JP2012099324A - 非水電解質二次電池用セパレータ及び非水電解質二次電池 - Google Patents

非水電解質二次電池用セパレータ及び非水電解質二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】電池デバイス作製時における耐熱性多孔質層の剥離が抑えられ、生産効率及び安全性の高い非水電解質二次電池用セパレータを提供する。
【解決手段】ポリオレフィン微多孔膜と、前記ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に設けられ、耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層とを備え、前記耐熱性多孔質層の前記ポリオレフィン微多孔膜に対する剥離力が0.05〜0.5N/cmである。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水電解質二次電池用セパレータ及び非水電解質二次電池に関する。
非水電解質電池、特にリチウムイオン二次電池に代表される非水電解質二次電池は、高エネルギー密度を有するという特徴を持つことから、携帯電話、ノート型パソコンといった携帯用電子機器の主電源として広範に普及している。このリチウムイオン二次電池には、更なる高エネルギー密度化が求められている一方、安全性の確保が技術的な課題となっている。
リチウムイオン二次電池等に用いられるセパレータには、蓄電デバイスの安全性をより向上させる観点から、繰り返しの充放電の間に破膜しない一定以上の機械的特性に加え、異常加熱した場合には速やかに電池反応が停止される特性(シャットダウン特性)や、高温になっても形状を維持して正極物質と負極物質とが直接反応する危険な事態を防止する性能(耐短絡性)等が要求される。
このような事情のもと、従来、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に耐熱性高分子を含む多孔質層を塗工形成する技術が提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。これらに記載の技術によれば、シャットダウン特性や耐短絡性の向上に関して、ある程度の効果が期待できる。
特開2005−209570号公報 特開2000−030686号公報 特開2009−205959号公報
しかしながら、電池デバイスを作製する際における生産性、とりわけ耐熱性高分子を含む多孔質層が製造過程で剥離することに伴なう生産効率、安全性の低下といった課題がある。多孔質層の剥離が発生すると、歩留まりが悪いのみならず生産効率も下げざるを得ず、また高温に達した場合にポリオレフィンが多孔質層に保持されなくなり、メルトダウンを起こす場合が生じる。
本発明は、上記に鑑みなされたものであり、電池デバイス作製時における耐熱性多孔質層の剥離が抑えられ、生産効率及び安全性の高い非水電解質二次電池用セパレータ、及び熱暴走や発火などが抑制された安全性の高い非水電解質二次電池を提供することを目的とし、該目的達成することを課題とする。
本発明における前記課題を達成するための具体的手段は、以下の通りである。
<1> ポリオレフィン微多孔膜と、前記ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に設けられ、耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層とを備え、前記耐熱性多孔質層の前記ポリオレフィン微多孔膜に対する剥離力が0.05N/cm以上0.5N/cm以下である非水電解質二次電池用セパレータである。
<2> 前記ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィンの少なくとも一種は、カルボキシル基及びカルボン酸誘導体由来の基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する変性ポリオレフィンである前記<1>に記載の非水電解質二次電池用セパレータである。
<3> 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された前記<1>又は前記<2>に記載の非水電解質二次電池用セパレータとを備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池である。
本発明によれば、電池デバイス作製時における耐熱性多孔質層の剥離が抑えられ、生産効率及び安全性の高い非水電解質二次電池用セパレータを提供することができる。また、
本発明によれば、熱暴走や発火などが抑制された安全性の高い非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明するが、本発明は当該形態に制限されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
[非水電解質二次電池用セパレータ]
本発明の非水電解質二次電池用セパレータは、ポリオレフィン微多孔膜と、前記ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に設けられ、耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層とを設け、耐熱性多孔質層のポリオレフィン微多孔膜に対する剥離力を0.05N/cm以上0.5N/cm以下として構成したものである。
本発明においては、耐熱性多孔質層のポリオレフィン微多孔膜に対する剥離力を所定の範囲に調整することで、電池デバイスを作製する際に生じやすいポリオレフィン微多孔膜と耐熱性多孔質層との間の剥がれの発生を防ぎ、高温下でポリオレフィンが耐熱性多孔質層に付着した状態で保持され、メルトダウンが防止されるので、従来に比べて、生産効率が高まることに加え、熱暴走や発火などに対する安全性が向上する。
本発明における剥離力は、耐熱性多孔質層とポリオレフィン微多孔膜との間を剥離するのに必要とされる力を表すものであり、以下の方法で測定される。すなわち、
剥離力は、ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に耐熱性多孔質層を有する非水電解質二次電池用セパレータの両面(耐熱性多孔質層の表面)にテープを貼付して10mm×200mmのサイズに切り出し、得られたサンプル片の両面に貼付されたテープの各端部を一部剥がし、テンシロン(ORIENTEC RTC−1210A)でその部分を握持して、引張り方向:サンプル片の面に直交する方向、引張り速度:200mm/minの引張り条件にて、セパレータの一方面と他方面に対してそれぞれ90°の方向に引張って剥離試験を行なうことにより得られる。ここで用いる剥離力は、サンプル片の3cm〜10cmの範囲の応力値(引張り開始から3cm〜10cm剥がしたときに連続測定して得られた値)を平均し、平均値として求められるものである。
剥離力の範囲は、0.05N/cm以上0.5N/cm以下とする。剥離力が該範囲内であることにより、耐熱性多孔質層のポリオレフィン微多孔膜への接着が良好になる。剥離力は0.05N/cm未満であると、耐熱性多孔質層のポリオレフィン微多孔膜に対する接着が弱すぎて剥がれ易く、従って生産効率が低下するとともに高温時にメルトダウンを招きやすい。また、剥離力が0.5N/cmを超えると、剥離力としては強すぎる結果、ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮が耐熱性多孔質層により強く拘束されるため、ポリオレフィン微多孔膜のシャットダウンの応答性が低下し急速な膜抵抗の上昇の阻害、シャットダウン温度が所定の所望の範囲を超えて高くなる場合などがある。また、界面の接着性は一般に凹凸や孔を閉塞させることで向上するので、強固な接着はイオン透過に必要な孔をも閉塞させてしまい、サイクル特性を低下させる原因になる場合がある。
中でも、剥離力は、上記と同様の理由から、0.05N/cm以上0.3N/cm以下が好ましく、更には0.08N/cm以上0.2N/cm以下が好ましい。
剥離力を前記範囲に調節する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば、(A)ポリオレフィン微多孔膜上に耐熱性多孔質層を配置する場合の塗布圧及び/又は剪断速度を調整する方法、(B)ポリオレフィン微多孔膜及び/又は耐熱性多孔質層を化学改質する方法、(C)ポリオレフィン微多孔膜の表面を物理的に改質する方法、又はこれらを組み合わせた方法、等を挙げることができる。
前記方法(A)としては、例えば、耐熱性多孔質層を塗布形成するとき、塗布圧を制御する方法、あるいは剪断速度を制御する方法などが例示される。塗布圧や剪断速度を制御する方法としては、例えば、使用する塗布装置として、ナイフコーター、グラビアコーター、スクリーン印刷、マイヤーバー、ダイコーター、リバースロールコーター、ロールコーターなどを備えた装置を選択し、コーターのブレード、ロールあるいはスクイーズ、マイヤーバー、ダイなどを基材となるポリオレフィン微多孔膜に押し付ける際の圧力を調節する方法が挙げられる。このとき、ポリオレフィン微多孔膜の前記押し付け側と反対側にさらにバックロール等の支持部材を設置する方法なども好ましい。更には、マイヤーバー、ロールコーターを備えた装置を選択し、マイヤーバー、ロールに、基材であるポリオレフィン微多孔膜の進行方向とは逆方向となる回転を付与することにより剪断速度を高める方法なども好ましい方法の一例である。
前記方法(B)としては、例えば、(B−1)ポリオレフィン微多孔膜を形成するポリオレフィン中において、カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基を保有する変性ポリオレフィンを併用する方法、あるいは(B−2)耐熱性多孔質層を形成する耐熱性樹脂中において、カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基と親和性を有するアミド基及び/又はアミノ基を保有する樹脂を併用する方法などが例示される。
なお、本発明において、変性ポリオレフィンとは、ポリオレフィン樹脂の分子鎖あるいはその内部、更には側鎖に、カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基(酸無水物基等を含む。)が導入されたポリオレフィンを意味する。
前記変性ポリオレフィンの詳細については、後述する。
前記方法(C)としては、例えば、耐熱性多孔質層を形成する前に、ポリオレフィン微多孔膜の表面に対して、活性エネルギー線処理や紫外線処理、電子線処理、オゾン処理、プラズマ処理などを施して、ポリオレフィン微多孔膜の表面に凹凸を形成して物理的に改質する方法が例示される。但し、この場合、ポリオレフィン微多孔膜の内部まで変性・劣化してしまうおそれがあり、機械物性やシャットダウン特性などの他の特性が低下しない範囲で行なわれる。
(ポリオレフィン微多孔膜)
本発明の非水電解質二次電池用セパレータは、ポリオレフィンを含むポリオレフィン微多孔膜を設けて構成されている。このポリオレフィン微多孔膜は、基材内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となっている膜を意味する。この微多孔膜は、130〜150℃で軟化し、多孔質の空隙が閉塞されシャットダウン機能を発現し、かつ非水電解質二次電池の電解液に溶解しない多孔質基材であることが好ましい。
本発明におけるポリオレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、及び1−オクテン等のモノマーを重合して得られる重合体(ホモ重合体や共重合体、多段重合体等)が挙げられる。具体的には、ポリオレフィンとして、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超高分子量ポリエチレン、アイソタクティックポリプロピレン、アタクティックポリプロピレン、ポリブテン、エチレンプロピレンラバー等を挙げることができる。これら重合体は、1種を単独で又は2種以上を併用することができる。
ポリオレフィンとしては、所望の目的により、単一種のポリオレフィンを用いてもよいし、複数種のポリオレフィンを混合使用してもよい。すなわち、例えば、シャットダウン挙動に重点をおいて、ポリオレフィンを高密度ポリエチレンと中密度ポリエチレンとの混合物を用いてもよい。また更に、強度などの機械的物性、耐短絡性又は突刺強度の向上に注目して、高密度ポリエチレンと超高分子量ポリエチレンとの混合物を用いてもよい。また更に、耐熱性に注目して、ポリエチレンとポリプロピレンの混合物等を使用することもできる。また、ポリオレフィン微多孔膜の融点を低下させる観点から、前記ポリオレフィン樹脂は、高密度ポリエチレンを含むことが好ましい。高密度ポリエチレンが、本発明におけるポリオレフィン中に占める割合としては、好ましくは10質量%以上、更により好ましくは30質量%以上である。
ポリオレフィンの重量平均分子量(ダルトン)としては、5万以上が好ましく、より好ましくは10万以上である。上限としては、1000万が望ましく、より好ましくは300万である。重量平均分子量が前記範囲内であると、基材をなす微多孔膜あるいはセパレータの機械特性(破断強度、傷つき性など)を向上させることができる。
ここで、複数のポリオレフィンが用いられる場合は、各々のポリオレフィンについて測定される値を前記範囲内とする。
なお、ポリオレフィンの重量平均分子量(ダルトン)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(以下、GPCともいう。)により測定し、ポリスチレン換算して表した分子量である。
前記重量平均分子量が5万(ダルトン)以上であることで、熱延伸する際のメルトテンションを高く維持し、良好な製膜性が確保され、又は良好な絡み合いが付与される点から、ポリオレフィン微多孔膜の強度を高めることができる。一方、重量平均分子量が1000万(ダルトン)以下であることで、製膜時にポリオレフィン溶液を調製する場合に、均一な溶液調製が行なえ、膜の成形性、特に膜の厚みの均一さを向上させることができる。さらに重量平均分子量を300万(ダルトン)以下とすることは、成形された膜の均一性の向上、及び延伸テンションの低下の観点より好ましい。
このとき、分子量の異なるポリオレフィンの併用により、上記の各種観点を制御することが可能であり、目的により適宜選択することができる。分子量の異なるポリオレフィンを併用する場合、例えば、重量平均分子量の比較的低いポリオレフィンと高いポリオレフィンとの併用、具体的には重量平均分子量が10万〜40万(ダルトン)の高密度ポリエチレンと重量平均分子量が40万(ダルトン)を超える超高分子量ポリエチレンの併用により好適に上記の各種観点を制御することが可能である。
更には、ポリオレフィン微多孔膜の良好な成形性を確保し、耐熱性、透過性を確保する観点から、ポリプロピレン樹脂を併用することが好ましい。ポリプロピレン樹脂の重量平均分子量は、良好な成形性の確保、シートの成形性、透過性の確保の観点から、10万以上60万以下が好ましく、10万以上50万以下がより好ましい。
剥離力を本発明に規定する範囲に調節する方法のうち、前記方法(B−1)で用いられる変性ポリオレフィンについて説明する。
前記変性ポリオレフィンは、カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基を有するポリオレフィンであり、重量平均分子量が1万〜50万のポリオレフィンが好ましい。変性ポリオレフィンの重量平均分子量は、1万以上であることで、該ポリオレフィンを含む組成物の機械強度を良好に維持することができ、また50万以下であることで、その品質を均一に保つことができる。
また、変性ポリオレフィン1分子中における、カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基に相当する官能基の数(含有量)としては、変性ポリオレフィン1分子中に平均して0.05個〜50個程度であることが望ましい。カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基の含有量は、0.05個/分子以上であることで、耐熱性多孔質層との接着力を効果的に良化することが可能であり、また50個/分子以下であることで、非水電池用セパレータとして用いた場合に容量等の電池性能を良好に維持することができる。
前記変性ポリオレフィンの例としては、具体的には、三菱化学社製の「モディック」(登録商標)、三井化学社製の「アドマー」(登録商標)などの商品名で市販されている材料を使用することができ、具体的な例として、三菱化学(株)製の「モディック−AP H511」、「モディック−AP L503」などが例示される。
この場合、耐熱性樹脂として、アラミドを、とりわけ末端基としてアミノ基を30〜70当量/ton−polymerのアラミドを選択することより、カルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基を有する変性ポリオレフィンとの間の化学的親和力により、接着力をより効果的に向上させることができる。このようなアラミドとしては、コーネックス(帝人テクノプロダクツ社製)やノーメックス(デュポン社製)の名称で市販されている材料を選択することができる。
ポリオレフィン微多孔膜の厚みは、5〜25μmが好ましく、さらに好ましくは5〜20μmである。ポリオレフィン微多孔膜の厚みは、5μm以上であると、シャットダウン機能が良好であり、25μm以下であると、耐熱性多孔質層も加えた非水電解質二次電池用セパレータとした際にセパレータの厚みが大きくなりすぎず、高電気容量化が実現できる範囲を保てる。
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率は、透過性、機械強度及びハンドリング性の観点から、30〜80%であることが好ましい。空隙率が30%以上では、透過性、電解液の保持量が適当である。空隙率が80%以下では、膜に成形したときの基材としての機械強度が保て、またシャットダウン機能を応答性よく機能させることができる。空孔率は、更に好ましくは40〜60%である。
ポリオレフィン微多孔膜のガーレ値(JIS P8117)は、機械強度と膜抵抗をバランス良く得る観点から、50〜500sec/100ccであることが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜の膜抵抗は、非水電解質二次電池の負荷特性の観点から、0.5〜5ohm・cmであることが好ましい。
ポリオレフィン微多孔膜の突刺強度は、250g以上であることが好ましい。突刺強度が250g以上であると、非水電解質二次電池を作製した場合に、電極の凹凸や衝撃等に対する耐性に優れ、セパレータへのピンホール等の発生が防止され、非水電解質二次電池の短絡をより効果的に回避することができる。
ポリオレフィン微多孔膜の引張強度は、10N以上であることが好ましい。引張強度が10N以上であると、非水電解質二次電池を作製するにあたり、セパレータに損傷を与えないようにセパレータを良好に捲回することができる点で好ましい。
〜ポリオレフィン微多孔膜の製造法〜
上述したポリオレフィン微多孔膜の製造法に、特に制限は無いが、具体的には例えば以下の(1)〜(6)の工程を含む方法で製造できる。
(1)ポリオレフィン溶液の調整
所定の量比のポリオレフィンを溶剤に溶解させた溶液を調整する。このとき、溶剤を混合して溶液を調製しても構わない。溶剤としては、例えば、パラフィン、流動パラフィン、パラフィン油、鉱油、ひまし油、テトラリン、エチレングリコール、グリセリン、デカリン、トルエン、キシレン、ジエチルトリアミン、エチルジアミン、ジメチルスルホキシド、ヘキサン等が挙げられる。ポリオレフィン溶液中のポリオレフィンの濃度は、1〜35質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%である。ポリオレフィン溶液の濃度が1質量%以上であると、冷却ゲル化して得られるゲル状成形物が溶媒で高度に膨潤しないように維持できるため変形しにくく、取扱い性が良好である。一方、35質量%以下であると、押し出しの際の圧力が抑えられるため、吐出量を維持することが可能で生産性に優れる。また、押し出し工程での配向が進みにくく、延伸性や均一性が確保するのに有利である。また、ポリオレフィン溶液は、異物除去のため、濾過使用することが好ましい。濾過装置、フィルターの形状、様式などに特に制限はなく、従来公知の装置、様式を使用することができる。この場合のフィルターの穴径(濾過径)としては、濾過性の観点より1μm以上50μm以下が好ましい。穴径が50μm以下であると、濾過性に優れ、異物の除去効率が良好である。また、穴径が1μm以上であると、良好な濾過性が得られ、生産性を高く維持することができる。
(2)ポリオレフィン溶液の押出
調製した溶液を一軸押出機、もしくは二軸押出機で混練し、融点以上かつ融点+60℃以下の温度でTダイもしくはIダイで押し出す。好ましくは二軸押出機を用いる。そして、押し出した溶液をチルロール又は冷却浴に通過させて、ゲル状組成物を形成する。この際、ゲル化温度以下に急冷しゲル化することが好ましい。特に、溶媒として揮発性溶媒と不揮発性溶媒とを組み合わせて用いた場合、結晶パラメータを制御するという観点から、ゲル状組成物の冷却速度は30℃/分以上であることが好ましい。
(3)脱溶媒処理
次いで、ゲル状組成物から溶媒を除去する。揮発性溶剤を使用する場合、予熱工程も兼ねて加熱等により蒸発させゲル状組成物から溶媒を除くこともできる。また、不揮発性溶媒の場合は、圧力をかけて絞り出すなどして溶媒を除くことができる。なお、溶媒は完全に除く必要はない。
(4)ゲル状組成物の延伸
前記脱溶媒処理に引き続いて、ゲル状組成物を延伸する。ここで、延伸処理の前に弛緩処理を行なってもよい。延伸処理は、ゲル状成形物を加熱し、通常のテンター法、ロール法、圧延法もしくはこれらの方法の組み合わせによって所定の倍率で2軸延伸する。2軸延伸は、同時又は逐次のいずれであってもよい。また、縦多段延伸や3段延伸、4段延伸とすることもできる。
延伸温度は、90℃以上、ポリオレフィンの融点未満の範囲であることが好ましく、さらに好ましくは100〜120℃である。加熱温度が融点未満である場合は、ゲル状成形物が溶解し難いために延伸を良好に行なえる。また、加熱温度が90℃以上である場合、ゲル状成形物の軟化が充分に行なわれるため、延伸時に破膜しにくく、高倍率の延伸が行なえる。
また、延伸倍率は、原反の厚さによって異なるが、1軸方向で少なくとも2倍以上、好ましくは4〜20倍で行なうことが好ましい。特に、本発明の効果が奏される観点からは、延伸倍率が機械方向(MD方向)に4〜10倍、また機械方向に垂直方向(TD方向)に6〜15倍であることが好ましい。さらに充放電のサイクル安定性、耐短絡性を好適に高める観点より、延伸速度を1%/秒以上200%/秒以下とすることが好ましい。1%/秒以上の範囲に延伸速度を維持すると良好な生産性が得られ、工業的生産に適する。かかる観点から、延伸速度はより好ましくは、150%/秒〜5%/秒、さらに好ましくは100%/秒〜10%/秒が選択される。延伸後、必要に応じて熱固定を行ない、熱寸法安定性を持たせる。延伸、熱固定をさらに2段あるいはそれ以上繰返すことにより熱収縮性を抑制し、耐短絡性をより好適に高めることができる。かかる観点から、このときのMD及び/又はTD方向の延伸性倍率は、1.5〜3倍と比較的低いことが好ましい。
(5)溶剤の抽出・除去
延伸後のゲル状組成物を抽出溶剤に浸漬して、溶媒を抽出する。抽出溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、デカリン、テトラリンなどの炭化水素、塩化メチレン、四塩化炭素、メチレンクロライドなどの塩素化炭化水素、三フッ化エタンなどのフッ化炭化水素、ジエチルエーテル、ジオキサン等のエーテル類など易揮発性のものを用いることができる。これらの溶剤は、ポリオレフィン組成物の溶解に用いた溶媒に応じて適宜選択し、単独でもしくは二種以上を混合して用いることができる。溶媒の抽出は、多孔質基材中の溶媒を1質量%未満にまで除去する。
(6)微多孔膜のアニール
微多孔膜をアニールにより熱セットする。アニールは、80〜150℃の温度領域で実施することが好ましい。本発明においては、所定の熱収縮率を有する観点から、アニール温度は、115〜135℃の範囲であることが好ましい。
(耐熱性多孔質層)
本発明の非水電解質二次電池用セパレータは、耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層を設けて構成されている。この耐熱性多孔質層は、内部に多数の微細孔を有し、これら微細孔が連結された構造となっており、一方の面から他方の面へと気体あるいは液体が通過可能となった層をいう。
ここでの「耐熱性」とは、200℃未満の温度領域で溶融ないし分解等を起こさない性状をいう。
−耐熱性樹脂−
耐熱性多孔質層を構成する耐熱性樹脂としては、融点200℃以上の結晶性高分子、あるいは融点を有しないが分解温度が200℃以上の高分子が適当であり、好ましくは全芳香族ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルホン、ポリケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、及びセルロースからなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂が挙げられる。
耐熱性樹脂は、ホモポリマーであってもよく、柔軟性の発揮など所望の目的に合わせて若干の共重合成分を含有することも可能である。すなわち、例えば全芳香族ポリアミドにおいては、例えば少量の脂肪族成分を共重合することも可能である。
さらに、耐熱性樹脂は、電解質溶液に対して不溶性であり、耐久性が高いことから全芳香族ポリアミドが好適であり、また、多孔質層を形成しやすく耐酸化還元性に優れるという観点から、メタ型全芳香族ポリアミドであるポリメタフェニレンイソフタルアミドがさらに好適である。
本発明において、繰返し充放電によるサイクル特性、耐短絡性、更には加熱時のセパレータの寸法安定性の点から、耐熱性樹脂の分子量は、特定範囲とすることが好ましい。この特定範囲は、樹脂の種類、とりわけ繰返し単位の分子量に依存して若干異なるが、該樹脂の融液あるいは濃厚溶液において高分子の絡み合いが観測される程度の平均重合度(以下、単に重合度と略記することがある。)あるいはそれより若干高い重合度とすることが好ましい。
すなわち、メタ型全芳香族ポリアミドであるポリメタフェニレンイソフタルアミドにおいては、数平均分子量(Mn;ダルトン)が0.1万〜10万の、比較的低い重合度であることが好ましい。更には全芳香族ポリアミドにおいては0.2万〜8万の範囲が好ましく、より好ましくは0.2万〜7万の範囲、さらに好ましくは0.3万〜5万の範囲である。耐熱性樹脂の数平均分子量(Mn)が0.1万(ダルトン)以上であると、耐熱性多孔質層の強度を保ち、剥離を防ぐことができる。Mnが10万(ダルトン)以下であると、ポリオレフィン微多孔膜との界面応力が低く保たれ、セパレータの表面性を高く維持することができる。また、Mnが10万(ダルトン)以下であると、耐熱性多孔質層の強度が過剰に高くならないため、ポリオレフィン微多孔膜の熱収縮挙動を維持でき、前述したシャットダウン挙動を良好に保つことができる。
耐熱性多孔質層は、前記ポリオレフィン微多孔膜の両面又は片面に形成することができるが、ハンドリング性、耐久性、及び熱収縮の抑制効果の観点から、ポリオレフィン微多孔膜の表裏両面に形成された形態が好ましい。
耐熱性多孔質層の厚みは、耐熱性多孔質層がポリオレフィン微多孔膜の両面に形成される場合は、耐熱性多孔質層の厚みの合計が3μm以上12μm以下であることが好ましく、また耐熱性多孔質層がポリオレフィン微多孔膜の片面にのみ形成される場合は、耐熱性多孔質層の厚みが3μm以上12μm以下であることが好ましい。このような厚みの範囲は、液枯れの防止効果の観点からも好ましい。
本発明における耐熱性多孔質層の空孔率は、液枯れの防止効果の観点から、30〜90%の範囲が好適であり、より好ましくは30〜70%である。
前記耐熱性樹脂として、アラミドを、とりわけ末端基としてアミノ基を30〜70当量/ton-polymerのアラミドを選択することがより好ましい。このようなアラミドを用いることで、前記ポリオレフィン微多孔膜がカルボキシル基及び/又はカルボン酸誘導体由来の基を有する変性ポリオレフィンを用いて形成される場合の、該ポリオレフィン微多孔膜との間の化学的親和力により、接着力をより効果的に向上させることができる。アラミドとしては、上記の通りコーネックス(帝人テクノプロダクツ社製)、あるいはノーメックス(デュポン社製)の名称で市販されている材料を選択することができる。
−無機フィラー−
本発明における耐熱性多孔質層は、無機フィラーの少なくとも一種が含まれていることが好ましい。無機フィラーとしては、特に限定はないが、具体的にはアルミナ、チタニア、シリカ、ジルコニアなどの金属酸化物、炭酸カルシウムなどの金属炭酸塩、リン酸カルシウムなどの金属リン酸塩、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物などが好適に用いられる。このような無機フィラーは、不純物の溶出や耐久性の観点から結晶性の高いものが好ましい。
中でも、無機フィラーとしては、200〜400℃において吸熱反応を生じるものが好ましい。このような特性を有する無機フィラーとしては、特に限定されないが、金属水酸化物、硼素塩化合物、又は粘土鉱物等からなる無機フィラーが挙げられる。具体的には、例えば、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム、ドーソナイト、硼酸亜鉛等が挙げられる。これらは、一種単独で、又は2種以上を組みあわせて用いることができる。また、これらの難燃性の無機フィラーには、アルミナやジルコニア、シリカ、マグネシア、チタニア等の金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属炭酸塩などの他の無機フィラーを適宜混合して用いることもできる。
ここで、非水電解質二次電池では、正極の分解に伴なう発熱が最も危険と考えられており、この分解は300℃近傍で起こる。このため、吸熱反応の発生温度が200℃〜400℃の範囲であれば、非水電解質二次電池の発熱を防ぐ上で有効である。例えば、水酸化アルミニウムやドーソナイト、アルミン酸カルシウムは、200〜300℃の範囲において脱水反応が起こり、また、水酸化マグネシウムや硼酸亜鉛は300〜400℃の範囲において脱水反応が起こるため、これらの無機フィラーの少なくとも一種を用いることが好ましい。
特に、無機フィラーは、難燃性の向上効果、ハンドリング性、除電効果、電池の耐久性改善効果等の観点から、金属水酸化物を用いた態様が好ましい。中でも、無機フィラーは、水酸化アルミニウム又は水酸化マグネシウムが好ましい。
無機フィラーの平均粒子径は、高温時の耐短絡性や成形性等の観点から、0.1〜2μmの範囲が好ましい。前記観点から、より好ましくは0.1μm〜1.5μm、更に好ましくは0.15μm〜1μmである。
耐熱性多孔質層中における無機フィラーの含有量としては、耐熱性向上効果、透過性及びハンドリング性の観点から、50〜95質量%であることが好ましい。
なお、耐熱性多孔質層中の無機フィラーは、耐熱性多孔質層が微多孔膜状である場合は耐熱性樹脂に捕捉された状態で存在しており、耐熱性多孔質層が不織布等の場合は構成繊維中に存在するか、樹脂などのバインダーにより不織布表面等に固定されていればよい。
〜耐熱性多孔質層の製造法〜
本発明の非水電解質二次電池用セパレータの製造法は、上述した構成の本発明のセパレータが製造できれば特に限定されるものではなく、耐熱性多孔質層については例えば下記(1)〜(5)の工程を経て製造することが可能である。
(1)塗工用スラリーの作製
耐熱性樹脂を溶剤に溶かし、塗工用スラリーを作製する。溶剤は、耐熱性樹脂を溶解するものであればよく、特に限定はないが、具体的には極性溶剤が好ましく、例えばN−メチルピロリドン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。また、当該溶剤はこれらの極性溶剤に加えて耐熱性樹脂に対して貧溶剤となる溶剤も加えることができる。このような貧溶剤を適用することでミクロ相分離構造が誘発され、耐熱性多孔質層を形成する上で多孔化が容易となる。貧溶剤としては、アルコールの類が好適であり、特にグリコールのような多価アルコールが好適である。塗工用スラリー中の耐熱性樹脂の濃度は4〜9質量%が好ましい。また必要に応じ、これに無機フィラーを分散させて塗工用スラリーとする。塗工用スラリー中に無機フィラーを分散させるに当たって、無機フィラーの分散性が好ましくないときは、無機フィラーをシランカップリング剤などで表面処理し、分散性を改善する手法も適用可能である。
(2)スラリーの塗工
スラリーをポリオレフィン微多孔膜の少なくとも一方の表面に塗工する。ポリオレフィン微多孔膜の両面に耐熱性多孔質層を形成する場合は、基材の両面に同時に塗工することが、工程の短縮という観点で好ましい。塗工用スラリーを塗工する方法としては、ナイフコーター法、グラビアコーター法、スクリーン印刷法、マイヤーバー法、ダイコーター法、リバースロールコーター法、インクジェット法、スプレー法、ロールコーター法などが挙げられる。この中でも、塗膜を均一に形成するという観点において、リバースロールコーター法が好適である。ポリオレフィン微多孔膜の両面に同時に塗工する場合は、例えば、ポリオレフィン微多孔膜を一対のマイヤーバーの間に通すことで微多孔膜の両面に過剰な塗工用スラリーを塗布し、これを一対のリバースロールコーターの間に通して過剰なスラリーを掻き落すことで精密計量するという方法が挙げられる。
また、スラリーは、微細異物除去のため、塗工に先立って濾過使用することが好ましい。濾過装置、フィルターの形状、設置位置は、特に制限はなく、従来公知の装置、フィルターを所定の位置に設置して使用することができる。フィルターの穴径(濾過径)としては、1μm以上100μm以下であることが好ましい。穴径が100μm以下であると、濾過性に優れ、異物の除去効率が良好である。また、穴径が1μm以上であると、良好な濾過性が得られ、生産性を高く維持することができる。
(3)スラリーの凝固
スラリーが塗工された基材を、前記耐熱性樹脂を凝固させることが可能な凝固液で処理する。これにより、耐熱性樹脂を凝固させて、耐熱性樹脂からなる耐熱性多孔質層あるいは、耐熱性樹脂に無機フィラーが結着された耐熱性多孔質層を形成する。凝固液で処理する方法としては、塗工用スラリーを塗工した基材に対して凝固液をスプレーで吹き付ける方法や、当該基材を凝固液の入った浴(凝固浴)中に浸漬する方法などが挙げられる。ここで、凝固浴を設置する場合は、塗工装置の下方に設置することが好ましい。凝固液としては、当該耐熱性樹脂を凝固できるものであれば特に限定されないが、水、又は、スラリーに用いた溶剤に水を適当量混合させたものが好ましい。ここで、水の混合量は凝固液に対して40〜80質量%が好適である。水の量が40質量%以上であると、耐熱性樹脂を凝固するのに必要な時間がより短く抑えられ、凝固が良好に行なえる。また、水の量が80質量%以下であると、溶剤回収においてコストが低く抑えられると共に、凝固液と接触する表面の凝固が速くなりすぎない程度に行なえ、表面をより良好に多孔化することができる。
(4)凝固液の除去
凝固液を水洗することによって除去する。
(5)乾燥
シートから水を乾燥して除去する。乾燥方法は、特に限定されないが、乾燥温度は50〜80℃が好適であり、高い乾燥温度を適用する場合は熱収縮による寸法変化が起こらないようにするためにロールに接触させるような方法を適用することが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータは、電池のエネルギー密度の観点から、全体の膜厚が30μm以下であることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータの空孔率は、透過性、機械強度、及びハンドリング性の観点から、30〜70%であることが好ましい。更に好ましくは、空孔率は40%〜60%である。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータのガーレ値(JIS P8117)は、機械強度と膜抵抗のバランスが良くなるという観点から、100〜500sec/100ccであることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータの膜抵抗は、非水電解質二次電池の負荷特性の観点から、1.5〜10ohm・cmであることが好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータの突刺強度は、250〜1000gであることが好ましい。突刺強度が250g以上であると、非水電解質二次電池を作製した場合に、電極の凹凸や衝撃等に対する耐性に優れ、セパレータへのピンホール等の発生が防止され、非水電解質二次電池の短絡をより効果的に回避することができる。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータの引張強度は10N以上であることが好ましい。10N以上であると、非水電解質二次電池を作製するにあたり、セパレータに損傷を与えないようにセパレータを良好に捲回することができる点で好ましい。
本発明の非水電解質二次電池用セパレータの105℃における熱収縮率は、0.5〜10%であることが好ましい。熱収縮率がこの範囲にあるとき、非水電解質二次電池用セパレータの形状安定性とシャットダウン特性のバランスがとれたものとなる。熱収縮率は、更に好ましくは0.5〜5%である。
[非水電解質二次電池]
本発明の非水電解質二次電池は、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池であって、上述した構成の非水電解質二次電池用セパレータを用いたことを特徴とする。非水電解質二次電池は、負極と正極とがセパレータを介して対向配置されている電池要素に電解液が含浸され、これが外装に封入された構造となっている。
負極は、負極活物質、導電助剤及びバインダーからなる負極合剤が、集電体上に成形された構造となっている。負極活物質としては、リチウムを電気化学的にドープすることが可能な材料が挙げられ、例えば炭素材料、シリコン、アルミニウム、スズ、ウッド合金などが挙げられる。特にセパレータによる液枯れ防止効果を活かすという観点では、負極活物質としては、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が3%以上となるものを用いることが好ましい。負極活物質としては、例えばSn、SnSb、AgSn、人造黒鉛、グラファイト、Si、SiO、V等が挙げられる。導電助剤は、アセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えばポリフッ化ビニリデン、カルボキシメチルセルロースなどが挙げられる。集電体には、銅箔、ステンレス箔、ニッケル箔などを用いることが可能である。
正極は、正極活物質、導電助剤及びバインダーからなる正極合剤が、集電体上に成形された構造となっている。正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物等が挙げられ、具体的にはLiCoO、LiNiO、LiMn0.5Ni0.5、LiCo1/3Ni1/3Mn1/3、LiMn、LiFePO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75等が挙げられる。特にセパレータによる液枯れ防止効果を活かすという観点では、正極活物質としては、リチウムを脱ドープする過程における体積変化率が1%以上となるものを用いることが好ましい。正極活物質としては、例えば、LiMn、LiCoO、LiNiO、LiCo0.5Ni0.5、LiAl0.25Ni0.75等が挙げられる。導電助剤はアセチレンブラック、ケッチェンブラックといった炭素材料が挙げられる。バインダーは有機高分子からなり、例えばポリフッ化ビニリデンなどが挙げられる。集電体にはアルミ箔、ステンレス箔、チタン箔などを用いることが可能である。
電解液は、リチウム塩を非水系溶媒に溶解した構成である。リチウム塩としては、LiPF、LiBF、LiClOなどが挙げられる。非水系溶媒としては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、ビニレンカーボネートなどが挙げられ、これらは単独で用いても混合して用いてもよい。
外装材は、金属缶又はアルミラミネートパック等が挙げられる。電池の形状は角型、円筒型、コイン型などがあるが、本発明のセパレータはいずれの形状においても好適に適用することが可能である。
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
[測定方法]
本実施例における各値は、以下の方法に従って求めた。
(1)剥離力
非水電解質二次電池用セパレータの両面(耐熱性多孔質層の表面)にテープ(3M製、スコッチメンディングテープ810)を貼り、10mm×200mmに切り出した。両面に貼ったテープの各端部の一部を剥し、テンシロン(ORIENTEC RTC−1210A)にてその部分を握持して、引張り方向:サンプル片の面に直交する方向、引張り速度:200mm/minの引張り条件にて、セパレータの一方面と他方面に対してそれぞれ90°の方向に引張って剥離試験を実施した。剥離力は、3cm〜10cmの応力値(引張り開始から3cm〜10cm剥がしたときに連続測定して得られた値)を平均して求めた。
(2)膜厚
非水電解質二次電池用セパレータの厚み(ポリオレフィン微多孔膜及び耐熱性多孔質層の合計厚み)及びポリオレフィン微多孔膜の厚みを、接触式の膜厚計(ミツトヨ社製)にて20点測定し、これを平均することにより求めた。ここで、接触端子は、底面が直径0.5cmの円柱状のものを用いた。
(3)空孔率
非水電解質二次電池用セパレータ及びポリオレフィン微多孔膜の空孔率は、下記式から求めた。
ε={1−Ws/(ds・t)}×100
ここで、ε:空孔率(%)、Ws:目付(g/m)、ds:真密度(g/cm)、t:膜厚(μm)である。
(4)ガーレ値
非水電解質二次電池用セパレータ及びポリオレフィン微多孔膜のガーレ値は、JIS P8117に従って求めた。
(5)膜抵抗
ポリオレフィン微多孔膜の膜抵抗は、以下の方法で求めた。
サンプルを2.6cm×2.0cmのサイズに切り出す。非イオン性界面活性剤(花王社製のエマルゲン210P)3質量%を溶解したメタノール溶液(メタノール:和光純薬工業社製)に切り出したサンプルを浸漬し、風乾する。厚さ20μmのアルミ箔を2.0cm×1.4cmに切り出し、リードタブを付ける。このアルミ箔を2枚用意して、アルミ箔間に切り出したサンプルをアルミ箔が短絡しないように挟む。サンプルに1MのLiBFにプロピレンカーボネート(PC)/エチレンカーボネート(EC)の混合溶媒(PC/EC=1/1[質量比])を配合した電解液(キシダ化学社製)を含浸させる。これをアルミラミネートパック中にタブがアルミパックの外に出るようにして減圧封入する。このようなセルをアルミ箔中にセパレータが1枚、2枚、3枚となるようにそれぞれ作製する。該セルを20℃の恒温槽中に入れ、交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて該セルの抵抗を測定する。測定されたセルの抵抗値をセパレータの枚数に対してプロットし、このプロットを線形近似し、傾きを求める。この傾きに電極面積である2.0cm×1.4cmを乗じてセパレータ1枚当たりの膜抵抗(ohm・cm)を求めた。
(6)突刺強度
非水電解質二次電池用セパレータ及びポリオレフィン微多孔膜の突刺強度は、カトーテック社製KES−G5ハンディー圧縮試験器を用いて、針先端の曲率半径0.5mm、突刺速度2mm/secの条件で突刺試験を行ない、最大突刺荷重を突刺強度とした。ここでサンプルはφ11.3mmの穴があいた金枠(試料ホルダー)にシリコンゴム製のパッキンも一緒に挟み固定した。
(7)熱収縮率
非水電解質二次電池用セパレータ及びポリオレフィン微多孔膜の熱収縮率は、サンプルのMD、TD方向につき、105℃で1時間加熱して測定し、その値を平均することにより求めた。
(8)引張強度
ポリオレフィン微多孔膜の引張強度は、10mm×100mmに切り出したサンプルを、引張試験機(A&D社製、RTC−1225A)を用い、ロードセル荷重5kgf、チャック間距離50mmの条件で測定した。
(9)シャットダウン温度
非水系二次電池用セパレータ及びポリオレフィン微多孔膜のシャットダウン温度(SD温度)は、以下の方法で求めた。
円形のサンプルを直径φ19mmにて打ち抜き、得られたサンプルを、非イオン性界面活性剤(花王社製、エマルゲン210P)を3質量%溶解したメタノール溶液(メタノール:和光純薬工業社製)に浸漬し、風乾した。ここで、ポリオレフィン微多孔膜のSD温度については、ポリオレフィン微多孔膜のみを打ち抜いてサンプルとし、非水系二次電池用セパレータのSD温度については、ポリメタフェニレンイソフタルアミド層等の耐熱性樹脂層を両面に設置したポリオレフィン微多孔膜を打ち抜いてサンプルとした。
これらのサンプルを、電極板として用いた直径φ15.5mmの円形の2枚のSUS板の間に中心を合わせて挟んだ。次に、サンプルに1MのLiBFにプロピレンカーボネート(PC)/エチレンカーボネート(EC)の混合溶媒(PC/EC=1/1[質量比])を配合した電解液(キシダ化学社製)を含浸させて、2032型コインセルに封入した。コインセルからリード線をとり、熱電対を付けてオーブンの中に入れた。昇温速度1.6℃/分で昇温させ、同時に交流インピーダンス法で振幅10mV、周波数100kHzにて該セルの抵抗を測定した。抵抗値が、10ohm・cm以上となった温度をシャットダウン温度とした。
(10)充放電のサイクル特性
コバルト酸リチウム(LiCoO、日本化学工業社製)粉末89.5質量部、アセチレンブラック4.5質量部、及びポリフッ化ビニリデン(PVdF;以下同様)が乾燥質量で6質量部となる量のPVdFの6質量%N−メチル−2−ピロリドン(NMP;以下同様)溶液を用い、正極剤ペーストを作製した。得られたペーストを、厚さ20μmのアルミ箔上に塗布し、乾燥した後、プレスして厚さ97μmの正極を得た。
次に、負極活物質としてメソフェーズカーボンマイクロビーズ(MCMB、大阪瓦斯化学社製)粉末87質量部、アセチレンブラック3質量部、及びPVdFが乾燥質量で6質量部となる量のPVdFの6質量%NMP溶液を用い、負極剤ペーストを作製した。得られたペーストを、厚さ18μmの銅箔上に塗布し、乾燥した後、プレスして厚さ90μmの負極を作製した。
上記で得た正極と負極との間に、以下の実施例及び比較例で作製したセパレータを挟み、これに電解液を含浸させて、初期容量が4.5mAh程度のボタン電池(CR2032)10個を作製した。このとき、1MのLiPF6にエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/DEC/MEC=1/2/1[質量比])を配合した電解液を用いた。
作製したボタン電池に対して、充電電圧4.2V、放電電圧2.75Vの充放電を繰返し、100サイクル目の放電容量を初期容量で除して、充放電を繰返したときの容量保持率の平均値及び変動幅(%)をサイクル特性として評価した。
評価では、容量保持率が85%以上の場合、変動幅が10%以下の場合を各々実用上問題ないと判断して「○(合格)」と判定し、容量保持率が85%未満の場合、変動幅が10%を越える場合を各々実用上支障を来たすと判断して「×(不合格)」と判定した。
(11)耐短絡性
−試験用電池の作製−
前記(10)で作製した正極及び負極を、セパレータを介して対向配置した。これに電解液を含浸させてアルミラミネートフィルムからなる外装に封入し、非水電解質二次電池(試作電池)を作製した。電解液には、1MのLiPF6にエチレンカーボネート(EC)とエチルメチルカーボネート(EMC)との混合溶媒(EC/EMC=3/7[質量比])を配合した溶液(キシダ化学社製)を用いた。この試作電池は、正極面積が2×1.4cmであり、負極面積が2.2×1.6cmであり、設定容量が8mAh(4.2V−2.75Vの範囲)である。
−評価方法−
上記のように作製した試作電池10個について、4.2Vまで充電した後、オーブンに入れ、5kgの錘をのせた。この状態で電池温度が2℃/分で昇温するようにオーブンを設定し、150℃まで昇温した後、1時間保持した。そのとき、150℃近傍で急激な電池電圧の低下が1個でも確認された場合、耐短絡性が不良(×)と評価し、電池電圧に大きな変化がなかった場合、耐短絡性が良好(○)と評価した。
(参考例1):界面重合法によるポリメタフェニレンテレフタルアミドの重合
イソフタル酸クロライド160.5gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解し、撹拌しながら、メタフェニレンジアミン85.2gをテトラヒドロフラン1120mlに溶解した溶液を、細流として徐々に加えていくと白濁した乳白色の溶液が得られた。撹拌を約5分間継続した後、更に撹拌しながら炭酸ソーダ167.6g及び食塩317gを3400mlの水に溶かした水溶液を速やかに加え、5分間撹拌した。反応系は、数秒後に粘度が増大した後、再び低下し、白色の懸濁液が得られた。これを静置し、分離した透明な水溶液層を取り除き、ろ過することによって、ポリメタフェニレンイソフタルアミド(以下、PMIA(1)と略記することがある。)の白色重合体185.3gを得た。得られたPMIA(1)の数平均分子量は、2.0万であった。
(参考例2):溶液法によるポリメタフェニレンイソフタルアミドの重合
温度計、撹拌装置、及び原料投入口を備えた反応容器に、水分率が100ppm以下のN−メチル−2−ピロリドン(NMP)753gを入れ、このNMP中にメタフェニレンジアミン85.5gを入れて0℃に冷却した。この冷却したジアミン溶液にイソフタル酸クロライド160.5gを撹拌しながら徐々に添加し反応させた。この反応で溶液の温度は70℃に上昇した。粘度変化が止まった後、水酸化カルシウム粉末を58.4g添加し、さらに40分間撹拌して反応を終了させて重合溶液を取り出し、水中で再沈殿させポリメタフェニレンイソフタルアミド(以下、PMIA(2)と略記することがある。)184.0gを得た。得られたPMIA(2)の数平均分子量は、2.14万であった。
(参考例3):ポリオレフィン微多孔膜の作製
ハイゼックスミリオン340Mとハイゼックスミリオン030S(いずれも三井化学(株)製)を各々20/80の割合(質量比)になるように混合し、ポリオレフィン濃度が30質量%となるように流動パラフィン(松村石油研究所社製;スモイルP−350P;沸点480℃)とデカリンの混合溶媒中に溶解させ、孔径5μmのフィルターで濾過し、ポリオレフィン溶液を作製した。このポリオレフィン溶液の組成は、ポリオレフィン:流動パラフィン:デカリン=30:45:25(質量比)であった。
得られたポリオレフィン溶液を148℃でダイから押し出し、水浴中で冷却してゲル状テープ(ベーステープ)を作製した。このベーステープを60℃で8分、95℃で15分乾燥し、次いでベーステープを縦延伸、横延伸と逐次行なうことにより2軸延伸した。ここで、縦延伸では延伸倍率5.5倍、延伸温度90℃とし、横延伸では延伸倍率11.0倍、延伸温度105℃とし、面延伸倍率を60.5倍とした。横延伸の後は、125℃で熱固定を行なった。次に、これを塩化メチレン浴に浸漬し、流動パラフィンとデカリンを抽出した。その後、50℃で乾燥し、120℃でアニール処理することにより、ポリオレフィン微多孔膜を作製した。このとき、製膜、延伸、後処理の操作上、特に問題はなく、微多孔膜を良好に製造することができた。膜の特性を下記表1に示す。
(参考例4):改質ポリオレフィン含有微多孔膜の作製
前記参考例3において、ハイゼックスミリオン340M(三井化学(株)製)、ハイゼックス8000F(三井化学(株)製)、及びモディック−AP H511(登録商標、三菱化学(株)製の変性ポリオレフィン)を、各々この順に20/65/15の割合(質量比)になるように混合したこと以外は、参考例3と同様にして、改質ポリオレフィンを含むポリオレフィン微多孔膜を得た。このとき、製膜、延伸、後処理の操作上、特に問題はなく、微多孔膜を良好に製造することができた。膜の特性を下記表1に示す。
(実施例1)
参考例1で得たPMIA(1)と、平均粒子径0.8μmの水酸化アルミニウム(昭和電工社製;H−43M)とを、前記水酸化アルミニウムと前記PMIA(1)との量比が質量比で25:75となるように調整すると共に、PMIA(1)濃度が5.5質量%となるように調整しながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)の質量比が50:50である混合溶媒に混合し、塗工用スラリーを得た。
一対のマイヤーバー(番手#6)を、約20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに、前記塗工用スラリーを適量のせ、進行方向と逆回転させつつ、一対のマイヤーバー間に参考例3のポリエチレン微多孔膜を通して、このポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを塗工した。そして、塗工後のポリエチレン微多孔膜を、質量比で水:DMAc:TPG=50:25:25の凝固液(40℃)中に浸漬した。次いで、水洗・乾燥を行ない、ポリエチレン微多孔膜の両面に表裏各2μmの耐熱性多孔質層を形成し、非水電解質二次電池用セパレータとした。
得られたセパレータは、合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.08N/cmで合格(○)であり、空孔率は45%、熱収縮率(TD)は3%、ガーレ値は250秒/100cc、突刺強度は390g、シャットダウン温度は141℃であった。また、サイクル特性に関しては、容量保持率は93%、変動幅は6%でいずれも合格(○)であった。また、耐短絡性も合格(○)であった。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
(比較例1)
実施例1において、マイヤーバーに塗工用スラリーを適量のせて進行方向と逆回転させる操作を、マイヤーバーに塗工用スラリーを適量のせて順回転させる操作に代え、順回転する一対のマイヤーバー間に参考例3のポリエチレン微多孔膜を通したこと以外は、実施例1と同様にして、耐熱性多孔質層を形成し、非水電解質二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータは、合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.047N/cmと劣っており(不合格:×)、空孔率は47%、熱収縮率(TD)は3%、ガーレ値は210秒/100cc、突刺強度は390g、シャットダウン温度は140℃であった。また、サイクル特性に関しては、容量保持率は79%、変動幅は13%でいずれも不合格(×)であり、剥離力不足の影響が現れていた。さらに、耐短絡性は合格(×)であった。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
(実施例2)
実施例1において、PMIA(1)を参考例2のPMIA(2)に代え、前記水酸化アルミニウムとPMIA(2)とを、水酸化アルミニウムとPMIA(2)の量比が質量比で25:75となるように調整すると共に、PMIA(2)濃度が5.5質量%となるように調整しながら、ジメチルアセトアミド(DMAc)とトリプロピレングリコール(TPG)が質量比が50:50である混合溶媒に混合し、塗工用スラリーを得た。
一対のマイヤーバー(番手#6)を、約20μmのクリアランスで対峙させた。マイヤーバーに、前記塗工用スラリーを適量のせ、進行方向と逆回転させつつ、一対のマイヤーバー間に参考例3のポリエチレン微多孔膜を通して、前記ポリエチレン微多孔膜の両面に塗工用スラリーを塗工した。そして、塗工後のポリエチレン微多孔膜を、質量比で水:DMAc:TPG=50:25:25の凝固液(40℃)中に浸漬した。次いで、水洗・乾燥を行ない、ポリエチレン微多孔膜の両面に表裏各2μmからなる耐熱性多孔質層を形成し、本発明の非水電解質二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータは、合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.1N/cmで合格(○)であり、空孔率は46%、熱収縮率(TD)は2%、ガーレ値は270秒/100cc、突刺強度は390g、シャットダウン温度は141℃であり、サイクル特性に関しては、保持率は93%、変動幅は6%でありいずれも合格(○)であった。また、耐短絡性も合格(○)であった。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
(比較例2)
実施例2において、マイヤーバーに塗工用スラリーを適量のせて進行方向と逆回転させる操作を、マイヤーバーに塗工用スラリーを適量のせて順回転させる操作に代え、順回転する一対のマイヤーバー間にポリエチレン微多孔膜を通したこと以外は、実施例2と同様にして、耐熱性多孔質層を形成し、非水電解質二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータは、合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.04N/cmと劣っており(不合格:×)、空孔率は46%、熱収縮率(TD)は3%、ガーレ値は205秒/100cc、突刺強度は390g、シャットダウン温度は140℃であり、サイクル特性に関しては、容量保持率は78%、変動幅は12%でいずれも不合格(×)であった。また、耐短絡性も不合格(×)であった。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
(実施例3)
実施例1において、ポリエチレン微多孔膜(参考例3)を、変性ポリオレフィンを用いた参考例4のポリエチレン微多孔膜に代えたこと以外は、実施例1と同様に処理し、本発明の非水電解質二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータは、合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.2N/cmで合格(○)であり、空孔率は45%、熱収縮率(TD)は1%、ガーレ値は280秒/100cc、突刺強度は380g、シャットダウン温度は142℃であり、サイクル特性に関しては、容量保持率は94%、変動幅は5%でいずれも合格(○)であった。また、耐短絡性も合格(○)であり、接着力向上の効果がよく現れていた。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
(実施例4)
実施例1において、PMIA(1)をコーネックス(アミノ基含有濃度=50当量/トンのポリマー(耐熱樹脂)、帝人テクノプロダクツ社製;PMIA(3))に代えたこと以外は、実施例1と同様に処理し、本発明の非水電解質二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータは、合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.3N/cmで合格(○)であり、空孔率は46%、熱収縮率(TD)は1%、ガーレ値は280秒/100cc、突刺強度は380g、シャットダウン温度は145℃であり、サイクル特性に関しては、容量保持率は87%、変動幅は7%でいずれも合格(○)であった。また、耐短絡性も合格(○)であり、接着力向上の効果が現れていた。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
(比較例3)
実施例1において、ポリエチレン微多孔膜(参考例3)を、参考例3のポリエチレン微多孔膜に対して紫外線ランプ(1KW)により空気中で1分間、紫外線を照射してポリエチレン微多孔膜の表面を物理的に改質したものに代えたこと以外は、実施例1と同様に処理し、非水電解質二次電池用セパレータを得た。
得られたセパレータは合計厚みが16μmであり、膜物性については、剥離力が0.8/cmと高く、空孔率は45%、熱収縮率(TD)は1%、ガーレ値は310秒/100cc、突刺強度は290g、シャットダウン温度は150℃と劣化し、サイクル特性に関しては、容量保持率は83%、変動幅は12%と悪化し不合格(×)であった。しかし、耐短絡性は合格(○)であり、接着力によるポリエチレン微多孔膜拘束の効果が現れていた。これらの結果をまとめて下記表2に示す。
前記表2に示すように、耐熱性多孔質層のポリオレフィン微多孔膜に対する剥離力が所定の範囲にある実施例では、剥離力が所定の範囲から外れる比較例に比べ、リチウム二次電池としたときのサイクル特性及び耐短絡性により優れていた。

Claims (3)

  1. ポリオレフィン微多孔膜と、前記ポリオレフィン微多孔膜の片面又は両面に設けられ、耐熱性樹脂を含む耐熱性多孔質層とを備え、前記耐熱性多孔質層の前記ポリオレフィン微多孔膜に対する剥離力が0.05N/cm以上0.5N/cm以下である非水電解質二次電池用セパレータ。
  2. 前記ポリオレフィン微多孔膜を構成するポリオレフィンの少なくとも一種は、カルボキシル基及びカルボン酸誘導体由来の基から選ばれる少なくとも1つの官能基を有する変性ポリオレフィンである請求項1に記載の非水電解質二次電池用セパレータ。
  3. 正極と、負極と、前記正極及び前記負極の間に配置された請求項1又は請求項2に記載の非水電解質二次電池用セパレータとを備え、リチウムのドープ・脱ドープにより起電力を得る非水電解質二次電池。
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