JP2019065214A - 光硬化性クリアインク - Google Patents

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Abstract

【課題】光硬化時に黄変を生じないため、下地の印刷物の本来の正しい色調を表現でき、吐出安定性にも優れた光硬化性クリアインクを提供する。【解決手段】(A)トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、ジペンタエリスリトールアクリレート、および官能基数が5以上でガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートの少なくとも1種である多官能ラジカル重合性化合物、(B)式(3)で表されるラジカル重合性モノマーと、を少なくとも含む光硬化性クリアインキ。〔R2はH又は1価の有機基〕【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット印刷に用いる、光硬化性クリアインクに関するものである。
印刷物の表面に、部分的に、無色透明のクリアインク層を重ねることで艶をもたせて、印刷物にアクセントを付加するスポットニス印刷が知られている。このスポットニス印刷のクリアインク層を、光硬化性クリアインクを用いて、インクジェット印刷法によって形成することが検討されている。
すなわち、印刷物上に、インクジェット印刷によって、無色透明の光硬化性クリアインクを印刷した後、紫外線等の光を照射して光硬化性クリアインクを光硬化させることによって、クリアインク層が形成される。
光硬化性クリアインクは、たとえば、ラジカル重合性化合物と光ラジカル重合開始剤とを含む、通常の光硬化性インクの組成から、着色剤を除いて構成されるのが一般的である。
近時、光硬化性インクを光硬化させるために、光源として、従来のUVランプ等に代えてLED(発光ダイオード)を用いて、印刷システム全体での消費エネルギーを低減することが検討されている。
しかし、LEDからの光によって光硬化性インクを光硬化させる場合には、光硬化の速度が不足する傾向がある。光硬化性クリアインクの場合、光硬化の速度が不足すると、形成されるクリアインク層の硬化が不十分になる。そして、たとえば、複数枚の印刷物の表面に、連続的にクリアインク層を形成して、先に形成したクリアインク層の上に次の印刷物を重ねると、重ねた印刷物の裏面に先のクリアインク層が付着する、いわゆる裏移りや、重ねた印刷物同士の貼り付き等を生じる場合がある。LEDからの光の波長域が、UVランプからの光より狭いことが、この原因の一つと考えられる。
光硬化性インクの光硬化の速度を高めるために、ラジカル重合性化合物として、たとえば、3官能以上の多官能で、かつ分子量の大きいラジカル重合性化合物を用いることが考えられる。しかし、このような分子量の大きいラジカル重合性化合物を含む光硬化性インクは高粘度になりやすく、光硬化性インクが高粘度になるほど、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下して、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる。
光硬化性インクの光硬化の速度を高めるために、増感剤を配合する場合がある。しかし、増感剤は、光硬化時に光硬化性インクが黄変する原因となる。
クリアインク層を形成する光硬化性クリアインクが黄変すると、たとえば、白は黄、青は緑を呈する等して、下地の印刷物の、本来の正しい色調を表現することができなくなる。
特許文献1には、N−ビニルカプロラクタム、光重合開始剤、およびリン系酸化防止剤を含み、光硬化前後の任意の段階での加温によって黄変しにくい光硬化性クリアインクが開示されている。
特開2011−194573号公報 特開2013−091788号公報
ところが、特許文献1に記載の光硬化性クリアインクは、発明者の検討によると、上記のように加温によっては黄変しにくいものの、光硬化によって黄変する。
一般に、光硬化による光硬化性インクの黄変は、光硬化後に徐々に薄くなることが知られている。しかし、特許文献1に記載の光硬化性クリアインクは、N−ビニルカプロラクタム自体が黄色であるため、黄変が残りやすい。
本発明の目的は、光硬化時に黄変を生じないため、下地の印刷物の本来の正しい色調を表現できる上、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度が高いため十分に硬化されたクリアインク層を形成することができ、しかも低粘度でインクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性にも優れた光硬化性クリアインクを提供することにある。
本発明は、ラジカル重合性化合物、および光ラジカル重合開始剤を含み、前記ラジカル重合性化合物は、
(A) 式(1):
Figure 2019065214
で表されるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、式(2):
Figure 2019065214
〔式中、Rは水素原子、またはアクリロイル基を示す。〕
で表されるジペンタエリスリトールアクリレート、および官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の多官能ラジカル重合性化合物、ならびに
(B) 式(3):
Figure 2019065214
〔式中、Rは水素原子または1価の有機基を示す。〕
で表されるラジカル重合性モノマー、
を少なくとも含んでいる光硬化性クリアインクである。
本発明によれば、上述した特定のラジカル重合性化合物を組み合わせることにより、光硬化時に黄変を生じないため、下地の印刷物の本来の正しい色調を表現できる上、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度が高いため十分に硬化されたクリアインク層を形成することができ、しかも低粘度でインクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性にも優れた光硬化性クリアインクを提供することができる。
特許文献2には、前述した(B)のラジカル重合性モノマーを用いた光硬化性インクが開示されている。この光硬化性インクは、(B)のラジカル重合性モノマーが、基本的に光硬化性インクの使用環境温度下、とくに室温で液状を呈するため低粘度であり、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性に優れている。
そこで発明者は、(B)のラジカル重合性モノマーを他のラジカル重合性化合物と組み合わせて、光硬化性クリアインクを構成することを検討した。
しかし、(B)のラジカル重合性モノマーは、組み合わせる他のラジカル重合性化合物との共重合反応の相性に大きなばらつきがあった。
そして、たとえば、特許文献2の実施例で実際に組み合わせて効果を検証しているトリメチロールプロパントリアクリレートとは、共重合反応の相性が悪いため、この両者の併用系では、光硬化の速度が却って低くなってしまうことが確認された。
また、そのため、とくにLED等からの波長域の狭い光によって光硬化させた際には光硬化の速度が不足し、クリアインク層を十分に硬化させることができなくなって、前述したように、裏移りや貼り付き等を生じやすくなることが判った。
そこで、発明者は、(B)のラジカル重合性モノマーと併用するラジカル重合性化合物について検討した結果、前述した(A)の3種の多官能ラジカル重合性化合物が、いずれも、(B)のラジカル重合性モノマーとの共重合反応の相性に優れていることを見出した。
すなわち、これら3種の多官能ラジカル重合性化合物のうちの少なくとも1種を、(B)のラジカル重合性モノマーと併用すると、現状よりも光硬化の速度を向上させることができる。したがって、上記(A)(B)のラジカル重合性化合物を併用した本発明の光硬化性クリアインクによれば、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度を高めて、クリアインク層を十分に硬化させることができ、裏移りや貼り付き等を生じにくくすることが可能となる。
また、本発明の光硬化性クリアインクを構成する、上記(A)(B)のラジカル重合性化合物は、いずれも無色透明であり、しかも、本発明の光硬化性クリアインクは、上述したように光硬化の速度が高いため、黄変の原因となる増感剤を必要としない。したがって、本発明の光硬化性クリアインクは、光硬化時に黄変を生じることがなく、下地の印刷物の本来の正しい色調を表現できるクリアインク層を形成することも可能となる。
しかも、本発明の光硬化性クリアインクは、ラジカル重合性化合物として(B)のラジカル重合性モノマーを含んでいるため、低粘度であり、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性にも優れている。
〈A:多官能ラジカル重合性化合物〉
多官能ラジカル重合性化合物としては、上述したように、
(A−1) 式(1)で表されるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート〔平均官能基数:3、Tg:272℃〕、
(A−2) 式(2)で表されるジペンタエリスリトールアクリレート、および
(A−3) 官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレート
からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
このうち(A−1)の、式(1)で表されるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートの具体例としては、たとえば、サートマー(SARTOMER)社製のSR368等が挙げられる。
(A−2)の、式(2)で表されるジペンタエリスリトールアクリレートとしては、式(2)中のRが水素原子である、式(2−1):
Figure 2019065214
で表されるジペンタエリスリトールペンタアクリレート〔平均官能基数:5、Tg:90℃、サートマー社製のSR399等〕、および式(2)中のRがアクリロイル基である、式(2−2):
Figure 2019065214
で表されるジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔平均官能基数:6、サートマー社製のDPHA等〕のうちの少なくとも1種が挙げられる。
さらに(A−3)の、官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、たとえば、サートマー社製のCN968〔平均官能基数:6、脂肪族ウレタンアクリレート、Tg:145℃〕、CN9006〔平均官能基数:6、脂肪族ウレタンアクリレート、Tg:83℃〕、CN9010〔平均官能基数:6、脂肪族ウレタンアクリレート、Tg:103℃〕、CN975〔平均官能基数:6、芳香族ウレタンアクリレート、Tg:112℃〕等の1種または2種以上が挙げられる。
なお、ウレタンアクリレートの官能基数が5以上で、かつガラス転移温度Tgが80℃以上とされるのは、下記の理由による。
すなわち、官能基数が5未満のウレタンアクリレートでは、光硬化後の架橋密度が不足する傾向があり、また、ガラス転移温度Tgが80℃未満のウレタンアクリレートは相対的に分子量が小さいため、いずれの場合も、光硬化後のクリアインク層の強度が不足する傾向がある。
これに対し、基本的に(B)のラジカル重合性モノマーとの共重合反応の相性が良い上、官能基数が5以上で、かつガラス転移温度Tgが80℃以上であるウレタンアクリレートによれば、より強度の高いクリアインク層を形成することができる。
なお、これらの効果をより一層向上することを考慮すると、ウレタンアクリレートの官能基数は、上記の範囲でも6以上であるのが好ましく、8以下、とくに7以下であるのが好ましい。また、ウレタンアクリレートのガラス転移温度Tgは、上記の範囲でも100℃以上であるのが好ましく、150℃以下であるのが好ましい。
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としては、上述した各種の化合物の1種または2種以上が挙げられる。
なお、(A)の多官能ラジカル重合性化合物としては、とくに、光硬化の速度を高めてクリアインク層を十分に硬化させる効果の点で、上記3種のうち(A−1)の、式(1)で表されるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートが好ましい。
ちなみに、特許文献2の、(B)のラジカル重合性モノマーと併用してもよいラジカル重合性化合物の例示の中には、上記(A)の3種の多官能ラジカル重合性化合物が、いずれも含まれている。しかし、それは単なる例示の一つに過ぎず、特許文献2の実施例において実際に効果を検証している訳ではない。また、特許文献2には、これら3種の多官能ラジカル重合性化合物を(B)のラジカル重合性モノマーと併用すると、前述した本発明に特有の効果が得られることについても、一切記載されていない。
〈B:ラジカル重合性モノマー〉
(B)のラジカル重合性モノマーとしては、式(3)中のRが水素原子または任意の1価の有機基である種々の化合物が挙げられる。
に該当する1価の有機基は炭化水素で構成され、エーテル基を有していてもよく、炭化水素の水素原子は置換基で置換されていてもよい。また、有機基は、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、環状構造を含んでいてもよい。
炭化水素基としては、たとえば、炭素数1以上の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3以上の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数3以上の脂環式炭化水素基、炭素数6以上の芳香族炭化水素基等が挙げられる。
中でも、炭素数1〜30の鎖状飽和炭化水素基、炭素数3〜30の鎖状不飽和炭化水素基、炭素数4〜30の脂環式炭化水素基、炭素数6〜30の芳香族炭化水素基等が好ましく、とくに、炭素数1〜30の鎖状飽和炭化水素基が好ましい。
炭素数1〜30の鎖状飽和炭化水素基としては、たとえば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−アミル基、sec−アミル基、tert−アミル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、sec−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、sec−オクチル基、tert−オクチル基、2−エチルヘキシル基、カプリル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、ミリスチル基、ペンタデシル基、セチル基、ヘプタデシル基、ステアリル基、ノナデシル基、エイコシル基、セリル基、メリシル基等が挙げられる。
また、置換基としては、たとえば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子などのハロゲン原子、シアノ基、トリメチルシリル基などが挙げられる。
中でも、(B)のラジカル重合性モノマーとしては、光硬化性クリアインクを低粘度化して、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性を向上する効果の点で、式(3)中のRがメチル基である、式(3−1):
Figure 2019065214
で表される2−アリルオキシメチルアクリル酸メチルが好ましい。
とくに、この2−アリルオキシメチルアクリル酸メチルを、(A)の多官能ラジカル重合性化合物のうち(A−1)の、式(1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートと組み合わせるのが好ましい。
〈その他のラジカル重合性化合物〉
ラジカル重合性化合物としては、上記(A)(B)の2種のみ〔(A)(B)それぞれについて2種以上を併用する場合を含む。以下同様。〕を併用してもよいし、光硬化性クリアインクに他の特性を付与するために、上記2種以外の他のラジカル重合性化合物を、さらに併用してもよい。
他のラジカル重合性化合物としては、上記(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物と共重合反応し得る種々の単官能、2官能ないし3官能以上の多官能のラジカル重合性化合物が、いずれも使用可能である。
中でも、基本的に光硬化性クリアインクの使用環境温度下、とくに室温で低粘度の液状を呈するラジカル重合性モノマーが好ましい。
液状のラジカル重合性モノマーは、(B)のラジカル重合性モノマーとともに、光硬化性クリアインクを低粘度化して、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性を向上する反応性希釈剤として機能する。
液状のラジカル重合性モノマーとしては、たとえば、式(4):
Figure 2019065214
〔式中、nは2〜3の数を示し、mは1〜2の数を示す。〕
で表されるアルコキシエチレングリコールアクリレート等が挙げられる。
また、アルコキシエチレングリコールアクリレートの具体例としては、たとえば、式(4)中のnが2、mが2である、式(4−1):
Figure 2019065214
で表されるエトキシジエチレングリコールアクリレート(以下「EC−A」と略記する場合がある。)、および式(4)中のnが3、mが1である、式(4−2):
Figure 2019065214
で表されるメトキシトリエチレングリコールアクリレート(以下「MTG−A」と略記する場合がある。)等の少なくとも1種が挙げられる。
とくに、式(4−1)のEC−Aが、MTG−Aに比べて粘度が低く流動性が高いため、反応性希釈剤として好適に使用される。
〈質量比、割合等〉
上述した各ラジカル重合性化合物の質量比や割合は任意に設定できるものの、(A)の多官能ラジカル重合性化合物の質量Wと、(B)のラジカル重合性モノマーの質量Wとの質量比W/Wは、1以上であるのが好ましく、3以下であるのが好ましい。
質量比W/Wが1未満では、(B)のラジカル重合性モノマーが不足するため、(A)の多官能ラジカル重合性化合物を(B)のラジカル重合性モノマーと併用することによる、光硬化の速度を高めてクリアインク層を十分に硬化させる効果が得られないおそれがある。また、光硬化性クリアインクを低粘度化して、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性を向上する効果が不十分になるおそれがある。
一方、質量比W/Wが3を超える場合には、(A)の多官能ラジカル重合性化合物を(B)のラジカル重合性モノマーと併用することによる、光硬化の速度を高めてクリアインク層を十分に硬化させる効果が得られないおそれがある。
これに対し、質量比W/Wを上記の範囲とすることにより、上記2種のラジカル重合性化合物を併用して光硬化の速度を高めて、クリアインク層を十分に硬化させる効果、および低粘度化することによる効果を、いずれもより一層向上することができる。
また、(A)の多官能ラジカル重合性化合物と、(B)のラジカル重合性モノマーの、合計の割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の70質量%以上、とくに85質量%以上であるのが好ましい。
(A)の多官能ラジカル重合性化合物と(B)のラジカル重合性モノマーの合計の割合がこの範囲未満では、この両者の併用により光硬化の速度を高めてクリアインク層を十分に硬化させる効果、および低粘度化することによる効果が、ともに十分に得られないおそれがある。
なお、(A)の多官能ラジカル重合性化合物と(B)のラジカル重合性モノマーの合計の割合の上限は100質量%である。すなわち、ラジカル重合性化合物としては、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物のみを併用してもよい。
他のラジカル重合性化合物のうち、反応性希釈剤として機能し得るEC−A等の液状のラジカル重合性モノマーの割合は、任意に設定できる。しかし、基本的に(B)のラジカル重合性モノマーが同様の機能を有するため、EC−A等の液状のラジカル重合性モノマーは、反応性希釈剤として少量配合するだけでよい。あるいは、上述したように、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物の合計の割合を100質量%として、EC−A等の液状のラジカル重合性モノマーを配合しないことも可能である。
〈光ラジカル重合開始剤〉
光ラジカル重合開始剤としては、任意の波長の光の照射によってラジカルを発生させて、上述したラジカル重合性化合物をラジカル重合反応させることができる種々の化合物が、いずれも使用可能である。
光ラジカル重合開始剤としては、たとえば、下記化合物等の1種または2種以上が挙げられる。
ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4′−ジクロロベンゾフェノン、4,4′−ビスジエチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′−ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4−メトキシ−4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、特開2008−280427号公報の一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物等のベンゾフェノン類またはその塩。
チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン、特開2008−280427号公報の一般式(2)で表されるチオキサントン化合物等のチオキサントン類またはその塩。
エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。
アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン、4′−ジメチルアミノアセトフェノン、ジメチルヒドロキシアセトフェノン等のアセトフェノン類。
2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール2量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5−トリアリールイミダゾール2量体等のイミダゾール類。
ベンジルジメチルケタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ‐1‐(4−モルホリノフェニルブタン)−1−オン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、9,10−フェナンスレンキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル等のベンゾイン類。
9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9′−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体。
ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類。
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}2−メチルプロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−2−(4−メチルベンジル)−1−(4−モルフォリン−4−イル−フェニル)ブタン−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6−トリハロメチルトリアジン、ベンジル、メチルベンゾイル、ベンゾイル蟻酸メチル、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4−モルフォリノブチロフェノン等。
光ラジカル重合開始剤の割合は、任意に設定することができる。ただし、光硬化性クリアインクに良好な光硬化性を付与することを考慮すると、光ラジカル重合開始剤の割合は、光硬化性クリアインクの総量の0.1質量%以上、とくに0.5質量%以上であるのが好ましく、12質量%以下、とくに10質量%以下であるのが好ましい。
〈増感剤〉
本発明の光硬化性クリアインクには、必要に応じて、増感剤を配合することもできる。ただし、前述したように増感剤は黄変の原因となるため、本発明の光硬化性クリアインクは、増感剤を含まない(除く)ことがさらに好ましい。
〈着色剤〉
本発明の光硬化性クリアインクは、基本的に、前述したように無色透明で、着色剤を含まない(除く)ことが好ましい。しかし、下地の印刷物の色調を整えるために、任意の色味の着色剤を配合してもよい。
〈その他の成分〉
本発明の光硬化性クリアインクには、さらにラジカル重合禁止剤、界面活性剤等を含有させてもよい。
(ラジカル重合禁止剤)
ラジカル重合禁止剤は、光硬化性クリアインクを貯蔵中、あるいはパッケージに封入して保管中に、ラジカル重合性成分がラジカル重合反応してゲル化するのを防止するために機能する。
ラジカル重合禁止剤としては、上記の機能を有する種々の化合物がいずれも使用可能である。
ラジカル重合禁止剤としては、たとえば、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類等の1種または2種以上が挙げられる。
このうち、ハイドロキノン類としては、たとえば、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1−o−2,3,5−トリメチロールハイドロキノン、2−tert−ブチルハイドロキノン等の1種または2種以上が挙げられる。
カテコール類としては、たとえば、カテコール、4−メチルカテコール、4−tert−ブチルカテコール等の1種または2種以上が挙げられる。
ヒンダードアミン類としては、重合禁止効果を有する任意のヒンダードアミン類の1種または2種以上が好ましい。
フェノール類としては、たとえば、フェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸アルキルエステル、ヒンダードフェノール類等の1種または2種以上が挙げられる。
フェノチアジン類としては、たとえば、フェノチアジン等が挙げられる。
さらに縮合芳香族環のキノン類としては、たとえば、ナフトキノン等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤としては、重合禁止効果の効率に優れ、ラジカル重合性成分のラジカル重合反応を効率よく禁止できる、ヒンダードアミン類およびヒンダードフェノール類からなる群より選ばれた少なくとも1種が好ましい。
このうち、ヒンダードアミン類としては、たとえば、4,4′−[(1,10−ジオキソ-1,10−デカンジイル)ビス(オキシ)]ビス[2,2,6,6−テトラメチル]−1−ピペリジジニルオキシ〔別名:ビス(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ−4−イル)セバケート、BASF社製のイルガスタブ(登録商標)UV10またはその同等品〕等が挙げられる。
ヒンダードフェノール類としては、たとえば、α,α′,α″−1,2,3−プロパントリイルトリス[ω−[(1−オキソ−2−プロペン−1−イル)オキシ]−ポリ[オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)]に、有効成分として2,6−ビス(1,1−ジメチルエチル)−4−(フェニルメチレン)−2,5−シクロヘキサジン−1−オンを混合した混合物〔BASF社製のイルガスタブUV22、前者の割合が76〜90質量%、後者の有効成分の割合が24〜10質量%の混合物〕等が挙げられる。
ラジカル重合禁止剤の割合は、光硬化性クリアインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに1質量%以下であるのが好ましい。
(界面活性剤)
界面活性剤は、光硬化性クリアインクの表面張力を調整し、それによって、インクジェットプリンタのノズルに対する光硬化性クリアインクの濡れ性を調整し、吐出性を改善して、絵柄や文字等の鮮明性を向上するために機能する。
界面活性剤としては、とくにシリコーン系界面活性剤が好ましい。
界面活性剤の割合は、光硬化性クリアインクの総量の0.01質量%以上、特に0.1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、特に1質量%以下であるのが好ましい。
以上で説明したように、本発明によれば、特定のラジカル重合性化合物を組み合わせることにより、光硬化時に黄変を生じないため、下地の印刷物の本来の正しい色調を表現できる上、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度が高いため十分に硬化されたクリアインク層を形成することができ、しかも低粘度でインクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性にも優れた光硬化性クリアインクを提供することができる。
以下に、本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これらの実施例、比較例によって限定されるものではない。
〈実施例1〉
(光硬化性クリアインクの調製)
下記の各成分を、表1に示す割合で配合して、十分に溶解するまで撹拌したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して、光硬化性クリアインクを調製した。
(A)の多官能ラジカル重合性化合物:(A−1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート〔サートマー社製のSR368〕
(B)のラジカル重合性モノマー:2−アリルオキシメチルアクリル酸メチル〔(株)日本触媒製のFX−AO−MA〕
光重合開始剤:ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド〔BASF社製のイルガキュア(IRGACURE、登録商標)819〕
ラジカル重合禁止剤:前出のイルガスタブUV22、BASF社製
界面活性剤:ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK−377〔水酸基含有ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン〕
Figure 2019065214
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wと、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wとの質量比W/Wは1.40であった。また、この両者の合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例2〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−2)のうちジペンタエリスリトールペンタアクリレート〔平均官能基数:5、Tg:90℃、サートマー社製のSR399〕を同量配合したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.40、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例3〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−2)のうちジペンタエリスリトールヘキサアクリレート〔平均官能基数:6、サートマー社製のDPHA〕を同量配合したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.40、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例4〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−3)のうち官能基数が6でかつガラス転移温度Tgが145℃の脂肪族ウレタンアクリレート〔サートマー社製のCN968〕を同量配合したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.40、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例5〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物として、(A−3)のうち官能基数が6でかつガラス転移温度Tgが103℃の脂肪族ウレタンアクリレート〔サートマー社製のCN9010〕を同量配合したこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.40、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例6〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを45.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを45.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.00、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例7〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを22.5質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを67.5質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは3.00、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例8〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを50.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを40.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは0.80、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例9〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを20.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを70.0質量部としたこと以外は、実施例1と同様にして光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは3.50、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の100質量%であった。
〈実施例10〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを32.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを45.0質量部とし、さらに13.0質量部のEC−Aを追加したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.41、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の86質量%であった。
〈実施例11〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを26.0質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを37.0質量部とし、さらに27.0質量部のEC−Aを追加したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.42、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の70質量%であった。
〈実施例12〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368の質量Wを22.5質量部、(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOの質量Wを31.5質量部とし、さらに36.0質量部のEC−Aを追加したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。
質量比W/Wは1.40、合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の60質量%であった。
〈比較例1〉
(B)のラジカル重合性モノマーとしてのFX−AO−MOに代えて、同量のEC−Aを配合したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。すなわち、SR368の質量は37.5質量部、EC−Aの質量は52.5質量部とした。
〈比較例2〉
(A)の多官能ラジカル重合性化合物としてのSR368に代えて、同量のトリメチロールプロパントリアクリレート〔サートマー社製のSR351S〕を配合したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。すなわち、SR351Sの質量は37.5質量部、FX−AO−MOの質量は52.5質量部とした。
この比較例2は、特許文献2の実施例において実際に組み合わせて効果を検証している、2種のラジカル重合性化合物の組み合わせを再現したものに該当する。
〈比較例3〉
SR351Sの質量を36.5質量部、FX−AO−MOの質量を50.5質量部とし、さらに増感剤としての2−イソプロピルチオキサントン(2ITX)3質量部を配合したこと以外は比較例2と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。
〈比較例4〉
(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物に代えて、トリプロピレングリコールジアクリレート(TPGDA)75質量部と、N−ビニルカプロラクタム(NVCL)15質量部を、ラジカル重合性化合物として配合したこと以外は実施例1と同様にして、光硬化性クリアインクを調製した。
この比較例4は、特許文献1の実施例において実際に組み合わせて効果を検証している、2種のラジカル重合性化合物の組み合わせを再現したものに該当する。
〈黄変の有無〉
各実施例、比較例で調製した光硬化性クリアインクを、ピエゾ式のインクジェットプリンタに使用して、用紙の表面にトナーで形成したシアンベタ画像の上に印刷した。
次いで、LEDランプ〔フォセオンテクノロジー(Phoseon Technology)社製のFire JetFJ200〕を用いて、実測ピーク照度:7.2W/cm、積算光量:1J/cmの条件で紫外線を照射して光硬化させて、クリアインク層を形成した。
そして、シアンベタ画像の、クリアインク層を重ねて形成した箇所と、形成していない箇所のLab値を、日本電色工業(株)製のハンディ型分光色差計NF777を用いて測定して、色差ΔEを求めた。そして下記の基準で、光硬化後の黄変の有無を評価した。
×:ΔEは5以上であった。黄変あり、不良。
○:ΔEは5未満であった。黄変なし、良好。
〈硬化状態の評価〉
各実施例、比較例で調製した光硬化性クリアインクを、ピエゾ式のインクジェットプリンタに使用して、用紙の表面にトナーで形成した黒ベタ画像の上に印刷した。
次いで、黄変の有無の評価で使用したのと同じLEDランプを用いて、実測ピーク照度:7.2W/cm、積算光量:1J/cmの条件で紫外線を照射して光硬化させて、クリアインク層を形成した。
そして、光照射直後のクリアインク層の上に、同じ用紙の裏面を重ね合わせた状態で、1kgの錘を30秒間、載置したのち、2枚の用紙を剥離し、クリアインク層の上に重ねていた用紙の裏面を観察した。そして、下記の基準で、クリアインク層の硬化状態の良否を評価した。
×:光硬化性クリアインクが、用紙の裏面にベタ状に裏移りしていた。クリアインク層の硬化状態は不良。
△:光硬化性クリアインクが、用紙の裏面に斑点状に裏移りしていた。クリアインク層の硬化状態は中間レベル。
○:光硬化性クリアインクは、用紙の裏面にごく僅かに付着していた程度であった。クリアインク層の硬化状態は良好。
◎:光硬化性クリアインクは、用紙の裏面には全く付着していなかった。クリアインク層の硬化状態はきわめて良好。
〈吐出安定性評価〉
各実施例、比較例で調製した光硬化性クリアインクを、ピエゾ式のインクジェットプリンタに使用して、用紙の表面に罫線を形成し、観察して、下記の基準で吐出安定性を評価した。
×:インク滴が飛び散って、罫線の直線部分に大きな乱れが見られたり、全く直線にならなかったりした。吐出安定性は不良。
△:罫線の直線部分に若干の乱れはあったものの、罫線を形成できた。吐出安定性は中間レベル。
○:罫線を、隅々まできれいに形成できた。吐出安定性は良好。
以上の結果を、表2〜表5に示す。
Figure 2019065214
Figure 2019065214
Figure 2019065214
Figure 2019065214
表5の比較例1の結果より、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物のうち(B)のラジカル重合性モノマーを配合しなかった場合には、光硬化性クリアインクが高粘度になって、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下することが判った。また、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度が不足して、クリアインク層が十分に硬化されないことも判った。
比較例2の結果より、(B)のラジカル重合性モノマーを、特許文献2の実施例において効果を検証している、(A)以外のラジカル重合性化合物と併用した場合には、吐出安定性は良好であった。しかし、やはりLED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度が不足して、クリアインク層が十分に硬化されないことが判った。
比較例3の結果より、比較例2のラジカル重合性化合物の組み合わせに、さらに増感剤を配合した場合には、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度を向上して、クリアインク層を十分に硬化きるものの、黄変を生じることが判った。
さらに、比較例4の結果より、特許文献1の実施例において効果を検証している2種のラジカル重合性化合物の組み合わせでは、N−ビニルカプロラクタム含むため黄変を生じることが判った。また、LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度が不足して、クリアインク層が十分に硬化されないことも判った。
これに対し、表2〜4の実施例1〜12の結果より、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物を併用することにより、
・ 光硬化性クリアインクを低粘度として良好な吐出安定性を維持しながら、
・ LED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度を高めて、クリアインク層を十分に硬化させることができ、しかも
・ 光硬化時に黄変を生じないため、下地の印刷物の本来の正しい色調を表現できるクリアインク層を形成できる
ことが判った。
また、実施例1〜5の結果より、(A)の多官能ラジカル重合性化合物としては、とくにLED等からの波長域の狭い光に対する光硬化の速度を高めて、クリアインク層を十分に硬化させる効果の点で、(A−1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートが好ましいことが判った。
また、実施例1、6〜9の結果より、(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物の質量比W/Wは1以上であるのが好ましく、3以下であるのが好ましいことが判った。
さらに、実施例1、10〜12の結果より(A)(B)の2種のラジカル重合性化合物の合計の配合割合は、ラジカル重合性化合物の総量中の70質量%以上、とくに85質量%以上であるのが好ましいことが判った。

Claims (4)

  1. ラジカル重合性化合物、および光ラジカル重合開始剤を含み、前記ラジカル重合性化合物は、
    (A) 式(1):
    Figure 2019065214
    で表されるトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート、式(2):
    Figure 2019065214
    〔式中、Rは水素原子、またはアクリロイル基を示す。〕
    で表されるジペンタエリスリトールアクリレート、および官能基数が5以上でかつガラス転移温度Tgが80℃以上のウレタン(メタ)アクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種の多官能ラジカル重合性化合物、ならびに
    (B) 式(3):
    Figure 2019065214
    〔式中、Rは水素原子または1価の有機基を示す。〕
    で表されるラジカル重合性モノマー、
    を少なくとも含んでいる光硬化性クリアインク。
  2. 前記(A)の多官能ラジカル重合性化合物は、前記式(1)のトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートであり、前記(B)のラジカル重合性モノマーは、前記式(3)中のRがメチル基である2−アリルオキシメチルアクリル酸メチルである請求項1に記載の光硬化性クリアインク。
  3. 前記(A)の多官能ラジカル重合性化合物の質量Wと、前記(B)のラジカル重合性モノマーの質量Wとの質量比W/Wは1以上、3以下である請求項1または2に記載の光硬化性クリアインク。
  4. 前記(A)の多官能ラジカル重合性化合物と、前記(B)のラジカル重合性モノマーの合計の割合は、前記ラジカル重合性化合物の総量中の70質量%以上である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の光硬化性クリアインク。
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