JP7032793B2 - 多孔質ポリアミドイミド被膜の形成方法 - Google Patents

多孔質ポリアミドイミド被膜の形成方法 Download PDF

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Description

本発明は、例えば、リチウム二次電池、キャパシタ、コンデンサ等の蓄電素子の電極やセパレータ製造に有用な多孔質ポリアミドイミド(PAI)被膜の形成方法に関する。
リチウム二次電池等の蓄電素子に用いられる電極において、過充電等により、熱暴走が起こった場合、電極表面の傷および/または凹凸が原因となって、電極に接しているセパレータの電気絶縁性が破壊され、電気的な内部短絡が発生することがある。
このような内部短絡を防止するため、多孔質構造の電極活物質層表面に、耐熱性を有するPAI等のポリイミド(PI)系溶液を塗布することにより、多孔質PI被膜を設ける方法が提案されている。このような方法において、多孔質PI被膜を設けた電極は、気孔中に電解液を充填してイオン伝導性を発現させることにより、蓄電素子電極として使用される。従い、これらの多孔質PI被膜は、高いイオン透過性を有することが必要である。例えば、特許文献1には、PI溶液を用い、被膜形成用の塗膜を活物質層表面に形成した後、その乾燥前に、貧溶剤を含む凝固浴に浸漬して塗膜の相分離を起こさせて多孔質被膜を形成させることが提案されている。また、特許文献2には、酸化鉄、シリカ、アルミナ等の微粒子をフィラとしてPI溶液等に配合した塗液を用い、多孔質膜とする方法が提案されている。しかしながら、これらの塗液を用いて得られる積層電極は、活物質層と多孔質被膜との接着性が低いため、短絡に対する防止効果は、必ずしも充分なものではなく、電池の安全性確保の観点から改善すべき点があった。また、このような電極は、活物質の体積変化にともなう応力緩和も充分ではなく、したがって電極のサイクル特性の改善は必ずしも充分ではなかった。また、水やアルコール等の貧溶媒を含む凝固浴を用いて相分離を起こさせる方法で得られる積層電極は、活物質層全体が凝固浴と接するので、その貧溶媒が活物質層本来の特性を損なうことがあった。さらに、この方法については、凝固浴から貧溶媒を含む廃液が発生するので、環境適合性の観点から、製造方法としても問題があった。
これらの問題点を解決する方法として、特許文献3には、PAIを含む特定の溶液を用い、これを電極活物質層表面に塗布して塗膜を形成した後、この塗膜を乾燥する際に、塗膜中で相分離を起こさせて多孔質PAI被膜を得る方法が提案されている。
特許文献3に記載された方法は、多孔質PAI被膜を形成させる方法として優れた方法ではあるが、電極活物質層等多孔質基材との界面における密着性が強くなり過ぎることがあり、それがために、PAI被膜のイオン透過性が充分に高くならないことがあった。
特開平11-185731号公報 特開2011-233349号公報 国際公開2014/106954号
そこで本発明は、前記課題を解決するものであって、イオン透過性がより高められたPAI被膜の形成方法の提供を目的とする。
蓄電素子の電極やセパレータ等の多孔質基材上にPAI溶液を塗布後、乾燥することにより相分離現象を誘起せしめPAIを多孔質化するに際し、溶媒構成を特定のものとしたPAI溶液を用いることにより、前記課題が解決されることを見出し、本発明の完成に至った。
本発明は下記を趣旨とするものである。
<1> アミド系溶媒(溶媒A)と、アミド系以外の溶媒(溶媒B)とを含む均一なPAI溶液を、多孔質基材上に塗布後、乾燥することにより相分離現象を誘起せしめPAIを多孔質化するに際し、溶媒組成を以下の組成とすることを特徴とする多孔質PAI被膜の形成方法。
(1) 溶媒Bは、テトラグライムおよび/またはトリグライム(溶媒C)と、炭化水素系溶媒および/またはエーテル系溶媒(テトラグライムとトリグライムを除く)」(溶媒D)とを含有し、溶媒Cと溶媒Dとの混合比率が、98:2~40:60(質量比)である。
(2) 溶媒Aと、溶媒Bとの混合比率が、5:95~50:50(質量比)である。
<2> 多孔質基材が、蓄電素子の活物質層である前記多孔質PAI被膜の形成方法。
本発明により多孔質基材上に形成されたPAI被膜は、イオン透過性に優れるので、安全性に優れた蓄電素子電極やセパレータ等に適用される被膜として好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の多孔質PAI被膜形成方法においては、均一なPAI溶液を用いる。
PAIは、主鎖にイミド結合とアミド結合の両方を有する耐熱性高分子であり、例えば、原料であるトリカルボン酸無水物とジイソシアネートとの重合反応を行うことにより得ることができる。
トリカルボン酸無水物としては、トリメリット酸無水物(TMA)が好ましい。ここで、トリカルボン酸無水物の一部が、ピロメリット酸二無水物、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物等のテトラカルボン酸二無水物に置換されたものを用いてもよい。また、トリカルボン酸無水物の一部が、テレフタル酸、シクロヘキサンジカルボン酸等のジカルボン酸に置換されたものを用いてもよい。
ジイソシアネートとしては、例えば、m-フェニレンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、4,4′-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、4,4′-ジフェニルエーテルジイソシアネート、ジフェニルスルホン-4,4′-ジイソシアネート、ジフェニルー4,4′-ジイソシアネート、o-トリジンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネートが用いられる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、MDIが好ましい。
本発明で用いられるPAI溶液は、均一な溶液であり、下記の溶媒組成を有する。
(1)溶媒Cと溶媒Dとの混合比率が、98:2~40:60(質量比)である。
(2)溶媒Aと溶媒Bとの混合比率が、5:95~50:50(質量比)である。
ここで、溶媒Aの具体例としては、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)を挙げることができる。これらを単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、溶媒Dの具体例としては、以下の溶媒を挙げることができる。すなわち、炭化水素系溶媒の具体例としては、n―ヘキサン、シクロヘキサン、n―ヘプタン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン(o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン)等を挙げることができる。テトラグライムまたはトリグライム以外のエーテル系溶媒の具体例としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、グライム、ジグライム、ジオキサン等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶媒組成をこのように規定することにより、多孔質PAI被膜とした際に、イオン透過性をより高めることができる。
本発明で用いられるPAI溶液は、均一な溶液である。ここで、均一な溶液とは、可視光線に対して透明な溶液をいう。
このような均一溶液を用いることにより、塗膜乾燥時に均一な相分離現象が誘起される。従い、例えば、特開2007-269575号公報に開示されたような、ミクロ相分離した、不均一なPAI溶液は好ましくない。
本発明で用いられるPAI溶液は、例えば、原料であるトリカルボン酸無水物とジイソシアネートとを略等モルで配合し、これを、溶媒Aまたは溶媒Aと溶媒Cとからなる混合溶媒を用い、150℃~200℃で、重合反応させた溶液に、溶媒Dを添加することにより得ることができる。溶媒Dを添加する際は、必要に応じ、溶媒Aまたは溶媒Bを添加することができる。
本発明で用いられるPAI溶液は、以下のような製造方法で製造することもできる。すなわち、固体状のPAIを前記混合溶媒に溶解せしめてPAI溶液とする。固体状のPAIとしては、例えば、ソルベイアドバンストポリマーズから市販されているものを用いることができる。
PAI溶液中におけるPAIの固形分濃度は、1~50質量%が好ましく、10~30質量%がより好ましい。また、PAI溶液の30℃における粘度は、1~150Pa・sが好ましく、2~100Pa・sがより好ましい。
PAI溶液には、フィラを配合することができる。このフィラの種類に制限は無く、有機フィラ、無機フィラおよびその混合物等を用いることができる。有機フィラの具体例としては、例えば、スチレン、ビニルケトン、アクリロニトリル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート、アクリル酸メチル等の単独または2種類以上の共重合体、ポリテトラフルオロエチレン、4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体、4フッ化エチレン-エチレン共重合体、ポリビニリデンフルオライド等のフッ素系樹脂等の重合体からなる粉体を挙げることができる。有機フィラは、単独または2種以上を混合して用いることができる。無機フィラとしては、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属水酸化物、炭酸塩、硫酸塩等の無機物からなる粉体を挙げることができる。具体例としては、アルミナ、シリカ、二酸化チタン、硫酸バリウムまたは炭酸カルシウム等からなる粉体を挙げることができる。無機フィラは、単独または2種以上を混合して用いることができる。
PAI溶液には、必要に応じて、各種界面活性剤や有機シランカップリング剤のような公知の添加物を、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。また、必要に応じて、PAI以外の他のポリマーを、本発明の効果を損なわない範囲で添加してもよい。
前記のようにして得られたPAI溶液を、多孔質基材上に塗布後、乾燥することにより相分離現象を誘起せしめ、多孔質基材表面に積層一体化された多孔質PAI被膜を形成させることができる。
多孔質基材に制限はないが、具体例としては、リチウム二次電池等蓄電素子電極の活物質層やリチウム二次電池等蓄電素子に用いられるセパレータ等を挙げることができる。ここで、リチウム二次電池用電極とは、リチウムイオン二次電池を構成する電極であって、正極活物質層が正極集電体に接合された正極、もしくは、負極活物質層が負極集電体に接合された負極をいう。電極活物質層は、正極活物質層と負極活物質層の総称である。
正極または負極の集電体としては、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔、アルミ箔等の金属箔を使用することができる。正極活物質層は、正極活物質粒子を樹脂バインダで結着して得られる層である。正極活物質粒子として用いられる材料としては、リチウムイオンを吸蔵保存できるものが好ましく、リチウム二次電池の正極活物質として一般に用いられるものを挙げることができる。例えば、酸化物系(LiCoO、LiNiO、LiMn等)、リン酸鉄系(LiFePO、LiFePOF等)、高分子化合物系(ポリアニリン、ポリチオフェン等)等の活物質粒子を挙げることができる。正極活物質層には、その内部抵抗を低下させるため、カーボン(黒鉛、カーボンブラック等)粒子や金属(銀、銅、ニッケル等)粒子等の導電性粒子が、1~30質量%程度配合されていてもよい。 負極活物質層は、負極活物質粒子を樹脂バインダで結着して得られる層である。負極活物質粒子として用いられる材料としては、リチウムイオンを吸蔵保存できるものが好ましく、リチウム二次電池の負極活物質として一般に用いられるものを挙げることができ、例えば、グラファイト、アモルファスカーボン、シリコン系、錫系等の活物質粒子を挙げることができる。負極活物質層には、その内部抵抗を低下させるため、カーボン(黒鉛、カーボンブラック等)粒子や金属(銀、銅、ニッケル等)粒子等の導電性粒子が、1~30質量%程度配合されていてもよい。活物質粒子を結着させるための樹脂バインダの具体例としては、ポリフッ化ビニリデン、ビニリデンフロライド-ヘキサフルオロプロピレン共重合体、ビニリデンフロライド-テトラフルオロエチレン共重合体、スチレン・ブタジエン共重合ゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリイミド系高分子(ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステルイミド等)等を挙げることができる。
電極活物質層の気孔率は、通常、正極、負極いずれも10~50体積%である。また、電極活物質層の厚みは、通常20~200μm程度である。
多孔質基材として、電極活物質層を用いる場合は、PAI溶液を、電極活物質層上に、塗布後、塗膜を100℃~200℃で乾燥することにより、多孔質PAI被膜を形成させることができる。乾燥の際、PAI溶液中の溶媒C(PAIに対する貧溶媒)の作用で、塗膜内で相分離が起こり、多孔質PAI被膜となる。この際、溶媒Dの効果で、イオン透過性をより高めることができる。
ここで、必要に応じ、得られたPAI多孔質層の表面に、サンドブラスト処理やスクラッチブラスト処理等の物理的な研磨処理、もしくは化学的なエッチング処理を行うことができる。これにより、多孔質PAI被膜の表面開孔率が上昇するので、多孔質PAI被膜のイオン透過性を高めることができる。
多孔質PAI被膜の気孔率は、30~90体積%とすることが好ましい。ここで、気孔率は、多孔質PAI被膜の見掛け密度と、PAIの真密度(比重)とから算出される値である。詳細には、気孔率(体積%)は、多孔質PAI被膜の見掛け密度がA(g/cm)、PAIの真密度がB(g/cm)の場合、次式により算出される。
気孔率(体積%) = 100-A*(100/B)
気孔率をこのように設定することにより、良好なイオン透過性が確保される。イオン透過性の良否は、電池を構成する電解液用の溶媒を電極表面に滴下した際の、その溶媒の浸透時間から判定することができる。その判定方法の詳細は後述する。前記電極においては、この浸透時間が80秒以下であることが好ましく、60秒以下であることがより好ましい。浸透時間が80秒以下の場合、良好なイオン透過性を有すると判定することができる。なお、活物質層上に形成される多孔質PAI被膜の厚さは、通常1~100μmであり、1~20μmとすることが好ましい。
以上、PAI溶液を用いて、リチウム二次電池の活物質層上に多孔質PAI被膜を形成させる本発明の方法について詳述したが、この場合と同様にして、リチウム二次電池等蓄電素子用セパレータの表面に多孔質PAI層を形成させることができる。 前記セパレータも、PAI溶液が適用される多孔質基材であり、この表面に形成される多孔質PAI層も、良好なイオン透過性が要求される。セパレータとしては、公知のものを用いることができ、その種類に制限はない。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等ポリオレフィンからなる多孔質膜やポリエステル、ポリイミド系高分子等からなる不織布等を用いることができる。これらセパレータの詳細については、Chem.Rev.104巻 4119頁-4462頁(2004)やJournal of Power Sources 2007 164巻 351頁-364頁(2007)等の文献を参照することができる。また、本発明の溶液を用いて、ガス分離膜や積層フィルタ等の表面に多孔質PAI被膜を形成させることもできる。
PAI溶液を多孔質基材上に塗布するに際しては、ロールツーロールにより連続的に塗布する方法、枚様で塗布する方法が採用でき、いずれの方法でもよい。塗布装置としては、ダイコータ、多層ダイコータ、グラビアコータ、コンマコータ、リバースロールコータ、ドクタブレードコータ等が使用できる。
以上述べた如く、本発明の方法により、多孔質基材上に、イオン透過性が良好な多孔質PAI被膜を、簡単なプロセスで容易に形成させることができる。
以下に、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明する。なお本発明は実施例により限定されるものではない。
下記の実施例及び比較例で使用した、集電体上に形成された電極活物質層を以下のようにして得た。すなわち、正極活物質であるLiFePO粒子(平均粒径0.5μm)88質量部と、導電助剤のカーボンブラック(アセチレンブラック)7質量部と、バインダ樹脂であるポリフッ化ビニリデン5質量部とを、溶媒としてのN-メチルピロリドン中に均一に分散して、正極用活物質分散体を得た。この分散体を正極集電体である厚さ15μmのアルミ箔に塗布し、得られた塗膜を130℃で10分乾燥後、熱プレスして、気孔率が39体積%の正極活物質層を得た。
下記の実施例及び比較例において得られた電極のイオン透過性を、以下の方法で評価した。すなわち、多孔質PAI被膜表面にエチレンカーボネート、エチルメチルカーボネートおよびジメチルカーボネートの混合溶媒(体積比1:1:1)であって30℃に設定されたもの5μLを滴下し、これが完全に浸透することを目視で観測してその浸透時間を測定し、この浸透時間によってイオン透過性を評価した。
<実施例1>
等モルのTMAとMDIとを、NMP中、160℃で5時間、重合反応を行った後、100℃まで降温した際に、テトラグライムを添加して冷却することにより、溶媒がNMP37質量部とテトラグライム46質量部とからなり、固形分濃度が17質量%であるPAI溶液(S-1)を得た。この溶液に、トルエン5質量部を添加し、固形分濃度が16.2質量%である均一なPAI溶液を得た。ここで、固形分濃度とは、PAI溶液質量に対する濃度を表す。 このPAIのGPCによる重量平均分子量(Mw)は、58500であった。このPAI溶液を前記正極活物質層の外表面に塗布し、150℃で10分乾燥することにより、厚みが12μm、気孔率が61体積%のPAI多孔質被膜(A-1)を形成させた。A-1の浸透時間を測定したところ、35秒であった。
<実施例2>
S-1に添加する溶媒を、「トルエン5質量部」に替えて「グライム5質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、このPAI溶液を前記正極活物質層の外表面に塗布し、150℃で10分乾燥することにより、前記正極活物質層の外表面に、厚みが8μm、気孔率が58体積%のPAI多孔質被膜(A-2)を形成させた。A-2の浸透時間を測定したところ、46秒であった。
<実施例3>
S-1に添加する溶媒を、「トルエン5質量部」に替えて「ジグライム10質量部」としたこと以外は、実施例1と同様にして、前記正極活物質層の外表面に、厚みが6μm、気孔率が57体積%のPAI多孔質被膜(A-3)を形成させた。A-3の浸透時間を測定したところ、55秒であった。
<実施例4>
TACと、DADEおよびMDAと、を共重合(共重合モル比:DADE/MDA=7/3)して得られるPAI粉体(ソルベイアドバンストポリマーズ株式会社製トーロン4000T-MV、ガラス転移温度280℃)を、NMP15質量部とテトラグライム85質量部とグライム5質量部とからなる混合溶媒に、80℃で溶解して、PAIの固形分濃度が対PAI溶液比で11.5質量%の均一なPAI溶液(S-2)を得た。このPAI溶液を前記正極活物質層の外表面に塗布し、150℃で10分乾燥することにより、厚みが10μm、気孔率が65体積%のPAI多孔質被膜(A-4)を形成させた。A-4の浸透時間を測定したところ、45秒であった。
<実施例5>
PAI粉体(トーロン4000T-MV)を溶解させる溶媒として、NMP15質量部とテトラグライム85質量部とトルエン5質量部とからなる混合溶媒を用いた以外は、実施例1と同様にしてPAI溶液を得て、これを用いて前記正極活物質層の外表面に、厚みが5μm、気孔率が57体積%のPAI多孔質被膜(A-5)を形成させた。A-5の浸透時間を測定したところ、53秒であった。
<比較例1>
PAI溶液としてS-1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、前記正極活物質層上に多孔質PAI被膜(B-1 厚み:10μm 気孔率:59体積%)を形成させた。B-1の浸透時間を測定したところ、105秒であった。
<比較例2>
PAI粉体を溶解させる混合溶媒をNMP15質量部とテトラグライム85質量部とからなる混合溶媒としたこと以外は、実施例4と同様にして、固形分濃度が12質量%の均一なPAI溶液を得た。このPAI溶液を実施例1と同様にして、前記正極活物質層上に多孔質PAI被膜(B-2 厚み:12μm 気孔率:62体積%)を形成させた。B-2の浸透時間を測定したところ、88秒であった。
<比較例3>
重合溶媒をNMPとし、降温した際の添加溶媒もNMPとしたこと以外は、実施例1と同様にして固形分濃度が16.7質量%の均一なPAI溶液を得た。このPAI溶液を実施例1と同様にして、前記正極活物質層上に多孔質PAI被膜(B-3 厚み:10μm 気孔率:1体積%未満)を形成させた。B-3には前記混合溶媒が全く浸透しなかった。
<比較例4>
重合溶媒をテトラグライムとし、降温した際の添加溶媒もテトラグライムとしたこと以外は、実施例1と同様にしてPAI溶液を得ようとしたが、均一なPAI溶液を得ることはできなかった。
実施例、比較例で示した様に、本発明の溶媒組成としたPAI溶液を用いることにより、イオン透過性が向上した多孔質PAI被膜を、多孔質基材上に形成できることが判る。
本発明の方法を用いて形成される多孔質PAI被膜は、イオン透過性に優れるので、例えば、リチウム二次電池、キャパシタ、コンデンサ等の蓄電素子の電極やセパレータ製造の際に有用である。

Claims (2)

  1. アミド系溶媒(溶媒A)と、アミド系以外の溶媒(溶媒B)とを含む均一なポリアミドイミド(PAI)溶液を、多孔質基材上に塗布後、乾燥することにより相分離現象を誘起せしめPAIを多孔質化するに際し、溶媒組成を以下の組成とすることを特徴とする多孔質PAI被膜の形成方法。
    (1) 溶媒Bは、テトラグライムおよび/またはトリグライム(溶媒C)と、炭化水素系溶媒および/またはエーテル系溶媒(テトラグライムとトリグライムを除く)」(溶媒D)とを含有し、溶媒Cと溶媒Dとの混合比率が、98:2~40:60(質量比)である。
    (2) 溶媒Aと、溶媒Bとの混合比率が、5:95~50:50(質量比)である。
  2. 多孔質基材が、蓄電素子の活物質層である請求項1記載の多孔質PAI被膜の形成方法。
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