本発明の重合体組成物は、前記したように、式(I):
で表わされる化合物である、α−アリルオキシメチルアクリル酸を含む単量体成分を溶媒中で重合する工程を含む製造方法により製造される重合体、および溶媒とを含む重合体組成物であって、該重合体は、式(II):
で表わされる構造単位を主鎖中に含むことを特徴とする。
上記の両隣にメチレン基を配した5員環エーテル構造は、分散性、種々の基材に対する密着性に優れ、高いガラス転移温度および硬度を有しながら柔軟で追随性が高く、耐熱分解性が高く、透明性に優れるという特徴を有する。
さらに、正反対の性質を有する2つの官能基、すなわちLewis塩基性の官能基(テトラヒドロフラン環)とLewis酸性の官能基(カルボキシル基)が極めて近い位置に同居していることから、これらが相乗的に作用して効果を発揮することができ、特に分散性において効果を発揮することができる。
上記α−アリルオキシメチルアクリル酸は、例えば、式:
で表わされるように、環化しながら重合して、上記式(II)で表わされる構造を繰り返し単位とする主鎖骨格を形成する。
また、上記α−アリルオキシメチルアクリル酸は、例えば、式:
で表わされるように、一部が環化せずに重合して、前記の両隣にメチレン基を配した5員環エーテル構造を繰り返し単位とする主鎖骨格の中に、側鎖にアリルエーテル基を有する単位が一部含まれるような主鎖骨格を形成することも可能である。ラジカル重合機構に基づく重合の場合、側鎖にアリルエーテル基を有する単位が生じる割合は、α−アリルオキシメチルアクリル酸100mol%のうち1〜20mol%の間であることが多いが、重合機構、重合条件や共重合する成分の種類・量によって変化するため、これに限定されるものではない。このような側鎖アリルエーテル基は、例えば乳化重合法や懸濁重合法で架橋微粒子を得ようとする場合、架橋の起点として利用できるため、α−アリルオキシメチルアクリル酸の量や重合条件を調整すれば、架橋性単量体(例えば、フタル酸ジアリルやジエチレングリコールジメタクリレートなど)を併用しなくても架橋微粒子を得ることができる。
上記単量体成分は、式(I)で表されるα−アリルオキシメチルアクリル酸以外に、α−アリルオキシメチルアクリル酸と共重合可能な他の重合性化合物を含んでいても良く、その種類、量は、本発明の重合体組成物の形態、必要とされる諸性能、用途や使用目的に応じて、適宜選択、調整すればよい。
α−アリルオキシメチルアクリル酸と共重合可能な他の重合性化合物(以下、共重合性化合物ともいう)とは、α−アリルオキシメチルアクリル酸と共重合可能な重合性基(以下、共重合性基ともいう)を同一分子内に1個以上有する化合物であり、そのような共重合性基としては、炭素−炭素二重結合または炭素−炭素三重結合が好ましく、より好ましくは炭素−炭素二重結合であり、さらに好ましくは隣接する官能基により活性化された炭素−炭素二重結合である。
隣接する官能基により活性化された炭素−炭素二重結合としては、例えば、隣接共役する炭素−炭素二重結合により活性化された炭素−炭素二重結合(1,3−共役ジエン構造)、隣接共役するカルボニル基により活性化された炭素−炭素二重結合、隣接共役するシアノ基により活性化された炭素−炭素二重結合、隣接共役する芳香環により活性化された炭素−炭素二重結合、隣接するエステル基により活性化された炭素−炭素二重結合、隣接するハロゲン原子により活性化された炭素−炭素二重結合、隣接するエーテル基により活性化された炭素−炭素二重結合などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
共重合性化合物としては、共重合性基を同一分子内に1個有する化合物である単官能型共重合性化合物と、共重合性基を同一分子内に2個以上有する化合物である多官能型共重合性化合物とに分類できる。
〔単官能型共重合性化合物〕
単官能型共重合性化合物は、例えば、本発明の重合体組成物を、重合体が溶媒に均一溶解した重合体溶液の形態としたい場合に、好ましく使用できる。このような重合体組成物の使用様態としては、例えば、重合体組成物を基材上に塗布・乾燥して基材上にカルボン酸系重合体層を形成する使用様態が挙げられるが、かかる例示のみに限定されるものではない。
上記の単官能型共重合性化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エステル、(メタ)アクリルアミド、不飽和モノカルボン酸、不飽和多価カルボン酸、不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸、不飽和酸無水物、芳香族ビニル、N置換マレイミド、α−オレフィン、ハロゲン化ビニル、共役ジエン、ビニルエステル、ビニルエーテル、N−ビニル化合物、不飽和イソシアネート、アセチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの単官能型共重合性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸sec−ブチル、(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリル酸n−アミル、(メタ)アクリル酸sec−アミル、(メタ)アクリル酸tert−アミル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソデシル、(メタ)アクリル酸トリデシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸トリシクロデカニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェノキシエチル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸β−メチルグリシジル、(メタ)アクリル酸β−エチルグリシジル、(メタ)アクリル酸(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸メチル、α−ヒドロキシメチルアクリル酸エチルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
α−アリルオキシメチルアクリル酸エステルとしては、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−プロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸イソプロピル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸sec−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸tert−ブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸sec−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸tert−アミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ネオペンチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸sec−ヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−ヘプチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸n−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸sec−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸tert−オクチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−エチルヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸カプリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸デシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ウンデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ラウリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ミリスチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ペンタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ヘプタデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ステアリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ノナデシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エイコシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸セリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メリシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸クロチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸1,1−ジメチル−2−プロペニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−メチルブテニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸3−メチル−2−ブテニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸3−メチル−3−ブテニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−メチル−3−ブテニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸オレイル、α−アリルオキシメチルアクリル酸リノール、α−アリルオキシメチルアクリル酸リノレン、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロペンチルメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸4−メチルシクロヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸4−tert−ブチルシクロヘキシル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリシクロデカニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸イソボルニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸アダマンチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンタニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸フェニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチルフェニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジメチルフェニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリメチルフェニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸4−tert−ブチルフェニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ベンジル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジフェニルエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸トリフェニルメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シンナミル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ナフチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸アントラニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸メトキシエトシキエトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸3−メトキシブチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸エトキシエトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロペントキシエトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸シクロヘキシルオキシエトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸フェノキシエトキシエチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸グリシジル、α−アリルオキシメチルアクリル酸β−メチルグリシジル、α−アリルオキシメチルアクリル酸β−エチルグリシジル、α−アリルオキシメチルアクリル酸3,4−エポキシシクロヘキシルメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸2−オキセタンメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸3−メチル−3−オキセタンメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸3−エチル−3−オキセタンメチル、α−アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフラニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロフルフリル、α−アリルオキシメチルアクリル酸テトラヒドロピラニル、ジオキサゾラニル、α−アリルオキシメチルアクリル酸ジオキサニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのα−アリルオキシメチルアクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの(メタ)アクリルアミドは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
不飽和モノカルボン酸類としては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、ビニル安息香酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和モノカルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
不飽和多価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、メサコン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和多価カルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和基とカルボキシル基の間が鎖延長されている不飽和モノカルボン酸は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
不飽和酸無水物としては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和酸無水物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
芳香族ビニルとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、メトキシスチレン、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの芳香族ビニルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
N置換マレイミドとしては、例えば、メチルマレイミド、エチルマレイミド、イソプロピルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、フェニルマレイミド、ベンジルマレイミド、ナフチルマレイミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのN置換マレイミドは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
α−オレフィンとしては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのα−オレフィンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ハロゲン化ビニルとしては、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのハロゲン化ビニルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
共役ジエンとしては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、クロロプレン、ネオプレン、シクロペンタジエンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの共役ジエンは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニルエステルとしては、例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、安息香酸ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルエステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニルエーテルとしては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、n−ノニルビニルエーテル、ラウリルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、メトキシエチルビニルエーテル、エトキシエチルビニルエーテル、メトキシエトキシエチルビニルエーテル、メトキシポリエチレングリコールビニルエーテル、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルエーテルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
N−ビニル化合物としては、例えば、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール、N−ビニルモルフォリン、N−ビニルアセトアミドなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのN−ビニル化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
不飽和イソシアネートとしては、例えば、(メタ)アクリル酸イソシアナトエチル、アリルイソシアネートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの不飽和イソシアネートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
〔多官能型共重合性化合物〕
多官能型共重合性化合物は、前記したように共重合性基を同一分子内に2個以上有する化合物であり、例えば、本発明のカルボン酸系重合体を溶媒に溶解しない架橋重合体(膨潤はしてもよい)としたい場合に、好ましく使用できる。
このような溶媒に溶解しない架橋重合体となったカルボン酸系重合体の使用様態としては、例えば、溶媒に溶解しない架橋重合体となったカルボン酸系重合体の水分散体の形態とし、この水分散体にアルカリを添加してカルボキシル基を部分中和して増粘させ、増粘剤として使用する使用様態が挙げられるが、本発明はかかる例示のみに限定されるものではない。
上記の多官能型共重合性化合物としては、例えば、多官能(メタ)アクリル酸エステル、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステル、アリル基含有(メタ)アクリル酸エステル、多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレート、多官能ウレタン(メタ)アクリレートなどの多官能(メタ)アクリル系化合物;多官能マレイミド系化合物;多官能ビニルエーテル;多官能アリル系化合物;多官能芳香族ビニルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能型共重合性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFアルキレンオキシドジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ε−カプロラクトン付加ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸1−メチル−2−ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸5−ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸6−ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸4−ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸p−ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸2−(ビニロキシエトキシエトキシエトキシ)エチルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらのビニルエーテル基含有(メタ)アクリル酸エステルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
アリル基含有(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アリルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレートとしては、例えば、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、アルキレンオキシド付加トリ(メタクリロイルオキシエチル)イソシアヌレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能(メタ)アクリロイル基含有イソシアヌレートは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能ウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどの多官能イソシアネートと(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどの水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルとの反応で得られる多官能ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
多官能マレイミド系化合物としては、例えば、4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、m−フェニレンビスマレイミド、ビスフェノールAジフェニルエーテルビスマレイミド、3,3′−ジメチル−5,5′−ジエチル−4,4′−ジフェニルメタンビスマレイミド、4−メチル−1,3−フェニレンビスマレイミド、1,6−ビスマレイミド−(2,2,4−トリメチル)ヘキサン、フェニルメタンマレイミドオリゴマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能マレイミド系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能ビニルエーテルとしては、例えば、エチレングリコールジビニルエーテル、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ポリエチレングリコールジビニルエーテル、プロピレングリコールジビニルエーテル、ブチレングリコールジビニルエーテル、ヘキサンジオールジビニルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジビニルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、グリセリントリビニルエーテル、ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタビニルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラビニルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサビニルエーテルなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能ビニルエーテルは、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能アリル系化合物としては、例えば、エチレングリコールジアリルエーテル、ジエチレングリコールジアリルエーテル、ポリエチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ブチレングリコールジアリルエーテル、ヘキサンジオールジアリルエーテル、ビスフェノールAアルキレンオキシドジアリルエーテル、ビスフェノールFアルキレンオキシドジアリルエーテル、トリメチロールプロパントリアリルエーテル、ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、グリセリントリアリルエーテル、ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、ジペンタエリスリトールペンタアリルエーテル、ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテル、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジトリメチロールプロパンテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ペンタエリスリトールテトラアリルエーテル、エチレンオキシド付加ジペンタエリスリトールヘキサアリルエーテルなどの多官能アリルエーテル;トリアリルイソシアヌレートなどの多官能アリル基含有イソシアヌレート;フタル酸ジアリル、ジフェン酸ジアリルなどの多官能アリルエステル;ビスアリルナジイミド化合物など;ビスアリルナジイミド化合物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能アリル系化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
多官能芳香族ビニルとしては、例えば、ジビニルベンゼンなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
多官能型共重合性化合物は、共重合性基以外の骨格部分が単量体に基づく繰り返し単位を有するオリゴマーまたはポリマーであってもよい。多官能型共重合性化合物の分子量が1000未満である場合にはオリゴマーに分類し、分子量が1000以上である場合にはポリマーに分類することができる。
多官能型共重合性化合物のオリゴマーまたはポリマーの骨格としては、例えば、ポリエステル系骨格、ポリエーテル系骨格、ポリウレタン系骨格、ポリブタジエンやポリイソプレンなどの共役ジエン系ポリマー骨格、ポリ(メタ)アクリレート系骨格、フェノール樹脂骨格、アニリン樹脂骨格、ポリオレフィン系骨格、ポリアミド系骨格、シクロオレフィン系ポリマー骨格、ポリシロキサン系骨格などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの骨格のなかでは、ポリエステル系骨格、ポリエーテル系骨格、ポリウレタン系骨格、共役ジエン系ポリマー骨格、ポリ(メタ)アクリレート系骨格、フェノール樹脂骨格およびアニリン樹脂骨格が好ましい。
骨格部分と共重性基とは、共有結合で結合していればよいが、エステル結合および/またはウレタン結合を介して結合していることが好ましい。
多官能型共重合性化合物のオリゴマーまたはポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリロイル基が骨格部分とウレタン結合を介して結合しているウレタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマー、(メタ)アクリロイル基が骨格部分とウレタン結合を介して結合しているウレタン(メタ)アクリレート系ポリマー、エポキシ樹脂(エポキシ基を有するオリゴマーまたはポリマー)に(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート系重合性オリゴマー、エポキシ樹脂(エポキシ基を有するオリゴマーまたはポリマー)に(メタ)アクリル酸を付加させた構造を有するエポキシ(メタ)アクリレート系ポリマー、(メタ)アクリロイル基がポリエステル系骨格とエステル結合を介して結合しているポリエステル(メタ)アクリレート系重合性オリゴマー、(メタ)アクリロイル基がポリエステル系骨格とエステル結合を介して結合しているポリエステル(メタ)アクリレート系ポリマー、(メタ)アクリロイル基がフェノール樹脂骨格とエステル結合を介して結合しているフェニルメタン(メタ)アクリレート系重合性オリゴマー、(メタ)アクリロイル基がフェノール樹脂骨格とエステル結合を介して結合しているフェニルメタン(メタ)アクリレート系ポリマー、アニリン樹脂骨格にマレイミド基が直接結合しているフェニルメタンマレイミド系重合性オリゴマー、アニリン樹脂骨格にマレイミド基が直接結合しているフェニルメタンマレイミド系ポリマーなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
多官能型共重合性化合物は、商業的に容易に入手することができる。商業的に容易に入手することができる多官能型共重合性化合物としては、例えば、共栄社化学(株)製、商品名:ライトアクリレート3EG−A、ライトアクリレート4EG−A、ライトアクリレート9EG−A、ライトアクリレート14EG−A、ライトアクリレートNP−A、ライトアクリレート1,6−HX−A、ライトアクリレート1,9ND−A、ライトアクリレートDCP−A、ライトアクリレートBP−4EA、ライトアクリレートBP−4PA、ライトアクリレートTMP−A、ライトアクリレートTMP−3EO−A、ライトアクリレートTMP−6EO−3A、ライトアクリレートPE−3A、ライトアクリレートPE−4A、ライトアクリレートDPE−6A、ライトアクリレートBA−134、ライトアクリレートHPP−A、ライトアクリレートPTMGA−250、ライトアクリレートDTMP−4A、ライトエステルEG、ライトエステル2EG、ライトエステル3EG、ライトエステル4EG、ライトエステル9EG、ライトエステル14EG、ライトエステルNP、ライトエステル1・3BG、ライトエステル1,4−BG、ライトエステル1,6−HX、ライトエステル1,9ND、ライトエステル1・10DC、ライトエステルTMP、ライトエステルG−101P、ライトエステルG−201P、ライトエステルBP−2EM、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA、AH−600、AT−600、UA−306H、AI−600、UA−101T、UA−101I、UA−306T、UA−306Iなど;
SARTOMER社製、品番:SR212、SR213、SR230、SR238F、SR247、SR259、SR268、SR272、SR306H、SR344、SR349、CD406、SR508、CD536、CD560、CD561、CD562、CD564、CD580、CD581、CD582、SR601、SR602、SR610、CD802、SR833、SR9003、CD9038、CD9043、SR9045、SR9209A、SR101、SR150、SR205、SR206、SR209、SR210、SR214、SR239、SR248、SR252、CD262、SR297、SR348、CD401、SR480、CD540、SR541、CD542、SR603、SR644、SR740、SR9036、SR351S、SR368、SR415、SR444、SR454、SR492、SR499、CD501、SR502、SR9020、9021、SR9035、SR350、SR9009、SR9011、SR295、SR355、SR494、SR399、SR9041、SR9012、CD9051、CD9053、CN929、CN940、CN944B85、CN959、CN961、CN961E75、CN961H81、CN962、CN963、CN963A80、CN963B80、CN963E75、CN963E80、CN963J75、CN964、CN964A85、CN964E75、CN965、CN965A80、CN966、CN966A80、CN966B85、CN966H90、CN966J75、CN966R60、CN968、CN980、CN981、CN981A75、CN981B88、CN982、CN982A75、CN982B88、CN982E75、CN982P90、CN983、CN985B88、CN989、CN991、CN996、CN9001、CN9002、CN9004、CN9005、CN9006、CN9007、CN9008、CN9009、CN9010、CN9011、CN9014、CN9178、CN9788、CN9893、CN902J75、CN970A60、CN970E60、CN970H75、CN971、CN971A80、CN972、CN973、CN973A80、CN973H85、CN973J75、CN975、CN977C70、CN978、CN992、CN994、CN997、CN999、CN9165、CN9782、CN9783、CN1963、CN2901、CN2902、CN2920、CN2921、CN3210、CN3211、CN104、CN104A80、CN104B80、CN104D80、CN111US、CN112C60、CN113D70、CN115、CN116、CN117、CN118、CN119、CN120、CN120A75、CN120B60、CN120B80、CN120C60、CN120C80、CN120D80、CN120E50、CN120M50、CN121、CN132、CN133、CN136、CN137、CN151、CN152、CNUVE151、CNUVE150/80、CN160、CN2100、CN2101、CN2102E、CN292、CN293、CN394、CN296、CN299、CN2200、CN2203、CN2250、CN2251、CN2252、CN2253、CN2254、CN2255、CN2256、CN2257、CN2258、CN2259、CN2260、CN2261、CN2262、CN2270、CN2271E、CN2272、CN2273、CN2276、CN2278、CN2279、CN2280、CN2281、CN2282、CN2285、CN2297A、CN2298、CN2470、CN2300、CN2301、CN2302、CN2303、CN2304、CN147、CN301、CN303、CN307、CN371、CN501、CN550、CN551、CN2201、CN736、CN738、CN9101、CN2600、CN990、CN9800など;
大阪有機化学工業(株)製、商品名:ビスコート#195、ビスコート#230、ビスコート#260、ビスコート#310HP、ビスコート#335HP、ビスコート#700、ビスコート#540、ビスコート#295、ビスコート#300、ビスコート#400、ビスコート#360、ビスコート#802、ビスコート#1000、ビスコート#1020、ビスコート#3PA、ビスコート#3PMA、STAR−501、BAC−15、BAC−45、UV−4108F、UV−4117Fなど;
日本合成化学工業(株)製、商品名:紫光UV−1700B、紫光UV−6300B、紫光UV−7550B、紫光UV−7600B、紫光UV−7605B、紫光UV−7610B、紫光UV−7620EA、紫光UV−7630B、紫光UV−7640B、紫光UV−7650B、紫光UV−6630B、紫光UV−7000B、紫光UV−7510B、紫光UV−7461TE、紫光UV−2000B、紫光UV−2750B、紫光UV−3000B、紫光UV−3200B、紫光UV−3210EA、紫光UV−3300B、紫光UV−3310B、紫光UV−3500BA、紫光UV−3520TL、紫光UV−3700B、紫光UV−6640Bなど;
東亞合成(株)製、商品名:アロニックスM−208、アロニックスM−211B、アロニックスM−215、アロニックスM−220、アロニックスM−225、アロニックスM−270、アロニックスM−240、アロニックスM−309、アロニックスM−310、アロニックスM−321、アロニックスM−350、アロニックスM−360、アロニックスM−313、アロニックスM−315、アロニックスM−306、アロニックスM−305、アロニックスM−303、アロニックスM−452、アロニックスM−450、アロニックスM−408、アロニックスM−403、アロニックスM−400、アロニックスM−402、アロニックスM−404、アロニックスM−406、アロニックスM−405、アロニックスM−460、アロニックスM−510、アロニックスM−520、アロニックスM−1100、アロニックスM−1200、アロニックスM−6100、アロニックスM−6200、アロニックスM−6250、アロニックスM−6500、アロニックスM−7100、アロニックスM−7300K、アロニックスM−8030、アロニックスM−8060、アロニックスM−8100、アロニックスM−8530、アロニックスM−8560、アロニックスM−9050など;
(株)日本触媒製、商品名:VEEA、VEEMなど;(株)クラレ製、品番:UC−203;大和化成工業(株)製、品番:BMI−1000、BMI−2000、BMI−2300、BMI−3000、BMI−4000、BMI−5100、BMI−7000、BMI−TMHなど;丸善石油化学(株)製、品番BANI−M,BANI−Xなどが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの多官能型共重合性化合物は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記単量体成分に含まれるα−アリルオキシメチルアクリル酸の含有割合は、本発明の重合体組成物の形態、必要とされる諸性能、重合方法、用途、使用目的に応じて適宜設定すればよいが、通常、全単量体成分中1〜100質量%、好ましくは2〜100質量%、更に好ましくは5〜100質量%である。
上記単量体成分の重合方法としては、沈澱重合法、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法など、何らかの重合溶媒を用いる公知の各種重合方法を用いることができ、適宜選択すればよいが、2次加工・3次加工への適用が容易な重合体の溶液あるいは分散液を効率的に得る観点からは、溶液重合法、分散重合法、懸濁重合法、乳化重合法が好ましい。
重合機構としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合、配位重合など、公知の機構に基づいた重合方法を用いることができるが、ラジカル重合機構または配位重合機構に基づく重合方法が、環化率(式(II)で表される単量体から式(I)で表される構成単位が生成する割合)が高いことから好ましく、工業的に有利であることからラジカル重合機構に基づく重合方法が特に好ましい。
分子量の制御方法としては、公知の方法を用いることができ、例えば、重合開始剤・重合触媒の量や種類、重合温度、連鎖移動剤の種類や量の調整などにより制御できる。
上記単量体成分をラジカル重合機構により重合する場合、ラジカル重合開始剤を併用するのが工業的に有利で好ましい。ラジカル重合開始剤としては、加熱により重合開始ラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤と、活性エネルギー線の照射により重合開始ラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤とがあり、従来公知のものを1種または2種以上使用できる。また、必要に応じて従来公知の熱ラジカル重合促進剤、光増感剤、光ラジカル重合促進剤等を1種または2種以上添加することも好ましい。
上記熱ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、アセチルアセテートパーオキサイド、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−2−メチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、α,α′−ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、イソブチリルパーオキサイド、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド、m−トルオイルベンゾイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシヘキシルパーオキシジカーボネート、ジ−3−メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ−s−ブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メチル−3−メトキシブチル)パーオキシジカーボネート、α,α′−ビス(ネオデカノイルパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3,−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、t−ブチルパーオキシマレート、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−m−トルイルベンゾエート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス(t−ブチルパーオキシ)イソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート、t−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、3,3′,4,4′−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタン等の有機化酸化物系開始剤;2−フェニルアゾ−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、1,1′−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス(2−メチル−N−フェニルプロピオンアミジン)ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−クロロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(4−ヒドロフェニル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(フェニルメチル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−プロペニル)プロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(4,5,6,7−テトラヒドロ−1H−1,3−ジアゼピン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(5−ヒドロキシ−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル]プロパン}ジヒドロクロリド、2,2′−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)エチル]プロピオンアミド}、2,2′−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2′−アゾビス(2−メチルプロピオンアミド)、2,2′−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2′−アゾビス(2−メチルプロパン)、ジメチル−2,2−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4′−アゾビス(4−シアノペンタン酸)、2,2′−アゾビス[2−(ヒドロキシメチル)プロピオニトリル]等のアゾ系開始剤;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過酸化水素などの水溶性開始剤が挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
上記熱ラジカル重合開始剤とともに使用できる熱ラジカル重合促進剤としては、コバルト、銅、錫、亜鉛、マンガン、鉄、ジルコニウム、クロム、バナジウム、カルシウム、カリウム等の金属石鹸;1級、2級、3級のアミン化合物;4級アンモニウム塩;チオ尿素化合物;ケトン化合物;還元剤等が挙げられ、具体的には、例えば、オクチル酸コバルト、ナフテン酸コバルト、オクチル酸銅、ナフテン酸銅、オクチル酸マンガン、ナフテン酸マンガン、ジメチルアニリン、トリエタノールアミン、トリエチルベンジルアンモニウムクロライド、ジ(2−ヒドロキシエチル)p−トルイジン、エチレンチオ尿素、アセチルアセトン、アセト酢酸メチル、亜硫酸水素ナトリウム、L−アスコルビン酸等が挙げられる。
上記光ラジカル重合開始剤としては、具体的には、例えば、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−(ジメチルアミノ)−2−〔(4−メチルフェニル)メチル〕−1−〔4−(4−モルホリニル)フェニル〕−1−ブタノン等のアルキルフェノン系化合物;ベンゾフェノン、4,4′−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテ等のベンゾイン系化合物;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物;2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボキニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等のハロメチル化トリアジン系化合物;2−トリクロロメチル−5−(2′−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2′−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等のハロメチル化オキサジアゾール系化合物;2,2′−ビス(2−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4−ジクロロフェニル)−4,4′,5,5′ −テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール、2,2′−ビス(2,4,6−トリクロロフェニル)−4,4′,5,5′ −テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール等のビイミダゾール系化合物;1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、エタノン,1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕−,1−(O−アセチルオキシム)等のオキシムエステル系化合物;ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム等のチタノセン系化合物;p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジエチルアミノ安息香酸等の安息香酸エステル系化合物;9−フェニルアクリジン等のアクリジン系化合物;等を挙げることができる。
上記光ラジカル開始剤とともに、光増感剤や光ラジカル重合促進剤を使用することにより、感度や硬化性を向上できる。このような光増感剤や光ラジカル重合促進剤としては、例えば、キサンテン色素、クマリン色素、3−ケトクマリン系化合物、ピロメテン色素などの色素系化合物;4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシルなどのジアルキルアミノベンゼン系化合物;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾールなどのメルカプタン系水素供与体等が挙げられる。
上記ラジカル重合開始剤の添加量総量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重合性、分解物の悪影響、経済性のバランスの点から、単量体成分全体に対して0.01〜30質量%、好ましくは0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜15質量%である。
上記熱ラジカル重合促進剤、光増感剤、光ラジカル重合促進剤の添加量総量としては、目的、用途に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重合性、分解物の悪影響、経済性のバランスの点から、単量体成分全体に対して0.001〜20質量%、好ましくは0.05〜10質量%、さらに好ましくは0.01〜10質量%である。
上記単量体成分をラジカル重合機構により重合する場合、必要に応じて、公知の連鎖移動剤を使用してもよく、ラジカル重合開始剤と併用するのがより好ましい。このような連鎖移動剤としては、具体的には、例えば、メルカプト酢酸、3−メルカプトプロピオン酸等のメルカプトカルボン酸類;メルカプト酢酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸メチル、3−メルカプトプロピオン酸2−エチルヘキシル、3−メルカプトプロピオン酸n−オクチル、3−メルカプトプロピオン酸メトキシブチル、3−メルカプトプロピオン酸ステアリル、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3−メルカプトプロピオネート)等のメルカプトカルボン酸エステル類;エチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、1,2−ジメルカプトエタン等のアルキルメルカプタン類;2−メルカプトエタノール、4−メルカプト−1−ブタノール等のメルカプトアルコール類;ベンゼンチオール、m−トルエンチオール、p−トルエンチオール、2−ナフタレンチオール等の芳香族メルカプタン類;トリス〔(3−メルカプトプロピオニロキシ)−エチル〕イソシアヌレート等のメルカプトイソシアヌレート類;2−ヒドロキシエチルジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド等のジスルフィド類;ベンジルジエチルジチオカルバメート等のジチオカルバメート類;α−メチルスチレンダイマー等の単量体ダイマー類;四臭化炭素等のハロゲン化アルキル類などが挙げられる。これらの中では、入手性、架橋防止能、重合速度低下の度合いが小さいなどの点で、メルカプトカルボン酸類、メルカプトカルボン酸エステル類、アルキルメルカプタン類、メルカプトアルコール類、芳香族メルカプタン類;メルカプトイソシアヌレート類などのメルカプト基を有する化合物が好ましい。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記ラジカル重合機構における連鎖移動剤の使用量は、使用する単量体の種類や量、重合温度、重合濃度等の重合条件、目標とする重合体の分子量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されないが、重量平均分子量が数千〜数万の重合体を得るには、単量体成分全体に対して、0.1〜20質量%が好ましく、0.5〜15質量%がより好ましい。
上記単量体成分を配位重合機構により重合する場合、極性ビニル化合物、特にシアン化ビニルや(メタ)アクリル酸エステル類を(共)重合できる公知の重合触媒を利用することができる。このような重合触媒としては、例えば、特開2002−161107号公報記載の3座配位ホスフィン配位子を含む遷移金属ヒドリド錯体、特開2007−332086号公報、特開2011−68881号公報に記載のホスフィンスルホナート系配位子を有する遷移金属錯体、特開2010−260913号公報に記載のSHOP触媒型の遷移金属錯体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。α−オレフィン類や共役ジエン類との共重合を行う場合、ラジカル重合機構を使用してもα−オレフィン類や共役ジエン類との共重合体が得られるが、配位重合機構を使用すれば、より低温低圧で製造したり、より容易に重合体の構造制御(分子量、環化率、立体規則性など)を行ったりすることができる。
上記単量体成分を重合する際の重合温度としては、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合開始剤・重合触媒の種類や量等に応じて適宜設定すればよく、特に限定されない。
上記重合溶媒としては、重合反応に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、重合機構、使用する単量体の種類や量、重合開始剤・重合触媒の種類や量等の重合条件に応じて適宜設定すればよい。
このような溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、s−ブタノール等のモノアルコール類;エチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類;テトラヒドロフラン,ジオキサン等の環状エーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシブタノール等のグリコールモノエーテル類;エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等のグリコールモノエーテルのエステル類;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル等のアルキルエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン等の脂肪族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類、水等が挙げられるが、かかる例示に限定されるものではない。これらは単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
重合工程に使用する溶媒の使用量としては、重合体組成物の形態、重合方法、用途、使用目的などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、全単量体成分100質量%に対して、30〜3000質量%が好ましく、40〜2500質量%がより好ましく、50〜2000質量%がさらに好ましい。
乳化重合法により重合を行う場合に使用する乳化剤としては、アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤、高分子乳化剤などが挙げられ、これらの乳化剤は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。またその使用量としては、重合濃度、単量体成分の組成、重合体の用途、使用目的などに応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、全単量体成分100質量%に対して、単量体成分の100質量部に対して、0.1〜25質量部使用することが好ましく、より好ましくは0.2〜20質量%であり、さらに好ましくは0.3〜15質量%である。
アニオン性乳化剤としては、例えば、アンモニウムドデシルサルフェート、ナトリウムドデシルサルフェートなどのアルキルサルフェート塩;アンモニウムドデシルスルホネート、ナトリウムドデシルスルホネートなどのアルキルスルホネート塩;アンモニウムドデシルベンゼンスルホネート、ナトリウムドデシルナフタレンスルホネートなどのアルキルアリールスルホネート塩;ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩;ジアルキルスルホコハク酸塩;アリールスルホン酸−ホルムアルデヒド縮合物;アンモニウムラウリレート、ナトリウムステアリレートなどの脂肪酸塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
ノニオン性乳化剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、ポリエチレングリコールとポリプロピレングリコールとの縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モノグリセライド、エチレンオキサイドと脂肪族アミンとの縮合生成物などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
カチオン性乳化剤としては、例えば、ドデシルアンモニウムクロライドなどのアルキルアンモニウム塩などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
両性乳化剤としては、例えば、ベタインエステル型乳化剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
高分子乳化剤としては、例えば、ポリアクリル酸ナトリウムなどのポリ(メタ)アクリル酸塩;ポリビニルアルコール;ポリビニルピロリドン;ポリヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのポリヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;これらの重合体を構成する単量体のうちの1種類以上を共重合成分とする共重合体などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
また、乳化剤として、成形体の耐水性を向上させる観点から、重合性基を有する乳化剤、すなわち、いわゆる反応性乳化剤が好ましく、環境保護の観点から、非ノニルフェニル型の乳化剤が好ましい。
反応性乳化剤としては、例えば、プロペニル−アルキルスルホコハク酸エステル塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンスルホネート塩、(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレンホスフォネート塩〔例えば、三洋化成工業(株)製、商品名:エレミノ−ルRS−30など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテルスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンHS−10など〕、アリルオキシメチルアルキルオキシポリオキシエチレンのスルホネート塩、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンKH−10など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレンのスルホネート塩〔例えば、(株)ADEKA製、
商品名:アデカリアソープSE−10など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン硫酸エステル塩〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープSR−10、アデカリアソープSR−30など〕、ビス(ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル)メタクリレート化スルホネート塩〔例えば、日本乳化剤(株)製、商品名:アントックスMS−60など〕、アリルオキシメチルアルコキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名:アデカリアソープER−20など〕、ポリオキシエチレンアルキルプロペニルフェニルエーテル〔例えば、第一工業製薬(株)製、商品名:アクアロンRN−20など〕、アリルオキシメチルノニルフェノキシエチルヒドロキシポリオキシエチレン〔例えば、(株)ADEKA製、商品名
:アデカリアソープNE−10など〕などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。
乳化重合を行う際には、必要により、エチレンジアミン四酢酸ナトリウムなどのキレート剤、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤や無機塩などを用いてもよい。また、単量体成分、重合開始剤などの添加方法としては、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの添加方法は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記乳化重合の好適な実施形態として、例えば、α−アリルオキシメチルアクリル酸を含む単量体成分、乳化剤、および水を必須とする組成物を乳化させた単量体組成物(プレエマルション)を予め調製し、そのプレエマルションを重合する形態が挙げられる。水溶性単量体である(メタ)アクリル酸と異なり、α−アリルオキシメチルアクリル酸は比較的疎水性が高いため水を溶媒とした安定なプレエマルションを調製し易い。したがって、α−アリルオキシメチルアクリル酸を含む単量体成分、乳化剤、および水を必須とする単量体組成物も、好適な本発明の実施形態の1つである。
本発明の重合体組成物は、上記重合体および溶媒とを含む重合体組成物であるが、溶媒としては、上記重合溶媒として例示したものを挙げることができ、本発明の重合体組成物の形態、必要とされる諸性能、用途や使用目的に応じて、適宜選択、調整すればよい。また、製造工程の簡略化の観点からは、重合溶媒と重合体組成物の溶媒とを一致させることが好ましい。
本発明の重合体組成物中に含まれる重合体の割合は、本発明の重合体組成物の形態、必要とされる諸性能、用途や使用目的に応じて、適宜選択、調整すればよいが、加工性の観点から、通常、1〜90質量%、好ましくは2〜80質量%、より好ましくは3〜70質量%である。また、溶媒の割合も、本発明の重合体組成物の形態、必要とされる諸性能、用途や使用目的に応じて、適宜選択、調整すればよいが、加工性の観点から、通常、10〜99質量%、好ましくは20〜98質量%、より好ましくは30〜97質量%である。
本発明の重合体組成物は、必要に応じて他の成分を混合あるいは複合して、各種の使用方法、用途に適用できる。このような他の成分としては、例えば、ラジカル重合性化合物、カチオン重合性化合物、熱可塑樹脂、エポキシ樹脂、色材(染料・顔料)、顔料分散剤、顔料分散助剤、無機微粒子、ポリマー微粒子、溶媒、増粘剤、酸化防止剤、重合禁止剤、レベリング剤、スリップ剤、フィラー、電極活物質、導電助剤、カップリング剤、タッキファイヤー、可塑剤、近赤外線吸収剤、紫外線吸収剤、耐光安定剤、難燃化剤、艶消し剤、帯電防止剤、揺変化剤、揺硬化促進剤、揺変助剤などが挙げられるが、本発明は、かかる例示のみに限定されるものではない。これらの他の成分は、それぞれ単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記他の成分の中で、特に好ましい成分としては、本発明におけるカルボン酸系重合体の優れた分散性を活かすことができる観点から、無機顔料、有機顔料、電極活物質、導電助剤、フィラー、難燃化剤、艶消し剤などの、有機あるいは無機の微粉状固体が挙げられる。すなわち、本発明の重合体組成物および微粉状固体を含む分散組成物は、本発明の重合体組成物の好適な使用様態の1つである。
上記微粉状固体の種類としては、例えば、無機顔料、有機顔料、電極活物質、導電助剤、フィラー、難燃化剤、艶消し剤などが挙げられるが、用途や使用目的に応じて適宜選択すればよく、かかる例示に限定されるものではない。微粉状固体の使用量としても、用途や使用目的に応じて適宜選択すればよく、特に限定されないが、本発明の重合体組成物に含まれるカルボン酸系重合体100質量%に対して、0.5〜20000質量%が好ましく、1〜15000質量%がより好ましく、2〜10000質量%がさらに好ましい。
本発明の重合体組成物は、セメント、スケール防止剤、水処理剤、紙おむつ、洗剤、化粧品、増粘剤、粘接着剤、塗料、アルカリ現像型レジストなど、土木建築分野、日用品、医療分野から電子材料分野にいたる、あらゆる分野で利用できるものである。以下に、好適な用途、該用途における使用形態を例示するが、本発明は、これら特定の用途に限定されるものではない。
本発明におけるカルボン酸系重合体は、テトラヒドロフラン環とカルボキシル基が極めて近い位置に同居した構造単位に由来する優れた顔料分散性、主鎖環構造に由来する優れた耐熱性および酸素硬化阻害に対する耐性を有することから、本発明の重合体組成物は、カラーフィルター用着色レジストに好適に使用できる。カラーフィルター用着色レジストの典型的な組成物構成としては、例えば、顔料、顔料分散剤、アルカリ可溶性樹脂、多官能アクリレート、光ラジカル重合開始剤、有機溶媒からなる組成物が挙げられるが、アルカリ可溶性樹脂の一部、あるいは全てを本発明におけるカルボン酸系重合体とすることにより、高顔料濃度での分散安定性、製版特性に優れたカラーフィルター用着色レジストとすることができる。
上記顔料、顔料分散剤、多官能アクリレート、光ラジカル重合開始剤、有機溶媒は従来公知のものを使用することができ、また、必要に応じてこれら以外の成分を使用してもよい。上記アルカリ可溶性樹脂は、本発明におけるカルボン酸系重合体をその機能が発揮される程度に含んでいればよく、その含有割合は特に限定されないが、10質量%以上100質量%以下、より好ましくは20質量%以上100質量%以下、さらに好ましくは30質量%以上100質量%以下である。本発明におけるカルボン酸系重合体以外のアルカリ可溶性樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、特に限定されない。
本発明におけるカルボン酸系重合体は、テトラヒドロフラン環とカルボキシル基が極めて近い位置に同居した構造単位に由来する優れたフィラー分散性、両隣にメチレン基を配した主鎖エーテル環構造に由来する可撓性、密着性、耐水性(乾燥時の水離れ性)を有することから、本発明の重合体組成物は、リチウムイオン電池の電極作製用水系スラリー組成物用バインダー及び/又は添加剤に好適に使用できる。リチウムイオン電池の電極用水系スラリー組成物の典型的な組成物構成としては、例えば、電極活物質、導電助剤、バインダー樹脂、水からなる組成物が挙げられるが、バインダー樹脂の一部、あるいは全てを本発明におけるカルボン酸系重合体とすることにより、分散安定性、塗工性、乾燥時の水離れ性に優れた電極作製用水系スラリー組成物とすることができ、また該電極作製用水系スラリー組成物から可撓性、基材密着性に優れた乾燥塗膜を得ることができる。
上記電極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵、放出できる電極活物質であればよく、従来公知のものを使用でき特に限定されないが、例えば、コバルト酸リチウム、リン酸鉄リチウム、リン酸マンガンリチウム、マンガン酸リチウム、チタン酸リチウム等のリチウム含有の金属酸化物;グラファイト、天然黒鉛、人造黒鉛等の炭素系材料;ポリアセン系導電性高分子;リチウム合金等が挙げられる。
上記導電助剤としては、導電性カーボンが好ましく、例えば、カーボンブラック、ファイバー状カーボン、黒鉛、ケッチェンブラック、アセチレンブラックが挙げられる。
上記バインダー樹脂は、本発明におけるカルボン酸系重合体をその機能が発揮される程度に含んでいればよく、その含有割合は特に限定されないが、10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。本発明におけるカルボン酸系重合体以外のバインダー樹脂としては、従来公知のものを使用することができ、特に限定されないが、例えば、ポリフッ化ビニリデンなどのフッ素系重合体、スチレン−ブタジエンゴムなどのジエン系重合体、アクリレート系重合体、ポリイミド、ポリアミド、ポリウレタン系重合体、カルボキシメチルセルロースなどのセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸(塩)、酸化スターチ、リン酸化スターチ、カゼイン、各種変性デンプンなどが挙げられる。
本発明におけるカルボン酸系重合体は、テトラヒドロフラン環とカルボキシル基が極めて近い位置に同居した構造単位に由来して、耐溶剤性と耐水性を両立でき、また種々の基材への優れた密着性を有し、さらに両隣にメチレン基を配した主鎖エーテル環構造に由来する可撓性を有することから、本発明の重合体組成物は、各種基材のプライマーとして好適に使用できる。このようなプライマー用組成物の形態としては、例えば、本発明におけるカルボン酸系重合体および該重合体を溶解できる有機溶媒からなる重合体溶液の形態、本発明におけるカルボン酸系重合体および水からなる水分散体の形態などが挙げられる。さらに、エポキシ樹脂などのカルボン酸と反応し得る硬化剤を含む形態も、好ましい形態の一つである。
上記本発明におけるカルボン酸系重合体を溶解できる有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノールなどの低分子のアルコール系溶媒を挙げることができる。
上記本発明の重合体組成物からなるプライマー組成物を用いて形成されるプライマー層は、特に酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系汎用有機溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系汎用有機溶媒、トルエン、キシレンなどの汎用芳香族系有機溶媒、(メタ)アクリル酸エステルなどの反応性希釈剤などに対して優れた耐溶剤性を発揮することができる。
次に本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りがない限り、「部」は「質量部」を意味し、「%」は「質量%」を意味する。
〔重合体溶液の調製〕
[実施例1]
(重合体溶液の調製)
反応槽として、100ml容の4口ナスフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管および撹拌装置を取り付けたものを準備し、この反応槽内を窒素ガス置換した。窒素ガス気流下で前記反応槽内にメタノール25.0gおよびα−アリルオキシメチルアクリル酸(HAMA)20.0gを仕込み、攪拌しながら65℃に昇温した。内温が65℃で安定したことを確認した後、重合開始剤として2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)0.005gをメタノール5.0gに溶解したものを反応槽に添加し、重合を開始した。
反応槽の内温が65℃になるよう調整しながら2時間攪拌を続けた後、室温まで冷却した。反応槽から内容物を一部取り出しメタノール/テトラヒドロフラン=1/1(容量比)混合液で希釈し、n−ヘキサンに滴下して重合体を沈澱させた。沈殿物を濾過、n−ヘキサンで洗浄した後、100℃に加熱した真空乾燥器にて1時間乾燥し、ポリ(α−アリルオキシメチルアクリル酸)を白色固形物として得た。
このポリ(α−アリルオキシメチルアクリル酸)を、固形分が20.0%となるようにメタノールに溶解させ、ポリ(α−アリルオキシメチルアクリル酸)のメタノール溶液(固形分20.0%)を得た。
(重合体の分析)
臭化リチウムおよびリン酸を、それぞれの濃度が1mol/LとなるようにN−メチルピロリドンに溶解したものを準備し、これをGPC用展開溶媒とした。上記で得たポリ(α−アリルオキシメチルアクリル酸)の白色固形物の一部をGPC用展開溶媒に溶解し、GPC装置(標準物質:ポリスチレン)により分子量を測定したところ、重量平均分子量は13万であった。
さらに、ポリ(α−アリルオキシメチルアクリル酸)の白色固形物の一部を重ジメチルスルホキシドに溶解し、NMR装置により1H−NMRを測定した。結果を図1に示す。
[比較例1]
HAMAの代わりにメタクリル酸(MAA)を用い、重合開始剤添加後の攪拌時間を2時間から4時間に変えたこと以外は、実施例1と同様にしてポリメタクリル酸のメタノール溶液(固形分20.0%)を得た。
〔プライマー適性評価〕
[実施例2]
以下のようにしてプライマー適性評価を行った。結果を表1に示す。
(密着性)
バーコーター#4を用いて、実施例1で得た重合体溶液を基板上に塗布した後、100℃で5分間乾燥し、約1μm厚のプライマー層を形成した。室温まで冷却した後、このプライマー層について、JIS K 5600−5−6(クロスカット法)に準拠し、基板に対する密着性を評価した。ただし、マス目は10×10マス=100マスで行い、100マスの中で剥がれや破損が生じずに残存しているマス目の数として密着性を評価した。
なお、基板としては、次の3種類を使用した。
・ガラス標準試験板〔JIS R3202、太佑機材(株)製、表1中の記号:GL〕
・アルミニウム標準試験板〔JIS H4000、記号:A1050、太佑機材(株)社製、表1中の記号:AL〕
・銅標準試験板〔JIS H3100、記号:C1100、太佑機材(株)製、表1中の記号:CU〕
結果を表1に示す。
(耐溶剤性)
バーコーター#4を用いて、実施例1で得た重合体溶液を上記のガラス標準試験板に塗布した後、100℃で5分間乾燥し、約1μm厚のプライマー層を形成して、室温まで冷却した。プライマー層上に有機溶媒を滴下し5秒間保持した後、キッチンタオルで有機溶媒を拭き取り、目視で観察した。溶解痕や吹き取り痕が見られない場合は○、見られた場合は×とした。なお、有機溶媒として、酢酸エチル、アセトン、トルエンの3種類を用いた。結果を表1に示す。
(耐水性)
バーコーター#4を用いて、実施例1で得た重合体溶液を上記のガラス標準試験板に塗布した後、100℃で5分間乾燥し、約1μm厚のプライマー層を形成して、室温まで冷却した。プライマー層上に水を滴下し5秒間保持した後、キッチンタオルで水を拭き取り、目視で観察した。溶解痕や吹き取り痕が見られない場合は○、見られた場合は×とした。結果を表1に示す。
[比較例2]
実施例1で得た重合体溶液の代わりに、比較例1で得た重合体溶液を用いたこと以外は、実施例2と同様にしてプライマー適性を評価した。結果を表1に示す。
〔プレエマルション適性評価〕
[実施例3]α−アリルオキシメチルアクリル酸系プレエマルション
α−アリルオキシメチルアクリル酸(HAMA)とα−アリルオキシメチルアクリル酸のメチルエステル(MeAMA)の混合物を、重量比でHAMA/MeAMA=100/0、90/10、75/25、60/40、50/50となるように4種類準備した。HAMA/MeAMA混合物2.0g、水2.0g、アクアロンBC−10(反応性乳化剤、第一工業製薬(株)製)の25%水溶液0.24gをスクリュー管に入れてキャップをし、強く振りまぜた後、室温で2時間静置した。静置後の状態を目視で確認し、次の基準でプレエマルション適性を評価した。
○:完全に乳化した状態のままである
△:液滴状に一部が分離しているが、水層と有機層の界面は確認できない
×:2層分離し、水層と有機層の界面を確認できる
××:乳化せず均一溶解し、透明である
結果を表2に示す。
[比較例3]メタクリル酸系プレエマルション
HAMAの代わりにメタクリル酸(MAA)、MeAMAの代わりにメタクリル酸のメチルエステル(MMA)を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてプレエマルション適性評価を行った。結果を表2に示す。
[比較例4]アクリル酸系プレエマルション
HAMAの代わりにアクリル酸(AA)、MeAMAの代わりにアクリル酸のメチルエステル(MA)を用いたこと以外は、実施例3と同様にしてプレエマルション適性評価を行った。結果を表2に示す。
実施例と各比較例の対比から、α−アリルオキシメチルアクリル酸系のプレエマルションは、メタクリル酸系あるいはアクリル酸系のプレエマルションよりも乳化安定性に優れることが分かる。
〔エマルションの調製〕
[実施例4]
攪拌機、温度計、冷却器、窒素導入管、滴下ロートを備えた四つ口セパラブルフレスコに、イオン交換水184.67質量部、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩0.23質量部を投入した。内温72℃で攪拌しながら、緩やかに窒素を流し、反応容器内を完全に窒素置換した。次に、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸アンモニウム塩0.23質量部、過硫酸アンモニウム0.015gをイオン交換水14.97質量部に溶解した。ここに、重合体の単量体成分として、α―アリルオキシメチルアクリル酸(以下、HAMA)10.2質量部、α―アリルオキシメチルアクリル酸メチル(以下、MeAMA)4.8質量部を投入し、プレエマルションを作製した。反応容器内の温度を72℃に保ち、プレエマルション6.1gを添加した。添加終了時から5分経過した後に、残りのプレエマルションを30分にわたって均一に滴下した。滴下終了後、イオン交換水5質量部で滴下槽を洗浄し、内温を73℃に保ち、更に2時間攪拌を続けた後、3%の過硫酸アンモニウム水溶液0.5gを添加した。更に2時間加熱し続けた後、冷却して反応を完了し、不揮発分7%のエマルション(4)を得た。
[実施例5]
MeAMAの代わりにアクリル酸エチルを用いたこと以外は、実施例4と同様にして、不揮発分6.9%のエマルション(5)を得た。
〔リチウムイオン電池電極作製用スラリー評価〕
[実施例6]
(リチウムイオン電池電極作製用スラリーの調製)
実施例4で得たエマルション(4)に、pH7となるよう水酸化リチウム一水和物の5%水溶液を加えて攪拌し、さらに不揮発分が3.0%となるようイオン交換水を加え、透明な水性樹脂組成物とした。この水性樹脂組成物26.67g、アセチレンブラックHS−100(電気化学工業(株)製)2.0g、イオン交換水3.0gを混合分散した。さらに、セルシードNMC(日本化学工業(株)製)40.0gを加えて混合分散し、リチウムイオン電池電極作製用スラリー(6)を得た。
(電極形成性)
可変式アプリケーターを用いて、乾燥膜厚が100μmとなるように調整して上記リチウムイオン電池電極作製用スラリーをアルミ箔に塗工し、100℃で10分乾燥して製膜した。さらに、この乾燥塗膜が形成されたアルミ箔についてφ10mmで曲げ試験を行い、下記評価基準に従って評価した。結果を表3に示す。
○:問題なし。
△:製膜時にクラックは発生しなかったが、曲げ試験でクラックが生じた。
×:製膜時にクラックが生じた。
(電極導電率)
可変式アプリケーターを用いて、乾燥膜厚が100μmとなるように調整して上記リチウムイオン電池電極作製用スラリーをアルミ箔に塗工し、100℃で10分乾燥して製膜した。この乾燥塗膜が形成されたアルミ箔を、ロールプレス機を用いて5kNでプレスした後、80℃で減圧乾燥することにより電極シートを作製した。周波数応答アナライザ1260型(ソーラートロン社製)を用い、電極シートを1cm2のセルに挟み込んで直流抵抗を測定した。得られた直流抵抗から、周波数1〜100Hzにおける直流抵抗の平均値を求め、電極抵抗値とした。電極抵抗値と、マイクロメータで測定した電極シートの膜厚とから、電極導電率[mS/cm]を算出した。結果を表3に示す。なお、値が大きいほど電極導電率に優れることを意味する。
(電気負荷特性)
電極導電率の評価と同様にして作製した電極シートを用い、下記のようにコインセル(CR2032)を作製した。充放電測定装置ACD−001(アスカ電子(株)製)を用い、下記条件のもとで電気負荷特性(5C放電容量/0.2C放電容量)を評価した。結果を表3に示す。なお、値が大きいほど電気負荷特性に優れることを意味する。
コインセルの作製条件:
正極・・・上記の電極シート
負極・・・Li箔
電解液・・・1mol/L LiPF6 EC(エチレンカーボネート)/EMC(エチルメチルカーボネート)=3/7 (キシダ化学(株)製)
電気特性の評価条件:
充電条件・・・0.2C CC−CV Cut−Off 4.3V
放電条件・・・0.2C CC Cut−Off 3.0V ⇒ 0.5C CC ⇒ 1C CC ⇒ 3C CC ⇒ 5C CC
(放電時のカットオフ条件は3.0Vは全て同じ)
[実施例7]
リチウムイオン電池電極作製用スラリーの調製に用いたエマルションとして、実施例5で得たエマルション(5)を用いたこと以外は、実施例6と同様にしてリチウムイオン電池電極用スラリー(7)を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
[比較例6]
2%のカルボキシメチルセルロース水溶液(セロゲンBSH−6 第一工業製薬(株)製)40.0gに、アセチレンブラックHS−100(電気化学工業(株)製)2.0g、イオン交換水3.0gを混合分散した。さらに、セルシードNMC(日本化学工業(株)製)40.0gを加えて混合分散し、リチウムイオン電池電極用比較スラリー(6)を作製し、評価を行った。結果を表3に示す。
実施例6および実施例7と比較例6との対比から、テトラヒドロフラン環とカルボン酸が近接した構造を主鎖中に有する重合体は、電極形成性に優れ、分散度の向上により電気負荷特性に優れることが分かるが、これはテトラヒドロフラン環とカルボン酸が近接した構造を主鎖中に有する重合体が、可撓性、フィラー(電極活物質および導電助剤)の分散性に優れていることに起因すると推測される。
〔着色レジスト用重合体溶液の調製〕
[実施例8]
反応槽として、300ml容の4口セパラブルフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管、滴下漏斗および撹拌装置を取り付けたものを準備し、この反応槽内を窒素ガス置換した。窒素ガス気流下で前記反応槽内にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/イソプロパノール=85/15(重量比)混合液92.9gを仕込み、攪拌しながら92℃に昇温した。一方、単量体としてのα−アリルオキシメチルアクリル酸(HAMA)30.0gおよびメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)20.0g、熱ラジカル開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0g、連鎖移動剤としての3−メルカプトプロピオン酸1.15gを攪拌混合した後、滴下漏斗に入れた。
内温が92℃で安定したことを確認した後、滴下漏斗内容物の滴下を開始し、重合を開始した。内温が90℃〜95℃になるよう調整しながら、内容物を60分かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温が90℃〜95℃になるよう調整しながら2時間攪拌を続けた後、内温が115℃になるまで昇温、115℃を90分間維持した後、室温まで冷却した。
次に、反応槽に導入するガスを窒素/酸素=93/7(容量比)混合ガスに切り替え、混合ガス気流下で反応槽内に、側鎖C=C導入用化合物としてのメタクリル酸グリシジル(GMA)16.5g、重合禁止剤としての6−t−ブチル−2,4−キシレノール0.02g、触媒としてのジメチルベンジルアミン0.2gを仕込み、攪拌しながら110℃まで昇温した。110℃を8時間維持した後、減圧にしてイソプロパノールを除去し、室温まで冷却した。内容物を一部採取し、真空乾燥(真空乾燥器150℃×1時間)により不揮発分を測定してから、不揮発が40.0%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて攪拌混合し、側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
この側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体溶液を0.1mmol/l水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定し、溶液の酸価[mgKOH/g]と不揮発分(40.0%)から、側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体の酸価[mgKOH/g]を算出した。結果を表4に示す。
また、GPC装置(展開溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)で側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体の重量平均分子量(Mw)を測定した。結果を表4に示す。
さらに、側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体溶液の一部を採取してテトラヒドロフランで希釈し、n−ヘキサンに滴下して重合体を沈澱させた。沈殿物を濾過、n−ヘキサンで洗浄した後、50℃に加熱した真空乾燥器にて1時間乾燥し、白色固形物を得た。白色固形物の一部を重ジメチルスルホキシドに溶解し、NMR装置により1H−NMRを測定した。結果を図2に示す。
[実施例9]
反応槽として、300ml容の4口セパラブルフラスコに温度計、冷却管、ガス導入管、滴下漏斗および撹拌装置を取り付けたものを準備し、この反応槽内を窒素ガス置換した。窒素ガス気流下で前記反応槽内にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート/イソプロパノール=72.5/27.5(重量比)混合液118.6gを仕込み、攪拌しながら92℃に昇温した。一方、単量体としてのα−アリルオキシメチルアクリル酸(HAMA)39.25gおよびα−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(MeAMA)10.75g、熱ラジカル開始剤としてのt−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート1.0g、連鎖移動剤としての3−メルカプトプロピオン酸1.25gを攪拌混合した後、滴下漏斗に入れた。
内温が92℃で安定したことを確認した後、滴下漏斗内容物の滴下を開始し、重合を開始した。内温が90℃〜95℃になるよう調整しながら、内容物を60分かけて均一に滴下した。滴下終了後、内温が90℃〜95℃になるよう調整しながら2時間攪拌を続けた後、内温が105℃になるまで昇温、105℃を180分間維持した後、室温まで冷却した。
次に、反応槽に導入するガスを窒素/酸素=93/7(容量比)混合ガスに切り替え、混合ガス気流下で反応槽内に、側鎖C=C導入用化合物としてのメタクリル酸グリシジル(GMA)25.0g、重合禁止剤としての6−t−ブチル−2,4−キシレノール0.02g、触媒としてのジメチルベンジルアミン0.2gを仕込み、攪拌しながら105℃まで昇温した。105℃を10時間維持した後、減圧にしてイソプロパノールを除去し、室温まで冷却した。内容物を一部採取し、真空乾燥(真空乾燥器150℃×1時間)により不揮発分を測定してから、不揮発が40.0%になるようプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを加えて攪拌混合し、側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得た。
この側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体溶液を0.1mmol/l水酸化ナトリウム水溶液を用いて滴定し、溶液の酸価[mgKOH/g]と不揮発分(40.0%)から、側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体の酸価[mgKOH/g]を算出した。結果を表4に示す。
また、GPC装置(展開溶媒:テトラヒドロフラン、標準物質:ポリスチレン)で側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体の重量平均分子量(Mw)を測定した。結果を表4に示す。
さらに、側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体溶液の一部を採取してテトラヒドロフランで希釈し、n−ヘキサンに滴下して重合体を沈澱させた。沈殿物を濾過、n−ヘキサンで洗浄した後、50℃に加熱した真空乾燥器にて1時間乾燥し、白色固形物を得た。白色固形物の一部を重ジメチルスルホキシドに溶解し、NMR装置により1H−NMRを測定した。結果を図3に示す。
[比較例7]
重合用単量体としてのα−アリルオキシメチルアクリル酸(HAMA)30.0gおよびメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)20.0gの代わりに、メタクリル酸(MAA)18.2g、α−アリルオキシメチルアクリル酸メチル(MeAMA)11.8gおよびメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)20.0gを使用したこと以外は、実施例8と同様にして側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得て、重合体の酸価および重量平均分子量を測定した。結果を表4に示す。
[比較例8]
重合用単量体としてのα−アリルオキシメチルアクリル酸(HAMA)30.0gおよびメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)20.0gの代わりに、メタクリル酸(MAA)18.2g、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル(THFM)11.8gおよびメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA)20.0gを使用したこと以外は、実施例8と同様にして側鎖C=Cを有するカルボン酸系重合体のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液を得て、重合体の酸価および重量平均分子量を測定した。結果を表4に示す。
〔着色レジスト評価〕
[実施例10]
(顔料分散液の調製と貯蔵安定性の評価)
緑色顔料として臭素化亜鉛フタロシアニンを7.2g及び黄色顔料としてC.I.ピグメントイエロー150を2.5g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート60.0g、分散剤(ビックケミ−社製「DISPERBYK−2000」)を固形分換算で2.0g、および実施例8で得た重合体溶液を8.25g、ジルコニアビーズ225gをステンレス容器に充填し、ペイントシェーカーにて6時間分散させて緑色顔料分散液を調製した。デカンテーションにより分離した顔料分散液をガラス製容器に入れ密閉し、30℃の恒温器中に保存した。分散処理をしてから1日後、4週間後の粘度をコーンプレート型回転粘度計を用いて測定し、粘度増加率を次式に従って算出した。粘度増加率が小さいほど貯蔵安定性に優れていることになる。結果を表5に示す。
粘度増加率[%]=4週間後の粘度/1日後の粘度×100−100
(着色レジストの調製と解像度の評価)
前記の4週間保存後の顔料分散液57.8g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート23.4g、3−エトキシプロピオン酸エチル8.0g、実施例8で得た重合体溶液5.5g、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート3.7g、2,2′−ビス(o−クロロフェニル)−4,4′,5,5′−テトラフェニル−1,2′−ビイミダゾール0.4g、4,4′−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノン0.2g、2−メルカプトベンゾチアゾール0.4g、2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン0.8gをよく混合して着色レジストを調製した。
前記の緑色着色組成物を、スピンコーターを用いて100mm×100mmのガラス基板上に、乾燥後の膜厚が1.5μmになるように回転数を調節して塗布した後、90℃で2分間プレベークした。次に、プロキシミティ型露光機と解像度評価用フォトマスク(1μ〜50μm幅のラインアンドスペースを有するパターンマスク)により100mJ/cm2にて露光した。その後、スプレー現像装置を用いて、0.1%炭酸ナトリウム水溶液で現像した。現像時間は、10〜100秒までの間で、最も良好な画像が得られる時間で行った。ついで水洗処理を行い、風乾した。ガラス基板をレーザー顕微鏡で観察し、現像残渣がなく、かつ欠けのない直線性のよいパターン形状が得られている最も細いパターン幅[μm]を解像度とした。結果を表5に示す。
[実施例11]
重合体溶液として実施例8で得た重合体溶液の代わりに、実施例9で得た重合体溶液を用いたこと以外は、実施例10と同様にして貯蔵安定性および解像度を評価した。結果を表5に示す。
[比較例9]
重合体溶液として実施例8で得た重合体溶液の代わりに、比較例7で得た重合体溶液を用いたこと以外は、実施例10と同様にして貯蔵安定性および解像度を評価した。結果を表5に示す。
[比較例10]
重合体溶液として実施例8で得た重合体溶液の代わりに、比較例8で得た重合体溶液を用いたこと以外は、実施例10と同様にして貯蔵安定性および解像度を評価した。結果を表5に示す。
実施例9と比較例9および比較例10との対比により、テトラヒドロフラン環とカルボン酸が近接した構造を主鎖中に有する重合体は、主鎖テトラヒドロフラン環とカルボン酸とを同時に多く導入することができ、顔料分散液の貯蔵安定性および着色レジストの解像度に優れることが分かるが、これは顔料分散性の向上に起因すると推測される。