JP2018123288A - テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物 - Google Patents

テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2018123288A
JP2018123288A JP2017019024A JP2017019024A JP2018123288A JP 2018123288 A JP2018123288 A JP 2018123288A JP 2017019024 A JP2017019024 A JP 2017019024A JP 2017019024 A JP2017019024 A JP 2017019024A JP 2018123288 A JP2018123288 A JP 2018123288A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fragrance
oil
water
emulsified
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017019024A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6847520B2 (ja
Inventor
宏典 兼先
Hironori Kanesaki
宏典 兼先
前田 知子
Tomoko Maeda
知子 前田
祥吾 吉田
Shogo Yoshida
祥吾 吉田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
T Hasegawa Co Ltd
Original Assignee
T Hasegawa Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by T Hasegawa Co Ltd filed Critical T Hasegawa Co Ltd
Priority to JP2017019024A priority Critical patent/JP6847520B2/ja
Priority to CN201880005075.5A priority patent/CN110049684A/zh
Priority to PCT/JP2018/002573 priority patent/WO2018143103A1/ja
Priority to TW107103174A priority patent/TWI700045B/zh
Publication of JP2018123288A publication Critical patent/JP2018123288A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6847520B2 publication Critical patent/JP6847520B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L2/00Non-alcoholic beverages; Dry compositions or concentrates therefor; Their preparation
    • A23L2/38Other non-alcoholic beverages
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L2/00Non-alcoholic beverages; Dry compositions or concentrates therefor; Their preparation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A23FOODS OR FOODSTUFFS; TREATMENT THEREOF, NOT COVERED BY OTHER CLASSES
    • A23LFOODS, FOODSTUFFS, OR NON-ALCOHOLIC BEVERAGES, NOT COVERED BY SUBCLASSES A21D OR A23B-A23J; THEIR PREPARATION OR TREATMENT, e.g. COOKING, MODIFICATION OF NUTRITIVE QUALITIES, PHYSICAL TREATMENT; PRESERVATION OF FOODS OR FOODSTUFFS, IN GENERAL
    • A23L27/00Spices; Flavouring agents or condiments; Artificial sweetening agents; Table salts; Dietetic salt substitutes; Preparation or treatment thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C11ANIMAL OR VEGETABLE OILS, FATS, FATTY SUBSTANCES OR WAXES; FATTY ACIDS THEREFROM; DETERGENTS; CANDLES
    • C11BPRODUCING, e.g. BY PRESSING RAW MATERIALS OR BY EXTRACTION FROM WASTE MATERIALS, REFINING OR PRESERVING FATS, FATTY SUBSTANCES, e.g. LANOLIN, FATTY OILS OR WAXES; ESSENTIAL OILS; PERFUMES
    • C11B9/00Essential oils; Perfumes

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Nutrition Science (AREA)
  • Food Science & Technology (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Oil, Petroleum & Natural Gas (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Fats And Perfumes (AREA)
  • Seasonings (AREA)
  • Non-Alcoholic Beverages (AREA)

Abstract

【課題】従来の水溶性香料および乳化香料では達成できなかった、バランスよい風味付与に寄与し、且つ飲食品の種類が限定されない汎用性の高い香料組成物、更には飲食品に添加しても安定性および透明性を維持可能な香料組成物を提供する。
【解決手段】以下の成分(A)〜(C)を含有する、水中油型乳化香料組成物を提供する:(A)香料であって、その全量に対し(a)テルペン系炭化水素香料化合物(リモネンを除く):10質量%以上および(b)リモネン:0質量%以上50質量%未満の香料化合物を含有する;(B)乳化剤;および(C)糖類、エタノールおよび多価アルコールからなる群より選ばれる1種または2種以上。
【選択図】なし

Description

本発明はテルペン系炭化水素香料化合物(リモネンを除く)高含有の水中油型乳化香料組成物およびこれを含有する飲食品に関する。また、さらには、前記水中油型乳化香料組成物と水溶性香料とを含有する飲食品に関する。
香料化合物は極性が比較的低く、水などの水性溶媒に溶解しづらい(つまり油溶性を示す)ものが多い。一方で、飲食品は水を多く含有する形態が食しやすく、多くの飲食品は水分を多量に含有している。そこで、水分を多量に含む飲食品に所望の量の香料化合物を安定的に配合するために、香料化合物の水性溶媒に対する可溶性または分散性を高めた水溶性香料や乳化香料が提案されてきた(例えば、非特許文献1)。
水溶性香料は、精油、天然香料、合成香料などを含有する油溶性液体を含水エタノール、またはプロピレングリコールなどの非アルコール溶剤で溶解して得られる液を指す(含水エタノールを用いたものはエッセンス香料とも呼ばれる)。水溶性香料は、通常水などの水性溶媒に透明に溶解してトップ立ちの良い香味を発現することから、飲料など透明性を必要とする飲食品によく使用される。
水溶性香料にできるだけ多量の香料化合物を含有させる方法として、極性の比較的低い溶媒を用いる方法が知られている。例えば、シトラスオイルを特定のアルコールおよびプロピレングリコールで抽出処理することで香料化合物を多量に含有する水溶性香料を得る方法(特許文献1)や、可食性材料から得た精油を高濃度の含水エタノールで抽出処理して得た抽出物を配合して低アルコール飲料を得る方法(特許文献2)が提案されている。
しかし、このように極性が比較的低い溶媒を使用して油溶性の香料化合物を多量に含有する水溶性香料を調製しても、そのような水溶性香料を飲食品に配合すると、香料化合物が析出(水溶性香料の配合によって清澄な飲食品が白濁する、配合後一定時間後に、液相と気相との界面に油滴または油滴で構成されるリング(ネックリング)が形成される、など)して、飲食品の美観が損なわれたり、香味が劣化したりする場合がある。とくに飲食品がアルコールを実質的に含まない(すなわち極性の高い)飲食品の場合に析出しやすい。このように水溶性香料は、含有できる香料化合物の種類または量がある程度限定されているために水溶性香料に単独で十分な力価や多様な香味を持たせることは困難であり、かつ、一定量以上香料化合物を含有させた水溶性香料は、飲食品に配合した際の香料化合物の安定性や飲食品の透明性が保証できない。
香料化合物のなかでも、柑橘類の果皮などに含まれ、イソプレンを構成単位とするテルペン系炭化水素香料化合物は、極性が低く水溶性がごく低いうえ、香味に寄与せず、更に劣化されやすいことで知られている。そのため、柑橘精油からテルペン系炭化水素香料化合物を含むテルペン類を除去または低減したオイル、すなわちテルペンレス処理したオイルが、香料または香料原料として使用されている(特許文献3)。
一方で、乳化香料は、精油、天然香料、合成香料などの香料化合物を含有する油溶性液体を、乳化剤や水溶性多糖類、糖アルコール、水などの混合液に混合後撹拌して得られる、香料化合物を内包する乳化粒子を含有する液を指す。乳化香料は水溶性の低い香料化合物を安定的に飲食品に分散させることができる。乳化香料は飲食品にボディー感などのコク味を付与することができるが、乳化に起因する香料化合物の揮発性低下のために、水溶性香料と比べて香味の発現が遅く、軽い香り立ちが弱い。また、香料化合物によっては乳化されづらいもの(酸類やエステル類など)もあり、付与できる香味の幅が限られてしまう。
従って、従来の水溶性香料および乳化香料は、それぞれ配合に適した飲食品は限られており、また配合した飲食品に付与できる香味は、含有し得る香料化合物およびその量の制約から偏ったものであり、バランスのよい香味改善または増強に寄与できているとは言い難い。
特表2003−535207号公報 特開2000−245431号公報 特開平6−108088号公報
周知・慣用技術集(香料)第I部 香料一般 2・3 香料の精製・加工技術
本発明が解決しようとする課題は、従来の水溶性香料および乳化香料では達成できなかった、様々な飲食品に対し、バランスよい香味の改善または増強に寄与する汎用性の高い香料組成物、更には、飲食品に配合した場合に、飲食品中で香料化合物が安定で、かつ、飲食品の透明性が維持できる香料組成物を提供することにある。
本発明者らは、前記課題に鑑み、鋭意研究を行なった。前述の通り、従来、柑橘精油を香料原料や飲食品に使用するにあたってはテルペン系炭化水素香料化合物を精油から除去または低減したものが使用されることが多かった。また、リモネン以外のテルペン系炭化水素香料化合物は柑橘精油中にそれほど多く含まれていないが、これらを香料や飲食品に多量に配合しようという発想は全くなかった。ところが驚くべきことに、テルペン系炭化水素香料化合物(リモネンを除く)を高含有させた水中油型乳化香料組成物を調製して、単独または果汁や水溶性香料と併せて様々な飲食品に配合したところ、その飲食品に対し、香味および/または呈味(以下総じて風味とも称する)が付与、改善および/または増強され、バランスのよい風味と天然感が得られるという全く意外な結果を得た。本発明はこのように、テルペン系炭化水素香料化合物を選択的に水中油型乳化香料組成物に高含有させるという、全く新しい発想に基づくものである。
かくして、本発明は以下のものを提供する。
[1] 下記(A)、(B)、および(C)を含有する水中油型乳化香料組成物。
(A)香料
下記(a)および(b)の香料化合物を、香料全量に対し下記の割合で含有する
(a)テルペン系炭化水素香料化合物(リモネンを除く):10質量%以上
(b)リモネン:0質量%以上50質量%未満
(B)乳化剤
(C)糖類、エタノールおよび多価アルコールからなる群より選ばれる1種または2種以上
[2] (A)香料が、更に(c)含酸素香料化合物を、(A)香料全量に対し90質量%未満含有する、前記[1]に記載の水中油型乳化香料組成物。
[3] 更に(D)動植物油脂、(E)水、および(F)油溶性抗酸化剤から選択される1種または2種以上を含有する、前記[1]または[2]に記載の水中油型乳化香料組成物。
[4] (a)のテルペン系炭化水素香料化合物が、アロオシメン、オシメン、ミルセン、ジヒドロミルセン、α‐ファルネセン、β−ファルネセン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、α−フェランドレン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、3−カレン、p−サイメン、α−ビサボレン、β−ビサボレン、γ−ビサボレン、α−セドレン、β−セドレン、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、γ−カリオフィレン、バレンセン、α−ツヨプセン、β−ツヨプセン、α−グアイエン、β−グアイエン、γ−グアイエン、δ−グアイエン、ロンギホレン、テルピノーレン、カジネンからなる群より選ばれる1種または2種以上である、前記[1]〜[3]のいずれかに記載の水中油型乳化香料組成物。
[5] 水中油型乳化香料組成物がクリアエマルジョンである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の水中油型乳化香料組成物。
[6] 前記[1]〜[5]のいずれかに記載の水中油型乳化香料組成物が配合された飲食品。
[7] 更に、水溶性香料が配合された前記[6]に記載の飲食品。
[8] 水溶性香料が、エッセンス香料である前記[7]に記載の飲食品。
[9] 飲食品が飲料である前記[6]〜[8]のいずれかに記載の飲食品。
[10] 飲料が透明飲料である前記[9]に記載の飲料。
本発明の水中油型乳化香料組成物は、それ自体で飲食品に対する香味および/または呈味の付与、改善および/または増強剤として使用可能である。加えて、本発明の乳化香料組成物は様々な水溶性香料と併用でき、水溶性香料の単独使用と比べて格段にバランスがよい風味や天然感を様々な風味の飲食品に付与できる。更に特定の乳化剤を使用した場合には非アルコール飲料など実質的にアルコールを含まない(つまり極性の高い)飲食品に配合しても濁りやネックリングを発生させずその透明性を維持できる。従って、本発明の乳化香料組成物は汎用性が非常に高い。
更に、極性が低く乳化されやすいテルペン系炭化水素香料化合物の高含有によって乳化香料組成物の乳化粒子の安定性が担保されるので、テルペン系炭化水素香料化合物とともに乳化安定性の低い香料化合物(例えば、エステル類)も乳化粒子に安定的に内包させることができる。よって飲食品に付与できる香味の幅が大きく広がる。
また、コク味などの呈味増強効果があるため、飲食品への賦香率や果汁使用率を下げることができ、飲食品製造のコストダウンにつながる。
本発明の水中油型乳化香料組成物(以下、単に乳化香料組成物とも称する)は、下記の成分(A)、(B)、および(C)を含有することを特徴とする。
(A)香料
下記(a)および(b)の香料化合物を、香料全量に対し下記の割合で含有する
(a)テルペン系炭化水素香料化合物(リモネンを除く):10質量%以上
(b)リモネン:0質量%以上50質量%未満
(B)乳化剤
(C)糖類、エタノールおよび多価アルコールからなる群より選ばれる1種または2種以上
以下、成分(A)〜(C)、および本発明の乳化香料組成物が含んでいてよいその他の化合物について説明する。
<成分(A)香料について>
本発明の乳化香料組成物は、香料を成分(A)として含む。成分(A)は、リモネンを除くテルペン系炭化水素香料化合物である成分(a)を必須成分として含有する。成分(A)は、更に成分(b)としてリモネンを含有してよく、また更に、その他の香料化合物および/または組成物を含有してもよい。
本発明の乳化香料組成物の成分(a)に使用可能なテルペン系炭化水素香料化合物(以下、単に「テルペン系炭化水素」とも称する)は、イソプレンを構成単位とする炭化水素化合物であって、本発明の乳化香料組成物に高含有されるものであり、リモネンを除く1種または2種以上を用いることができる。具体的には、例えば、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度 厚生科学研究報告書;日本香料工業会 平成13年3月発行)、「合成香料 化学と商品知識」(2005年3月22日増補改訂版発行 印藤元一著 化学工業日報社)などに記載のテルペン系炭化水素(リモネンを除く)を用いることができる。
より具体的には、アロオシメン、オシメン、ミルセン、ジヒドロミルセン、α‐ファルネセン、β−ファルネセン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、α−フェランドレン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、3−カレン、p−サイメン(p−シメンとも呼ばれる)、α−ビサボレン、β−ビサボレン、γ−ビサボレン、α−セドレン、β−セドレン、α−カリオフィレン(フムレンとも呼ばれる)、β−カリオフィレン、γ−カリオフィレン(イソカリオフィレンとも呼ばれる)、バレンセン、α−ツヨプセン、β−ツヨプセン、α−グアイエン、β−グアイエン、γ−グアイエン、δ−グアイエン、ロンギホレン、テルピノーレン、カジネンなどが挙げられるが、これらに限定されない。なお、これらの化合物に1種または2種以上の立体異性体がある場合、いずれの立体異性体も本発明に使用可能なテルペン系炭化水素に含まれるものとする。
成分(a)の成分(A)全量に対する割合は、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、または95質量%以上であってよい。テルペン系炭化水素を2種以上使用する場合、個々のテルペン系炭化水素の量は、成分(A)全量に占める成分(a)の割合がこれらの10質量%以上であれば、任意とすることができる。
また、成分(A)は成分(b)としてリモネンを含有することができるが、その場合成分(A)全量に対する成分(b)すなわちリモネンの割合は、通常50質量%未満とする。ここで、リモネンは柑橘類の果皮などに非常に豊富(例えば、90質量%程度)に含まれるテルペン系炭化水素であり、柑橘類の精油やその乳化香料組成物にも多量に含まれていると考えられるが、本発明は、乳化香料組成物の成分(A)全量に対するリモネンの割合を50質量%未満とし、かつ、リモネン以外のテルペン系炭化水素、すなわち必ずしもリモネンのように果皮などに豊富には含まれない化合物を、選択的に乳化香料組成物に高含有させて、飲食品にこれまでにない量で高配合することを可能にすることを特徴とする。成分(A)全量に対するリモネンの割合は、50質量%未満であることが好ましく、40質量%未満、30質量%未満、20質量%未満、10質量%未満、または5質量%未満であってよい。また、成分(A)はリモネンを含んでいなくても(すなわち成分(A)全量に対するリモネンの割合が0質量%でも)よい。
成分(A)は、更に成分(c)として含酸素香料化合物を含んでいてもよい。本明細書において、含酸素香料化合物とは、分子中に酸素原子を含有する香料化合物を意味する。本発明で使用できる含酸素香料化合物は特に限定されないが、例えば、前掲の「合成香料 化学と商品知識」に記載の酸素を分子中に含有する香料化合物や、「特許庁、周知慣用技術集(香料)第II部食品香料、P88−131、平成12年1月14日発行」に記載されている天然精油に含まれる香料化合物、天然香料、および合成香料のうち、酸素原子を分子中に含有するものが挙げられる。成分(c)として使用可能な含酸素香料化合物の具体例を以下に挙げる。ただし、本発明の成分(c)に使用可能な化合物は、以下の例示化合物に限定されない。
本発明の成分(c)として使用可能なエステル類化合物としては、ギ酸プロピル、ギ酸オクチル、ギ酸リナリル、ギ酸シトロネリル、ギ酸ゲラニル、ギ酸ネリル、ギ酸テルピニル、ギ酸イソアミル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸シス−3−ヘキセニル、酢酸トランス−2−ヘキセニル、酢酸オクチル、酢酸ゲラニル、酢酸ノニル、酢酸デシル、酢酸ドデシル、酢酸イソアミル、酢酸ジメチルウンデカジエニル、酢酸オシメニル、酢酸ミルセニル、酢酸ジヒドロミルセニル、酢酸リナリル、酢酸シトロネリル、酢酸ゲラニル、酢酸ネリル、酢酸テトラヒドロムゴール、酢酸ラバンジュリル、酢酸ネロリドール、酢酸ジヒドロクミニル、酢酸テルピニル、酢酸シトリル、酢酸ノピル、酢酸ジヒドロテルピニル、酢酸2,4−ジメチル−3−シクロヘキセニルメチル、酢酸ミラルディル、酢酸ベチコール、プロピオン酸デセニル、プロピオン酸リナリル、プロピオン酸ゲラニル、プロピオン酸ネリル、プロピオン酸テルピニル、プロピオン酸トリシクロデセニル、プロピオン酸スチラリル、酪酸オクチル、酪酸ネリル、酪酸シンナミル、イソ酪酸イソプロピル、イソ酪酸オクチル、イソ酪酸リナリル、イソ酪酸ネリル、イソ吉草酸リナリル、イソ吉草酸テルピニル、イソ吉草酸フェニルエチル、2−メチル吉草酸2−メチルペンチル、3−ヒドロキシヘキサン酸メチル、3−ヒドロキシヘキサン酸エチル、オクタン酸メチル、オクタン酸オクチル、オクタン酸リナリル、ノナン酸メチル、ウンデシレン酸メチル、安息香酸リナリル、ケイヒ酸メチル、アンゲリカ酸イソプレニル、ゲラン酸メチル、クエン酸トリエチル、カプロン酸イソアミル、カプリル酸イソアミルなどが挙げられる。
本発明の成分(c)として使用可能なアルコール類化合物としては、3−ヘプタノール、1−ウンデカノール、2−ウンデカノール、1−ドデカノール、プレノール、1−ウンデセノール、ジヒドロリナロール、テトラヒドロムゴール、ミルセノール、ジヒドロミルセノール、テトラヒドロミルセノール、オシメノール、テルピネオール−4、3−ツヤノール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、α−フェニルエチルアルコールなどを好ましく例示することができる。
また、上記記載のアルコール類以外に、例えば3−メチル−1−ペンタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−オクタノール、1−ノナノール、2−ノナノール、2,6−ジメチルヘプタノール、1−デカノール、トランス−2−ヘキセノール、シス−4−ヘキセノール、シトロネロール、ロジノール、ゲラニオール、ネロール、リナロール、テトラヒドロリナロール、ジメチルオクタノール、ヒドロキシシトロネロール、イソプレゴール、メントール、テルピネオール、ジヒドロテルピネオール、カルベオール、ジヒドロカルベオール、ペリラアルコール、4−ツヤノール、ミルテノール、α−フェンキルアルコール、ファルネソール、ネロリドール、セドレノール、アニスアルコール、ヒドロトロパアルコール、3−フェニルプロピルアルコール、シンナミックアルコール、アミルシンナミックアルコールなどが挙げられる。
本発明の成分(c)として使用可能なアルデヒド類化合物としては、アセトアルデヒド、n−ヘキサナール、n−ヘプタナール、n−オクタナール、n−ノナナール、2−メチルオクタナール、3,5,5−トリメチルヘキサナール、デカナール、ウンデカナール、2−メチルデカナール、ドデカナール、トリデカナール、テトラデカナール、トランス−2−ヘキセナール、トランス−4−デセナール、シス−4−デセナール、トランス−2−デセナール、10−ウンデセナール、トランス−2−ウンデセナール、トランス−2−ドデセナール、3−ドデセナール、トランス−2−トリデセナール、2,4−ヘキサジエナール、2,4−デカジエナール、2,4−ドデカジエナール、5,9−ジメチル−4,8−デカジエナール、シトラール、ジメチルオクタナール、α−メチレンシトロネラール、シス−6−ノネナール、ゲラニアール、シトロネリルオキシアセトアルデヒド、ネラール、α−あるいはβ−シネンサール、ミルテナール、マイラックアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、オクタナールジメチルアセタール、ノナナールジメチルアセタール、デカナールジメチルアセタール、デカナールジエチルアセタール、2−メチルウンデカナールアセタール、シトラールジメチルアセタール、シトラールジエチルアセタール、シトラールプロピレングリコールアセタールなどが挙げられる。
本発明の成分(c)として使用可能なケトン類化合物としては、3−ヘプタノン、3−オクタノン、2−ノナノン、2−ウンデカノン、2−トリデカノン、メチルヘプテノン、ジメチルオクテノン、ゲラニルアセトン、2,3,5−トリメチル−4−シクロヘキセニル−1−メチルケトン、ネロン、ヌートカトン、アセトフェノン、4,7−ジヒドロ−2−イソペンチル−2−メチル−1,3−ジオキセピンなどが挙げられる。
本発明の成分(c)として使用可能なフェノール類化合物としては、チモール、カルバクロール、β−ナフトールイソブチルエーテル、アネトール、β−ナフトールメチルエーテル、β−ナフトールエチルエーテル、グアヤコール、クレオゾール、ベラトロール、ハイドロキノンジメチルエーテル、2,6−ジメトキシフェノール、4−エチルグアヤコール、オイゲノール、イソオイゲノール、エチルイソオイゲノール、tert−ブチルハイドロキノンジメチルエーテルが挙げられる。
本発明の成分(c)として使用可能なエーテル類化合物としては、シルビニルエーテル、α−テルピニルメチルエーテル、イソプロキセン、2,2−ジメチル−5−(1−メチル−1−プロペニル)−テトラヒドロフラン、ローズフラン、1,4−シネオール、ネロールオキサイド、2,2,6−トリメチル−6−ビニルテトラヒドロピラン、チルヘキシルエーテル、オシメンエポキシド、リモネンオキサイド、ルボフィクス、カリオフィレンオキサイド、リナロールオキサイド、5−イソプロペニル−2−メチル−2−ビニルテトラヒドロフラン、テアスピラン、ローズオキサイドなどが挙げられる。
本発明の成分(c)に使用可能なラクトン類化合物としては、γ−ウンデカラクトン、δ−ドデカラクトン、γ−ヘキサラクトン、γ−ノナラクトン、γ−デカラクトン、γ−ドデカラクトン、ジャスンミラクトン、メチルγ−デカラクトン、ジャスモラクトン、プロピリデンフタリド、δ−ヘキサラクトン、δ−2−デセノラクトン、ε−ドデカラクトン、ジヒドロクマリン、クマリンなどが挙げられる。
本発明の成分(c)として使用可能な酸類としては、例えばドデカン酸、2−デセン酸、ゲラン酸、2−メチル酪酸、2−エチル酪酸、安息香酸、フェニル酢酸、ケイ皮酸、イソ酪酸、イソ吉草酸、3−メチル吉草酸、2−ヘキセン酸、2−メチル−2−ペンテン酸、2−メチルヘプタン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、乳酸、フェニル酢酸、ピルビン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸、シクロヘキサンカルボン酸などが挙げられる。
加えて、本発明の乳化香料組成物は、テルペン系炭化水素香料化合物でも含酸素香料化合物でもない香料化合物、各を更に含んでいてもよく、例として含窒素および/または含硫化合物類が挙げられる。具体的には、アントラニル酸メチル、アントラニル酸エチル、N−メチルアントラニル酸メチル、N−2′−メチルペンチリデンアントラニル酸メチル、リガントラール、ドデカンニトリル、2−トリデセンニトリル、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、3,7−ジメチル−2,6−ノナジエノニトリル、インドール、5−メチル−3−ヘプタノンオキシム、チオゲラニオール、リモネンチオール、アントラニル酸ブチル、アントラニル酸シス−3−ヘキセニル、アントラニル酸フェニルエチル、アントラニル酸シンナミル、ジメチルスルフィド、8−メルカプトメントンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
またそのほかにも、天然精油、植物エキスなどを更に含んでいてもよく、例えば、上述の文献に記載される精油や植物由来のエキスが挙げられる。本発明において、乳化香料組成物の成分(A)の必須成分(すなわち成分(a))以外の香料化合物または組成物の、成分(A)全量に対する割合は特に限定されないが、例えば、成分(A)の全量に対して0質量%以上99質量%未満であってよい。
本発明において、成分(A)の、乳化香料組成物全量に対する割合は特に限定されないが、乳化香料組成物の全量に対し、50質量%以上、40質量%以上、30質量%以上、20質量%以上、10質量%以上、5質量%以上、1質量%以上、0.5質量%以上、0.1質量%以上、または0.05質量%以上であってよく、例えば、0.1〜5質量%の範囲内である。
<成分(B)乳化剤について>
本発明の乳化香料組成物は成分(B)として乳化剤を含む。本発明の乳化香料組成物に使用可能な乳化剤の種類は、特に限定されない。例として、グリセリン脂肪酸エステル、アラビアガム、キラヤ抽出物、加工澱粉、ショ糖脂肪酸エステル、ポリソルベート、およびレシチンから選択される1種または2種以上を挙げることができる。グリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノグリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステルなどが挙げられ、脂肪酸部分はパルミチン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸、アラキジン酸、ベヘン酸であるものが例示される。ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、デカグリセリンラウレート、デカグリセリンステアレート、デカグリセリンオレエート、およびデカグリセリンミリステートなどが挙げられる。ショ糖脂肪酸エステルとしては、脂肪酸部分がパルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸であるものが例示される。
なお、本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルは、精製ポリグリセリン脂肪酸エステルでもよい。精製ポリグリセリン脂肪酸エステルのエステル化度が2.5未満、より好ましくは2.3未満、さらに好ましくは2未満であり、かつ、未反応ポリグリセリン含有量が5重量%未満、好ましくは1重量%未満となるよう精製したものが、好適に使用できる。なお、精製ポリグリセリン脂肪酸エステルの調製方法およびエステル化度の計算は、例えば、特許4512022号公報、特開2007−116930号公報、特開2008−079505号公報などに記載の方法を採用することができる。このような精製ポリグリセリン脂肪酸エステルの使用によって、各種飲料に配合したときに透明に溶解(後述のクリアエマルジョン)し、高温条件での保存、殺菌のための加熱などの過酷な条件を受けても、長期間にわたって十分な透明状態を維持できる。
これらの乳化剤は単独で、あるいは、数種類を組み合わせて使用してもよい。
本発明の乳化香料組成物全量に対する成分(B)すなわち乳化剤の割合は特に限定されないが、例えば、通常0.1〜30質量%、0.2〜25質量%、または1〜6質量%であってよい。
<成分(C)糖類、エタノール、多価アルコールについて>
本発明の乳化香料組成物は、成分(C)として、糖類、エタノール、および多価アルコールから選択される1種または2種以上を含有する。これらは乳化粒子を安定化させる乳化助剤としての効果を奏し得る。
糖類および多価アルコ−ルは、特に限定されず従来公知の任意の化合物を用いてよいが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールプロパン、ソルビトール、マルチトール、澱粉分解還元物、グルコース、蔗糖、マルトースなどの糖類およびこれらの2種以上の混合物などが例示される。
また、糖類は液糖でもよく、液糖としては、ショ糖液糖、ブドウ糖果糖液糖、転化型液糖、還元水あめが例示される。
本発明の乳化香料組成物全量に対する成分(C)の割合は特に限定されず、例えば、通常30〜90質量%、好ましくは45〜89質量%、より好ましくは64〜88質量%であってよいが、これらに限定されない。
<(A)〜(C)以外の成分について>
本発明の乳化香料組成物は、上記成分(A)〜(C)以外にも、本発明の効果を失わない範囲で任意の成分を更に含んでいてよい。以下、そのような成分を例示する。
本発明の乳化香料組成物は、動植物油脂を含んでいてもよい。動植物油脂は特に限定されないが、大豆油、ナタネ油、コーン油、オリーブ油、ヤシ油、サフラワー油、ヒマワリ油、米油、米サラダ油、ゴマ油、パーム油、ピーナッツ油などの植物油脂類およびそれらの硬化油;牛脂、豚脂、鶏油、魚油などの動物油脂類およびその硬化油;中鎖脂肪酸トリグリセライド(MCT)などを挙げることができ、これらを単独または2種以上併用することができる。本発明の乳化香料組成物に占める動植物油脂の割合は特に限定されるものではないが、乳化香料組成物の成分(A)の1質量部に対し、例えば、0.4〜4質量部、または0.8〜2質量部の範囲内であってよい。
本発明の乳化香料組成物は、水を含んでいてもよい。水を含有する乳化香料組成物は水への混和性が高く、水性溶媒中に安定的に存在しやすくなり得る。本発明の乳化香料組成物に占める水の割合は特に限定されないが、例えば、乳化香料組成物全量に対して2〜20質量%であってよい。
本発明の乳化香料組成物は、油溶性抗酸化剤を含んでいてもよい。油溶性抗酸化剤は特に限定されず、例えば、従来公知の油溶性抗酸化剤を使用することができ、具体例として、トコフェロール、ローズマリー抽出物、ビタミンCパルミテート、アスコルビン酸パルミテート、セザモール、γ−オリザノールなどが挙げられる。これらの油溶性抗酸化剤の1種を使用、または2種以上を併用することができる。かかる油溶性抗酸化剤の使用量は特に限定されず任意に設定できるが、例えば、成分(A)の全量に対して2〜30重量%、好ましくは5〜20重量%を挙げることができる。テルペン系炭化水素香料化合物は酸化劣化を受けやすい特性があるが、油溶性抗酸化剤を含有させることで、酸化劣化の防止に有効である。
本発明の乳化香料組成物は、更に比重調整剤を含んでいてもよい。比重調整剤とは、乳化香料組成物の比重を添加しようとする飲料の比重に合わせるように調整するために使用されるものである。比重調整剤の種類は特に限定されず、従来公知の任意のものを1種または2種以上用いてよいが、例としてシュークロース・ジアセテート・ヘキサイソブチレート(SAIBとも呼ばれる)が挙げられる。
本発明の乳化香料組成物は、本発明の効果を妨げない範囲で、更にその他の水溶性または油溶性の各種成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、例えば、水溶性色素(例えば、食用赤色2号、同3号、同102号、同104号、同105号および第106号;食品黄色4号および同5号;食用緑色3号;食用青色1号および同2号などの合成タール系色素;カカオ色素、クチナシ黄色素、クチナシ青色素、クチナシ緑色素、グレープスキン色素、コチニール色素、紫トウモロコシ色素、紫キャベツ色素、シソ色素、ハイビスカス色素、レッドビート色素、紅花色素、ラック色素、ターメリック色素、カラメル色素などの天然色素);油溶性色素(例えば、パプリカ色素、アナトー色素、トマト色素、マリーゴールド色素、デュナリエラカロチン、ニンジンカロチン、パーム油カロチン、β−カロチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、リコピン、クロロフィルなどの天然色素);水溶性ビタミン(例えば、ビタミンC、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸);油溶性ビタミン(例えば、ビタミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK);香料保留剤(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル、ジプロピレングリコール、グリセリン、ヘキシルグリコール、ベンジルベンゾエート、トリエチルシトレート、ジエチルフタレート、ハーコリン、中鎖脂肪酸トリグリセリド、中鎖脂肪酸ジグリセリド);前記以外の乳化剤、増粘剤、安定剤などを挙げることができる。
<本発明の乳化香料組成物の粒径>
本発明の乳化香料組成物の粒径は特に限定されないが、以下に記載の粒径とすることができる。
乳化粒子の平均粒子径は、任意の粒子径測定機器を用いて測定してよく、例えば、動的光散乱粒度分布計またはレーザー回折粒度分布測定装置、より具体的には、レーザーゼータ電位計ELS−8000(品名)(大塚電子社製)を用いて測定することができる。本発明の乳化香料組成物の平均粒径は、0.2μm以下、0.1μm以下、または0.08μm以下であってよいが、これらに限定されない。粒径が小さければクリアエマルジョンとなり、透明な飲食品にもその透明性を損なうことなく配合できる観点から好ましい。
ここでクリアエマルジョンとは、透明な飲食品に添加しても透明に分散する乳化組成物を意味し、透明とは添加した飲食品の濁度が一定の値以下に保たれることを意味する。濁度の測定には任意の方法および装置を用いてよいが、例えば、本発明の乳化香料組成物を水(純水、イオン交換水などの精製した水)に0.1質量%の濃度で希釈し、測定波長680nmにおける吸光度(Abs.)を測定することによって求めることができる。本発明の乳化香料組成物の濁度をこのように求めた場合、当該濁度の値は、上限が0.10、0.08、0.06、0.04、0.02、0.01、または0.008であってよく、好ましくは0.02以下、より好ましくは0.01以下である場合にクリアエマルジョンということができるが、必ずしもこれらの値に限定されるものではない。好ましくは、本発明の乳化香料組成物は、当該組成物を加えた飲食品、特に飲料の濁度が、一定時間以上、例えば、24時間、3日、または1週間の静置後でも一定の値以下であり、例えば、上述の上限値以下であることが好ましい。
本発明の乳化香料組成物をクリアエマルジョンとする方法として、(B)成分の乳化剤として、前述の精製ポリグリセリン脂肪酸エステルを使用する方法を例示することができる。
<本発明の乳化香料組成物の製造方法>
本発明の乳化香料組成物は、テルペン系炭化水素を含有する油相部(成分(A)を含む油溶性成分)と任意の水相部(成分(B)および(C)を含む水溶性成分)とを、公知の任意の方法で撹拌混合などして製造することができる。
例えば、水相部と油相部とを混合し、T.K.ロボミックス(登録商標)(プライミクス社製)などの乳化機を用いて、約5000rpm〜約10000rpmの回転数で、約5分〜約20分間撹拌して乳化する。また、T.K.ロボミックスに代えて、これと同等もしくはそれ以上の乳化能力を有するものであれば、従来公知の高圧ホモジナイザー或いはコロイドミルなどの乳化機を用いて乳化処理してもよい。または、水相部と油相部とを撹拌機などで混合して予備乳化し、得られた予備乳化液をホモミキサー、ホモジナイザーなどの乳化機を用いて高速撹拌して乳化すれば、乳化温度、撹拌速度、乳化時間などを調整することにより任意の平均粒子径(50〜800nm程度)の乳化香料組成物を得ることができる。
<本発明の乳化香料組成物の適用例>
本発明の乳化香料組成物は、飲食品、香粧品、保健衛生品、医薬品などに用いる香料組成物の調合素材として有用である。
本発明の乳化香料組成物を飲食品に配合する場合、本発明の乳化香料組成物を単独で飲食品に配合してもよいし、本発明の乳化香料組成物と、水溶性香料、本発明以外の乳化香料組成物、香料化合物(例えば、前掲の「日本における食品香料化合物の使用実態調査」および「合成香料 化学と商品知識」に記載される香料化合物)、精油、および果汁から選択される1種または2種以上と併せて配合してもよい。併用する香料化合物、香料組成物、精油、および果汁は特に限定されない。
本発明の乳化香料組成物と併用可能な水溶性香料の例としては、ブルーベリー、ラズベリー、クランベリー、ストロベリーなどのベリー系の水溶性香料;オレンジ、レモン、ライム、グレープフルーツなどの柑橘系の水溶性香料組成物;アップル、プラム、ピーチなどのソフトフルーツ系の水溶性香料;などが挙げられるが、これらに限定されない。水溶性香料は、含水エタノールを用いたエッセンス香料でもよいし、プロピレングルコールなどの有機溶媒を用いたものでもよいし、その両方でもよい。水溶性香料は、任意の市販品を用いてもよい。
また、本発明の乳化香料組成物と併用可能な精油の例としては、オレンジオイル、レモンオイル、グレープフルーツオイルなどの精油類が挙げられ、本発明の乳化香料組成物と併用可能な果汁の例としては、オレンジ果汁、レモン果汁、グレープ果汁、グレープフルーツ果汁、アップル果汁、ピーチ果汁、パイナップル果汁などの果汁類が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の乳化香料組成物によって天然感やバランスのよい風味を付与、改良、または増強することができる飲食品としては、例えば、飲料、調味料、ドレッシング、冷菓、デザート、レトルト食品、畜肉加工食品、水産加工食品などを挙げることができるが、これらに限定されない。これら飲食品に配合される乳化香料組成物の量は、飲食品の種類、形態などにより異なるが、一般的には飲食品全量に対して0.005〜2質量%の範囲を例示することができる。これら飲食品の具体例として、コーラ飲料、果汁入り炭酸飲料、乳類入り炭酸飲料などの炭酸飲料類;果汁飲料、野菜飲料、スポーツドリンク、ハチミツ飲料、豆乳、ビタミン補給飲料、ミネラル補給飲料、栄養ドリンク、滋養ドリンク、乳酸菌飲料、乳飲料などのソフト飲料類;緑茶、紅茶、ウーロン茶、ハーブティー、ミルクティー、コーヒー飲料などの嗜好飲料類;チューハイ、カクテルドリンク、発泡酒、果実酒、薬味酒などのアルコール飲料類;バター、チーズ、ミルク、ヨーグルトなどの乳製品;アイスクリーム、ラクトアイス、氷菓、ヨーグルト、プリン、ゼリー、デイリーデザートなどのデザート類およびそれらを製造するためのミックス類;キャラメル、キャンディー、錠菓、クラッカー、ビスケット、クッキー、パイ、チョコレート、スナックなどの菓子類およびそれらを製造するためのケーキミックスなどのミックス類;パン、スープ、各種インスタント食品などの一般食品類;歯磨きなどの口腔用組成物;などを挙げることができるが何ら限定されるものではない。
具体例を示すと、果実風味飲食品または糖酸水などのシロップに、適宜水溶性香料も併用のうえ、本発明の乳化香料組成物を0.005〜2質量%程度配合することにより、果汁感や果実感、味の厚み、ボディー感などのいわゆるコク味を増強し、飲食品の風味のバランスを改善し、天然感を付与することができる。
なお、果汁感や果実感とは、果実独特の呈味を形成する感覚であって、添加することにより、実際に使用した果汁や果実の量より多く果汁や果実を使用したと感じさせる、飲み応えのある感覚である。また、味の厚みとは、飲食品を口に含んだとき、または、飲み込んだ時に口中全体から喉の奥にかけてしばらく味が持続し、味わいが深いと感じさせるような感覚である。また、ボディー感とは、味の骨格がしっかりしていて、かつ、まろやかでふくらみがあり、呈味全体に強さをもたらすような感覚である(本明細書では、味の厚みとボディー感を併せてコク味ということがある)。また、バランスとは果実の呈味バランスを意味し、酸味、甘味の他、前述の味の厚み・ボディー感、果汁感、果実感、果皮感などが良好に調和した感覚を意味する。
また、本発明の乳化香料組成物は、香粧品、保健衛生品、医薬品などに配合する調合香料、例えば、ベルガモット調、ゼラニウム調、ローズ調、ブーケ調、ヒヤシンス調、ラン調、フローラル調などの調合香料に配合することによってその香気の特徴をより強調することができ、天然感にあふれたバランスのよい香りを再現することもできる。
以下に実施例および比較例を挙げて本発明の具体的態様を詳しく説明する。なお、以下の表に記載の数字は質量部を示す。
[実施例1]
テルペン系炭化水素香料化合物を含有する水溶性香料および乳化香料組成物の、水性溶媒中での安定性を確認した。
下記表1に示す処方により水相部と油相部とを調製し、これらをT.K.ロボミックス(プライミクス社製)により8000rpmで10分間撹拌しながら混合し、水中油型乳化香料組成物(本発明品1、β−カリオフィレンを3.7質量%含有)を調製した。得られた乳化香料組成物の平均粒径は0.07μmであった。
Figure 2018123288
なお、精製デカグリセリンモノステアレート(エステル化度1.7)は、特許公報4512022に記載の方法によって調製したものを用いた。
一方で、下記表2に示す処方にてβ−カリオフィレンを3.7質量%含有するエタノール溶液を調製した(比較品1)。
Figure 2018123288
次いで、本発明品1または比較品1をそれぞれ純水に0.1質量%添加した後撹拌し、本発明品1または比較品1を0.1質量%含有する混合液(以下、それぞれ混合液1、比較混合液1と称する)を調製し、各混合液を200ml飲料用透明ガラス瓶に充てん後打栓し、85℃にて15分間殺菌後、冷却した。得られた比較混合液1は白濁していたが、混合液1は清澄であった。混合液1および比較混合液1の濁度を測定波長680nmの吸光度として得たところ、それぞれ濁度0.008および濁度0.10であった。
次いで、殺菌後の各混合液を気温20℃で1週間静置した後、濁度およびネックリング発生の有無を目視確認した。比較混合液1ではネックリングが形成されていたが、混合液1はネックリングが確認されなかった。1週間静置後の混合液1および比較混合液1の濁度を測定波長680nmの吸光度として得たところ、それぞれ0.008および0.05であった。
以上から、本発明の乳化香料組成物は、水溶性が低いテルペン系炭化水素香料化合物を、実質的にアルコールを含まない透明な液体(本実施例においては純水)にその透明さを損なわないままに多量に配合できることが確認された。
[実施例2] テルペン系炭化水素香料化合物を高含有する香料組成物の調製と香味への効果
(1)テルペン系炭化水素の高配合による香味への効果
下記表3に示す2種類の処方によりアップルフレーバー(処方Aおよび処方B)を調製した。
Figure 2018123288
処方Aのアップルフレーバー(以下、アップルフレーバーAと称する)の0.031質量%エタノール溶液、およびテルペン系炭化水素香料化合物としてファルネセンを高含有する処方Bのアップルフレーバー(以下、アップルフレーバーBと称する)の0.071質量%エタノール溶液を調製し、それぞれの溶液について、熟練した5名のパネラーによる官能評価を行った。官能評価は30mlサンプル瓶に各エタノール溶液を収容し、瓶口の香気およびその溶液を含浸させたにおい紙を鼻で嗅いで感じられる香気について行った。
その結果、パネラー全員が、ファルネセンを高含有するアップルフレーバーBの方が、アップルフレーバーAよりアップルの果汁感、果皮感ともに強く感じられ、力強い香気であり、バランスがよく天然感に富むと評価した。
(2)乳化香料組成物の調製
次いで、これらのアップルフレーバーを含有する乳化香料組成物の調製を試みた。
乳化香料組成物の調製は実施例1と同様の方法で行った。配合処方を表4に示す。アップルフレーバーAを含有するものを乳化香料組成物A(比較品2)、アップルフレーバーBを含有するものを乳化香料組成物B(本発明品2)とした。
Figure 2018123288
乳化香料組成物AおよびBを調製後、その保存安定性を確認する試験を行った。保存安定性の尺度は、高温保存条件における各乳化香料組成物の平均粒径変化の度合いとした。
まず、乳化香料AおよびBの平均粒径を、粒度分布計(マルバーン製、ゼータサイザーナノZSP)を用いて確認したところ、それぞれ0.09μmおよび0.13μmであった。次いで飲料AおよびBを40℃の恒温槽に静置し、静置開始後1日および5日にて乳化香料AおよびBの平均粒径を静置前と同様に観察したところ、静置1日後でそれぞれ0.12μmおよび0.12μmであり、静置5日後でそれぞれ0.2μmおよび0.13μmであった。エステル類を多く含有する乳化香料Aは高温保存後直ちに粒径が大きくなり不安定であり、乳化状態が維持できないことが示唆された一方で、エステル類に加えてテルペン系炭化水素であるファルネセンを高含有する乳化香料Bは粒径にほとんど変化が見られず乳化状態を安定的に維持できることが確認された。
(3)テルペン系炭化水素を高含有する乳化香料組成物およびエッセンス香料の飲食品への添加効果
水溶性香料として、エッセンス香料を、アップルフレーバーAまたはBを下記表5に示す処方により約60%の含水エタノールに混合溶解して調製した。アップルフレーバーAを含有するものをエッセンス香料1、アップルフレーバー2を含有するものをエッセンス香料2とした。
Figure 2018123288
アップルフレーバーAおよびBともに、約60%のエタノールに透明に溶解し、エッセンス香料1おおよび2は目視で透明であった。
次いで、下記表6に示す処方のシロップを調製した。
Figure 2018123288
得られた香料、すなわち乳化香料B、ならびにエッセンス香料1および2を下記表7のように表6のシロップに配合して、飲料1〜4を調製した。
各飲料の風味、および各飲料における各香料組成物の安定性を評価した。具体的には、風味については調製直後に熟練したパネラー10名による官能評価を行い、安定性評価は、気温20℃で2週間静置後の外観(清澄さおよびネックリングの有無)を目視確認して行った。
10名のパネラーの平均的評価および安定性を下記表7に示す。
Figure 2018123288
飲料1(実施例)は、香り立ちが弱く、これは乳化による揮発性低下のため香り立ちが低下したためと考えられたが、リンゴをまるごと食したような満足感がやや感じられるという良好な特徴もみられた。飲料2(比較例)は一般的な処方によるエッセンス香料(エッセンス香料1)を使用した飲料であるが、香り立ちとフレッシュ感は良好だが、満足感および持続感に欠けていた。これは、ファルネセンを含んでいないことによるものと考えられる。また、飲料3(比較例)は、調製直後は風味は良好であったものの、飲料中での安定性に乏しく風味や美観を損なうネックリングの発生が見られ、風味の持続性にも乏しかった。ネックリングの原因は、アップルフレーバー1と2の処方の差からファルネセンによるものと考えられた。一方で飲料4は、果実丸ごとを想起させるバランスのよい風味が付与されて満足感と天然感があり、かつ安定性および持続性も良好であった。
以上の結果から、本発明のテルペン系炭化水素香料化合物高含有の乳化香料組成物は、飲料に添加するとリンゴを丸ごと食したような満足感が得られる風味を飲料に付与し、また、前記飲料は清澄で安定性が良好であることが確認された。さらにまた、本発明のテルペン系炭化水素香料化合物高含有の乳化香料組成物と一般的な処方によるエッセンス香料(エッセンス香料1)とを併用すると、乳化香料および水溶性香料単独では付与できない風味を付与できることが確認された。よって本実施例で、テルペン系炭化水素を選択的に乳化香料組成物に高含有させることで、これまでにない良好な香味を付与しつつ飲料中での安定性も維持できることが確認された。
[実施例3] 本発明の乳化香料組成物と水溶性香料との併用例
下記表8に示す処方により水相部および油相部を調製し、これらをT.K.ロボミックス(登録商標)(プライミクス社製)により8000rpmで10分間撹拌しながら混合し、水中油型乳化香料組成物を2種類(本発明品3および比較品3)調製した。得られた各乳化香料組成物の平均粒径を実施例2と同様に測定したところ、どちらも0.06μmであった。
Figure 2018123288
また、エッセンス香料を以下の通り調製した。
エタノール600gおよび水400gを混合して混合溶剤とし、ここにイタリア産レモンコールドプレスオイル(リモネン濃度68%、シトラール濃度3.5%)100gを加え、25±2℃にて10分間攪拌抽出を行った。1時間静置後、下層(抽出溶剤層)を採取し、冷蔵庫にて4℃に冷却(16時間静置)し、4℃の温度を維持したまま、No.2濾紙(8cm)にセルロースパウダー10gをプレコートしたヌッチェを使用して一定圧力にて吸引濾過(減圧度13.33KPa)を行い、清澄な濾液を得て、レモン様香味を呈するエッセンス香料とした(エッセンス香料3)。
得られた香料、すなわち本発明品3、比較品3、およびエッセンス香料3を下記表9のようにシロップ(表6に記載と同じもの)に配合して、3種類の飲料(飲料5〜7)を調製した。
これら3種類の飲料について、熟練したパネリスト20名による官能評価を行った。評価基準として、フレッシュ感、コク味、バランスのそれぞれについて、10点を満点として次の基準により評価するとともに、感じられた具体的な香味についてのコメントを記録した。
非常によい:10点
良い:8点
やや良い:6点
やや悪い:4点
悪い:2点
非常に悪い:0点
その評価の平均点および平均的なコメントを下記表に示す。
Figure 2018123288
表9に示した通り、テルペン系炭化水素を高含有する本発明の乳化香料組成物(本発明品3)は、テルペンレスオイルを含有する乳化香料組成物(比較品3)に比べ、水溶性香料と併用した際、格段に良好な風味を飲食品にもたらすことが確認された。
[実施例4] 本発明の乳化香料組成物と水溶性香料との併用例
下記表10に示す処方により水相部および油相部を調製し、これらをT.K.ロボミックス(登録商標)(プライミクス社製)により8000rpmで10分間撹拌しながら混合し、水中油型乳化香料組成物を3種類(本発明品4、比較品4、および比較品5)調製した。本発明品4において、テルペン系炭化水素は、実施例1と同じβ−カリオフィレンを用い、更に、本発明品4および比較品4には柑橘類などの呈味に良質な苦味を付与する化合物として知られる4−メンチルオキシ−2−ブタノンも配合した(特開2016−084418号公報および特許6001031号公報を参照)。比較品5は、市販の75%テルペンレスグレープフルーツオイルを油相部として用いた。
得られた乳化香料組成物の平均粒径を実施例2と同様にして測定したところ、いずれも0.07μmであった。
Figure 2018123288
また、エッセンス香料を以下の通り調製した。
エタノール600gおよび水400gを混合し、混合溶剤とした。ここに、アメリカ産グレープフルーツコールドプレスオイル(リモネン濃度84%、ミルセン濃度3.5%)100gを加え、25±2℃にて10分間攪拌抽出を行った。以後の工程は実施例3と同様にして清澄な濾液を得て、エッセンス香料4とした。
得られた香料、すなわち本発明品4、比較品4、比較品5、およびエッセンス香料4を下記表11のようにシロップ(表6と同じもの)に配合して、4種類の飲料(飲料8〜11)を調製した。
これら4種類の飲料について、実施例3と同様に熟練したパネリスト20名による官能評価を行った。評価基準は実施例3と同様である。
その評価の平均点および平均的なコメントを下記表11に示す。
Figure 2018123288
表11に示した通り、テルペン系炭化水素を高含有する本発明の乳化香料組成物は、テルペンレスオイルやテルペン系炭化水素以外の香料化合物を含有した乳化香料組成物に比べ、水溶性香料と併用した際、格段に良好な香味を飲食品にもたらすことが確認された。
[実施例5] 本発明の乳化香料組成物が果汁の香味へ与える効果
本発明のテルペン系炭化水素高含有乳化香料組成物が果汁の香味に与える効果を確認した。
実施例4で調製した乳化香料組成物(本発明品4)または比較品5(テルペンレスオイルを含有する乳化香料組成物)をそれぞれ下記処方のゼリーに添加し、常法により透明なゼリーを調製し、実施例4と同様に官能評価を行った。
Figure 2018123288
その結果、実施例4と同様に、比較品5を添加したゼリーは、香り立ちは良好だが香味が弱くミドル以降が弱いためバランスが悪く、一方で本発明品4を添加したゼリーは、グレープフルーツの果汁感、果実感および果皮感の増強によって果実をまるごと食しているような満足感と天然感のある風味が付与され、風味全体のバランスがよいほか、風味の持続性も良好であると評価された。
[実施例6] 本発明の乳化香料組成物が飲食品の果汁使用量に与える影響
本発明の乳化香料組成物が飲食品の果汁使用量に与える影響を確認した。
まず、実施例4で調製した水溶性香料(エッセンス香料4)および乳化香料組成物(本発明品4)を用意した。
次いで、濃縮グレープフルーツ果汁(1/5Conc果汁)200gに、水を加えて1000mlとした後、エッセンス香料4を0.06質量%添加し、飲料12(比較例)を調製した。
一方、濃縮グレープフルーツ果汁(1/5Conc果汁)160gに、水を加えて1000mlとした後、エッセンス香料4を0.03質量%および本発明品4を0.03質量%添加し、飲料13(実施例)を調製した。
次いで、各飲料について、熟練したパネラー10人による官能評価を行った。
その結果、パネラー10名の全員から、飲料13(実施例)の呈味は、飲料12(比較例)より強く、更にコク味も増強されていると評価された。
以上から、本発明の乳化香料組成物を使用することで果汁の使用量を抑えても良好な風味が得られ、コスト削減につながることが確認された。
[実施例7] 各種テルペン系炭化水素香料化合物高含有の乳化香料組成物の安定性および風味への効果
実施例1〜6で使用した以外の種々のテルペン系炭化水素香料化合物の安定性および風味について、実施例1および2と類似の試験を行った。
具体的には、テルペン系炭化水素香料化合物であるミルセン、カンフェン、α−フェランドレン、3−カレン、p−サイメン(p−シメンとも呼ばれる)、バレンセン、テルピノーレン、およびカジネンのそれぞれについて、下記の処方(表1と同じもの)にて乳化香料組成物を調製した(本発明品5〜12)。
Figure 2018123288
次いで、得られた本発明品をそれぞれ純水に0.1質量%添加した後撹拌し、本発明品5〜12をそれぞれ0.1質量%含有する混合液を調製し、実施例1と同様にして殺菌後冷却した。次いで、20℃で1週間静置した。調製直後および1週間静置後の各混合液の濁度(測定波長680nm)を表15に示す。なお、混合液の外観はいずれも、調製直後および1週間静置後において清澄であった。
また、得られた本発明品5〜12および実施例2に記載のエッセンス香料1(テルペン系炭化水素香料化合物を含まないエッセンス香料、表5と同じもの)をシロップ(表6と同じもの)にそれぞれ0.5質量%添加した飲料14〜21(実施例)、およびシロップにエッセンス香料1のみを1.0質量%添加した飲料(比較例)を調製し、これらの飲料について熟練した20名のパネラーによる官能評価を行った。具体的には、比較例飲料と比べた実施例飲料の果汁感および果皮感についてのコメントを記録した。
パネラー20名の平均的なコメントは、飲料14〜21はいずれも、エッセンス香料のみを添加した比較例飲料に比べて、果汁感および果皮感が格段に増強されており天然感とバランスが良好である、というものだった。
Figure 2018123288
以上から、上記のテルペン系炭化水素香料化合物を高含有する乳化香料組成物のいずれも、水性溶媒中で十分に安定であり、かつ水溶性香料と併用することで、飲食品の風味を格段にかつバランスよく改善することが確認された。

Claims (10)

  1. 下記(A)、(B)、および(C)を含有する水中油型乳化香料組成物。
    (A)香料
    下記(a)および(b)の香料化合物を、香料全量に対し下記の割合で含有する
    (a)テルペン系炭化水素香料化合物(リモネンを除く):10質量%以上
    (b)リモネン:0質量%以上50質量%未満
    (B)乳化剤
    (C)糖類、エタノール、および多価アルコールからなる群より選ばれる1種または2種以上
  2. (A)香料が、更に(c)含酸素香料化合物を、(A)香料全量に対し90質量%未満含有する、請求項1に記載の水中油型乳化香料組成物。
  3. 更に(D)動植物油脂、(E)水、および(F)油溶性抗酸化剤から選択される1種または2種以上を含有する、請求項1または2に記載の水中油型乳化香料組成物。
  4. (a)テルペン系炭化水素香料化合物が、アロオシメン、オシメン、ミルセン、ジヒドロミルセン、α−ファルネセン、β−ファルネセン、α−ピネン、β−ピネン、カンフェン、α−フェランドレン、α−テルピネン、β−テルピネン、γ−テルピネン、3−カレン、p−サイメン、α−ビサボレン、β−ビサボレン、γ−ビサボレン、α−セドレン、β−セドレン、α−カリオフィレン、β−カリオフィレン、γ−カリオフィレン、バレンセン、α−ツヨプセン、β−ツヨプセン、α−グアイエン、β−グアイエン、γ−グアイエン、δ−グアイエン、ロンギホレン、テルピノーレン、カジネンからなる群より選ばれる1種または2種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水中油型乳化香料組成物。
  5. 水中油型乳化香料組成物がクリアエマルジョンである請求項1〜4のいずれか1項に記載の水中油型乳化香料組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の水中油型乳化香料組成物が配合された飲食品。
  7. 更に水溶性香料が配合された請求項6に記載の飲食品。
  8. 水溶性香料がエッセンス香料である請求項7に記載の飲食品。
  9. 飲食品が飲料である請求項6〜8のいずれか1項に記載の飲食品。
  10. 飲料が透明飲料である請求項9に記載の飲料。
JP2017019024A 2017-02-03 2017-02-03 テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物 Active JP6847520B2 (ja)

Priority Applications (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017019024A JP6847520B2 (ja) 2017-02-03 2017-02-03 テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物
CN201880005075.5A CN110049684A (zh) 2017-02-03 2018-01-26 大量含有萜烯系烃香料化合物的水包油型乳化香料组合物
PCT/JP2018/002573 WO2018143103A1 (ja) 2017-02-03 2018-01-26 テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物
TW107103174A TWI700045B (zh) 2017-02-03 2018-01-30 高度含有萜系烴香料化合物之水中油型乳化香料組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017019024A JP6847520B2 (ja) 2017-02-03 2017-02-03 テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018123288A true JP2018123288A (ja) 2018-08-09
JP6847520B2 JP6847520B2 (ja) 2021-03-24

Family

ID=63039767

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017019024A Active JP6847520B2 (ja) 2017-02-03 2017-02-03 テルペン系炭化水素香料化合物高含有の水中油型乳化香料組成物

Country Status (4)

Country Link
JP (1) JP6847520B2 (ja)
CN (1) CN110049684A (ja)
TW (1) TWI700045B (ja)
WO (1) WO2018143103A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
BR112021017946A2 (pt) * 2019-03-13 2021-11-16 Ajinomoto Kk Intensificadores de sensação de revestimento na boca e de sensação de café torrado, métodos para intensificar uma sensação de revestimento na boca, para produzir um alimento, para produzir um intensificador de sensação de revestimento na boca e para intensificar uma sensação de café torrado, e, alimento
JP6600116B1 (ja) * 2019-07-19 2019-10-30 高砂香料工業株式会社 香料組成物
CN115386429B (zh) * 2022-09-07 2024-01-09 北冰洋(北京)饮料食品有限公司 一种红桔精油的分级精制方法和应用

Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5863365A (ja) * 1981-10-12 1983-04-15 Asahi Denka Kogyo Kk 乳化乃至可溶化香料組成物
JPH04139125A (ja) * 1990-09-28 1992-05-13 Takasago Internatl Corp 尋常性▲ざ▼瘡用皮膚外用剤
WO1994016682A1 (en) * 1993-01-21 1994-08-04 Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd. Novel, percutaneously absorbable preparation
JPH11130692A (ja) * 1997-10-23 1999-05-18 Kazuo Sakuma カバノアナタケ抽出物を含有する注射液及びその他の薬 剤並びに健康飲食製品
JP2003018974A (ja) * 2002-06-17 2003-01-21 Morinaga & Co Ltd 食品組成物
JP2004099568A (ja) * 2002-09-12 2004-04-02 Earth Chem Corp Ltd ゲル状防虫剤
JP2004323638A (ja) * 2003-04-23 2004-11-18 Mitsubishi Chemicals Corp テルペン類含有液状組成物
KR100873946B1 (ko) * 2007-06-11 2008-12-12 바이오스펙트럼 주식회사 알파-피넨을 유효성분으로 포함하는 피부주름 개선제
JP2009155227A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Yohei Tanaka 生体組織修復促進薬剤
JP2010265337A (ja) * 2009-05-12 2010-11-25 Lion Corp 香料の乳化分散物
JP2011109948A (ja) * 2009-11-26 2011-06-09 Q P Corp 酸性液状調味料及びその製造方法
JP2013103908A (ja) * 2011-11-14 2013-05-30 Yohei Tanaka 生体組織用薬剤
WO2014022859A1 (en) * 2012-08-03 2014-02-06 Essam Enan Antiparasitic compositions and methods
WO2014065346A1 (ja) * 2012-10-26 2014-05-01 ヴェ・マン・フィス香料株式会社 O/w型マイクロエマルション組成物

Family Cites Families (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3345744B2 (ja) * 1998-03-04 2002-11-18 森永製菓株式会社 エステル結合を有する新規なカプサイシノイド様物質
JP2001299890A (ja) * 2000-04-18 2001-10-30 Mitsubishi-Kagaku Foods Corp テルペン類を含有する透明ゲル状組成物
JP2004091742A (ja) * 2002-09-03 2004-03-25 Sanei Gen Ffi Inc キーライム香料およびキーライム香料含有食品
JP5260365B2 (ja) * 2009-03-12 2013-08-14 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社 改質シュガービートペクチンを用いて製造される乳化組成物及びその製造方法
JP2012152121A (ja) * 2011-01-25 2012-08-16 Ogawa & Co Ltd 飲食品用の油溶性物質乳化組成物およびそれを含有する飲食品
JP6097036B2 (ja) * 2012-09-11 2017-03-15 小川香料株式会社 果汁感増強剤
WO2016138505A1 (en) * 2015-02-27 2016-09-01 Ebbu, LLC Compositions comprising combinations of purified cannabinoids, with at least one flavonoid, terpene, or mineral
JP6262171B2 (ja) * 2015-04-09 2018-01-17 長谷川香料株式会社 果実香味増強剤
JP6300780B2 (ja) * 2015-12-24 2018-03-28 高砂香料工業株式会社 アルコール飲料用乳化香料組成物
JP6339128B2 (ja) * 2016-05-17 2018-06-06 長谷川香料株式会社 (3r,5r,8s)−5−イソプロペニル−3,8−ジメチル−3,4,5,6,7,8−ヘキサヒドロ−1(2h)−アズレノンおよび香料組成物
JP2017113011A (ja) * 2017-02-01 2017-06-29 高砂香料工業株式会社 アルコール飲料用乳化香料組成物

Patent Citations (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5863365A (ja) * 1981-10-12 1983-04-15 Asahi Denka Kogyo Kk 乳化乃至可溶化香料組成物
JPH04139125A (ja) * 1990-09-28 1992-05-13 Takasago Internatl Corp 尋常性▲ざ▼瘡用皮膚外用剤
WO1994016682A1 (en) * 1993-01-21 1994-08-04 Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd. Novel, percutaneously absorbable preparation
JPH11130692A (ja) * 1997-10-23 1999-05-18 Kazuo Sakuma カバノアナタケ抽出物を含有する注射液及びその他の薬 剤並びに健康飲食製品
JP2003018974A (ja) * 2002-06-17 2003-01-21 Morinaga & Co Ltd 食品組成物
JP2004099568A (ja) * 2002-09-12 2004-04-02 Earth Chem Corp Ltd ゲル状防虫剤
JP2004323638A (ja) * 2003-04-23 2004-11-18 Mitsubishi Chemicals Corp テルペン類含有液状組成物
KR100873946B1 (ko) * 2007-06-11 2008-12-12 바이오스펙트럼 주식회사 알파-피넨을 유효성분으로 포함하는 피부주름 개선제
JP2009155227A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Yohei Tanaka 生体組織修復促進薬剤
JP2010265337A (ja) * 2009-05-12 2010-11-25 Lion Corp 香料の乳化分散物
JP2011109948A (ja) * 2009-11-26 2011-06-09 Q P Corp 酸性液状調味料及びその製造方法
JP2013103908A (ja) * 2011-11-14 2013-05-30 Yohei Tanaka 生体組織用薬剤
WO2014022859A1 (en) * 2012-08-03 2014-02-06 Essam Enan Antiparasitic compositions and methods
WO2014065346A1 (ja) * 2012-10-26 2014-05-01 ヴェ・マン・フィス香料株式会社 O/w型マイクロエマルション組成物

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
FLAVOUR AND FRAGRANCE JOURNAL, vol. 30, JPN6020004231, 2015, pages 451 - 458, ISSN: 0004347107 *
季刊香料, vol. 第209号, JPN7019002150, 2001, pages 92 - 94, ISSN: 0004347106 *

Also Published As

Publication number Publication date
CN110049684A (zh) 2019-07-23
TW201828823A (zh) 2018-08-16
TWI700045B (zh) 2020-08-01
JP6847520B2 (ja) 2021-03-24
WO2018143103A1 (ja) 2018-08-09

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220202710A1 (en) Water-soluble formulations, methods of making and use
EP2789245B1 (en) Emulsion composition, and composition containing same
JP4294606B2 (ja) 乳化香料組成物
US20210177013A1 (en) Water-soluble formulations, methods of making and use
JP5581689B2 (ja) 乳化組成物
TW201139652A (en) Thermally stable oil-in-water emulsions containing an oil that contains polyunsaturated fatty acids
JP6262171B2 (ja) 果実香味増強剤
TWI700045B (zh) 高度含有萜系烴香料化合物之水中油型乳化香料組成物
JP2009207384A (ja) コエンザイムq10を含有する飲料用乳化組成物およびその製造法
JP7077301B2 (ja) 乳化組成物
JP7335812B2 (ja) 乳化組成物
JP5550555B2 (ja) メントールの風味改善剤及び風味改善方法
WO2021230353A1 (ja) パプリカ乳化色素製剤及びその製造方法
JP7359755B2 (ja) 乳化組成物
JP4166937B2 (ja) 新規粉末素材
JP2018070706A (ja) 柑橘様香味増強剤
CA3216145A1 (en) Water-soluble cannabis cannabinoid systems for infusing products with nanoemulsions having nanoscale sizes
EA042277B1 (ru) Сухие хлопья с активными компонентами
JP2005269908A (ja) 香味劣化抑制剤

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180910

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190703

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190830

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200204

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200401

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200915

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201111

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210302

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210302

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6847520

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150