JP2018114924A - 作業車 - Google Patents

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Abstract

【課題】全地球航法衛星システムを利用した車体の位置及び方位の測定を、より簡単に精度良く行えるようにする。【解決手段】作業車は、車体の後部側に配置されたキャビン4と、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備え、電子制御システムは、慣性計測装置63を内部に有する衛星航法用のアンテナユニット61を備え、アンテナユニット61は、車体におけるトレッドTの中央部でホイールベースLの中央部に位置するように、キャビン4のルーフ62における前部上面の左右中央箇所に取り付けられている。【選択図】図2

Description

本発明は、車体の後部側に配置されたキャビンと、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備えた作業車に関する。
上記のような作業車においては、慣性計測装置(IMU)と衛星航法用のアンテナ(移動用GPSアンテナ)などが一体的に構成された衛星航法用のアンテナユニットが、キャビンにおけるルーフの後部上面に、取り付け位置の調整が可能になるように、簡単に着脱可能に取り付けられたものがある(例えば特許文献1参照)。
特開2016−94093号公報(段落番号0033〜0034、図1)
ところで、GPS(Global Positioning System)などの全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を利用して車体の位置及び方位を測定する場合、測定した車体の位置及び方位には、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに伴う衛星航法用のアンテナの位置ズレに起因した測位誤差が含まれている。そして、この測位誤差を取り除く補正を可能にするためには、車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測する慣性計測装置を車体に備えて、慣性計測装置の計測結果から、車体のヨーイング、ピッチング、ローリングに伴う衛星航法用のアンテナの位置ズレ量を求める必要がある。又、このアンテナの位置ズレ量を求め易くするために、衛星航法用のアンテナと慣性計測装置とをアンテナユニットとして一体化することが考えられている。
このようなアンテナユニットを使用する場合、衛星航法用のアンテナは、衛星からの電波の受信感度を高めるために車体の最上部に配置することが好ましい。又、慣性計測装置は、車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測するときの補正を行い易くするために、車体の重心位置に配置することが好ましい。その結果、アンテナユニットの配置に苦慮するようになっている。
ここで、前述した特許文献1に記載の作業車においては、アンテナユニットがキャビンのルーフ上面に配置されていることから、衛星航法用のアンテナによる衛星からの電波の受信感度は高くなる。
しかしながら、特許文献1に記載の作業車においては、アンテナユニットが、車体の後部側に配置されたキャビンにおけるルーフの後部上面に取り付けられていることから、少なくとも、慣性計測装置が、車体の重心位置から車体の上方側と後方側とに大きく離れた位置に配置されることになる。そのため、慣性計測装置が計測したヨー角などを、車体の重心位置からの慣性計測装置の位置ズレ量に基づいて適正に補正するための演算が複雑になり、よって、慣性計測装置の計測結果を迅速に正しく補正することが難しくなる。
又、アンテナユニットの取り付け位置が調整されると、慣性計測装置の取り付け位置も変更されて車体の重心位置からの慣性計測装置の位置ズレ量も変化することから、慣性計測装置の計測結果を前述した慣性計測装置の位置ズレ量に基づいて適正に補正するためには、アンテナユニットの位置調整に応じて前述した慣性計測装置の位置ズレ量を求める必要がある。その結果、慣性計測装置の計測結果を前述した位置ズレ量に基づいて適正に補正できるようにするためにかなりの手間を要することになる。
しかも、アンテナユニットの位置調整を簡単に行えることから、アンテナユニットの取り付け位置がユーザーなどによって安易に変更される虞がある。そして、このような安易な取り付け位置の変更が行われてしまうと、車体の重心位置からの慣性計測装置の位置ズレ量が正しく演算されなくなり、よって、慣性計測装置の計測結果を適正に補正することができなくなる。
つまり、全地球航法衛星システムを利用した車体の位置及び方位の測定を、より簡単に精度良く行えるようにすることが望まれている。
上記の課題を解決するための手段として、
本発明に係る作業車は、車体の後部側に配置されたキャビンと、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備え、
前記電子制御システムは、慣性計測装置を内部に有する衛星航法用のアンテナユニットを備え、
前記アンテナユニットは、車体におけるトレッドの中央部でホイールベースの中央部に位置するように、前記キャビンのルーフにおける前部上面の左右中央箇所に取り付けられている。
この手段によると、アンテナユニットがキャビンのルーフ上面に取り付けられていることから、アンテナユニットによる衛星からの電波の受信感度が高くなる。又、慣性計測装置の取り付け位置が、前述したアンテナユニットの取り付け位置に決められていることから、慣性計測装置の位置調整に応じて車体の重心位置からの慣性計測装置の位置ズレ量を求める必要がなくなる。しかも、慣性計測装置の取り付け位置がユーザーなどによって安易に変更される虞もない。
そして、慣性計測装置が、車体におけるトレッドの中央部でホイールベースの中央部に配置されることにより、少なくとも、平面視においては慣性計測装置の取り付け位置が車体の重心位置に近くなる。これにより、慣性計測装置が計測したヨー角などを、前述した慣性計測装置の位置ズレ量に基づいて補正するための演算が簡単になり、よって、慣性計測装置の計測結果を迅速に正しく補正することができる。つまり、慣性計測装置による車体のヨー角などの計測を迅速に精度良く行うことができる。
これにより、全地球航法衛星システムを利用して車体の位置及び方位を測定する場合において、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに起因して、アンテナユニットに位置ズレが生じたときは、このときのアンテナユニットの位置ズレ量を、慣性計測装置が計測する車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などから迅速に精度良く求めることができる。そして、全地球航法衛星システムを利用して計測した車体の位置及び方位に含まれるアンテナユニットの位置ズレに起因した測位誤差を、慣性計測装置の計測結果から求められるアンテナユニットの位置ズレ量に基づいて迅速に精度良く求めることができ、この測位誤差を測定結果から取り除く補正を迅速かつ適正に行える。
その結果、全地球航法衛星システムを利用した車体の位置及び方位の測定を、より簡単かつ迅速に精度良く行うことができる。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記ルーフは、前記アンテナユニットがボルト連結される連結部を備え、
前記連結部は、ボルト連結用の複数の貫通孔と、前記貫通孔に嵌め込まれた複数のゴムスリーブとを備え、
前記ゴムスリーブは、前記アンテナユニットのボルト連結に伴って、前記ルーフの上面と前記アンテナユニットの底面とに密接するフランジ部を有している。
この手段によると、アンテナユニットがルーフの連結部にボルト連結された状態では、ゴムスリーブのフランジ部が、ルーフの上面とアンテナユニットの底面との間に位置することにより、車体側の振動がアンテナユニットに伝わり難くなる。そして、ゴムスリーブのフランジ部が、ルーフの上面とアンテナユニットの底面とに密接することにより、雨水や洗浄水などが、連結部の各貫通孔からキャビンの内部に浸入することが防止される。
つまり、フランジ部を有する複数のゴムスリーブが防振部材と防水部材とを兼ねることから、構成の簡素化を図りながら、アンテナユニットを防振支持することができるとともに、キャビンの内部への浸水を防止することができる。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記ルーフは、前部の上面が前下がりに形成されるとともに、前部の左右中央箇所にアンテナユニット取り付け用の台座が上向きに膨出形成されている。
この手段によると、ルーフの上面に降りかかった雨水や洗浄水などは、アンテナユニットの周辺に滞留することなく、速やかにルーフの前側に流れてルーフの前端から下方に流れ落ちる。そして、このように、アンテナユニットの周辺での水はけを良好にしながらも、アンテナユニットが取り付けられる台座の座面を、ルーフの前部上面とは異なるアンテナユニットの取り付けに適した水平面などに形成することができる。
その結果、雨水や洗浄水などがアンテナユニットの周辺に滞留してアンテナユニットなどに悪影響を及ぼすことを防止しながら、アンテナユニットの取り付け姿勢を適正にすることができる。
又、アンテナユニットが取り付けられるルーフの前部上面は、前下がりに形成されることにより、ルーフの後部上面よりも低くなることから、アンテナユニットがルーフの後部上面に取り付けられる場合に比べて、アンテナユニットを含む車高が低くなる。これにより、作業車が格納される納屋などに対する出入口からの作業車の出し入れが行い易くなる。
本発明をより好適にするための手段の一つとして、
前記ルーフの上面には、前記アンテナユニットの取り付け箇所からルーフ前縁の左右両端部にわたって水切り溝が形成されている。
この手段によると、アンテナユニットの周辺に降りかかった雨水や洗浄水などは、水切り溝に沿って、アンテナユニットの周辺からルーフ前縁の左右両端部に向けて流れ易くなる。そして、ルーフ前縁の左右両端部に達した雨水や洗浄水などは、ルーフ前縁の左右両端部から下方に流れ落ちる。
その結果、雨水や洗浄水などがアンテナユニットの周辺に滞留してアンテナユニットなどに悪影響を及ぼすことを防止することができる。又、雨天での作業走行中においては、ルーフの上面に降りかかった雨水の多くが、ルーフ前縁の左右両端部から下方に流れ落ちることから、ルーフから流れ落ちる雨水に起因した前方視認性の低下を抑制することができる。
アンテナユニットの配置などを示すトラクタの左側面図である。 アンテナユニットの配置などを示すトラクタの平面図である。 アンテナユニットの配置などを示すトラクタの斜視図である。 トラクタ前端部の構成を示す要部の縦断左側面図である。 トラクタ前端部の構成を示す要部の斜視図である。 運転部の構成を示す要部の横断平面図である。 制御系の概略構成を示すブロック図である。 アンテナユニットの配置などを示すキャビン上部の正面図である。 アンテナユニットの配置などを示すキャビン上部の背面図である。 アンテナユニットの配置などを示すキャビン上部の左側面図である。 キャビンのフレーム構造を示す要部の斜視図である。 アンテナユニットの連結構造を示す要部の斜視図である。 アンテナユニットの連結構造を示す要部の縦断左側面図である。 アンテナユニットの防振構造を示す要部の縦断左側面図である。
以下、本発明を実施するための形態の一例として、本発明が、作業車の一例であるトラクタに適用された実施形態を図面に基づいて説明する。
尚、図1に記載された符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Uの矢印が指し示す方向がトラクタの上側である。
又、図2に記載された符号Fの矢印が指し示す方向がトラクタの前側であり、符号Rの矢印が指し示す方向がトラクタの右側である。
図1〜3に示すように、本実施形態に例示されたトラクタは、車体の前後両端にわたる車体フレーム1、車体フレーム1の左右に配置された左右の走行装置2、車体フレーム1の前部側に配置された原動部3、車体フレーム1の後部側に配置されたキャビン4、及び、車体フレーム1の後端部に昇降揺動可能に取り付けられた作業装置連結用の3点リンク機構5、などを備えている。
図1〜5に示すように、車体フレーム1は、原動部3に配置されたエンジン6の下部から車体前側に延出する前部フレーム7、及び、エンジン6の後端下部から車体後側に延出する後部フレーム兼用のケースユニット8、などを備えている。図示は省略するが、ケースユニット8の内部には、エンジン6からの動力を断続するペダル操作式の主クラッチ、主クラッチを経由した動力を走行用と作業用とに分岐して変速する変速伝動ユニット、及び、左右の走行装置2に作用する左右のサイドブレーキ、などが備えられている。
左右の走行装置2は、駆動可能な操舵輪として機能する左右の前輪9と、駆動輪として機能する左右の後輪10とを備えている。左右の前輪9は、前部フレーム7にローリング可能に支持された車輪支持部材11の左右両端部に操舵可能な状態で駆動可能に支持されている。車輪支持部材11は、前輪駆動用の伝動軸11Aなどを内部に備えた前車軸ケースである。左右の後輪10は、ケースユニット8に駆動可能に支持されるとともに、各後輪10の上部側が、車体の後部側に配置された左右のリアフェンダ12によって覆われている。
原動部3は、原動部3の冷却方向下手側となる原動部3の車体後部側に配置された水冷式のエンジン6、エンジン6よりも冷却方向上手側となる車体前側に配置された冷却ファン13、冷却ファン13よりも車体前側に配置されたラジエータ14、ラジエータ14よりも車体前側に配置されたバッテリ15、エンジン6の後部上方に配置された排気処理装置(図示せず)、エンジン6の前部上方に配置されたエアクリーナ(図示せず)、及び、エンジン6やラジエータ14などを上方から覆う揺動開閉式のボンネット16、などを備えている。エンジン6には、コモンレールシステムを備えた電子制御式のディーゼルエンジンが採用されている。排気処理装置は、DOC((Diesel Oxidation Catalyst)とDPF(Diesel particulate filter)とを内部に備えている。
図1〜4、図6に示すように、キャビン4は、車体の後部側に運転部17と搭乗空間とを形成している。運転部17には、主クラッチの操作を可能にするクラッチペダル18、左右のサイドブレーキの操作を可能にする左右のブレーキペダル49、左右の前輪9の手動操舵を可能にする手動操舵用のステアリングホイール19、前後進切り換え用のシャトルレバー20、右腕用のアームレスト21を有する運転座席22、及び、タッチ操作可能な液晶パネル23Aなどを有する表示ユニット23、などが備えられている。ステアリングホイール19は、全油圧式のパワーステアリングユニット(以下、PSユニットと称する)24を有するステアリング機構25を介して左右の前輪9に連係されている。アームレスト21には、主変速レバー26、作業装置の高さ位置を設定する昇降レバー27、及び、作業装置の昇降を指令する昇降スイッチ28が備えられている。
図7に示すように、3点リンク機構5は、車体に備えられた電子油圧制御式の昇降駆動ユニット29の作動によって上下方向に揺動駆動される。図示は省略するが、3点リンク機構5には、ロータリ耕耘装置、プラウ、ディスクハロー、カルチベータ、サブソイラ、播種装置、及び、散布装置、などの作業装置を連結することができる。そして、3点リンク機構5に連結される作業装置が、車体からの動力によって駆動されるロータリ耕耘装置などである場合は、変速ユニットから取り出された作業用の動力が外部伝動軸を介して伝達される。
車体には、車体の走行に関する制御を行う走行制御部30A、及び、作業装置に関する制御を行う作業制御部30B、などを備えたメインの電子制御ユニット(以下、メインECUと称する)30が搭載されている。メインECU30は、前述した電子油圧制御式の昇降駆動ユニット29、エンジン用の電子制御ユニット(以下、エンジンECUと称する)31、変速伝動ユニットに備えられた電子制御式の主変速装置32と前後進切換装置33とPTOクラッチ34、左右のサイドブレーキの自動操作を可能にする電子油圧式のブレーキ操作ユニット35、及び、車速を含む車内情報を取得する車内情報取得ユニット36、などに、CAN(Controller Area Network)などの車内LAN又は通信線を介して通信可能に接続されている。メインECU30及びエンジンECU31は、CPU及びEEPROMなどを有するマイクロプロセッサを備えている。走行制御部30Aは、車体の走行に関する制御を可能にする各種の制御プログラムなどを有している。作業制御部30Bは、作業装置に関する制御を可能にする各種の制御プログラムなどを有している。
主変速装置32には、走行用の動力を無段階で変速する静油圧式の無段変速装置が採用されている。前後進切換装置33は、走行用の動力を断続する走行クラッチを兼ねている。図示は省略するが、変速伝動ユニットには、主変速装置32などとともに、走行用の動力を有段階で変速する副変速装置、及び、作業用の動力を有段階で変速するPTO変速装置、などが備えられている。
車内情報取得ユニット36には、エンジン6の出力回転数を検出する回転センサ37、副変速装置の出力回転数を車速として検出する車速センサ38、主変速レバー26の操作位置を検出する第1レバーセンサ39、運転部17に備えられた副変速レバー40の操作位置を検出する第2レバーセンサ41、シャトルレバー20の操作位置を検出する第3レバーセンサ42、昇降レバー27の操作位置を検出する第4レバーセンサ43、前述した昇降スイッチ28、運転部17に備えられた旋回上昇スイッチ44と後進上昇スイッチ45とPTOスイッチ46、昇降駆動ユニット29における左右のリフトアーム(図示せず)の上下揺動角度を作業装置の高さ位置として検出する高さセンサ47、及び、前輪9の舵角を検出する舵角センサ48、などの各種センサ及びスイッチ類が含まれている。
走行制御部30Aは、回転センサ37の出力と車速センサ38の出力と第1レバーセンサ39の出力と第2レバーセンサ41の出力とに基づいて、車速が、エンジン回転数と主変速レバー26の操作位置と副変速レバー40の操作位置とから求めた制御目標車速に達するように、主変速装置32のトラニオン軸(図示せず)を操作する車速制御を行う。これにより、運転者は、主変速レバー26を任意の操作位置に操作することにより、車速を任意の速度に変更することができる。
走行制御部30Aは、第3レバーセンサ42の出力に基づいて、シャトルレバー20の操作位置に応じた伝動状態に前後進切換装置33を切り換える前後進切り換え制御を行う。これにより、運転者は、シャトルレバー20を前進位置に操作することにより、車体の進行方向を前進方向に設定することができる。運転者は、シャトルレバー20を後進位置に操作することにより、車体の進行方向を後進方向に設定することができる。
作業制御部30Bは、第4レバーセンサ43の出力と高さセンサ47の出力とに基づいて、昇降レバー27の操作位置に応じた高さ位置に作業装置が位置するように昇降駆動ユニット29の作動を制御するポジション制御を行う。これにより、運転者は、昇降レバー27を任意の操作位置に操作することにより、作業装置の高さ位置を任意の高さ位置に変更することができる。
作業制御部30Bは、昇降スイッチ28の手動操作によって昇降スイッチ28が上昇指令状態に切り換えられると、昇降スイッチ28からの上昇指令と高さセンサ47の出力とに基づいて、作業装置が予め設定された上限位置まで上昇するように昇降駆動ユニット29の作動を制御する上昇制御を行う。これにより、運転者は、昇降スイッチ28を上昇指令状態に切り換えることにより、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、昇降スイッチ28の手動操作によって昇降スイッチ28が下降指令状態に切り換えられると、昇降スイッチ28からの下降指令と第4レバーセンサ43の出力と高さセンサ47の出力とに基づいて、作業装置が昇降レバー27によって設定された作業高さ位置まで下降するように昇降駆動ユニット29の作動を制御する下降制御を行う。これにより、運転者は、昇降スイッチ28を下降指令状態に切り換えることにより、作業装置を作業高さ位置まで自動的に下降させることができる。
作業制御部30Bは、旋回上昇スイッチ44の手動操作によって旋回連動上昇制御の実行が選択された場合は、前輪9の舵角を検出する舵角センサ48の出力に基づいて、前輪9の舵角が畦際旋回用の設定角度に達したことを検知したときに、前述した上昇制御を自動的に行う。これにより、運転者は、旋回連動上昇制御の実行を選択しておくことにより、畦際旋回の開始に連動して、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、後進上昇スイッチ45の手動操作によって後進連動上昇制御の実行が選択された場合は、第3レバーセンサ42の出力に基づいて、シャトルレバー20の後進位置への手動操作を検知したときに、前述した上昇制御を自動的に行う。これにより、運転者は、後進連動上昇制御の実行を選択しておくことにより、後進走行への切り換えに連動して、作業装置を上限位置まで自動的に上昇させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が入り位置に切り換えられると、入り位置への切り換えに基づいて、作業用の動力が作業装置に伝達されるようにPTOクラッチ34を入り状態に切り換えるクラッチ入り制御を行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を入り位置に操作することによって作業装置を作動させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が切り位置に切り換えられると、切り位置への切り換えに基づいて、作業用の動力が作業装置に伝達されないようにPTOクラッチ34を切り状態に切り換えるクラッチ切り制御を行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を切り位置に操作することによって作業装置を停止させることができる。
作業制御部30Bは、PTOスイッチ46の手動操作によってPTOスイッチ46の操作位置が自動位置に切り換えられると、前述した上昇制御の実行に連動して前述したクラッチ切り制御を自動的に行い、又、前述した下降制御の実行に連動して前述したクラッチ入り制御を自動的に行う。これにより、運転者は、PTOスイッチ46を自動位置に操作しておくことにより、作業装置の上限位置への自動上昇に連動して作業装置を停止させることができ、又、作業装置の作業高さ位置への自動下降に連動して作業装置を作動させることができる。
図1〜5、図7に示すように、このトラクタは、運転モードの手動運転モード及び自動運転モードなどの選択を可能にする選択イッチ50と、自動運転モードが選択された場合に車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システム51とを備えている。電子制御システム51は、前述したメインECU30、左右の前輪9の自動操舵を可能にする自動操舵ユニット52、車体の位置及び方位を測定する測位ユニット53、及び、車体の周囲を監視する監視ユニット54、などを備えている。
図2〜4、図7に示すように、自動操舵ユニット52は、前述したPSユニット24によって構成されている。PSユニット24は、手動運転モードが選択された場合は、ステアリングホイール19の回動操作に基づいて左右の前輪9を操舵する。又、PSユニット24は、自動運転モードが選択された場合は、メインECU30からの制御指令に基づいて左右の前輪9を操舵する。
つまり、自動操舵専用のステアリングユニットを備えることなく、左右の前輪9を自動で操舵することができる。又、PSユニット24の電気系に不具合が生じた場合は、搭乗者による手動操舵に簡単に切り換えることができ、車体の運転を継続することができる。
図1〜3、図7〜10に示すように、測位ユニット53は、全地球航法衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)の一例である周知のGPS(Global Positioning System)を利用して車体の位置及び方位を測定する衛星航法装置60を備えている。GPSを利用した測位方法には、DGPS(Differential GPS)やRTK−GPS(Real Time Kinematic GPS)などがあるが、本実施形態においては、移動体の測位に適したRTK−GPSが採用されている。
衛星航法装置60は、GPS衛星(図示せず)から送信された電波と、既知位置に設置された基準局(図示せず)から送信された測位データとを受信する衛星航法用のアンテナユニット61を備えている。基準局は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データを衛星航法装置60に送信する。衛星航法装置60は、GPS衛星からの電波を受信して得た測位データと、基準局からの測位データとに基づいて、車体の位置及び方位を求める。
アンテナユニット61は、GPS衛星からの電波の受信感度が高くなるように、車体の最上部に位置するキャビン4のルーフ62に取り付けられている。そのため、GPSを利用して測定した車体の位置及び方位には、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに伴うアンテナユニット61の位置ズレに起因した測位誤差が含まれている。
そこで、車体には、上記の測位誤差を取り除く補正を可能にするために、3軸のジャイロスコープ(図示せず)と3方向の加速度センサ(図示せず)とを有して車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などを計測する慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)63が備えられている。慣性計測装置63は、前述したアンテナユニット61の位置ズレ量を求め易くするために、アンテナユニット61の内部に備えられている。アンテナユニット61は、平面視において車体におけるトレッドTの中央部でホイールベースLの中央部に位置するように、キャビン4のルーフ62における前部上面の左右中央箇所に取り付けられている(図2参照)。
上記の構成により、少なくとも、平面視においては慣性計測装置63の取り付け位置が車体の重心位置に近くなる。これにより、慣性計測装置63が計測したヨー角などを、車体の重心位置からの慣性計測装置63の位置ズレ量に基づいて補正するための演算が簡単になり、よって、慣性計測装置63の計測結果を迅速に正しく補正することができる。つまり、慣性計測装置63による車体のヨー角などの計測を迅速に精度良く行うことができる。
これにより、衛星航法装置60が車体の位置及び方位を測定する場合において、車体のヨーイング、ピッチング、又は、ローリングに起因して、アンテナユニット61に位置ズレが生じたときは、このときのアンテナユニット61の位置ズレ量を、慣性計測装置63が計測する車体のヨー角、ピッチ角、ロール角、などから迅速に精度良く求めることができる。そして、衛星航法装置60が計測した車体の位置及び方位に含まれるアンテナユニット61の位置ズレに起因した測位誤差を、慣性計測装置63の計測結果から求められるアンテナユニット61の位置ズレ量に基づいて迅速に精度良く求めることができ、この測位誤差を衛星航法装置60の測定結果から取り除く補正を迅速かつ適正に行える。
その結果、全地球航法衛星システムを利用した車体の位置及び方位の測定を、より簡単かつ迅速に精度良く行うことができる。
図7に示すように、メインECU30は、車体の自動運転を可能にする各種の制御プログラムなどを有する自動運転制御部30Cを備えている。自動運転制御部30Cは、車体が予め設定された圃場の目標走行経路を設定速度で適正に作業を行いながら自動走行するように、目標走行経路及び測位ユニット53の測位結果などに基づいて、走行制御部30A及び作業制御部30Bなどに各種の制御指令を適切なタイミングで送信する。走行制御部30Aは、自動運転制御部30Cからの各種の制御指令及び車内情報取得ユニット36の各種取得情報などに基づいて、主変速装置32及び前後進切換装置33などに各種の制御指令を適切なタイミングで送信して主変速装置32及び前後進切換装置33などの作動を制御する。作業制御部30Bは、自動運転制御部30Cからの各種の制御指令及び車内情報取得ユニット36の各種取得情報などに基づいて、昇降駆動ユニット29及びPTOクラッチ34などに各種の制御指令を適切なタイミングで送信して昇降駆動ユニット29及びPTOクラッチ34などの作動を制御する。
目標走行経路は、圃場での手動運転による作業走行時に走行した走行経路、及び、畦際旋回開始地点などが、測位ユニット53の測位結果などに基づいてデータ化されたものであってよい。又、目標走行経路は、圃場での手動運転によるティーチング走行時に走行した走行経路、及び、畦際旋回開始地点などが、測位ユニット53の測位結果などに基づいてデータ化されたものであってよい。
図1〜5、図7〜10に示すように、監視ユニット54は、車体に対する至近距離内(例えば1m以内)での障害物の有無を検出する障害物検出モジュール64、車体に対する近距離(例えば10m以内)での障害物の接近を検出する前後の障害物探知器65、障害物との接触を回避する接触回避制御を行う接触回避制御部30D、車体の周囲を撮影する6台の監視カメラ66、監視カメラ66が撮影した画像を処理する画像処理装置67、などを備えている。
障害物検出モジュール64は、車体に対する至近距離内において障害物を探査する8個の障害物探査器68と、各障害物探査器68からの探査情報に基づいて車体に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行う2台の探査情報処理装置69とを備えている。
各障害物探査器68には、測距センサの一例として測距に超音波を使用するソナー68が採用されている。8個のソナー68は、車体の前方と左右両側方とが探査対象領域になるように、車体の前端部と左右両端部とに分散して配置されている。各ソナー68は、それらの探査で得た探査情報を対応する探査情報処理装置69に送信する。
各探査情報処理装置69は、対応する各ソナー68における超音波の発信から受信までの時間に基づいて、車体に対する至近距離内に障害物が接近したか否かの判別処理を行い、この判別結果を接触回避制御部30Dに出力する。
これにより、自動運転中の車体の前方又は左右の横側方において障害物が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この障害物の接近が障害物検出モジュール64によって検出される。又、車体の後端部にはソナー68が備えられていないことにより、障害物検出モジュール64が、車体の後部に昇降可能に取り付けられた作業装置を障害物として誤検出することが回避されている。
ちなみに、障害物検出モジュール64は、例えば、車体が自動運転によって畦に向かって走行しているとき、又は、車体が自動運転によって畦際で畦に沿って走行しているときに、畦が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この畦を障害物として検出する。又、移動体が車体に対する至近距離内に異常接近した場合は、この移動体を障害物として検出する。
各障害物探知器65には、約270度程度の検出角度を有するレーザスキャナ65が採用されている。各レーザスキャナ65は、障害物の探知を行う探知部65Aと、探知部65Aからの探知情報を処理する処理部65Bとを備えている。探知部65Aは、探知対象領域にレーザ光線を照射して反射光を受け取る。処理部65Bは、レーザ光線の照射から受光までの時間に基づいて、車体に対する近距離において障害物が接近しているか否かなどを判別し、判別結果を接触回避制御部30Dに出力する。前側のレーザスキャナ65は、車体前側の領域が探知対象領域に設定されている。後側のレーザスキャナ65は、車体後側の領域が探知対象領域に設定されている。
接触回避制御部30Dは、接触回避制御の実行を可能にする制御プログラムなどを有してメインECU30に備えられている。接触回避制御部30Dは、各レーザスキャナ65の判別結果に基づいて、車体に対する近距離での障害物の接近を確認したときに、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転に優先して接触回避制御を開始する。そして、接触回避制御部30Dは、各レーザスキャナ65及び各探査情報処理装置69の判別結果に基づいて接触回避制御を行う。
接触回避制御において、接触回避制御部30Dは、接触回避制御の開始とともに走行制御部30Aに減速指令を出力する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を減速作動させて、車速を通常走行用の設定速度から接触回避用の設定速度まで低下させる。接触回避制御部30Dは、この低速走行状態において、いずれかの探査情報処理装置69の判別結果に基づいて、車体に対する至近距離内への障害物の接近を確認したときに、走行制御部30A及び作業制御部30Bに緊急停止指令を出力する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって前後進切換装置33を中立状態に切り換えるとともに、ブレーキ操作ユニット35の作動によって左右のブレーキを作動させて左右の前輪9と左右の後輪10とを制動させる。又、接触回避制御部30Dは、作業制御部30Bの作動によってPTOクラッチ34を切り状態に切り換えて作業装置の作動を停止させる。その結果、車体に対する至近距離内への障害物の接近に基づいて、車体の走行停止と作業装置の作動停止とを迅速に行うことができ、車体が障害物に接触する虞を回避することができる。接触回避制御部30Dは、この低速走行状態において、各レーザスキャナ65の判別結果に基づいて、車体に対する近距離内において障害物が存在しないことを確認したときに、走行制御部30Aに増速指令を出力し、その後、接触回避制御を終了する。これにより、接触回避制御部30Dは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を増速作動させて、車速を接触回避用の設定速度から通常走行用の設定速度まで上昇させた後、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させる。
図1〜3、図7〜10に示すように、各監視カメラ66には、広角の可視光用CCDカメラが採用されている。6台の監視カメラ66のうちの1台は、車体の前方撮影用であり、この監視カメラ66は、撮影方向が前下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における前端の左右中央箇所に設置されている。6台の監視カメラ66のうちの2台は、車体の右方撮影用であり、これらの監視カメラ66は、撮影方向が右下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における右端箇所に前後に所定間隔をあけて設置されている。6台の監視カメラ66のうちの2台は、車体の左方撮影用であり、これらの監視カメラ66は、撮影方向が左下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における左端箇所に前後に所定間隔をあけて設置されている。6台の監視カメラ66のうちの1台は、車体の後方撮影用であり、この監視カメラ66は、撮影方向が後下方向きになる傾斜姿勢で、キャビン4の上端部における後端の左右中央箇所に設置されている。これにより、車体の周囲を漏れなく撮影することができる。
尚、右監視カメラ66と左監視カメラ66とを1台ずつにして、キャビン4の上端部における左右両端の適正箇所に設置するようにしてもよい。
画像処理装置67は、各監視カメラ66からの映像信号を処理して、車体前方画像、車体右側方画像、車体左側方画像、車体後方画像、及び、車体の真上から見下ろしたような俯瞰画像、などを生成して表示ユニット23などに送信する。表示ユニット23は、液晶パネル23Aに表示される各種の操作スイッチ(図示せず)の人為操作などに基づいて、液晶パネル23Aに表示される画像を切り換える制御部23B、などを有している。
上記の構成により、手動運転時においては、運転者は、画像処理装置67からの画像を液晶パネル23Aに表示させることにより、運転中の車体の周辺状況や作業状況を容易に視認することができる。これにより、運転者は、作業の種類などに応じた良好な車体の運転を容易に行うことができる。又、自動運転時に管理者が車体に搭乗する場合においては、管理者は、画像処理装置67からの画像を液晶パネル23Aに表示させることにより、自動運転中の車体の周辺状況や作業状況を容易に視認することができる。そして、管理者は、自動運転中の車体周辺又は作業状況などにおける異常を視認した場合は、その異常の種類や程度などに応じた適切な処置を速やかに行うことができる。
図7に示すように、電子制御システム51は、選択イッチ50の人為操作によって協調運転モードが選択された場合に、車体を同じ仕様の他車と協調して自動走行させる協調制御ユニット70を備えている。協調制御ユニット70は、車体の位置情報を含む他車との協調走行に関する情報を他車との間で無線通信する通信モジュール71と、他車からの情報に基づいて協調運転制御を行う協調運転制御部30Eとを備えている。協調運転制御部30Eは、協調運転制御の実行を可能にする制御プログラムなどを有してメインECU30に備えられている。
協調運転モードにおいて、自動運転制御部30Cは、車体が予め設定された併走用の目標走行経路を設定速度で適正に作業を行いながら自動走行するように、併走用の目標走行経路及び測位ユニット53の測位結果などに基づいて、走行制御部30A及び作業制御部30Bなどに各種の制御指令を適切なタイミングで送信する。協調運転制御部30Eは、自車の併走用の目標走行経路、測位ユニット53の測位結果、他車の併走用の目標走行経路、及び、他車の位置情報、などに基づいて、先行する他車と自車との進行方向での車間距離、及び、先行する他車と自車との併走方向での車間距離、などが適正であるか否かを判別する。そして、いずれかの車間距離が適正でない場合は、その車間距離が適正になるように、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転に優先して協調運転制御を開始する。
協調運転制御において、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離よりも短い場合は、走行制御部30Aに減速指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を減速作動させて、進行方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車速を通常走行用の設定速度まで上昇させて進行方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離よりも長い場合は、走行制御部30Aに増速指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって主変速装置32を増速作動させて、進行方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、進行方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車速を通常走行用の設定速度まで低下させて進行方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離よりも長い場合は、走行制御部30Aに他車側への操舵指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって左右の前輪9を他車側に操舵させて、併走方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車体の進行方向を通常走行用の進行方向に戻して併走方向での車間距離を適正距離に維持する。
協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離よりも短い場合は、走行制御部30Aに他車から離れる側への操舵指令を出力する。これにより、協調運転制御部30Eは、走行制御部30Aの制御作動によって左右の前輪9を他車から離れる側に操舵させて、併走方向での車間距離を適正距離に復帰させる。そして、協調運転制御部30Eは、併走方向での車間距離が適正距離に復帰するのに伴って、自動運転制御部30Cの制御作動に基づく自動運転を再開させることにより、車体の進行方向を通常走行用の進行方向に戻して併走方向での車間距離を適正距離に維持する。
これにより、自車を、先行する他車に対して、進行方向での車間距離と併走方向での車間距離とを訂正に維持しながら自動で適正に併走させることができる。
図1〜3、図6、図8〜12に示すように、キャビン4は、ルーフ62などを支持するルーフフレーム72、ルーフフレーム72の前端部を支持する左右のフロントピラー73、ルーフフレーム72の前後中間部を支持する左右のセンタピラー74、ルーフフレーム72の後部側を支持する左右のリアピラー75、キャビン4の前面を形成するフロントパネル76、左右のセンタピラー74に開閉揺動可能に支持された左右のドアパネル77、キャビン4の後部側面を形成する左右のサイドパネル78、及び、ルーフフレーム72に開閉揺動可能に支持されたリヤパネル79、などを備えている。
ルーフフレーム72は、左右のフロントピラー73にわたるフロントビーム98、左右いずれかのフロントピラー73とリアピラー75とにわたる左右のサイドビーム99、及び、左右のリアピラー75にわたるリアビーム100、などを備えて平面視略矩形状に形成されている。
左右のフロントピラー73は、車体におけるホイールベースLの中央部よりも車体前側に配置されている。左右のフロントピラー73は、正面視においては上半部の上側ほど車体の左右中央側に位置し、かつ、側面視においては上半部の上側ほど車体の前後中央側に位置するように上半部が湾曲している。
左右のセンタピラー74及び左右のリアピラー75は、運転座席22の左右に配置された左右のリアフェンダ12とルーフフレーム72との間に配置されている。左右のセンタピラー74は、正面視においては上側ほど車体の左右中央側に位置し、かつ、側面視においては上側ほど車体の前後中央側に位置するように湾曲している。左右のリアピラー75は、正面視においては上側ほど車体の左右中央側に位置し、かつ、側面視においては略垂直姿勢になるように湾曲している。
各パネル76〜79には、対応するピラー73〜75などに沿って湾曲するガラス製又は透明アクリル樹脂製などの曲面パネルが採用されている。
上記の構成により、キャビン4の下半部においては、運転座席22に着座した運転者の手足による各種の操作が行い易い広い空間を確保しながら、キャビン4の上半部においては、居住性を損なわない程度でルーフフレーム72の前後幅及び左右幅を狭くすることができる。その結果、搭乗空間での操作性及び居住性を低下させることなく、キャビン上部の小型軽量化による車体の安定性の向上を図ることができる。
図1〜3、図9〜11に示すように、キャビン4は、左右のリアピラー75の上端部から後方に延出する補助フレーム90を備えている。補助フレーム90は、後側のレーザスキャナ65及び後方撮影用の監視カメラ66などを支持している。
図1、図10に示すように、左右のフロントピラー73は、側面視において、それらの上端部が車体におけるホイールベースLの中央部に位置している。アンテナユニット61は、側面視において、左右のフロントピラー73の延長線上に配置されている。
上記の構成により、アンテナユニット61を、左右のフロントピラー73にわたる強度の高いフロントビーム98によって支持された安定状態で、車体におけるトレッドTの中央部でホイールベースLの中央部に配置することができる。
図1〜3、図8〜10、図12〜14に示すように、キャビン4のルーフ62は、ルーフフレーム72に支持された樹脂製のインナルーフ101と樹脂製のアウタルーフ102とを備えている。そして、アウタルーフ102における前部上面の左右中央箇所に、アンテナユニット61がボルト連結される連結部102Aを備えている。
連結部102Aには、ボルト連結用の4つの貫通孔102aが形成され、各貫通孔102aにはゴムスリーブ103が嵌め込まれている。各ゴムスリーブ103は、アンテナユニット61が連結部102Aにボルト連結されるのに伴って、アウタルーフ102の上面とアンテナユニット61の底面とに密接する第1フランジ部103Aを有している。
上記の構成により、アンテナユニット61がアウタルーフ102の連結部102Aにボルト連結された状態では、ゴムスリーブ103の第1フランジ部103Aが、アウタルーフ102の上面とアンテナユニット61の底面との間に位置することにより、車体側の振動がアンテナユニット61に伝わり難くなる。そして、ゴムスリーブ103の第1フランジ部103Aが、アウタルーフ102の上面とアンテナユニット61の底面とに密接することにより、雨水や洗浄水などが、連結部102Aの各貫通孔102aからキャビン4の内部に浸入することが防止される。
つまり、第1フランジ部103Aを有する4個のゴムスリーブ103が防振部材と防水部材とを兼ねることから、構成の簡素化を図りながら、アンテナユニット61を防振支持することができるとともに、キャビン4の内部への浸水を防止することができる。
図11〜14に示すように、ルーフフレーム72のフロントビーム98は、車体におけるホイールベースLの中央部において、フロントビーム98の左右中央部から後方に延出する左右の支持部98Aを備えている。アウタルーフ102の連結部102Aは、左右の支持部98Aに支持された支持台104にボルト連結される連結部を兼ねている。つまり、アンテナユニット61は、アウタルーフ102とともに支持台104に共締め連結されている。これにより、組み付け工数の削減による組み付け性の向上が図られている。
図13〜14に示すように、各ゴムスリーブ103は、アウタルーフ102及びアンテナユニット61が支持台104にボルト連結されるのに伴って、支持台104の上面とアウタルーフ102の下面とに密接する第2フランジ部103Bを有している。アウタルーフ102の各貫通孔102aは、下面側が第2フランジ部103Bの入り込みを許容するように拡径されている。各貫通孔102aには、ゴムスリーブ103とともに、ボルト連結時におけるゴムスリーブ103の適正な変形を許容するとともに、ボルトネジ込み量を制限するスペーサ105が嵌め込まれている。
上記の構成により、アンテナユニット61の防振性を高めることができるとともに、キャビン4の内部への浸水をより確実に防止することができる。又、ゴムスリーブ103及びスペーサ105の作用により、ボルト連結部の緩みを防止することができる。
図1〜3、図8、図10に示すように、アウタルーフ102は、前部の上面が前下がりに形成されるとともに、前部の左右中央箇所にアンテナユニット取り付け用の台座102Bが上向きに膨出形成されている。台座102Bは、その上面が水平に形成され、その上面に前述した連結部102Aが形成されている。又、アウタルーフ102の上面には、アウタルーフ102における前後中央側の前下がり始端箇所からルーフ前縁の左右両端部にわたる平面視略U字状の第1水切り溝102Cと、アンテナユニット61の取り付け箇所である台座102Bからルーフ前縁の左右両端部にわたる左右の第2水切り溝102Dとが形成されている。
上記の構成により、アウタルーフ102の後部側上面に降りかかった雨水や洗浄水などは、第1水切り溝102Cに沿ってルーフ前縁の左右両端部に向けて流れ易くなることから、アンテナユニット61の周辺に流れ込み難くなる。又、アウタルーフ102の前側上面に降りかかった雨水や洗浄水などは、第2水切り溝102Dに沿ってルーフ前縁の左右両端部に向けて流れ易くなることから、アンテナユニット61の周辺に滞留し難くなる。そして、このように、アンテナユニット61の周辺での水はけを良好にしながらも、アンテナユニット61が取り付けられる台座102Bの座面(上面)を、アウタルーフ102の前部上面とは異なるアンテナユニット61の取り付けに適した水平面にすることができる。
その結果、雨水や洗浄水などがアンテナユニット61の周辺に滞留してアンテナユニット61などに悪影響を及ぼすことを防止しながら、アンテナユニット61の取り付け姿勢を適正にすることができる。
又、雨天での作業走行中においては、アウタルーフ102の上面に降りかかった雨水の多くが、ルーフ前縁の左右両端部から下方に流れ落ちるようになることから、アウタルーフ102の前端から流れ落ちる雨水に起因した前方視認性の低下を抑制することができる。
そして、アンテナユニット61が取り付けられるアウタルーフ102の前部上面は、前下がりに形成されることにより、アウタルーフ102の後部上面よりも低くなることから、アンテナユニット61がアウタルーフ102の後部上面に取り付けられる場合に比べて、アンテナユニット61を含む車高が低くなる。これにより、トラクタが格納される納屋などに対する出入口からのトラクタの出し入れが行い易くなる。
〔別実施形態〕
本発明は、上記の実施形態で例示した構成に限定されるものではなく、以下、本発明に関する代表的な別実施形態を例示する。
〔1〕作業車は、以下に例示する構成が採用されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の後輪10に代えて左右のクローラを備えるセミクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の前輪9及び左右の後輪10に代えて左右のクローラを備えるフルクローラ仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、左右の前輪9と左右の後輪10とのいずれか一方が駆動される二輪駆動式であってもよい。
例えば、作業車は、エンジン6の代わりに電動モータを備える電動仕様に構成されていてもよい。
例えば、作業車は、エンジン6と電動モータとを備えるハイブリッド仕様に構成されていてもよい。
本発明は、車体の後部側に配置されたキャビンと、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備えたトラクタ、乗用草刈機、コンバイン、乗用田植機、及び、ホイルローダ、などの作業車に適用することができる。
4 キャビン
51 電子制御システム
61 アンテナユニット
62 ルーフ
63 慣性計測装置
102A 連結部
102a 貫通孔
102B 台座
102D 水切り溝
103 ゴムスリーブ
103A フランジ部
L ホイールベース
T トレッド

Claims (4)

  1. 車体の後部側に配置されたキャビンと、車体を自動で運転する自動運転用の電子制御システムとを備え、
    前記電子制御システムは、慣性計測装置を内部に有する衛星航法用のアンテナユニットを備え、
    前記アンテナユニットは、車体におけるトレッドの中央部でホイールベースの中央部に位置するように、前記キャビンのルーフにおける前部上面の左右中央箇所に取り付けられている作業車。
  2. 前記ルーフは、前記アンテナユニットがボルト連結される連結部を備え、
    前記連結部は、ボルト連結用の複数の貫通孔と、前記貫通孔に嵌め込まれた複数のゴムスリーブとを備え、
    前記ゴムスリーブは、前記アンテナユニットのボルト連結に伴って、前記ルーフの上面と前記アンテナユニットの底面とに密接するフランジ部を有している請求項1に記載の作業車。
  3. 前記ルーフは、前部の上面が前下がりに形成されるとともに、前部の左右中央箇所にアンテナユニット取り付け用の台座が上向きに膨出形成されている請求項1又は2に記載の作業車。
  4. 前記ルーフの上面には、前記アンテナユニットの取り付け箇所からルーフ前縁の左右両端部にわたって水切り溝が形成されている請求項1〜3のいずれか一項に記載の作業車。
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