JP2018122227A - 塗布装置、塗布方法、プログラム - Google Patents

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Abstract

【課題】回路基板等の塗布処理対象物に対して不適切な液体塗布が行われないようにする方法の提供。【解決手段】コーティング装置1は、塗布液体を吐出するノズル3と、ノズル3を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構と、塗布処理対象物である回路基板100を塗布作業位置に搬送するコンベア機構10と、搬送されてきた回路基板を測定対象として高さ計測を行うことのできるレーザセンサ25と、制御部を備え、制御部は、搬送機構により搬送されてきた回路基板に対して、回路基板上で設定された参照ポイントの高さ値をレーザセンサに測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物である回路基板の適否を判定する判定処理を行う。そして判定処理で適判定とされた場合に移動機構によりノズルを移動させながら回路基板に対する塗布液体を吐出させる塗布制御処理を実行する、液体の塗布方法。【選択図】図1

Description

本発明は、例えば電子回路基板等の塗布処理対象物に保護膜等の薄膜をコーティングする塗布装置、塗布方法、及びプログラムに関する。
電子回路基板などに対しては、防湿、防錆などを目的として保護膜となる薄膜をコーティングすることが行われる。
例えば特許文献1には塗布液体を塗布する装置が開示されている。
特開2014−103258号公報
電子回路基板等の製造ラインでは、基板に電子部品がマウントされた状態とされた後に、電子回路基板が塗布装置に搬送されてくる。
塗布装置では電子回路基板の必要箇所になるべく均一な厚みでコーティング膜が形成されるようにすることや、効率よく被膜形成できるようにするため、塗布処理対象物の種類や形状、電子部品等の配置物等に応じて、液体吐出を行うノズルの移動経路(スプレーパス)が予め設定される。このスプレーパスとしては、配置物の高さや塗布しない部分の存在などに対応じたうえで、塗布効率が良く、またノズル等の電子部品等への衝突もないような経路であるように設定される。
スプレーパスは基板形状や部品配置に応じて設定されるスプレーパスため、もし異なる基板が誤って塗布装置に搬入されてしまうと、適切な塗布ができない。また正しい電子回路基板であっても、搬入時の基板の方向(姿勢)が異なると、適切な塗布ができない。
例えば製造ライン上で、作業員が手作業で行う部位が存在すると、いわゆる基板逆入れの可能性が生ずる。
逆入れされたままで塗布が実行されてしまうと、スプレーパスが適切でなくなるため、コーティング不良製品の発生や、ノズルと電子部品の衝突等が生じてしまい、工程効率を悪化させる。
そこで本発明では、塗布装置において電子回路基板等の塗布対象物の逆入れや別種別のものの搬入を検知し、不適切な塗布が行われないようにすることを目的とする。
本発明の塗布装置は、塗布液体を吐出する吐出部と、前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構と、塗布処理対象物を塗布作業位置に搬送する搬送機構と、前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物を測定対象として高さ計測を行うことのできる高さ検出部と、前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を前記高さ検出部に測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定処理と、前記判定処理で適判定とされた場合に前記移動機構により前記吐出部を移動させながら前記塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出させる塗布制御処理を実行する制御部と、を備える。
この塗布装置は例えば回路基板等の塗布処理対象物に対してコーティング材等の液体を塗布する塗布装置である。そして塗布処理を行う際に、まず搬送されてきた塗布処理対象物に対して、所定の参照ポイントの高さ値を計測し、適否判定を行う。ここで言う適否とは、塗布処理対象物が正しい方向性で搬送されてきたか否か、及び正しい塗布処理対象物が搬送されてきた否かである。正しい種別の塗布処理対象物が正しい方向性(姿勢方向)で搬送されてきたことを確認して塗布を実行させる。
上記した塗布装置においては、前記制御部は、前記判定処理において、参照ポイントで実行させる高さ測定の測定値が、当該参照ポイントについて記憶されている高さ値と一致する場合に、適判定として前記塗布制御処理を実行することが考えられる。
塗布処理対象物に関しては、あらかじめ参照ポイントとその参照ポイントの高さ値を登録しておく。搬送されてきた塗布処理対象物について参照ポイントの高さ値を測定した場合、その測定値が当該参照ポイントについて記憶されている高さ値と一致しているか否かを確認する。
上記した塗布装置においては、前記制御部は、前記判定処理において、参照ポイントで実行させる高さ測定の測定値と、当該参照ポイントについて記憶されている高さ値との差分が、設定した許容範囲内であれば、適判定として前記塗布制御処理を実行することが考えられる。
搬送されてきた塗布処理対象物の参照ポイントの高さ値を測定した場合、その測定値が当該参照ポイントについて記憶されている高さ値と一致していることが本来であるが、実際には各種の誤差が生じている。そこで許容範囲内ならOKとする。
上記した塗布装置においては、前記参照ポイントは複数箇所設定され、各参照ポイントについて高さ値が記憶されており、前記制御部は、各参照ポイントの全てについて、高さ測定の測定値とその参照ポイントについて記憶されている高さ値との差分が設定した許容範囲内である場合に、適判定として前記塗布制御処理を実行することが考えられる。
つまり参照ポイントについては複数設定し、1つでもNGとなったら、不適とする。
上記した塗布装置においては、前記制御部は、前記塗布制御処理として、
塗布処理対象物に対し、前記吐出部の塗布作業時の移動経路として設定されたスプレーパスに基づいて前記移動手段により前記吐出部を移動させながら、前記塗布処理対象物に対する塗布液体の吐出を実行させることが考えられる。
塗布は吐出部をあらかじめ設定したスプレーパスに従って移動させて行っていく。このスプレーパスは、塗布しない領域や、各部の高さも考慮して設定される。
上記した塗布装置においては、前記高さ検出部は、前記移動機構により前記吐出部とともに移動されるように装着されていることが考えられる。
つまり高さ検出部は、移動手段によって、配置された塗布処理対象物上の任意の位置に移動して高さ測定を可能としている。
本発明の塗布方法は、上記の吐出部と、搬送機構と、高さ検出部とを備えた塗布装置の塗布方法であって、前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を前記高さ検出部により測定し、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定手順と、前記判定手順で適判定とされた場合に、前記移動機構により前記吐出部を移動させながら前記塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出する塗布手順と、を行う。
このような塗布方法により、コーティング不良の発生しない適切な塗布工程を実現する。
また本発明のプログラムは、塗布装置において上記の判定手順、塗布手順が実行されるように、制御部としての演算処理装置に判定ステップと塗布制御ステップを実行させるプログラムである。
また本発明の他のプログラムは、塗布装置において用いる参照ポイントを設定する処理として、塗布処理対象物上で、候補位置を設定する設定ステップと、塗布処理対象物の中央点と点対称となる点対称位置を求める点対称位置判定ステップと、前記候補位置の高さ値と前記点対称位置の高さ値を比較する比較ステップと、前記比較ステップの比較結果に基づいて、候補位置の位置情報及び高さ情報を参照ポイントデータとして登録する処理と、を演算処理装置に実行させるプログラムである。
すなわち候補位置と、その点対称位置の高さの差分により、候補位置が参照ポイントとして適切かどうかを判断し、適切であれば参照ポイントとする。
本発明によれば、塗布処理対象物の逆入れや異なる種別の搬入があっても、それらを簡易な処理で検知でき、塗布不良を発生させないようにすることができる。これにより塗布装置を含む製造ラインの工程効率の向上を図ることができる。
本発明の実施の形態のコーティング装置の外観例の説明図である。 実施の形態のコーティング装置のノズルによる吐出動作の説明図である。 実施の形態のスプレーパターン幅の説明図である。 実施の形態のコーティング装置の制御構成のブロック図である。 実施の形態の禁止エリアの説明図である。 実施の形態の禁止エリア及びスプレーパス設定の説明図である。 実施の形態の高さ測定動作の説明図である。 実施の形態の基板搬送状態の説明図である。 実施の形態の参照ポイント設定の説明図である。 実施の形態の参照ポイント登録処理のフローチャートである。 実施の形態のコーティング装置の処理のフローチャートである。 実施の形態の逆入れの説明図である。 実施の形態の高さ誤差の説明図である。 実施の形態の参照ポイント自動登録処理のフローチャートである。 実施の形態のコンピュータ装置のブロック図である。
以下、本発明の実施の形態を説明する。なお、塗布装置の実施の形態として、塗布処理対象物である回路基板に薄膜を形成するためのコーティング剤を吐出するコーティング装置の例を挙げる。
説明は次の順序で行う。
<1.実施の形態のコーティング装置の構成>
<2.コーティング装置の制御構成>
<3.スプレーパス設定及び各種設定>
<4.レーザによる高さ測定>
<5.参照ポイント登録>
<6.コーティング装置の処理>
<7.参照ポイント自動登録>
<8.まとめ及び変形例>
<9.プログラム及びコンピュータ装置>
<1.実施の形態のコーティング装置の構成>
図1に本発明の塗布装置の実施の形態であるコーティング装置1の外観例を示す。
このコーティング装置1は搬入されてきた回路基板100に対して、吐出部であるノズル3からコーティング剤を吐出して吹き付けるコーティング処理を行い、回路基板100に防湿や防錆のための保護薄膜を形成する装置である。
なお後述するが、ノズル3は塗布液体(コーティング剤)を扇状又は円錐状に吐出する吐出部である。
図示のように、回路基板100の搬入のためにX方向に延伸するコンベア機構10が設けられている。
コンベア機構10は、Y方向に離隔したコンベア10a、10aと、コンベア10a、10aをそれぞれ支持するとともに搬送される回路基板100をガイドする搬送ガイド10b、10bとを有する。搬送ガイド10bの上面は高さ基準面10cとされている。
コンベア10a、10aには、回路基板100のY方向における両端部がそれぞれ載置される。回路基板100は、コンベア10a、10aの駆動により搬送される。回路基板100の搬入時、搬出時にコンベア10a、10aは図示しないモータにより駆動される。
なお搬送ガイド10b、10bのX方向における所定の位置には、位置決め部としてのストッパ20、20が設けられている。ストッパ20は、コンベア10a、10aの上方(Z方向)に張り出すように搬送ガイド10b、10bからY方向に突出されている。コンベア10a、10a上を搬送される回路基板100は、先端面がストッパ20、20に突き当てられることでその移動が規制され、コーティング処理が行われるコーティング位置に位置決めされる。
例えばこのコーティング装置1は電子回路基板等の製造ラインの一部として使用することができ、コーティング装置1の操作者もしくは図示しない前工程からの搬入機構により回路基板100がコンベア機構10にセットされ、矢印DRinの方向に搬入される。そしてコーティング装置1でコーティング処理が行われ、その後コンベア機構10で矢印DRoutの方向に搬出され次工程に移送される。これによりライン上で連続作業としてのコーティング処理が実行される。
もちろん、コーティング装置1は、このようにラインを構成するだけでなく、個別に回路基板100等の処理対象物に対してコーティングを行う機器としてもよい。
搬入された回路基板100の上方には、コーティング剤を吐出するノズル3が位置される。
ノズル3は、筒状先端部3aがノズルベース部3bに取り付けられた構造とされている。
ノズル3は、ホルダ4に取り付けられた状態で、搬入された回路基板100の上方空間をX方向、Y方向、Z方向に移動可能とされている。
またホルダ4にはレーザセンサ25が取りつけられている。レーザセンサ25は高さ測定を行うためのセンサであり、塗布処理対象物である回路基板100の高さを測定できる。レーザセンサ25は、例えば基台10bの天面である高さ基準面10cを基準として回路基板100上の各所の高さを測定する。
レーザセンサ25がホルダ4に装着されていることで、レーザセンサ25はノズル3とともにX方向、Y方向、Z方向に移動可能とされている。
ホルダ4は、Y方向ガイド11に対して、Y方向にスライド可能に取り付けられている。Y方向ガイド11には、Yモータ7と、Yモータ7によって回転される駆動軸11aが配備されており、ホルダ4は駆動軸11aの回転により、Y方向ガイド11に沿ってY方向に移動可能とされている。このため駆動軸11aとホルダ4の間では、駆動軸11aの回転がスライド移動方向に変換されるギア構成等による連結機構が採用される。
Y方向ガイド11は、ガイドホルダ13に固定されている。そしてガイドホルダ13は、X方向ガイド12に対して、X方向にスライド可能に取り付けられている。X方向ガイド12には、Xモータ8と、Xモータ8によって回転される駆動軸12aが配備されており、ガイドホルダ13(即ちY方向ガイド11全体)は駆動軸12aの回転により、X方向ガイド12に沿ってX方向に移動可能とされている。このため駆動軸12aとガイドホルダ13との間は、駆動軸12aの回転がスライド移動方向に変換されるギア構成などによる連結機構が採用される。
ホルダ4には、ノズルZモータ5が配置されており、このノズルZモータ5によって、ノズル3の先端が上下(Z方向)に移動される。つまり塗布処理対象物に対するノズル3の筒状先端部3aの高さ位置が変動される。
以上の構成により、ノズル3の位置は、Xモータ8、Yモータ7、ノズルZモータ5によってX方向、Y方向、Z方向に移動可能となる。X方向、Y方向、Z方向に移動することで、搬入された回路基板100上の各所を移動しながらのコーティング剤のスプレーを行うことができる。
またレーザセンサ25の位置はXモータ8、Yモータ7によりX方向、Y方向に移動可能となる。これにより回路基板100の平面をスキャンして、回路基板100の各部の高さを計測できる。
またさらにホルダ4には、ノズル回転モータ6が取り付けられており、ノズル回転モータ6によりノズル3の回転角度位置を変化させることができる。回転角度位置とは、図2Aのθ方向の位置である。
図2Aには、ノズル3が回路基板100の上方からコーティング剤(スプレーパターン90)を吐出して吹き付けている様子を拡大して示している。
図2Aに示すように、回路基板100には、抵抗、コンデンサ、ICチップ等の各種の電子部品110,111,112,113がマウントされており、その各種電子部品の高さw,vや、電子部品間のサイズk,mなども多様である。本実施の形態では、例えばこのような回路基板100に対して、X方向、Y方向、Z方向にノズル3が移動されながら吹きつけを行うことで、回路基板100の形状や部品配置に応じた適切な薄膜形成を可能とする。
X方向、Y方向の移動制御に関しては、例えばコーティング処理にあたっては、ストッパ20により規定されるコーティング位置に位置された状態の回路基板100の角部(隅部)を座標上の原点aとし、この原点aを中心としてノズル3のX−Y方向の移動距離が設定される。
ノズル3の筒状先端部3aは、図2B、図2Cに示すように形成され、吐出孔3cから加圧液体のコーティング剤を吐出する。突端部3d,3dより奥まった位置に吐出孔3cが形成されていることで、吐出されるコーティング剤のスプレーパターン90は、図2Dに示すように扁平な扇状となる。図2Eには、図2Dのスプレーパターン90のa−a断面を示しているが、扇状のスプレーパターン90は、縁部近傍に、厚幅部分90aが生じ、縁部及び中央部は、厚みが比較的薄くなる。
この図2Dのようなスプレーパターン90は、a−a断面線の位置よりさらに下方にいくと、霧化状になり、コーティングに適さなくなる。霧化状のパターンで塗布したコーティング剤は塗布されない部分やピンホールが多くなり、不良品になることがある。そのため、例えばa−a断面線の位置あたりで、回路基板100の表面に達することが適切である。
図2Aでは、上述のZ方向移動によりノズル3の回路基板100の表面からの高さ位置が、距離tの状態に調整され、コーティング剤の塗布が行われている様子を示している。この場合の塗布面からの距離tは、スプレーパターン90による塗布幅が、最も効率よく塗布ができる幅hとなる高さを得る距離である。この状態でX方向に移動されることで、幅hの状態でのX方向へ帯状に進行する塗布が行われることになる。
なお、最適な距離tは、塗布液体の粘度やノズル3のサイズ・形状等にもよるが、例えば本実施の形態では距離t=10mmとして説明する。
また上述のようにノズル回転モータ6によりノズル3の回転角度位置を変化させることができる。例えば図2Aの状態から90°回転角度位置を変化させてY方向に移動させれば、幅hの状態でのY方向へ帯状に進行する塗布が行われることになる。
さらに回転角度位置により、進行させる塗布の帯の幅を調節することもできる。例えば図2Aの状態から45°回転角度位置を変化させてX方向に移動させれば、図示の幅hの半分の幅の状態でのX方向へ帯状に進行する塗布を行うことが可能になる。
図3A、図3B、図3Cには、各種回転角度位置θ1、θ2、θ3の場合に、例えばX方向側から見た場合のスプレーパターン90及び塗布領域92の塗布幅を示している。図のように、塗布幅を回転角度位置によって調整できる。
従って重ね塗り部分を考慮して塗布幅を調整したり、比較的狭い箇所にスプレーを行う場合などは、回転角度位置を調整して、進行方向からみたスプレーパターン幅を調整することで、適切な幅の塗布が可能となる。
なお図1,図2には示していないが、ノズル3に対しては、加圧液体としてのコーティング剤を吐出させるために、コーティング剤を供給する供給機構や吐出機構が設けられる。吐出機構で圧力が調節されることで、コーティング剤の吐出量やスプレーパターン幅が調整される。
コーティング剤は例えばポリオレフィン系若しくはアクリル系若しくはポリウレタン系の絶縁コーティング剤である。シンナーで希釈して液状で回路基板100に塗布した場合、10分程度乾燥させることで、回路基板100に基板遮蔽層としての薄膜が形成される。
図1に示すようにコーティング装置1には、光センサを構成する発光部21,受光部22や、捨て打ち部23、浸け置き部24が設けられる。
光センサを構成する発光部21と受光部22は、X方向に対向するように配置されている。発光部21は例えば半導体レーザ等により構成され、例えば直径1.5mm程度のレーザ光を出力する。このレーザ光は受光部22によって受光される。受光部22では、受光光量に応じて、検出信号を出力する。
この場合、レーザ光の光線はX方向に伸びる線状となり、例えばノズル3がY方向に移動されてレーザ光の光線を横切ると、光線がノズル3によって妨げられ、受光部22に達しない。これによって受光部22では、受光光量が低下し、光量低下状態を示す検出信号を出力することとなる。
適切な塗布幅で塗布を行うために、ノズル3からの扇状のスプレーパターン90の幅を調整することが行われる。そのために、ノズル3のからスプレーパターン90を吐出させながら、センサの光線を横切る方向性でノズル3を移動させて、スプレーパターン90の幅を測定する。測定結果に応じて、コーティング剤のスプレー圧を調整することで、スプレーパターン幅を所望の幅に調整できる。
捨て打ち部23は、いわゆる捨て打ちとしてコーティング剤を吐出する場合などに用いられる。また浸け置き部24は、ノズル3の先端を希釈剤に浸け置きするために設けられている。また浸け置き部24の側壁にはブラシ26を取り付けている。
本例では、揮発性の高い溶剤で希釈されたコーティング剤を用いており、これが乾燥してノズル3の筒状先端部3a(吐出孔)で硬化し、吐出するスプレーパターン90を変化させてしまうことがある。
そこで不使用時には、希釈剤を入れた浸け置き部24にノズル3の先端が浸されるようにしておく。浸け置き部24には例えばシンナー系の溶剤を入れておく。これによりノズル3の詰まりを防ぐ。
また使用前には捨て打ち部23の上方にノズル3を位置させた状態で、捨て打ちとしての吐出を行って硬化部分を吹き飛ばしたり、ノズル3の先端をブラシ26に接触させるようにY方向に移動させて清掃できるようにしている。これらの作業により、実際のコーティング作業時には、安定したスプレーパターンが得られるようにしている。
また上述のスプレーパターン90の幅の測定の際にも、上述の浸け置き、捨て打ち、ブラシ洗浄が行われていることで、安定したスプレーパターン90の幅の測定ができることとなる。
また、捨て打ち部23の上方は、発光部21からのレーザ光の光線位置となる。従って、後述する測定処理としてスプレーパターン90を吐出しながらノズル3を移動させる動作は、捨て打ち部23の上方で行うことができる。つまり捨て打ち部23が測定処理の際に吐出されるスプレーパターン90の受け部としても機能する。
また捨て打ち部23には図示の様に斜面が形成されており、該斜面によって捨て打ちされたコーティング剤は一定方向に飛び散るように構成されている。この図1の場合、浸け置き部24の方向にコーティング剤が飛び散るようにされている。このため捨て打ちの際や、測定処理の際に、むやみにコーティング剤が飛散することがないようにできる。
また例えば液晶パネル等により構成された表示部9が設けられている。表示部9には、タッチパネルが搭載されてオペレータが入力操作を行うことも可能とされる。
この表示部9には、このコーティング装置1に取り込まれた回路基板100の画像(撮像画像)や撮像画像を加工した画像、操作アイコン、メッセージ表示、その他、ユーザインターフェースのための各種画像が表示される。
回路基板100の画像が表示されることで、オペレータは、画像上で、コーティングを行う部位を指定したり、あるいはコーティングを禁止する領域を指定したりすることも可能とされる。
<2.コーティング装置の制御構成>
図4にコーティング装置1の制御構成を示す。なおここでは特に電気系統を示し、コーティング剤の供給、加圧制御等の流体制御系についての説明は省略する。
主制御部30は、例えばマイクロコンピュータ(CPU:Central Processing Unit)により形成された演算処理装置であり、各部の動作制御を行う。
メモリ部34は、主制御部30が各種制御で用いるROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEP−ROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)等の不揮発性メモリ等の記憶領域を総括的に示している。
なお、このメモリ部34としては、マイクロコンピュータ内部に形成される記憶領域(レジスタ、RAM、ROM、EEP−ROM等)や、マイクロコンピュータとしてのチップ外部で外付けされるメモリチップの領域の両方をまとめて示している。つまり、いずれの記憶領域が用いられても良いため区別せずに示したものである。
メモリ部34におけるROM領域には、主制御部30としてのCPUが実行するプログラムが記憶される。
メモリ部34におけるRAM領域は、主制御部30としてのCPUが各種演算処理のためのワークメモリとして用いたり、画像データ等の一時的な記憶等に用いられる。
メモリ部34における不揮発性メモリ領域は、演算制御処理のための係数、定数等、必要な情報が格納される。
主制御部30は、メモリ部34に格納されるプログラムや、入力部31からのオペレータの操作入力に基づいて、或いは外部装置であるコンピュータ装置200等からの指示に基づいて、必要な演算処理、制御処理を行う。
入力部31は、オペレータが操作入力を行う部位とされる。例えば上述のように表示部9にタッチパネルが形成される場合、該タッチパネルが入力部31となる。また操作キーや、リモートコントローラ等による入力部31が設けられても良い。
入力部31からの入力情報は主制御部30に供給され、主制御部30は入力情報に応じた処理を行う。
センサ駆動部32は主制御部30の指示に応じてレーザセンサ25を駆動する。レーザセンサ25による高さ測定のための検出信号は主制御部30に供給される。主制御部30は回路基板100の表面をスキャンする測定をレーザセンサ25に実行させるが、その際の検出信号から、回路基板100の各部の高さ値を検出し、メモリ部34に記憶する。
主制御部30は、表示駆動部33に表示データを供給し、表示部9での表示を実行させる。表示駆動部33は、供給された表示データに基づいて画像信号を生成し、表示部9を駆動する。
例えば主制御部30は、回路基板100の撮像画像データを表示駆動部33に受け渡して、撮像画像を表示部9に表示させたり、撮像画像データを編集して表示部9に表示させたりすることができる。
なお主制御部30は、例えばコンピュータ装置200やデジタルスチルカメラ等の外部機器から撮像画像データを取り込んで、メモリ部34に格納する。そして主制御部30は、例えばスプレーパスの設定などのために必要に応じて撮像画像データを読み出して画像解析処理、拡大/縮小処理、画像編集処理、或いは外部送信処理等を行うことができる。
外部インターフェース46は外部機器(例えばコンピュータ装置200等)との通信やネットワーク通信を行う。主制御部30は外部インターフェース46を介して、各種情報を通信により入力したり、送信出力することができる。例えばライン上の各機器がネットワークシステム化させている場合、ホスト機器や他の機器との間で通信を行うことができる。
この通信により、外部機器から撮像画像データ等の供給を受けたり、或いはバージョンアッププログラムをロードしたり、各種処理係数、定数の変更設定を受け付けたりすることができる。また主制御部30がホスト機器に対し、エラーメッセージ、ワーニング等を送信したり、撮像画像データを送信することなども可能とされる。
また図示のようにコンピュータ装置200と通信可能とされた場合、コンピュータ装置200から撮像画像データ、動作プログラム、スプレーパスの設定データ等を取り込むことができる。
特に本実施の形態の場合、コンピュータ装置200との通信により主制御部30には、逆入れ判定のための参照ポイント情報等を取得することができる。
主制御部30はモータコントローラ35に対してノズル3の移動のためのコマンドを送信する。コマンド内容は、移動方向(X、Y、Z方向及び回転角度位置θ方向)、移動量、移動速度を指示する内容などとされる。
例えば主制御部30は、コーティング処理を開始する前に、回路基板100を撮像した撮像画像の解析、及びオペレータの操作入力による禁止エリア設定等に応じて、スプレーパスを作成する処理を行う。もしくはコンピュータ装置200側で設定したスプレーパスのデータを取得する。
実際のコーティング処理を開始した後は、主制御部30はスプレーパスに応じて、ノズル移動方向をモータコントローラ35に指示していくこととなる。
また、後述するスプレーパス設定処理における高さ測定の際にも、主制御部30は、モータコントローラ35に対してレーザセンサ25(ホルダ4)の所定の移動を指示する。
これらの移動のコマンドに応じて、モータコントローラ35は、各モータドライバ(36,37,38,39)を駆動制御することとなる。
Yモータドライバ36は、Yモータ7に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりYモータ7が駆動され、ノズル3とレーザセンサ25を装着したホルダ4全体がY方向の正方向又は逆方向にスライド移動される。
Xモータドライバ38は、Xモータ8に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりXモータ8が駆動され、ホルダ4を支持するY方向ガイド11全体がX方向の正方向又は逆方向にスライド移動される。
ノズルZモータドライバ39は、ノズルZモータ5に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりノズルZモータ5が駆動され、ノズル3が垂直方向に繰り出されたり、引き上げられたりするように移動される。
ノズル回転モータドライバ37は、ノズル回転モータ6に正方向回転又は逆方向回転の駆動電流を与える。これによりノズル3の回転角度位置を変化させる回転動作が行われる。
モータコントローラ35は、主制御部30からのコマンドに応じて、各モータドライバ36,37,38,39に指示を出し、電流印加を実行させることで、各モータが連携してノズル3とレーザセンサ25の移動が実行される。
位置検出部51は、Yモータ7により移動されるホルダ4のY方向の位置を検出する。例えばストッパ20に規定されて配置された回路基板100の上方空間が、X座標、Y座標、Z座標としての三次元座標空間として管理されるとする。位置検出部51は、Y方向の位置をY座標値として検知し、現在のY座標値を主制御部30に通知する。
位置検出部52は、ノズル回転モータ6により回転駆動されるノズル3の回転角度位置を検出する。そして回転角度位置を主制御部30に通知する。
位置検出部53は、Xモータ8により移動されるホルダ4のX方向の位置を、X座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部54は、ノズルZモータ5により上下移動されるノズル3のZ方向の位置を、Z座標値として検知し、主制御部30に通知する。
位置検出部51,53,54は、それぞれY方向ガイド11,X方向ガイド12、ホルダ4に機械的或いは光学的なセンサが設けられて位置を検出するようにしても良いし、或いはYモータ7,Xモータ8,ノズルZモータ5がステッピングモータの場合、位置検出部51,53,54は、正逆方向の駆動ステップ数をアップ/ダウンカウントするカウンタとし、そのカウント値を検出位置とするものでもよい。またYモータ7,Xモータ8,ノズルZモータ5に取り付けられたFG(Frequency Generator)やロータリエンコーダ等の信号を用いて、現在位置を計測するものでもよい。いずれにせよ位置検出部51,53,54は、ノズル3の現在位置としてX座標値、Y座標値、Z座標値が検出できる構成であればよく、その具体的手法は問われない。
また位置検出部52も同様に、ノズル回転位置を機械的或いは光学的に検出するセンサでもよいし、例えばノズル回転モータ6のFGやロータリエンコーダ、或いはステッピングモータの場合のステップ数のアップダウンカウンタなどとしてもよい。
従って位置検出部51,52,53,54は、モータコントローラ35の内部カウンタ等による構成となってもよいし、機械的或いは光学的な外部センサの情報をモータコントローラ35が取り込む形式で構成してもよい。
モータコントローラ35は、位置検出部51,52,53,54からの位置情報を監視しながら、主制御部30から求められたノズル駆動を実行することになる。
また主制御部30は、モータコントローラ35を介して位置検出部51,52,53,54による位置情報の通知を受けることで、ノズル3とレーザセンサ25の現在位置を把握でき、正確かつ無駄のない移動制御が実行できる。
なお、この場合、ノズル3の位置、レーザセンサ25の位置としてのX、Y座標値は、あくまでホルダ4の位置として検出される。従って主制御部30は、ノズル3の塗布位置、レーザセンサ25の検出位置としてのそれぞれのX、Y座標値は、ホルダ4の位置から所定量オフセットさせるように計算上求めるようにすればよい。
吐出制御部40は、主制御部30の指示に応じて、ノズル3からのコーティング剤の吐出の実行/停止を制御する。この図では吐出機構41として、ノズル3へのコーティング剤の供給及び加圧・吐出を行う機構部位として概念的に示している。
また吐出制御部40は、主制御部30の指示に応じて、吐出の際の圧力を調整することで、コーティング剤のスプレーパターン90の幅や量を調整することもできる。
例えば吐出機構41では、コーティング剤の吐出用の空気圧の調整に電空レギュレータを使用する。吐出制御部40は電空レギュレータを制御することで、噴射圧でコーティング剤のスプレーパターン90の幅を調整できる。電空レギュレータによって電気信号に比例して空気圧を無段階に制御できることで、スプレーパターン90の幅を無段階で変化させることができる。これにより、スプレーパターン90の調整、あるいは設定変更などが容易に実行できる。
センサ駆動部42は、発光部21からのレーザ発光駆動を実行させるとともに、受光部22の受光信号を検出し、検出信号を生成する。
このセンサ駆動部42は主制御部30の指示に応じてレーザ発光駆動を行い、またその際、検出信号を主制御部30に供給することになる。
搬送制御部43はコンベア機構10内のモータを駆動制御する。回路基板100の搬入時、排出時に主制御部30は搬送制御部43に指示してコンベア機構10を駆動させる。
<3.スプレーパス設定及び各種設定>
以上の構成の本実施の形態のコーティング装置1(主制御部30)では、コーティングを効率よくかつ正確に行うために、実際の塗布作業の前には、ノズル3による塗布作業時の移動経路(スプレーパス)を設定している。
なお、ここでは主制御部30が行う各種設定として説明するが、以下説明するスプレーパス設定及び各種設定はコンピュータ装置200において行って、設定情報を主制御部30に転送するようにしてもよい。
図5,図6でスプレーパス設定の概要を説明する。
図5Aはコーティング処理対象物である回路基板100を示している。この回路基板100にはコーティングを行わない領域も存在するため、あらかじめ図5Bのように禁止エリアARを設定する。
禁止エリアARは、ノズル3によるスプレーパターン90の吐出を行わない領域であるとする。
図6はこのような禁止エリア設定と、その後のスプレーパス設定の様子を、撮像画像で示している。
図6Aは、表示部9に表示される回路基板100の撮像画像である。回路基板100や電子部品110、111、112、113等が画像として表示されている。
このような画像に対し、オペレータのタッチ入力、もしくは主制御部30の画像解析により図6Bのように禁止エリアARを設定する。主制御部30はこの禁止エリアARを考慮してスプレーパスを設定する。即ち禁止エリアARを避けるようにノズル3を移動させる経路を算出する。
図6Cは作成したスプレーパスを表示部9に表示させている状態を示している。各パスマーカPMがスプレーパスを示す。三角形のパスマーカPMによりノズル3の移動方向が示される。また例えば各パスマーカPMには数字が付されており、塗布時にノズル3を移動させる経路の順序が示される。
なお各パスマーカPMによっては、ノズル3がコーティング剤を吐出しながら移動する吐出移動経路が示される。各パスマーカPMで示されるのが、それぞれ1つの吐出移動経路となる。或る吐出移動経路から次の吐出移動経路に移動するときは、ノズル3からの吐出を継続させながら移動できる箇所もあれば、一旦コーティング剤の吐出を停止させて移動させる場合もある。例えば図6Cで「7番」のパスマーカPMの吐出移動経路で塗布を行った後、「8番」のパスマーカPMの吐出移動経路での塗布に移る場合、ノズル3は非吐出状態で移動される。このような非吐出状態で移動する経路(非吐出移動経路)は、パスマーカPMによって直接的には示されないが、実質的には塗布作業時のノズル移動経路であり、スプレーパスに含まれることになる。
すなわち主制御部30は後述する各種コーティング条件や、禁止エリアAR、さらには回路基板100上で計測した高さ測定データに基づいて塗布する経路の方向や順序、各経路上での高さ位置を演算し、塗布禁止エリアを除いた吐出移動経路と非吐出移動経路を含むスプレーパスを作成する。
具体的なスプレーパス作成処理は、全体の経路を設定するとともに、1つのパスマーカPMで示される1つ1つの吐出移動経路について、開始位置、終了位置、パス長、方向、ノズル回転角度(θ)、吐出時のノズル高さ(Z座標値)、移動速度などを設定する処理となる。また非吐出移動経路のノズル高さもスプレーパスの情報に含まれる。
このようなスプレーパス設定により、ノズル3の吐出移動経路の移動が禁止エリアARを含まず、また吐出移動経路及び非吐出移動経路の移動が適切な高さで行われ、さらに各種コーティング条件に応じて効率良く行われるようにする。
なお、以上のスプレーパス設定では各パスマーカPM等で示される位置は上述の原点aを(0,0)とするX−Y平面のX、Y座標値で登録される。設定されたスプレーパスによるノズル移動過程では、禁止エリアARや電子部品を避けるためにノズルの移動高さも設定されるが、その高さはZ座標値で登録される。
以上はスプレーパス設定について説明したが、コーティング装置1は、スプレーパス以外にも各種の設定を行う。
例えば主制御部30は作業者の入力等に基づいてコーティング条件設定を行う。ここでは例えば以下の(1)〜(8)のような設定を行う。
(1)ノズル3の扇状スプレーパターン90の幅や塗布厚の設定
扇状のスプレーパターン90の幅は加圧液体の加圧力やノズル3の種別によって異なる。スプレーパターン90の幅が異なれば効率の良いスプレーパスも変わる。そこでスプレーパス作成のために扇状スプレーパターン90の幅を設定する。また塗布厚の設定はノズル3の移動速度や、隣のすでに塗布された部分への重ね塗り量に関わる。
(2)重ね塗り量の設定
塗布幅hで塗布する際に、隣の既に塗布された部分にどれだけ重ねて塗布するかを設定する。通常は重ね塗りしないでスプレーパスを設定しても、液化したコーティング剤の塗布後の僅かな拡張によって隣同士の塗布が合体し隙間のない塗布が完成する。しかし付着しない部分やピンホールを完全に防ぐための塗布作業ないし厚みのある塗布を必要とする場合は重ね塗り量を多く設定する必要がある。
(3)基板外周のり代の設定
回路基板100の端面までコーティング剤を塗布すると、コーティング剤が流れ落ちピンホールや付着しない部分を形成することがある。また、コーティング剤が流れ出して回路基板100の側面や裏面に付着すると粘着性が発生するともに厚みが変化し、後の搬送に支障をきたす恐れがある。また、無駄なコーティング剤の消費ともなる。そこで外周でコーティング剤を塗布しないのり代を設定できるようにしている。回路基板100の外周に数ミリ間隔の塗布しないのり代を設定すると、のり代の手前に塗布されたコーティング剤の表面張力によって、回路基板100上に塗装厚を保持しコーティング膜を作成することができる。この表面張力によってコーティング剤が流れ落ちることもない。
(4)塗布方向の設定
効率的で短時間に塗布作業を完成させる為に、回路基板100の横方向(X方向)か縦方向(Y方向)のどちらに主にノズル3を移動させたほうが良いかを設定する。
(5)塗布高さの設定
回路基板100上の電子部品110,111等の高さにも応じたノズル3の高さ位置の設定であって、扇状スプレーパターン90が霧化しないダブテイル状の部分を使って塗布するための高さ設定である。過去のデータが揃っていれば条件を入力するだけで自動的に効率よい塗布幅hに設定することができる。
例えば図2Aに示した距離tが塗布高さであり、例えばt=10mmとする。
(6)移動高さ設定
上述のように塗布作業時の移動経路であるスプレーパスは、吐出移動経路と非吐出移動経路を含む。
非吐出移動経路においてコーティング剤の吐出を行わずに回路基板100上をノズル3が通過するときは、回路基板100上の電子部品110,111等の高さに考慮して移動しなくてはならない。そこでノズル3が電子部品等に当接して破損することがないように、移動高さ(ノズル移動高さ、及びニードル移動高さ)を設定する。基本的には、移動高さとは、回路基板100上の電子部品110等に衝突しない十分な高さに設定される。例えば移動高さ=30mmなどとする。
(7)塗布速度設定
ノズル3の選定と吐出圧の設定と塗布速度の設定によってコーティング剤の塗布厚が決定する。塗布速度を下げるとコーティング剤が厚く塗布され、ひび割れの原因になったり、あふれて禁止エリアARに入ってしまうことがある。塗布速度を早くするとコーティング剤が薄く塗布され、塗布されない箇所ができてしまうと共に、飛沫量が大きくなり、禁止エリアARに飛沫が飛んでしまうことがある。そこで適切な塗布速度を設定する。
なお、設定する塗布速度としては、ノズル3による直線方向塗布速度、θ回転角度に応じた塗布速度、斜め方向移動のための塗布速度、円弧移動のための塗布速度などがある。
(8)塗布タイミング設定
塗布方向にノズル3が移動する際、停止した状態から加速して一定速度に達するまでの期間に吐出したコーティング剤は厚く塗布されてしまう。同様にノズル3の速度が減速して停止するまでの間に吐出したコーティング剤も厚く塗布されてしまう。また、一定速度で移動していたノズル3が停止するまでコーティング剤が吐出されると、慣性力によって停止位置よりも先にコーティング剤が塗布されてしまう。そこでノズル3の移動が一定速度に達してからコーティング剤を塗布するとともに、一定速度より減速するとコーティング剤の塗布を中止するように、塗布タイミングを設定する。
<4.レーザによる高さ測定>
ところで、上記のスプレーパス設定や移動高さ設定等のためにも、さらには後述する逆入れ判定の参照ポイント登録のためにも、システム上で回路基板100の高さ測定を行っておくことが必要である。
コーティング装置1はレーザセンサ25を用いて回路基板100の平面の各部の高さ測定を行うこともできる。
図7で説明する。図7Aはストッパ20で規定される位置に搬入された回路基板100の平面を示しているとする。この回路基板100に対して、レーザセンサ25で測定スキャンを行う。
例えばまずレーザセンサ25を原点aから破線矢印で示すように端辺bの位置までX方向に移動させるように第1ラインL1をスキャンする。
続いて端辺bに沿って1ライン分だけY方向に移動させ、破線矢印に示すようにX方向に逆移動させ、第2ラインL2をスキャンする。
このような1つのライン毎にレーザセンサ25を移動させて高さ測定値を取得していく動作を、最終ラインLnまで行う。
このように回路基板100の平面上を第1ラインL1〜最終ラインLnまでレーザセンサ25によりスキャンさせて、平面上の各部の高さ位置を測定する。
なお、各ラインL1,L2・・・Lnは、例えば1mm間隔などとして設定すればよい。ライン間隔を狭くするほど、回路基板100の平面上を精密に高さ測定できることになる。
図7Bは、高さ測定の動作タイミングを示している。
t0時点で測定が開始されると、主制御部30は、まず時点t1においてレーザセンサ25が原点aの直上に位置するようにモータコントローラ35に指示する。そして時点t1〜t2間に、レーザセンサ25が原点aに移動される。
続いてライン毎のスキャンのスタートタイミングが規定され、各ラインスタートのタイミングで、ラインナンバで示されるラインのスキャンが行われる。
時点t3〜t4には、主制御部30はモータコントローラ35及びセンサ駆動部25へ指示して第1ラインL1のスキャンを実行させ、このときに主制御部30は第1ラインL1上の各点(各X座標点)の高さ値を取得し、メモリ部34に記憶する。
時点t5〜t6には、主制御部30はモータコントローラ35及びセンサ駆動部25へ指示して第2ラインL1のスキャンを実行させ、このときに主制御部30は第2ラインL2上の各点(各X座標点)の高さ値を取得し、メモリ部34に記憶する。
このような処理を最終ラインLnまで行うことで、回路基板100の各X、Y座標点の高さ値を取得し、メモリ部34に記憶することになる。
ここで、回路基板100上の各X、Y座標点の高さ値は、例えば回路基板100の平面の高さ値を0として把握する。
但し、回路基板100の厚みは種類によって異なることから、コーティング装置1は基本的には搬送ガイド10bの高さ基準面10cの高さの値(基準値Href)を高さの基準(Href=0)としている。
図8に、コンベア機構10により搬入された回路基板100を示している。
レーザセンサ25によって測定される値は、高さ基準面10cの高さである基準値Href=0とした値である。そこで測定値を基板平面の高さが0となる値に換算する。
図8において、「Hc」はコンベア10aの上面の高さ値である。この値は固定値としてメモリ部34に記憶させておけばよい。
また「Hb」は回路基板100の厚みの値である。この厚みHcは、基板種別毎にあらかじめ登録しておくことで主制御部30にとって既知となる。
基板平面の高さ値は(値Hc+厚みHb)となる。この基板平面の高さ値を0とするには、基準値Href−(値Hc+厚みHb)を調整値ΔHとすればよい。つまり測定した各座標での高さ値にΔHを加算することで、回路基板100の上面の高さをゼロとした高さ値が得られる。
主制御部30は、レーザスキャンによって得られた各座標の高さ値は、そのまま記憶して、使用時にΔHを加算しても良いし、加算調整した後に記憶してもよい。
なお、コンベア機構10は、図示のように回路基板100を、その両端部がコンベア10aに載置される状態で搬送する構成のため、電子部品110等の半田付け部SRによって基板平面の高さが変化してしまうようなことは生じない。
<5.参照ポイント登録>
本実施の形態のコーティング装置1は回路基板100の逆入れ判定機能を有している。なお、逆入れとは、スプレーパスを設定した際の回路基板100の姿勢方向と同じ姿勢方向で回路基板100が搬入されなかった状態である。例えば図12Aが正しい姿勢方向で回路基板100が搬入されたものとした場合、図12Bが逆入れの状態である。
図12Aは回路基板100の端部150が進行方向側、端部151が後方側となる姿勢方向であるのに対し、図12Bは端部151が進行方向側、端部150が後方側となる姿勢方向である。この図12Bのように本来の姿勢方向ではない状態を逆入れと呼ぶ。
このような逆入れ状態で搬入されると、スプレーパスで塗布を行ってもコーティング不良となってしまう。つまり禁止エリアARが塗られてしまったり、塗り残し部分が生じたり、さらにはスプレーパスの移動中にノズル3が電子部品110と衝突するような事態も生じる。
そこでコーティング装置1は搬入された回路基板100について逆入れ判定を行うようにしている。なお本実施の形態では、逆入れ判定によって異なる回路基板の誤搬入も判定できる。
コーティング装置1で逆入れ判定を行うためには、あらかじめ回路基板100上で1又は複数の参照ポイントを設定しておく。一例として、参照ポイント登録はコンピュータ装置200でおこなうものとする。
以下、この参照ポイント設定処理を図9,図10で説明する。
図9は例えばコンピュータ装置200側のモニタディスプレイで表示される参照ポイント登録用の画面例である。
図10は参照ポイント登録を含むコンピュータ装置200の処理例である。
コンピュータ装置200は図10のステップS101で、塗布対称の回路基板100の撮像画像を取得する。
例えば処理対象とする回路基板100については、予め作業者がデジタルスチルカメラ等を用いて撮像し、コンピュータ装置200等に取り込んでおく。ステップS101ではコンピュータ装置200はその撮像画像を処理用に読み出す。
なお撮像画像は、メモリカードその他の記憶媒体から読み込んだり、ネットワークを経由して取り込むようにしてもよい。
またコンピュータ装置200はステップS102で、当該回路基板100の高さデータを取得する。例えばコンピュータ装置200は、コーティング装置1で上述のように測定したX、Y座標毎の高さ値のデータをコーティング装置1に要求して受信する。
このステップS101,S102が行われることで、参照ポイント登録が可能となる。
その後、作業者がコンピュータ装置200のモニタディスプレイ上のコントロール画面で参照ポイント登録を指示する操作を行った場合、コンピュータ装置200はステップS110以降の処理を行う。
まずステップS110でコンピュータ装置200はモニタディスプレイ上で図9Aのような参照ポイント登録用のウインドウを開く。撮像画像ウインドウW1と登録操作ウインドウW2である。
撮像画像ウインドウW1は回路基板100の撮像画像400が表示されるウインドウである。
登録操作ウインドウW2には、パラメータ設定画像300として、参照ポイント設定部301,302,303,304,305、OKボタン306、キャンセルボタン307等が用意されている。
この例では参照ポイントとして最大5箇所を設定可能とするため、5つの参照ポイント設定部301〜305が用意されている。各参照ポイント設定部(301〜305)には、チェックボックスともにX値、Y値、Z値が入力可能とされる。
作業者は、このような撮像画像ウインドウW1と登録操作ウインドウW2を用いて参照ポイント設定操作を行う。ここでは操作入力として位置指定入力、キャンセル操作、OK操作が行われるとする。
作業者は、例えば撮像画像ウインドウW1上で、回路基板100上の或る位置を、クリック操作やタッチ操作等により指定することで、位置指定入力を行うことができる。或いは登録操作ウインドウの参照ポイント設定部(301〜305)のいずれかにX値、Y値を直接入力してもよい。
このような位置指定入力が行われたら、コンピュータ装置200はステップS111からS114に進み、その位置が参照ポイントとして登録可能か否かを判断する。
例えば既に最大数(例えば5箇所)まで登録ずみであれば、新たな登録はできない。また指定位置が基板よりも外であった場合も登録不可とする。或いは指定位置が基板の縁部に極めて近い箇所や、基板の中央点に極めて近い場合なども登録不可としても良い。
もし登録できない場合は、コンピュータ装置200はステップS116に進み、登録不能の通知表示を行ってステップS110に戻る。
登録可能であればコンピュータ装置200はステップS115に進み、当該指定された位置を参照ポイントとして登録する。すなわち指定された箇所のX、Y座標値を、参照ポイントのX値、Y値とする。また、取得していた高さデータを参照して、当該X−Y座標の位置での高さ値を判別し、それをZ値とする。このX値、Y値、Z値を1つの参照ポイントについての参照ポイントデータPRとして登録する。
そしてステップS110に戻る。
以上のステップS111→S114→S115の処理により、作業者は任意の数箇所(この例では最大5箇所)を参照ポイントとして登録させることができる。
図9Bは、作業者が撮像画像ウインドウW1上で4つの位置P1,P2,P3,P4をそれぞれ指定することに応じて、これらがそれぞれ登録操作ウインドウW1側で4つの参照ポイントとして登録されている状態を示している。
なお、各参照ポイント設定部(301〜305)におけるチェックボックスは、参照ポイント設定部(参照ポイント)を個別に指定して、登録内容を修正したり、登録内容を有効化/無効化するため等に用いられる。図9Bの例では、4つの参照ポイントが有効な登録情報としてチェックボックスがチェックされている状態を例示している。
作業者がキャンセルボタン307によるキャンセル処理を行ったら、コンピュータ装置200はステップS112からS117に進み、それまでの今回の登録をキャンセルして参照ポイント登録の処理を抜ける。つまりステップS103から開始した今回の参照ポイント入力はキャンセルする。
作業者がOKボタン306によるOK処理を行ったら、コンピュータ装置200はステップS113から参照ポイント登録の処理を抜ける。
作業者は、1以上の参照ポイントを登録したら、その参照ポイントをコーティング装置1に転送する操作を行う。
作業者がコンピュータ装置200のモニタディスプレイ上のコントロール画面で参照ポイントデータの転送を指示する操作を行った場合、コンピュータ装置200はステップS104からS105に進み、その時点で登録されている参照ポイントデータをコーティング装置1の主制御部30に転送する。
主制御部30は、当該回路基板100についての参照ポイントデータPRとして、登録された各参照ポイントのX値、Y値、Z値をメモリ部34に記憶し、その後の処理で随時取得できるようにする。
コーティング装置1にとっては、以上により逆入れ判定の準備ができたことになる。
なお、参照ポイント設定をコンピュータ装置200側で行う例として説明したが、図10のステップS101、S102、S103、S110〜S117の処理を主制御部30が行うようにしてもよい。
その場合、ステップS102としては図7のようなレーザスキャンにより各位置の高さ値を取得すればよい。またステップS110〜S117の処理は、表示部9において図9のような表示を実行させ、入力部31による入力を受け付けて、参照ポイント登録を行うようにすればよい。
<6.コーティング装置の処理>
図11によりコーティング装置1の処理、具体的には主制御部30の処理を説明する。図11は、順次搬送されてくる回路基板100についてコーティングを行っていくための主制御部30による制御処理例である。
大まかに言えば、主制御部30は、回路基板100の搬入を検知した場合に、逆入れ判定を行う。そして判定OK(正常な姿勢方向での搬入)であればコーティング処理を実行制御し、終了に応じて搬出するという制御処理となる。
主制御部30はステップS201で回路基板100の搬入を監視する。
また主制御部30はステップS202で塗布作業の終了(ラインの停止)を監視する。塗布作業の終了指示を検知した場合、図11の処理を終了する。
塗布作業の継続中においては、回路基板100がストッパ20の位置に搬入される度に主制御部30は処理をステップS203(S231)に進める。
破線で囲ったステップS203は逆入れ判定処理である。図ではこの逆入れ判定処理をステップS231〜S241として詳細に示している。
まずステップS231で主制御部30は、現在作業対象となっている種別の回路基板100について登録されている参照ポイントを確認する。そして登録されている参照ポイントの数を変数Nに代入する。
なお実際には、通常の基板製造ラインでは同種の回路基板100を連続して塗布装置に投入していくものであり、通常、ライン稼働中は回路基板100の種別は変わらないため、途中で参照ポイントの数は変化しない。従って実際にはステップS231の変数Nの設定は、ライン起動時に1回行えば良い。
ステップS232で主制御部30は変数N=0であるか否かを確認する。変数N=0とは、現在処理中の回路基板100が、参照ポイント登録がされていない基板である場合となる。その場合主制御部30は、作業者が、逆入れ判定処理を必要としていないと判断してステップS203を終了し、ステップS204に進む。従って、逆入れ判定が不要の場合に、逆入れ判定を行うことで塗布作業の1サイクルタイムが延びることが回避される。
逆入れ判定が不要の場合とは、例えば基板製造ラインは、その構成上、逆入れが発生し得ないものである場合や、スプレーパスの禁止エリア設定や電子部品配置が基板中央点に対して対称であるなどして、逆入れしても不良コーティングが発生しない場合などが考えられる。
なお、必ず逆入れ判定処理を必要とするようにしてもよい。その場合は、変数N=0の場合、ステップS206に進んでエラー処理とし、作業者に参照ポイント未設定のアラートを出力するようなことも考えられる。これにより参照ポイントの登録忘れによる逆入れの発生が防止される。
1以上の参照ポイント登録があり変数N≠0の場合は、主制御部30はステップS233に進み、変数n=1にセットする。
そして主制御部30はステップS234で参照ポイントデータPR(n)を取得する。
例えば4つの参照ポイントが登録されている場合、それぞれの参照ポイントのX値、Y値、Z値が、参照ポイントデータPR1,PR2,PR3,PR4としてメモリ部34に記憶されている。
変数n=1の時点のステップS234では、まず最初の参照ポイントデータPR1のX値、Y値、Z値を取得することになる。
ステップS234で参照ポイントデータPR(n)を確認したら、主制御部30はステップS235で、そのX値、Y値で示される位置にレーザ照射を行うようにレーザセンサ25を移動させる。すなわち主制御部30はモータコントローラ35にX値、Y値で示されるX−Y座標位置へのノズル移動を指示する。
但し、この場合はレーザ照射位置が当該位置となるように、ホルダ4の位置とレーザセンサ25の位置のX、Y方向の離間距離を考慮して、X値、Y値を補正して移動を指示することは言うまでもない。
このステップS235の制御により、レーザセンサ25によるレーザ照射位置が参照ポイントデータPR(n)のX値、Y値で示されるX−Y座標位置に達したら、主制御部30はステップS236でセンサ駆動部32に高さ測定の実行を指示する。そして主制御部30は測定結果を取得し、測定値Zhとして保持する。
ステップS237で主制御部30は、参照ポイントデータPR(n)におけるZ値と、測定値Zhを比較し、一致しているか否かを判定する。
一致していればステップS240に進む。
また一致していなければ主制御部30はステップS238で、Z値と測定値Zhの差分ΔZを求め、ステップS239で、差分ΔZが閾値thZ以内であるか否かを確認する。差分ΔZが閾値thZ以内であれば、ステップS240に進む。
閾値thZは、作業者があらかじめ設定した値であり、許容する誤差範囲を示す値となる。例えば閾値thZ=1mmなどに設定される場合、Z値と測定値Zhの差が±1mmの誤差内であればステップS240に進むことになる。
差分ΔZが閾値thZ以内でなければ、ステップS206のエラー処理に進む。
ステップS237又はS239からステップS240に進んだ場合は、主制御部30は変数nが変数Nに達したか否かを確認する。これは全ての参照ポイントPR1〜PR(N)について処理を終えたか否かを確認するものとなる。
変数nが変数Nに達していなければ主制御部30はステップS241で変数nをインクリメントしてステップS234に戻り、次の参照ポイントデータPR(n)について、同様の処理を行うことになる。
ステップS240で全ての参照ポイントデータPR1〜PR(N)について処理を終えたと確認した場合は、主制御部30はステップS204の塗布制御処理に移行する。
すなわち当該回路基板100に対して設定されたスプレーパスに沿ってノズル3を移動させながらコーティング剤の吐出を実行させるという、実際のコーティング処理を実行制御する。
そしてコーティング完了後、ステップS205で回路基板100の搬出を実行させる。以上により1つの回路基板100に対するコーティング作業の1サイクルが終了したことになり、ステップS201に戻って次の回路基板100の搬入を待機する。
ステップS206のエラー処理に進んだ場合は、主制御部30は例えば作業者に対して逆入れが発生していることのアラートを出力する制御を行うとともに、ステップS204の塗布処理に進まないようにする。例えばコーティング装置1の作業を中断させ、作業者の対応を求める。
或いは、主制御部30は、直ぐにステップS205に進むことで、コーティング作業を実行せずに回路基板100を排出して、次の回路基板100の搬入を待機するようにしてもよい。
この図11におけるステップS203の逆入れ判定処理では、主制御部30は登録されている全ての参照ポイントについて、レーザセンサ25により高さ値を実測させ、その測定値Zhが、その参照ポイントについて登録されたZ値と一致(又は略一致)しているか否かを判定している(S237及びS239)。
そして全ての参照ポイントPR1〜PR(N)について、一致又は略一致が確認できた場合に、逆入れではないと判定し、ステップS204に進む。
参照ポイントPR1〜PR(N)のうちの1つでも略一致の範囲から外れていたら、ステップS206でエラー処理とする。
前述のように、図12Aは、正しい方向性で回路基板100がストッパ20で規定される位置に搬入された状態で、図12Bは逆入れの状態であるとした。
今、図示するように回路基板100上の位置P1〜P4がそれぞれ参照ポイントとされ、それぞれについての参照ポイントデータPR1〜PR4が登録されているとする。
回路基板100が正しい方向性で搬送されていれば、これら各位置P1〜P4の測定値Zhは、当然ながら、登録されたZ値に一致するはずである。
ところが逆入れの状態だと一致しない。参照ポイントデータPR1〜PR4のX値、Y値で示されるのは、図12Bの逆入れの場合、図示する位置P1r〜P4rとなる。
図12Aに示すように位置P1と位置P1rは、回路基板100上で、中央点CTに対して点対称の関係となる位置である。つまり位置P1〜P4の各参照ポイントのX−Y座標には、点対称位置P1r〜P4rが位置することになる。
同じ高さの電子部品が点対称位置にマウントされているとか、どちらも電子部品が存在せず基板上面の高さになっているとかの状態でなければ、位置P1と位置P1rの高さは異なる。位置P2と位置P2r、位置P3と位置P3r、位置P4と位置P4rも同様である。
従って、参照ポイントにおいて、搬入後の測定値Zhが登録されたZ値と同じであれば正しい方向、異なれば逆入れと判定できる。
本実施の形態ではこの考え方により、逆入れ判定を行っている。
この参照ポイントは少なくとも1つ登録されていれば良い。その1つの参照ポイントPRにおいて、位置P1と位置P1rの高さが異なることで、逆入れ判定が可能となる。
しかし、登録した参照ポイントにおいて、位置P1と位置P1rの高さが偶然同じになってしまうこともある。そこで、複数の参照ポイントを登録しておき、ステップS203のように1つでも高さが異なれば、逆入れと判定してエラー処理を行うようにすることで、偶然の高さ一致による誤判定の可能性を下げることができる。
実際上は参照ポイントを複数とする、特に3箇所以上などとすることで、偶然の高さ一致による誤判定の可能性は極めて小さくなる。従って作業者は、参照ポイントの選定にさほど気をつけなくてもよい。
但し逆に言えば、作業者が、点対称位置関係で高さが明らかに異なる箇所を選んで、参照ポイントとして登録すれば、参照ポイントは1つでも十分である。
また高さの完全な一致でなくとも、ステップS238,S239の処理で誤差を許容するようにしている。レーザセンサ25の測定精度にもよるが、実際上、参照ポイントデータPR(n)として登録されたZ値と測定値Zhは厳密には一致しないことが多い。
例えば図13には、回路基板100にマウントされた電子部品112の各種状態を示している。図示のように電子部品110が直立した状態、わずかに傾いた状態、わずかに浮くように半田付けされてしまった状態などにより、電子部品110の上面の高さは回路基板100毎に微妙に異なってしまう。
このような誤差範囲を考慮せずにZ=Zhという一致のみを確認すると、正しい方向性の回路基板100も逆入れと誤判定することが頻出してしまう。
そこで、許容誤差としての閾値thZを設定しておき、差分ΔZが閾値thZ以内であれば一致とみなすことで、高さ誤差による誤判定が生じないようにしている。
閾値thZは、例えば作業者が任意の値に設定できるようにしてもよいし、固定値でもよい。
なお図11の処理例は説明上の一例である。
Z=Zhの場合もステップS239では肯定結果が得られるため、実際のプログラムとしては、ステップS236から直接S238に進むようにしてもよい。
閾値thZが設定されておらず、Z=Zhの一致のみをOKとする場合、ステップS238,S239は不要である。
また以上の図11のステップS203の処理は逆入れ判定処理として説明したが、異なる種別の電子部品が搬入された場合も参照ポイントにおいて異なる測定値Zhが得られるため、ステップS206のエラー処理となる。つまり図11の処理は、逆入れだけでなく、異種基板の紛れ込みにも対応できることとなる。
<7.参照ポイント自動登録>
ところで先に参照ポイントは作業者が位置を指定して行うとした、参照ポイント登録を自動的に行うようにしてもよい。
例えばコンピュータ装置200が行う図10の処理において、一点鎖線で囲った処理(S110〜S117)を、図14の処理に置き換えてもよい。
参照ポイント登録を実行する場合、コンピュータ装置200は図14ステップS120で回路基板100上の位置として候補位置Ppを選択する。ランダムにX−Y座標値を選択してもよいし、あらかじめ候補位置PpとなるX−Y座標値をいくつか固定値として保持しておいて、その1つを選択してもよい。
コンピュータ装置200はステップS121で、候補位置Ppに対する点対称位置Prを判定する。すなわち処理対象の回路基板100の平面の中央位置CTを判定し、その中央位置CTに対して候補位置Ppの点対称位置PrのX−Y座標値を算出する。
ステップ122でコンピュータ装置200は、候補位置PpとされたX−Y座標値における高さ値HPpと、点対称位置PrとされたX−Y座標値における高さ値HPrを、図10のステップS102で取得した高さデータを参照して確認し、差分ΔHを求める。すなわちΔH=|HPp−HPr|の計算を行う。
そしてステップS123でコンピュータ装置200は、差分ΔHと閾値thHを比較し、差分ΔHが閾値thH以上であるか否かを確認する。
閾値thHは、高さの差分ΔHとして十分な差が生ずるか否かを判定のための閾値である。例えば閾値thH=5mmなどとして設定されている。
もし差分ΔHが閾値thH以上ではないと判定された場合、その回路基板100は、選択した候補位置Ppと点対称位置Prの高さ値が近いため、参照ポイントとして不適と判断する。この場合ステップS120に戻って候補位置Ppの選択からやり直す。
一方、差分ΔHが閾値thH以上であれば、候補位置Ppは、点対称位置Prと十分に高さが異なり、参照ポイントとして適している。そこでコンピュータ装置200はステップS124に進み、その候補位置PpのX値、Y値、Z値を参照ポイントデータPRとして登録する。
ステップS125では、他の参照ポイント設定を行うか否かを確認する。複数の参照ポイントを自動設定する場合で、まだ登録数が足りない場合はステップS120に進み、他の候補位置Ppを選択して同様の処理を行う。
このような処理で、適切な参照ポイントが自動登録される。従って作業者の参照ポイント設定操作の負担を解消できる。
また、候補位置Ppと点対称位置Prの高さの差分が十分にあるか否かということで参照ポイントの適否も判断していることで、少ない参照ポイント登録でも十分な精度の逆入れ判定が可能になる。例えば1つの参照ポイントを登録するだけでも、逆入れ判定の精度を高く保つことができる。
なお、図14の処理はコンピュータ装置200が行うものとしたが、コーティング装置1の主制御部30が図14の処理を行って参照ポイント自動登録を行っても良い。
<4.まとめ及び変形例>
以上の実施の形態では次のような効果が得られる。
本発明の塗布装置の実施の形態であるコーティング装置1は、塗布液体を吐出する吐出部(ノズル3)と、吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構(ノズルZモータ5,Xモータ8,Yモータ7,X方向ガイド12,Y方向ガイド11等)を有する。また、塗布処理対象物である回路基板100を塗布作業位置に搬送する搬送機構(コンベア機構10)と、搬送機構により搬送されてきた回路基板100を測定対象として高さ計測を行うことのできる高さ検出部(レーザセンサ25)を有する。そして制御部(主制御部30)は、搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、設定された参照ポイントの高さ値を高さ検出部に測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定処理(S203)と、判定処理で適判定とされた場合に移動機構により吐出部を移動させながら塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出させる塗布制御処理(S204)を実行する。
すなわちコーティング装置1は、正しい種別の回路基板100が正しい姿勢方向で搬送されてきたことを確認して塗布を実行させる。一方、回路基板100の状況が不適と判定された場合は、エラー処理(S206)を行い、そのまま塗布処理には進まないようにしている。従って、もし回路基板100が正しくない姿勢方向で搬送されてきた場合や、異なる回路基板が搬送されてきてしまった場合、そのまま塗布処理が実行されてしまって、不適切な塗布が行われコーティング不良品が発生することを防止できる。
また実施の形態の処理は製造ラインの人員の効率配置にも貢献できる。通常、工程ラインの管理はラインの各所で行われているため、異なる種類の回路基板が搬入されることや、回路基板100の逆入れが生ずるのは稀であるともいえる。換言すれば稀に発生する逆入れ等を作業者が目視等でチェックすることは人員配置として無駄が大きい。これに対してコーティング装置1で容易に判定できることは、そのための人員は不要で人員をより重要な箇所に配置するなどができることになる。
実施の形態では、主制御部30は判定処理において、参照ポイントで実行させる高さ測定の測定値Zhが、当該参照ポイントについて記憶されている高さ値(Z値)と一致する場合に、適判定として塗布制御処理を実行するようにしている(S237→・・→S204)。
これにより、現在塗布作業を行っている対象である正しい回路基板100が正しい方向性で搬送されてきたと容易かつ正確に判定できる。例えば搬送されてきた回路基板を撮像した画像を解析して適否判定するといったような処理負担の大きな処理は不要である。また画像解析のためにカメラを取り付ける等も不要である。
特に、稀に生じる逆入れ等に対処するために主制御部30に大きな処理負担を与えるのは適切とは言えないところ、1〜数カ所のレーザ測定による高さ測定の結果を用いて主制御部30が容易に判定可能としていることは処理負担や処理効率の観点で非常に望ましい。
また主制御部30は判定処理において、参照ポイントで実行させる高さ測定の測定値Zhと、当該参照ポイントについて記憶されている高さ値(Z値)との差分が、設定した許容範囲内であれば、適判定として塗布制御処理を実行するようにしている(S239→・・→S204)。
これにより、現在塗布作業を行っている対象である正しい回路基板100が正しい方向性で搬送されてきたと容易かつ正確に判定できる。特に許容範囲を設定することで実際の工程作業上、的確な判定ができることになる。
例えば回路基板100上の電子部品のマウント状態の高さの誤差、電子部品の傾斜等による高さの変動、さらには回路基板100の基板厚の誤差、回路基板100のわずかなソリによる誤差、レーザ測定誤差などが生じ、測定値が記憶値に正確には一致しない場合が多い。あまりに厳密に判定すると、正しい種別の回路基板100が正しい方向性で搬送されてきているにもかかわらずエラー処理してしまうことが発生し、かえって製造工程の効率を低下させてしまう。そこで、許容範囲としての差分値の閾値thZを設定し、差分値ΔZが閾値thZ内であればOK判定する。これにより実際上の最適判定が可能となり、工程効率をむやみに妨げずに、不適正な塗布が行われることを防止できる。
また実施の形態では、参照ポイントは複数箇所設定され、各参照ポイントについて高さ値が記憶されており、主制御部30は、各参照ポイントの全てについて、高さ測定の測定値とその参照ポイントについて記憶されている高さ値との差分が設定した許容範囲内である場合に、適判定として前記塗布制御処理を実行するようにしている。
これにより判定精度を高めることができる。
回路基板100の方向性や種別が異なる場合に、或る参照ポイントの位置で測定した高さ値が、記憶されている高さ値と一致(略一致も含む)しないことになるのは、その参照ポイントの高さと、参照ポイントに対して基板の中央点と点対称の位置の高さが異なるためである。ところが、点対象の関係にある位置の高さが偶然一致してしまうと、反対の方向性で搬送されてきても、適正な方向性と誤判定してしまう。また異なる回路基板が搬送されてきた場合でも、偶然、参照ポイントでの高さが一致することもあり得る。
そこで、参照ポイントを複数箇所とし、全ての参照ポイントでの高さ値の一致判定を行う。これにより偶然の高さ一致による誤判定の可能性を極めて小さくすることができる。
なお、閾値thZは、参照ポイントデータPR1〜PR(N)に対して共通の1つの値を設定してもよいし、参照ポイント毎に個別に閾値thZを設定できるようにしてもよい。
また主制御部30は塗布制御処理(S204)として、回路基板100に対し、ノズル3の塗布作業時の移動経路として設定されたスプレーパスに基づいてノズル3を移動させながらコーティング剤の吐出を実行させるようにしている。
このようにスプレーパスを基板種別毎に設定して塗布を行う場合に、回路基板100の方向性や種別の違いが最も問題となる。スプレーパスは塗布禁止エリアを避けたり、マウントされている電子部品の高さ、部品間の幅なども考慮して設定される。従って、異なる方向性で配置されると、禁止エリアARに塗布を行ったり、ノズル3が電子部品に衝突することが発生したりする。異なる基板が搬送されてきた場合も同様である。これらの場合に、判定処理によって塗布制御処理の実行判断を行うようにすることは、不適な塗布やノズル衝突を避けるという点で非常に有用となる。
実施の形態では高さ検出部であるレーザセンサ25は、移動機構によりノズル3とともに移動されるように装着されている。
これにより移動手段を有効利用できる。レーザセンサ25の移動手段を別途設けなくてもよく、装置構成の効率化を図ることができる。
但し、レーザセンサ25を独立してX、Y方向に移動される構成を設けてもよい。
実施の形態では、ノズル3から扇状のスプレーパターンが吐出される例としたが、必ずしも扇状のスプレーパターンを吐出するノズルでなくともよい。
例えば円錐状に広がるスプレーパターンを吐出するノズルであっても本発明は適用できる。
またノズル3とニードルという2つの吐出部を備えた液体吐出装置としても実現可能である。ニードルとは細径の吐出口を持つ針状ノズルであり、電子部品間の狭い領域等に塗布できるものである。その場合、ニードルについてもスプレーパスが設定されることが考えられる。
また実施の形態のコーティング装置1は、回路基板100に薄膜を形成する装置に限ることなく、各種の塗布処理対象物に対して薄膜等を形成するコーティング装置に適用できる。薄膜とは、防湿膜、防さび膜、塗装膜、着色膜など、各種の膜のコーティングに適用できる。
また本発明の塗布装置は、実施の形態のようなコーティング装置1に限らず、膜形成、洗浄、塗装など、各種の目的で加圧液体の吐出を行う液体吐出装置において広く適用できる。
さらに本発明は、基板接着装置やレーザ加工装置などに応用することができる。
<9.プログラム及びコンピュータ装置>
実施の形態のプログラムは、上述の図11の処理を、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置に実行させるプログラムである。
即ち搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を高さ検出部に測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定ステップ(S203)と、判定ステップで適判定とされた場合に移動機構により吐出部を移動させながら塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出させる塗布制御ステップ(S204)とを演算処理装置に実行させるプログラムである。
このようなプログラムによれば、実施の形態のコーティング装置1等の塗布装置の広範な提供に適している。
また実施の形態の他のプログラムは上述の図14の処理を、例えばCPU、DSP(Digital Signal Processor)等の演算処理装置に実行させるプログラムである。
すなわち塗布装置において用いる参照ポイントを設定する処理として、塗布処理対象物上で候補位置を設定する設定ステップ(S120)と、塗布処理対象物の中央点と点対称となる点対称位置を求める点対称位置判定ステップ(S121)と、候補位置の高さ値と点対称位置の高さ値を比較する比較ステップ(S122,S123)と、比較ステップの比較結果に基づいて、候補位置の位置情報及び高さ情報を参照ポイントデータとして登録する処理(S124)とを演算処理装置に実行させるプログラム。
すなわち候補位置と、その点対称位置の高さの差分により、候補位置が参照ポイントとして適切かどうかを判断し、適切であれば参照ポイントとする。
これにより例えば点対称位置との高さの差分が大きい参照ポイントを自動設定することができる。この参照ポイントを用いることで塗布装置の制御部は判定処理で適切な判定を行うことができる。参照ポイントと点対称位置の高さ値が偶然一致するようなことはないためである。
以上の各プログラムは、コーティング装置1やコンピュータ装置200に内蔵されている記録媒体としてのメモリ部34或いは、HDD(Hard Disk Drive)等や、CPUを有するマイクロコンピュータ内のROM等に予め記録しておくことができる。
あるいはまた、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magneto optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク(Blu-ray Disc(登録商標))、磁気ディスク、半導体メモリ、メモリカードなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。
また、このようなプログラムは、リムーバブル記録媒体からパーソナルコンピュータ等にインストールする他、ダウンロードサイトから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
ここで図15にコンピュータ装置200としての構成を示す。
コーティング装置1と接続されるコンピュータ装置200は、例えば図15のようなハードウエア構成で実現される。
コンピュータ装置200は、CPU251、ROM252、RAM253を有して構成される。CPU251は、ROM252に記憶されているプログラム、または記憶部259からRAM253にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM253にはまた、CPU251が各種の処理を実行する上において必要なデータなども適宜記憶される。CPU251、ROM252、RAM253は、バス254を介して相互に接続されている。このバス254には入出力インターフェース255も接続されている。
入出力インターフェース255には、液晶パネル或いは有機EL(Electroluminescence)パネルなどよりなるディスプレイ256が接続される。また入出力インターフェース255には、キーボード、マウスなどよりなる入力部256、スピーカ258、HDDなどより構成される記憶部259、通信部260などが接続可能である。
通信部260は、例えばLANなどによりコーティング装置1を含む周辺装置との間の通信を行う。
入出力インターフェース75にはまた、必要に応じてドライブ261が接続され、メモリカード262が装着され、メモリカード262から読み出されたコンピュータプログラムが、必要に応じて記憶部278にインストールされたり、CPU251で処理したデータが記憶される。もちろんドライブ261は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク等のリムーバブル記憶媒体に対する記録再生ドライブとされてもよい。
このようなハードウエア構成のコンピュータ装置200において上述の図14のような実施の形態のプログラムがCPU251において実行されることで、適切な参照ポイント自動登録が実現される。
また上述したコーティング装置1の塗布処理のためのスプレーパス設定やコーティング条件設定その他の各種設定処理をCPU251が実行し、通信部260から設定情報をコーティング装置1に転送することもできる。このように各種処理をコンピュータ装置200側で行うことでコーティング装置1の主制御部30の処理負担を軽減できる。
1…コーティング装置
3…ノズル
5…ノズルZモータ
6…ノズル回転モータ
7…Yモータ
8…Xモータ
9…表示部
10…コンベア機構
11…Y方向ガイド
12…X方向ガイド
20…ストッパ
25…レーザセンサ
30…主制御部
100…回路基板
110,111,112,113…電子部品
200…コンピュータ装置
251…CPU

Claims (9)

  1. 塗布液体を吐出する吐出部と、
    前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構と、
    塗布処理対象物を塗布作業位置に搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物を測定対象として高さ計測を行うことのできる高さ検出部と、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を前記高さ検出部に測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定処理と、前記判定処理で適判定とされた場合に前記移動機構により前記吐出部を移動させながら前記塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出させる塗布制御処理を実行する制御部と、を備えた
    塗布装置。
  2. 前記制御部は、前記判定処理において、
    参照ポイントで実行させる高さ測定の測定値が、当該参照ポイントについて記憶されている高さ値と一致する場合に、適判定として前記塗布制御処理を実行する
    請求項1に記載の塗布装置。
  3. 前記制御部は、前記判定処理において、
    参照ポイントで実行させる高さ測定の測定値と、当該参照ポイントについて記憶されている高さ値との差分が、設定した許容範囲内であれば、適判定として前記塗布制御処理を実行する
    請求項1に記載の塗布装置。
  4. 前記参照ポイントは複数箇所設定され、各参照ポイントについて高さ値が記憶されており、
    前記制御部は、各参照ポイントの全てについて、高さ測定の測定値とその参照ポイントについて記憶されている高さ値との差分が設定した許容範囲内である場合に、適判定として前記塗布制御処理を実行する
    請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の塗布装置。
  5. 前記制御部は、前記塗布制御処理として、
    塗布処理対象物に対し、前記吐出部の塗布作業時の移動経路として設定されたスプレーパスに基づいて前記移動手段により前記吐出部を移動させながら、前記塗布処理対象物に対する塗布液体の吐出を実行させる
    請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の塗布装置。
  6. 前記高さ検出部は、前記移動機構により前記吐出部とともに移動されるように装着されている
    請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の塗布装置。
  7. 塗布液体を吐出する吐出部と、
    前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構と、
    塗布処理対象物を塗布作業位置に搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物を測定対象として高さ計測を行うことのできる高さ検出部と、
    を備えた塗布装置の塗布方法として、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を前記高さ検出部により測定し、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定手順と、
    前記判定手順で適判定とされた場合に、前記移動機構により前記吐出部を移動させながら前記塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出する塗布手順と、を行う
    塗布方法。
  8. 塗布液体を吐出する吐出部と、
    前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構と、
    塗布処理対象物を塗布作業位置に搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物を測定対象として高さ計測を行うことのできる高さ検出部と、
    を備えた塗布装置の演算処理装置に実行させるプログラムとして、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を前記高さ検出部に測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定ステップと、
    前記判定ステップで適判定とされた場合に前記移動機構により前記吐出部を移動させながら前記塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出させる塗布制御ステップと
    を演算処理装置に実行させるプログラム。
  9. 塗布液体を吐出する吐出部と、
    前記吐出部を三次元の各方向である横方向、縦方向、高さ方向に移動させる移動機構と、
    塗布処理対象物を塗布作業位置に搬送する搬送機構と、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物を測定対象として高さ計測を行うことのできる高さ検出部と、
    前記搬送機構により搬送されてきた塗布処理対象物に対して、塗布処理対象物上で設定された参照ポイントの高さ値を前記高さ検出部に測定させ、その測定値を用いて塗布処理対象物の適否を判定する判定処理と、前記判定処理で適判定とされた場合に前記移動機構により前記吐出部を移動させながら前記塗布処理対象物に対する塗布液体を吐出させる塗布制御処理を実行する制御部と、
    を備えた塗布装置において用いる前記参照ポイントを設定する処理として、
    塗布処理対象物上で、候補位置を設定する設定ステップと、
    塗布処理対象物の中央点と点対称となる点対称位置を求める点対称位置判定ステップと、
    前記候補位置の高さ値と前記点対称位置の高さ値を比較する比較ステップと、
    前記比較ステップの比較結果に基づいて、候補位置の位置情報及び高さ情報を参照ポイントデータとして登録する処理と、
    を演算処理装置に実行させるプログラム。
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