JP2023023332A - インクセット、ガラス製品およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】ガラス基材上に、高い密着性を有するプライマ層を形成できる上、プライマ層上に、色味の再現性や精細性に優れた着色層を形成できるインクセット、当該インクセットを用いて、ガラス基材上に、高い密着性を有する上、色味の再現性や精細性に優れた文字や模様が印刷されたガラス製品、およびその製造方法を提供する。【解決手段】インクセットは、アミノ基含有シランカップリング剤と水酸基含有(メタ)アクリレートとを含むプライマインクと、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを含む着色インクとを含む。ガラス製品は、ガラス基材上に、プライマインクからなるプライマ層と着色インクからなる着色層とが順に積層された。ガラス製品の製造方法は、プライマインクを印刷して未硬化の前駆層を形成し、次いで着色インクを印刷して未硬化の前駆層を積層したのち、両層を硬化反応させる。【選択図】なし

Description

本発明は、とくにガラス瓶等のガラス基材の表面に文字や模様などを印刷するのに適したインクセット、当該インクセットを用いてガラス基材の表面に文字や模様などが印刷されたガラス製品、ならびにその製造方法に関するものである。
飲料用や食品用のガラス瓶などには、商品名等の文字や模様などを印刷した紙ラベルを貼り付けたり、あるいは文字や模様などを印刷したシュリンクフィルムを巻き付け、熱収縮させて密着させたりするのが一般的である。
しかし近時、リサイクル等の観点で、紙ラベルやシュリンクフィルムを省略して、ガラス瓶の表面に直接に、文字や模様などを印刷することが求められつつある。
なおこれまでも、比較的簡単で色数の少ない文字や模様などであれば、スクリーン印刷法等によって、ガラス瓶の表面に直接に印刷することもあった。
ところがスクリーン印刷法等の従来の印刷法では、紙ラベルやシュリンクフィルムへの印刷と同等程度の、多色でかつ複雑な文字や模様などを印刷することは困難であった。
また、スクリーン印刷法等の従来の印刷法は所定の原版を必要とし、きまった絵柄を大量に印刷するのには適しているものの、多品種で少量の印刷や頻繁な絵柄の変更などには適していなかった。
これに対し、原版を必要とせずコンピュータ内で作製したデータをもとに直接に印刷が可能なインクジェット印刷法によれば、紙ラベル等への印刷と同等程度の、多色でかつ複雑な文字や模様などを印刷することが可能である。
またインクジェット印刷法によれば、多品種で少量の印刷や頻繁な絵柄の変更などに対応することも容易である。
しかしながら従来のインクジェットインクは、ガラス瓶の表面に対する密着性、とくに飲料等を瓶詰めするに先立ってガラス瓶を洗浄する際の温水や水、あるいは食品等を瓶詰後にガラス瓶ごとレトルト処理する際の温水などに対する耐性が十分でない。
そのため、ガラス瓶等のガラス基材に対する密着性に優れた文字や模様などを印刷しうるインクジェットインクについて、種々検討されている(たとえば特許文献1等参照)。
特開2020-055901号公報 特開2016-190959号公報
特許文献1には、光ラジカル重合開始剤とラジカル重合性成分とを含み、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって硬化反応(ラジカル重合反応)する、活性エネルギー線硬化型のインクジェットインクが記載されている。
そしてインクジェットインクの硬化物の、ガラス基材に対する密着性を向上させるために、
・ ラジカル重合性成分として、所定のガラス転移温度を有する脂環式単官能(メタ)アクリレートと水酸基含有単官能(メタ)アクリレートとを併用したり、
・ さらにシランカップリング剤を配合したり
することが検討されている。
また特許文献1には、上記インクジェットインクをガラス基材の表面に印刷し、硬化反応させてプライマ層を形成した上に、任意の、活性エネルギー線硬化型の着色インクを用いて文字や模様などの着色層を印刷することも記載されている。
かかる構成によれば、たとえばプライマ層を白色等に着色することにより、基本的に透明ないし半透明で、下地の色味の影響を受けやすい着色インクによる着色層の、色味の再現性を向上できることが期待される。
しかし発明者の検討によると、特許文献1に記載されているように、先にプライマインクを印刷し、硬化反応させてプライマ層を形成した上に、着色インクを用いて着色層を印刷したのでは、プライマ層に対する着色層の密着性が不十分になる場合がある。
プライマ層に対する着色層の密着性を向上するためには、まずガラス基材の表面に、プライマインクを用いてプライマ層の未硬化の前駆層(以下「プライマ前駆層」と略記する場合がある。)を形成する。
次いでその上に、着色インクを用いて着色層の未硬化の前駆層(以下「着色前駆層」と略記する場合がある。)を形成したのち、両前駆層に活性エネルギー線を照射して同時に硬化反応させるのが望ましい。
しかし、特許文献1に記載のインクジェットインクをプライマインクとして用いて、任意の着色インクと組み合わせた場合、上記の手順では、着色層の色味を十分に再現できなかったり、着色層を構成する文字や模様などの精細性が低下したりすることがある。
これは、プライマ前駆層の上に印刷した着色前駆層を形成する着色インクが、両前駆層の硬化反応時に、プライマ前駆層を形成するプライマインクと混ざり合って色味が変化したり、プライマインクに滲んで境界が不明瞭になったりするのが原因と考えられる。
特許文献2には、白色またはクリアのプライマインクと、着色インクとのインクセットを用いること、当該プライマインクと着色インクの滲みを防いで着色層の精細性を高めるために、プライマインクと着色インクとで表面張力を違えることが記載されている。
また特許文献2には、かかるインクセットを用いて、ガラス基材の表面に印刷が可能であることも記載されている。
しかし発明者の検討によると、特許文献2のインクセットのプライマインクは、ガラス基材の表面に対する密着性を確保することについては何ら考慮されていない。
そのため、当該プライマインクからなるプライマ層の、ガラス基材の表面に対する密着性は不十分であり、ガラス基材の表面に、高い密着性を有するプライマ層を形成することはできない。
本発明の目的は、ガラス基材の表面に対して高い密着性を有するプライマ層を形成できる上、当該プライマ層上に、色味の再現性や精細性に優れた着色層を形成できるインクセットを提供することにある。
また本発明の目的は、かかるインクセットを用いて、ガラス基材の表面に、高い密着性を有する上、色味の再現性や精細性に優れた文字や模様などが印刷されたガラス製品と、その製造方法とを提供することにある。
本発明は、
(A) アミノ基含有シランカップリング剤、およびラジカル重合性成分としての水酸基含有(メタ)アクリレートを含み、活性エネルギー線硬化性を有するプライマインク、ならびに
(B) ラジカル重合性成分としての2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを含み、活性エネルギー線硬化性を有する少なくとも1色の着色インク、
を含むインクセットである。
また本発明は、ガラス基材の表面に、前記本発明のインクセットのうち前記プライマインクからなるプライマ層と、前記着色インクからなる着色層とが順に積層されてなるガラス製品である。
さらに本発明は、前記本発明のガラス製品の製造方法であって、
前記ガラス基材の表面に、前記プライマインクを、インクジェット印刷法によって印刷して、前記プライマ層の未硬化の前駆層を形成する工程、
形成した前記前駆層の上に、前記着色インクを、インクジェット印刷法によって印刷して、前記着色層の未硬化の前駆層を形成する工程、および
前記両前駆層に活性エネルギー線を照射して、当該両前駆層を形成する前記プライマインクおよび前記着色インクを硬化反応させることで、前記プライマ層および前記着色層を形成する工程、
を含むガラス製品の製造方法である。
本発明によれば、ガラス基材の表面に対して高い密着性を有するプライマ層を形成できる上、当該プライマ層上に、色味の再現性や精細性に優れた着色層を形成できるインクセットを提供することができる。
また本発明によれば、かかるインクセットを用いて、ガラス基材の表面に、高い密着性を有する上、色味の再現性や精細性に優れた文字や模様などが印刷されたガラス製品と、その製造方法とを提供することができる。
《インクセット》
前述したように本発明のインクセットは、
(A) アミノ基含有シランカップリング剤、およびラジカル重合性成分としての水酸基含有(メタ)アクリレートを含み、活性エネルギー線硬化性を有するプライマインク、ならびに
(B) ラジカル重合性成分としての2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを含み、活性エネルギー線硬化性を有する少なくとも1色の着色インク、
を含むことを特徴とするものである。
上記インクセットのうち(A)のプライマインクに含まれるアミノ基含有シランカップリング剤は、同一分子中に加水分解性基としてのSi-OR基とアミノ基とを有するシラン化合物であって、このうちSi-OR基は、ガラス基材の表面に対して高い反応性を有する。
すなわちSi-OR基は、空気中の水分あるいはガラス表面の水分と反応し、加水分解してSi-OH基となり、このSi-OH基が、プライマ前駆層中で、ガラス基材の表面との間に水素結合を生じ、さらに硬化反応時には水素結合が脱水縮合反応して、硬化反応後のプライマ層中で、上記ガラス基材との間により強い化学結合を生じる場合もある。
またアミノ基は、ラジカル重合性成分に対して高い親和性を有し、中でも水酸基含有(メタ)アクリレートとは、分子中の水酸基との間で水素結合を生じる。
そのため、ガラス基材の表面にプライマインクを印刷すると、印刷されたプライマ前駆層中で、アミノ基含有シランカップリング剤が、ガラス基材との界面に偏在した状態で、硬化反応後のプライマ層の、ガラス基材の表面に対する密着性を高める働きをする。
また(B)の着色インクに含まれる2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートは硬化速度が高いため、プライマ前駆層の上に印刷した着色前駆層を形成する着色インクの硬化速度を高める働きをする。
そのため着色インクを、両前駆層の硬化反応時にできるだけ速やかに固形化でき、当該着色インクがプライマインクと混ざり合って色味が変化したり、滲んで境界が不明瞭になったりするのを抑制することができる。
また、着色インクがプライマ前駆層とガラス基材との界面まで沈み込むと、当該界面に偏在したアミノ基含有シランカップリング剤の濃度が低下し、その働きが阻害されて、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性が低下する場合がある。
これに対し(B)の着色インクは、上記のように速やかに固形化するため、プライマ前駆層とガラス基材との界面まで沈み込んでアミノ基含有シランカップリング剤の働きを阻害することがなく、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を低下させることもない。
したがって、上記(A)のプライマインクと(B)の着色インクとを含む本発明のインクセットによれば、ガラス基材の表面に対して高い密着性を有するプライマ層を形成できる上、当該プライマ層上に、現状よりも色味の再現性や精細性に優れた着色層を形成できる。
〈(A) プライマインク〉
上述したようにプライマインクは、アミノ基含有シランカップリング剤と、ラジカル重合性成分としての水酸基含有(メタ)アクリレートとを含んでいる。
(アミノ基含有シランカップリング剤)
アミノ基含有シランカップリング剤としては、シランを基本骨格とする同一分子中に、前述したように、
・ ゾル-ゲル反応によって加水分解してガラス基材の表面と反応する加水分解性基と、
・ ラジカル重合性成分との高い親和性を有し、なおかつ水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基と反応するアミノ基と、
を有する種々のシラン化合物が使用可能である。
アミノ基含有シランカップリング剤の具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記の各種化合物等が挙げられる。
N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(ビニルベンジル)-2-アミノエチル-3-アミノプロピルトリメトキシシランの塩酸塩。
これらアミノ基含有シランカップリング剤の、1種または2種以上を用いることができる。
中でもアミノ基含有シランカップリング剤としては、分子中にフェニル基を有するアミノ基含有シランカップリング剤、とくにN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランが好ましい。
一般に、活性エネルギー線硬化性を有するインクからなる前駆層は、硬化反応時に体積収縮する傾向があり、プライマインクからなるプライマ前駆層、着色インクからなる着色前駆層も同様である。
とくにプライマ前駆層と、その上に印刷した着色前駆層とを同時に硬化反応させる際に、プライマ前駆層が大きく体積収縮すると、両層の界面に隙間を生じやすい。
そして生じた隙間に温水や水などが侵入しやすくなって、硬化後のプライマ層と着色層との間で剥離を生じやすくなる場合がある。
これに対し、分子中にフェニル基を有するアミノ基含有シランカップリング剤を選択して用いると、上記フェニル基による立体障害により、プライマ前駆層の硬化反応時の体積収縮量を小さくできる。
そして、プライマ前駆層と着色前駆層との界面に隙間が生じるのを防いで、硬化後のプライマ層と着色層との間で剥離を生じにくくすることができる。
アミノ基含有シランカップリング剤の割合は、プライマインクの総量中の0.1質量%以上、とくに0.3質量%以上であるのが好ましく、1.5質量%以下、とくに1.3質量%以下であるのが好ましい。
アミノ基含有シランカップリング剤の割合がこの範囲未満では、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を高める効果が十分に得られない場合がある。
一方、アミノ基含有シランカップリング剤の割合が上記の範囲を超える場合には、相対的にラジカル重合性成分の割合が不足して、プライマ層の膜強度が低下したり、それに伴って、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性が低下したりする場合がある。
これに対し、アミノ基含有シランカップリング剤の割合を上記の範囲とすることにより、プライマ層の膜強度の低下を抑制しながら、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を十分に高めることができる。
(ラジカル重合性成分)
ラジカル重合性成分としては、前述したように、少なくとも水酸基含有(メタ)アクリレートを用いる。
水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、分子中に水酸基を有する種々の(メタ)アクリレートが使用可能である。
水酸基含有(メタ)アクリレートの具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記の各種化合物等が挙げられる。
4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)、2-ヒドロキシエチルアクリレート(2HEA)、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2HPA)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2HEMA)、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(2HPMA)。
これら水酸基含有(メタ)アクリレートの、1種または2種以上を用いることができる。
とくに、4-ヒドロキシブチルアクリレートが好ましい。
4-ヒドロキシブチルアクリレートは架橋鎖が長いため、プライマ層の柔軟性を向上して、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性をさらに高めることができる。
またラジカル重合性成分としては、上記水酸基含有(メタ)アクリレートとともに、第二のラジカル重合性成分として、アミン変性(メタ)アクリレートを併用してもよい。
アミン変性(メタ)アクリレートとしては、たとえば(メタ)アクリレートのモノマないしオリゴマをアミノ基で変性した構造を有する、ラジカル重合可能な種々の化合物を用いることができる。
中でもアミン変性(メタ)アクリレートとしては、水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応性を高めて、プライマインクの硬化開始速度や硬化速度を高めるために、官能基がアクリル基であるアミン変性アクリレートが好ましい。
アミン変性(メタ)アクリレートの具体例としては、これに限定されないが、いずれもアミン変性アクリレートである、サートマー社製のCN371、CN373、CN383、CN386等が挙げられ、とくにCN371が好ましい。
これらアミン変性(メタ)アクリレートの、1種または2種以上を用いることができる。
またラジカル重合性成分としては、2-フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート等の、ラジカル重合可能な種々の第三のラジカル重合性成分を併用することもできる。
これら第三のラジカル重合性成分の、1種または2種以上を用いることができる。
水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAは、ラジカル重合性成分の総量中の8質量%以上、とくに18質量%以上であるのが好ましい。
水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAがこの範囲未満では、前述した、アミノ基含有シランカップリング剤との反応によって、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を高める効果が十分に得られない場合がある。
これに対し、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAを上記の範囲とすることによってアミノ基含有シランカップリング剤との反応性を高めて、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性をより一層高めることができる。
なお、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAの上限はとくに限定されず、ラジカル重合性成分の全量、すなわちラジカル重合性成分の総量中の100質量%が水酸基含有(メタ)アクリレートであってもよい。
ただし、アミン変性(メタ)アクリレート等の第二、第三のラジカル重合性成分を併用する場合には、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAは、ラジカル重合性成分の総量中の99質量%以下であるのが好ましい。
第二のラジカル重合性成分としてのアミン変性(メタ)アクリレートの割合RNMAは、ラジカル重合性成分の総量中の0.5質量%以上、とくに1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに2.5質量%以下であるのが好ましい。
アミン変性(メタ)アクリレートはプライマインクの増感剤としても機能して、とくに硬化後のプライマ層の、温水などに対する耐性を向上し、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を高める働きをする。
しかし、アミン変性(メタ)アクリレートの割合RNMAが上記の範囲未満ではかかる効果が十分に得られないため、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を向上する効果が十分に得られない場合がある。
一方、アミン変性(メタ)アクリレートの割合RNMAが上記の範囲を超える場合には、相対的に、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合が不足して、却って、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性が低下する場合がある。
これに対しアミン変性(メタ)アクリレートの割合RNMAを上記の範囲とすれば、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性を、より一層向上することができる。
また、2-フェノキシエチルアクリレート等の第三のラジカル重合性成分の割合は、水酸基含有(メタ)アクリレート、およびアミン変性(メタ)アクリレートの残量である。
すなわち水酸基含有(メタ)アクリレート、アミン変性(メタ)アクリレートを、それぞれ上記所定の割合で配合した際に、ラジカル重合性成分の総量が100質量%となるように、第三のラジカル重合性成分の割合を設定すればよい。
また、水酸基含有(メタ)アクリレート、およびアミン変性(メタ)アクリレートの合計の割合が、ラジカル重合性成分の総量の100質量%である場合には、第三のラジカル重合性成分を省略すればよい。
(着色剤)
プライマインクは、着色層の色味の再現性を向上するために、白色や乳白色、淡黄色などの、淡色系の任意の色味に着色することができ、とくに色味の再現性の点で白色に着色するのが好ましい。
プライマインクを白色に着色する着色剤としては、種々の白色の顔料、染料等を用いることができ、とくにプライマ層の耐光性を向上すること等を考慮すると白色顔料が好ましい。
白色顔料としては、たとえば酸化チタン、酸化亜鉛、および酸化アンチモンからなる群より選ばれた少なくとも1種の白色金属酸化物等が挙げられ、とくに着色力や隠ぺい力、さらには耐候性等にすぐれた酸化チタンが好ましい。
白色顔料は、プライマインク中での分散安定性を向上するために、表面を処理してもよい。
また白色顔料は、任意の分散媒中に分散させた液状の顔料分散体の状態で、プライマインクの製造に用いてもよい。
顔料分散体には、白色顔料を良好に分散させるために分散剤等を添加してもよい。
分散剤としては、たとえば高分子系分散剤、界面活性剤等の種々の分散剤が、いずれも使用可能である。
また分散媒としては、任意の有機溶剤や、あるいは各種のラジカル重合性成分などが、いずれも使用可能であり、とくに前述した第三のラジカル重合性成分の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
なお分散媒としてラジカル重合性成分を用いる場合、先に説明した水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAなどの、ラジカル重合性成分の割合は、当該分散媒としてのラジカル重合性成分を考慮に入れて求めた値でもって表すこととする。
白色顔料等の着色剤の割合は、当該着色剤の種類やプライマ層の色味等に応じて、任意に設定することができる。
また、ガラス製品のもとになるガラス基材自体を白色や乳白色、淡黄色などの、淡色系の任意の色味に着色すれば、プライマインクは無色透明としても、着色層の色味の再現性を確保できるため、その場合にはプライマインクの着色剤を省略することもできる。
(光ラジカル重合開始剤)
たとえば照射する活性エネルギー線が紫外線等の光である場合、活性エネルギー線硬化性としての光硬化性をプライマインクに付与するために、当該プライマインクは、上記各成分に加えて、さらに光ラジカル重合開始剤を含んでいるのが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、任意の波長の光の照射によってラジカルを発生させて、ラジカル重合性成分をラジカル重合反応させることができる種々の化合物が、いずれも使用可能である。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記の各種化合物等が挙げられる。
ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4′-ジクロロベンゾフェノン、4,4′-ビスジエチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4,4′-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、4-メトキシ-4′-ジメチルアミノベンゾフェノン、特開2008-280427号公報の一般式(1)で表されるベンゾフェノン化合物等のベンゾフェノン類またはその塩。
チオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン、4-イソプロピルチオキサントン、イソプロポキシクロロチオキサントン、特開2008-280427号公報の一般式(2)で表されるチオキサントン化合物等のチオキサントン類またはその塩。
エチルアントラキノン、ベンズアントラキノン、アミノアントラキノン、クロロアントラキノン等のアントラキノン類。
アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシフェニルアセトフェノン、4′-ジメチルアミノアセトフェノン、ジメチルヒドロキシアセトフェノン等のアセトフェノン類。
2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(m-メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2-ジ(p-メトキシフェニル)-5-フェニルイ
ミダゾール2量体、2-(2,4-ジメトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール2量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール2量体等のイミダゾール類。
ベンジルジメチルケタール、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ‐1‐(4-モルホリノフェニルブタン)-1-オン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、9,10-フェナンスレンキノン、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル等のベンゾイン類。
9-フェニルアクリジン、1,7-ビス(9,9′-アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体。
ビスアシルフォスフィンオキサイド、ビスフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等のフォスフィンオキサイド類。
2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-{4-[4-(2-ヒドキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル}2-メチルプロパン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルフォリン-4-イル-フェニル)ブタン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、メチルベンゾイルフォーメート、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,4,6-トリハロメチルトリアジン、ベンジル、メチルベンゾイル、ベンゾイル蟻酸メチル、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-4-モルフォリノブチロフェノン等。
これら光ラジカル重合開始剤の、1種または2種以上を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤の割合は、任意に設定することができる。
ただし、プライマインクに良好な光硬化性を付与することを考慮すると、光ラジカル重合開始剤の割合は、プライマインクの総量の0.1質量%以上、とくに1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、とくに5質量%以下であるのが好ましい。
2種以上の光ラジカル重合開始剤を併用する場合は、その合計の割合を、上記の範囲とすればよい。
(増感剤)
光硬化性のプライマインクには、必要に応じて、任意の増感剤を配合してもよい。
増感剤は、紫外線等の照射によって励起状態となり、光ラジカル重合開始剤と相互作用して、当該光ラジカル重合開始剤におけるラジカルの発生を助ける働きをする。
とくに、光源としてLEDを使用する場合には、その波長域が狭いことから、プライマインクが感度を有する波長域を広げて感度を向上する、すなわち増感するために増感剤を配合するのが好ましい。
増感剤としては、上述した光ラジカル重合開始剤のうち、たとえば2,4-ジエチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンと4-イソプロピルチオキサントンの混合物などのチオキサントン類またはその塩や、ベンゾフェノンと2,3-および4-メチルベンゾフェノンの共晶混合物、メチル-2-ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4′-メチルフェニルサルファイド、4-メチルベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン等のベンゾフェノン類またはその塩、2-エチルアントラキノン、4,4′-ビスジエチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)等が挙げられる。
また、その他の増感剤としては、たとえばエチル-4-(ジメチルアミノ)ベンゾエート、2-エチル-4-(ジメチルアミノベンゾエート)等のベンゾエート化合物、ナフタレンベンゾオキサゾリル誘導体、チオフェンベンゾオキサゾリル誘導体、スチルベンベンゾオキサゾリル誘導体、クマリン誘導体、スチレンビフェニル誘導体、ピラゾロン誘導体、スチルベン誘導体、ベンゼン及びビフェニルのスチリル誘導体、ビス(ベンザゾールー2-イル)誘導体、カルボスチリル、ナフタルイミド、ジベンゾチオフェン-5,5’-ジオキシドの誘導体、ピレン誘導体、ピリドトリアゾール、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。
増感剤としては、以上で説明した各種の増感剤の中から、光源からの光の波長域、および光ラジカル重合開始剤の吸収波長域に応じて増感に適した吸収波長域を有する化合物の、1種または2種以上を用いることができる。
増感剤の割合は、任意に設定することができる。
ただし、増感剤による増感効果を良好に発現させることを考慮すると、増感剤の割合は、プライマインクの総量の0.1質量%以上、とくに0.5質量%以上であるのが好ましく、5質量%以下、とくに3質量%以下であるのが好ましい。
2種以上の増感剤を併用する場合は、その合計の割合を、上記の範囲とすればよい。
(ラジカル重合禁止剤)
プライマインクには、必要に応じてラジカル重合禁止剤を配合してもよい。
ラジカル重合禁止剤は、プライマインクを貯蔵中、あるいはパッケージに封入して保管中などに、ラジカル重合性成分がラジカル重合反応してプライマインクがゲル化するのを防止することができる。
ラジカル重合禁止剤としては、かかる働きをする種々の化合物がいずれも使用可能である。
ラジカル重合禁止剤としては、たとえばニトロソアミン系化合物、ハイドロキノン類、カテコール類、ヒンダードアミン類、フェノール類、フェノチアジン類、縮合芳香族環のキノン類等が挙げられる。
またニトロソアミン系化合物としては、たとえばN-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアンモニウム塩(アンモニウム-N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン)、N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩(アルミニウム-N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミン)等が挙げられる。
ハイドロキノン類としては、たとえばハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、1-o-2,3,5-トリメチロールハイドロキノン、2-tert-ブチルハイドロキノン等が挙げられる。
カテコール類としては、たとえばカテコール、4-メチルカテコール、4-tert-ブチルカテコール等が挙げられる。
ヒンダードアミン類としては、重合禁止効果を有する任意のヒンダードアミン類等が挙げられる。
フェノール類としては、たとえばフェノール、ブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、ピロガロール、没食子酸アルキルエステル、ヒンダードフェノール類等が挙げられる。
フェノチアジン類としては、たとえばフェノチアジン等が挙げられる。
さらに縮合芳香族環のキノン類としては、たとえばナフトキノン等が挙げられる。
これらラジカル重合禁止剤の、1種または2種以上を用いることができる。
ラジカル重合禁止剤の割合は、プライマインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.05質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに0.5質量%以下であるのが好ましい。
(その他)
プライマインクには、さらに各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、たとえばプライマインクの、ガラス基材の表面に対する濡れ性、密着性等を調整するための表面調整剤等が挙げられる。
表面調整剤の具体例としては、これに限定されないが、いずれもシリコーン系である、ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK(登録商標)307、310、320、330、333、342、377、UV3510等が挙げられ、とくにUV3510が好ましい。
表面調整剤の割合は、プライマインクの総量の0.01質量%以上、とくに0.05質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに0.5質量%以下であるのが好ましい。
またプライマインクには、たとえば上記の各成分を溶解または分散させるために、任意の有機溶剤を配合することも考えられるが、有機溶剤を配合したプライマインクは乾燥に時間がかかるため、ガラス製品の生産性が低下する場合がある。
一方、前述したラジカル重合性成分は、いずれも硬化前は印刷環境温度で液状を呈するため、有機溶剤を省略することが可能である。
そのためプライマインクは、有機溶剤を全く含まない、あるいは顔料分散体中に分散媒として有機溶剤を含む場合はそれ以外の有機溶剤を含まない、無溶剤系とするのが好ましい。
プライマインクは、上記の各成分を、それぞれ所定の割合で配合し、撹拌して調製することができる。
なおプライマインクは、光硬化性には限定されず、電子線等の任意の活性エネルギー線に対して硬化性を有するプライマインクであってもよい。
〈(B) 着色インク〉
着色インクは、前述したように、ラジカル重合性成分としての2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを含んでいる。
(ラジカル重合性成分)
ラジカル重合性成分である2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートとしては、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(以下「VEEA」と略記する場合がある。)、および/または2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルメタクリレート(以下「VEEM」と略記する場合がる。)が挙げられる。
またラジカル重合性成分としては、上記2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートとともに、分子中にN基を含むN基含有ラジカル重合性成分を、第二のラジカル重合性成分として併用してもよい。
N基含有ラジカル重合性成分としては、たとえばウレタン(メタ)アクリレート、アミン変性(メタ)アクリレート、およびアクリルアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種が挙げられる。
これらN基含有ラジカル重合性成分は、分子中のN基が、プライマインク中の水酸基含有(メタ)アクリレートの水酸基との間で水素結合を生じるため、プライマ層に対する着色層の密着性を高めることができる。
とくにウレタン(メタ)アクリレートは、着色層に柔軟性を付与できるため、当該着色層を割れにくくするとともに、プライマ層に対する着色層の密着性をより一層高めることもできる。
ウレタン(メタ)アクリレートとしては、たとえば分子中にイソホロンジイソシアネート構造を有するイソシアネート、カプロラクトン系ポリオールを含むポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートの反応生成物を用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、重量平均分子量Mwが1000以上、10000以下であるのが好ましい。
重量平均分子量Mwがこの範囲未満であるウレタン(メタ)アクリレートでは、硬化反応後の着色層の膜強度が低下して、当該着色層による文字や模様などの耐擦過性が低下する場合がある。
一方、重量平均分子量Mwが上記の範囲を超えるウレタン(メタ)アクリレートでは、着色インクの粘度が高くなりすぎ、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下して、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる場合がある。
これに対し、重量平均分子量Mwが上記の範囲であるウレタン(メタ)アクリレートを用いることにより、着色インクの粘度の上昇と吐出安定性の低下とを抑制しながら、着色層による文字や模様などの耐擦過性をさらに向上することができる。
重量平均分子量が上記の範囲であるウレタン(メタ)アクリレートを合成するためには、イソシアネート、ポリオール、および水酸基含有(メタ)アクリレートの種類や割合を調整すればよい。
またウレタン(メタ)アクリレートは、着色インクの硬化物である着色層に三次元網目状構造を導入して、より強固な模様層を形成するために2官能以上、つまり分子中にアクリル基を2つ以上有しているのが好ましい。
なお2官能のウレタン(メタ)アクリレートでも三次元網目状構造を形成できるが、3官能のものよりも硬化速度が低いため架橋密度が不足し、着色層の膜強度が低下して、当該着色層による文字や模様などの耐擦過性を十分に確保できない場合がある。
一方、4官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、硬化速度は高いものの着色インクの粘度が高くなりすぎ、インクジェットプリンタのノズルからの吐出安定性が低下して、ノズルの目詰まり等を生じやすくなる場合がある。
これに対し3官能のウレタン(メタ)アクリレートは硬化速度が高い上、4官能以上のものよりも粘度が低いため、着色インクの粘度の上昇と吐出安定性の低下を抑制しながら、着色層による文字や模様などの耐擦過性をさらに向上することができる。
そのためウレタン(メタ)アクリレートは、とくに3官能であるのが好ましい。
2官能のウレタン(メタ)アクリレートは、イソシアネートとしてイソホロンジイソシアネートを用いて合成することができる。
また、3官能以上のウレタン(メタ)アクリレートは、たとえばイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体等の、3官能以上、つまり3つ以上のイソシアネート基を有する変性体を用いて合成することができる。
ポリオールとしては、カプロラクトン系ポリオールを用いる。
カプロラクトン系ポリオールとしては、カプロラクトンを出発原料とする、任意の分子量を有し、かつ好ましくは2官能、つまり2個の水酸基を有する種々のカプロラクトン系ポリオールを用いることができる。
また、カプロラクトン系ポリオールとともに、他のポリオールを併用してもよい。
他のポリオールとしては、たとえばエチレングリコール、ジエチレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール等の1種または2種以上を用いることができる。
さらに水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、カプロラクトン変性-2-ヒドロキシエチルメタクリレートの1種または2種以上を用いることができる。
ウレタン(メタ)アクリレートの具体例としては、これに限定されないが、たとえばイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2-ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物(3官能)であって、前述した範囲内の任意の重量平均分子量Mwを有するもの等が挙げられる。
これらウレタン(メタ)アクリレートの、1種または2種以上を用いることができる。
アミン変性(メタ)アクリレートとしては、プライマインクで使用したのと同じアミン変性(メタ)アクリレートを用いることができる。
すなわちアミン変性(メタ)アクリレートとしては、たとえば(メタ)アクリレートのモノマないしオリゴマをアミノ基で変性した構造を有する、ラジカル重合可能な種々の化合物を用いることができる。
中でも、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートとの反応性を高めて、着色インクの硬化開始速度や硬化速度を高めるために、官能基がアクリル基であるアミン変性アクリレートが好ましい。
アミン変性(メタ)アクリレートの具体例としては、これに限定されないが、いずれもアミン変性アクリレートである、サートマー社製のCN371、CN373、CN383、CN386等が挙げられ、とくにCN371が好ましい。
アクリルアミド化合物の具体例としては、これに限定されないが、たとえば下記の各種化合物等が挙げられる。
アクリルアミド、N-メチルアクリルアミド、N-エチルアクリルアミド、N-プロピルアクリルアミド、N-ブチルアクリルアミド、N-sec-ブチルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-シクロヘキシルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-[3-(ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩、4-アクリロイルモルホリン、N-イソプロピルアクリルアミド、ジメチルアミノプロピルアクリルアミド塩化メチル4級塩、1-アクリロイルピロリジン、N-メチロールアクリルアミド、N-(メトキシエチル)アクリルアミド、N-(1,1-ジメチル-3-オキソブチル)アクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド。
これらアクリルアミドの、1種または2種以上を用いることができる。
N基含有ラジカル重合性成分としては、前述したように着色層に柔軟性を付与できるウレタン(メタ)アクリレートを用い、さらにアミン変性(メタ)アクリレート、およびアクリルアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種を併用するのが好ましい。
またラジカル重合性成分としては、2-フェノキシエチルアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート等の、ラジカル重合可能な種々の第三のラジカル重合性成分を併用することもできる。
これら第三のラジカル重合性成分の、1種または2種以上を用いることができる。
2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートの割合RVEEは、ラジカル重合性成分の総量中の8質量%以上、とくに12質量%以上であるのが好ましく、70質量%以下、とくに60質量%以下であるのが好ましい。
2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートの割合RVEEがこの範囲未満では、着色インクを速やかに固形化できない場合がある。
そして、着色インクがプライマインクと混ざり合って色味が変化したり、滲んで境界が不明瞭になったりするのを十分に抑制できない場合がある。
また、着色インクがプライマ前駆層とガラス基材との界面まで沈み込んでアミノ基含有シランカップリング剤の働きを阻害する結果、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性が低下する場合もある。
一方、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートの割合RVEEが上記の範囲を超える場合には、相対的にN基含有ラジカル重合性成分の割合が不足して、プライマ層に対する着色層の密着性が低下する場合がある。
これに対し2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートの割合RVEEを上記の範囲とすれば、プライマ層に対する着色層の密着性を低下させることなしに、着色インクの硬化速度を高めることができる。
そのため、プライマ前駆層の上に印刷した着色前駆層を形成する着色インクを、両前駆層の硬化反応時にできるだけ速やかに固形化させて、着色インクがプライマインクと混ざり合って色味が変化したり、滲んで境界が不明瞭になったりするのを抑制できる。
また、着色インクがプライマ前駆層とガラス基材との界面まで沈み込むのを防いで、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性が低下するのを抑制することもできる。
第二のラジカル重合性成分としてのN基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは、ラジカル重合性成分の総量中の80質量%以下、とくに75質量%以下であるのが好ましい。
N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRがこの範囲を超える場合には、相対的に2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートの割合が不足して、着色インクを速やかに固形化できない場合がある。
そして、着色インクがプライマインクと混ざり合って色味が変化したり、滲んで境界が不明瞭になったりするのを十分に抑制できない場合がある。
また、着色インクがプライマ前駆層とガラス基材との界面まで沈み込んでアミノ基含有シランカップリング剤の働きを阻害する結果、ガラス基材の表面に対するプライマ層の密着性が低下する場合もある。
N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRの下限はとくに限定されず、着色インクは、N基含有ラジカル重合性成分を含んでいない、つまりN基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRが0質量%であってもよい。
ただし、前述したプライマ層に対する着色層の密着性を高める効果を良好に発現させることを考慮すると、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは、ラジカル重合性成分の総量中の7質量%以上、とくに20質量%以上であるのが好ましい。
なお、N基含有ラジカル重合性成分の合計RTNRの割合は、当該N基含有ラジカル重合性成分として、前述した3種のうちの2種以上を併用する場合は、文字通りその合計の割合であり、1種のみを単独で用いる場合は、当該1種のみ割合である。
また、N基含有ラジカル重合性成分としてウレタン(メタ)アクリレートと、他の2種のうちの少なくとも1種とを併用する場合、当該ウレタン(メタ)アクリレートの割合RUAAは、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の1質量%以上、とくに2質量%以上であるのが好ましく、85質量%以下、とくに70質量%以下であるのが好ましい。
ウレタン(メタ)アクリレートの割合RUAAをこの範囲とすることにより、当該ウレタン(メタ)アクリレートを配合することによる、着色層に柔軟性を付与して割れにくくし、なおかつプライマ層に対する着色層の密着性を高める効果を、より一層向上できる。
また、他の2種のN基含有ラジカル重合性成分よりも総じて粘度が高い傾向があるウレタン(メタ)アクリレートの割合RUAAを上記の範囲とすることにより、着色インクの粘度の上昇を抑えて、当該着色インクの、ノズルからの吐出性を向上することもできる。
さらに、2-フェノキシエチルアクリレート等の第三のラジカル重合性成分の割合は、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、およびN基含有ラジカル重合性成分の残量である。
すなわち2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、N基含有ラジカル重合性成分を、それぞれ上記所定の割合で配合した際に、ラジカル重合性成分の総量が100質量%となるように、第三のラジカル重合性成分の割合を設定すればよい。
また、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、およびN基含有ラジカル重合性成分の合計の割合が、ラジカル重合性成分の総量の100質量%である場合には、第三のラジカル重合性成分を省略すればよい。
(着色剤)
着色剤としては、着色インクの色味に応じた各色の、種々の顔料、染料等を用いることができる。
とくに、模様層の耐光性を向上すること等を考慮すると、種々の無機顔料および/または有機顔料が好ましい。
このうち無機顔料としては、たとえば酸化鉄等の金属化合物や、あるいはコンタクト法、ファーネス法、サーマル法等の公知の方法によって製造された中性、酸性、塩基性等の種々のカーボンブラックが挙げられる。
また有機顔料としては、たとえばアゾ顔料(アゾレーキ、不溶性アゾ顔料、縮合アゾ顔料、またはキレートアゾ顔料等を含む)、多環式顔料(たとえばフタロシアニン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、アントラキノン顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ジオキサジン顔料、チオインジゴ顔料、イソインドリノン顔料、またはキノフタロン顔料等)、染料キレート(たとえば塩基性染料型キレート、酸性染料型キレート等)、ニトロ顔料、ニトロソ顔料、アニリンブラック等が挙げられる。
顔料の具体例としては、下記の各種顔料が挙げられる。
(イエロー顔料)
C.I.ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、14C、16、17、20、24、73、74、75、83、86、93、94、95、97、98、109、110、114、117、120、125、128、129、130、137、138、139、147、148、150、151、154、155、166、168、180、185、213、214
(マゼンタ顔料)
C.I.ピグメントレッド5、7、9、12、48(Ca)、48(Mn)、49、52、53、57(Ca)、57:1、97、112、122、123、149、168、177、178、179、184、202、206、207、209、242、254、255
(シアン顔料)
C.I.ピグメントブルー1、2、3、15、15:1、15:3、15:4、15:6、15:34、16、22、60
(ブラック顔料)
C.I.ピグメントブラック7
(オレンジ顔料)
C.I.ピグメントオレンジ36、43、51、55、59、61、71、74
(グリーン顔料)
C.I.ピグメントグリーン7、36
(バイオレット顔料)
C.I.ピグメントバイオレット19、23、29、30、37、40、50
顔料は、着色インクの色味に応じて、1種または2種以上を用いることができる。
たとえばカーボンブラックで黒色を表現する場合、より青黒く見せるためにシアン顔料を添加してもよい。
顔料は、着色インク中での分散安定性を向上するために、表面を処理してもよい。
また顔料は、任意の分散媒中に分散させた液状の顔料分散体の状態で、着色インクの製造に用いてもよい。
顔料分散体には、顔料を良好に分散させるために分散剤等を添加してもよい。
分散剤としては、たとえば高分子系分散剤、界面活性剤等の種々の分散剤が、いずれも使用可能である。
また分散媒としては、任意の有機溶剤や、あるいは各種のラジカル重合性成分などが、いずれも使用可能であり、とくに前述した第三のラジカル重合性成分の少なくとも1種を用いるのが好ましい。
なお分散媒としてラジカル重合性成分を用いる場合、先に説明した各種のラジカル重合性成分の割合RVEE、RTNR、RUAAなどは、当該分散媒としてのラジカル重合性成分を考慮に入れて求めた値でもって表すこととする。
顔料等の着色剤の割合は、当該着色剤の種類や着色インクの色味等に応じて、任意に設定することができる。
(光ラジカル重合開始剤)
前述したように、プライマインクを光硬化性とする場合、当該プライマインクからなるプライマ前駆層と、着色インクからなる着色前駆層とを同時に硬化反応させるためには、着色インクにも光硬化性を付与すればよい。
そのため着色インクには、上記各成分に加えて、やはり光ラジカル重合開始剤を配合するのが好ましい。
光ラジカル重合開始剤の具体例としては、プライマインクで例示した各種の光ラジカル重合開始剤が挙げられる。
中でも、プライマインクの光ラジカル重合開始剤と同じ波長域の光に対する感度を有する任意の光ラジカル重合開始剤、とくにプライマインクで使用したのと同じ光ラジカル重合開始剤を選択して用いるのが好ましい。
これら光ラジカル重合開始剤の、1種または2種以上を用いることができる。
光ラジカル重合開始剤の割合は、任意に設定することができる。
ただし、着色インクに良好な光硬化性を付与することを考慮すると、光ラジカル重合開始剤の割合は、着色インクの総量の3質量%以上、とくに5質量%以上であるのが好ましく、12質量%以下、とくに10質量%以下であるのが好ましい。
2種以上の光ラジカル重合開始剤を併用する場合は、その合計の割合を、上記の範囲とすればよい。
(増感剤)
着色インクには、プライマインクと同様に増感剤を配合してもよい。
増感剤の具体例としては、プライマインクで例示した各種の増感剤が挙げられる。
中でも、プライマインクの増感剤と同様の吸収波長域を有する任意の増感剤、とくにプライマインクで使用したのと同じ増感剤を選択して用いるのが好ましい。
これら増感剤の、1種または2種以上を用いることができる。
増感剤の割合は、任意に設定することができる。
ただし、増感剤による増感効果を良好に発現させることを考慮すると、増感剤の割合は、着色インクの総量の0.1質量%以上、とくに1質量%以上であるのが好ましく、10質量%以下、とくに5質量%以下であるのが好ましい。
2種以上の増感剤を併用する場合は、その合計の割合を、上記の範囲とすればよい。
(ラジカル重合禁止剤)
着色インクには、やはりラジカル重合禁止剤を配合してもよい。
ラジカル重合禁止剤の具体例としては、プライマインクで例示した各種のラジカル重合禁止剤が挙げられ、中でもプライマインクで使用したのと同じラジカル重合禁止剤を選択して用いるのが好ましい。
これらラジカル重合禁止剤の、1種または2種以上を用いることができる。
ラジカル重合禁止剤の割合は、着色インクの総量の0.01質量%以上、とくに0.05質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに0.5質量%以下であるのが好ましい。
(その他)
着色インクには、さらに各種の添加剤を配合してもよい。
添加剤としては、たとえば着色インクの、プライマ前駆層ないしプライマ層に対する濡れ性、密着性等を調整するための表面調整剤等が挙げられる。
表面調整剤の具体例としては、プライマインクで使用したのと同様の任意の表面調整剤の1種または2種以上を用いることができる。
表面調整剤の割合は、着色インクの総量の0.01質量%以上、とくに0.05質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに0.5質量%以下であるのが好ましい。
また着色インクには、任意の有機溶剤を配合することも考えられるが、有機溶剤を配合した着色インクは乾燥に時間がかかるため、ガラス製品の生産性が低下する場合がある。
一方、前述したラジカル重合性成分は、いずれも硬化前は印刷環境温度で液状を呈するため、有機溶剤を省略することが可能である。
そのため着色インクは、有機溶剤を全く含まない、あるいは顔料分散体中に分散媒として有機溶剤を含む場合はそれ以外の有機溶剤を含まない、無溶剤系とするのが好ましい。
着色インクは、上記の各成分を、それぞれ所定の割合で配合し、撹拌して調製することができる。
なお着色インクは、やはり光硬化性には限定されず、電子線等の任意の活性エネルギー線に対して硬化性を有する着色インクであってもよい。
本発明のインクセットは、とくにオンデマンド型の、サーマル方式やピエゾ方式のインクジェットプリンタに、好適に使用することができる。
《ガラス製品とその製造方法》
本発明のガラス製品は、ガラス瓶等のガラス基材の表面に、上記本発明のインクセットのうちプライマインクからなるプライマ層と、着色インクからなる着色層とが順に積層されてなるものである。
また本発明のガラス製品の製造方法は、
ガラス基材の表面に、プライマインクを、インクジェット印刷法によって印刷してプライマ前駆層を形成する工程、
形成したプライマ前駆層の上に、着色インクを、インクジェット印刷法によって印刷して着色前駆層を形成する工程、および
両前駆層に活性エネルギー線を照射して、当該両前駆層を形成するプライマインクおよび着色インクを硬化反応させることで、プライマ層および前記着色層を形成する工程、
を含むものである。
かかる本発明によれば、先に説明した本発明のインクセットを構成するプライマインク、および着色インクの機能によって、ガラス基材の表面に直接に、高い密着性を有する上、色味の再現性や精細性に優れた文字や模様などを印刷することができる。
なおインクジェット印刷法では、プライマインクと各色の着色インクとを、とくに一台のオンデマンド型のインクジェットプリンタに使用して順次、具体的には、まずプライマインクを用いてプライマ前駆層を形成した上に、着色インクを用いて着色前駆層を重ねるように印刷できる。
また着色インクとしては、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の3色、上記3色にブラック(K)を加えた4色、あるいはそれ以上の多色の着色インクを用いることができる。
そして、かかる多色の着色インクを、オンデマンド型のインクジェットプリンタの複数のノズルから同時に、あるいは順次、吐出させることで、プライマ前駆層上に、フルカラーからモノクロまでの任意の着色前駆層を印刷できる。
次いで、ガラス基材の表面に順に積層したプライマ前駆層と着色前駆層とを、たとえばUVランプ等の活性エネルギー線源からの活性エネルギー線(紫外線)の照射によって硬化反応させることで、ガラス製品を製造することができる。
活性エネルギー線源は、たとえばインクジェットプリンタのヘッドに組み込んだり、インクジェットプリンタとは別に用意したりできる。
ただし、着色インクの色味が変化したり、滲んで境界が不明瞭になったりするのを抑制するためには、着色前駆層の印刷後、活性エネルギー線を速やかに照射して両前駆層を硬化反応できるように、活性エネルギー線源を配置するのが好ましい。
以下に本発明を、実施例、比較例に基づいてさらに説明するが、本発明の構成は、これらの例に限定されるものではない。
〈白色顔料分散体〉
下記の各成分を、表1に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて、白色顔料分散体を調製した。
白色顔料:酸化チタン〔ルチル型、石原産業(株)製のCR-50〕
分散剤:リューブリゾール(Lubrizol)社製のソルスパース(SOLSPERSE、登録商標)32000
分散媒:第三のラジカル重合性成分である、分子中に水酸基を含有しない2-フェノキシエチルアクリレート〔サートマー社製のSR339NS〕
Figure 2023023332000001
〈プライマインク(I)〉
アミノ基含有シランカップリング剤としては、分子中にフェニル基を有するアミノ基含有シランカップリング剤であるN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBM-573〕を用いた。
また、ラジカル重合性成分のうち水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、4-ヒドロキシブチルアクリレート(4HBA)を用い、第二のラジカル重合性成分としてアミン変性アクリレート〔サートマー社製のCN371〕を併用した。
これらの成分と、下記の各成分とを表2に示す割合で配合して十分に溶解するまで撹拌し、次いで先に調製した白色顔料分散体を表2に示す割合で加えてさらに撹拌したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過して白色のプライマインクを調製した。
光ラジカル重合開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ランブソンジャパン(Lambson Japan)(株)製のSpeedCure(スピードキュア、登録商標)TPO〕
増感剤:2-イソプロピルチオキサントン〔ランブソンジャパン(株)製のスピードキュア2-ITX〕
ラジカル重合禁止剤:N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩〔富士フイルム和光純薬(株)製のQ-1301〕
表面調整剤:シリコーン系〔ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK UV3510〕
Figure 2023023332000002
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは85.8質量%、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
〈プライマインク(II)〉
水酸基含有(メタ)アクリレートとして、4HBAに代えて、2-ヒドロキシプロピルアクリレート(2HPA)を同量配合したこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、2HPAの割合ROHAは85.8質量%、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
〈プライマインク(III)〉
水酸基含有(メタ)アクリレートとしての4HBAに代えて、第三のラジカル重合性成分である、分子中に水酸基を含有しない2-フェノキシエチルアクリレート〔サートマー社製のSR339〕を同量配合したこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは0質量%、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
〈プライマインク(IV)~(VI)〉
4HBAとSR339とを、表3に示す割合で配合したこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは表3に示すとおりであり、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
Figure 2023023332000003
〈プライマインク(VII)〉
シランカップリング剤として、KBM-573に代えて、分子中にフェニル基を有しないアミノ基含有シランカップリング剤である3-アミノプロピルトリメトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBM-903〕を同量配合したこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは85.8質量%、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
〈プライマインク(VIII)〉
シランカップリング剤として、KBM-573に代えて、エポキシ系シランカップリング剤である3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン〔信越化学工業(株)製のKBE-403〕を同量配合したこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは85.8質量%、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
〈プライマインク(IX)〉
シランカップリング剤に代えて、第三のラジカル重合性成分であるSR339を同量配合したこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは85.0質量%、CN371の割合RNMAは1.8質量%であった。
〈プライマインク(X)〉
白色顔料分散体を配合せず、かつ4HBAの量を93.4質量%としたこと以外はプライマインク(I)と同様にして無色透明のプライマインクを調製した。
ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは98.4質量%、CN371の割合RNMAは1.6質量%であった。
〈プライマインク(XI)〉
第二のラジカル重合性成分であるCN371を配合せず、かつシランカップリング剤の量を2.3質量%としたこと以外はプライマインク(I)と同様にして白色のプライマインクを調製した。
白色顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、4HBAの割合ROHAは87.4質量%、CN371の割合RNMAは0質量%であった。
〈ブラック顔料分散体〉
下記の各成分を、表4に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて、ブラック顔料分散体を調製した。
ブラック顔料:C.I.ピグメントブラック7〔三菱ケミカル(株)製のカーボンブラックMA-7〕
分散剤:リューブリゾール社製のソルスパース32000
分散媒:第三のラジカル重合性成分である、分子中に水酸基を含有しない2-フェノキシエチルアクリレート〔サートマー社製のSR339NS〕
Figure 2023023332000004
〈着色インク(1)〉
ラジカル重合性成分のうち2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートとしては、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチルアクリレート(VEEA)〔(株)日本触媒化学製のVEEA-AI〕を用いた。
また、第二のラジカル重合性成分としては、下記の3種のN基含有ラジカル重合性成分を併用した。
ウレタン(メタ)アクリレート:イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体と、2官能のカプロラクトン系ポリオールと、2-ヒドロキシエチルアクリレートとの反応生成物〔重量平均分子量Mw:2000、3官能、以下「UAA」と略記する場合がある。〕
アミン変性アクリレート:サートマー社製のCN371
ジエチルアクリルアミド(DEAA)
これらの成分と、下記の各成分とを表5に示す割合で配合して十分に溶解するまで撹拌し、次いで先に調製したブラック顔料分散体を表5に示す割合で加えてさらに撹拌したのち、5μmのメンブランフィルタを用いてろ過してブラック(K)の着色インクを調製した。
光ラジカル重合開始剤:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド〔ランブソンジャパン(Lambson Japan)(株)製のSpeedCure(スピードキュア、登録商標)TPO〕
増感剤:2-イソプロピルチオキサントン〔ランブソンジャパン(株)製のスピードキュア2-ITX〕
ラジカル重合禁止剤:N-ニトロソフェニルヒドロキシルアミンのアルミニウム塩〔富士フイルム和光純薬(株)製のQ-1301〕
表面調整剤:シリコーン系〔ビックケミー・ジャパン(株)製のBYK UV3510〕
Figure 2023023332000005
ブラック顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEEは47.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは38.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは21.2質量%であった。
〈イエロー顔料分散体〉
下記の各成分を、表6に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて、イエロー顔料分散体を調製した。
イエロー顔料:C.I.ピグメントイエロー155〔クラリアント社製のインクジェットイエロー4GC〕
分散剤:リューブリゾール社製のソルスパース32000
分散媒:第三のラジカル重合性成分である、分子中に水酸基を含有しない2-フェノキシエチルアクリレート〔サートマー社製のSR339NS〕
Figure 2023023332000006
〈マゼンタ顔料分散体〉
下記の各成分を、表7に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて、マゼンタ顔料分散体を調製した。
マゼンタ顔料:C.I.ピグメントレッド202〔BASF社製のCinquasia Magenta L4530〕
分散剤:リューブリゾール社製のソルスパース32000
分散媒:第三のラジカル重合性成分である、分子中に水酸基を含有しない2-フェノキシエチルアクリレート〔サートマー社製のSR339NS〕
Figure 2023023332000007
〈シアン顔料分散体〉
下記の各成分を、表8に示す割合で配合し、撹拌したのちビーズミルを用いて分散させて、シアン顔料分散体を調製した。
シアン顔料:C.I.ピグメントブルー15:4〔BASF社製のHeliogen Blue D7110F〕
分散剤:リューブリゾール社製のソルスパース32000
分散媒:第三のラジカル重合性成分である、分子中に水酸基を含有しない2-フェノキシエチルアクリレート〔サートマー社製のSR339NS〕
Figure 2023023332000008
〈着色インク(2)〉
ブラック顔料分散体に代えて、先に調製したイエロー顔料分散体を同量配合したこと以外は着色インク(1)と同様にしてイエロー(Y)の着色インクを調製した。
イエロー顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEEは47.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは38.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは21.2質量%であった。
〈着色インク(3)〉
ブラック顔料分散体に代えて、先に調製したマゼンタ顔料分散体を同量配合したこと以外は着色インク(1)と同様にしてマゼンタ(M)の着色インクを調製した。
マゼンタ顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEEは47.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは38.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは21.2質量%であった。
〈着色インク(4)〉
ブラック顔料分散体に代えて、先に調製したシアン顔料分散体を同量配合したこと以外は着色インク(1)と同様にしてシアン(C)の着色インクを調製した。
シアン顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEEは47.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは38.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは21.2質量%であった。
〈着色インク(5)~(9)〉
VEEA、UAA、CN371、DEAA、および第三のラジカル重合性成分としてのSR339を、表9に示す割合で配合したこと以外は着色インク(1)と同様にしてブラック(K)の着色インクを調製した。
ブラック顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEE、およびN基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは表9に示すとおりであり、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは21.2質量%であった。
Figure 2023023332000009
〈着色インク(10)~(14)〉
VEEA、UAA、CN371、DEAA、および第三のラジカル重合性成分としてのジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHANS)、2-(2-エトキシエトキシ)エチルアクリレート〔サートマー社製のSR256〕を、表10に示す割合で配合したこと以外は着色インク(1)と同様にしてブラック(K)の着色インクを調製した。
ブラック顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEE、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNR、およびN基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは表10に示すとおりであった。
Figure 2023023332000010
〈着色インク(15)~(18)〉
UAA、CN371、およびDEAAを、表11に示す割合で配合したこと以外は着色インク(1)と同様にしてブラック(K)の着色インクを調製した。
ブラック顔料分散体中のSR339NSを加えた、ラジカル重合性成分の総量中の、VEEAの割合RVEEは47.8質量%、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは38.8質量%、そしてN基含有ラジカル重合性成分の総量中の、UAAの割合RUAAは表11に示すとおりであった。
Figure 2023023332000011
〈ガラス製品のサンプルの作製〉
ガラス基材の表面に、インクジェットプリンタを用いてプライマインクを印刷してプライマ前駆層を形成し、次いで形成したプライマ前駆層の上に、インクジェットプリンタを用いて着色インクを印刷して着色前駆層を形成した。
次いで、積層した両前駆層に活性エネルギー線としての紫外線を照射して、当該両前駆層を形成するプライマインクおよび着色インクを硬化反応させることでプライマ層および着色層を形成して、ガラス製品のサンプルとした。
〈温水耐性試験〉
作製したガラス製品のサンプルを、70℃の温水に30分間浸漬した後、日本産業規格JIS K5600-5-6:1999「塗料一般試験方法-第5部:塗膜の機械的性質-第6節:付着性(クロスカット法)」に所載のクロスカット試験を実施した。
そして、同規格に規定された試験結果の分類をもとに、下記の基準で温水耐性を評価した。
◎:分類は0~1であった。温水耐性きわめて良好。
○○:分類が2であった。温水耐性良好。
○:分類は3であった。温水耐性やや良好。
△:分類は4であった。温水耐性通常。
×:分類は5であった。温水耐性不良。
〈色濃度再現性試験〉
作製したガラス製品のサンプルの光学濃度OD値を測定した。
また別途、着色インクのみを基材上に直接に印刷して硬化させた状態の光学濃度、すなわち着色インクの本来の光学濃度ODを測定し、当該光学濃度ODに対するサンプルの光学濃度の低下率を求めて、下記の基準で色濃度の再現性を評価した。
○:低下率は3%未満であった。色濃度の再現性良好。
△:低下率は3%以上、10%未満であった。色濃度の再現性通常。
×:低下率は10%以上であった。色濃度の再現性不良。
〈着色インクの吐出性試験〉
上述したガラス製品のサンプルの作製時に、印刷された着色前駆層の状態を観察して、着色インクの、インクジェットプリンタのノズルからの吐出性を評価した。
○:吐出しないノズルによる抜けのない着色前駆層が形成された。吐出性良好。
△:一部に吐出しないノズルがあり、着色前駆層に抜けが見られた。吐出性通常。
×:すべてのノズルで吐出せず、着色前駆層を形成できなかった。吐出性不良。
〈実施例1~8、比較例1~3〉
表12、表13に示すプライマインクと、着色インク(1)とを組み合わせて前述したガラス製品のサンプルを作製し、評価をした。
なお実施例1~6、8、比較例1~3は、ガラス基材として無色透明のガラス基材を用い、実施例7は、白色のガラス基材を用いた。
結果を表12、表13に示す。
Figure 2023023332000012
Figure 2023023332000013
表12、表13の実施例1~8、比較例1~3の結果より、アミノ基含有シランカップリングと、水酸基含有(メタ)アクリレートとを含むプライマインクを用いることにより、ガラス基材の表面に、温水耐性(密着性)の良いプライマ層を形成できることが判った。
ただし実施例1、2、6の結果より、かかる効果をより一層向上することを考慮すると、水酸基含有(メタ)アクリレートとしては、架橋鎖の長い4HBAを用い、またアミノ基含有シランカップリング剤としては、分子中にフェニル基を有するN-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランを用いるのが好ましいことが判った。
また実施例1、3~5の結果より、上記の効果をさらに向上することを考慮すると、水酸基含有(メタ)アクリレートの割合ROHAは、ラジカル重合性成分の総量中の8質量%以上、とくに18質量%以上であるのが好ましく、99質量%以下であるのが好ましいことが判った。
また実施例1、8の結果より、ラジカル重合性成分としては、水酸基含有(メタ)アクリレートとともにアミン変性(メタ)アクリレートを併用するのが好ましいこと、その割合RNMAは、ラジカル重合性成分の総量中の0.5質量%以上、とくに1質量%以上であるのが好ましく、3質量%以下、とくに2.5質量%以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1、7の結果より、無色透明のガラス基材の場合は、プライマインクを白色とするのが好ましいが、ガラス基材が白色である場合は白色顔料の配合を省略して、プライマインクを無色透明にしても同等の効果が得られることが判った。
〈実施例9~24、比較例4〉
プライマインク(I)と、表14~表17に示す着色インク(2)~(18)とを組み合わせたこと以外は実施例1と同様にしてガラス製品のサンプルを作製し、評価をした。
結果を、実施例1の結果と併せて表14~表17に示す。
Figure 2023023332000014
Figure 2023023332000015
Figure 2023023332000016
Figure 2023023332000017
表14~表17の実施例1、12~24、比較例4の結果より、ラジカル重合性成分としての2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを含む着色インクを用いることにより、プライマ層の上に、色濃度の再現性の良い着色層を形成できることが判った。
また実施例1、9~11の結果より、かかる効果は、ブラック(K)の着色インクのみならず、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)等の各色の着色インクでも同様に得られることが判った。
実施例1、12~15の結果より、上記の効果をさらに向上することを考慮すると、2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートの割合RVEEは、ラジカル重合性成分の総量中の8質量%以上、とくに12質量%以上であるのが好ましく、70質量%以下、とくに60質量%以下であるのが好ましいことが判った。
実施例1、20の結果より、着色インクは、N基含有ラジカル重合性成分を併用することにより、プライマ層の上に、とくに温水耐性(密着性)の良い着色層を形成できることが判った。
実施例1、16~19の結果より、上記の効果をさらに向上しつつ、色濃度の再現性の良い着色層を形成することを考慮すると、かかる併用系では、N基含有ラジカル重合性成分の合計の割合RTNRは、ラジカル重合性成分の総量中の7質量%以上、とくに20質量%以上であるのが好ましく、80質量%以下、とくに75質量%以下であるのが好ましいことが判った。
さらに実施例1、21~24の結果より、上記の効果をさらに向上しつつ、着色インクの粘度の上昇を抑えて、ノズルからの吐出性を向上することを考慮すると、ウレタン(メタ)アクリレートの割合RUAAは、N基含有ラジカル重合性成分の総量中の1質量%以上、とくに2質量%以上であるのが好ましく、85質量%以下、とくに70質量%以下であるのが好ましいことが判った。

Claims (9)

  1. (A) アミノ基含有シランカップリング剤、およびラジカル重合性成分としての水酸基含有(メタ)アクリレートを含み、活性エネルギー線硬化性を有するプライマインク、ならびに
    (B) ラジカル重合性成分としての2-(2-ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレートを含み、活性エネルギー線硬化性を有する少なくとも1色の着色インク、
    を含むインクセット。
  2. 前記プライマインクに含まれる前記アミノ基含有シランカップリング剤は、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシランである請求項1に記載のインクセット。
  3. 前記プライマインクに含まれる前記水酸基含有(メタ)アクリレートは、4-ヒドロキシブチルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、および2-ヒドロキシプロピルメタクリレートからなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項1または2に記載のインクセット。
  4. 前記プライマインクは、前記ラジカル重合性成分として、さらにアミン変性(メタ)アクリレートを含む請求項1ないし3のいずれか1項に記載のインクセット。
  5. 前記着色インクは、前記ラジカル重合性成分として、さらに分子中にN基を含むN基含有ラジカル重合性成分を含む請求項1ないし4のいずれか1項に記載のインクセット。
  6. 前記N基含有ラジカル重合性成分は、ウレタン(メタ)アクリレート、アミン変性(メタ)アクリレート、およびアクリルアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種である請求項5に記載のインクセット。
  7. 前記N基含有ラジカル重合性成分としては、前記ウレタン(メタ)アクリレートと、前記アミン変性(メタ)アクリレート、および前記アクリルアミド化合物からなる群より選ばれた少なくとも1種とを併用する請求項6に記載のインクセット。
  8. ガラス基材の表面に、前記請求項1ないし7のいずれか1項に記載のインクセットのうち前記プライマインクからなるプライマ層と、前記着色インクからなる着色層とが順に積層されてなるガラス製品。
  9. 前記請求項8に記載のガラス製品の製造方法であって、
    前記ガラス基材の表面に、前記プライマインクを、インクジェット印刷法によって印刷して、前記プライマ層の未硬化の前駆層を形成する工程、
    形成した前記前駆層の上に、前記着色インクを、インクジェット印刷法によって印刷して、前記着色層の未硬化の前駆層を形成する工程、および
    前記両前駆層に活性エネルギー線を照射して、当該両前駆層を形成する前記プライマインクおよび前記着色インクを硬化反応させることで、前記プライマ層および前記着色層を形成する工程、
    を含むガラス製品の製造方法。
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