JP2018113886A - パン類生地の製造方法及びパン類の製造方法 - Google Patents

パン類生地の製造方法及びパン類の製造方法 Download PDF

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大 大塚
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大樹 山田
典明 丸橋
Noriaki Maruhashi
典明 丸橋
俊逸 井上
Toshiyasu Inoue
俊逸 井上
慶介 加藤
Keisuke Kato
慶介 加藤
宏昭 山内
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宏昭 山内
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Abstract

【課題】発酵種製パン法と湯種製パン法のそれぞれの良好な特性を引き出す新規製パン法により、保存中の老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感を有するパンの製造方法及びパンを提供する。
【解決手段】パンの製造方法は、(a)最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程と、(b)前記発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程と、(c)前記発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、前記発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程と、を含む。
【選択図】なし

Description

本発明は、パンの製造方法及びパンに関する。
小麦粉に加熱処理を加える製法として、従来より、小麦粉に塩と熱湯又は水蒸気とを混捏して、あるいは小麦粉に塩と水とを混捏後に外部加熱を施すことで湯種を作成し、必要に応じて混捏後の湯種の粗熱を除去した後、湯種に小麦粉、イースト、食塩、糖類等及び水からなる原料を混捏してパン生地を作成して発酵後焼成をする湯種製パン法が普及している(特許文献1−5)。これらの方法は、例えば、パン生地を構成する全小麦粉量のうち約5重量%〜50重量%の小麦粉と所定量の熱湯又は温水とを混捏(温水の場合は加温しながら混捏)して湯種を作成し、該湯種と残りの小麦粉、イースト、イーストフード、食塩、糖類、脱脂粉乳、油脂等及びその他の原料を混捏してパン生地を作成し、発酵後焼成することによりパンを製造するというものである。これらの方法で得られたパンは、食感がモチモチとし、良好な風味を有し、老化が遅いことが示されている。
また、従来より、小麦粉にイースト、塩、水、必要に応じて乳酸菌、粉乳等を混捏して一定条件下で発酵させることで発酵種を作成し、発酵種に小麦粉、イースト、食塩、糖類等及びその他の原料を混捏してパン生地を作成して発酵後焼成をする発酵種製パン法が知られている(特許文献6−7)。この製法で得られたパンの特徴は、保存中のパンの老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感となることである。
さらに、特許文献8には、発酵生成物として醤油と、小麦粉、イースト、食塩、糖類等とを混捏してパン生地を作成することで、良好な風味を持つパンを短時間で製造可能であることが示されている。
特開昭59−156236号公報 特開2000−262205号公報 特開2003−9758号公報 特開2004−105195号公報 特開2004−123号公報 特開2006−109781公報 特開2006−158382公報 特開昭58−220638号公報
しかしながら、特許文献1−5に記載の湯種製パン法と特許文献6−8に記載の発酵種製パン法とを組み合わせてパンを製造した場合、保存中のパンの老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感を有するという発酵種製パン法による特性と、保存中の老化が遅く、モチモチとした食感を示すという湯種製パン法の特性が相殺され、十分な品質のパンが得られないことが課題として残されていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、発酵種製パン法と湯種製パン法との良好な両特徴が引き出された、保存中の老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感を有する新たなパンの製造方法及びパンを提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るパンの製造方法は、
(a)最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程と、
(b)前記発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程と、
(c)前記発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、前記発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程と、
を含む。
例えば、前記工程(b)において、通電加熱装置によって加温される。
例えば、前記工程(b)において、調製された前記発酵湯種生地は、低温中で保存される。
例えば、前記最終生地は、低アミロース小麦品種由来の小麦粉を含む。
本発明の第2の観点に係るパンは、
本発明の第1の観点に係る製造方法によって製造される。
本発明によれば、発酵種製パン法と湯種製パン法との良好な両特徴が引き出された、保存中の老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感を有する新たなパンの製造方法及びパンを提供することができる。
実施例1の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。 実施例2の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。 実施例3の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。 実施例4の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。 実施例5の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。 実施例6の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。 実施例7の製パン実験の製パン配合及び結果を示す図である。
(1.パンの製造方法)
まず、本実施形態によるパンの製造方法について詳細に説明する。
本明細書において「パン」には、食パン(山型食パン等)、ロールパン(バターロール等)、菓子パン、フランスパン、冷凍生地パン等といった焼成されることにより製造されるものの他、ドーナツ、蒸しパン等も含まれる。本明細書における「パン」は、小麦粉と水とを使用して得られる生地を加熱して得られるものをすべて包含し、特に限定はされない。
本発明によるパンの製造方法は、工程(a)として、最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程を含む。
工程(a)における「発酵生成物」とは、イースト、乳酸菌等の微生物によって発酵させた食品全般をいう。例えば、発酵生成物として、イーストを用いて生地を発酵させた発酵種、乳酸菌を用いて生地を発酵させたサワー種等を用いてもよく、また、市販のヨーグルト、醤油、醸造酢、味噌等の発酵生成物を用いてもよい。また、凍結乾燥、スプレードライ等によって粉体となっている粉末醤油、粉末調味料、発酵乳粉末等の粉状の発酵生成物を用いてもよい。なお、発酵生成物として、2又は3以上の異なる種類の発酵生成物を組み合わせて用いることができる。
工程(a)において調製される発酵生成物の最終pHは、pH5.6以下である。最終pHがpH5.6以下の範囲では、発酵生成物中の発酵が十分に進んだ状態となっており、最終的に、保存中の老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感を有するという発酵種製パン法による特性を有するパンを得ることができる。発酵生成物の最終pHは、pH5.6以下であるが、好ましくはpH3.0〜5.6、より好ましくはpH3.5〜5.6である。発酵生成物の調製時におけるpHの調節は、所定の温度及び湿度にコントロールされた発酵器内で発酵することで行うことができ、特に限定はない。発酵生成物のpHは、市販のpHメーター、pH指示薬等を用いて測定することができる。なお、粉末醤油、粉末調味料、発酵乳粉末等の粉状の発酵生成物を用いた場合は、水に十分溶解懸濁させた液のpHを計測してもよい。
工程(a)における発酵生成物の調製方法について以下に例示する。
例えば、小麦粉100重量部に対して、水60〜1000重量部及びイースト0.5〜20重量部を混合して発酵させ、pH5.6以下の発酵生成物を調製する。調製された発酵生成物は、流動性を有するものであることが好ましい。また、小麦粉100重量部に対する水の添加量は、100〜500重量部であることが好ましい。また、イーストの添加量は、2〜10重量部であることが好ましい。
また、例えば、小麦粉100重量部に対して、水10〜100重量部及び市販乳酸菌酵母混合液10〜100重量部を混合して発酵させ、pH5.6以下の発酵生成物を調製する。調製された発酵生成物は、流動性を有するものであることが好ましい。また、小麦粉100重量部に対する水の添加量は、30〜50重量部であることが好ましい。また、市販乳酸菌酵母混合液の添加量は、10〜50重量部であることが好ましい。
また、例えば、市販のヨーグルトをそのままの状態で発酵生成物として用いてもよい。この場合、小麦粉に一定量の市販ヨーグルトを添加し、発酵させた発酵生成物を用いることもできる。
なお、発酵生成物に所定量の雑穀又は米粉を添加してもよい。雑穀又は米粉の添加量は、例えば、小麦粉100重量部に対して、1〜15重量部とすることができる。
本発明によるパンの製造方法は、工程(b)として、工程(a)で得られた発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程を含む。
工程(b)における「発酵湯種生地」とは、工程(a)で得られた発酵生成物に所定の原料(例えば、後述する電解質)を添加して、若しくは何も添加せずに、55℃〜98℃に加温して得られた生地、又は工程(a)で得られた発酵生成物に小麦粉、熱水等を混合し、55℃〜98℃に加温して得られた生地をいう。
前記工程(b)における加温温度は、生地中のデンプンを十分に糊化及び膨潤させる観点から、例えば、55℃〜98℃、好ましくは55〜90℃である。なお、ここでいう「糊化」とは、全糊化のみならず、部分糊化を含むものである。同様に、「膨潤」についても、原料の完全膨潤だけではなく、部分膨潤を含むものである。
前記工程(b)における加温方法としては、発酵生成物を加熱できる方法であれば特に制限なく選択され、例えば、熱水、温水、通電、水蒸気等による加温が挙げられる。例えば、発酵生成物に小麦粉及びその他の原料を混合した後に、熱水を混合することで加温してもよいし、発酵生成物に小麦粉、温水及びその他の原料を混合した後、加温してもよい。本実施形態による発酵湯種生地は、発酵生成物から調製されたものであるため、従来の湯種に比べてより風味が増しており、また、55℃〜98℃に加温して調製されたものであるため、より多くの水が澱粉に吸収されており、最終的に優れた特性を有する高品質のパンを簡便かつ安定的に製造することできる。
工程(b)における加温方法としては、例えば、通電加熱装置による加温が好ましい。通電加熱装置を用いることで、生地への非常に均一な加熱が可能となる。通電(ジュール)加熱では、対象となる被加熱物を内部発熱させることで、その被加熱物全体を迅速、均一かつ高精度に昇温することが可能である。通電加熱の方法として、例えば、チタン製の電極板を両端に設置したポリプロピレン製の容器に生地を入れ、電極板に20V以上の交流電圧を掛けて中心部の温度を測定しながら加熱する方法が挙げられる。加熱制御は、変圧器で昇温速度を0.1℃/秒程度に調節した上で、設定温度に到達後は任意の時間で保持することができる電気回路を用いることができる。加熱された生地は、設定温度に対し、±0.2℃以内の範囲で制御することが可能である。
工程(b)において通電加熱装置による加温を行う場合、生地が55〜98℃の設定温度範囲内となるように通電加熱し、かつ設定温度範囲内に到達後、設定温度範囲内にて温度を保持することで、膨潤及び糊化した生地を調製することができる。より具体的には、通電加熱は、55〜98℃の範囲内になるように調整され、また、設定温度範囲内に到達後、例えば3分以上5時間未満、好ましくは3〜60分間、所定温度付近にて温度を維持することが好ましい。こうすることで、比較的短時間に、また、効率的かつ確実に、生地中の小麦粉澱粉の膨張、糊化、低分子化、糖化が均一で十分な品質を有する発酵湯種生地を調製することができる。
工程(b)において通電加熱装置による加温を行う場合、生地100重量部に対して、電解質(例えば、食塩、にがり、塩合カリウム、酢酸ナトリウム等)を0.1〜40重量部、好ましくは1〜30重量部、より好ましくは5〜20重量部添加して、通電加熱装置による加温を行ってもよい。
工程(b)において調製された発酵湯種生地については、後述する工程(c)において、調製直後の発酵湯種生地を用いて最終生地を調製してもよく、又は、調製後一定時間経過後の発酵湯種生地を用いて最終生地を調製してもよく、又は、調製された発酵湯種生地を低温中で保存してから最終生地の調製に用いてもよい。発酵湯種生地を低温中で保存することで、生地全体における均一な水和が進行し、発酵湯種生地の組成を全体的に均質化することができるとともに、発酵湯種生地中の過剰な澱粉の糊化及び糖化を防止でき、さらにはパンの製造工程における最適捏上温度への温度調整を容易にすることができる。なお、低温中での保存条件については、パンの製造効率の観点から、好ましくは−3〜20℃で2〜72時間である。なお、調製後の発酵湯種生地を例えばジャッケット付冷却装置等で急激に冷却してから低温中で保存してもよく、調製後の発酵湯種生地を例えば冷蔵庫等に入れて徐冷してもよい。
本発明によるパンの製造方法は、工程(c)として、工程(b)で得られた発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程を含む。
工程(c)で得られる「最終生地」とは、本明細書において、工程(b)で得られた発酵湯種生地を用いて調製することで得られる生地であり、パン製造過程において、「最終生地」を最終発酵させ、焼成する、揚げる、蒸す等してパンを完成させることができる。
工程(c)において、発酵湯種生地を用いることによる保存中の老化が遅く、良好な風味を示し、ソフトな食感を有するパンを製造する観点から、工程(b)で得られた発酵湯種生地は、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量(発酵湯種生地で使用する小麦粉量が、最終生地で使用する全小麦粉量の内2〜20重量%である)、好ましくは、発酵湯種生地中の小麦粉5〜20重量部の量(発酵湯種生地で使用する小麦粉量が、最終生地で使用する全小麦粉量の内5〜20重量%である)で配合され得る。
工程(c)において、添加用生地を用いて最終生地を調製する方法については、特に限定されず、例えば、直捏法、中種法、再捏法、冷凍生地製パン法、冷蔵生地製パン法等の方法を例示することができる。
なお、工程(a)−(c)において用いられる小麦粉は、小麦を加工して得られる小麦粉であれば特に制限なく用いることができ、国産小麦由来の小麦粉及び外国産の小麦由来の小麦粉のいずれも用いることができる。より柔らかく老化の遅いパンを得るために、低アミロース小麦品種由来の小麦粉を用いてもよい。ここで、低アミロース小麦品種は、例えば、Wx−B1タンパク質を欠失しており、アミロース含量がやや低い小麦品種・系統であり、ハルユタカ、春のあけぼの、はるひので、春よ恋、はるきらり、キタノカオリ、ゆめちから、きたほなみ、ホクシン等の品種を例示することができる。
以下、本発明の代表的実施の形態に係るパンの製造方法について説明する。なお、本発明は、以下説明する実施形態に何ら限定されるものではない。
本発明の代表的な第1の実施形態について説明する。
第1の実施形態の基本的構成は、直捏法(ストレート法)を採用し、少なくとも全小麦粉量のうちの一部の小麦粉と水とイースト、乳酸菌等を混合し発酵種を作成、あるいはヨーグルト、発酵風味液、発酵種等の市販発酵種を用いて、湯種前生地を作成する湯種前生地作成工程(1−1)と湯種前生地作成工程後に、その湯種前生地に温水を添加し加熱、または熱水を添加し発酵湯種生地を作成する、あるいは、前記湯種前生地と食塩とを混合し、それを通電加熱することで発酵湯種生地を作成する発酵湯種生地作成工程(1−2)と、発酵湯種生地作成工程後にその生地を低温でねかせて熟成させる生地熟成工程(1−3)と、発酵湯種生地及び少なくとも残量の小麦粉、全量のイースト及び水からなる原料を混捏してパン生地を作成するパン生地作成工程(1−4)と、パン生地を発酵させ、分割して丸目を行い、ベンチタイムをとって、ガス抜きや成形を行ってから最終発酵をとるパン生地発酵工程(1−5)と、このパン生地を焼成する焼成工程(1−6)とを行うものである。以下、各工程について詳しく説明する。
(1−1) 湯種前生地作成工程
この発酵種作成工程では、少なくとも全小麦量のうちの一部の小麦粉と水とイースト、あるいは乳酸菌を混合し発酵させpHが5.6以下の発酵種、あるいは少なくとも全小麦量のうちの一部の小麦粉とpHが5.6以下のヨーグルト、醤油、醸造酢、味噌、発酵風味液、発酵種等を混合した湯種前生地を作成する。発酵種を発酵させる際の発酵温度としては4〜40℃が好ましく、特に、10〜30℃が好ましい。また、発酵種は自由に組み合わせることができ、特に制限はない。
(1−2)発酵湯種生地作成工程
この発酵湯種生地作成工程では、前記湯種前生地に熱水10〜200重量部を添加し、混捏する、または温水10〜200重量部を添加し加熱しながら混捏することで前記湯種前生地を膨潤および糊化させた生地を作成する。また、前記湯種前生地と食塩とを混捏し、それに通電を行うことにより、設定温度(55〜98℃)まで加熱し、さらに、設定温度にて所定時間(5時間未満)維持し、発酵湯種生地を作成する。
パンの製造における小麦粉全量のうち、2〜20%が発酵湯種生地由来の小麦粉量となるように発酵湯種生地を用いることが好ましい。また、加熱処理された発酵湯種生地の最終的な生地温度が55℃以上、98℃以下に加熱することが好ましい。また、通電加熱による発酵湯種生地の加熱温度としては55〜98℃が好ましく、特に、55〜90℃が好ましい。また、通電加熱による発酵湯種生地の加熱時間は、5時間未満であり、好ましくは3〜60分である。
(1−3)熟成工程
作成された発酵湯種生地はその後低温でねかせて熟成させる。発酵湯種生地は、好ましくは−3〜20℃で2〜72時間ねかせて熟成させる。発酵湯種生地は、小麦粉に対して十分量の水を用いて作成されているため、十分な含水状態にある。熟成のための生地の温度低下は、ジャケット付冷却装置等で急激に冷却してもよく、また、冷蔵庫等に入れ通常通り徐冷してもよい。
(1−4)パン生地作成工程
次に、発酵湯種生地と、少なくとも残量の小麦粉、全量のイースト及び水等からなる原料を混捏してパン生地を作成する。このとき、発酵湯種生地、残量の小麦粉、全量のイースト、水等からなる原料を一緒にミキサーに投入して一度に混捏することができる。このパン生地を作成するにあたり使用する小麦粉量は、上記発酵湯種生地を作成したときに使用した小麦粉量の残り量である。また、イーストの量は常法のストレート法における量を添加することが可能である。また、このパン生地を作成するときには、これ以外に、イーストフード、酸化剤、生地改良剤、乳化剤、糖類、塩、脱脂粉乳、油脂、乳製品等から選ばれた1種類または2種類以上のものを適宜使用することが可能である。
(1−5)パン生地発酵工程
得られた上記のパン生地を一定時間発酵する。発酵条件(一次発酵)は、通常のストレート法の発酵条件(時間、温度、湿度)が適当である。一次発酵終了後、生地の分割、丸目を行い、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや成形を行ってから最終発酵を行う。
(1−6)焼成工程
次に、最終発酵後のパン生地を焼成し、パンを製造する。
このように製造されたパンは、発酵湯種生地を用いることにより、製品の風味・芳香が増し、さらに小麦粉の膨潤、糊化、低分子化、糖化等が均一に進むため、大きな比容積、クラスト及びクラムともにしっとりした柔らかさを持ち、さらに、保存経時の老化も少ない。また、湯種前生地を発酵させることで、生地中に多くの良好な風味成分が生成され、それを加熱することでパンの風味・芳香がより良好になる。また、発酵湯種生地中の澱粉の膨潤、糊化、低分子化、糖化及び水和が極めて均一に進行しているため、パンのモチモチ感、口溶け等がより良好となる。さらに、澱粉の糖化が向上するため非常に良好な甘味と風味を呈する。
次に、本発明の代表的な第2の実施形態について説明する。
第2の実施形態は、中種法を基本とし、少なくとも全小麦粉量のうちの一部の小麦粉と水とイースト、乳酸菌等を混合し発酵種を作成、あるいはヨーグルト、醤油、醸造酢、味噌、発酵風味液、発酵種等の市販発酵種を用いて、湯種前生地を作成する湯種前生地作成工程(2−1)と湯種前生地作成工程後に、その湯種前生地に温水を添加し加熱、または熱水を添加し発酵湯種生地を作成する、あるいは、前記湯種前生地と食塩とを混合し、それを通電加熱することで発酵湯種生地を作成する発酵湯種生地作成工程(2−2)と、発酵湯種生地作成工程後にその生地を低温でねかせて熟成させる生地熟成工程(2−3)と、少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉、全量のイーストもしくは常法において中種に通常添加する標準量のイースト、イーストフード及び水を混捏して中種生地を作成する中種生地作成工程(2−4)と、この中種生地を発酵させる中種発酵工程(2−5)と、発酵湯種生地、発酵した中種生地、少なくとも残量の小麦粉及び水からなる原料等を混捏してパン生地を作成するパン生地作成工程(2−6)と、作成したパン生地を発酵させ、分割して丸目を行い、ベンチタイムをとって、ガス抜きや成形後最終発酵をとるパン生地発酵工程(2−7)と、このパン生地を焼成する焼成工程(2−8)とから構成される。以下の各工程について詳細に説明する。
(2−1) 湯種前生地作成工程は、上述した(1−1)の湯種前生地作成工程と同様に行う。また、(2−2)発酵湯種生地作成工程は、上述した(1−2)発酵湯種生地作成工程と同様に行う。また、(2−3)熟成工程は、上述した(1−3)の熟成工程と同様に行う。
(2−4)中種生地作成工程
少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉、全イーストもしくは常法において中種に通常添加する標準量のイースト、イーストフード及び水からなる原料を混捏して中種を作成する。この工程では、小麦粉はパン生地を構成する全小麦粉量のうち50重量部以上の小麦粉を使用する。ここで使用する小麦粉の量は、全小麦粉量のうちの60〜80%であることがより好ましい。
(2−5)中種生地発酵工程
上記のようにして中種生地を作成した後、本生地を発酵させる。通常の中種生地の発酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
(2−6)パン生地作成工程
次に、発酵湯種生地、発酵終了後の中種生地と、少なくとも残量の小麦粉及び水等からなる原料を混捏してパン生地を作成する。
(2−7)パン生地発酵工程
このパン生地を所定時間発酵する。発酵は、常法の中種法の発酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。ここでは、フロアタイムの間発酵後、生地を分割して丸目を行い、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや成形を行ってから最終発酵を行う。
(2−8)焼成工程
次に、最終発酵後の上記パン生地を焼成する。
(2.パン)
次に、本実施形態によるパンについて説明する。
本発明によるパンは、前述の実施形態によるパンの製造方法により製造される。本発明による「パン」には、前述の通り、食パン(山型食パン等)、ロールパン(バターロール等)、菓子パン、フランスパン、冷凍生地パン等、焼成されることにより製造されるものの他、ドーナツ、蒸しパン等も含まれる。
パンの柔らかさ及び老化の評価方法として、例えば、山型食パンの場合、パンをポリエチレン袋に入れて保存した後、例えば、1日後、2日後の山型食パンをスライスし、パン片のクラムの中央をカットし、そのカットクラムを半分の厚さまで1mm/sのスピードで圧縮した時の最大応力を測定し、その値をパンの硬さの値とする方法が挙げられる(この場合、パンの硬さの値が低いほど、パンが柔らかいことを表す)。
また、パンの外観、内相及び食感及び風味(甘みを含む)の評価は、例えば、複数名のパネラーによって、焼成後(例えば、焼成1日後)のパンを用いて行うことができる。また、パンの比容積の測定は、例えば、焼成後(例えば、保存1時間後)のパンを用いて菜種置換法によって行うことができる。
以上説明したように、本実施形態のパンの製造方法によれば、発酵生成物由来の良好な風味を有しつつ、湯種由来の、保存中の老化が遅く、ソフトさを有し、モチモチとした食感を示すパンを製造することができる。より具体的には、発酵生成物の最終pHをpH5.6以下となるまで十分に発酵させ、所定温度に発酵湯種生地を加温することで、発酵湯種生地中の澱粉の膨潤、糊化、低分子化、糖化及び水和が極めて均一に進行し、発酵湯種生地を所定量使用することにより、発酵種製パン法と湯種製パン法とを組み合わせても相殺効果がなく、品質良好で特徴的な風味、食感のパン類を提供することが可能となる。
また、従来の湯種製パン法では、湯種製造後の微生物汚染の問題、より具体的には、熱湯及び加熱によって多くの微生物はダメージを受け増殖が抑制される一方で、耐熱性を有するバチルス属に属する微生物は湯種保存中に増殖するため、湯種の腐敗が生じるという問題が生じていた。しかしながら、本実施形態のパンの製造方法によれば、従来の湯種製パン法で問題とされていた湯種生地保存中のバチルス属の増殖を抑えることが可能である。これは、特定の理論に縛られることを望むものではないが、本実施形態のパンの製造方法における有機酸の生成による発酵生成物中のpH低下によるものと考えられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本実施例は、前述の実施形態のパンの製造方法をストレート法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として2種類の従来法の湯種生地を用いた製パン実験の結果も記載する。
1)発酵生成物Aの調製条件
発酵生成物Aの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉100重量部、イースト2重量部、水185重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して20℃湿度75%の恒温庫で24時間発酵させた。発酵生成物のpHは5.11となった。
2)発酵湯種生地Aの調製条件
発酵生成物A中の小麦粉100重量部に対して食塩5重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Aを調製した。なお、通電加熱装置として、チタン製の電極板を両端に設置したポリプロピレン製の容器を用いた。該容器に生地を入れ、電極板に20V以上の交流電圧を掛けて中心部の温度を測定しながら加熱した。加熱制御は、変圧器で昇温速度を0.1℃/秒程度に調節した上で、設定温度に到達後は任意の時間で保持することができる電気回路を用いた。加熱された生地において、設定温度に対し、±0.2℃以内の範囲で温度制御された。
3−1)湯種生地Bの作成
小麦粉100重量部、食塩5重量部をミキサーボールに入れ、98℃に加温しておいた熱水100重量部を、小麦粉を混捏しながら徐々に添加し、3分間混捏し湯種生地Bを調製した。
3−2)湯種生地Cの作成
小麦粉100重量部、食塩5重量部、水185重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Cを調製した。
4)生地低温保存条件
発酵湯種生地A、湯種生地Bおよび湯種生地Cを5℃の冷蔵庫で18時間保存した。
5)本捏生地調製条件
熟成保存後の発酵湯種生地A、湯種生地Bおよび湯種生地Cを用いて、図1の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
6)発酵、焼成条件
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
第一発酵時間:30℃、60分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、60分
焼成:180℃、25分
製パン評価は、5人のパネラーによる製パン時生地状態、外観、内相、食感、風味の評価と菜種置換法による比容積により行った。また、保存後のパンの老化の評価として、ポリエチレン袋中で20℃で保存したパンについて、食感・風味の評価(1日後)およびクラム部分の硬さ(1日、2日後)の評価を行った。硬さの評価は、山型食パンを2cmにスライスし、中央部分の合計3枚のパン片のクラムの中央を3cm×3cmにカットし、そのカットクラムを1mm/sのスピードで50%圧縮した時の最大応力によって評価を行った。3つのパンの測定結果の平均値をデータとした。
図1の結果から、製パン実施例1の発酵湯種生地を用いたストレート法の生地の製パン性については、製パン比較例1の生地に比べ非常に良好、製パン比較例2の生地と同等の良好な製パン性を示し、生地の分割、成形時の状態、パンの外観、内相の評価が高く、より強い風味(旨味、香り)を呈し、大きな比容積を示した。また、保存後の老化評価においても、この実施例のパンは明らかに食感・風味が良好でモチモチ感を維持しており、硬さのデータからも明らかにソフトであり、風味(旨味、香り)が明らかに良好であった。
以上の結果から、本実施例の発酵湯種生地を用いるストレート法の製パン法により、少量の発酵湯種生地の添加で、生地の製パン性を低下させることなく、品質が良好なパンを容易に製造できることが明らかになった。また、本実施例のパンは、パンの風味(旨味、香り)が際立って良好であり、保存中の老化も非常に遅く、風味とモチモチ食感が保存中維持された。
(実施例2)
本実施例は、前述の実施形態の方法を中種法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として2種類の湯種生地を用いた製パン実験の結果も記載する。
1)発酵生成物Dの調製条件
発酵生成物Dの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉100重量部、イースト10重量部、水150重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して20℃湿度75%の恒温庫で12時間発酵させた。発酵生成物のpHは5.01となった。
2)発酵湯種生地Dの調製条件
発酵生成物D中の小麦粉100重量部に対して食塩3重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に80±1℃にまで昇温させた。その後、80±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Dを調製した。
3−1)湯種生地Eの作成
湯種生地Eについては、上述した湯種生地Bと同様に調製した。
3−2)湯種生地Fの作成
小麦粉100重量部、食塩3重量部、水150重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Fを調製した。
4)生地低温保存条件
発酵湯種生地D、湯種生地Eおよび湯種生地Fを5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
5)中種生地調製条件
中種生地の調製は表2に示す配合で以下に示す条件で調製を行った。
中種生地ミキシング条件・捏上温度・中種生地発酵条件
ピンミキサーを用い低速で2分
捏上温度24℃
中種発酵27℃、4時間
5)本捏生地調製条件
図2に示す配合の中種生地と熟成保存後の発酵湯種生地D、湯種生地Eおよび湯種生地F、その他の原料を用いて、常法に基づいて以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:27℃
6)発酵、焼成条件
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
フロアタイム:30℃、15分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、18分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、50分
焼成:180℃、25分
製パン評価は、実施例1と同様に行った。図2の結果から、中種法で製造された製パン実施例2の発酵湯種生地を用いた生地の製パン性については、製パン比較例3の生地に比べ非常に良好、製パン比較例4の生地と同等の良好な製パン性を示し、生地の分割、成形時の状態、パンの外観、内相の評価が高く、より強い風味(旨味、香り)を呈し、大きな比容積を示した。また、保存後の老化評価においても、この実施例のパンは明らかに食感・風味が良好でモチモチ感を維持しており、硬さのデータからも明らかにソフトであり、風味(旨味、香り)が明らかに良好であった。
以上の結果から、本実施例の発酵湯種生地を用いる中種法の製パン法により、発酵湯種生地の少量の添加で、生地の製パン性を低下させることなく、良好な品質のパンを容易に製造できることが明らかになった。また、本実施例のパンは、パンの風味(旨味、香り)が際立って良好であり、保存中の老化も非常に遅く、風味とモチモチ食感が保存中維持された。中種法は現状の日本の製パン業界の大型製パン工場における主流の製パン法であり、湯種法によるパン製造においても主要製法である。このような状況から、中種法による本実施例の発酵湯種生地を用いる製パン法により、従来の湯種法によるパン以上の品質のパンが容易に製造できることになり、従来以上に低コストで安定的に高品質の湯種法の特徴を持ったパンを多量生産できることが明らかになり、本実施例の製パン法の製パン業界への貢献は、多大であると期待できる。
(実施例3)
本実施例は、前述の実施形態のパンの製造方法をノータイム法に適用して、バターロールを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として2種類の湯種生地を用いた製パン実験の結果も記載する。
1)発酵生成物Gの調製条件
発酵生成物Gの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉100重量部、イースト5重量部、水120重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で3時間発酵させた。発酵生成物のpHは4.98となった。
2)発酵湯種生地Gの調製条件
発酵生成物G中の小麦粉100重量部に対して食塩2重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵通電加熱生地Dを調製した。
3−1)湯種生地Hの作成
湯種生地Hについては、上述した湯種生地Bと同様に調製した。
3−2)湯種生地Iの作成
小麦粉100重量部、食塩2重量部、水120重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Iを調製した。
4)生地低温保存条件
発酵湯種生地G、湯種生地Hおよび湯種生地Iを5℃の冷蔵庫で48時間保存した。
5)本捏生地調製条件
熟成保存後の発酵湯種生地G、湯種生地Hおよび湯種生地Iを用いて、図3の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
6)発酵、焼成条件
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成してバターロールを製造した。
分割・丸目:ミキシング終了後即生地量40gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:バターロール形状に手成形
最終発酵:38℃、湿度85%、50分
焼成:210℃、9分
製パン評価は、5人のパネラーによる製パン時生地状態、外観、内相、食感、風味の評価と見た目のパンの容積により行った。保存後のパンの老化の評価として、ポリエチレン袋中で20℃で2日間保存したパンについて、食感・風味の評価および硬さの評価を行った。硬さの評価は直径5mmの円形プランジャーを1mm/sのスピードでバターロールの上部の山の部分に突き刺した時の最大応力によって行った。3つのパンの測定結果の平均値をデータとした。
図3の結果から、本実施例のバターロールのようなリッチな配合のパンにおいても、製パン実施例3の発酵湯種生地を用いた生地の製パン性は、良好な結果を示し、生地の分割、成形時の状態、内相、食感の評価が高く、明らかに風味(旨味、香り)が良好であった。また、保存後の老化の評価においても、明らかに食感・風味が良好でモチモチ食感を維持しており、保存中の老化が遅く、ソフトさ・モチモチ食感が維持されていることが判った。
以上の結果から、本実施例の発酵湯種生地を用いる製パン法は、バターロールのようなリッチな配合のパンにおいても、適用可能であり、発酵湯種生地の少量の添加で従来の湯種によるバターロール以上の品質のパンが、生地の製パン性を低下させることなく容易に製造できることが明らかになった。また、本実施例のバターロールは、非常に風味(旨味、香り)が良好であり、保存中の老化も非常に遅く、湯種法によるパンの特徴であるモチモチ食感が保存中長い時間維持されることが判った。
(実施例4)
本実施例は、前述の実施形態の方法をストレート法に適用して、小麦粉としてやや低アミロースの国産小麦粉を用いて山型食パンを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として市販強力粉を用いて作成した湯種生地を用いた同条件の製パン実験の結果も記載する。発酵湯種生地、市販強力粉の湯種生地について、それぞれ2種類の湯種生地を調製し製パン実験を行なった。
1−1)発酵生成物Jの調製条件
発酵生成物Jの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉(小麦品種:ゆめちから)100重量部、イースト8重量部、水160重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で12時間発酵させた。発酵生成物のpHは4.78となった。
1−2)発酵生成物Kの調製条件
発酵生成物Kの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉(小麦品種:きたほなみ)100重量部、イースト8重量部、水160重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で12時間発酵させた。発酵生成物のpHは4.88となった。
2−1)発酵湯種生地Jの調製条件
発酵生成物J中の小麦粉(小麦品種:ゆめちから)100重量部に対して食塩4重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Jを調製した。
2−2)発酵湯種生地Kの調製条件
発酵生成物K中の小麦粉(小麦品種:きたほなみ)100重量部に対して食塩4重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Kを調製した。
3−1)湯種生地Lの作成
湯種生地Lについては、市販外麦強力粉を用い、上述した湯種生地Bと同様に調製した。
3−2)湯種生地Mの作成
小麦粉(市販外麦強力粉)100重量部、食塩4重量部、水160重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Mを調製した。
4)生地低温保存条件
発酵湯種生地Jおよび発酵湯種生地K、湯種生地Lおよび湯種生地Mを5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
5)本捏生地調製条件
熟成保存後の発酵湯種生地Jおよび発酵湯種生地K、湯種生地Lおよび湯種生地Mを用いて、図4の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:27℃
6)発酵、焼成条件
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
第一発酵時間:30℃、60分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、15分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、60分
焼成:180℃、25分
製パン評価は、実施例3と同様に行った。図4の結果から、小麦粉としてやや低アミロースの国産小麦粉(ゆめちから小麦粉、きたほなみ小麦粉)を用いたストレート法で製造された本実施例の製パン実施例4、5の発酵湯種生地を用いた生地の製パン性は、非常に良好な結果を示し、生地の分割、成形時の状態、パンの外観、内相、食感の評価が高く、明らかに風味(旨味、香り)が良好であった。また、本実施例のパンは、本実施例の発酵湯種生地とやや低アミロースの国産小麦粉の相乗効果により、発酵・加熱由来の風味と湯種製法によるパンの特徴であるモチモチ食感が更に向上し、その特性が保存中長い時間維持され、発酵湯種生地と国産小麦粉の風味の相乗効果で明らかに良好な風味を呈することが判った。
現在、日本国内ではパン適正の高い優れたパン用小麦品種が続々と育成され、それらの普及も着実に進んでおり、国内のパン用小麦の生産量も近年急激に増加している。これらの育成品種のほとんどが、Wx−B1タンパク質を欠失しているアミロース含量がやや低い小麦品種である。本実施例の結果は、これらの小麦粉を用いて本実施例の技術でパンを製造した場合、これらの品種の良い特性がより引き出され、従来の湯種法によるパンより優れた食感、風味のパンが製造できることを示しており、今後増産される国内のパン用小麦の需要拡大に、本実施例の技術が多大な貢献をすることが期待できる。
(実施例5)
本実施例は、市販の発酵生成物を用いて前述の実施形態の方法をノータイム法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵湯種生地の調製、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。
1−1)発酵湯種生地N
発酵生成物として市販のヨーグルトを用いた。本ヨーグルトのpHは4.12であった。
小麦粉100重量部、市販ヨーグルト40重量部をミキサーボールに入れ、98℃に加温しておいた熱水70重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、2分間混捏し発酵湯種生地Nを調製した。発酵湯種生地Nの捏上温度は61.2℃であった。
1−2)発酵湯種生地O
発酵生成物として市販の発酵風味液を用いた、本発酵風味液のpHは3.58であった。小麦粉100重量部、市販殺菌発酵風味液30重量部をミキサーボールに入れ、95℃に加温しておいた熱水70重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、2分間混捏し発酵湯種生地Oを調製した。発酵湯種生地Oの捏上温度は60.8℃であった。
1−3)発酵湯種生地P
発酵生成物Pとして発酵湯種生地Oに用いたのと同様の市販の発酵風味液を用いた。小麦粉100重量部、市販殺菌発酵風味液20重量部をミキサーボールに入れ、95℃に加温しておいた熱水80重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、2分間混捏し発酵湯種生地Pを調製した。発酵湯種生地Pの捏上温度は61.8℃であった。
1−4)湯種生地Qの作成
小麦粉100重量部をミキサーボールに入れ、98℃に加温しておいた熱水100重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、1分間混捏し湯種生地Qを調製した。湯種生地Qの捏上温度は62.4℃であった。
3)生地低温保存条件
各発酵湯種生地および湯種生地Qを5℃の冷蔵庫で16時間保存した。
4)本捏生地調製条件
低温保存後の各発酵湯種生地および湯種生地Qを用いて、図5の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
6)発酵、焼成条件
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
フロアタイム:30℃、30分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、70分
焼成:180℃、25分
製パン評価は、4人のパネラーによる製パン時生地状態、外観、内相、食感、風味の評価とレーザー体積計測機により求めた比容積により行った。また、保存後のパンの老化の評価として、ポリエチレン袋中で20℃で保存したパンについて、食感・風味の評価(1日後)とクラム部分の硬さ(1日、2日後)の評価を行った。硬さの評価は、山型食パンを2cmにスライスし、パン片の中央部分の合計3枚のクラムの中央を直径20mmのプランジャーを用いて1mm/sのスピードで50%圧縮した時の最大荷重によって評価を行った。3枚のパン片クラムの測定結果の平均値をデータとした。
湯種の微生物汚染で問題となるバチルス属の計測は平板培養法を用いて行った。即ち、製造後30℃の恒温器内で24時間ないしは48時間保管した湯種生地から生地の一部を滅菌した器具を用いて採取し滅菌水と混合後、interscience社製のスパイラルプレーターを用いて平板培地上に生地混合液を塗沫した。そして、平板培地に他の菌が混ざらないようにシャーレに蓋をし35℃で48時間培養した際に、培地上に形成されたコロニーの形状と菌体の形態観察からバチルス属のコロニー数を計測し湯種生地1gあたりのバチルス菌数を算出した。また、培地上にコロニーの形成がなされない場合は、検出限界値以下として200以下と表示した。
図5の結果から、製パン実施例の6、7、8の発酵湯種生地を用いたノータイム法の生地の製パン性については、製パン比較例9の生地と同等の良好な製パン性を示し、生地の分割、成形時の状態は非常に好ましく、パンの外観の評価は製パン比較例9より高く、より好ましい食感(もっちり感、口どけ感)を呈し、大きな比容積を示した。また、老化評価においても、この実施例のパンは明らかに食感・風味が良好でモチモチ感を維持しており、1日保存後の硬さが製パン比較例9とほぼ同等であった製パン実施例6、8においても2日保存後の老化が抑えられ、データからも明らかにソフトであり、風味(旨味、香り)が明らかに良好であった。さらに、課題とされていた微生物制御の問題について、バチルス属の増殖が明らかに製パン比較例9よりも抑えられており、良好であった。
以上の結果から、本実施例の発酵湯種生地を用いるノータイム法の製パン法により、パンの風味(旨味、香り)が際立って良好であり、保存中の老化も非常に遅く、風味とモチモチ食感が保存中に維持されたパンが製造可能であることが示された。また、従来の湯種製パン法で問題とされていた湯種生地保存中のバチルス属の増殖を抑えることが可能であることも示された。
(実施例6)
本実施例は、市販の酵母を用いて製造した発酵生成物を用いて前述の実施形態の方法をノータイム法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵湯種生地の調製、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。
1−1)発酵湯種生地R
発酵生成物として小麦粉100重量部、食塩5重量部、水130重量部、イースト5重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で90分発酵させた。本発酵生成物のpHは5.41であった。本発酵生成物全量をミキサーボールに入れ、6分間混合しながら加温し、発酵湯種生地Rを調製した。発酵湯種生地Rの捏上温度は61.2℃であった。
1−2)発酵湯種生地S
発酵生成物として小麦粉100重量部、食塩5重量部、水130重量部、イースト5重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で30分発酵させた。本発酵生成物のpHは5.67であった。本発酵生成物全量をミキサーボールに入れ、6分間混合しながら加温し、発酵湯種生地Sを調製した。発酵湯種生地Sの捏上温度は61.1℃であった。
3)生地低温保存条件
発酵湯種生地R,Sを5℃の冷蔵庫で12時間保存した。
4)本捏生地調製条件
低温保存後の発酵湯種生地R,Sを用いて、図6の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
6)発酵、焼成条件
フロアタイム:30℃、30分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、70分
焼成:180℃、25分
製パン評価は、バチルス属の検出以外、実施例5と同様に行なった。
図6の結果から、製パン実施例9の発酵湯種生地を用いたノータイム法の生地の製パン性や外観、内相、比容積の評価は製パン比較例10と差はなく同等であった。しかし、製パン実施例9はより好ましい食感(もっちり感、口どけ感)を呈し、老化評価においても、この製パン実施例9のパンは明らかに食感・風味が良好でモチモチ感を維持しており、1日、2日保存後の老化が抑えられ、データからもソフトであり、風味(旨味、香り)が明らかに良好であったのに比べて、製パン比較例10では湯種製パン法の特長であるモチモチ食感が劣っていた。
以上の結果から、pH5.6を上回る発酵生成物を用いた発酵湯種では食感や風味が劣ることが示された。
(実施例7)
本実施例は、市販の乳酸菌酵母混合液をもちいて製造した発酵生成物を用いて前述の実施形態の方法をノータイム法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵湯種生地の調製、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。
1−1)発酵湯種生地T
発酵生成物として小麦粉40重量部、市販乳酸菌酵母混合液25重量部、水25重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で5時間発酵させた。本発酵生成物のpHは4.03であった。発酵生成物全量と小麦粉60重量部、50℃の温水40重量部、食塩5重量部、米粉10重量部を完全に混合し全量を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に55±1℃にまで昇温した。その後、55±1℃に保持した状態で、3分間加熱し発酵湯種生地Tを調製した。
1−1)発酵湯種生地U
発酵生成物として小麦粉40重量部、市販乳酸菌酵母混合液25重量部、水25重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で5時間発酵させた。本発酵生成物のpHは4.10であった。発酵生成物全量と小麦粉60重量部、50℃の温水40重量部、食塩5重量部、米粉10重量部を完全に混合し全量を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に45±1℃にまで昇温した。その後、45±1℃に保持した状態で、3分間加熱し発酵湯種生地Uを調製した。
4)生地低温保存条件
発酵湯種生地T、Uを5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
5)本捏生地調製条件
低温保存後の発酵湯種生地T、Uを用いて、図7の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
6)発酵、焼成条件
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、60分
焼成:180℃、25分
製パン評価は、バチルス属の検出以外、実施例5と同様に行なった。
図7の結果から、製パン実施例10の発酵湯種生地を用いたノータイム法の生地の製パン性については、製パン比較例11の生地と同等以上の良好な製パン性を示し、パンの外観の評価は比較例11より高く、より好ましい食感(もっちり感、口どけ感)を呈し、大きな比容積を示した。また、老化評価においても、この実施例のパンは明らかに食感・風味が良好でモチモチ感を維持しており、製パン比較例11と1日保存後の硬さがほぼ同等であったが2日保存後の老化が抑えられ、データからも明らかにソフトであった。製パン比較例11は発酵種製パン法の風味は感じられるものの、湯種製パン法の特長であるもっちり感はほとんど感じられず、湯種製パン法のパンとは言えない品質であった。
以上の結果から、加温温度が55℃を下回る発酵湯種生地を用いた製パンでは、食感が明らかに劣ることが示された。

Claims (5)

  1. (a)最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程と、
    (b)前記発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程と、
    (c)前記発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、前記発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程と、
    を含むパンの製造方法。
  2. 前記工程(b)において、通電加熱装置によって加温される、
    ことを特徴とする請求項1に記載のパンの製造方法。
  3. 前記工程(b)において、調製された前記発酵湯種生地は、低温中で保存される、
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパンの製造方法。
  4. 前記最終生地は、低アミロース小麦品種由来の小麦粉を含む、
    ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパンの製造方法。
  5. 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたパン。
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