JP2018131535A - 光硬化性インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
Description
そして、一般にカチオン重合型の光硬化性インクジェットインクの方が、ラジカル重合型のものに比べて画像の定着性が高くなる傾向があることが知られている。
しかし反応の速度は、カチオン重合反応よりラジカル重合反応の方が高いため、短時間の光照射でも十分に重合反応を進行させて画像の耐性を向上したり、それによって印刷から光照射の終了までに要する時間を短縮したりすることを考慮すると、ラジカル重合型の光硬化性インクジェットインクが好ましい。
ラジカル重合型の光硬化性インクジェットインクは通常、ラジカル重合性化合物(モノマー、オリゴマー等)、光ラジカル重合開始剤、および着色剤等を配合して調製される。このうち、特にラジカル重合性化合物の種類や組み合わせ等を選択することで、光硬化性インクジェットインクの各種の特性が調整される。
ところがLEDからの光によって光硬化させた場合、硬化速度が不足して光照射直後の画像の定着性が不十分になったり、光照射から1日経過しても完全硬化に至らず画像の耐擦過性が不足したりするといった課題を生じやすい。LEDからの光が、UVランプからの光に比べて波長の分布範囲が狭いことが原因の一つと考えられている。
また黒色を表現する場合、着色剤としてはカーボンブラックを用いるのが一般的であるが、カーボンブラックも紫外線を吸収する性質を有するため、特に十分な色濃度の黒色を表現するべく多量のカーボンブラックを配合した場合には、やはり上記の傾向が顕著になるという課題がある。
しかし、かかるラジカル重合性化合物を含む光硬化性インクジェットインクは高粘度になりやすく、高粘度になると、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下したり、特にカーボンブラック等の顔料の分散性が低下して凝集を生じたりしやすくなるという課題がある。そして凝集を生じると、吐出安定性がさらに低下してノズルの目詰まりを生じたり、画像の色濃度が低下したりする。
(A) 式(1):
で表されるジペンタエリスリトールアクリレート、および官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の多官能ラジカル重合性化合物、ならびに
(B) 式(3):
で表されるラジカル重合性モノマー、
を少なくとも含んでいる光硬化性インクジェットインクである。
ところが(B)のラジカル重合性モノマーは、組み合わせる他のラジカル重合性化合物との共重合反応の相性に大きなばらつきがあり、例えば特許文献3の実施例で実際に組み合わせて効果を検証しているトリメチロールプロパントリアクリレートとは共重合反応の相性が悪いため、この両者の併用系では、却って光硬化の速度が著しく遅くなってしまうことが判った。
そこで発明者は、(B)のラジカル重合性モノマーと併用するラジカル重合性化合物について、さらに検討した。
したがって、上記(A)(B)のラジカル重合性化合物を併用した本発明の光硬化性インクジェットインクによれば、光硬化の速度を現状よりも向上して、例えば蛍光増白剤入りのコート紙の表面に印刷したり、着色剤としてカーボンブラックを含んでいたりしても、特にLEDから光の照射の照射によって光硬化させた際に、光照射直後の定着性や光照射から1日経過後の耐擦過性に優れた画像を形成することが可能となる。
〈A:多官能ラジカル重合性化合物〉
多官能ラジカル重合性化合物としては、上述したように、
(A−1) 式(1)で表されるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート〔平均官能基数:3、Tg:272℃〕、
(A−2) 式(2)で表されるジペンタエリスリトールアクリレート、および
(A−3) 官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレート
からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
(A−2)の、式(2)で表されるジペンタエリスリトールアクリレートとしては、式(2)中のR1が水素原子である、式(2−1):
さらに(A−3)の、官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、例えばサートマー社製のCN968〔平均官能基数:6、脂肪族ウレタンアクリレート、Tg:145℃〕、CN9006〔平均官能基数:6、脂肪族ウレタンアクリレート、Tg:83℃〕、CN9010〔平均官能基数:6、脂肪族ウレタンアクリレート、Tg:103℃〕、CN975〔平均官能基数:6、芳香族ウレタンアクリレート、Tg:112℃〕等の1種または2種以上が挙げられる。
すなわち官能基数が5未満のウレタンアクリレートでは、画像の光硬化後の架橋密度が不足する傾向があり、またガラス転移温度Tgが80℃未満のウレタンアクリレートは相対的に分子量が小さいため、画像の光硬化後の強度が不足する傾向がある。
したがって、例えば蛍光増白剤入りのコート紙の表面に印刷したり、着色剤としてカーボンブラックを含んでいたりしても、特にLEDから光の照射の照射によって光硬化させた際に、光照射直後の定着性や光照射から1日経過後の耐擦過性に優れた画像を形成できる。
これら多官能ラジカル重合性化合物の1種または2種以上が挙げられる。
また光照射直後の定着性を向上する効果の点では、上記2種のうち(A−1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートが特に好ましい。
(B)のラジカル重合性モノマーとしては、式(3)中のR2が水素原子または任意の1価の有機基である種々の化合物が挙げられる。
R2に該当する1価の有機基は炭化水素で構成され、エーテル基を有していてもよく、炭化水素の水素原子は置換基で置換されていてもよい。また有機基は直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状構造を含んでいてもよい。
中でも炭素数1〜30の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜30の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数4〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基等が好ましく、特に炭素数1〜30の鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
特に(B)のラジカル重合性モノマーとしては、光硬化性インクジェットインクを低粘度化して、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性や、着色剤等の分散性を向上する効果の点で、式(3)中のR2がメチル基である、式(3−1):
〈その他のラジカル重合性化合物〉
ラジカル重合性化合物としては、上記(A)(B)の2種のみ〔(A)(B)それぞれについて2種以上を併用する場合を含む。以下同様。〕を併用してもよいし、光硬化性インクジェットインクにさらに他の特性を付与するために、上記2種以外の他のラジカル重合性化合物をさらに併用してもよい。
中でもアミン変性アクリレートオリゴマーが好ましい。アミン変性アクリレートオリゴマーは、光ラジカル重合開始剤の増感剤として、光硬化性インクジェットインクの光感度を高めるべく機能するため、前述した(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物を併用して光硬化の速度を高めることによる効果をより一層向上できる。
かかる液状のラジカル重合性モノマーは、(B)のラジカル重合性モノマーとともに、顔料等の着色剤の分散性を向上したり、光硬化性インクジェットインクを低粘度化して、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性を向上したりする反応性希釈剤として機能する。
で表されるアルコキシエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
またアルコキシエチレングリコールアクリレートの具体例としては、例えば式(4)中のnが2、mが2である、式(4−1):
特に式(4−1)のEC−Aが、MTG−Aに比べて粘度が低く流動性が高いため、反応性希釈剤として好適に使用できる。
〈質量比、配合割合等〉
上述した各ラジカル重合性化合物の質量比や配合割合は任意に設定できるものの、(A)の多官能ラジカル重合性化合物の質量WAと、(B)のラジカル重合性モノマーの質量WBとの質量比WB/WAは1以上であるのが好ましく、3以下であるのが好ましい。
また(B)のラジカル重合性モノマーが不足するため、光硬化性インクジェットインクを低粘度化して、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性や着色剤等の分散性を向上する効果が不十分になるおそれもある。
これに対し、質量比WB/WAを上記の範囲とすることにより、上記2種のラジカル重合性化合物を併用して光硬化の速度を高めることによる効果、および低粘度化することによる効果をより一層向上できる。
配合割合P1が70質量%未満では、(A)の多官能ラジカル重合性化合物と(B)のラジカル重合性モノマーとを併用して光硬化の速度を高めることによる効果、および低粘度化することによる効果が十分に得られないおそれがある。
ただし、先に説明した他のラジカル重合性化合物の機能をいずれも良好に発現させることを考慮すると、上記配合割合P1は、上記の範囲でも95質量%以下であるのが好ましい。
P2=WC/(WA+WB)×100 (i)
〔式中、WCはアミン変性アクリレートオリゴマーの質量である。〕
で求められる配合割合P2は5質量%以上、特に6質量%以上であるのが好ましく、9質量%以下、特に8.5質量%以下であるのが好ましい。
一方、アミン変性アクリレートオリゴマーの配合割合P2が上記の範囲を超える場合には、相対的に(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物の割合が少なくなる。
これに対し、アミン変性アクリレートオリゴマーの配合割合P2を上記の範囲とすることにより、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物を併用して光硬化の速度を高めることによる効果、および低粘度化することによる効果をより一層向上できる。
光ラジカル重合開始剤としては、任意の波長の光の照射によってラジカルを発生させて、上述したラジカル重合性化合物をラジカル重合反応させることができる種々の化合物が、いずれも使用可能である。
かかる光ラジカル重合開始剤としては、例えば下記化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン、4′−ジメチルアミノアセトフェノン、ジメチルヒドロキシアセトフェノン等のアセトフェノン類。
ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類。
〈増感剤〉
本発明の光硬化性インクジェットインクには、必要に応じて増感剤を配合してもよい。
特に、光源としてLEDを使用する場合には、その波長域が狭いことから、光硬化性インクジェットインクが感度を有する波長域を広げて感度を向上する、すなわち増感するために増感剤を配合するのが好ましい。
増感剤の配合割合は任意に設定できるものの、良好な増感効果を得ることを考慮すると、光硬化性インクジェットインクの総量の0.01質量%以上、特に0.5質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下、特に4質量%以下であるのが好ましい。
着色剤としては、種々の顔料、染料等が挙げられる。着色剤としては、光硬化性インクジェットインクの色味に応じた各色の着色剤がいずれも使用可能である。特に印刷の耐光性、耐候性等を向上することを考慮すると、種々の無機顔料および/または有機顔料が好ましい。
また有機顔料としては、例えばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(例えばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(例えば塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等の1種または2種以上が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料は、光硬化性インクジェットインクの色目に応じて、1種または2種以上を用いることができる。例えばカーボンブラックで黒色を表現する場合、より青黒く見せるためにシアン顔料を添加してもよい。
また顔料は、反応性希釈剤として機能する、前述したEC−A等の液状のラジカル重合性モノマー中に分散させた顔料分散液の状態で、インクジェットインクの製造に用いるのが好ましい。顔料分散液には、顔料を良好に分散させるために分散剤等を添加してもよい。
顔料等の着色剤の配合割合は、当該着色剤の種類、および光硬化性インクジェットインクの色味に応じて任意に設定できる。
以上で説明したように本発明によれば、特定のラジカル重合性化合物を組み合わせることにより、例えば蛍光増白剤入りのコート紙等の表面に印刷したり、着色剤としてカーボンブラックを含んでいたりしても、特にLEDからの光の照射によって光硬化させた際に、光照射直後の定着性や光照射から1日経過後の耐擦過性に優れた画像を形成でき、しかも低粘度でインクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性や着色剤等の分散性にも優れた光硬化性インクジェットインクを提供できる。
〈実施例1〉
(顔料分散液の調製)
下記の各成分を、表1に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて顔料分散液を調製した。
分散剤:リューブリゾル(Lubrizol)社製のソルスパース(SOLSPERSE、登録商標)32000
反応性希釈剤:エトキシジエチレングリコールアクリレート〔共栄社化学(株)製のライトアクリレート(登録商標)EC−A〕
下記の各成分を、表2に示す割合で配合して、十分に溶解するまで撹拌し、次いで先に調製した顔料分散液を、表2に示す割合で加えてさら撹拌したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して光硬化性インクジェットインクを調製した。
(A)の多官能ラジカル重合性化合物:(A−1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート〔サートマー社製のSR368〕
(B)のラジカル重合性モノマー:2−アリルオキシメチルアクリル酸メチル〔(株)日本触媒製のFX−AO−MA〕
アミン変性アクリレートオリゴマー:サートマー社製のCN371〔反応性アミン共開始剤、アミン価:136mgKOH/g〕
増感剤:2,4−ジエチルチオキサントン〔ランブソン(LAMBSON)社製のDETX〕
光重合開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製のイルガキュア(IRGACURE、登録商標)819〕
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−2)のうちジペンタエリスリトールペンタアクリレート〔平均官能基数:5、Tg:90℃、サートマー社製のSR399〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例3〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−2)のうちジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔平均官能基数:6、サートマー社製のDPHA〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例4〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−3)のうち官能基数が6でかつガラス転移温度Tgが145℃の脂肪族ウレタンアクリレート〔サートマー社製のCN968〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例5〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−3)のうち官能基数が6でかつガラス転移温度Tgが103℃の脂肪族ウレタンアクリレート〔サートマー社製のCN9010〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例6〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを21.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを38.6質量部とし、4.4質量部のEC−Aを追加したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。EC−Aの総量は20.2質量部であった。
〈実施例7〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを20.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを36.8質量部とし、7.2質量部のEC−Aを追加したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。EC−Aの総量は23.0質量部であった。
〈実施例8〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを28.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを51.5質量部とし、当該FX−AO−MOの一部と0.3質量部のEC−Aによって顔料分散液を調製したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例9〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを32.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを32.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例10〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを34.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを30.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例11〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを16.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを48.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈実施例12〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量WAを14.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量WBを50.0質量部としたこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈比較例1〉
(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOに代えて、同量のEC−Aを追加配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。EC−Aの総量は57.3質量部であった。
(A)の多官能ラジカル重合性化合物に代えて、トリメチロールプロパントリアクリレート〔サートマー社製のSR351S〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。この比較例2は、特許文献3の実施例を再現したものに該当する。
(A)の多官能ラジカル重合性化合物に代えて、2官能でかつガラス転移温度Tgが76℃の芳香族ウレタンアクリレート〔サートマー社製のCN999〕を同量配合したこと以外は実施例1と同様にして光硬化性インクジェットインクを調製した。
〈サンプルの作製〉
各実施例、比較例で調製したインクジェットインクを、ピエゾ式のインクジェットプリンタに使用して、蛍光増白剤入りの両面コート紙〔日本製紙(株)製のスーパーF−1ホワイト、米坪230g/m2〕の片面に黒のベタ画像を形成したのち、LEDランプ〔フォセオンテクノロジー(Phoseon Technology)社製のFire JetFJ200〕を用いて、実測ピーク照度:7.2W/cm2、積算光量:1J/cm2の条件で紫外線を照射してベタ画像を光硬化させてサンプルを作製した。
光照射直後のサンプルの、ベタ画像を形成した片面に、同種の両面コート紙の反対面を重ね合わせた状態で、1kgの錘を30秒間、載置したのち、2枚の両面コート紙を剥離し、ベタ画面上に重ねていた両面コート紙の反対面を観察して、下記の基準で、光照射直後の画像の定着性を評価した。
△:反対面には、インクジェットインクが斑点状に付着した程度で、黒くはなっていなかった。中間レベル。
○:反対面には、インクジェットインクは全く付着していなかった。良好。
〈光照射から1日経過後の画像の耐擦過性評価〉
作製したサンプルの、黒のベタ画像の表面を、光照射から1日経過後に、上質紙で900gf(≒8.8N)の荷重をかけながら100往復こすったのち、上質紙の表面を観察して、下記の基準で、光照射から1日経過後の画像の耐擦過性を評価した。
△:上質紙には、インクジェットインクが斑点状に付着した程度で、黒くはなっていなかった。中間レベル。
○:上質紙には、インクジェットインクは全く付着していなかった。良好。
〈色濃度の評価〉
作製したサンプルの、黒のベタ画像の反射濃度を、ハンディ型分光色差計〔日本電色工業(株)のSPECTRO PHOTOMETER NF777〕を用いて測定して、下記の基準で印字濃度を評価した。
△:反射濃度は1.5以上、2.0未満であった。中間レベル。
○:反射濃度は2.0以上であった。色濃度良好。
〈吐出安定性評価〉
各実施例、比較例で調製したインクジェットインクを、ピエゾ式のインクジェットプリンタに使用して、蛍光増白剤入りの両面コート紙〔日本製紙(株)製のスーパーF−1ホワイト、米坪230g/m2〕の片面に、黒の罫線(使用したインクジェットプリンタの標準のノズルチェックパターン)を形成し、観察して、下記の基準で吐出安定性を評価した。
△:罫線の直線部分に若干の乱れはあったものの、罫線を形成できた。中間レベル。
○:罫線を隅々まできれいに形成できた。吐出安定性良好。
以上の結果を表3〜表5に示す。
また、蛍光増白剤入りのコート紙の表面に印刷して、LEDからの光によって光硬化させた際には、顔料としてカーボンブラックを含んでいることも相まって、光硬化の速度が不足して、光照射直後の定着性や光照射から1日経過後の耐擦過性が不十分になることも判った。
実施例1、6〜8の結果より、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物の合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の70質量%以上であるのが好ましいことが判った。
Claims (5)
- ラジカル重合性化合物、光ラジカル重合開始剤、および着色剤を含み、前記ラジカル重合性化合物は、
(A) 式(1):
で表されるジペンタエリスリトールアクリレート、および官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の多官能ラジカル重合性化合物、ならびに
(B) 式(3):
で表されるラジカル重合性モノマー、
を少なくとも含んでいる光硬化性インクジェットインク。 - 前記(A)の多官能ラジカル重合性化合物は、前記式(1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり、前記(B)のラジカル重合性モノマーは、前記式(3)中のR2がメチル基である2−アリルオキシメチルアクリル酸メチルである請求項1に記載の光硬化性インクジェットインク。
- 前記(A)の多官能ラジカル重合性化合物の質量WAと、前記(B)のラジカル重合性モノマーの質量WBとの質量比WB/WAは1以上、3以下である請求項1または2に記載の光硬化性インクジェットインク。
- 前記(A)の多官能ラジカル重合性化合物の質量WAと、前記(B)のラジカル重合性モノマーの質量WBの合計の配合割合は、前記ラジカル重合性化合物の総量中の70質量%以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェットインク。
- 前記ラジカル重合性化合物として、さらにアミン変性アクリレートオリゴマーを含んでいる請求項1ないし4のいずれか1項に記載の光硬化性インクジェットインク。
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