図1は、本発明を適用可能な部品実装装置の概略構成を示す平面図である。また、図2は、図1に示す部品実装装置の部分正面図である。さらに、図3は、図1に示す部品実装装置の主要な電気的構成を示すブロック図である。これらの図に示す部品実装装置1は、装置内に搬入された基板Sの表面に部品を実装して、部品実装済みの基板Sを装置外に搬出する構成を具備する。なお、図1、図2および以下で示す図では、各図の方向関係を明確にするために、Z軸方向を鉛直方向とするXYZ直交座標軸を適宜示すこととする。
部品実装装置1では、基台11上に基板搬送機構12が配置されており、基板Sを所定の搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構12は、基台11上において基板Sを図1の右側から左側へ搬送する一対のコンベア121、121を有している。そして、コンベア121、121は制御ユニット200の駆動制御部210からの指令に応じて、基板Sの搬送を実行する。具体的には、コンベア121、121は、装置外部より搬入した基板Sを、所定の作業位置10(図1および図2に示す基板Sの位置)で停止させ、図略の固定手段により固定して水平に保持する。そして、後述するヘッドユニット16が作業位置10で水平に保持された基板Sの表面への部品の取り付けを完了すると、コンベア121、121は基板Sを装置外部へ搬出する。
コンベア121、121の前方側(+Y軸方向側)および後方側(−Y軸方向側)には、部品供給部14が配置されている。この部品供給部14は、部品を供給するフィーダ141をX軸方向に多数並べた構成を具備する。各フィーダ141は、部品を収納・保持したテープを巻き回したリール(図示省略)を設けたテープフィーダであり、部品をヘッドユニット16に供給可能となっている。具体的には、テープには、集積回路(IC)、トランジスタ、コンデンサ等の小片状のチップ部品が所定間隔おきに収納、保持されている。そして、フィーダ141は、リールからテープをヘッドユニット16側に送り出すことで、該テープ内の部品を間欠的に部品吸着位置に繰り出す。その結果、ヘッドユニット16の実装ヘッド160に装着された吸着ノズル161によって部品のピックアップが可能となる。
ヘッドユニット16は、実装ヘッド160の吸着ノズル161により吸着保持した部品を基板Sに搬送して、基板S表面の実装対象箇所に移載するものである。具体的には、ヘッドユニット16は、前方側でX軸方向に一列に配列された6個の実装ヘッド160Fと、後方側でX軸方向に一列に配列された6個の実装ヘッド160Rとの合計12個の実装ヘッド160を有している。すなわち、図1および図2に示すように、ヘッドユニット16では、鉛直方向Zに延設された実装ヘッド160Fが6本、X軸方向に等ピッチで列状に設けられている。また、実装ヘッド160Fに対して後方側(−Y軸方向側)にも、前列と同様に構成された後列が設けられている。これら実装ヘッド160Fと実装ヘッド160RとはX軸方向に半ピッチずれて配置されており、図1に示すように平面視でジグザグ状に配置されている。このため、Y軸方向から見ると、図2に示すように12本の実装ヘッド160は互いに重なり合うことなくX軸方向に一列に並んでいる。前列の6本の実装ヘッド160Fの配置ピッチ、後列の6本の実装ヘッド160Rの配置ピッチ、および部品供給部14における各フィーダ141の配置ピッチは互いに一致するようにされている。そのため、ヘッドユニット16は、前列の複数の実装ヘッド160Fおよび後列の複数の実装ヘッド160Rそれぞれにおいて、一度に複数の部品を部品供給部14からピックアップすることができる。
吸着ノズル161が装着される各実装ヘッド160の先端部は、圧力切換機構17を介して負圧発生装置、正圧発生装置、及び大気のいずれかに連通可能とされている。そして、制御ユニット200の把持制御部220が圧力切換機構17をコントロールすることで実装ヘッド160の先端部に与える圧力を切り換え可能となっている。したがって、圧力切換によって負圧発生装置からの負圧吸着力を実装ヘッド160の先端部に与えると、当該先端部に装着された吸着ノズル161が部品を吸着して保持する。逆に、正圧発生装置からの正圧を実装ヘッド160の先端部に与えると、吸着ノズル161による部品の吸着保持が解除されて、部品が基板Sに実装される。そして、部品の実装後、吸着ノズル161は大気開放とされる。このようにヘッドユニット16では把持制御部220による負圧吸着力及び正圧供給の制御により部品の着脱が可能となっている。
実装ヘッド160のそれぞれに対しては、図略の駆動機構を介してZ軸サーボモータMzおよびR軸サーボモータMrが接続されている。つまり、実装ヘッド160は、図略のノズル昇降駆動機構を介してZ軸サーボモータMzからの駆動力を受けて昇降(鉛直方向Zへ移動)する。したがって、駆動制御部210はZ軸サーボモータMzを制御することで、部品の吸着もしくは実装を行う時の下降高さ(下降端)と、部品の搬送を行う時の上昇高さ(上昇端)との間で実装ヘッド160(の吸着ノズル161)を昇降させることができる。さらに、実装ヘッド160は、図略のノズル回転駆動機構を介してR軸サーボモータMrからの駆動力を受けてノズル中心軸周りに回転(図2のR方向への回転)可能となっている。したがって、駆動制御部210は、R軸サーボモータMrを制御することで、実装時の部品のR軸方向位置に対応するように、吸着ノズル161が吸着した部品の回転角度を調整することができる。
こうして、各実装ヘッド160に設けられたZ軸サーボモータMzおよびR軸サーボモータMrには、Z軸エンコーダEzおよびR軸エンコーダErがそれぞれ対応して設けられている。したがって、駆動制御部210は、Z軸エンコーダEzの出力に基づいて、鉛直方向Zにおける実装ヘッド160(の吸着ノズル161)の高さ(Z座標)を把握することができる。また、駆動制御部210は、R軸エンコーダErの出力に基づいて、回転方向Rにおける実装ヘッド160(の吸着ノズル161)の回転(R座標)を把握することができる。
これら実装ヘッド160を保持するヘッドユニット16は、基台11の所定範囲にわたって、鉛直方向Zに直交する水平面内(X軸とY軸を含む平面内)で二次元的に移動可能となっている。すなわち、ヘッドユニット16は、X軸方向に延びる実装ヘッド支持部材163に対してX軸に沿って移動可能に支持されている。また、実装ヘッド支持部材163は、両端部がY軸方向の固定レール164に支持され、この固定レール164に沿ってY軸方向に移動可能になっている。そして、ヘッドユニット16は、X軸サーボモータMxによりボールねじ166を介してX軸方向に駆動され、実装ヘッド支持部材163はY軸サーボモータMyによりボールねじ168を介してY軸方向へ駆動される。したがって、駆動制御部210がX軸サーボモータMxおよびY軸サーボモータMyを駆動制御することで、XY面内(水平面内)の所定位置にヘッドユニット16を移動させることができる。その結果、ヘッドユニット16を適宜移動させて、実装ヘッド160に吸着された部品を部品供給部4から実装対象箇所まで搬送するといった動作が実行できる。
こうして、ヘッドユニット16を駆動するX軸サーボモータMxおよびY軸サーボモータMyには、X軸エンコーダExおよびY軸エンコーダEyがそれぞれ対応して設けられている。したがって、駆動制御部210は、X軸エンコーダExの出力に基づいて、X軸方向におけるヘッドユニット16の位置(X座標)を把握することができる。また、駆動制御部210は、Y軸エンコーダEyの出力に基づいて、Y軸方向におけるヘッドユニット16の位置(Y座標)を把握することができる。つまり、エンコーダEx、Eyの出力から、ヘッドユニット16のXY座標を把握することができる。さらに、駆動制御部210は、ヘッドユニット16とこれに搭載された実装ヘッド160それぞれとの位置関係を記憶している。よって、駆動制御部210は、この位置関係とエンコーダEx、Eyの出力に基づいて、各実装ヘッド160のXY座標も把握することができる。
また、ヘッドユニット16のX軸方向の一端には、撮像手段18が固定されている。撮像手段18は、ヘッドユニット16の移動に伴って水平面内(XY面内)で二次元的に移動するとともに、その移動先で作業位置10に固定された基板Sの表面を撮像する。具体的には、撮像手段18は、鉛直下方を向いて支持されたCCD(Charge Coupled Device)カメラ180などで構成されており、作業位置10に位置決めされた基板Sの表面Sfを撮像して、フィデューシャルマークの認識や基板表面Sfの高さ取得のために必要な画像を検出する。ここで、図4を併用しつつ、撮像手段18について詳述しておく。
図4は、ヘッドユニットに取り付けられた基板撮像手段の構成および動作を模式的に示した図である。なお、図4では、撮像手段18の他に、作業位置10に固定された基板Sが部分的に示されるとともに、水平に保持された基板表面に対して符号Sfが付されている。図4の「構成」の欄に示すように、撮像手段18は、鉛直下方を向いて基板Sの表面Sfに対向するCCDカメラ180、CCDカメラ180の視野を照らす照明182、およびCCDカメラ180の視野へレーザービームを射出するビーム光源184を備える。
照明182は、図4にて断面で示されたドーム型のフードの内側にLED(Light Emitting Diode)などの発光素子を敷き詰めた構成を具備しており、フードの内側を鉛直下方へ向けつつ周囲から取り囲むようにCCDカメラ180に取り付けられ、基板Sの表面SfのCCDカメラ180の鉛直下方部に各LEDの照射光が集光するようにされている。一方、ビーム光源184は、CCDカメラ180との位置関係が固定されている。このビーム光源184、CCDカメラ180の側方からCCDカメラ180の視野の中央へ向けて、Y軸およびZ軸に対して垂直な方向へレーザービームを射出する。ビーム光源184から射出されたレーザービームは、基板Sの表面Sfに対して斜めに入射し、その入射角θは0度より大きく90度より小さくなっている。
そして、フィデューシャルマークFの検出は、照明182およびCCDカメラ180を用いて実行される。具体的には、駆動制御部210がX軸およびY軸サーボモータMx、Myを動作させる。これによって、駆動制御部210の制御下でヘッドユニット16が水平面内で移動して、CCDカメラ180がフィデューシャルマークFの上方へ移動して、その検出領域D内にフィデューシャルマークFを捉える。なお、駆動制御部210は、ヘッドユニット16とこれに取り付けられたCCDカメラ180との位置関係を記憶しており、この位置関係とエンコーダEx、Eyの出力に基づいて、CCDカメラ180のXY座標を把握しつつ、CCDカメラ180を移動させることができる。
こうしてCCDカメラ180の検出領域DにフィデューシャルマークFが収まると、撮像制御部230は照明182をオンさせて検出領域Dを照らす。これによって、フィデューシャルマークFが照らされて、図4の「マーク認識時のカメラ画像」の欄に示すような画像がカメラ180によって撮像される。CCDカメラ180の撮像画像は撮像制御部230に出力され、撮像制御部230はこの撮像画像に画像処理を施して、XY面内におけるフィデューシャルマークFのXY座標(ΔFx,ΔFy)を取得する。
一方、基板表面Sfの高さの取得は、ビーム光源184とCCDカメラ180を用いて実行される。なお、ここでの高さ取得は、基板表面Sfの全体の高さを取得するものではなく、基板表面Sfの局所的な高さを取得することで、基板Sの反り等に起因した基板表面Sfでの高さの変化を把握するものである。具体的には、駆動制御部210が上述と同様にエンコーダEx、Ey出力に基づきCCDカメラ180のXY座標を確認しつつX軸およびY軸サーボモータMx、Myを動作させる。これによって、駆動制御部210の制御下でヘッドユニット16が水平面内で移動して、CCDカメラ180が取得対象箇所の上方へ移動する。
こうしてCCDカメラ180の検出領域Dが取得対象箇所に移動すると、撮像制御部230はビーム光源184をオンさせて、検出領域Dへ向けてレーザービームを照射して、検出領域Dに高照度点となるビームスポットBを出現させる。これによって、図4の「高さ取得時のカメラ画像」の欄に示すような画像がカメラ180によって撮像される。CCDカメラ180の撮像画像は撮像制御部230に出力され、撮像制御部230はこの撮像画像に画像処理を施すことで特定したビームスポットBの位置から、検出領域D(換言すれば、取得対象箇所)における基板表面Sfの高さを検出する。
この高さ取得の原理について、図4の「高さ取得の原理」の欄を併用しつつ説明する。なお、図4では、検出領域Dにおいて基板表面Sfが標準高さz0にあるときと、実際の高さzrにあるときとが併記されている。検出領域D内において基板表面Sfが標準高さz0にあるときに、ビームスポットBが検出領域Dの中心Crに位置するように、ビーム光源184はCCDカメラ180に対して位置決めされている。これに対して、実際に取得された撮像画像では、ビームスポットBが検出領域Dの中心Crに対して、X軸方向に距離ΔSxだけ変位している。これは、基板表面Sfの実際の高さzrが標準高さz0より高さΔSzだけ変化しているために、ビームスポットBの位置がずれたことによる。なお、図4から理解できるように、レーザービームの入射角θ、距離ΔSx、高さΔSzの間には、関係式
ΔSz=ΔSx/tanθ
が成立する。したがって、撮像制御部230は、ビームスポットBのX軸方向への変位ΔSxを上記関係式に代入することで、検出領域Dにおける基板表面Sfの高さΔSzを求めることができる。なお、レーザービームの入射角θは、撮像制御部230に予め記憶されている。
図1〜図3に戻って、部品実装装置1の構成について説明を続ける。部品実装装置1には、部品を認識するための照明装置を備えたCCDカメラ190が設けられている。このCCDカメラ190は基台11上に配置されており、各実装ヘッド160の吸着ノズル161による部品の吸着状態を確認するために主に用いられる。具体的には、駆動制御部210がヘッドユニット16を適宜移動させることで、CCDカメラ190の上方に吸着ノズル161の吸着する部品を移動させる。そして、この状態でCCDカメラ190の撮像した部品の画像が制御ユニット200に転送される。制御ユニット200は、この画像に基づいて駆動制御部210によりR軸サーボモータMrを制御することで、実装ヘッド160をR方向に適宜回転させて、基板Sに取り付けられる部品の角度を適切に調整する。
図3に示すように、部品実装装置1には、ユーザとのインターフェースとして機能するディスプレイ191および入力機器192を備える。ディスプレイ191は、部品実装装置1の動作状態等を表示する機能のほか、タッチパネルで構成されてユーザからの入力を受け付ける入力端末としての機能も有する。また、入力機器192は、マウスやキーボードで構成されており、ユーザからの入力を受け付ける機能を果たす。なお、これらディスプレイ191および入力機器192に対する入出力の制御は、制御ユニット200の入出力制御部240によって実行される。
このように構成された部品実装装置1全体の動作は、主制御部250によって統括的に制御される。つまり、この主制御部250は、記憶部260に記憶されているプログラムやデータに基づいてバス270を介して制御ユニット200の各部と互いに信号のやり取りを行って、装置1全体を制御する。具体的には、記憶部260には、実装プログラム262が記憶されている。実装プログラム262は、部品を基板Sの実装対象箇所に取り付けるために、実装ヘッド160等を制御するためのプログラムであり、基板Sに対して部品を実装する位置、角度のほか、実装手順等の情報が組み込まれている。続いては、主制御部250の制御下で実行される動作の一例について説明する。
図5は、図1の部品実装装置で実行される部品実装の一例を示すフローチャートである。同図のフローチャートは、実装プログラム262に従って実行される基板Sへの部品実装を示すものである。また、図6は、図5のフローチャートに従って基板に対して実行される部品実装の具体例を模式的に示した図である。特に、図6では、図5のステップS102〜S108でフィデューシャルマークを認識している間の動作が「マーク認識時」の欄で例示され、図5のステップS109〜S119で部品を実装している間の動作が「部品実装時」の欄で例示されている。また、図6においては、部品の実装対象箇所Q1〜Q4が破線で示されている。
ステップS101では、部品実装装置1に基板Sが搬入されて、作業位置10に位置決めされる。図6に示すように、この基板Sは、複数の小基板P1〜P6で構成される多面取り基板である。具体的には、基板S上にエッチング印刷によりそれぞれ矩形状の小基板P1〜P6が行列状に配列されて、多面取り基板Sが構成されており、実装後に個々の小基板に切断分離される。なお、小基板P1〜P6は互いに同様の構成を具備するので、図6では一部の小基板P1に対してのみ符号を付して、その他の小基板P2〜P6に対しては符号を適宜省略している。
多面取り基板Sには、多面取り用のフィデューシャルマークFs1、Fs2(すなわち、多面取り基板Sの位置を示すフィデューシャルマークF)が対角(図6において左上と右下の角)のそれぞれに付されている。また、小基板P1〜P6のそれぞれにも、小基板用のフィデューシャルマークFp1、Fp2(すなわち、対応する小基板P1〜P6の位置を示すフィデューシャルマーク)が対角(図6において右上と左下の角)のそれぞれに付されている。また、小基板P1〜P6では、それぞれの対角以外にも、QFP(Quad Flat Package)のように位置精度が要求される部品の実装対象箇所Q1の角に隣接してフィデューシャルマークFp3、Fp4が付されている。
ステップS102〜S104では、作業位置10に固定された多面取り基板SのフィデューシャルマークFs1、Fs2の認識が実行される。具体的には、駆動制御部210がヘッドユニット16を移動させて、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFs1に対向させる(ステップS102)。そして、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFs1に対向させて停止させた状態で、CCDカメラ180にフィデューシャルマークFs1を撮像させた結果から、フィデューシャルマークFs1のXY座標が求められる(ステップS103)。ステップS104では、多面取り用のフィデューシャルマークFs1、Fs2の全ての認識が完了したか否かが判断される。ここでは、フィデューシャルマークFs2の認識が未完であるので、ステップS104で「NO」と判断されて、ステップS102に戻る。つまり、駆動制御部210は、ヘッドユニット16を多面取り基板Sの対角線方向へ向けて移動させて、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFs2に対向させる(ステップS102)。そして、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFs2に対向させて停止させた状態で、CCDカメラ180にフィデューシャルマークFs2を撮像させた結果から、フィデューシャルマークFs2のXY座標が求められる(ステップS103)。こうして、多面取り用のフィデューシャルマークFs1、Fs2の全ての認識が完了して(ステップS104で「YES」)、作業位置10に固定された多面取り用基板Sの位置を確認することができる。
また、ステップS102〜S104では、フィデューシャルマークFs1、Fs2の認識と並行して、基板表面Sfの高さ取得が実行される。具体的には、CCDカメラ180によりフィデューシャルマークFs1を認識するためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFs1に対して停止している停止期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射され、CCDカメラ180が検出領域D内における基板表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像し(マーク認識と高さ検出とを並行して行う並行検出動作)、これによって検出領域Dにおける基板表面Sfの高さが取得される(ステップS103)。また、次のフィデューシャルマークFs2の認識のためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFs2へ向けて移動している移動期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射されつつ、CCDカメラ180は検出領域Dが通過する経路内にある基板表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像し(移動と高さ検出とを並行して行う並行検出動作)、これによって検出領域Dの通過経路内における基板表面Sfの高さが取得される(ステップS102)。さらに、CCDカメラ180によりフィデューシャルマークFs2を認識するためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFs2に対して停止している停止期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射され、CCDカメラ180が検出領域D内における基板表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像し(並行検出動作)、これによって検出領域Dにおける基板表面Sfの高さが取得される(ステップS103)。
ステップS105では、小基板P1〜P6を識別する変数Hに「1」が代入される。これによって、ステップS106〜S119の処理対象が小基板P1に特定される。ステップS106〜S108では、小基板P1のフィデューシャルマークFp1〜Fp4の認識が実行される。ここでは、小基板P1の位置を示すフィデューシャルマークFp1、Fp2が認識された後に、実装対象箇所Q1の位置を示すフィデューシャルマークFp3、Fp4が認識され、より具体的には、フィデューシャルマークFp1、Fp2、Fp3、Fp4の順番で認識される。
すなわち、駆動制御部210がヘッドユニット16を移動させて、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFp1に対向させる(ステップS106)。そして、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFp1に対向させて停止させた状態で、CCDカメラ180にフィデューシャルマークFp1を撮像させた結果から、フィデューシャルマークFp1のXY座標が求められる(ステップS107)。ステップS108では、小基板用のフィデューシャルマークFp1〜Fp4の全ての認識が完了したか否かが判断される。ここでは、フィデューシャルマークFp2〜Fp4の認識が未完であるので、ステップS108で「NO」と判断されて、ステップS106に戻る。つまり、駆動制御部210は、ヘッドユニット16を小基板P1の対角線方向へ向けて移動させて、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFp2に対向させる(ステップS106)。そして、CCDカメラ180をフィデューシャルマークFp2に対向させて停止させた状態で、CCDカメラ180にフィデューシャルマークFp2を撮像させた結果から、フィデューシャルマークFp2のXY座標が求められる(ステップS107)。ステップS108では全ての認識が完了したか否かが判断される。そして、ステップS106〜S108が繰り返し実行されて、残りのフィデューシャルマークFp3、Fp4の認識も完了する。こうして、小基板P1用のフィデューシャルマークFp1〜Fp4の全ての認識が完了して(ステップS108で「YES」)、小基板P1の位置や実装対象箇所Q1の位置を確認することができる。
また、ステップS106〜S108では、フィデューシャルマークFp1〜Fp4の認識と並行して、基板表面Sfの高さ取得が実行される。具体的には、CCDカメラ180によりフィデューシャルマークFp1〜Fp4を認識するためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFp1〜Fp4に対して停止している停止期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射され、CCDカメラ180が検出領域D内における基板表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像し(並行検出動作)、これによって検出領域Dにおける基板表面Sfの高さが取得される(ステップS107)。また、次のフィデューシャルマークFp2〜Fp4の認識のためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFp2〜Fp4へ向けて移動している移動期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射されつつ、CCDカメラ180は検出領域Dが通過する経路内にある基板表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像し(並行検出動作)、これによって検出領域Dの通過経路内における基板表面Sfの高さが取得される(ステップS106)。
ステップS102〜S104やステップS106〜S108を実行することで、CCDカメラ180が検出領域D内の基板表面Sfを撮像(検出)した撮像結果から、検出領域D内での基板表面Sfの高さΔSzが取得される。こうして、CCDカメラ180の撮像結果から取得された基板表面Sfの高さΔSzは、当該撮像結果を撮像した際のCCDカメラのXY座標(位置座標)と対応付けられて高さ情報Ipとして記憶部260に記憶される。こうして、図6の「マーク認識時」の欄において一点鎖線で囲まれてハッチングが施された範囲(以下、「一点鎖線で囲まれた範囲」と適宜称する)については、基板表面Sfの高さΔSzを基板表面SfでのXY座標と対応付けて示す高さ情報Ihが取得されたこととなる。
ステップS109では、実装対象箇所Q1〜Q4を識別する変数Lに「1」が代入される。これによって、ステップS110〜S117の処理対象が実装対象箇所Q1に特定される。ステップS110では、位置L、すなわち実装対象箇所Q1の属するゾーンについては、高さ情報Ipが取得済みであるかが判断される。図6の「マーク認識時」の欄に示すように、実装対象箇所Q1は、一点鎖線に囲まれた範囲から外れており、高さ情報Ihが未取得のゾーンに属する。したがって、ステップS110において「NO」と判断されて、ステップS111に進む。ステップS111では、実装対象箇所Q1を含む対象ゾーン内にある取得対象箇所を特定する変数Kに「1」が代入される。ステップS112では、駆動制御部210がヘッドユニット16を移動させることで、CCDカメラ180を取得対象箇所Kに上方から対向させて、CCDカメラ180の検出領域D内に取得対象箇所Kを収める。さらに、ステップS112では、ビーム光源184からレーザービームが照射された状態でCCDカメラ180による撮像が行われ、ビームスポットBを含む撮像結果から求まる取得対象箇所Kの高さを、撮像時のCCDカメラ180のXY座標と対応付けて高さ情報Ipとして記憶部260に記憶する。そして、ステップS113で変数Kが「1」だけインクリメントされた後に、ステップS114で対象ゾーン内の全ての取得対象箇所Kについて高さ取得が完了したかが判断される。未完である場合はステップS114で「NO」と判断されてステップS112、S113が繰り返される一方、完了している場合はステップS114で「YES」と判断されて対象ゾーンに対する高さ取得が終了し、ステップS115へ進む。
ステップS115では、記憶部260に記憶されている高さ情報Ihから、実装対象箇所Q1における基板表面Sfの高さを求める。具体的には、実装対象箇所Q1の位置での高さを示す高さ情報Ipが存在する場合は、その高さ情報Ipの示す高さを実装対象箇所Q1における基板表面Sfの高さとして求める。また、実装対象箇所Q1の位置での高さを示す高さ情報Ipが存在しない場合は、高さ情報Ipが取得されていて実装対象箇所Q1に近接する近接位置で基板表面Sfの高さから、線形補間やその他の数学的手法に基づいて、実装対象箇所Q1における基板表面Sfの高さが算出される。例を挙げると、実装対象箇所Q1に近接する3点N1(x1,y1)、N2(x2,y2)、N3(x3,y3)について高さ情報Ipが取得されており、各点N1、N2、N3の高さがそれぞれz1、z2、z3であったとすると、任意の位置(x,y)における基板表面Sfの高さは、次式
{(y2-y1)(z3-z1)-(y3-y1)(z2-z1)}(x-x1)+{(z2-z1)(x3-x1)-(z3-z1)(x2-x1)}(y-y1)
+{(x2-x1)(y3-y1)-(x3-x1)(y2-y1)}(z-z1)=0
から算出することができる。
ステップS116では、駆動制御部210がヘッドユニット16を移動させて、実装対象箇所Q1へ向けて実装ヘッド160を移動させる。ステップS117では、実装対象箇所Q1に対向する実装ヘッド160のノズル161を下降させて、ノズル161に保持される部品を実装対象箇所Q1に実装する。なお、この部品実装の際にノズル161を下降させる距離(下降ストローク量)は、ステップS115で求めた実装対象箇所Q1における基板表面Sfの高さに応じて調整される。つまり、駆動制御部210は、エンコーダEz出力の結果に基づいてZ軸サーボモータMzを制御することで、基板表面Sfが高ければ下降ストローク量を減少させ、基板表面Sfが低ければ下降ストローク量を増加させる。
ステップS118では、変数Lが「1」だけインクリメントされる。これによって、ステップS110〜S117の処理対象が実装対象箇所Q2に特定される。ステップS119では、小基板H、すなわち小基板P1への部品実装が完了したかが判断される。ここでは、実装対象箇所Q2〜Q4への部品実装が未実施であり、小基板P1への部品実装は未完であるから、ステップS119で「NO」と判断されて、ステップS110に進む。
ステップS110では、位置L、すなわち実装対象箇所Q2の属するゾーンについては、高さ情報Ipが取得済みであるかが判断される。図6の「マーク認識時」の欄に示すように、実装対象箇所Q2は、一点鎖線に囲まれた範囲内にあり、高さ情報Ihが取得済みのゾーンに属する。したがって、ステップS110において「YES」と判断されて、ステップS115に進む。ステップS115では上述と同様にして、記憶部260に記憶されている高さ情報Ihから、実装対象箇所Q2における基板表面Sfの高さを求める。ステップS116では、駆動制御部210がヘッドユニット16を実装対象箇所Q1から実装対象箇所Q2まで移動させ、実装ヘッド160を実装対象箇所Q2に上方から対向させる。ちなみに、実装対象箇所Q2に対向する実装ヘッド160は、先ほどの実装対象箇所Q1に部品実装を行った実装ヘッド160とは異なる。ステップS117では、上述の実装対象箇所Q1への部品実装と同じ要領で、実装対象箇所Q2における基板表面Sfの高さに基づいて下降ストローク量を制御しながら、部品を実装対象箇所Q2に実装する。
このようにヘッドユニット16は、実装対象箇所Q1に部品を実装した後に、実装対象箇所Q2まで移動して(図6の「部品実装時」の欄の矢印)、実装対象箇所Q2に部品を実装する。このようなヘッドユニット16の実装対象箇所Q1、Q2での実装作業と並行して、基板表面Sfの高さ取得が実行される(並行検出動作)。具体的には、実装ヘッド160により実装対象箇所Q1、Q2へ部品実装を行うためにヘッドユニット16が実装対象箇所Q1、Q2に対して停止している停止期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射された状態でCCDカメラ180が検出領域D内における基板表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像し(並行検出動作)、これによって検出領域Dにおける基板表面Sfの高さが取得され、撮像時のCCDカメラ180のXY座標と対応付けて高さ情報Ipとして記憶部260に記憶される(ステップS117)。また、次の実装対象箇所Q2への部品実装のためにヘッドユニット16が実装対象箇所Q2へ移動している移動期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射されつつ、CCDカメラ180は検出領域Dが通過する経路内にある基板表面Sfを、ビームスポットを含めて撮像し(並行検出動作)、これによって検出領域Dの通過経路内における基板表面Sfの高さが取得され、撮像時のCCDカメラ180のXY座標と対応付けて高さ情報Ipとして記憶部260に記憶される(ステップS116)。
こうして、図6の「部品実装時」の欄において一点鎖線で囲まれてハッチングが施された範囲(以下、「一点鎖線で囲まれた範囲」と適宜称する)については、高さ情報Ihが取得されたこととなる。なお、この部品実装時での高さ取得によって、マーク認識時では高さ情報Ipが取得されなかった実装対象箇所Q4での高さ情報Ipが取得されている。
続いて、ステップS118で変数Lを「1」だけインクリメントして、ステップS119に進み、小基板H、すなわち小基板P1への部品実装が完了したかが判断される。そして、ステップS110〜S118が繰り返し実行されて、実装対象箇所Q3、Q4への部品実装が実施されると、ステップS119で「YES」と判断されて、ステップS120へと進む。ちなみに、これまでに実行された高さ取得によって、実装対象箇所Q3、Q4を含むゾーンの高さ情報Ipは取得済みである。したがって、実装対象箇所Q3、Q4の実行にあたっては、このゾーンに対して高さ取得を実行するステップS111〜114は省略される。
ステップS120では、変数Hが「1」だけインクリメントされて、次の小基板P2に対して、小基板P1に対して実行されたのと同様の処理が実行され、小基板P2への部品実装が完了する。さらに、残りの小基板P3〜P6の全てに対して部品実装が完了するまで、ステップS106〜ステップS120が繰り返し実行され(ステップS121)、これらが完了すると図5のフローチャートが終了する。
以上に説明したように、このように構成された実施形態では、コンベア121、121に支持された基板Sの表面Sfに対して移動するヘッドユニット16が設けられており、このヘッドユニット16が基板上の実装対象箇所へ実装作業を実行する。また、ヘッドユニット16にはCCDカメラ180とビーム光源184が取り付けられており、ヘッドユニット16に伴ってCCDカメラ180とビーム光源184が移動するように構成されている。そして、ビーム光源184からレーザービームが照射されつつ、CCDカメラ180が基板Sの表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像した撮像結果から、基板Sの表面Sfに垂直な鉛直方向Zにおける基板Sの表面Sfの高さΔSzが求められて、当該撮像結果を撮像した際のCCDカメラのXY座標と対応付けて高さ情報Ipとして取得される。特に、この実施形態では、実装作業の実行のためにヘッドユニット16が実装対象箇所へ移動する移動期間および実装対象箇所に対して停止する停止期間の両方あるいは一方の期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射されつつ、CCDカメラ180が基板Sの表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像する(並行検出動作)。そして、この並行検出動作での撮像結果から基板Sの表面Sfの高さ情報Ipが取得される。このように、ヘッドユニット16による実装作業の実行機会に併せて、基板Sの表面Sfの高さ情報Ipが取得されるため、基板Sの高さを取得する取得動作を効率的に行うことが可能となっている。
ちなみに、実装対象箇所に部品を実装するにあたっては、実装対象箇所の高さに対してノズル161の下降ストローク量が不適当であると、部品が実装対象箇所に到達しないうちにノズル161が停止したり、部品が実装対象箇所に到達してもさらにノズル161が移動しようとしたりして、部品の実装を適切に行えない場合が想定される。これに対して、この実施形態では、並行検出動作での撮像結果から取得された高さ情報Ipから基板Sの表面Sfに垂直な鉛直方向Zにおける実装対象箇所の高さが求められ、この結果に基づいてノズル161の下降ストローク量が制御されているため、部品の実装を適切に行うことができる。
また、この実施形態では、フィデューシャルマークFを撮像するマーク撮像作業の実行のためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFへ移動する移動期間およびフィデューシャルマークFに対して停止する停止期間の両方あるいは一方の期間に、ビーム光源184からレーザービームが照射されつつ、CCDカメラ180が基板Sの表面Sfを、ビームスポットBを含めて撮像する(並行検出動作)。そして、この並行検出動作での撮像結果から基板Sの表面Sfの高さ情報Ipが取得される。このように、ヘッドユニット16によるマーク撮像作業の実行機会に併せて、基板Sの表面Sfの高さ情報Ipが取得されるため、基板Sの高さを取得する取得動作を効率的に行うことが可能となっている。
また、この実施形態では、マーク撮像作業のための撮像と、基板Sの表面Sfの高さを取得するための撮像との間でCCDカメラ180を共用しており、部品実装装置1の構成の簡素化を図ることができる。
その他
上述のように、上記実施形態では、部品実装装置1が本発明の「基板作業装置」の一例に相当し、コンベア121、121が本発明の「基板支持部」の一例に相当し、ヘッドユニット16が本発明の「作業ユニット」の一例に相当し、CCDカメラ180が本発明の「検出器」の一例に相当し、撮像制御部230および記憶部260が協働して本発明の「取得部」の一例として機能している。さらに、実装作業やフィデューシャルマークFを撮像するマーク撮像作業が本発明の「所定作業」の一例に相当し、実装対象箇所やフィデューシャルマーク位置が本発明の「作業対象箇所」の一例に相当する。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能である。例えば、上記実施形態では、実装作業あるいはマーク撮像作業のためにヘッドユニット16が移動している移動期間および停止している停止期間のそれぞれで、並行して基板表面Sfの高さが取得されていた。しかしながら、移動期間および停止期間のいずれか一方でのみ、並行して基板表面Sfの高さを取得するように構成しても良い。
また、上記実施形態では、フィデューシャルマークFに対向して停止しているCCDカメラ180によって、フィデューシャルマークFを撮像するマーク撮像作業と、高さ取得のために、ビーム光源184からレーザービームを照射し、ビームスポットBを撮像するスポット撮像作業とを行っていた。この際の手順としては、照明182をオンしてフィデューシャルマークFを撮像してから、ビーム光源184をオンしてビームスポットBを撮像する手順でも、ビーム光源184をオンしてビームスポットBを撮像してから、照明182をオンしてフィデューシャルマークFを撮像する手段でも良く、また、照明182およびビーム光源184を同時にオンしてこれらの撮像を同時に行う手順でも良い。
また、上記実施形態では、多面取り基板Sに対して作業を行う場合が例示されていた。しかしながら、作業対象となる基板Sの具体的構成はこれに限られず、多面取り基板ではない基板Sに対して処理を行う装置に対して、本発明を適用することももちろん可能である。
また、上記実施形態では、ビーム光源184をオンしてCCDカメラ180で基板表面SfのビームスポットBを検出(撮像)した結果に基づいて、基板表面Sfの高さが求められていた。しかしながら、基板表面Sfの高さを取得するために、基板表面Sfを検出する検出器の具体的機構は、CCDカメラ180に限られず、距離センサ等の他の機構を用いることができる。そこで、例えば特開2011−133306号公報に記載されているレーザー計測装置を用いて基板表面Sfを検出しても良い。このレーザー計測装置は、発光部からのレーザー光を基板表面Sfに照射して、基板表面Sfで反射された正反射成分を光位置検出素子で受光(検出)する。そして、光位置検出素子が正反射成分を受光した位置から、三角測量の原理を利用して、基板表面Sfの高さを取得する。そこで、このレーザー計測装置をヘッドユニット16に取り付けておけば、実装作業あるいはマーク撮像作業のためにヘッドユニット16が移動している移動期間や停止している停止期間において、レーザー計測装置による並行検出動作を行って、基板表面Sfの高さを効率的に取得することができる。
また、上記実施形態では、基板Sへの所定作業として部品を実装する実装作業を行う基板作業装置(部品実装装置1)に対して本発明を適用した場合が例示されていた。しかしながら、実装作業以外の作業を基板Sに対して実行する基板作業装置に対して本発明を適用することも可能である。
そこで、例えば特開2009−123891号公報に記載されている基板検査装置に対して、本発明を適用することもできる。つまり、この基板検査装置は、基板を保持しつつY軸方向に移動する可動テーブルと、X軸方向に移動しつつ基板を撮像する撮像ユニットとを備える。そして、可動テーブルをY軸方向へ移動させつつ撮像ユニットをX軸方向に移動させることで、基板に対して撮像ユニットを移動させながら撮像ユニットで基板を撮像して、基板に対する半田の印刷状態や部品の実装状態を検査する検査作業が実行される。撮像ユニットに対して、CCDカメラや距離センサ等で構成された検出器を取り付けておけば良い。これによって、検査作業のために基板表面の撮像対象箇所に撮像ユニットが移動する移動期間に検出器で基板表面を検出し(並行検出動作)、この並行検出動作での検出結果から基板表面の高さ情報を取得することで、基板Sの高さを取得する取得動作を効率的に行うことができる。すなわち、基板作業装置としての基板検査装置においては、検査作業やフィデューシャルマークFを撮像するマーク撮像作業が本発明の「所定作業」の一例に相当し、検査対象箇所やフィデューシャルマーク位置が本発明の「作業対象箇所」の一例に相当する。
また、図7および図8に示すような塗布装置(ディスペンサ)に対して、本発明を適用することもできる。図7は、本発明を適用可能な塗布装置の概略構成を示す平面図である。また、図8は、図7に示す塗布装置の部分正面図である。これらの図に示す塗布装置3は、装置内に搬入された基板Sに対して接着剤やクリーム半田などの塗布液(塗布材料)を塗布して、塗布済みの基板Sを装置外に搬出する構成を具備する。なお、図7、図8および以下で示す図では、各図の方向関係を明確にするために、Z軸方向を鉛直方向とするXYZ直交座標軸を適宜示すこととする。また、図7および図8の全体を制御する制御ユニット400は、図8において破線で示したように、塗布装置3の基台31に収容されている態様で示した。ただし、制御ユニット400の配設態様は適宜変更可能である。
塗布装置3では、基台31上に基板搬送機構32が配置されており、基板Sを所定の搬送方向Xに搬送可能となっている。より詳しくは、基板搬送機構32は、基台31上において基板Sを図1の右側から左側へ搬送する一対のコンベア321、321を有している。そして、コンベア321、321は、制御ユニット400からの指令に応じて、基板Sの搬送を実行する。具体的には、コンベア321、321は、装置外部より搬入した基板Sを、所定の作業位置30(図7に示す基板Sの位置)で停止させ、図略の固定手段により固定して水平に保持する。そして、後述するヘッドユニット36が作業位置30で水平に保持された基板Sの表面への塗布材料の塗布を完了すると、コンベア321、321は基板Sを装置外部へ搬出する。
ヘッドユニット36は、ディスペンスヘッド360によって塗布液を基板Sの塗布対象箇所に塗布するものである。具体的には、ヘッドユニット36は、X軸方向に並ぶ2本のディスペンスヘッド360を有する。各ディスペンスヘッド360は、塗布液を吐出するノズル361と、その内部に収容する塗布液をノズル361に供給するシリンジ362とを具備する。そして、図示を省略するエア圧供給手段によってシリンジ362内にエア圧が供給されると、そのエア圧に応じた量の塗布液がノズル361から吐出されて、基板Sの表面Sfに塗布される。
ディスペンスヘッド360のそれぞれに対しては、図略の駆動機構を介してZ軸サーボモータMzおよびR軸サーボモータMrが接続されている。つまり、ディスペンスヘッド360は、図略のノズル昇降駆動機構を介してZ軸サーボモータMzからの駆動力を受けて昇降(鉛直方向Zへ移動)する。したがって、制御ユニット400はZ軸サーボモータMzを制御することで、塗布液を基板表面Sfに塗布する際におけるノズル361と基板表面Sfとの間隔を調整することができる。さらに、ディスペンスヘッド360は、図略のノズル回転駆動機構を介してR軸サーボモータMrからの駆動力を受けてノズル中心軸周りに回転可能となっている。また、部品実装装置1で説明したのと同様に、制御ユニット400は、Z軸サーボモータMz、R軸サーボモータMrに取り付けられたエンコーダの出力に基づいて、ノズル361の高さや回転を把握することが可能となっている。
これらディスペンスヘッド360を保持するヘッドユニット36は、基台31の所定範囲にわたって、鉛直方向Zに直交する水平面内(X軸とY軸を含む平面内)で二次元的に移動可能となっている。すなわち、基台31上には、Y軸方向に伸びる一対の固定レール371、371が配置されており、ヘッド支持部材372がこれら固定レール371、371にX軸方向から架け渡されている。ヘッド支持部材372にはナット372nが設けられており、Y軸方向に伸びてY軸サーボモータMyにより駆動されるボールネジ373にヘッド支持部材372のナット372nが螺合している。また、ヘッド支持部材372は、X軸方向に伸びるガイド部材374によってヘッドユニット36をX軸方向に移動自在に支持する。さらに、ヘッド支持部材372には、X軸方向に伸びてX軸サーボモータMxにより駆動されるボールネジ375が設けられており、ヘッドユニット36に設けられたナット36nにボールネジ375が螺合している。したがって、制御ユニット400はX軸サーボモータMxおよびY軸サーボモータMyを駆動制御することで、XY面内(水平面内)の所定位置にヘッドユニット36を移動させることができる。さらに、ヘッドユニット36のX軸方向の一端には、上述の撮像手段18と同様の構成を具備する撮像手段38が固定されている。また、部品実装装置1で説明したのと同様に、制御ユニット400は、X軸サーボモータMx、Y軸サーボモータMyに取り付けられたエンコーダの出力に基づいて、ヘッドユニット36、ディスペンスヘッド360、撮像手段38(のCCDカメラ)のXY座標を把握することができる。
このように構成された塗布装置3では、上述の図5で示したものと同様の動作を実行可能である。具体的には、実装対象箇所に対して部品を実装する実装作業に代えて、塗布対象箇所に対して塗布液を塗布する塗布作業を行うように図5のフローチャートを変更すれば、塗布装置3で実行可能な動作例が得られる。続いては、図5のフローチャートを用いて、塗布装置3で実行される動作について、上述した部品実装装置1の動作との違いを中心に説明する。
基板搬入からフィデューシャルマークFの認識までのステップS101〜S108は上述と同様である。ステップS109では、塗布対象箇所を識別する変数Lに「1」が代入される。これによって、ステップS110〜S117の処理対象となる塗布対象箇所が特定される。そして、ステップS110で、塗布対象箇所の属するゾーンについて高さ情報Ipが取得済みであるかが判断される。高さ情報Ipが取得済みでない場合(ステップS110で「NO」の場合)には、ステップS111〜S114が上述と同様に実行されて、ステップS115へ進む。一方、高さ情報Ipが取得済みである場合(ステップS110で「YES」の場合)には、ステップS111〜S114を省略してステップS115へ進む。そして、ステップS115では、制御ユニット400の記憶部に記憶されている高さ情報Ihから、塗布対象箇所における基板表面Sfの高さを求める。なお、塗布対象箇所における基板表面Sfの高さの求め方は、実装対象箇所における基板表面Sfの高さの求め方と同様である。
ステップS116では、制御ユニット400がヘッドユニット36を移動させて、塗布対象箇所へ向けてディスペンスヘッド360を移動させる。ステップS117では、塗布対象箇所とディスペンスヘッド360のノズル361との間隔が調整された後に、塗布液がノズル361から基板表面Sfの塗布対象箇所へ塗布される。なお、塗布液の塗布の際における塗布対象箇所とノズル361との間隔は、ステップS115で求めた塗布対象箇所における基板表面Sfの高さに応じて調整される。
ステップS118で変数Lを「1」だけインクリメントして、処理対象となる塗布対象箇所を変更しつつステップS110〜117を繰り返し実行し(ステップS119)、小基板Hへの塗布作業を完了する。さらに、ステップS120で変数Hを「1」だけインクリメントして、処理対象となる小基板P1〜P6を変更しつつ、ステップS106〜S119を繰り返し実行し(ステップS121)、多面取り基板Sへの塗布作業を完了する。
以上に説明したように、このように構成された実施形態の変形例では、フィデューシャルマークFを撮像するマーク撮像作業の実行のためにヘッドユニット16がフィデューシャルマークFへ移動する移動時間およびフィデューシャルマークFに対して停止する停止期間の両方あるいは一方の期間に、さらには、塗布作業の実行のためにヘッドユニット36が塗布対象箇所へ移動する移動期間および塗布対象箇所に対して停止する停止期間の両方あるいは一方の期間に、CCDカメラが基板Sの表面Sfを撮像する(並行検出動作)。そして、この並行検出動作での撮像結果から基板Sの表面Sfの高さ情報Ipが取得される。このように、ヘッドユニット36による塗布作業の実行機会に併せて、基板Sの表面Sfの高さ情報Ipが取得されるため、基板Sの高さを取得する取得動作を効率的に行うことが可能となっている。
ちなみに、塗布対象箇所に塗布液を塗布するにあたっては、塗布対象箇所の高さに対してノズル361の高さが不適当であると、ノズル361と塗布対象箇所との間隔が狭すぎたり、あるいは広すぎたりして、塗布液の塗布を適切に行えない場合が想定される。これに対して、この実施形態の変形例では、並行検出動作での検出結果から取得された高さ情報Ipから基板Sの表面Sfに垂直な鉛直方向Zにおける塗布対象箇所の高さを求めた結果に基づいて、制御ユニット400が塗布液を塗布する際のノズル361と塗布対象箇所との間隔を制御する。このように、並行検出動作での検出結果から取得された高さ情報Ipから基板Sの表面Sfに垂直な鉛直方向Zにおける塗布対象箇所の高さを求めて、この結果に基づいてノズル361と塗布対象箇所の間隔を制御することで、塗布液の塗布を適切に行うことができる。
上記実施形態では、塗布装置3が本発明の「基板作業装置」の一例に相当し、コンベア321、321が本発明の「基板支持部」の一例に相当し、ヘッドユニット36が本発明の「作業ユニット」の一例に相当し、撮像手段38が本発明の「検出器」の一例に相当し、制御ユニット400が本発明の「取得部」の一例として機能している。さらに、塗布作業やフィデューシャルマークFを撮像するマーク撮像作業が本発明の「所定作業」の一例に相当し、塗布対象箇所やフィデューシャルマーク位置が本発明の「作業対象箇所」の一例に相当する。