JP2004323638A - テルペン類含有液状組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】テルペン類を高濃度で可溶化可能な組成物であって、長期保存安定性を保ち、温度の影響を受け難く、広い温度範囲で安定であり、利用範囲が限定されない、安全性の優れた液状組成物を提供する。
【解決手段】ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされているテルペン類含有液状組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされているテルペン類含有液状組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テルペン類含有液状組成物に関し、テルペン類が可溶化可能になされ又は可溶化されているテルペン類含有液状組成物に関する。本発明のテルペン類含有液状組成物は、安全性に優れており、化粧品、医薬品、食品などの幅広い分野で使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、香りがもたらす心理的作用が注目されている。例えば、植物から抽出される精油は、テルペン又はテルペノイド(植物の種々の部分から水蒸気蒸留で得られる植物精油)と同義語として使用されている。テルペンは、種々の植物(まれに動物)から得られる有機化合物のうち、炭素数が5の倍数で、生合成的見地からはn個のイソプレン又はイソペンタンから構成される前駆物質に由来すると考えられる物質の総称であり、狭義には、モノテルペン(及びセスキテルペン)を意味する(1987年10月12日、株式会社岩波書店発行、岩波「理化学辞典」第4版参照)。
【0003】
テルペンは、石鹸、芳香剤、入浴剤、口腔内消毒剤などのトイレタリー用品、食品用香料、医薬部外品として利用されている。例えば、生理活性を有する天然精油成分および香料成分を組み合わせた、精神的疲労回復効果のある浴用芳香組成物(例えば特許文献1参照)、精油とある特定成分とを含有させた、香調持続性の良い水性組成物(例えば特許文献2参照)等が知られている。
【0004】
近時、テルペン類を含有する透明ゲル状組成物の発明が提案されている(例えば特許文献3参照)。この発明は、入浴剤などに有効な高濃度でテルペンを水に容易に分散させることを可能とする。しかし、ゲル状組成物は、熱力学的に不安定な系であるため、長期の保存安定性は保てず、また、流動状態が悪いといった問題点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−20646号公報
【特許文献2】
特開平5−331047号公報
【特許文献3】
特開2001−299890号公報
【0006】
ところで、油性成分が可溶化された液状組成物、所謂マイクロエマルション又は液晶は、医薬品、化粧品、食品の分野で幅広く使用されている(以下、油性成分が可溶化された組成物を「マイクロエマルション」と言うことがある。)このものは、通常、水と油に乳化剤を加え、撹拌して得られるエマルジョンとは異なり、熱力学的に安定な系であるため、経時安定性が保たれるといった利点がある。また、比較的流動性にも優れるため、ハンドリング面でも利用が簡便である。
【0007】
そして、従来より、上記のマイクロエマルションの調製には、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が使用されてきた。これは、当該非イオン性界面活性剤の水溶液に、シクロヘキサン、テトラデカン等の炭化水素(油)(以下、「油」又は「油性成分」と言うことがある。)を加え、液の温度を上昇させていくと、非イオン性界面活性剤の曇点の手前で、水相中への炭化水素の可溶化量が急激に増大する領域が現れる、と言う性質を利用するものである。相図に示される可溶化限界温度から曇点までの領域では、水相中への油の溶解度が急激に増大し、所謂マイクロエマルションを形成していることが知られている。
【0008】
しかしながら、ポリオキシエチレン系界面活性剤−油−水系で得られるマイクロエマルションは、その系の親水−疎水バランス(HLB)が保たれた非常に狭い温度範囲(通常、〜10℃程度)でしか存在し得ず、この温度範囲外では、系は、直ちに又は経時的に白濁し、やがて水相と油相に分離してしまうという欠点がある。このため、医薬品や化粧品分野への応用は制限される。また、ポリオキシエチレン系界面活性剤を食品用途に使用することは、安全衛生上、問題があり、不可能であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、テルペン類を高濃度で可溶化可能な組成物であって、長期保存安定性を保ち、温度の影響を受け難く、広い温度範囲で安定であり、利用範囲が限定されない、安全性の優れた液状組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、テルペン類の可溶化剤として、食品用乳化剤として認可されているポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の要旨は、テルペン類含有液状組成物であって、ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされていることを特徴とするテルペン類含有液状組成物に存する。
【0012】
そして、本発明の第2の要旨は、テルペン類含有液状組成物であって、ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、テルペン類が可溶化されていることを特徴とする液状組成物に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のテルペン類含有液状組成物は、2つに大別され、その1つは、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされてマイクロエマルションの前駆体として位置づけられ(第1の要旨に係る発明)、他の1つはマイクロエマルションとして位置づけられる(第1の要旨に係る発明)。そして、上記のテルペン類含有液状組成物は、何れも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類および水の3成分を必須成分として含有する。また、任意成分として多価アルコールを含有する。以下、各成分につき説明する。
【0014】
<ポリグリセリン脂肪酸エステル>
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、水相中にテルペン類を可溶化させる機能を果たす。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、親水基部分であるポリグリセリンの平均重合度は、通常3以上、好ましくは8以上であり、通常20以下、好ましくは12以下である。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル1分子中における親水基部分の重量比率(ポリグリセリン部分/ポリグリセリン脂肪酸エステル、以下「親水−疎水バランス」と言う)は、通常0.3以上、好ましくは0.4以上である。また、その上限は、通常0.9、好ましくは0.8である。親水−疎水バランスの重量比率は、平均値であり、構成するポリグリセリン脂肪酸エステルが、全て一律な重量比率である必要はない。目的に応じて、親水−疎水バランスの異なるポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することも出来る。
【0015】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は、通常8〜24、好ましくは8〜18であり、また、構成脂肪酸は、飽和または不飽和であっても、直鎖または分岐状であってもよい。斯かる脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられる。これら脂肪酸は、目的に応じて2種以上の組合せで使用することも出来る。ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化度は、通常1以上、好ましくは1.5以上であり、通常5以下、好ましくは4以下である。
【0016】
上記の様なポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品用乳化剤として認可されているため、その使用により安全性に優れたマイクロエマルションを得ることが可能となる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルは温度の影響を受け難い非イオン性界面活性剤であるため、幅広い温度範囲での可溶化が期待できる。
【0017】
ところで、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水基部分であるポリグリセリンの重合度、構成脂肪酸の種類、ポリグリセリン脂肪酸エステル1分子中における脂肪酸の結合数(エステル化度)等により、種々のものがある。従って、可溶化すべきテルペン類の種類によって、適切なポリグリセリン脂肪酸エステルが選択される。本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステルとテルペン類との組合せは、0〜100℃の温度範囲において均一透明な外観を呈するテルペン類含有液状組成物となる様に選択するのが好ましい。
【0018】
<テルペン類>
本発明において、テルペン類としては、通常、各種の精油がそのまま使用される。狭義のテルペンはモノテルペン(及びセスキテルペン)を意味するが、本発明における「テルペン類」の用語は、広義のテルペン類を意味し、植物(まれに動物)から得られる有機化合物のうち、炭素数が5の倍数で、生合成的見地からはn個のイソプレン又はイソペンタンから構成される前駆物質に由来すると考えられる物質の総称である。
【0019】
モノテルペン類としては、α−ピネン、リモネン、ターピノレン、ミルセン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、1−メントール、シトラール、トロネラール、樟脳、メントン等が挙げられ、セスキテルペン類としては、β−カリオフィレン、サンタロール、ネロリドール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール等が挙げられる。これらテルペン類は、1種又は2種以上組み合わせて使用することが出来る。
【0020】
また、上記テルペン類を含む油性物質であれば、精油のままでも、これを更に精製したものであってもよい。その場合、上記テルペン類を50重量%以上含有することが好ましい。また、油性物質中、上記テルペン類以外の成分としては、液状の高級脂肪族炭化水素、動植物性油脂類、高級アルコール、高級脂肪酸、合成エステル油、グリコール高級脂肪酸エステル、シリコン油などが挙げられる。具体的には、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ヘキサデカン、流動パラフィン、スクワラン、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、オクチルドデカノール、オクチルドデシルミリステート、カプリン酸トリグリセリド、オレインアルコール、オレイン酸などが挙げられる。これらの成分は1種またはは2種以上組み合わせて使用することが出来る。
【0021】
<水>
水は、飲料用、工業用の何れに使用される水でもよい。また、硬水、軟水の何れでもよい。
【0022】
<その他の成分>
本発明の液状組成物には、上記の各成分の他に、多価アルコールを含むことが出来る。多価アルコールの種類としては、好適には炭素数が3〜6の多価アルコール、例えば、グリセリン、プロピレン、グリコール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール等の他、キシロース、グルコース、フラクトース、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等の二糖類が挙げられる。また、ポリグリセリンも好適に使用することが出来る。多価アルコールの使用割合は、液状組成物全重量に対し、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
【0023】
本発明の液状組成物を調製するには、上記の各成分を秤量し、混合・分散させればよい。各成分の混合順序は何ら制限されず任意である。各成分を一度に混ぜてもよいし、水とポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物にテルペン類を後から添加してもよい。この際の混合には、各成分を含む混合系に強力な剪断力を与える乳化機、高圧ホモジナイザー等、公知の剪断型混合機を使用することが出来る。また、各成分を含む混合系を緩く撹拌混合し、この系を一旦、この系の可溶化限界温度以上に昇温し、その後、冷却する方法によれば、特殊な剪断型混合機を使用することなく、均一な液状組成物を比較的容易に得ることが出来る。
【0024】
本発明の液状組成物全重量に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの割合は、通常3〜97重量%、好ましくは3〜50重量%、更に好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは3〜10重量%である。
【0025】
本発明の液状組成物全量に対するテルペン類の割合は、特に制限されないが、通常0.15重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、通常92.2重量%以下、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
【0026】
本発明の液状組成物全量に対する水の割合は、特に制限されないが、通常0.15重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、通常92.2重量%以下、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
【0027】
本発明の液状組成物中のテルペン類と水の合計量に対するテルペン類の割合は、特に制限されないが、通常5〜95重量%、好ましくは40〜60重量%、更に好ましくは50重量%である。
【0028】
本発明の液状組成物中の各成分の重量比(ポリグリセリン脂肪酸エステル:テルペン類:水)は、通常1:0.0015〜31:0.0015〜31であり、好ましくは1:0.4〜27:0.4〜27であり、更に好ましくは1:2〜20:2〜20であり、特に好ましくは1:4.5〜17:4.5〜17である。
【0029】
本発明の液状組成物には、前記の各成分の他に、ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成に要した原料の残存成分が含まれていてもよい。また、用途により必要に応じ、イオン性界面活性剤、配糖体、塩類や両親媒性物質などを添加してもよい。また、本発明の液状組成物が応用された製品には、必要に応じ、香料、色素、防腐剤、薬剤、増粘剤、キレート剤、紫外線吸収剤などを適宜添加することが出来る。
【0030】
本発明の液状組成物は、化粧品としては、洗浄剤、シャンプー、リンス、ヘアートニック、ヘアーオイル、ヘアーローション、アフターシェーブローション、ボディーローション、エモリエントオイル、化粧ローション、クレンジングオイル、エアゾール製品、消臭剤、芳香剤、脱臭剤、入浴剤などに使用することが出来る。また、医薬用途としては、経口投与製剤、皮膚または粘膜適用外用剤、注射製剤、ドラッグデリバリーシステム等に使用することが出来る。更に、食品用途として、アイスクリーム、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、チーズ、マヨネーズ、ドレッシング、ホイップクリーム、ソース、たれ、コーヒー飲料、アルコール飲料、乳飲料、可溶化油性香料などに使用することが出来る。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において、液状組成物についての安定温度範囲(℃)の測定は、次に記載の方法によった。
【0032】
<液状組成物についての安定温度範囲(℃)の測定方法>
直径10mmのガラス管に液状組成物を封入し、このガラス管を振盪して管内の液状組成物を均一に混合した後、所定温度に設定した恒温槽に浸漬し、数分ないし1時間静置し、管内の液状組成物の分離の有無を目視観察する。恒温槽の温度を変更しつつ、温度に応じて上の操作を繰り返し、液状組成物が二相分離しない温度範囲を確認し、「安定温度範囲(℃)」として、上限と下限の温度範囲を示す。上限と下限の温度範囲が広い程、温度安定性が優れていることを意味する。
【0033】
製造例1(ポリグリセリンラウリン酸エステルの製造)
反応容器に、ラウリン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が1/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を198.2g、ラウリン酸(Acid Chem社製「palmac98−12」)を51.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、ポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度96.6重量%のポリグリセリンラウリン酸エステル(平均エステル化度1.9)を得た。
【0034】
製造例2(ポリグリセリンラウリン酸エステルの製造)
反応容器に、ラウリン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が2/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を164.3g、ラウリン酸(Acid Chem社製「palmac98−12」)を85.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、ポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度99.0重量%のポリグリセリンラウリン酸エステル(平均エステル化度2.7)を得た。
【0035】
製造例3(ポリグリセリンラウリン酸エステルの製造)
反応容器に、ラウリン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が3/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を140.2g、ラウリン酸(Acid Chem社製「palmac98−12」)を109.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、ポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度99.6重量%のポリグリセリンラウリン酸エステル(平均エステル化度3.4)を得た。
【0036】
製造例4(ポリグリセリンパルミチン酸エステルの製造)
反応容器に、パルミチン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が1/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を187.2g、パルミチン酸(日本油脂社製「NAA−160」)を62.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、純度60.1重量%のポリグリセリンパルミチン酸エステル(平均エステル化度2.1)を得た。
【0037】
製造例5(ポリグリセリンパルミチン酸エステルの製造)
製造例4で得られたポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度96.8重量%のポリグリセリンパルミチン酸エステル(平均エステル化度2.1)を得た。
【0038】
実施例1〜5
製造例1〜5で得られたポリグリセリン脂肪酸エステル、リモネン、蒸留した脱塩水を表1に示す各配合比で混合し、加熱撹拌を行って均質化し、恒温槽に保持した。そして、前述の方法に従って安定温度範囲(℃)を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例6
製造例5で得られたポリグリセリン脂肪酸エステル、リモネン、蒸留した脱塩水、グリセリンを表1に示す配合比で混合し、加熱撹拌を行って均質化し、恒温槽に保持した。そして、前述の方法に従って安定温度範囲(℃)を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
ポリ(オキシエチレン)ドデシルエーテル(東京化成工業製)、リモネン、蒸留した脱塩水を表1に示す混合比率で混合し、加熱撹拌を行って均質化し、恒温槽に保持した。そして、前述の方法に従って安定温度範囲(℃)を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より次の事項が明らかである。
【0043】
(1)本発明の液状組成物は、マイクロエマルションを形成することが出来、このものは温度の影響を受け難く、広い温度範囲で二相分離することなく、安定である(実施例1〜6)。
(2)これに対し、ポリオキシエチレン系界面活性剤を使用した比較例1では、得られたマイクロエマルションの安定温度範囲が非常に狭く、本発明の目的が達成されない。
(3)また、本発明の液状組成物では、界面活性剤量に対して、7.8重量倍ものテルペン類成分を可溶化することが出来る(実施例3)。
【0044】
【発明の効果】
本発明のテルペン類含有液状組成物は、次の様な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
【0045】
(1)本発明の液状組成物は、熱力学的に安定なマイクロエマルションを形成することが出来るため、長期の保存安定性に優れ、また、流動性が良いのでハンドリング面でも利用が簡便である。
(2)従来のポリオキシエチレン系界面活性剤を使用したマイクロエマルションでは、安定に存在し得る温度範囲が狭いという欠点があったが、発明の液状組成物は、0〜100℃という広い温度範囲で安定であり、温度安定性が極めて優れている。
(3)本発明の液状組成物は、油性成分が食品用乳化剤として認可されているポリグリセリン脂肪酸エステルによって可溶化されているため、極めて安全性に優れる。
(4)本発明の液状組成物は、調製が容易であり、利用範囲が広い。
【発明の属する技術分野】
本発明は、テルペン類含有液状組成物に関し、テルペン類が可溶化可能になされ又は可溶化されているテルペン類含有液状組成物に関する。本発明のテルペン類含有液状組成物は、安全性に優れており、化粧品、医薬品、食品などの幅広い分野で使用される。
【0002】
【従来の技術】
近年、香りがもたらす心理的作用が注目されている。例えば、植物から抽出される精油は、テルペン又はテルペノイド(植物の種々の部分から水蒸気蒸留で得られる植物精油)と同義語として使用されている。テルペンは、種々の植物(まれに動物)から得られる有機化合物のうち、炭素数が5の倍数で、生合成的見地からはn個のイソプレン又はイソペンタンから構成される前駆物質に由来すると考えられる物質の総称であり、狭義には、モノテルペン(及びセスキテルペン)を意味する(1987年10月12日、株式会社岩波書店発行、岩波「理化学辞典」第4版参照)。
【0003】
テルペンは、石鹸、芳香剤、入浴剤、口腔内消毒剤などのトイレタリー用品、食品用香料、医薬部外品として利用されている。例えば、生理活性を有する天然精油成分および香料成分を組み合わせた、精神的疲労回復効果のある浴用芳香組成物(例えば特許文献1参照)、精油とある特定成分とを含有させた、香調持続性の良い水性組成物(例えば特許文献2参照)等が知られている。
【0004】
近時、テルペン類を含有する透明ゲル状組成物の発明が提案されている(例えば特許文献3参照)。この発明は、入浴剤などに有効な高濃度でテルペンを水に容易に分散させることを可能とする。しかし、ゲル状組成物は、熱力学的に不安定な系であるため、長期の保存安定性は保てず、また、流動状態が悪いといった問題点がある。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−20646号公報
【特許文献2】
特開平5−331047号公報
【特許文献3】
特開2001−299890号公報
【0006】
ところで、油性成分が可溶化された液状組成物、所謂マイクロエマルション又は液晶は、医薬品、化粧品、食品の分野で幅広く使用されている(以下、油性成分が可溶化された組成物を「マイクロエマルション」と言うことがある。)このものは、通常、水と油に乳化剤を加え、撹拌して得られるエマルジョンとは異なり、熱力学的に安定な系であるため、経時安定性が保たれるといった利点がある。また、比較的流動性にも優れるため、ハンドリング面でも利用が簡便である。
【0007】
そして、従来より、上記のマイクロエマルションの調製には、ポリオキシエチレン系非イオン性界面活性剤が使用されてきた。これは、当該非イオン性界面活性剤の水溶液に、シクロヘキサン、テトラデカン等の炭化水素(油)(以下、「油」又は「油性成分」と言うことがある。)を加え、液の温度を上昇させていくと、非イオン性界面活性剤の曇点の手前で、水相中への炭化水素の可溶化量が急激に増大する領域が現れる、と言う性質を利用するものである。相図に示される可溶化限界温度から曇点までの領域では、水相中への油の溶解度が急激に増大し、所謂マイクロエマルションを形成していることが知られている。
【0008】
しかしながら、ポリオキシエチレン系界面活性剤−油−水系で得られるマイクロエマルションは、その系の親水−疎水バランス(HLB)が保たれた非常に狭い温度範囲(通常、〜10℃程度)でしか存在し得ず、この温度範囲外では、系は、直ちに又は経時的に白濁し、やがて水相と油相に分離してしまうという欠点がある。このため、医薬品や化粧品分野への応用は制限される。また、ポリオキシエチレン系界面活性剤を食品用途に使用することは、安全衛生上、問題があり、不可能であった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、テルペン類を高濃度で可溶化可能な組成物であって、長期保存安定性を保ち、温度の影響を受け難く、広い温度範囲で安定であり、利用範囲が限定されない、安全性の優れた液状組成物を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討した結果、テルペン類の可溶化剤として、食品用乳化剤として認可されているポリグリセリン脂肪酸エステルを使用することにより、上記の目的を容易に達成し得るとの知見を得、本発明の完成に到った。
【0011】
すなわち、本発明の第1の要旨は、テルペン類含有液状組成物であって、ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされていることを特徴とするテルペン類含有液状組成物に存する。
【0012】
そして、本発明の第2の要旨は、テルペン類含有液状組成物であって、ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、テルペン類が可溶化されていることを特徴とする液状組成物に存する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。本発明のテルペン類含有液状組成物は、2つに大別され、その1つは、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされてマイクロエマルションの前駆体として位置づけられ(第1の要旨に係る発明)、他の1つはマイクロエマルションとして位置づけられる(第1の要旨に係る発明)。そして、上記のテルペン類含有液状組成物は、何れも、ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類および水の3成分を必須成分として含有する。また、任意成分として多価アルコールを含有する。以下、各成分につき説明する。
【0014】
<ポリグリセリン脂肪酸エステル>
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、水相中にテルペン類を可溶化させる機能を果たす。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、親水基部分であるポリグリセリンの平均重合度は、通常3以上、好ましくは8以上であり、通常20以下、好ましくは12以下である。また、ポリグリセリン脂肪酸エステル1分子中における親水基部分の重量比率(ポリグリセリン部分/ポリグリセリン脂肪酸エステル、以下「親水−疎水バランス」と言う)は、通常0.3以上、好ましくは0.4以上である。また、その上限は、通常0.9、好ましくは0.8である。親水−疎水バランスの重量比率は、平均値であり、構成するポリグリセリン脂肪酸エステルが、全て一律な重量比率である必要はない。目的に応じて、親水−疎水バランスの異なるポリグリセリン脂肪酸エステルを2種以上組み合わせて使用することも出来る。
【0015】
本発明で使用されるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成脂肪酸の炭素数は、通常8〜24、好ましくは8〜18であり、また、構成脂肪酸は、飽和または不飽和であっても、直鎖または分岐状であってもよい。斯かる脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、エライジン酸、ベヘン酸、エルカ酸などが挙げられる。これら脂肪酸は、目的に応じて2種以上の組合せで使用することも出来る。ポリグリセリン脂肪酸エステルの平均エステル化度は、通常1以上、好ましくは1.5以上であり、通常5以下、好ましくは4以下である。
【0016】
上記の様なポリグリセリン脂肪酸エステルは、食品用乳化剤として認可されているため、その使用により安全性に優れたマイクロエマルションを得ることが可能となる。また、ポリグリセリン脂肪酸エステルは温度の影響を受け難い非イオン性界面活性剤であるため、幅広い温度範囲での可溶化が期待できる。
【0017】
ところで、ポリグリセリン脂肪酸エステルは、親水基部分であるポリグリセリンの重合度、構成脂肪酸の種類、ポリグリセリン脂肪酸エステル1分子中における脂肪酸の結合数(エステル化度)等により、種々のものがある。従って、可溶化すべきテルペン類の種類によって、適切なポリグリセリン脂肪酸エステルが選択される。本発明において、ポリグリセリン脂肪酸エステルとテルペン類との組合せは、0〜100℃の温度範囲において均一透明な外観を呈するテルペン類含有液状組成物となる様に選択するのが好ましい。
【0018】
<テルペン類>
本発明において、テルペン類としては、通常、各種の精油がそのまま使用される。狭義のテルペンはモノテルペン(及びセスキテルペン)を意味するが、本発明における「テルペン類」の用語は、広義のテルペン類を意味し、植物(まれに動物)から得られる有機化合物のうち、炭素数が5の倍数で、生合成的見地からはn個のイソプレン又はイソペンタンから構成される前駆物質に由来すると考えられる物質の総称である。
【0019】
モノテルペン類としては、α−ピネン、リモネン、ターピノレン、ミルセン、リナロール、ゲラニオール、シトロネロール、1−メントール、シトラール、トロネラール、樟脳、メントン等が挙げられ、セスキテルペン類としては、β−カリオフィレン、サンタロール、ネロリドール、セドロール、ベチベロール、パチュリアルコール等が挙げられる。これらテルペン類は、1種又は2種以上組み合わせて使用することが出来る。
【0020】
また、上記テルペン類を含む油性物質であれば、精油のままでも、これを更に精製したものであってもよい。その場合、上記テルペン類を50重量%以上含有することが好ましい。また、油性物質中、上記テルペン類以外の成分としては、液状の高級脂肪族炭化水素、動植物性油脂類、高級アルコール、高級脂肪酸、合成エステル油、グリコール高級脂肪酸エステル、シリコン油などが挙げられる。具体的には、n−ヘプタン、n−オクタン、n−デカン、n−ヘキサデカン、流動パラフィン、スクワラン、菜種油、オリーブ油、ヒマシ油、ホホバ油、オクチルドデカノール、オクチルドデシルミリステート、カプリン酸トリグリセリド、オレインアルコール、オレイン酸などが挙げられる。これらの成分は1種またはは2種以上組み合わせて使用することが出来る。
【0021】
<水>
水は、飲料用、工業用の何れに使用される水でもよい。また、硬水、軟水の何れでもよい。
【0022】
<その他の成分>
本発明の液状組成物には、上記の各成分の他に、多価アルコールを含むことが出来る。多価アルコールの種類としては、好適には炭素数が3〜6の多価アルコール、例えば、グリセリン、プロピレン、グリコール、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール等の他、キシロース、グルコース、フラクトース、ガラクトース等の単糖類、ショ糖、乳糖、麦芽糖、トレハロース等の二糖類が挙げられる。また、ポリグリセリンも好適に使用することが出来る。多価アルコールの使用割合は、液状組成物全重量に対し、通常70重量%以下、好ましくは60重量%以下である。
【0023】
本発明の液状組成物を調製するには、上記の各成分を秤量し、混合・分散させればよい。各成分の混合順序は何ら制限されず任意である。各成分を一度に混ぜてもよいし、水とポリグリセリン脂肪酸エステルの混合物にテルペン類を後から添加してもよい。この際の混合には、各成分を含む混合系に強力な剪断力を与える乳化機、高圧ホモジナイザー等、公知の剪断型混合機を使用することが出来る。また、各成分を含む混合系を緩く撹拌混合し、この系を一旦、この系の可溶化限界温度以上に昇温し、その後、冷却する方法によれば、特殊な剪断型混合機を使用することなく、均一な液状組成物を比較的容易に得ることが出来る。
【0024】
本発明の液状組成物全重量に対するポリグリセリン脂肪酸エステルの割合は、通常3〜97重量%、好ましくは3〜50重量%、更に好ましくは3〜20重量%、特に好ましくは3〜10重量%である。
【0025】
本発明の液状組成物全量に対するテルペン類の割合は、特に制限されないが、通常0.15重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、通常92.2重量%以下、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
【0026】
本発明の液状組成物全量に対する水の割合は、特に制限されないが、通常0.15重量%以上、好ましくは20重量%以上、更に好ましくは40重量%以上、特に好ましくは45重量%以上であり、通常92.2重量%以下、好ましくは80重量%以下、更に好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下である。
【0027】
本発明の液状組成物中のテルペン類と水の合計量に対するテルペン類の割合は、特に制限されないが、通常5〜95重量%、好ましくは40〜60重量%、更に好ましくは50重量%である。
【0028】
本発明の液状組成物中の各成分の重量比(ポリグリセリン脂肪酸エステル:テルペン類:水)は、通常1:0.0015〜31:0.0015〜31であり、好ましくは1:0.4〜27:0.4〜27であり、更に好ましくは1:2〜20:2〜20であり、特に好ましくは1:4.5〜17:4.5〜17である。
【0029】
本発明の液状組成物には、前記の各成分の他に、ポリグリセリン脂肪酸エステルの合成に要した原料の残存成分が含まれていてもよい。また、用途により必要に応じ、イオン性界面活性剤、配糖体、塩類や両親媒性物質などを添加してもよい。また、本発明の液状組成物が応用された製品には、必要に応じ、香料、色素、防腐剤、薬剤、増粘剤、キレート剤、紫外線吸収剤などを適宜添加することが出来る。
【0030】
本発明の液状組成物は、化粧品としては、洗浄剤、シャンプー、リンス、ヘアートニック、ヘアーオイル、ヘアーローション、アフターシェーブローション、ボディーローション、エモリエントオイル、化粧ローション、クレンジングオイル、エアゾール製品、消臭剤、芳香剤、脱臭剤、入浴剤などに使用することが出来る。また、医薬用途としては、経口投与製剤、皮膚または粘膜適用外用剤、注射製剤、ドラッグデリバリーシステム等に使用することが出来る。更に、食品用途として、アイスクリーム、コーヒーホワイトナー、ホイップクリーム、チーズ、マヨネーズ、ドレッシング、ホイップクリーム、ソース、たれ、コーヒー飲料、アルコール飲料、乳飲料、可溶化油性香料などに使用することが出来る。
【0031】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の諸例において、液状組成物についての安定温度範囲(℃)の測定は、次に記載の方法によった。
【0032】
<液状組成物についての安定温度範囲(℃)の測定方法>
直径10mmのガラス管に液状組成物を封入し、このガラス管を振盪して管内の液状組成物を均一に混合した後、所定温度に設定した恒温槽に浸漬し、数分ないし1時間静置し、管内の液状組成物の分離の有無を目視観察する。恒温槽の温度を変更しつつ、温度に応じて上の操作を繰り返し、液状組成物が二相分離しない温度範囲を確認し、「安定温度範囲(℃)」として、上限と下限の温度範囲を示す。上限と下限の温度範囲が広い程、温度安定性が優れていることを意味する。
【0033】
製造例1(ポリグリセリンラウリン酸エステルの製造)
反応容器に、ラウリン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が1/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を198.2g、ラウリン酸(Acid Chem社製「palmac98−12」)を51.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、ポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度96.6重量%のポリグリセリンラウリン酸エステル(平均エステル化度1.9)を得た。
【0034】
製造例2(ポリグリセリンラウリン酸エステルの製造)
反応容器に、ラウリン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が2/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を164.3g、ラウリン酸(Acid Chem社製「palmac98−12」)を85.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、ポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度99.0重量%のポリグリセリンラウリン酸エステル(平均エステル化度2.7)を得た。
【0035】
製造例3(ポリグリセリンラウリン酸エステルの製造)
反応容器に、ラウリン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が3/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を140.2g、ラウリン酸(Acid Chem社製「palmac98−12」)を109.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、ポリグリセリンラウリン酸エステルを得た。このポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度99.6重量%のポリグリセリンラウリン酸エステル(平均エステル化度3.4)を得た。
【0036】
製造例4(ポリグリセリンパルミチン酸エステルの製造)
反応容器に、パルミチン酸/ポリグリセリンの反応仕込みモル比が1/1となる様に、ポリグリセリン(平均重合度10.1)を187.2g、パルミチン酸(日本油脂社製「NAA−160」)を62.8g、水酸化ナトリウム水溶液を水酸化ナトリウム量が0.0025重量%(対全量)となる量、仕込み、窒素気流下常圧、240℃で3時間反応させた後、260℃に昇温し4時間反応させ、純度60.1重量%のポリグリセリンパルミチン酸エステル(平均エステル化度2.1)を得た。
【0037】
製造例5(ポリグリセリンパルミチン酸エステルの製造)
製造例4で得られたポリグリセリンラウリン酸エステルから、液液抽出により未反応のポリグリセリンを除去し、純度96.8重量%のポリグリセリンパルミチン酸エステル(平均エステル化度2.1)を得た。
【0038】
実施例1〜5
製造例1〜5で得られたポリグリセリン脂肪酸エステル、リモネン、蒸留した脱塩水を表1に示す各配合比で混合し、加熱撹拌を行って均質化し、恒温槽に保持した。そして、前述の方法に従って安定温度範囲(℃)を測定した。その結果を表1に示す。
【0039】
実施例6
製造例5で得られたポリグリセリン脂肪酸エステル、リモネン、蒸留した脱塩水、グリセリンを表1に示す配合比で混合し、加熱撹拌を行って均質化し、恒温槽に保持した。そして、前述の方法に従って安定温度範囲(℃)を測定した。その結果を表1に示す。
【0040】
比較例1
ポリ(オキシエチレン)ドデシルエーテル(東京化成工業製)、リモネン、蒸留した脱塩水を表1に示す混合比率で混合し、加熱撹拌を行って均質化し、恒温槽に保持した。そして、前述の方法に従って安定温度範囲(℃)を測定した。その結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1より次の事項が明らかである。
【0043】
(1)本発明の液状組成物は、マイクロエマルションを形成することが出来、このものは温度の影響を受け難く、広い温度範囲で二相分離することなく、安定である(実施例1〜6)。
(2)これに対し、ポリオキシエチレン系界面活性剤を使用した比較例1では、得られたマイクロエマルションの安定温度範囲が非常に狭く、本発明の目的が達成されない。
(3)また、本発明の液状組成物では、界面活性剤量に対して、7.8重量倍ものテルペン類成分を可溶化することが出来る(実施例3)。
【0044】
【発明の効果】
本発明のテルペン類含有液状組成物は、次の様な効果を奏し、その産業上の利用価値は極めて大である。
【0045】
(1)本発明の液状組成物は、熱力学的に安定なマイクロエマルションを形成することが出来るため、長期の保存安定性に優れ、また、流動性が良いのでハンドリング面でも利用が簡便である。
(2)従来のポリオキシエチレン系界面活性剤を使用したマイクロエマルションでは、安定に存在し得る温度範囲が狭いという欠点があったが、発明の液状組成物は、0〜100℃という広い温度範囲で安定であり、温度安定性が極めて優れている。
(3)本発明の液状組成物は、油性成分が食品用乳化剤として認可されているポリグリセリン脂肪酸エステルによって可溶化されているため、極めて安全性に優れる。
(4)本発明の液状組成物は、調製が容易であり、利用範囲が広い。
Claims (5)
- ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、保持温度の調節によってテルペン類が可溶化可能になされていることを特徴とするテルペン類含有液状組成物。
- ポリグリセリン脂肪酸エステル、テルペン類、水の3成分を必須成分として含み、テルペン類が可溶化されていることを特徴とするテルペン類含有液状組成物。
- 多価アルコールを含む請求項1又は2に記載のテルペン類含有液状組成物。
- ポリグリセリン脂肪酸エステルの量が液状組成物の全重量に対して3〜97重量%である請求項1〜3の何れかに記載のテルペン類含有液状組成物。
- 0〜100℃の温度範囲において均一透明な外観を呈する請求項1〜4の何れかに記載のテルペン類含有液状組成物。
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