多孔質層と熱可塑性多孔層の剥離強度、および耐熱多孔質層内の接着強度を向上させることが重要である。
そこで本発明は、耐熱多孔質層の接着強度を向上させ、脱落が起きにくいセパレータ、およびそれを使用したリチウムイオン二次電池を提供することを目的とした。
上記目的を達成するために、本発明に係るセパレータは、熱可塑性樹脂からなる多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも片面に無機粒子と樹脂とを含有する耐熱多孔質層を持ち、前記耐熱多孔質層は硫黄元素を含有することを特徴とする。
上記本発明に係るセパレータとすることにより、耐熱多孔質層の接着強度を向上させ脱落が起きにくいセパレータを提供できる。
これは、耐熱多孔質層内に硫黄元素を含有することにより、無機粒子表面に硫黄元素を含む各種官能基あるいは硫黄元素などを含む無機化合物が生成され、これらの官能基や無機化合物が元々の粒子を構成する無機化合物よりも樹脂とより強固に接着されるために、耐熱多孔質層の無機粒子の脱落を軽減させることが可能であると推察される。
上記本発明に係るセパレータは、前記耐熱多孔質層をX線光電子分光法で分析したときに、前記硫黄元素のうち少なくとも一部が結合エネルギー166eV〜174eVの間にピークを有することが好ましい。このような構成にすることにより、無機粒子表面が改質され、樹脂の一部と反応するため、より強固に無機粒子と樹脂が接着することができる。
上記本発明に係るセパレータは、前記耐熱多孔質層に、硫黄元素を含む化合物を含有することが好ましい。
上記本発明に係るセパレータは、前記硫黄元素を含む化合物が硫酸エステルであることがより好ましい。このような構成にすることで、より強固に無機粒子と樹脂が接着することができるため好ましい。
上記本発明に係るセパレータは、前記硫黄元素を含む化合物が1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)であることが好ましい。このような構成にすることで、無機粒子と樹脂をさらに強固に接着することができるためより好ましい。
上記本発明に係るセパレータは、前記1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の総量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して1〜3mol%であることが好ましい。このような構成にすることで、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)由来の硫黄元素がセパレータの両面に付着し、密着性が向上し、高温での容量保持率がより高くなるため好ましい。
上記本発明に係るセパレータは、前記無機粒子がアルミナあるいはベーマイトであることが好ましい。このような、硫黄元素を含有するアルミナあるいはベーマイトからなる耐熱多孔質層は、硫黄と反応することにより良好なSEI膜が形成され、正極または負極との密着性が向上すると推察されるので、セパレータの熱収縮を回避し、短絡を未然に防ぐことが可能となるセパレータを提供することができるため好ましい。
上記本発明に係るセパレータの前記樹脂は、スチレン−ブタジレンゴム(SBR)、およびポリアクリル酸(PAA)から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような構成にすることにより、前記耐熱多孔質層と前記多孔質基材の密着性をより向上させたセパレータを提供することができるため好ましい。
上記本発明に係るセパレータであれば、前記セパレータを正極と、負極との間に介在させ、電解液とを備え、前記耐熱多孔質層が前記正極と前記多孔質基材との間に配置し、且つ、前記硫黄元素の含有量は耐熱多孔質層の前記多孔質基材とは反対側の表面に多く偏在していることを特徴とするリチウムイオン二次電池において、耐熱多孔質層の脱落がなく、耐熱多孔質層の薄い欠点部の少ないセパレータを使用することで、耐電圧性が高いリチウムイオン二次電池を提供することができるため好ましい。
本発明によれば、耐熱多孔質層の脱落が起きにくいセパレータ、およびそれを使用したリチウムイオン二次電池を提供することができる。
本実施形態のセパレータの模式断面図である。 本実施形態のリチウムイオン二次電池の模式断面図である。
本発明に係るリチウムイオン二次電池の好適な実施の一例を、図面を参照しつつ詳細に説明する。ただし、本発明のリチウムイオン二次電池は、以下の実施形態に限定されるものではない。なお、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
(リチウムイオン二次電池)
本実施形態に係る電極、及びリチウムイオン二次電池について図2を参照して簡単に説明する。リチウムイオン二次電池100は、主として、積層体40、積層体40を密閉した状態で収容するケース50、及び積層体40に接続された一対のリード60,62を備えている。また図示されていないが、積層体40とともに電解液をケース50に収容している。
積層体40は、正極20、負極30がセパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32上に負極活物質層34が設けられたものである。正極活物質層24及び負極活物質層34がセパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62,60が接続されており、リード60,62の端部はケース50の外部にまで延びている。
以下、正極20及び負極30を総称して、電極20、30といい、正極集電体22及び負極集電体32を総称して集電体22、33といい、正極活物質層24及び負極活物質層34を総称して活物質層24、34という。
(セパレータ)
本実施形態のセパレータ10は、図1に示す通り、熱可塑性多孔層14と、熱可塑性多孔層14の少なくとも片面に塗布された耐熱多孔質層12から成り、前記耐熱多孔質層12は、樹脂と、無機粒子に硫黄元素を含有させたものからなる。
(耐熱多孔質層)
本実施形態の耐熱多孔質層12 は、樹脂と無機粒子を主成分として、構成され、無機粒子間の間隙により通気性を有する膜である。さらに、無機粒子同士の結着力を高めるためを樹脂とともに硫黄元素を含有している。
耐熱多孔質層の厚さは、適宜選択されるが、0.1〜10μm、好ましくは0.3〜8μmがよい。本実施形態では特に0.5〜5μmの厚さが好ましい。
(樹脂)
無機粒子同士を結着させるための樹脂としては、ヒドロキシメチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシエチルセルロース、寒天、カラギナン、ファーセラン、ペクチン、スターチ、マンナン、カードラン、アーネストガム、澱粉、プルラン、グアーガム、ザンサンガム(キサンタンガム)等多糖類;ゼラチン等のタンパク質;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル類;ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のビニルアルコール類;ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸等のポリ酸、又はこれらの金属塩等の水溶性高分子や、合成重合体エマルジョンの例としては、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックス、ポリスチレン系重合体ラテックス、ポリブタジェン系重合体ラテックス、アクリロニトリル−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリウレタン系重合体ラテックス、ポリメチルメタクリレート系重合体ラテックス、メチルメタクリレート−ブタジェン系共重合体ラテックス、ポリアクリレート系重合体ラテックス、塩化ビニル系重合体ラテックス、酢酸ビニル系重合体エマルジョン、酢酸ビニル−エチレン系共重合体エマルジョン、ポリエチレンエマルジョン、カルボキシ変性スチレンブタジエン共重合樹脂エマルジョン、アクリル樹脂エマルジョン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド、アルギン酸とその塩、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)などが挙げられる。このなかでも、水溶性高分子のカルボキシメチルセルロースやポリアクリル酸、スチレン−ブタジエン系共重合体ラテックスがコストや結着性向上の点でより好ましい。
(無機粒子)
本実施形態の無機粒子としては、具体的にはアルミナ、ベーマイト、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などが好適に用いられる。特にアルミナやベーマイトが好ましい。
無機粒子の平均粒子径は0.01〜2μmの範囲が好ましい。無機粒子の平均粒子径が2μmを超えると、耐熱多孔質層を適切な厚みで成形する上で支障をきたすといった不具合が発生しやすい。
また、無機粒子の平均粒子径が0.01μm未満であると、塗膜強度が低下し粉落ちの課題が生じる可能性がある。
無機粒子の含有量は、特に限定はないが、耐熱多孔質層100質量%に対し、10質量%以上、99質量%以下が好ましく、更に好ましくは80質量%以上、98質量%以下である。10質量%以上であれば、リチウムイオン伝導度が高くなる傾向にあり、98質量%以下であれば、耐熱多孔質層の機械的強度が高い傾向にある観点から好ましい。
耐熱多孔質層内に含有される硫黄元素は、どのような形態で存在していてもよく、耐熱多孔質層内に硫黄元素が存在していれば、例えば無機粒子表面に硫黄元素を含む各種官能基あるいは硫黄元素などを含む無機化合物が生成され、これらの官能基や無機化合物が元々の粒子を構成する無機化合物よりも樹脂とより強固に接着されるために、耐熱多孔質層の無機粒子の脱落を軽減させることが可能であると推察される。
上記硫黄元素は、前記耐熱多孔質層をX線光電子分光法で確認することができ、前記硫黄元素のうち少なくとも一部が結合エネルギー166eV〜174eVの間にピークを有することが好ましい。このような構成にすることにより、無機粒子表面が改質され、樹脂の一部と反応するため、より強固に無機粒子と樹脂が接着することができる。
また、上記硫黄元素は化合物として存在していることが好ましい。たとえばその硫黄元素を含む化合物は硫酸エステルであることが好ましい。このような構成にすることで、より強固に無機粒子と樹脂が接着することができる。このときの硫酸エステルの量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して0.2〜4mol%であることが好ましい。
また、硫黄元素を含む化合物としては、特に限定されず公知の材料を用いることができるが、具体的には、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)や、1−ブタンチオールなどのチオール、1,3−プロパンスルトン(PS)などのスルトン、メタンスルホン酸やベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸などのスルホン酸、などが挙げられる。さらに。このときの量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して0.2〜4mol%であることが好ましい。さらに1.2〜3.2mol%であることが好ましく、2.2〜3.1mol%であることがさらに好ましい。
前記化合物は耐熱多孔質層全体に均一に存在してもよいが、無機粒子の表面に偏析していることが好ましい。これにより、前記化合物が無機粒子と吸着、あるいは前記化合物と無機粒子が反応し、例えば無機粒子表面に硫黄元素を含む各種官能基や、無機粒子の硫化物を生成させることができ、その結果無機粒子同士の結着力をさらに向上することができる。また、耐熱多孔質層中の樹脂ともより強固に接着される。そのため耐熱多孔質層の無機粒子の脱落を軽減させることが可能になると推察される。
また本実施形態のセパレータであれば、前記セパレータを正極と、負極との間に介在させ、電解液とを備え、前記耐熱多孔質層が前記正極と前記多孔質基材との間、または前記負極と前記多孔質基材との間に配置し、且つ、前記硫黄元素の含有量は耐熱多孔質層の前記多孔質基材とは反対側の表面に偏在していること好ましい。このような構成にすることによりリチウムイオン二次電池を作製した際、耐熱多孔質層は、電気化学デバイス内で電極と接触することにより反応し、無機粒子間で接着が向上し、正極または負極との密着性が向上する。
このような構成にすることで、電池を高温にした場合でも、セパレータにしわが発生しにくい。従って、容量の劣化が小さくすることができるため好ましい。さらに、耐熱多孔質層の脱落がなく、耐電圧性が高いリチウムイオン二次電池を提供することができるため好ましい。
硫黄元素を前記耐熱多孔質層12に含有させる方法は、特に限定されるものではなく、例えば、あらかじめ無機粒子と、硫黄元素とを持つ化合物と混合し、焼成、水熱合成、メカニカルミリング等の方法で無機粒子表面に固着させてから、樹脂や溶媒と混合させて耐熱多孔質層用の塗料とする方法でも良いし、硫黄元素を持つ化合物を無機粒子、樹脂、溶媒と混合させて耐熱多孔質層用の塗料とする方法でも良い。
さらに硫黄元素を耐熱多孔質層の前記多孔質基材とは反対側の表面に偏在させるためには、上述した耐熱多孔質層用の塗料を多孔質基材上に塗布した後、長時間加熱処理すればよい。具体的には、必ずしもこれに限定されるわけではないが、30℃〜100℃の温度で長時間加熱処理することで硫黄元素を耐熱多孔質層内で偏在させることができる。その際の熱処理時間は例えば1時間から48時間が好ましい。
(熱可塑性多孔層)
本実施形態の熱可塑性多孔層14は、熱可塑性樹脂からなる多孔質基材であり、特に限定されるものではなく、公知のものならば、いかなる材質の、いかなる製法によるものであってもよい。
好ましくは、重量平均分子量50万〜150万のポリオレフィン類、熱可塑性エラストマーおよびグラフトコポリマーからなる群より選ばれる1種以上の樹脂からなるものが用いられる。
例えばポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂、エチレン−アクリルモノマー共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体などの変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
(セパレータ10の製造方法)
次に、本実施形態に係るセパレータ10の製造方法について説明する。
耐熱多孔質層を構成する材料として、上記無機粒子、樹脂及び溶媒を混合する。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。塗料を構成する成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
上記塗料を、熱可塑性多孔層に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、例えば各種コータ―、スプレー等による塗布方法を用いることができる。
続いて、熱可塑性多孔層上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去法は特に限定されず、適宜乾燥させる等の方法を用いることができる。
以上の工程を経て、セパレータ10が作製される。
以上、本発明のセパレータ、およびそれらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
(正極集電体)
正極集電体22は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
正極活物質層24は、本実施形態に係る正極活物質、バインダー、必要に応じた量の導電材を含むものである。
(正極活物質)
正極活物質としては、リチウムイオンを含有し、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、Li(CoNiMn)O、Li(NiCoAl)O、Li(MnAl、Li[LiMnNiCo]O、LiVOPO、LiFePO等のリチウム含有金属酸化物が挙げられる。バインダーは、正極活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合している。
(バインダー)
バインダーは、活物質同士を結合すると共に、正極活物質と正極集電体22とを結合している。
バインダーの材質としては、上述の結合が可能であればよく、例えば、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、エチレン−テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、ポリフッ化ビニル(PVF)等のフッ素樹脂が挙げられる。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、芳香族ポリアミド、セルロース、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリアクリル酸とその塩、アルギン酸とその塩等を用いてもよい。また、スチレン・ブタジエン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物、スチレン・エチレン・ブタジエン・スチレン共重合体、スチレン・イソプレン・スチレンブロック共重合体、その水素添加物等の熱可塑性エラストマー状高分子を用いてもよい。更に、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、プロピレン・α−オレフィン(炭素数2〜12)共重合体等を用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等の高分子化合物にリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩とを複合化させたもの等が挙げられる。
(導電材)
導電材としては、例えば、カーボンブラック類等のカーボン粉末、カーボンナノチューブ、炭素材料、銅、ニッケル、ステンレス、鉄等の金属微粉、炭素材料及び金属微粉の混合物、ITO等の導電性酸化物が挙げられる。
(負極集電体)
負極集電体32は、導電性の板材であればよく、例えば、アルミニウム、銅、ニッケル箔の金属薄板を用いることができる。
(負極活物質)
負極活物質はリチウムイオンを吸蔵・放出可能な化合物であればよく、公知の電池用の負極活物質を使用できる。負極活物質としては、例えば、リチウムイオンを吸蔵・放出可能な黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛)、カーボンナノチューブ、難黒鉛化炭素、易黒鉛化炭素、低温度焼成炭素等の炭素材料、アルミニウム、シリコン、スズ等のリチウムと化合することのできる金属、二酸化シリコン、二酸化スズ等の酸化物を主体とする非晶質の化合物、チタン酸リチウム(LiTi12)等を含む粒子が挙げられる。単位重量あたりの容量の高く、比較的安定な黒鉛を用いることが好ましい。
負極に用いるバインダー、導電材は、それぞれ、正極と同様のものを使用できる。
(電極20,30の製造方法)
次に、本実施形態に係る電極20,30の製造方法について説明する。
上記活物質、バインダー及び溶媒を混合する。必要に応じ導電材を更に加えても良い。溶媒としては例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン等を用いることができる。塗料を構成する成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
上記塗料を、集電体22、32に塗布する。塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。
続いて、集電体22、32上に塗布された塗料中の溶媒を除去する。除去法は特に限定されず、塗料が塗布された集電体22、32を、例えば80℃〜150℃の雰囲気下で乾燥させればよい。
そして、このようにして正極活物質層24、負極活物質層34が形成された電極を必要に応じ、ロールプレス装置等によりプレス処理を行う。ロールプレスの線圧は例えば、10〜50kgf/cmとすることができる。
以上の工程を経て、集電体22、32上に電極活物質層24,34が形成された電極が得られる。
(電解液)
本実施形態の電解液は、溶質と溶媒と添加剤にて構成される。
(溶質)
溶質としてはリチウムイオン二次電池の場合、リチウム塩が用いられる。リチウム塩としては、特に限定されず公知の材料を用いることができるが、具体的には、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(SOF)、LiN(CFCFCO)等が挙げられる。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。溶質としてはLiPF、LiBF、LiN(SOF)がサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、LiPFがより好ましい。溶質の濃度は1種の場合でも2種以上の場合でも、0.8〜1.5Mが好ましい。
(溶媒)
溶媒としては、特に限定されず公知の電気化学デバイスに使用されている溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ―ブチロラクトン、γ―バレロラクトン、ジメトキシメタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキシレン、4−メチル−1,3−ジオキシレン、ギ酸メチル、酢酸メチル、プロピオン酸メチル、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、アセトニトリル、スルホラン、2−メチルスルホラン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルオキサゾリジノンなどが挙げられる。これらの溶媒を単独もしくは複数種類併せて用いることができる。環状カーボネートや鎖状カーボネートがサイクル特性や保存特性の観点から好ましく、エチレンカーボネートやジエチルカーボネートがより好ましい。
(添加剤)
また、添加剤として、公知の添加剤を加えてもよい。例えば、フルオロエチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、1,3−プロパンスルトン、1,3,2−ジオキサチオラン−2,2,−ジオキシド、エチレンサルファイトなどを0.01〜5質量%添加してもよい。
(ケース)
ケース50は、その内部に積層体40及び電解液を密封するものである。ケース50は、電解液の外部への漏出や、外部からの電気化学デバイス100内部への水分等の侵入等を抑止できる物であれば特に限定されない。例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミニウム箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
(リード)
リード60,62は、アルミニウム等の導電材料から形成されている。
そして、公知の方法により、リード62、60を正極集電体22、負極集電体32にそれぞれ溶接し、図2に示す通り、正極20の正極活物質層24と負極30の負極活物質層34との間にセパレータ10を挟んだ状態で、電解液(図2には図示していない。)と共にケース50内に挿入し、ケース50の入り口をシールすればよい。
以上、本実施形態のセパレータ、電解液、電極、ならびに、それらを備えるリチウムイオン二次電池およびそれらの製造方法の好適な一実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
(無機粒子の作製)
無機粒子としてアルミナ(平均粒径:0.20μm)を95質量%、硫黄源として硫黄元素を持つ化合物1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)を5質量%を混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。遊星ボールミルのメディアは直径3mmのジルコニアビーズを用い、回転数は500rpmとし、混合時間は60minとした。
その後、アルミナと1,3,2−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の混合物を電気炉に入れ、窒素雰囲気に置換してから250℃で3時間加熱した。
これを再度、遊星ボールミルを用いて前記と同じ条件で粉砕混合したものを使用した。
(セパレータの作製)
耐熱多孔質層の無機粒子として前記の処理を行ったアルミナを30質量%、樹脂としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、水を溶媒として64質量%混合し、さらに遊星ボールミルにて混合し、塗料を作成した。この塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔質膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて1時間乾燥させることで、セパレータとした。耐熱多孔質層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
(硫黄元素の含有量の測定)
耐熱多孔質層中の硫黄元素の含有率の測定方法は、X線光電子分光法(XPS)[アルバック−ファイ株式会社製 PHI Quantera II]を用いて測定した。試料調製はAr雰囲気のグローブボックス中で大気非暴露の状態で行った。この測定により、硫黄元素の含有量と、硫酸塩(SO 2−)もしくは硫酸エステル(R−O−SO−O−R)の形態で存在していることが確認できる。
(硫黄元素の形態の測定)
なお、硫黄元素の形態を測定するには、TOF−SIMS(飛行時間型二次イオン質量分析装置)により、硫黄元素がDTD等の化合物の形態で存在しているか否かを確認することができる。上記実施例1にて作製したセパレータは、耐熱多孔質層中にDTDとして存在していることを確認している。
[剥離強度の測定]
剥離強度の試験方法は、23℃、50%RH条件下で引張り試験機[島津製作所社製 AGS−100NX]を用いて、ピール法(剥離速度300mm/分)にて熱可塑性多孔層と耐熱多孔質層の界面での剥離強度を測定した。測定開始から測定終了までの100mmの間において、経時的に測定し、測定値の平均値を算出した。
(実施例2〜6)
実施例2、3、4、5、6の作製に際し、無機粒子作製の際のDTDの量を順に4、7、9、11、15質量%として混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例7)
セパレータの作製において樹脂として、ポリアクリル酸(PAA)を9質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例8)
セパレータの作製において樹脂として、ポリアクリル酸(PAA)を6質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例9)
セパレータの作製において樹脂として、ポリアクリル酸(PAA)を5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例10)
セパレータの作製において樹脂として、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を5質量%、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例11)
セパレータの作製において1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の替わりに、1,3−プロパンスルトン(PS)を5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例12)
セパレータの作製において1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)の替わりに、ジメチルスルホシキドを5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例13)
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナを95質量%、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)と、1,3−プロパンスルトン(PS)をそれぞれ2.5質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例14)
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりに炭酸カルシウムを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例15)
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりにベーマイトを使用した。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例16)
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりにベーマイトを93質量%、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)を7質量%合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例17)
セパレータの作製において無機粒子としてアルミナの替わりにベーマイトを90質量%、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)を10質量%混合し、遊星ボールミルを用いて混合を行った。それ以外は実施例1と同じである。
(実施例18)
実施例1と同様の方法にて作製したセパレータをさらに70℃、1時間で熱処理した。このセパレータについてまず、耐熱多孔質層表面のX線光電子分光法測定(XPS)をアルバック−ファイ株式会社製[PHI Quantera II]を用いて行ったところ、166eV〜174eVの間にピークが確認でき硫黄元素を含む化合物が存在していることが確認できた。さらに熱可塑性多孔質層を剥離させ熱可塑性多孔質層と接触していた耐熱多孔質層の熱可塑性多孔質層側の表面についてもX線光電子分光法測定を行ったところ、同様に166eV〜174eVの間にピークが確認でき硫黄元素を含む化合物が存在していることが確認できた。またこのセパレータの硫黄の量は、耐熱多孔質層表面は2.4mol%、耐熱多孔質層の熱可塑性多孔質層側の表面は1.3mol%であることが分かった。
また実施例18と同様の方法にて作製したセパレータを用いリチウムイオン二次電池の作製を行った。以降、順に負極、正極、電解液の作製手順を説明する。
(負極の作製)
負極活物質として人造黒鉛、バインダーとしてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロースを、水を溶媒として混合し、塗料を作成した。この塗料を集電体である銅箔(厚さ15μm)にドクターブレード法で塗布し、80℃で乾燥させた後、圧延し、銅箔表面に負極活物質層を形成した。銅箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、ニッケル箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このニッケル箔と上記塗料を塗布し乾燥した後の銅箔とを超音波溶接した。
(正極の作製)
正極活物質としてLiCoO、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン、導電助剤としてカーボンブラック及び黒鉛を、N−メチル−2−ピロリドンを溶媒として混合し、塗料を作製した。この塗料を集電体であるアルミニウム箔(厚さ20μm)にドクターブレード法で塗布し、100℃で乾燥させた後、圧延し、アルミニウム箔表面に正極活物質層を形成した。なお、アルミニウム箔には、外部引き出し端子を接続するために、塗料を塗布しない部分を設けておいた。外部引き出し端子としては、外装体とのシール性を向上させる目的で、アルミニウム箔に、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレンを巻き付けたものを用意した。このアルミニウム箔と上記塗料を塗布し乾燥した後のアルミニウム箔とを超音波溶接した。
(電解液の作製)
エチレンカーボネートを30体積%、ジエチルカーボネートを70体積%の割合で混合した溶液に、濃度1MでLiPFを溶解させた。このようにして非水電解液を作製した。
(リチウムイオン二次電池セルの作製)
上述のようにして作製した正極、負極、並びにセパレータを所定の寸法に切断した。切断した正極、負極、セパレータを負極、セパレータ、(耐熱多孔質層)、正極の順序で積層し、積層体を作製した。セパレータの耐熱多孔質層は、正極側と対向するように積層した。さらに外装体の中に前記積層体を入れ、上述のようにして作製した電解液を適当量添加し外装体を真空密封し、リチウムイオン二次電池を作製した。
上記のように作製したリチウムイオン二次電池を24時間放置後、分解し、積層体を取り出し正極とセパレータを剥離したところ、正極表面には耐熱多孔質層の一部が付着していたことから正極と耐熱多孔質層との密着性は極めて高いことが分かった。

(比較例1)
(セパレータの作製)
耐熱多孔質層の無機粒子としてアルミナを30質量%、樹脂としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)を5質量%、増粘剤としてカルボキシメチルセルロースを1質量%、水を溶媒として64質量%混合し、塗料を作製した。この塗料を熱可塑性高分子であるポリオレフィンを主体とする多孔質膜(厚さ16μm)の片面に市販のバーコーターを用いて塗布し、60℃にて5分間乾燥させることで、セパレータとした。耐熱多孔質層の厚さは約3μmとなるように塗布量を調整した。
硫黄元素の含有量の測定方法、および剥離強度の測定方法は実施例1と同じである。
(比較例2)
無機粒子として、シリカを使用した。それ以外は比較例1と同じである。
表1に実施例1〜17までの実施例及び比較例1、2について、耐熱多孔質層中の無機粒子の種類(表中、無機粒子と記載。)、硫黄源の種類(表中、硫黄源と記載。)、耐熱多孔質層中の樹脂の種類(表中、樹脂と記載。)、耐熱多孔質層中の硫黄含有率(表中、硫黄量)の分析結果と、ともに剥離試験の結果を示す。
表1に示すとおり、実施例1〜17は剥離強度が改善されていることが確認できる。
また実施例1および3にて作製したセパレータの耐熱多孔質層表面のX線光電子分光法測定(XPS)をアルバック−ファイ株式会社製[PHI Quantera II]を用いて行ったところ、166eV〜174eVの間にピークが確認でき硫黄元素を含む化合物が存在していることが確認できた。さらにいずれのセパレータも169.8eVと170.3eVにピークをもちピークが2つあることが確認できた。これは硫黄を含んだ化合物がその一部が変化していることを意味していることから、このような硫黄を含んだ化合物がいわゆる活性化している状態であることにより、より優れた剥離強度特性をえているものと推察される。
Figure 0006631095
以上に示すように、本発明によって、耐熱多孔質層の無機粒子の脱落が起きにくいセパレータを提供することができる。
10・・・セパレータ、12・・・耐熱多孔質層、14・・・熱可塑性多孔層、20・・・正極電極、30…負極電極、22…正極集電体、24…正極活物質層、32…負極集電体、34…負極活物質層、40…積層体、50…ケース、52・・・金属箔、54・・・高分子膜、60,62…リード、100…リチウムイオン二次電池。

Claims (7)

  1. 熱可塑性樹脂からなる多孔質基材と、前記多孔質基材の少なくとも片面に無機粒子と樹脂とを含有する耐熱多孔質層を持ち、
    前記耐熱多孔質層は硫黄元素を含む化合物を含有し、
    前記無機粒子は、金属酸化物、金属炭酸塩、金属リン酸塩、金属水酸化物のいずれかであり、
    前記硫黄元素を含む化合物は、硫酸エステル、ジメチルスルホキシド、又は1,3−プロパンスルトン(PS)のいずれかである
    ことを特徴とするセパレータ。
  2. 前記耐熱多孔質層をX線光電子分光法で分析したときに、前記硫黄元素のうち少なくとも一部が結合エネルギー166eV〜174eVの間に二つのピークを有することを特徴とする請求項1に記載のセパレータ。
  3. 前記硫黄元素を含む化合物の量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して0.2〜4mol%であることを特徴とする請求項1又は2に記載のセパレータ。
  4. 前記硫黄元素を含む化合物は、前記硫酸エステルであり、1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイド(DTD)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のセパレータ。
  5. 前記1,3,2,−ジオキサチオラン−2,2−ジオキサイドの総量は、前記耐熱多孔質層の全元素に対して1〜3mol%であることを特徴とする請求項4に記載のセパレータ。
  6. 前記樹脂は、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、およびポリアクリル酸(PAA)から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜5のいずれか一項に記載のセパレータ。
  7. 請求項1〜6のうちいずれか一項に記載の前記セパレータを正極と、負極との間に介在させ、電解液とを備え、前記耐熱多孔質層が前記正極と前記多孔質基材との間に配置し、且つ、前記硫黄元素の含有量は耐熱多孔質層の前記多孔質基材とは反対側の表面に多く偏在していることを特徴とするリチウムイオン二次電池。
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