JP2020050832A - 変性樹脂の製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の変性樹脂の製造方法は、上記式(1)で表されるアニオンとプロトンとからなる酸(以下、ジエン系カルボン酸ともいう。)、該アニオンと金属含有カチオンとを含む塩(以下、ジエン系カルボン酸塩ともいう。)、並びに、該アニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物からなる群より選択される少なくとも1種(以下、ジエン系カルボン酸(塩)等ともいう。)と、樹脂とを含む原料組成物を、原料樹脂が溶融状態となるような条件下で混練しながらラジカルを発生させる工程(以下、混練工程ともいう)を含む。
上述のとおり、従来のビニル化合物である無水マレイン酸を用いた場合、ラジカル重合活性が低いことに起因して、発生ラジカルによる樹脂の分解、低分子量化が優先しやすく、樹脂に結合しなかった無水マレイン酸や、樹脂の分解により生じた低分子量分は、変性樹脂の品位低下の要因となる。これに対して、ビニル化合物として上記特定の構造のジエン系カルボン酸(塩)を用いることにより、高い効率で樹脂を変性し、かつ、樹脂の低分子量化を抑制することができるため、得られる変性樹脂の品位低下を充分に抑制することができる。
更に、上記特定の構造のジエン系カルボン酸(塩)を用いて原料樹脂を変性することにより、原料樹脂よりも引張強さやシャルピー衝撃強さ、荷重たわみ温度等の物性を向上させることができる。
本発明の変性樹脂の製造方法は、上記工程を含む限りその他の工程を含んでいてもよい。
上記混練工程は、上記原料組成物中の成分を、ラジカルを発生させながら混合、分散させる限り特に制限されない。
上記混練工程は、原料組成物中にジエン系カルボン酸及び/又はジエン系カルボン酸塩を含んでいても、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含んでいてもよい。該アニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物を含む場合、混錬工程において、これらの化合物を含む組成物の混錬中に、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じることになる。すなわち、上記原料組成物中にジエン系カルボン酸ジエン系カルボン酸塩を含まない場合であっても、上記化合物を含む原料組成物についての混錬工程中に、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンが生じる限り、これらがラジカル機構により樹脂に結合し、本発明の効果を奏することとなる。
以下では上記混練工程における原料組成物に含まれる必須成分(ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物、並びに、樹脂)及び任意成分(上記以外のその他の成分)について説明する。
(1)ジエン系カルボン酸(塩)等におけるアニオン(以下、ジエン系カルボン酸陰イオンともいう)
本願のジエン系カルボン酸及びジエン系カルボン酸塩におけるアニオンは、式(1)で表される1,6−ジエン−2−カルボン酸陰イオンである。式(1)の置換基を有していてもよいメチレン基の置換基としては、炭素数1〜6のアルキル基等が挙げられる。置換基として好ましくは、メチル基である。上記メチレン基としては置換基を有しないものであることが好ましい。
上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、上記式(1)に示すように、酸素原子−炭素原子−酸素原子の結合全体で1価の陰イオンとなっている構造をとる。
配位構造は、例えば、単座(unidentate)配位子、二座(bidentate)配位子、架橋性(bridging)配位子などが挙げられるが、かかる例示に限定されるものではない。また、同一の化学式であれば、異なる配位構造のものを、同一のものとして扱ってもよい。
例えば、上記ジエン系カルボン酸陰イオンは、(1)で表されるジエン系カルボン酸陰イオン以外のその他の陰イオンと複合していてもよい。
よって、幅広い種類の樹脂を効率よく変性することが可能であり、得られる変性樹脂は環構造を有することから、該環構造の適度な柔軟性に起因して、機械強度や塗装密着性に優れるものとなる。
また、上記ジエン系カルボン酸陰イオンは極性が高いため、原料樹脂に極性基を結合させることとなる。したがって、本発明の製造方法で用いられる原料樹脂の極性が低いものである場合、本発明の技術的意義が特に効果的に発揮される。
なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸」及び/又は「メタクリル酸」を意味する。「2−((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸」は「2−(アリルオキシメチル)アクリル酸」及び/又は「2−(メタリルオキシメチル)アクリル酸」を意味する。また、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」及び/又は「メタクリレート」を意味する。
本願のジエン系カルボン酸は、上記ジエン系カルボン酸陰イオンとプロトンからなる酸であり、下記式(7);
本発明における式(1)で表されるアニオンとプロトンとからなる酸は、上記原料組成物において、当量のジエン系カルボン酸陰イオンとプロトンとが含まれ、全体として電気的に中性であればよく、該ジエン系カルボン酸陰イオンとプロトンとは共有結合していてもよいし、電離した状態であってもよい。なお、ジエン系カルボン酸陰イオンは、酸素原子−炭素原子−酸素原子の結合中に含まれる2つの炭素原子−酸素原子結合が等価で、その結合の強さはC=O二重結合とC−O単結合の中間であり、酸素原子−炭素原子−酸素原子の結合全体で1価の陰イオンとなっている。したがって、ジエン系カルボン酸陰イオンとプロトンとが結合した形態と、これらが電離した形態とは、酸素原子−炭素原子−酸素原子の結合の構造が異なるため、赤外スペクトルにおいてはそれぞれの結合の構造に由来する異なる吸収が観測されることになるが、式(1)で表されるアニオンとプロトンとからなる酸は、ジエン系カルボン酸陰イオンとプロトンとが共有結合したものと、これらが電離したものとの両方を含むものとする。
本願のジエン系カルボン酸塩におけるカチオン(以下、対カチオンともいう。)としては、金属含有カチオンであれば特に制限されず、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団であっても、金属原子あるいは金属原子のみからなる原子団であってもよい。なお、上記対カチオンが、金属原子と非金属原子の両方を含む原子団である場合は、金属原子と非金属原子を含む原子団全体を1つのカチオンとして捉えてもよいし金属原子あるいは金属原子のみからなる原子団がカチオンであって、それ以外の部分は陰イオンと捉えてもよい。(例えば、[ZrO]2+はZr4+とO2−、[(C2H5O)Al]2+はAl3+とC2H5O−、[(n−C4H9)2Sn−O−Sn(n−C4H9)2]2+はSn4+2個とO2−とn−C4H9 −2個)。
本発明のジエン系カルボン酸塩は、上述のカルボン酸陰イオンと上述の対カチオンとを含む。
上記ジエン系カルボン酸塩は、上述のジエン系カルボン酸陰イオンと上述の対カチオン以外の構造を含んでもよく、対カチオンの価数のうち少なくとも1価が上記ジエン系カルボン酸陰イオンで占められていればよく、残りの価数はジエン系カルボン酸以外のその他の陰イオンや中性分子型配位子等で占められてもよい。
また、対カチオンの価数や取り得る配位数に応じて、ただ1種類だけ含んでもよいし、異なる種類のものを複数種類、複数個持ってもよい。その他の陰イオンとしては、例えば、酸化物イオン(O2−)、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオンなどを挙げることができる。中性分子型配位子としては、水、アルコール類、アンモニア、アミン類、ホスフィン類、β−ケトエステル類、シクロペンタジエン類などを挙げることができる。
以上より、上記ジエン系カルボン酸塩は、ジエン系カルボン酸塩を構成する成分(カルボン酸陰イオン、対カチオン、その他陰イオン、中性子分子型配位子等)を表す化学式から表される。
上記ジエン系カルボン酸塩の性状は特に制限されず、液状であっても固体であってもよく、例えばジエン系カルボン酸塩の性状に応じて混練装置、条件を選択して樹脂等の成分となじませることが好ましい。
ジエン系カルボン酸陰イオンが多くの有機基を含む場合、常温で液状となる傾向にあるが、特に、ジエン系カルボン酸陰イオンが式(1)で表される構造において、X1、Z1が同一、もしくは異なって置換基を有していてもよいメチレン基、Y1=酸素原子である場合、常温で液状となる傾向にある。
Ca(AOMA)1(Ac)1,Ba(AOMA)1(AA)1,Zr(AOMA)2(MAA)2,Zn(AOMA)1(AA)1,In(AOMA)2(MAA)1等が挙げられる。
カルボン酸以外の陰イオン性配位子として、水酸化物イオン、あるいはアルコキシドイオン,ハロゲンイオンが含まれる例としては、
(Ph)2Sn(OH)1(AOMA)1,(n−C4H9O)2Ti(AOMA)2,Y(Cl)(AOMA)2等が挙げられる。
中性分子型配位子として、水、メタノール、2,2´−ビピリジン(以下、bpy)が配位している例としては(H2O)2Zn(AOMA)2,(H2O)1(CH3OH)1Zn(AOMA)2,(bpy)2Sm(AOMA)3等が挙げられる。
なお、水、メタノール、ジエチルエーテル、テトラヒドロフランなどのような溶媒として一般的に使用し得るものは、塩中に中性分子型配位子として含まれているのか、単に塩と残存溶媒との混合物であるのかを区別するものではない。
上記ジエン系カルボン酸塩の製造方法としては、(i)ジエン系カルボン酸またはジエン系カルボン酸の無水物を、塩基性物質、及び/又は両性物質と反応させる方法(以下、直接法)、(ii)ジエン系カルボン酸エステルまたはジエン系カルボン酸ニトリルを塩基性物質で加水分解してジエン系カルボン酸塩とした後、必要に応じてさらに別のカチオンに交換する方法(以下、複分解法)等が挙げられる。また、上記ジエン系カルボン酸塩電解質液中で製造すると、電離した状態のジエン系カルボン酸陰イオンが得ることができ、非電解質液中で行ったり、電解質液中で行った後に溶媒除去、溶媒交換、抽出などの操作を行うと、ジエン系カルボン酸塩の状態を得ることができるが、上記ジエン系カルボン酸塩は、電離した状態で得ても、電離していない状態で得てもよい。
上記製造方法において、塩基性物質とは、水と反応させることで(加熱してもよい)水酸化物イオンを発生しうる物質を示し、例えば、アンモニア、アミン類などの有機塩基や、種々の金属単体、金属酸化物、金属水酸化物や金属アルコキシドが挙げられる。両性物質とは、酸とも塩基とも反応することができる物質を示し、例えば、アルミニウム、亜鉛、錫、鉛などの元素を含有する金属単体、金属酸化物、金属水酸化物や金属アルコキシドが挙げられる。
上記塩基性物質、両性物質に含まれる金属としては、上述の対カチオンに含まれる金属が好ましい。
上記直接法、複分解法の上記以外の点については、特許文献14に記載の方法を参照することができる。
上記混練工程における原料組成物は、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び上記金属含有カチオンを生じさせる化合物を含んでいてもよい。
式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物としては、混錬、成型、架橋処理工程中に該アニオンを生じさせるものであれば特に制限されないが、式(1)で表されるアニオンをプロトン化させた酸等が挙げられる。
上記金属含有カチオンを生じさせる化合物としては、混錬工程中に該カチオンを生じさせるものであれば特に制限されず、例えば、上記金属含有カチオンと式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとを含む塩等が挙げられる。
上記金属含有カチオンの具体例及び好ましい例については、上記ジエン系カルボン酸塩において述べたとおりである。
上記式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとしては、特に制限されないが、酸化物イオン(O2−)、ハロゲンイオン、水酸化物イオン、アルコキシドイオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、アセチルアセトナートイオン、炭酸イオン、炭酸水素イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、硫酸イオン、亜硫酸イオン、亜硫酸水素イオン、リン酸イオン、ケイ酸イオン、ホウ酸イオンなどを挙げることができる。
式(1)で表されるアニオン以外のアニオンとして好ましくは酸化物イオン、水酸化物イオン、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸陰イオン、炭酸イオン、炭酸水素イオンである。金属含有カチオンを生じさせる化合物として好ましくは、金属酸化物、金属水酸化物、金属アルコキシド、ジエン系カルボン酸陰イオン以外のカルボン酸金属塩、炭酸塩、炭酸水素塩であり、より好ましくは金属酸化物、金属水酸化物であり、特に好ましくは酸化亜鉛である。
上記混練工程における原料組成物中のジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩、並びに、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物の合計の含有割合としては、特に制限されないが、上記樹脂100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、一層好ましくは2質量%以上である。また30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、一層好ましくは5質量%以下である。上記好ましい範囲とすることにより、本発明の作用効果をより充分に発揮することが可能となる。
また、原料組成物100質量%に対する、ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩、並びに、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物の合計の含有割合は、0.05質量%以上が好ましく、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは1質量%以上、一層好ましくは2質量%以上である。また25質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、更に好ましくは10質量%以下、一層好ましくは5質量%以下である。
なお、上記割合を算出する際に、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物については、式(1)で表されるアニオン及び金属含有カチオンに換算して、上記割合を算出することとする。例えば、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物として、2−(アリルオキシメチル)アクリル酸と酸化亜鉛とを含む場合、2−(アリルオキシメチル)アクリル酸陰イオンと亜鉛イオンとして上記割合を算出する。
また、上記原料組成物がジエン系カルボン酸塩を含む形態は、本発明の好ましい実施形態であり、原料組成物中のジエン系カルボン酸塩の含有割合としては、特に制限されないが、上記樹脂100質量%に対して、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、さらに好ましくは1質量%以上、一層好ましくは2質量%以上である。また30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下、一層好ましくは5質量%以下である。
上記混練工程における原料組成物に含まれる樹脂(以下、原料樹脂ともいう。)は、ビニル化合物が結合可能な活性点として、ラジカルをその構造中に生成できる樹脂である。原料樹脂の構造中に生じたラジカルがビニル化合物と反応することによりビニル化合物が原料樹脂に結合し、変性樹脂となる。上記樹脂としては、例えば、原料ゴムや熱可塑性樹脂(熱可塑性プラスチック、熱可塑性エラストマー)、原料ゴムにも熱可塑性樹脂にも分類され得るもの等が挙げられる。
Zグループ(主鎖にりん及び窒素をもつゴム)に属するものとして、=N−鎖をもち連鎖中のりん原子に結合したフルオロアルコキシ基をもつゴム(FZ−P)、=N−鎖をもち連鎖中のりん原子に結合したアリロキシ(フェノキシ及び置換フェノキシ)をもつゴム(PZ−P)が挙げられる。
上記樹脂は2種以上の原料ゴムや樹脂であってもよく、1種又は2種以上の原料ゴム及び/又は樹脂を用いることができる。
従来のビニル化合物としての無水マレイン酸は、低極性の樹脂とは相溶しにくい高極性の化合物であり、このことも原料樹脂への結合効率の低下などの要因となるのに対して、本発明におけるジエン系カルボン酸(塩)等は低極性の樹脂との相溶性にも優れる。
上述のジエン系カルボン酸及び/又はその陰イオンは、重合前は低極性の樹脂とのなじみの良い直鎖状構造であるが、重合後は環状エーテル構造が生じ、より高極性となる。ジエン系カルボン酸及び/又はその陰イオンが、反応性の官能基を有し、かつ、重合前後に構造変化して極性変化する特徴を有することに基づき、原料樹脂に極性基、あるいは反応性の官能基を結合させることとなる。これにより変性樹脂の塗装密着性、他の樹脂との相溶性、フィラーの分散性等を向上させることができる。したがって、原料樹脂が低極性である場合、本発明の技術的意義がより効果的に発揮される。
低極性の樹脂としては、エチレンとブテンとのゴム状共重合体(EBM)、エチレンとオクテンとのゴム状共重合体(EOM)、エチレンとプロピレンとジエンとのゴム状共重合体(EPDM)、ポリイソブテン(IM)、スチレンとエチレンとブテンとのゴム状共重合体(SEBM)、イソプレンゴム(合成天然ゴム:IR)、α−メチルスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(MSBR);スチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(SBR)、乳化重合で合成されたスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(E−SBR)、溶液重合で合成されたスチレンとブタジエンとのゴム状共重合体(S−SBR)、スチレンとイソプレンとブタジエンとのゴム状共重合体(SIBR);ポリブテン(PB)、ポリエチレン(PE)、ポリエチレン,高密度(PE−HD)、ポリエチレン,低密度(PE−LD)、ポリエチレン,直鎖状低密度(PE−LLD)、ポリエチレン,中密度(PE−MD)、ポリエチレン,超高分子量(PE−UHMW)、ポリエチレン,極低密度(PE−VLD)、ポリイソブチレン(PIB)、ポリプロピレン(PP)、ポリプロピレン,衝撃性(PP−HI)、ポリプロピレン,発泡性(PP−E);ポリスチレン(PS)、ポリスチレン,発泡性(PS−E)、ポリスチレン,耐衝撃性(PS−HI)、ポリスチレン,シンジオタクチック(PS−ST)、スチレン−ブタジエンプラスチック(SB)、スチレン−α−メチルスチレンプラスチック(SMS);オレフィン系熱可塑性エラストマー、スチレン系熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
ここで、ポリオレフィン系樹脂とは、重合体の構造単位として無置換アルケン(エチレン)由来、一置換アルケン(α−オレフィン)由来、二置換アルケン由来、シクロアルケン(環状オレフィン)由来の少なくとも1種を含み、これらの合計量が50mol%以上である樹脂のことを言う。水添ポリブタジエンやノルボルネン類の開環メタセシス重合体の水素化物など、水素添加によりポリオレフィン同等構造となったものもポリオレフィン系樹脂に含まれる。ジエン系樹脂とは、重合体の構造単位として1,3−共役ジエン由来の構造単位を10mol%以上含む樹脂のことを言う。
ポリプロピレンは、低極性であり、かつ、熱ラジカルにより分解されやすく低分子量化しやすいため、ポリプロピレンに対して本発明の変性樹脂の製造方法により変性を行う場合、本発明の技術的意義が特に効果的に発揮される。
上記原料組成物は、ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩、及び、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物からなる群より選択される少なくとも1種、並びに、樹脂に加え、必要に応じ、(1)ラジカル発生剤(2)ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物、(3)希釈剤、(4)重合禁止剤・酸化防止剤を含んでいてもよい。なお、これらは、それぞれ1種又は2種以上を用いることができる。
上記原料組成物は、更にラジカル発生剤を含むことが好ましい。上記原料組成物が、ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩、及び、式(1)で表されるアニオンを生じさせる化合物及び金属含有カチオンを生じさせる化合物からなる群より選択される少なくとも1種並びに樹脂と、ラジカル発生剤とを含む形態もまた、本発明の好ましい実施形態の1つである。
上記ラジカル発生剤は、混練工程において加熱や活性エネルギー線の照射により、自らの構造中にラジカルを発生するものであれば特に制限されない。
上記熱ラジカル発生剤としては、混練温度よりも低い温度でラジカルを発生するものであればよく、例えば、熱ラジカル発生剤の1分間半減期温度としては50〜260℃が好ましく、より好ましくは100〜230℃であり、さらに好ましくは120〜200℃である。
上記熱ラジカル発生剤として具体的には有機過酸化物;硫黄;二塩化硫黄等のハロゲン化硫黄;アゾ化合物等が挙げられる。
これらのラジカル発生剤の1種を単独でまたは2種以上を併用して使用することができる。
上記ベンゾイン系化合物としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等が挙げられる。
上記チオキサントン系化合物としては、チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等が挙げられる。
上記ハロメチル化トリアジン系化合物としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボキニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
上記ビイミダゾール系化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’ −テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール、2,2’−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4’,5,5’ −テトラフェニル−1,2’−ビイミダゾール等が挙げられる。
上記オキシムエステル系化合物としては、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等が挙げられる。
上記チタノセン系化合物としては、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9−フェニルアクリジン等が挙げられる。
上記原料組成物中に有機過酸化物を含む場合の有機過酸化物の含有割合としては、上記樹脂100質量%に対して、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上であり、さらに好ましくは0.05質量%以上であり、一層好ましくは0.1質量%以上である。また、上記原料組成物中の有機過酸化物の含有割合としては、上記樹脂100%に対して、10質量%以下であることが好ましい。より好ましくは5質量%以下であり、更に好ましくは3質量%以下である。
ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物としては、これらとラジカル重合機構で共重合できるもの、又は、樹脂に結合できるものであれば特に制限されないが、ジエン系カルボン酸エステル、不飽和カルボン酸塩類等のビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、シアン化ビニル、不飽和カルボン酸類、芳香族ビニル、N置換マレイミド、N−ビニル化合物、1,3−共役ジエン類、ビニルエステル等の単官能ビニル化合物;多官能(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル、アリル基含有(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物、多官能マレイミド系化合物、多官能ビニルエーテル、多官能アリル系化合物;多官能芳香族ビニル等の多官能ビニル化合物が挙げられる。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸sec−ア
ミル、(メタ)アクリル酸tert−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒド
ロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチル等が挙げられる。
不飽和カルボン酸塩類としては、例えば、上述の不飽和カルボン酸の亜鉛、マグネシウム、カルシウム、ナトリウム、カリウム等の金属塩が挙げられる。
本発明においては、原料樹脂の軟化温度を低下させることにより溶融混練変性温度を下げる、ビニル化合物やラジカル発生剤を添加する際にそれらが高濃度で偏在することを抑制する、等のために、希釈剤を使用してもよい。
希釈剤としては、溶融混練変性温度で液状であればよいが、ビニル化合物やラジカル発生剤を溶解あるいは分散させることができ、且つ原料樹脂に溶解あるいは分散しやすい性質で、さらにある程度沸点の高いものであることが好ましい。原料樹脂やビニル化合物、ラジカル発生剤の種類に応じて適宜選択するのが好ましいが、例えば、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、シクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、メチルイソブチルケトン等の有機溶剤;プロセスオイル、潤滑油、パラフィン、流動パラフィン、ワセリン等の石油系軟化剤;ヒマシ油、アマニ油、ナタネ油、ヤシ油等の脂肪油系軟化剤;トール油、サブ、蜜ロウ、カルナバロウ、ラノリン等のワックス類;リノール酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、フタル酸エステル系化合物、ポリエステル化合物、(メタ)アクリルオリゴマー等、が挙げられる。
上記原料組成物中の希釈剤の合計の含有割合としては、上記樹脂100質量%に対して、0〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%である。
本発明においては、原料樹脂の分解を抑制する、ビニル化合物の反応速度を調整する、ラジカル発生剤からのラジカル発生速度および発生量を調整する、等のために、ラジカル重合禁止剤や酸化防止剤を使用してもよい。
具体的には例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ・フェニル)プロピオン酸ステアレート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、テトラキス(メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ・フェニル)フロピオネート)メタン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,5−ジ−t−ブチルヒドロキノン等のヒンダードフェノール類;ジラウリルチオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート等のイオウ系酸化防止剤;トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラ(トリデシル)−1,1,3−トリス(2−メチル−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタンジホスファイト等のリン系酸化防止剤などが挙げられる。
上記原料組成物中の重合禁止剤・酸化防止剤の合計の含有割合としては、上記樹脂100質量%に対して、0〜5質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜1質量%であり、更に好ましくは0〜0.5質量%である。
本発明の変性樹脂の製造方法における混練工程は、上記原料組成物中の成分を、ラジカルを発生させながら混合、分散させる限り特に制限されず、通常用いられる方法により行うことができ、混練方法としては例えば、(1)原料樹脂を溶融させた状態でジエン系カルボン酸(塩)等と混合し、ラジカルを発生させる溶融反応法;(2)ジエン系カルボン酸(塩)等を含侵させた原料樹脂の水性懸濁液を調製し、撹拌しながらラジカルを発生させる含侵反応法;(3)原料樹脂とジエン系カルボン酸(塩)等とを溶剤に溶解し、撹拌しながらラジカルを発生させる溶液反応法が挙げられる。
上記(2)の含侵反応法では、有機溶剤を使用せずに混練を行うことができるため、容易に水性塗料化することができる。また、低沸点のビニル化合物でも使用することができる。また、上記(2)の方法では、操作が煩雑でバッチ生産となるのに対して、上記(1)の溶融反応法では、一段階で混練工程を行うことができるため、低コストであり、連続生産も可能であるため、工業的生産に好適である。また、上記(3)の方法でも、低沸点のビニル化合物でも使用することができるが、原料樹脂を溶剤に溶解させて混練を行うのに対して、(1)の方法では、原料樹脂を溶融させて混練を行うため、原料樹脂の溶剤への溶解性によらず、様々な樹脂に幅広く適用することができる。
溶融反応法では、ビニル化合物の沸点より高い温度で溶融混練変性を行うとビニル化合物が揮散しやすく、ビニル化合物の原料樹脂に対する結合効率の低下、揮散したビニル化合物の臭気や装置壁面での重合などの問題が生じやすい。
例えば、原料樹脂としてポリプロピレン系樹脂を用いる場合、溶融混練変性は200℃近くで行うことが多く、従来ビニル化合物として用いられている無水マレイン酸は、沸点が(202℃)が十分高いとはいえないうえ、昇華性があるため、揮散の抑制に関して課題があった。更に、上述のとおり、ビニル化合物として無水マレイン酸を用いた場合、ラジカル重合活性が低いことに起因して、発生したラジカルによる樹脂の分解、低分子量化が優先しやすく、樹脂に結合しなかった無水マレイン酸や、樹脂の分解により生じた低分子量分は、変性樹脂の品位低下の要因となる。また、無水マレイン酸の樹脂への結合量を増やすために溶融混練変性温度を上げたりラジカル発生剤量を増やしたりすると、より一層低分子量化が顕著となるという問題があった。
これに対して、後述するとおり、本発明におけるジエン系カルボン酸(塩)等は、沸点が高いため、高融点の樹脂を高温で混錬する場合にも、ジエン系カルボン酸(塩)の揮発を充分に抑制することができるため、溶融反応法により混練を行う場合に、本発明の技術的意義が特に効果的に発揮される。混練方法として好ましくは(1)溶融反応法であり、溶融反応法により混練を行う形態は、本発明の好ましい実施形態の1つである。
また、上記(1)の方法における混練温度としては、100〜300℃であることが好ましい。
本発明におけるジエン系カルボン酸(塩)等は、沸点が高く、例えば、2−(アリルオキシメチル)アクリル酸の沸点は常圧760mmHgで236℃であるため、溶融反応法において、150〜236℃の温度で特に好適に混練を行うことができる。さらに溶融反応法を二軸押出機のように密閉加圧可能な装置で行うことで、常圧における沸点より高い温度でも混練することが出来る。また、溶融反応法では、原料樹脂の種類によって混練温度を設定することとなるが、上記ジエン系カルボン酸(塩)等の沸点が高いことに基づき、本発明の製造方法では混練温度を高くすることができるため、適用することができる樹脂の幅が広がる。
また、混練工程においてラジカル発生剤を使用する場合、樹脂と、ラジカル発生剤以外の成分とを一定時間混練した後に、ラジカル発生剤を添加し、混練することが好ましい。
上記混練工程では、混練機として、原料の形態や得られる変性樹脂の用途等に応じてバンバリーミキサー、プラストミル、一軸または二軸押出機などの混練機等を用いることが好ましい(用いてもよい)。なお溶融混練変性の前に、ヘンシェルミキサー、リボンブレンダー、V型ブレンダ―などのミキサーやブレンダ―を用いて予備混合を行ってから、予備混合物を溶融混練変性してもよい。
ラジカル発生剤を使用する場合、使用するラジカル発生剤に応じて、ラジカル発生方法を適宜選択すればよく、上記の方法を併用してもよい。混練方法として溶融反応法、含侵反応法、溶液反応法のいずれにおいても、好ましくはラジカル発生剤を用いる方法である。
本発明はまた、下記式(2)及び/又は式(3);
上記共重合体(β)における式(4)及び/又は式(5)で表される構造単位は、式(1)で表されるアニオンと金属含有カチオンとをプロトンとからなる酸(ジエン系カルボン酸)に由来する構造単位であり、ジエン系カルボン酸が重合して形成される構造と同じ構造を有する構造単位である。
ただし、ジエン系カルボン酸塩、ジエン系カルボン酸に由来する構造単位は、実際にジエン系カルボン酸塩、ジエン系カルボン酸が重合して形成された構造単位に限定されない。ジエン系カルボン酸塩、ジエン系カルボン酸が重合して形成される構造と同じ構造を有すれば、他の方法により形成させた構造単位も、ジエン系カルボン酸塩、ジエン系カルボン酸に由来する構造単位に含まれる。
上記ジエン系カルボン酸塩、ジエン系カルボン酸は、変性樹脂の製造方法において述べたとおりである。
例えば、上記ジエン系カルボン酸塩が2−((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸塩である場合、該塩に由来する構造単位は、下記式(8)及び/又は(9);
例えば、上記ジエン系カルボン酸が2−((メタ)アリルオキシメチル)アクリル酸である場合、該酸に由来する構造単位は、下記式(10)及び/又は(11);
上記共重合体(α)における式(2)及び(3)で表される構造単位を有しない樹脂としては、変性樹脂の製造方法において述べたゴムや熱可塑性樹脂等が挙げられる。具体例及び好ましい例は、上述のとおりである。
上記共重合体(β)における式(4)及び(5)で表される構造単位を有しない樹脂は、1,3共役ジエン構造含有単量体由来の構造単位を有する重合体に該当しないものであれば特に制限されず、具体例及び好ましい例は、上述の樹脂の具体例及び好ましい例のうち、1,3共役ジエン構造含有単量体由来の構造単位を有する重合体に該当しない樹脂である。
1,3共役ジエン構造含有単量体は、1位と2位の間及び3位と4位の間が二重結合であって、2位と3位の間が単結合であるアルケンであればよく、1,3共役ジエン構造含有単量体として具体的には、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンが挙げられる。
上記共重合体(β)は、式(4)及び/又は式(5)で表される構造単位及び式(4)及び(5)で表される構造単位を有しない樹脂(ただし、1,3共役ジエン構造含有単量体由来の構造単位を有する重合体を除く)に由来する構造単位以外のその他の構造単位を有していてもよい。
上記共重合体(α)、(β)におけるその他の構造単位としては、特に制限されないが、例えば、ジエン系カルボン酸、ジエン系カルボン酸塩以外のビニル化合物に由来する構造単位等が挙げられる。
上記共重合体(β)において、上記その他の構造単位の割合は、式(4)及び(5)で表される構造単位を有しない樹脂(ただし、1,3共役ジエン構造含有単量体由来の構造単位を有する重合体を除く)に由来する構造単位100質量%に対して、0〜20質量%であることが好ましい。より好ましくは0〜10質量%であり、更に好ましくは0〜5質量%であり、一層好ましくは0〜2質量%であり、特に好ましくは0〜1質量%であり、最も好ましくは0質量%である。
本発明の製造方法により得られた変性樹脂及び本発明の共重合体(α)、(β)並びに上記変性樹脂や共重合体(α)、(β)を含む組成物は、種々の用途に用いることができる。
本発明の変性樹脂を単独で、あるいは他の成分と混合して熱可塑性樹脂組成物とし、圧縮成形、トランスファー成形、押出成形、カレンダー成形、インフレーション成形、ブロー成形等の各種の加熱成型方法により成形品を製造することができる。また、熱可塑性を利用してホットメルト接着剤として使用することもできる。さらに、水に分散させたり、揮発性の有機溶剤に溶解あるいは分散させてコーティング剤とし、プライマーや接着剤として使用することもできる。
上記充填剤としては、通常用いられるものを使用することができ、具体的には、カーボンブラック、シリカ、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、タルク、マイカ、モンモリロナイト、石膏繊維、ガラスバルン、シリカバルン、ハイドロタルサイト、フライアシュバルーン、シラスバルーン、カーボン系バルーン、アルミナ、ジルコニア、硫酸バリウム、硫酸アルミニウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、二硫化モリブデン、ガラス繊維、カットファイバー、ロックファイバー、ミクロファイバー、炭素繊維、カーボンナノファイバー、セルロースナノファイバー、芳香族ポリアミド繊維、チタン酸カリウム繊維、再生ゴム、ゴム粉末、エボナイト粉末、セラミックス、炭化ケイ素、窒化ケイ素、窒化ホウ素、金属粉末、木粉等を挙げることができる。
本発明の変性樹脂を含む熱可塑性樹脂組成物から得られる加熱成形品は、自動車部品、家電部品、建材、包装、容器、繊維、フイルム、シート、発泡製品など幅位広い分野で使用することができる。
2−(アリルオキシメチル)アクリル酸、及び、2−(アリルオキシメチル)アクリル酸イオン(AOMA−)と亜鉛イオン(Zn2+)との塩(2−(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛:AOMA−Zn)の合成
[2−(アリルオキシメチル)アクリル酸ナトリウム水溶液の合成]
反応液中のメタノール濃度が3%を超えないよう、計84.0部の2−(アリルオキシメチル)アクリル酸メチル(AOMA−M)及び計21.3部のNaOHを12回に分割して投入し、且つメタノールを除去しながら加水分解を行った。
攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、留出受器を付した反応器に、イオン交換水100.0部を仕込み、攪拌しながら、酸素/窒素混合ガス(酸素濃度7%、体積/体積)を通じつつ、オイルバスにより40℃まで昇温させた。
(1分割目の加水分解)
AOMA−M7.0部、48%NaOH水溶液3.7部(AOMA−Mに対して0.99当量)を順に投入し、5分間撹拌した後、反応器内の圧力が6.7kPaになるよう徐々に減圧し、内温が40〜45℃になるようにオイルバスによる加熱を調整しながらメタノールを含む水を留出させた。留出受器の液量がおよそ27部となったところで解圧し、オイルバスを下げ加熱を中断し、留出液量を秤量した。
(2分割目の加水分解)
48%NaOH水溶液3.7部を、1分割目の留出液量と同重量のNaOH水溶液となるようにイオン交換水で希釈した。AOMA−M7.0部、NaOH水溶液を順に投入し、5分間撹拌した後、反応器内の圧力が6.7kPaになるまで徐々に減圧し、内温が40〜45℃になるようにオイルバスによる加熱を調整しながらメタノールを含む水を留出させた。留出量がおよそ27部となったところで解圧し、オイルバスを下げ加熱を中断し、留出液量を秤量した。
(3分割目〜12分割目の加水分解)
2分割目の加水分解と同様に操作した。
12分割目の操作が終了した反応液を室温まで冷却し、水浴で冷却しながら硫酸27.0部を1時間かけて滴下した。滴下終了後、分液漏斗に内容液を移し1時間静置した。下層の水層を捨て、上層の有機層(水を含む2−(アリルオキシメチル)アクリル酸)を分離した。
分離した有機層とn−ヘキサン300部とを分液漏斗に入れて振り混ぜた後、静置した。分離してきた下層(水層)を捨て、有機層をナスフラスコに移し安定剤として6−t−ブチル−2,4−キシレノールを0.05部加えた後、エバポレーターでn−ヘキサンを除去した。さらに真空ポンプにつないで室温のもと3時間乾燥しn−ヘキサンを完全に除去した後、セライト濾過し、68.5部の無色透明な液体としてα−アリルオキシメチルアクリル酸(AOMA−A)を得た。
[2−(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛の合成]
温度計を付した反応容器に、撹拌子、分離した有機層、酢酸エチル220.0部、6−t−ブチル−2,4−キシレノール0.05部を入れ、マグネチックスターラーで撹拌した。水浴で冷却しながら、内温が40℃を超えないように酸化亜鉛粉末21.7部を少しずつ添加した。全ての酸化亜鉛粉末を添加した後、2時間撹拌した。反応液を孔径0.45μmのフィルターで濾過し、濾液を攪拌装置、温度センサー、ガス導入管、トの字管、冷却管、留出受器を付した容器に入れ、内温が50℃を超えないよう用に加熱しながら減圧し、酢酸エチルおよび水を留去した。粘稠な内容物を温かいうちにポリ容器に移し、80.0部の2−(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛を得た。なお、この2−(アリルオキシメチル)アクリル酸亜鉛はトルエンに溶解し、20℃で50質量%のトルエン溶液が取得可能であった。また、メタノールに溶解し、30質量%のメタノール溶液が取得可能であった。
AOMA−AおよびAOMA−Znの常圧における沸点が、混練温度(180℃)よりも十分高いか否かを確認するために、特許第5591543号公報に記載の方法と同様に、減圧下で測定した沸点をもとに常圧での沸点を推算した。
[AOMA−Aの常圧における沸点の推算]
温度計を付したト字管、冷却管、留出受器、減圧装置を備えたフラスコに、撹拌子、AOMA−A 20部、フェノチアジン 0.2部を入れ、撹拌しながら1333Pa(10mmHg)まで減圧した後、昇温を開始した。留出受器に液体が流出し始めるまでバス温度を上げ(ただしバス温度は130℃を超えないようにした)、蒸気温度が一定となった時の温度を読み取ったところ、119℃であった。
次に、常圧での沸点を、1点の実測値から任意の沸点を推算する方法(大江修造、物性推算法、データブック出版社、p73、(4.32)式)に基づき推算した。すなわち、次式
P0.105=14.1T0.105+C(P:蒸気圧[mmHg]、T:温度[K]、C:物質定数)
において、10mmHgでの沸点119℃から定数C=−25.121が求まり、常圧760mmHgでの沸点は236℃と算出された。また、推算式の適用範囲上限である2000mmHgでの沸点は276℃と算出された。
[AOMA−Znの常圧における沸点の推算]
温度計を付したト字管、冷却管、留出受器、減圧装置を備えたフラスコに、撹拌子、AOMA−Zn 20部、フェノチアジン 0.4部を入れ、400Pa(3mmHg)まで減圧した後、昇温と撹拌を開始した。バス温度が130℃に達しても全く蒸気が上がらないため冷却して減圧下での沸点測定を中止した。内温は少なくとも110℃に達していると仮定し、3mmHgでの沸点は少なくとも110℃以上であるとした。AOMA−Aと同様にして算出すると、常圧760mmHgでの沸点は252℃以上と算出された。また、推算式の適用範囲上限である2000mmHgでの沸点は292℃以上と算出された。
表1に示す配合比で各原料を用意し、下記のとおり原料組成物の混練を行い、変性樹脂を製造した。
(原料組成物の混練)
バッチ式ミキサー(ブラベンダー社製、プラスチコーダ ラボステーションW50EHT)を用い、次の手順で行った。
1)ミキサーの混練温度を180℃に、回転数を50rpmにする。
2)原料樹脂38.0gをミキサーに投入し混練する。
3)原料樹脂投入3分後に、所定量の変性剤溶液を投入し混練する。
4)原料樹脂投入5分後に、所定量の開始剤溶液を投入し混練する。
5)原料樹脂投入15分後に混練を停止し、冷却後、ミキサーから変性樹脂を取り出す。
得られた変性樹脂の変性量、変性効率、メルトフローレート(MFR)について下記の方法により測定した。結果を表1に示す。
1)変性樹脂2gを140℃に熱したキシレンに投入し溶解させた後、貧溶媒2Lを投入し、濾過により析出物を取得した。変性剤としてAOMA−Aを用いた場合(実施例1〜2)は、貧溶媒としてメタノールを用いた。変性剤としてMAHを用いた場合(比較例1〜3)は貧溶媒としてアセトンを用いた。
2)取得した析出物を、120℃に加熱した真空乾燥機にて1時間乾燥した後、デシケーター中で冷却した。
3)乾燥した析出物0.5gを精秤し、140℃に熱したキシレンに投入し溶解させた後、85℃まで冷却し、その温度を維持した。指示薬としてp−ナフトールベンゼイン液0.5mlを加えてから、滴定液(0.1mol/Lイソプロパノール性水酸化ナトリウム溶液)を滴下していき、中和滴定を行った。緑色に変化した点を終点として滴定量を記録した。析出物の精秤量と滴定量から酸価[mgKOH/g]を算出した。
4)変性量(変性樹脂100g中に含まれる変性剤の量)を次式にしたがって算出した。
A:酸価[mgKOH/g]
M:変性剤の式量
GW:変性量[g]
GW=(A/56.1)×(1/1000)×100×M
5)変性効率を次式にしたがって算出した。
G0:変性剤の仕込量[g]
R0:原料樹脂の仕込量[g]
G100:変性効率が100%の場合の変性樹脂100g中に含まれる変性剤の量[g]
GE:変性効率[%]
G100=G0/(G0+R0)×100
GE=GW/G100×100
実施例3のように亜鉛塩を含む場合は、赤外吸収スペクトルにより変性効率を測定し、その値から変性量を測定した。
1)変性樹脂2gを140℃に熱したキシレンに投入し溶解させた後、貧溶媒2Lを投入し、濾過により析出物を取得した。変性剤としてAOMA−Znを用いた場合(実施例3)は、貧溶媒としてメタノールを用いた。(再沈処理)
2)取得した析出物を、120℃に加熱した真空乾燥機にて1時間乾燥した後、デシケーター中で冷却した。
3)乾燥した析出物を熱プレスして厚み80ミクロンのフイルムを作成した。
4)同様にして再沈処理を行っていない変性樹脂を120℃に加熱した真空乾燥機にて1時間乾燥した後、デシケーター中で冷却し、熱プレスして厚み80ミクロンのフイルムを作成した。
5)それぞれのフイルムに関して赤外吸収スペクトル測定を行った。測定は、赤外分光光度計FT−IR Nicolet NEXUS670(サーモサイエンティフィック社製)を用い、透過法で、室温22℃、分解能4cm−1、積算回数16回の条件で行った。6)変性効率を次式にしたがって算出した。
GE:変性効率[%]
GE=(B1/B)再沈処理後/(B1/B)再沈処理前×100
*(B1/B)再沈処理後:再沈処理した樹脂のフイルムの(B1/B)
*(B1/B)再沈処理前:再沈処理していない変性樹脂のフイルムの(B1/B)
(B1/B)については下記に記載のとおり規定した。
1167cm−1付近のポリプロピレン樹脂由来のアルカンC−Hの横ゆれ、ねじれ振動などの混成振動に基づく吸光度B1と赤外線吸収スペクトルにおける1560cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度Bとの比(B1/B)は、熱プレスで作成したフイルムの赤外線吸収スペクトルを透過法により得、以下の手順で、先ず、吸光度B1及び吸光度Bを求める。
1167cm−1付近のポリプロピレン樹脂由来のアルカンC−Hの横ゆれ、ねじれ振動などの混成振動に基づく吸光度B1:赤外線吸収スペクトルの1120cm−1と1800cm−1の吸光度とを直線(P)で結び、1120〜1200cm−1間の最大吸光度(1167cm−1付近)から垂直に直線(Q)を下ろし、当該直線(Q)と直線(P)との交点と最大吸光度との吸光度の距離(長さ)を吸光度B1とする。
1560cm−1付近のカルボキシレートイオンのνC=Oに基づく吸光度B:赤外線吸収スペクトルの1120cm−1と1800cm−1の吸光度とを直線(L)で結び、1500〜1700cm−1間の最大吸光度(1560cm−1付近)から垂直に直線(M)を下ろし、当該直線(M)と直線(L)との交点と最大吸光度との吸光度の距離(長さ)を吸光度Bとした。尚、最大吸光度(1560cm−1付近)は、対イオンの金属種によりピーク位置が変化することがあり、例えば、亜鉛では1560cm−1付近である。 次いで、上記方法で求めた吸光度B1及び吸光度Bから比(B1/B)を求める。
7)変性量(変性樹脂100g中に含まれる変性剤の量)を次式にしたがって算出した。
G0:変性剤の仕込量[g]
R0:原料樹脂の仕込量[g]
G100:変性効率が100%の場合の変性樹脂100g中に含まれる変性剤の量[g]
G100=G0/(G0+R0)×100
GE:変性効率[%]
GW:変性量[g]
GW=G100×GE÷100
JIS K 7210−1:2014 A法に準拠し、メルトインデクサー D4003(日本ダイニスコ社製)を用い、温度230℃、荷重2.16kgfでメルトフローレイト(MFR)[g/10分]を測定した。
樹脂:
ポリプロピレン(PP)、プライムポリマー社製、PP J105G、前述の方法で測定したMFR=9.42[g/10分]
変性剤:
合成例1で得られたジエン系カルボン酸(AOMA−A)、式量142.15、常圧における沸点の推算値236℃
合成例1で得られたジエン系カルボン酸塩(AOMA−Zn)、式量347.67、常圧における沸点の推算値252℃以上
無水マレイン酸(MAH)、和光純薬工業社製、特級試薬、式量98.06、常圧における沸点202℃
変性剤およびラジカル発生剤の希釈剤:
トルエン(TOL)、関東化学社製
ラジカル発生剤:
t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)、日油社製、パーブチルZ
一方、実施例1〜3と同様にラジカル発生剤の使用量が原料樹脂100に対して0.1である比較例1、2では、MFRの測定が可能な程度に原料樹脂の分子量の低下を抑制できるものの、実施例1〜3よりも低分子量化の抑制能に劣り、変性量、変性効率においても実施例1〜3よりも著しく低いことが明らかとなった。また、ラジカル発生剤の使用量を原料樹脂100に対して0.3まで増加させた比較例3では、比較例1と比較して変性量、変性効率が向上するものの、原料樹脂の分子量の低下が著しく、MFRを測定することができなかった。
表2に示す配合比で各原料を用意し、下記のとおり原料組成物の混練を行い、変性樹脂を製造した。なお、実施例4のAOMA−Aには、安定剤として0.1%のフェノチアジンを添加した。
(原料組成物の混練)
二軸押出機(株式会社パーカコーポレーション製、同方向回転二軸混練押出機 HK−25D(φ25mm、L/D=61))を用い、次の手順で行った。
1)押出機入口から出口との間にある8カ所のベント可能口のうち、第2ベント口に変性剤溶液を圧入するためのサイドフィードラインを設け、第3ベント口にラジカル発生剤溶液を圧入するためのサイドフィードラインを設け、第8ベント口に真空ベントライン(冷却トラップ付き)を設ける。その他のベント可能口は蓋をして密閉状態とする。
2)押出機の設定温度を180℃に、回転数を200rpmにする。
3)所定量の原料樹脂ペレットを押出機入口へフィードし混練する。
4)原料樹脂が溶融したところで所定量の変性剤溶液を圧入し混練する。同時に、ラジカル発生剤溶液を圧入し混練する。さらに、真空ベントから揮発成分を排気する。
5)押出機出口のダイス(φ3mm×2)から変性樹脂を押出し、ストランドを水冷し、裁断機で3mmの長さにカットする。
6)ラジカル発生剤溶液を圧入開始してから10分間経過した後の変性樹脂ペレットを回収する。
得られた変性樹脂の変性量(中和滴定による方法)、変性効率(中和滴定による方法)、メルトフローレート(MFR)について前記の方法により測定した。また、射出成形して試験片を作成し、引張試験(強さ、伸び)、シャルピー衝撃試験、荷重たわみ温度測定について下記の方法により測定した。原料樹脂のみの結果を表2に示す。
JIS K 7161−2に準拠し、万能材料試験機 5966型(インストロン社製)を用い、試験速度50mm/min、チャック間距離115mm、標線間距離75mm、試験温度23℃、測定数5点で引張強さ(強さ)[MPa]、引張破壊呼びひずみ(伸び)[%]を測定した。
JIS K 7111−1に準拠し、デジタル衝撃試験機 DG−UB型(株式会社東洋精機製作所製)を用い、試験片形状JIS K 7111−1/1eA(80mm×10mm×4mm、ノッチ付き)、打撃方向はエッジワイズ、公称振り子エネルギー0.5[J]、測定数10点でシャルピー衝撃強さ[kJ/m2]を測定した。
JIS K 7191に準拠し、ヒートデストーションテスター No.148−HD−PC(株式会社安田精機製作所製)を用い、置き方はフラットワイズ、曲げ応力0.45[MPa]、支点間距離64mm、昇温速度120℃/h、熱媒体はシリコーンオイル、測定数2点で荷重たわみ温度[℃]を測定した。
樹脂:
ポリプロピレン(PP)、プライムポリマー社製、PP J105G
変性剤:
合成例1で得られたジエン系カルボン酸(AOMA−A)
安定剤:
フェノチアジン(PTZ)、精工化学社製
ラジカル発生剤の希釈剤:
トルエン(TOL)、関東化学社製
ラジカル発生剤:
t−ブチルパーオキシベンゾエート(TBPB)、日油社製、パーブチルZ
Claims (6)
- 下記式(1);
- 前記原料組成物は、更にラジカル発生剤を含むものであることを特徴とする請求項1に記載の変性樹脂の製造方法。
- 前記樹脂は、原料ゴム及び/又は熱可塑性樹脂を含むものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の変性樹脂の製造方法。
- 前記樹脂は、ポリオレフィンを含むものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の変性樹脂の製造方法。
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