JP2024000913A - リビングラジカル重合体、及びその製造方法 - Google Patents

リビングラジカル重合体、及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】分子量分布が狭く、かつ少なくとも1つの末端に官能基含有ジアシル型有機過酸化物由来構造が導入されたリビングラジカル重合体等の提供。【解決手段】リビングラジカル重合体の1つの末端又は主鎖において重合開始剤由来の有機化合物部位を含み、かつ、少なくともいずれかの末端において、所定の末端官能基構造を含む、リビングラジカル重合体。【選択図】なし

Description

本発明は、特定の末端官能基構造を有するリビングラジカル重合体、及びその製造方法等に関する。
リビングラジカル重合は、ラジカル重合の長所である簡便性と汎用性を生かしつつ、欠点である不均一な分子量を解決できる画期的な重合である。リビングラジカル重合法は、触媒存在下で重合活性末端を生成するドーマントと有機化合物部位とから構成される重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和単量体とを用いることで得られ、その重合体(以下、前駆体という)の末端には、重合開始剤中の有機化合物部位とドーマントがそれぞれ結合している。そのため、前駆体に新たなラジカル重合性単量体を加えて重合させると、成分の異なる共重合体(ブロック状に結合したブロック共重合体、枝状に結合したグラフト共重合体、さらに星状に結合した星型共重合体或いは梯子状に結合した梯子型共重合体など)がそれぞれ得られる。このような結合状態の異なる共重合体の一次構造は、ポリマーの化学的性質や物理的性質に大きく影響を与えることから、リビングラジカル重合は学術的にも工業的にも重要な技術である。
しかしながら、得られる前駆体末端のドーマントは、硫化物、ハロゲン又は遷移金属等を含むため、臭気、腐蝕性、毒性及び着色性といった欠点を有し、様々な用途に展開するには、多くの制限がある。そのため、得られた前駆体末端のドーマントを除去する必要がある。
一方、前駆体末端に官能基を結合させることによって、例えば、官能基を薄膜表面近傍に偏析させたり、他の重合体と反応させたり、有機又は無機粒子の表面に吸着又は反応させる等によって、新たな機能を発現させることが可能となる。末端に官能基が結合した前駆体としては、(I)あらかじめ官能基を含有した重合開始剤の有機化合物部位が前駆体末端に結合した重合体と、(II)官能基含有化合物を用いて、前駆体末端のドーマントを脱離させると同時に新たな官能基を末端に結合させた重合体の二つが存在する。上述の(I)の重合体においては、重合体の片末端にドーマント末端が存在しており、先述のような毒性等の安全性の面から、好ましくないものといえる。
例えば、特許文献1には、上記(II)の重合体として、窒素及び硫黄を介して加水分解性シリル基が結合したリビングラジカル重合体が記されている。また、非特許文献1には、前駆体に窒素を介して水酸基、チオール基又はアルコキシシリル基が結合した重合体が記されている。しかしながら、これらの文献で得られた重合体においては、副反応による劣化によって、所望の化学構造が結合できないという問題があった。
特開2011-74325号公報
Macromolecules、(米)、2016、第49号、p9425-9940
本発明は、上述の従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、分子量分布が狭く、かつ少なくとも1つの末端に官能基含有ジアシル型有機過酸化物由来構造が導入されたリビングラジカル重合体、及びその製造方法などを提供する。
本発明は以下に記載のものを含む。
[1]
リビングラジカル重合体の1つの末端又は主鎖において重合開始剤由来の有機化合物部位を含み、かつ、少なくともいずれかの末端において、下記式(1)、式(2)又は式(3)で表される末端官能基構造を含む、リビングラジカル重合体。
(式(1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nは1~17の整数である。)
(式(2)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
(式(3)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
[2]
前記有機化合物部位が、ドーマントとしてヨウ素を含む重合開始剤に由来する、[1]に記載のリビングラジカル重合体。
[3]
純度が70~100%である、[1]又は[2]に記載のリビングラジカル重合体。
[4]
アクリレートに由来する構造単位を主要な構造単位として含む、[1]~[3]のいずれかに記載のリビングラジカル重合体。
[5]
分子量分布の値が1.0~1.5である、[1]~[4]のいずれかに記載のリビングラジカル重合体。
[6]
[1]~[5]のいずれかに記載のリビングラジカル重合体の製造方法であって、
有機化合物部位とドーマントとを含む重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和単量体とを用いてリビングラジカル重合体の前駆体を形成する重合工程と、
前記前駆体の前記ドーマントに由来するドーマント末端に、下記式(4)~式(6)のいずれかで表される官能基含有ラジカル発生剤を反応させて、前記ドーマント末端の代わりに前記ラジカル発生剤に由来する末端官能基構造を導入する導入工程とを有する、リビングラジカル重合体の製造方法。
(式(4)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nはそれぞれ独立して、1~17の整数である。)
(式(5)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
(式(6)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
[7]
前記導入工程において、前記リビングラジカル重合体を製造するための反応温度が、70~130℃である、[6]に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
[8]
前記重合工程において、前記ラジカル重合性不飽和単量体100モルに対して、0.1~50モルの前記重合開始剤を用いる、[6]又は[7]に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
[9]
前記導入工程において、前記前駆体の前記ドーマント末端1モルに対して、0.5~30モルの前記ラジカル発生剤を用いる、[6]~[8]のいずれかに記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
[10]
前記導入工程において、前記ラジカル発生剤を滴下して反応系に加える、[6]~[9]のいずれかに記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
[11]
前記導入工程を、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物の存在下で実施する、[6]~[10]のいずれかに記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
本発明における官能基含有ラジカル発生剤によって得られる、少なくとも1つの末端に特定の官能基を有するラジカル重合体、及びその製造方法によって得られる効果を説明する。本効果の作用メカニズムの詳細においては不明な部分もあるが、以下のように推定される。ただし、本発明は、この作用メカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本発明の重合体は、分子量分布が狭く、かつ少なくとも1つの末端に特定の官能基が高純度で存在することを特徴とする。これによって、特定の官能基を薄膜表面近傍に偏析させることが容易となり、また、他の重合体や有機又は無機粒子の表面への吸着や反応が均一かつ効率的となる。そのため、本発明の重合体により、例えば、相容化剤や表面改質剤等の添加剤、表面を機能化した高分子フィルム又は粒子を得ることができる。
本発明の重合体の製造方法は、有機化合物部位とドーマントとを含む重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和単量体とを用いることで得られる重合体(前駆体)のドーマント末端に対し、上述の官能基含有ラジカル発生剤を反応させることによって得られる。
その反応機構は以下のように推定される。まず上記ラジカル発生剤から生成した官能基含有ラジカルは前駆体末端に存在するドーマントを引き抜き、それによって前駆体末端ラジカルが生成する。一方、官能基含有ラジカル発生剤に由来する多数の官能基含有ラジカルは、低分子量であることから反応液中で速く拡散することができる。このため、官能基含有ラジカルは速やかに前駆体末端ラジカルと結合するのであり、このことによって、特定の官能基が結合した重合体が高純度で得られる。さらに官能基含有ラジカルは、分子量分布を広めてしまうこととなる前駆体末端ラジカル同士の結合を阻害するため、得られた重合体においては、前駆体での狭い分子量分布をそのままで維持できる。
従って、本発明の製造方法によれば、先述した効果に加えて、重合体を劣化させることなく所望の官能基が結合した重合体を得ることができる。
前駆体のMALDI-TOFMSスペクトルを示す。 リビングラジカル重合体のMALDI-TOFMSスペクトルを示す。なお、スペクトルはLinearモードのデータを使用し、ピークの精密分子量はSpiralモードのデータを使用した。さらに、スペクトル中に記載した精密分子量は、すべてイオン化剤であるNa(精密質量=22.99)が付加された数値を示す。
以下、本願発明について、詳細に説明する。
[1.リビングラジカル重合体]
(1-1.リビングラジカル重合体の構造)
本発明のリビングラジカル重合体は、少なくとも1つの末端に特定の官能基を有する。すなわち、本発明のラジカル重合体においては、1つの末端又は中央(主鎖中)に重合開始剤由来の有機化合物部位が含まれており、少なくともいずれかの末端には、下記式(1)、式(2)又は式(3)で表される特定の官能基が含まれている。
(式(1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nは1~17の整数である。)
(式(2)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
(式(3)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
上述の官能基を有するリビングラジカル重合体の構造は、主として、重合開始剤によって、例えば、重合開始剤一分子中のドーマントの数によって異なる。例えば、一分子中に一つのドーマントを有する単官能性の重合開始剤から得られるリビングラジカル重合体の場合、主鎖としての重合体の1つの末端には、重合開始剤の有機化合物断片が結合され、他の末端には、特定の官能基を有する化合物が結合している。一方で、一分子中に2~4つのドーマントを有する多官能性の重合開始剤から得られるリビングラジカル重合体の場合、主鎖中央において、あるいは重合体分子の中央において、重合開始剤に由来の有機化合物部位が配置され、有機化合物部位を挟んだ2~4つの分岐鎖を有する重合体が得られ、その各重合体の分岐鎖の末端には、特定の官能基を有する化合物が結合している。
すなわち、C-Xの式で表される単官能開始剤(Cは有機化合物部位、Xはドーマントを示す)を用いた場合、得られるリビングラジカル重合体の構造は、C-M-Xの式で例示され(Mは主鎖)、C'-X2~4で表される多官能開始剤(C'は有機化合物部位、X2~4は2~4つのドーマントを示す)を用いた場合、得られるリビングラジカル重合体の構造は、C'-(M-X)2~4の式で例示される(Mは主鎖を形成し得る分岐鎖)。そして、上記C'-(M-X)2~4の式のリビングラジカル重合体においては、Mで表される複数の分岐鎖のそれぞれの長さが実質的に均一であることから、C'で表される上述の有機化合物部位は、リビングラジカル重合体の略中心に位置することとなる。すなわち、多官能性の開始剤を用いると、複数の分岐鎖を有する主鎖の中央に有機化合物部位が配置されたラジカル重合体を製造できる。
リビングラジカル重合体におけるこれらの構造に関しては、求められる用途によって最適なものを使い分けることができる。例えば、片末端のみを反応させたい場合には、官能基を有しない単官能性の重合開始剤から得られるリビングラジカル重合体の末端に特定の官能基を有する化合物が結合した重合体が良好であり、二つ以上の末端を反応させたい場合には、官能基を有する単官能性の重合開始剤から得られるリビングラジカル重合体或いは多官能性の重合開始剤から得られるラジカル重合体の末端に特定の官能基を有する化合物が結合した重合体が良好である。
特定の官能基を有する化合物を結合させる前のリビングラジカル重合体であって、末端にドーマントが結合したリビングラジカル重合体(以下、前駆体という)の主鎖を構成する重合体としては、1種類のラジカル重合性不飽和単量体の単独重合体、2種類以上のラジカル重合性不飽和単量体のランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体、さらには1種類以上のラジカル重合性不飽和単量体の星形(共)重合体、梯子型(共)重合体などが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
(1-2.ラジカル重合性不飽和単量体)
ラジカル重合性不飽和単量体は、リビングラジカル重合体の製造に用いられるものであって、有機ラジカルの存在下にラジカル重合を行い得る不飽和結合を有する単量体をいう。より具体的には、いわゆるビニル系単量体と呼ばれる単量体をラジカル重合体の主鎖の形成に用いることができる。ビニル単量体とは、式(7)で表される単量体の総称である。
CHR=CR (7)
(式(7)中、R、R及びRは、それぞれ独立して、水素原子又は有機基を示す。)
式(7)において、有機基には、置換されていてもよい炭素数1~12のアルキル基、置換されていてもよい炭素数6~18のアリール基等が含まれる。
なお、式(7)で表されるビニル単量体としては、以下のものが挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
ビニル系単量体としては、スチレン及びその誘導体(R及びRが水素原子、Rが置換基を有していてもよいフェニル基)、アクリル酸(R及びRが水素原子、Rがカルボキシル基)及びそのアルカリ金属塩、アクリルアミド(R及びRが水素原子、RがCONH基)及びその誘導体、アクリレート(アクリル酸エステル又はアクリル酸塩)、メタクリル酸(Rが水素原子、Rがメチル基、Rがカルボキシル基)及びそのアルカリ金属塩、メタクリルアミド(Rが水素原子、Rがメチル基、RがCONH基)及びその誘導体、メタクリレート(メタクリル酸エステル又はメタクリル酸塩)等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
スチレン及びその誘導体の具体例としては、例えば、スチレン(以下、Stともいう)、o-、m-又はp-メトキシスチレン、o-、m-又はp-t-ブトキシスチレン、o-、m-又はp-クロロメチルスチレン、o-、m-又はp-クロロスチレン、o-、m-又はp-ヒドロキシスチレン、o-、m-又はp-スチレンスルホン酸及びそのアルカリ金属塩、o-、m-又はp-スチレンボロン酸及びその誘導体等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
アクリルアミド及びその誘導体の具体例としては、例えば、アクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
アクリレートの具体例としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、n-ブチルアクリレート(以下、BAという)、t-ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート、n-オクチルアクリレート、ノニルアクリレート、デカニルアクリレート、ラウリルアクリレート、ベヘニルアクリレート、ステアリルアクリレート等のアルキルアクリレート、ベンジルアクリレート等のアリールアルキルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、グリシジルアクリレート等のエポキシアルキルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート等のシクロアルキルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート(以下、MEAという)、2-ブトキシエチルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシアルキルアクリレート、ジエチレングリコールモノアクリレート、ポリエチレングリコールモノアクリレート等のポリアルキレングリコールモノアクリレート、メトキシテトラエチレングリコールアクリレート、メトキシポリエチレングリコールアクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコールアクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルアクリレート等のジアルキルアミノアルキルアクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、アルキルアクリレートのアルキル基にフッ素原子が置換したフルオロアルキルアクリレート、アルキルアクリレートのアルキル基にトリス(トリアルキルシロキシ)シリル基が置換したアクリレート、アルキルアクリレートのアルキル基にエチルホスホリルコリン基が置換したアクリレート等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
メタクリルアミド及びその誘導体の具体例としては、例えば、メタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-メチロールメタクリルアミド、N-ヒドロキシエチルメタクリルアミド等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
メタクリレートの具体例としては、例えば、メチルメタクリレート(以下、MMAという)、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、n-ブチルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、n-オクチルメタクリレート、ノニルメタクリレート、デカニルメタクリレート、ラウリルメタクレート、ベヘニルメタクリレート、ステアリルメタクリレート等のアルキルメタクリレート、ベンジルメタクリレート等のアリールアルキルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のエポキシアルキルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート等のシクロアルキルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-ブトキシエチルメタクリレート等のアルコキシアルキルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシアルキルメタクリレート、ジエチレングリコールモノメタクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート等のポリアルキレングリコールモノメタクリレート、メトキシテトラエチレングリコールメタクリレート、メトキシポリエチレングリコールメタクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコールメタクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート等のジアルキルアミノアルキルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、アルキルメタクリレートのアルキル基にフッ素原子が置換した2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート等のフルオロアルキルメタクリレート、アルキルメタクリレートのアルキル基にトリス(トリアルキルシロキシ)シリル基が置換した3-[[トリス(トリエチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、アルキルメタクリレートのアルキル基にエチルホスホリルコリン基が置換したエチルホスホリルコリンメタクリレート等が挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
式(7)で表されるビニル単量体のR及びRが共にカルボキシル基又はカルボキシレートを有する基である場合でもよい。具体的には、例えば、イタコン酸、イタコン酸ジメチル、イタコン酸モノブチル等のイタコン酸、そのモノアルキルエステル及びジアルキルエステルが挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
ビニル単量体には、2つ以上の二重結合(ビニル基、イソプロペニル基等)を有するビニル単量体でもよい。具体的には、例えば、ジエン系化合物(例えば、ブタジエン、イソプレン等)、アリル基を2つ有する化合物(例えば、ジアリルフタレート等)、アクリル基を2つ有する化合物(例えば、エチレングリコールジアクリレート等)、メタクリル基を2つ有する化合物(例えば、エチレングリコールジメタクリレート等)が挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
ビニル単量体には、上述した以外のビニル単量体を使用することもできる。具体的には、例えば、ビニルエステル類(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル)、上記以外のスチレン誘導体(例えば、α-メチルスチレン)、ビニルケトン類(例えば、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン)、N-ビニル化合物(例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルピロール、N-ビニルカルバゾール、N-ビニルインドール、ビニルオキサゾリン)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、マレイン酸及びその誘導体(例えば、無水マレイン酸)、ハロゲン化ビニル類(例えば、塩化ビニル、塩化ビニリデン、テトラクロロエチレン、ヘキサクロロプロピレン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン)、オレフィン類(例えば、エチレン、プロピレン、1又は2-ブテン、1-ヘキセン、1-オクテン、シクロヘキセン)等が挙げられるが、これらの例示のみに限定されるものではない。
ラジカル重合性不飽和単量体は、単独で使用してもよいし、また、2種以上を併用してもいい。
ラジカル重合性不飽和単量体の使用量は、目的とする分子量などによって、適宜調整できる。
末端官能基構造を有するリビングラジカル重合体を高純度で得る観点から、主なラジカル重合性不飽和単量体としてアクリレートを使用することが好ましい。この場合、リビングラジカル重合体は、アクリレートに由来する構造単位を主要な構造単位として含むことになる。ここで、「主要な」とは、リビングラジカル重合体を構成する全ての構造単位を基準として、アクリレートに由来する構造単位が50モル%以上であることを意味し、好ましくは60モル%以上であり、より好ましくは70モル%以上であり、更に好ましくは80モル%以上であり、特に好ましくは90モル%以上である。アクリレートに由来する構造単位の量は、核磁気共鳴(NMR)装置を使用して測定することができる。
(1-3.リビングラジカル重合体の性状)
リビングラジカル重合体の数平均分子量は、例えば、1,000~200,000であり、好ましくは1,500~100,000であり、より好ましくは3,000~50,000である。
リビングラジカル重合体の重量平均分子量は、数平均分子量のよりも同等か少し大きい値、例えば、1,000~240,000であり、好ましくは1,500~120,000であり、より好ましくは3,000~60,000である。
リビングラジカル重合体は、さらに、通常のラジカル重合と比較して、分子量分布が狭いという特徴も有する。分子量分布とは、重合体の重量平均分子量を数平均分子量で除した値であり、通常のラジカル重合によって得られる分子量分布が約2以上であるのと比較して、本発明で得られるラジカル重合体の分子量分布は、1.0~1.5であることが好ましく、より好ましくは1.0~1.3であり、さらに好ましくは1.0~1.25であり、特に好ましくは1.0~1.24である。ただし、ラジカル重合体の分子量分布の範囲の下限値は、1.05、1.10等であってもよい。
なお、重合体の数平均分子量及び重量平均分子量は、通則(JIS K 7252-1(2016))、及びISO 16014-1(2012))に従ったサイズ排除クロマトグラフィーにより、以下の測定条件で測定したときの値である。
〔重合体の数平均分子量及び重量平均分子量〕
・測定機器:日本分光(株)製EXTREMAサイズ排除クロマトグラフィー(GPC/SEC)システム
・カラム:昭和電工(株)製SHODEX、サンプル側:K-803、KF-804L、KF-806Fを3本接続、リファレンス側:KF-800RH
・溶離液:テトラヒドロフラン(以下、THFという)
・検量線標準物質:ポリメチルメタクリレート(スチレン系重合体以外)、ポリスチレン(スチレン系重合体)
・測定用試料の調整:溶離液(THF)に重合体を溶解させて重合体の濃度が0.1重量%の溶液を調整し、その溶液をフィルターでろ過した後の濾液を使用する。
リビングラジカル重合体の純度は、好ましくは70~100%であり、より好ましくは80~100%であり、更に好ましくは90~100%であり、特に好ましくは92~100%である。純度は、末端官能基構造の導入率と表現することもできる。例えば、リビングラジカル重合体が100分子の集合物である場合に、90分子において末端官能基構造が導入されている場合には、純度(導入率)は90%となる。純度は、下記実施例に記載の方法により測定することができる。
末端官能基構造が導入されていない重合体には、前駆体と、前駆体のドーマントが水素に置換された重合体とが含まれる。末端官能基構造を含まないこれらの重合体の組成、一次構造及び分子量は、末端官能基構造を含む重合体とほぼ同じである。これらの重合体の精密分子量の差は、先述するMALDI-TOFMSでのみ区別可能であり、その精密分子量の差は多くて数百程度である。
(1-4.重合開始剤)
上述の前駆体の製造に用いられる重合開始剤(以下、前駆体製造用の重合開始剤ともいう)は、有機化合物部位とドーマントを含み、好ましくは、有機化合物部位とドーマントのみからなる。
また、リビングラジカル重合体の前駆体の重合においては、すでに公知の方法を活用できるものの、以下のように、重合法に応じて適宜、重合開始剤の種類を選択する必要がある。例えば、ドーマントとしてニトロキシド化合物(ニトロキシド基)を使用するニトロキシド媒介ラジカル重合法(NMP法)、ドーマントとして臭素を使用する原子移動ラジカル重合法(ATRP法)、ドーマントとしてチオカルボニルチオ化合物(チオカルボニルチオ基)を使用する可逆的付加開裂反応を利用したラジカル重合法(RAFT法)、ドーマントとして有機テルル、有機アンチモン、又は有機ビスマス等を使用するラジカル重合(有機テルルを代表としたTERP法)、ドーマントとしてヨウ素を使用するラジカル重合法(例えばRCMP法やRTCP法)などにより、ラジカル重合体の前駆体を製造できる。
ドーマントとしてニトロキシド化合物を使用するNMP法における代表的な重合開始剤としては、例えば有機化合物部位として1-フェニルエチル基、ドーマントしてt-ブチル(1-フェニル-2-メチルプロピル)ニトロキシド基を有するt-ブチル(1-フェニル-2-メチルプロピル)(1-フェニルエトキシ)アミン等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。NMP法及びそれに使用される重合開始剤については、2012年7月に発行されたシグマアルドリッチ社の「精密ラジカル重合ハンドブック」p31-34にまとめられているので、参照されたい。
ドーマントとして臭素を使用するATRP法における代表的な重合開始剤としては、例えば有機化合物部位としてt-ブチルイソブチレート基を有する単官能タイプのt-ブチル-α-ブロモイソブチレート、官能基含有有機化合物部位として水酸基含有の2-ヒドロキシエチル-2-イソブチレート基を有する単官能系の2-ヒドロキシエチル-2-ブロモイソブチレート、有機化合物部位としてエチレンビス(イソブチレート基)を有する2官能系のエチレンビス(2-ブロモイソブチレート)等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。さらに、触媒として例えば2,2‘-ビピリジン等のアミン系化合物や、触媒用金属塩として例えば、塩化銅(I)等のハロゲン化遷移金属等が挙げられるが、本発明においては、かかる例示のみに限定されるものではない。ATRP法及びそれに使用される重合開始剤については、2012年7月に発行されたシグマアルドリッチ社の「精密ラジカル重合ハンドブック」p2-18にまとめられているので、参照されたい。
ドーマントとしてチオカルボニルチオ化合物を使用するRAFT重合法における代表的な重合開始剤として、例えば、ジチオエステル系ドーマントとしてのフェニルジチオエステル基、有機化合物部位としてのシアノイソプロピル基を有する単官能系のシアノプロピルベンゾチアノエート(以下、CPBSという)等や、例えば官能基含有有機化合物部位としてシアノペンタノイックアシッド基等のカルボキシル基を有する単官能系のシアノペンタノイックアシッドベンゾチアノエート等、トリチオカルボナート系ドーマントとしてn-ドデシルトリチオカルボナート基、有機化合物部位としてシアノイソプロピル基を有する単官能系のシアノプロピル-n-ドデシルトリチオカルボナート等や、有機化合物部位としてエチレンビスシアノペンタノイックアシッド基を有する2官能系のエチレンビス(シアノペンタノイックアシッド-n-ドデシルチオカルボナート)等が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。RAFT重合法及びそれに使用される重合開始剤については、2012年7月に発行されたシグマアルドリッチ社の「精密ラジカル重合ハンドブック」p19-30にまとめられているので、参照されたい。
ドーマントとして有機テルル化合物を使用するTERP法における代表的な重合開始剤として、例えば、有機テルル系ドーマントとしてメチルテルル基、有機化合物部位としてシアノイソプロピル基を有する2-メチルテラニルプロピオニトリル等が挙げられるが、本発明においては、かかる例示のみに限定されるものではない。TERP法及びそれに使用される重合開始剤については、2009年8月に発行された日本ゴム協会誌(82号)の「リビングラジカル重合2. 重合機構と方法2」p365-367にまとめられているので、参照されたい。
ドーマントとしてヨウ素を使用するRCMP法やRTCP法における代表的な重合開始剤として、例えば、有機化合物部位としてイソブチロニトリル基、イソ酪酸エチル基、フェニル酢酸エチル基を有する、それぞれ単官能系の2-ヨードイソブチロニトリル(CP-I)、2-ヨードイソ酪酸エチル、2-ヨード-2-フェニル酢酸エチル等や、官能基含有有機化合物部位として、カルボキシル基含有のイソ酪酸基、フェニル酢酸基を有するそれぞれ単官能の2-ヨードイソ酪酸、2-ヨード-2-フェニル酢酸、有機化合物部位としてイソ酪酸ヒドロキシエチル基、フェニル酢酸ヒドロキシエチル基を有するそれぞれ2官能の2-ヨードイソ酪酸-2-ヒドロキシエチル、2-ヨード-2-フェニル酢酸-2-ヒドロキシエチル等が挙げられるが、本発明においては、かかる例示のみに限定されるものではない。RCMP法やRTCP法及びそれに使用される重合開始剤については、それぞれ、2014年9月に発行されたACS出版の雑誌Macromolecules(47号)のp6610-6618及び2008年9月に発行されたELSEVIER出版の雑誌Polymer(49号)のp5177-5185にまとめられているので、参照されたい。
リビングラジカル重合体を得るための重合開始剤の量は、重合制御の観点から、使用するラジカル重合性不飽和単量体100モルに対して、0.1~50モルであることが好ましく、0.5~40モルであることがより好ましい。また、重合度の観点から、ラジカル重合性不飽和単量体100モルに対して0.5~10モルの重合開始剤を使用することがさらに好ましい。
リビングラジカル重合体を得るための方法としては、重合体末端のドーマント引き抜きと官能基含有有機化合物断片の結合の効率性の観点から、ドーマントとしてチオカルボニルチオ化合物を用いるRAFT法、有機テルル化合物を使用するTERP法、ハロゲン(臭素又はヨウ素)を用いるATRP法、RCMP法又はRTCP法が好ましく、中でもハロゲン(臭素又はヨウ素)を用いるATRP法、RCMP法又はRTCP法がより好ましく、得られる重合体の低臭気、低着色、低毒性の観点からRCMP法又はRTCP法が最も好ましい。
(1-5.有機化合物部位の構造)
本発明のリビングラジカル重合体には、上述の前駆体製造用の重合開始剤に由来する有機化合物部位が含まれる。すなわち、重合開始剤によって前駆体の1つの末端部及び主鎖中のいずれかに導入された有機化合物部位は、その後、前駆体の末端構造が変化したリビングラジカル重合体が製造されても、リビングラジカル重合体中に維持される。こうしてリビングラジカル重合体に含まれる有機化合物部位は、リビングラジカル重合体の1つの末端及び主鎖中のいずれかに存在する。
有機化合物部位が上述の重合開始剤に由来することからも明らかであるように、有機化合物部位の具体例として、以下のものが挙げられる。例えばNMP法で導入され得る1-フェニルエチル基、例えばATRP法で導入され得るt-ブチルイソブチレート基、2-ヒドロキシエチル-2-イソブチレート基、エチレンビス(イソブチレート基)、例えばRAFT重合法で導入され得るシアノイソプロピル基、シアノペンタノイックアシッド基、シアノイソプロピル基、エチレンビスシアノペンタノイックアシッド基、例えばTERP法で導入され得るシアノイソプロピル基、例えばRCMP法又はRTCP法により導入され得るイソブチロニトリル基、イソ酪酸エチル基、フェニル酢酸エチル基、カルボキシル基含有のイソ酪酸基、フェニル酢酸基、イソ酪酸ヒドロキシエチル基、フェニル酢酸ヒドロキシエチル基等に由来する構造を有する有機化合物部位である。
上述の構造に例示される有機化合物部位として、フェニル基、ハロゲン、水酸基、シアノ等で置換されていてもよく、カルボキシル基、酢酸基、酪酸基等の有機酸基を有していてもよい、合計炭素数が1~20、好ましくは合計炭素数1~12のアルキル基あるいはアルキレート基の残渣(重合体の主鎖中に含まれる場合にはアルキレン基等);フェニル基、ハロゲン、水酸基、シアノ等で置換されていてもよく、カルボキシル基、酢酸基、酪酸基等の有機酸基を有していてもよい、合計炭素数が6~24、好ましくは合計炭素数8~18のアリール基の残渣(重合体の主鎖中に含まれる場合にはアリーレン基)などが挙げられる。
これらの中でも、ヨウ素等のハロゲンを含む重合開始剤を用いるATRP法、RCMP法等によって導入され得る有機化合物部位、例えば、t-ブチルイソブチレート基、2-ヒドロキシエチル-2-イソブチレート基、エチレンビス(イソブチレート基);イソブチロニトリル基、イソ酪酸エチル基、フェニル酢酸エチル基、カルボキシル基含有のイソ酪酸基、フェニル酢酸基、イソ酪酸ヒドロキシエチル基、フェニル酢酸ヒドロキシエチル基等の残渣が、有機化合物部位として好ましい。
(1-6.末端官能基の構造)
本発明のラジカル重合体においては、少なくとも1つの末端(末端の数が2つである場合には、片末端または両端)に、上述の式(1)、式(2)又は式(3)で表される特定の官能基が、下記式に示されるエステル部位を介して、結合されている。
(式(1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nは1~17の整数である。)
(式(2)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基、更に好ましくはメチル基)、フッ素原子又はパーフルオロアルキル(好ましくは炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基)である。)
(式(3)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基、更に好ましくはメチル基)、フッ素原子又はパーフルオロアルキル(好ましくは炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基)である。)
[2.リビングラジカル重合体組成物]
リビングラジカル重合体組成物に含まれる成分としては、上述のリビングラジカル重合体に加えて、前駆体に由来しない重合体である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、前駆体に由来する重合体を溶解する溶剤、酸化防止剤等の公知のものが挙げられる。
リビングラジカル重合体組成物に含まれる上述のリビングラジカル重合体の含有量は、重合体組成物全体の100重量部において、好ましくは1~100重量部である。また、前駆体に由来しない重合体である熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、前駆体に由来する重合体を溶解する溶剤、酸化防止剤等の含有量は、重合体組成物全体の100重量部において、好ましくは0~99重量部である。
[3.リビングラジカル重合体の製造方法]
次に、本発明におけるリビングラジカル重合体の製造方法について説明する。当該製造方法は、分子量分布が狭く、かつ少なくとも1つの重合体末端に特定の官能基を有する重合体が高純度で得られることを特徴とする。
本発明の重合体の製造方法は、リビングラジカル重合体の前駆体を形成する重合工程と、前駆体の末端に特定の官能基構造を導入する導入工程とを含む。重合工程では、有機化合物部位とドーマントとを含む重合開始剤、あるいは、好ましくは有機化合物部位とドーマントのみから構成される重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和単量体とを用いることで前駆体を重合する。そして、導入工程では、重合工程で得られた前駆体のドーマント末端に、特定の官能基含有ラジカル発生剤を所定の温度下で反応させ、官能基含有ラジカル発生剤に由来の末端官能基構造を導入する。以下、各工程について説明する。
(3-1.重合工程)
重合工程においては、前述したNMP法、ATRP法、RAFT重合法、TERP法、RCMP法又はRTCP法等が用いられ得る。前駆体製造用の重合開始剤としては、これらの製法についての説明で示した上述の重合開始剤が利用できるが、特に、前駆体末端のドーマントを官能基含有ラジカル発生剤によって効率よく脱離、結合することが可能な、有機ヨウ素化合物を重合開始剤として使用することが好ましい。このため、少なくとも有機ヨウ素化合物を重合開始剤として用いるRCMP法及びRTCP法のうちの、ラジカル重合体末端ヨウ素の含有率の高いRCMP法について、さらに詳しく説明する。
前駆体製造用の重合開始剤として好適に用いられ得る有機ヨウ素化合物については、前項で詳細に述べたが、既に製造された重合開始剤を用いる方法の他にも、重合開始剤原料である、例えばアゾ化合物とヨウ素と重合の初期段階に仕込み、その両者の反応により有機ヨウ素化合物からなる重合開始剤をin-situで生成させて用いることもできる。
有機ヨウ素化合物を生成させるために用いるアゾ化合物としては、例えば、2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4,4-トリメチルペンタン)等の官能基非含有アゾ化合物や、例えば、カルボキシル基を有する4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸(ACVA)、水酸基を有する2,2’-アゾビス{2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド}、アミノ基を有する2-2’-アゾビス{2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン}等の官能基含有アゾ化合物が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
上述の重合開始剤を生成させるために用いるアゾ化合物の量は、ヨウ素1モルに対して1~5モルが好ましく、1.3~3モルがより好ましい。
上述の重合開始剤を効率よく重合させる目的として、重合開始剤に加えて、さらに触媒を併用することが望ましい。触媒としては、例えば、ヨウ素に配位してヨウ素を引き抜く公知の化合物が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
触媒としては、例えば、有機アミン化合物、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であって、当該非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ヨウ化物イオンとイオン結合を形成している触媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
有機アミン化合物からなる触媒としては、具体的にはトリエチルアミン、トリブチルアミン、1,1,2,2-テトラキス(ジメチルアミノ)エテン、1,4,8,11-テトラメチル-1,4,8,11-テトラアザシクロテトラデカン、エチレンジアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルジアミノメタン、トリス(2-アミノエチル)アミン、トリス(2-(メチルアミノ)エチル)アミン、ヘマトポルフィリンなどが挙げられる。これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物であって、当該非金属化合物中の非金属原子がカチオンの状態であり、ヨウ化物イオンとイオン結合を形成している触媒としては、具体的にはアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられ、より具体的には、テトラブチルアンモニウムヨージド、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムブロモジヨージド、1-メチル-3-メチル-イミダゾリウムヨージド、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、メチルトリブチルホスホニウムヨージド(以下、PMBIという)、テトラフェニルホスホニウムヨージド、トリブチルスルホニウムヨージド、ジフェニルヨードニウムヨージドなどが挙げられる。これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
触媒の量は、重合速度を高め、未反応の単量体の残存量を低減させる観点から、上記有機ヨウ素化合物100モルに対して、好ましくは0.01~50モル、より好ましくは0.05~30モル、さらに好ましくは0.1モル~20モル、さらにいっそう好ましくは0.5~10モルである。
上述の触媒の他に、重合速度を速める目的で、必要に応じて、少量の汎用ラジカル重合開始剤を用いてもよい。汎用ラジカル重合開始剤の種類については、上述の前駆体製造用の重合開始剤の種類ほど厳密に選択する必要はなく、適宜、重合温度や重合時間等に応じたものを用いる。
汎用ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの汎用ラジカル重合開始剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アゾ化合物としては、先述のアゾ化合物と同様のものを例示できる。これらのアゾ化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
有機過酸化物としては、先述の特定の官能基含有ジアシルペルオキシドの他に、官能基非含有の汎用有機過酸化物、例えば、ジ-(3,5,5-トリメチルヘキサノイル)ペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド等のジアシルペルオキシド類や、ジ-n-プロピルペルオキシジカーボネート、ジ-イソプロピルペルオキシジカーボネート等のペルオキシジカーボネート類や、ジクミルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド等のジアルキルペルオキシド類、t-ブチルペルオキシピバレート、t-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノエート、等のペルオキシエステル類や、1,1-ビス(t-ブチルペルオキシ)シクロヘキサン等のペルオキシケタール類等が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。これらの有機過酸化物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
なお、汎用ラジカル重合開始剤を使用する必要がない場合には、汎用ラジカル重合開始剤による悪影響を回避する観点から、汎用ラジカル重合開始剤を実質的に使用しないことが好ましく、汎用ラジカル重合開始剤をまったく使用しないことがより好ましい。ここで、「実質的に使用しない」とは、重合開始剤による重合反応への影響が実質的に生じない程度の汎用ラジカル重合開始剤の量を意味する。より具体的には、触媒1モルあたりの汎用ラジカル重合開始剤の量は、好ましくは10ミリモル以下、より好ましくは1ミリモル以下、さらに好ましくは0.1ミリモル以下である。
全ラジカル重合性不飽和単量体成分100モルあたりの汎用ラジカル重合開始剤の量は、重合速度を高め、未反応のラジカル重合性不飽和単量体の残存量を低減させる観点から、好ましくは0.005~30モル、より好ましくは0.01~20モル、さらにより好ましくは0.02~15モルである。
ラジカル重合性不飽和単量体については、前項で詳細に述べたが、ラジカル重合性不飽和単量体を重合させる際の重合条件は、当該ラジカル重合性不飽和単量体の重合方法に応じて適宜設定すればよく、特に限定されるものではない。重合温度は、好ましくは室温~200℃、より好ましくは30~140℃である。また、ラジカル重合性不飽和単量体を重合させる際の雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。反応時間は、ラジカル重合性不飽和単量体の重合反応が完結するように適宜設定すればよい。
ラジカル重合性不飽和単量体の重合は、溶剤を使用しない塊状重合であってもよく、ラジカル重合性不飽和単量体又はそれによって得られる重合体に溶解する溶剤を用いる溶液重合であってもよい。また、ラジカル重合性不飽和単量体又はそれによって得られる重合体に溶解しない溶媒を用いることにより、乳化重合、分散重合、懸濁重合などを行うことができる。
ラジカル重合性不飽和単量体を溶液重合させる際に用いられる溶媒としては、例えば、水、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどの芳香族系溶媒、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n-ブタノール、t-ブチルアルコールなどのアルコール系溶媒、ジクロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルムなどのハロゲン原子含有溶媒、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、ジグライム、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの直鎖状または分岐状の脂肪族エーテル系溶媒、テトラヒドロフラン、1,2-ジオキサン、1,3-ジオキサン、1,4-ジオキサンなどの脂環式エーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セルソルブ、酢酸セロソルブなどのエステル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジアセトンアルコールなどのケトン系溶媒、ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの溶媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。溶媒の量は、重合条件、単量体の組成、得られる重合体の濃度などを考慮して適宜決定すればよい。
(3-2.導入工程)
本発明の重合体の製造方法の導入工程においては、重合開始剤とラジカル重合性不飽和単量体とから得られる前駆体のドーマント末端に、特定の官能基含有ラジカル発生剤を反応させて、温度をかけることによって、末端構造の変化した重合体が得られる。官能基含有ラジカル発生剤としては、少なくとも、上述の式(1)、式(2)及び式(3)で表される官能基を有する化合物が用いられる。
導入工程は、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物の存在下で実施されることが好ましい。特定の官能基含有ラジカル発生剤の存在下で、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物が前駆体末端のドーマントを効率的に引き抜き、それによって得られた前駆体末端ラジカルと特定の官能基含有ラジカルが速やかに反応し、特定の末端官能基が生成される。
上述のラジカル発生剤としては、下記式(4)、式(5)及び式(6)で表される官能基を有するジアシル型有機過酸化物が用いられる。式(4)~(6)の構造において、酸素-酸素結合部分(-O-O-)を中心とした右側構造と左側構造とは、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
(式(4)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nはそれぞれ独立して、1~17の整数である。)
(式(5)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基、更に好ましくはメチル基)、フッ素原子又はパーフルオロアルキル(好ましくは炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基)である。)
(式(6)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基(好ましくは炭素数1~6のアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のアルキル基、更に好ましくはメチル基)、フッ素原子又はパーフルオロアルキル(好ましくは炭素数1~6のパーフルオロアルキル基、より好ましくは炭素数1~3のパーフルオロアルキル基、更に好ましくはトリフルオロメチル基)である。)
上述の式(4)で表される官能基を有するジアシル型有機過酸化物としては、公知のものであれば特に限定されず、例えば、上述の式(4)におけるRが水素原子の場合、ジアセトキシペルオキシド(n=1)、ジ-n-プロポイルペルオキシド(n=2)、ジイソプロポイルペルオキシド(n=2)、ジ-n-ブチロイルペルオキシド(n=3)ジ-3,5,5-トリメチルヘキサノイルペルオキシド(n=8)、ジラウロイルペルオキシド(n=11、以下、LPOという)、ジミリスチロイルペルオキシド(n=13)、ジパルミチロイルペルオキシド(n=15)、ジステアロイルペルオキシド(n=17)等が挙げられる。
一方上述の式(4)におけるRがフッ素原子の場合、ジトリフルオロアセトキシペルオキシド(n=1)、ジパーフルオロプロポロイルペルオキシド(n=2)、ジパーフルオロブチロイルペルオキシド(n=3、以下、PFBという)等が挙げられる。
上述の式(5)で表される官能基を有するジアシル型有機過酸化物としては、公知のものであれば特に限定されず、例えば、上述の式(5)におけるRが水素原子又はメチル基の場合、ジベンゾイルペルオキシド(以下、BPOという)、ジ-p-メチルベンゾイルペルオキシド、ジ-o-メチルベンゾイルペルオキシド、ジ-m-メチルベンゾイルペルオキシド等が挙げられる。
一方上述の式(5)におけるRがフッ素原子又はトリフルオロメチル基の場合、ジパーフルオロベンゾイルペルオキシド、ジ-p-パーフルオロメチルベンゾイルペルオキシド、ジ-o-パーフルオロメチルベンゾイルペルオキシド、ジ-m-パーフルオロメチルベンゾイルペルオキシド等が挙げられる。
上述の式(6)で表される官能基を有するジアシル型有機過酸化物としては、公知のものであれば特に限定されず、例えば、上述の式(6)におけるRが水素原子又はメチル基の場合、ジシクロヘキシロイルペルオキシド、ジ-p-メチルシクロヘキシロイルペルオキシド、ジ-o-メチルシクロヘキシロイルペルオキシド、ジ-m-メチルシクロヘキシロイルペルオキシド等が挙げられる。
一方上述の式(6)におけるRがフッ素原子又はトリフルオロメチル基の場合、ジパーフルオロシクロヘキシロイルペルオキシド、ジ-p-パーフルオロメチルシクロヘキシロイルペルオキシド、ジ-o-パーフルオロメチルシクロヘキシロイルペルオキシド、ジ-m-パーフルオロメチルシクロヘキシロイルペルオキシド等が挙げられる。
上述のラジカル発生剤の添加量は、前駆体末端のドーマント1モルに対して、0.5~30モルが好ましく、0.5~20モルがより好ましく、1~10モルがさらに好ましく、1~5モルがより好ましい。また、導入工程においては、純度を更に高める観点から、ラジカル発生剤を滴下させつつ徐々に反応系に加えることが好ましい。導入工程におけるラジカル発生剤の反応系への滴下速度(供給速度)は、例えば、反応系1Lあたり反応溶媒で濃度10%の希釈品として2~20(ml/分)、好ましくは5~10(ml/分)である。
前駆体末端のドーマントに特定の官能基含有ラジカル発生剤を反応させる際の反応条件は、官能基含有ラジカル発生剤の分解する条件に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
反応温度は、好ましくは70℃~130℃であり、より好ましくは、前駆体を構成する主となるラジカル重合性不飽和単量体がスチレン及びその誘導体の場合には80℃~110℃、前駆体を構成する主となるラジカル重合性不飽和単量体がアクリルアミド及びその誘導体又はアクリレートの場合には110℃~130℃、前駆体を構成する主となるラジカル重合性不飽和単量体がメタクリレートの場合には70℃~100℃である。また、反応させる際の雰囲気は、窒素ガス、アルゴンガスなどの不活性ガスであることが好ましい。反応時間は、官能基含有ラジカル発生剤の分解が完結するように適宜設定すればよい。また反応を均一にするため、適宜溶媒を用いることができる。溶媒としては、ラジカル重合体を溶解できるものであれば適宜使用でき、例えば、上述のラジカル重合性不飽和単量体を重合させる際に使用する溶媒と同様のものを提示できる。
先述したように、本発明の重合体の製造方法の反応機構は、以下の通りと推定される。
まず官能基含有ラジカル発生剤から生成した官能基含有ラジカルは前駆体末端に存在するドーマントを引き抜き、それによって前駆体末端ラジカルが生成する。一方、官能基含有ラジカル発生剤に由来する多数の官能基含有ラジカルは、低分子量であることから反応液中で速く拡散することができる。このため、官能基含有ラジカルは速やかに前駆体末端ラジカルと結合するのであり、このことによって、特定の官能基が結合した重合体が高純度で得られる。さらに官能基含有ラジカルは、分子量分布を広めてしまうこととなる前駆体末端ラジカル同士の結合を阻害するため、得られた重合体においては、前駆体での狭い分子量分布をそのままで維持できる。
さらに、官能基含有ラジカルよりも速く前駆体末端に存在するドーマントを引き抜く化合物を用いると、前駆体末端に存在するドーマントを官能基含有ラジカルよりも速く引き抜き、それによって前駆体末端ラジカルが速やかに生成する。一方、官能基含有ラジカル発生剤から発生する官能基含有ラジカルは、低分子量かつ酸素ラジカルであることから反応液中で速く拡散することができ、前駆体末端ラジカルと結合することによって、官能基が結合した重合体がより高純度かつ高効率で生成される。
上述のように、前駆体からラジカルを引き抜く化合物としては、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物が挙げられる。
ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物としては、具体的にはアンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられ、より具体的には、テトラブチルアンモニウムヨージド(以下、BNIという)、テトラブチルアンモニウムトリヨージド、テトラブチルアンモニウムブロモジヨージド、1-メチル-3-メチル-イミダゾリウムヨージド、2-クロロ-1-メチルピリジニウムヨージド、メチルトリブチルホスホニウムヨージド、テトラフェニルホスホニウムヨージド、トリブチルスルホニウムヨージド、ジフェニルヨードニウムヨージドなどが挙げられる。これらの触媒は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上述の前駆体からラジカルを引き抜く化合物の量は、反応速度を高める観点から、ラジカル重合体の前駆体の末端ドーマント1モルに対して0.5~20モル、好ましくは1~10モルである。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する。まずはリビングラジカル重合体前駆体の製造例を以下に示す。
製造例1
30mlのシュレンク管内に、n-ブチルアクリレート(BA;富士フィルム和光純薬(株)製を常法により蒸留精製したもの)19.23g、2-ヨードイソブチロニトリル(CP-I、東京化成工業(株)製)0.172g、及びテトラブチルアンモニウムヨージド(BNI;東京化成工業(株)製)1.303gを添加し、シュレンク管の内部空間を窒素ガスで置換した。シュレンク管の内容物を110℃で9時間攪拌した後、室温に急冷した。重合溶液をイオン交換水180mlとメタノール720mlの混合溶液に滴下しながら再沈殿を行い、イオン交換水とメタノール混合溶液に沈殿した重合体を60℃で18時間真空乾燥を行うことにより、一方の分子末端にヨウ素を有するBA重合体(以下、PBAという)を得た。本反応は以下の式(i)によって表される。
得られた重合体の数平均分子量は6,340であり、分子量分布(重量平均分子量/数平均分子量、以下、Mw/Mnという)は1.17であった。また得られた重合体を重クロロホルムに溶解し、13C-NMRで分析したところ、CP-I中の4級炭素のカーボン(炭素数:1)の積分値とヨウ素のすぐ隣にあるBA1分子の3級炭素のカーボン(炭素数:1)の積分値が1:0.99であることから、重合体末端に存在するヨウ素は、99.0%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
製造例2
CPIの添加量を0.172gから0.292gに、BNIの添加量を1.303gから2.172gに、重合条件を110℃で9時間から110℃で6時間に変更した以外は、製造例1と同様の方法で一方の分子末端にヨウ素を有するPBAを得た。
得られた重合体の数平均分子量は3,360であり、Mw/Mnは1.18であった。また、13C-NMRの結果から、重合体末端に存在するヨウ素は、99.2%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
製造例3
CPIの添加量を0.172gから0.073gに、BNIの添加量を1.303gから8.688gに、重合条件を110℃で9時間から110℃で18時間に変更した以外は、製造例1と同様の方法で一方の分子末端にヨウ素を有するPBAを得た。
得られた重合体の数平均分子量は26,000であり、Mw/Mnは1.19であった。また、13C-NMRの結果から、重合体末端に存在するヨウ素は、99.1%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
製造例4
ラジカル重合性不飽和単量体として、BAを19.23g用いる代わりに、2-メトキシエチルアクリレート(MEA;東京化成工業(株)製を常法により蒸留精製したもの)を19.53g用い、重合条件を110℃で6時間から110℃で10時間に変更した以外は、製造例2と同様の方法で一方の分子末端にヨウ素を有するPMEAを得た。
得られた重合体の数平均分子量は4,910であり、Mw/Mnは1.12であった。また、13C-NMRの結果から、重合体末端に存在するヨウ素は、99.6%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
製造例5
ラジカル重合性不飽和単量体として、BAを19.23g用いる代わりに、スチレン(St;富士フィルム和光純薬(株)製を常法により蒸留精製したもの)を15.63g用い、BNIの添加量を2.172gから0.543gに、重合条件を110℃で6時間から80℃で18時間に変更した以外は、製造例2と同様の方法で一方の分子末端にヨウ素を有するPStを得た。
得られた重合体の数平均分子量は6,060であり、Mw/Mnは1.21であった。また、13C-NMRの結果から、重合体末端に存在するヨウ素は、98.1%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
製造例6
ラジカル重合性不飽和単量体として、BAを19.23g用いる代わりに、メチルメタクリレート(MMA;富士フィルム和光純薬(株)製を常法により蒸留精製したもの)を15.02g用い、BNIの添加量を2.172gから0.543gに、重合条件を110℃で6時間から70℃で3時間に変更した以外は、製造例2と同様の方法で一方の分子末端にヨウ素を有するPMMAを得た。
得られた重合体の数平均分子量は6,600であり、Mw/Mnは1.19であった。また、13C-NMRの結果から、重合体末端に存在するヨウ素は、98.4%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
製造例7
有機ヨウ素化合物であるCP-Iを0.073g用いる代わりに、RAFT化剤である2-シアノ-2-プロピルベンゾジチアノエート(シグマアルドリッチジャパン(同)製、以下、CPBDという)を0.083g用い、BNIの代わりにAIBNを0.812gを用い、重合条件を110℃で18時間から70℃で1時間に変更した以外は、製造例3と同様の方法で一方の分子末端にフェニルジチオエステル基を有するPBAを得た。
得られた重合体の数平均分子量は5,500であり、Mw/Mnは1.15であった。また、1H-NMRの結果から、重合体末端に存在するフェニルジチオエステルは、98.8%導入されていることが確認された。結果を表1に示した。
次に上述の製造例で得られた前駆体に対し、特定の官能基含有化合物に由来する末端構造を結合させた実施例について、以下に説明する。
なお、後述する実施例で得られた特定の官能基含有化合物を有する重合体の同定及び純度は、以下の方法に基づいて調べた。
(サンプル調整)
得られた重合体0.01gにTHF1mlを添加して得られたサンプル溶液と、マトリックスであるトランス-2-{3-(4-t-ブチルフェニル)-2-メチル-2-プロペニリデン}マロノナイトレート(東京化成工業(株)製、以下、DCTBという)0.02gにTHF1mlを添加して得られたマトリックス溶液と、イオン化剤であるトリフルオロ酢酸ナトリウム(東京化成工業(株)製、以下、NaTFAという)0.001gにTHF1mlを添加して得られたイオン化剤溶液を調製する。2mlサンプル瓶にマトリックス溶液を100μl、イオン化剤溶液20μl及びサンプル溶液20μlを混合し、サンプル板に混合液を1μlスポットし、室温で約5分THFを乾燥させ、サンプルを調製した。
(重合体末端基の同定)
日本電子(株)製JMS-S3000 SpiralTOFを用いて、サンプルに50kVのレーザーを照射して得られるMSスペクトルを分析した。前駆体のMSスペクトルでは前駆体のPBA-I及び前駆体末端のヨウ素が外れたPBA-HのMSスペクトルはほぼ同じ位置に現れるため見分けがつかなかったが、前駆体のNMR測定からPBA-Iが高い純度で存在するため、メインピークはPBA-Iであると予想される。一方、サンプルのMSスペクトルではPBA-IとPBA-Hの両方或いはそのいずれか一方が極少量存在した。サンプルのMSスペクトルには、PBA-IとPBA-H由来のスペクトルにあてはまらないメインのスペクトルが存在し、その総分子量が、特定の官能基がPBAに付加した分子量とイオン化剤のNa分子量とを加えた総分子量と一致した。従って、特定の官能基が、PBA末端に直接結合していることが確認された。
(官能基含有ラジカル発生剤由来の化合物を末端に有する重合体の純度測定)
サンプル中に存在する末端に官能基含有ラジカル発生剤由来の化合物を有する重合体のMSスペクトルの面積とその他のスペクトルの面積を、サンプル中に存在するすべてのMSスペクトルの総面積で除することで、サンプル中の官能基含有ラジカル発生剤由来の化合物を末端に有する重合体の純度を算出した。
実施例1
30mlのシュレンク管内に、製造例1で得られた重合体を0.3g、ラジカル発生剤としてのLPOを0.034g、BNIを0.079g及び溶媒としてのトルエン(関東化学(株)製)2.7mlを添加し、溶解させた後、シュレンク管の内部空間を窒素ガスで置換した。シュレンク管の内容物をそれぞれ、実施例1では110℃で1時間反応させた。室温に急冷し、未反応のBNIを除去する目的で、3000rpmで5分間遠心分離を行った。上澄み液をエバポレーターを用いてトルエンを減圧留去することによって得られた重合体を60℃で1時間真空乾燥を行うことにより、重合体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。本反応は以下の式(ii)によって表される。
実施例2~3
LPOの使用量を、前駆体のヨウ素末端1モルに対して、実施例2では0.5モル、実施例3では10モルに変更する以外は、実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、前駆体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施例4
BNIの使用量を、前駆体のヨウ素末端1モルに対して、1モルに変更する以外は、実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、前駆体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施5~6
前駆体を、実施例5では製造例2の前駆体(Mn:3,360g/mol)、実施例6では製造例3の前駆体(Mn:26,000g/mol)に変更する以外は、実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、重合体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施例7~8
ラジカル発生剤をそれぞれ、実施例7ではBPO、実施例8ではPFBに変更する以外は、実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、重合体末端のドーマントが脱離し、実施例7ではベンゾイル基が、実施例8ではパーフルオロブチロイル基がそれぞれ結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施例9
前駆体を、製造例4の前駆体(分子末端にヨウ素を有するPMEA)に変更する以外は実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、重合体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施例10
BNIの使用量を、前駆体のヨウ素末端1モルに対して、2モルに変更し、反応温度を110℃から130℃に変更する以外は、実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、前駆体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施例11~12
実施例11では、前駆体を製造例5の前駆体(分子末端にヨウ素を有するPSt)に変更し、かつ、反応条件を80℃で4時間に変更し、実施例12では前駆体を製造例6の前駆体(分子末端にヨウ素を有するPMMA)に変更し、かつ、反応条件を70℃で8時間に変更する以外は、実施例10と同様の方法で重合体を製造した。この結果、前駆体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
実施例13
添加するトルエン2.7mlを2.4mlに変更し、LPO0.034gをトルエン0.306gで濃度10重量%に調整したLPOのトルエン溶液品0.340gを約30分かけて滴下した以外は、実施例1と同様の方法で重合体を製造した。この結果、前駆体末端のドーマントが脱離し、C1123COO基が結合した重合体を得た。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られた官能基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
比較例
製造例7の前駆体を使用し、特定の官能基を含まない2,2‘-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN;富士フィルム和光純薬(株)製)を用いる以外は、実施例4と同様の方法で重合体を製造した。得られた重合体の数平均分子量、Mw/Mn、また得られたアルコキシ基が結合した重合体の純度を算出し、表2に結果を示した。
表2の結果より、本発明における重合体末端のドーマント側に特定の官能基が導入されたリビングラジカル重合体、すなわち、脱離したドーマントに代わって特定の官能基が結合したリビングラジカル重合体は、分子量分布が狭く純度が高いことがわかる。また、本発明の製造方法によれば、前駆体の末端のドーマントに、特定の官能基を有するラジカル重合開始剤を反応させることによって、分子量分布が狭く、純度が高いリビングラジカル重合体を得ることができる。

Claims (11)

  1. リビングラジカル重合体の1つの末端又は主鎖において重合開始剤由来の有機化合物部位を含み、かつ、少なくともいずれかの末端において、下記式(1)、式(2)又は式(3)で表される末端官能基構造を含む、リビングラジカル重合体。
    (式(1)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nは1~17の整数である。)
    (式(2)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
    (式(3)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
  2. 前記有機化合物部位が、ドーマントとしてヨウ素を含む重合開始剤に由来する、請求項1に記載のリビングラジカル重合体。
  3. 純度が70~100%である、請求項1に記載のリビングラジカル重合体。
  4. アクリレートに由来する構造単位を主要な構造単位として含む、請求項1に記載のリビングラジカル重合体。
  5. 分子量分布の値が1.0~1.5である、請求項1に記載のリビングラジカル重合体。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のリビングラジカル重合体の製造方法であって、
    有機化合物部位とドーマントとを含む重合開始剤と、ラジカル重合性不飽和単量体とを用いてリビングラジカル重合体の前駆体を形成する重合工程と、
    前記前駆体の前記ドーマントに由来するドーマント末端に、下記式(4)~式(6)のいずれかで表される官能基含有ラジカル発生剤を反応させて、前記ドーマント末端の代わりに前記ラジカル発生剤に由来する末端官能基構造を導入する導入工程とを有する、リビングラジカル重合体の製造方法。
    (式(4)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子又はフッ素原子であり、nはそれぞれ独立して、1~17の整数である。)
    (式(5)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
    (式(6)中、Rはそれぞれ独立して、水素原子、アルキル基、フッ素原子又はパーフルオロアルキル基である。)
  7. 前記導入工程において、前記リビングラジカル重合体を製造するための反応温度が、70~130℃である、請求項6に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
  8. 前記重合工程において、前記ラジカル重合性不飽和単量体100モルに対して、0.1~50モルの前記重合開始剤を用いる、請求項6に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
  9. 前記導入工程において、前記前駆体の前記ドーマント末端1モルに対して、0.5~30モルの前記ラジカル発生剤を用いる、請求項6に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
  10. 前記導入工程において、前記ラジカル発生剤を滴下して反応系に加える、請求項6に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
  11. 前記導入工程を、ヨウ化物イオンとのイオン結合を有する非金属化合物の存在下で実施する、請求項6に記載のリビングラジカル重合体の製造方法。
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