JP2018113886A - パン類生地の製造方法及びパン類の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】パンの製造方法は、(a)最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程と、(b)前記発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程と、(c)前記発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、前記発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程と、を含む。
【選択図】なし
Description
(a)最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程と、
(b)前記発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程と、
(c)前記発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、前記発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程と、
を含む。
本発明の第1の観点に係る製造方法によって製造される。
まず、本実施形態によるパンの製造方法について詳細に説明する。
この発酵種作成工程では、少なくとも全小麦量のうちの一部の小麦粉と水とイースト、あるいは乳酸菌を混合し発酵させpHが5.6以下の発酵種、あるいは少なくとも全小麦量のうちの一部の小麦粉とpHが5.6以下のヨーグルト、醤油、醸造酢、味噌、発酵風味液、発酵種等を混合した湯種前生地を作成する。発酵種を発酵させる際の発酵温度としては4〜40℃が好ましく、特に、10〜30℃が好ましい。また、発酵種は自由に組み合わせることができ、特に制限はない。
この発酵湯種生地作成工程では、前記湯種前生地に熱水10〜200重量部を添加し、混捏する、または温水10〜200重量部を添加し加熱しながら混捏することで前記湯種前生地を膨潤および糊化させた生地を作成する。また、前記湯種前生地と食塩とを混捏し、それに通電を行うことにより、設定温度(55〜98℃)まで加熱し、さらに、設定温度にて所定時間(5時間未満)維持し、発酵湯種生地を作成する。
作成された発酵湯種生地はその後低温でねかせて熟成させる。発酵湯種生地は、好ましくは−3〜20℃で2〜72時間ねかせて熟成させる。発酵湯種生地は、小麦粉に対して十分量の水を用いて作成されているため、十分な含水状態にある。熟成のための生地の温度低下は、ジャケット付冷却装置等で急激に冷却してもよく、また、冷蔵庫等に入れ通常通り徐冷してもよい。
次に、発酵湯種生地と、少なくとも残量の小麦粉、全量のイースト及び水等からなる原料を混捏してパン生地を作成する。このとき、発酵湯種生地、残量の小麦粉、全量のイースト、水等からなる原料を一緒にミキサーに投入して一度に混捏することができる。このパン生地を作成するにあたり使用する小麦粉量は、上記発酵湯種生地を作成したときに使用した小麦粉量の残り量である。また、イーストの量は常法のストレート法における量を添加することが可能である。また、このパン生地を作成するときには、これ以外に、イーストフード、酸化剤、生地改良剤、乳化剤、糖類、塩、脱脂粉乳、油脂、乳製品等から選ばれた1種類または2種類以上のものを適宜使用することが可能である。
得られた上記のパン生地を一定時間発酵する。発酵条件(一次発酵)は、通常のストレート法の発酵条件(時間、温度、湿度)が適当である。一次発酵終了後、生地の分割、丸目を行い、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや成形を行ってから最終発酵を行う。
次に、最終発酵後のパン生地を焼成し、パンを製造する。
少なくとも全小麦粉量のうち一部の小麦粉、全イーストもしくは常法において中種に通常添加する標準量のイースト、イーストフード及び水からなる原料を混捏して中種を作成する。この工程では、小麦粉はパン生地を構成する全小麦粉量のうち50重量部以上の小麦粉を使用する。ここで使用する小麦粉の量は、全小麦粉量のうちの60〜80%であることがより好ましい。
上記のようにして中種生地を作成した後、本生地を発酵させる。通常の中種生地の発酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。
次に、発酵湯種生地、発酵終了後の中種生地と、少なくとも残量の小麦粉及び水等からなる原料を混捏してパン生地を作成する。
このパン生地を所定時間発酵する。発酵は、常法の中種法の発酵条件(時間、温度、湿度)を採用することができる。ここでは、フロアタイムの間発酵後、生地を分割して丸目を行い、その後、ベンチタイムをとり、ガス抜きや成形を行ってから最終発酵を行う。
次に、最終発酵後の上記パン生地を焼成する。
次に、本実施形態によるパンについて説明する。
本実施例は、前述の実施形態のパンの製造方法をストレート法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として2種類の従来法の湯種生地を用いた製パン実験の結果も記載する。
発酵生成物Aの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉100重量部、イースト2重量部、水185重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して20℃湿度75%の恒温庫で24時間発酵させた。発酵生成物のpHは5.11となった。
発酵生成物A中の小麦粉100重量部に対して食塩5重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Aを調製した。なお、通電加熱装置として、チタン製の電極板を両端に設置したポリプロピレン製の容器を用いた。該容器に生地を入れ、電極板に20V以上の交流電圧を掛けて中心部の温度を測定しながら加熱した。加熱制御は、変圧器で昇温速度を0.1℃/秒程度に調節した上で、設定温度に到達後は任意の時間で保持することができる電気回路を用いた。加熱された生地において、設定温度に対し、±0.2℃以内の範囲で温度制御された。
小麦粉100重量部、食塩5重量部をミキサーボールに入れ、98℃に加温しておいた熱水100重量部を、小麦粉を混捏しながら徐々に添加し、3分間混捏し湯種生地Bを調製した。
小麦粉100重量部、食塩5重量部、水185重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Cを調製した。
発酵湯種生地A、湯種生地Bおよび湯種生地Cを5℃の冷蔵庫で18時間保存した。
熟成保存後の発酵湯種生地A、湯種生地Bおよび湯種生地Cを用いて、図1の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
第一発酵時間:30℃、60分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、60分
焼成:180℃、25分
本実施例は、前述の実施形態の方法を中種法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として2種類の湯種生地を用いた製パン実験の結果も記載する。
発酵生成物Dの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉100重量部、イースト10重量部、水150重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して20℃湿度75%の恒温庫で12時間発酵させた。発酵生成物のpHは5.01となった。
発酵生成物D中の小麦粉100重量部に対して食塩3重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に80±1℃にまで昇温させた。その後、80±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Dを調製した。
湯種生地Eについては、上述した湯種生地Bと同様に調製した。
小麦粉100重量部、食塩3重量部、水150重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Fを調製した。
発酵湯種生地D、湯種生地Eおよび湯種生地Fを5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
中種生地の調製は表2に示す配合で以下に示す条件で調製を行った。
中種生地ミキシング条件・捏上温度・中種生地発酵条件
ピンミキサーを用い低速で2分
捏上温度24℃
中種発酵27℃、4時間
図2に示す配合の中種生地と熟成保存後の発酵湯種生地D、湯種生地Eおよび湯種生地F、その他の原料を用いて、常法に基づいて以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:27℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
フロアタイム:30℃、15分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、18分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、50分
焼成:180℃、25分
本実施例は、前述の実施形態のパンの製造方法をノータイム法に適用して、バターロールを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として2種類の湯種生地を用いた製パン実験の結果も記載する。
発酵生成物Gの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉100重量部、イースト5重量部、水120重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で3時間発酵させた。発酵生成物のpHは4.98となった。
発酵生成物G中の小麦粉100重量部に対して食塩2重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵通電加熱生地Dを調製した。
湯種生地Hについては、上述した湯種生地Bと同様に調製した。
小麦粉100重量部、食塩2重量部、水120重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Iを調製した。
発酵湯種生地G、湯種生地Hおよび湯種生地Iを5℃の冷蔵庫で48時間保存した。
熟成保存後の発酵湯種生地G、湯種生地Hおよび湯種生地Iを用いて、図3の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成してバターロールを製造した。
分割・丸目:ミキシング終了後即生地量40gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:バターロール形状に手成形
最終発酵:38℃、湿度85%、50分
焼成:210℃、9分
本実施例は、前述の実施形態の方法をストレート法に適用して、小麦粉としてやや低アミロースの国産小麦粉を用いて山型食パンを製造した例である。発酵生成物調製、発酵湯種生地調製、生地低温保存、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。なお、比較例として市販強力粉を用いて作成した湯種生地を用いた同条件の製パン実験の結果も記載する。発酵湯種生地、市販強力粉の湯種生地について、それぞれ2種類の湯種生地を調製し製パン実験を行なった。
発酵生成物Jの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉(小麦品種:ゆめちから)100重量部、イースト8重量部、水160重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で12時間発酵させた。発酵生成物のpHは4.78となった。
発酵生成物Kの調製は、以下の様にして行った。
小麦粉(小麦品種:きたほなみ)100重量部、イースト8重量部、水160重量部を攪拌機で混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で12時間発酵させた。発酵生成物のpHは4.88となった。
発酵生成物J中の小麦粉(小麦品種:ゆめちから)100重量部に対して食塩4重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Jを調製した。
発酵生成物K中の小麦粉(小麦品種:きたほなみ)100重量部に対して食塩4重量部を添加し、攪拌機を用いて均一に混合した。完全に混合された発酵生成物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に85±1℃にまで昇温させた。その後、85±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した発酵湯種生地Kを調製した。
湯種生地Lについては、市販外麦強力粉を用い、上述した湯種生地Bと同様に調製した。
小麦粉(市販外麦強力粉)100重量部、食塩4重量部、水160重量部を容器に入れて攪拌機で均一に混合した。完全に混合された原料混合物を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に75±1℃にまで昇温させた。その後、75±1℃に保持した状態で、10分間加熱し通電加熱により膨潤糊化した湯種生地Mを調製した。
発酵湯種生地Jおよび発酵湯種生地K、湯種生地Lおよび湯種生地Mを5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
熟成保存後の発酵湯種生地Jおよび発酵湯種生地K、湯種生地Lおよび湯種生地Mを用いて、図4の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:27℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
第一発酵時間:30℃、60分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、15分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、60分
焼成:180℃、25分
本実施例は、市販の発酵生成物を用いて前述の実施形態の方法をノータイム法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵湯種生地の調製、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。
発酵生成物として市販のヨーグルトを用いた。本ヨーグルトのpHは4.12であった。
小麦粉100重量部、市販ヨーグルト40重量部をミキサーボールに入れ、98℃に加温しておいた熱水70重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、2分間混捏し発酵湯種生地Nを調製した。発酵湯種生地Nの捏上温度は61.2℃であった。
発酵生成物として市販の発酵風味液を用いた、本発酵風味液のpHは3.58であった。小麦粉100重量部、市販殺菌発酵風味液30重量部をミキサーボールに入れ、95℃に加温しておいた熱水70重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、2分間混捏し発酵湯種生地Oを調製した。発酵湯種生地Oの捏上温度は60.8℃であった。
発酵生成物Pとして発酵湯種生地Oに用いたのと同様の市販の発酵風味液を用いた。小麦粉100重量部、市販殺菌発酵風味液20重量部をミキサーボールに入れ、95℃に加温しておいた熱水80重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、2分間混捏し発酵湯種生地Pを調製した。発酵湯種生地Pの捏上温度は61.8℃であった。
小麦粉100重量部をミキサーボールに入れ、98℃に加温しておいた熱水100重量部を、小麦粉を混捏しながら添加し、1分間混捏し湯種生地Qを調製した。湯種生地Qの捏上温度は62.4℃であった。
各発酵湯種生地および湯種生地Qを5℃の冷蔵庫で16時間保存した。
低温保存後の各発酵湯種生地および湯種生地Qを用いて、図5の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
フロアタイム:30℃、30分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、70分
焼成:180℃、25分
本実施例は、市販の酵母を用いて製造した発酵生成物を用いて前述の実施形態の方法をノータイム法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵湯種生地の調製、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。
発酵生成物として小麦粉100重量部、食塩5重量部、水130重量部、イースト5重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で90分発酵させた。本発酵生成物のpHは5.41であった。本発酵生成物全量をミキサーボールに入れ、6分間混合しながら加温し、発酵湯種生地Rを調製した。発酵湯種生地Rの捏上温度は61.2℃であった。
発酵生成物として小麦粉100重量部、食塩5重量部、水130重量部、イースト5重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で30分発酵させた。本発酵生成物のpHは5.67であった。本発酵生成物全量をミキサーボールに入れ、6分間混合しながら加温し、発酵湯種生地Sを調製した。発酵湯種生地Sの捏上温度は61.1℃であった。
発酵湯種生地R,Sを5℃の冷蔵庫で12時間保存した。
低温保存後の発酵湯種生地R,Sを用いて、図6の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
6)発酵、焼成条件
フロアタイム:30℃、30分
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、70分
焼成:180℃、25分
本実施例は、市販の乳酸菌酵母混合液をもちいて製造した発酵生成物を用いて前述の実施形態の方法をノータイム法に適用して、山型食パンを製造した例である。発酵湯種生地の調製、本捏、発酵、焼成工程を、それぞれ以下の条件で製パン実験を行った。
発酵生成物として小麦粉40重量部、市販乳酸菌酵母混合液25重量部、水25重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で5時間発酵させた。本発酵生成物のpHは4.03であった。発酵生成物全量と小麦粉60重量部、50℃の温水40重量部、食塩5重量部、米粉10重量部を完全に混合し全量を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に55±1℃にまで昇温した。その後、55±1℃に保持した状態で、3分間加熱し発酵湯種生地Tを調製した。
発酵生成物として小麦粉40重量部、市販乳酸菌酵母混合液25重量部、水25重量部を混捏し、原料混合物を容器に密閉して30℃湿度75%の恒温庫で5時間発酵させた。本発酵生成物のpHは4.10であった。発酵生成物全量と小麦粉60重量部、50℃の温水40重量部、食塩5重量部、米粉10重量部を完全に混合し全量を通電加熱装置に入れ、容器から水分蒸発が起こらないように十分密閉して加熱を開始し、短時間に45±1℃にまで昇温した。その後、45±1℃に保持した状態で、3分間加熱し発酵湯種生地Uを調製した。
発酵湯種生地T、Uを5℃の冷蔵庫で24時間保存した。
低温保存後の発酵湯種生地T、Uを用いて、図7の全原料をミキサーボールに入れ、以下の条件でミキシングを行った。ミキシング時のピンミキサーの電力量の変化を指標に電力量ピークを少し過ぎるまで高速でミキシングを行った。
捏上温度:28℃
次いで、以下の条件で、常法により発酵、焼成して山型食パンを製造した。
分割・丸目:生地量100gずつ手分割、丸目
ベンチタイム:30℃、20分
成形:モルダーにて成形し、パン型に入れる
最終発酵:38℃、湿度85%、60分
焼成:180℃、25分
Claims (5)
- (a)最終pHがpH5.6以下である発酵生成物を調製する工程と、
(b)前記発酵生成物から、55℃〜98℃に加温して、発酵湯種生地を調製する工程と、
(c)前記発酵湯種生地を、最終生地中の小麦粉100重量部に対して、前記発酵湯種生地中の小麦粉2〜20重量部の量で配合して最終生地を調製する工程と、
を含むパンの製造方法。 - 前記工程(b)において、通電加熱装置によって加温される、
ことを特徴とする請求項1に記載のパンの製造方法。 - 前記工程(b)において、調製された前記発酵湯種生地は、低温中で保存される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載のパンの製造方法。 - 前記最終生地は、低アミロース小麦品種由来の小麦粉を含む、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のパンの製造方法。 - 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の製造方法によって製造されたパン。
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