JP2012187070A - 湯種およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】澱粉質原料、食塩及び水の混合物を、55〜100℃で混捏して調製される湯種であって、当該湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%であることを特徴とする湯種。
【選択図】なし
Description
(I-1)澱粉質原料、食塩及び水の混合物を、55〜100℃で混捏する工程を経て調製される湯種であって、当該湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%であることを特徴とする湯種。
(I-2)澱粉質原料100重量部に対して、食塩の割合が5〜15重量部であることを特徴とする(I-1)記載の湯種。
(I-3)冷凍または冷蔵されてなる湯種である、(I-1)または(I-2)記載の湯種。
(I-4)澱粉質原料が、穀物、穀粉、澱粉質を含む植物種子、種子粉、澱粉質を含む植物体(野菜を含む)、当該植物体粉、及び澱粉(加工澱粉を含む)から選択されるいずれか少なくとも1種である(但し、100%米粉である場合を除く)、(I-1)乃至(I-3)のいずれかに記載する湯種。
(I-5)穀物が小麦、大麦またはともろこし;穀粉が小麦粉(例えば、強力粉、薄力粉、小麦全粒粉)またはコーンフラワー;澱粉質を含む植物種子が豆またはそば;種子粉が大豆粉またはそば粉;澱粉質を含む植物体が芋またはワラビ;植物体粉が馬鈴薯粉またはワラビ粉;澱粉がコーンスターチ、緑豆澱粉、馬鈴薯澱粉、または葛粉;加工澱粉がタピオカエーテル化澱粉または小麦アルファ化澱粉からなる群から選択されるいずれか少なくとも1種である(但し、100%米粉である場合を除く)、(I-4)に記載する湯種。
(I-6)水として55〜100℃に加温した水を使用する(I-1)乃至(I-5)のいずれかに記載する湯種。
(I-7)小麦粉100質量部に対して、大豆油20質量部、食塩10質量部及び砂糖10質量部を含む湯種を含まない、(I-1)乃至(I-6)のいずれかに記載する湯種。
(I-8)小麦粉(薄力粉)に加水し(加水量:対粉120重量%)、多糖分解酵素ヘミセルラーゼを添加して調製される湯種を含まない、(I-1)乃至(I-6)のいずれかに記載する湯種。
(I-9)澱粉質原料、食塩及び水を含有する食塩濃度2.4〜7重量%の混合物を55〜100℃で混捏する工程を有する湯種の製造方法。
(I-10)澱粉質原料100重量部に対して、食塩を5〜15重量部の割合で配合することを特徴とする(I-9)記載の製造方法。
(I-11)澱粉質原料、食塩及び水を常温で混合した後に、当該混合物を55〜100℃に加温して混捏する工程を有する、(I-1)乃至(I-7)のいずれかに記載する製造方法。
(II-1)(I-1)乃至(I-8)のいずれかに記載する湯種を原料として、これに澱粉質原料、副材料及び水を混捏して調製されるベーカリー製品用生地。
(III-1)(II-1)に記載するベーカリー製品用生地を、加熱処理して製造されるベーカリー製品。
(III-2)加熱処理が、焼成、蒸す、蒸し焼き、及び油ちょうからなる群から選択される少なくとも1つの処理である、(III-1)に記載するベーカリー製品。
(III-3)ベーカリー製品が、パン類、パン類乾燥品、ケーキ類、ワッフル、シュー、ドーナツ、揚げ菓子、パイ、ピザ、及びクレープからなる群から選択される少なくとも1つの処理である(III-1)または(III-2)に記載するベーカリー製品。
澱粉質原料及び水を含む混合物を55〜100℃で混捏して調製される湯種の明度向上方法であって、上記混合物に加えて、食塩を、湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%となる割合で配合することを特徴とする、湯種の明度向上方法。
澱粉質原料及び水を含む混合物を55〜100℃で混捏して調製される湯種の着色抑制方法であって、上記混合物に加えて、食塩を、湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%となる割合で配合することを特徴とする、湯種の着色抑制方法。
(1)湯種及びその製造方法
本発明が対象とする湯種は、パン等のベーカリー製品の製造方法の一つである「湯種法」(「湯捏法」ともいう)の製造の過程で作製される、澱粉の一部がα化されてなる中麺である。
本発明の湯種は、ベーカリー製品用生地の材料として使用される。すなわち、ベーカリー製品用生地は、上記方法で得られた湯種と、原材料(以下、「生地作製用原材料」ともいう。)、及び、所望により水分とを混捏することによって製造される(以下、この工程を「生地作製工程」という。)。具体的には、本発明の湯種、生地作製用原材料及び、所望により水分を、一緒にミキサーに投入して、一度に混捏することによりベーカリー製品用生地を作製することができる。
本発明は、さらに湯種の明度を向上させる方法を提供する。
本発明は、また湯種の着色を抑制する方法を提供する。
様々な食塩濃度(0〜23%)を有する湯種を5℃で1日間(24時間)保管するか、または5℃で10日間(240時間)保管した後に、色差計(商品名「Color Meter ZE2000」、日本電色工業株式会社製)を用いて色差を測定し(測定モード:L*a*b*)、湯種の食塩濃度と着色(変色)との関係を評価した。
強力粉(商品名「ヘルメス」(粗蛋白11.8%、灰分0.38%)、奥本製粉(株)製:以下同じ)100重量部に対して、水200重量部を加え、卓上ミキサー(商品名「ケンミックスアイコープロKM-600」、(株)愛工舎製作所製)で均一になるまで撹拌した後、1mm×1mmのメッシュで濾し、小麦粉溶液を作製した。この小麦粉溶液に対して、所定の塩分濃度(表1)になるように食塩(精製塩:塩化ナトリウム99.90%以上)を添加した。例えば、3%の食塩濃度とするには、小麦粉溶液97gに対し、食塩を3g添加し、完全に溶解させる。
上記で作製した各食塩濃度(0〜23%)の湯種を2つにわけ、一つは5℃条件下に1日間(24時間)保管し(以下、これを「湯種D1」という。)、もう一つは5℃条件下に10日間(240時間)保管した(以下、これを「湯種D10」という。)。これらをそれぞれポリ塩化ビニリデン製ラップに包み、色差計に乗せてL(明度)、a(赤味)、及びb(黄色味)を測定した。また、各「湯種D1」及び「湯種D10」について、食塩濃度が0%である湯種(「0%湯種D1」及び「0%湯種D10」)の各値(L値、a値、b値)との差を求め、それぞれΔL、Δa及びΔbとし、その値から総合的な色差(ΔE=√(ΔL2+Δa2+Δb2))を求めた。さらに、同一の食塩濃度の「湯種D1」と「湯種D10」との間の経時変化を、下記数式に従って求めた。なお、下記数式中、湯種D1と湯種D10は、互いに同一の食塩濃度の湯種である。
結果を表1及び2,並びに図1〜3に示す。
実験例1に記載する方法に従って調製した、様々な食塩濃度(0〜23%)を有する湯種を、レトルトパウチに入れた状態で5℃にて24時間保管した後、レオメーター(CREEP METER RE2-3305S、株式会社山電製)を用いて硬さ荷重(N)、付着性(J/m3)、及びガム性荷重(N)を測定し、物性を評価した。
具体的には、5℃にて24時間保管した湯種をステンレス製カップ(直径:40mm、深さ:15mm)に隙間なく入れ、試料台にセットした。そこに、ロードセル(上限20N用)に固定したプランジャー(直径:5.0mm)を、湯種の高さの50%まで押し込み(測定歪み率:50%)、次いでこれを引き抜き、再度同じ場所にプランジャーを押し込み、同様に引き抜いた(圧縮回数:2回、圧縮速度:1 mm/秒)。これらの動作にかかった荷重から、硬さ荷重(N)、付着性(J/m3)、及びガム性荷重(N)を求めた。なお、硬さ荷重(N)は、図4に示すように、湯種にプランジャーを押し込んだ際にかかった最大圧力に相当する。
結果を表3及び図5に示す。
<処方>
強力粉 100重量部(40.8%)(注)
食塩 15重量部(6.1%)
水 130重量部(53.1%)
(注)()内の%表記は、当該湯種中の各組成の重量パーセントを表す。
強力粉と食塩(いずれも25℃)を容器に入れ、その中に95℃の湯を投入し、ダマが無くなるまで撹拌(ミキシング)した。ミキシングが終了した後の湯種の温度は70℃であった。その後、5℃で保管した。
<処方>
ライ麦粉 100重量部(16.3%)(注)
米粉 150重量部(24.4%)
食塩 15重量部(2.4%)
砂糖 50重量部(8.1%)
水 300重量部(48.8%)
(注)()内の%表記は、当該湯種中の各組成の重量パーセントを表す。
ライ麦粉、米粉、食塩、砂糖、及び水をダマが無くなるまで撹拌した。この時、各材料の温度は10℃〜30℃とした。その後、この撹拌混合物をステンレス製容器に移し、その外側から電熱線を使用して、内容物が75℃になるまで加熱した。斯くして調製した湯種を、その後0℃で24時間冷却後、−18℃で冷凍保管した。
<処方>
強力粉 100重量部(23.3%)(注)
コーンスターチ 100重量部(23.3%)
食塩 30重量部(7.0%)
牛乳 100重量部(23.3%)
マーガリン 50重量部(11.55%)
水 50重量部(11.55%)
(注)()内の%表記は、当該湯種中の各組成の重量パーセントを表す。
強力粉、コーンスターチ、及び食塩を容器に入れ、これに95℃に加温した牛乳を投入し、ダマが無くなるまで撹拌した。この時、牛乳を混ぜる前の強力粉、コーンスターチ、及び食塩の温度はそれぞれ20℃で、牛乳を混ぜた後の混合物の温度は60℃であった。その後、この混合物にマーガリン及び水(いずれも5℃)を投入し、再度ダマが無くなるまで混合した。斯くして調製した最終混合物(湯種)の温度は25℃であった。
<処方>
強力粉 100重量部
湯種(実施例1〜3のいずれか) 30重量部
食塩 0.1、1.3または0重量部(注)
砂糖 5重量部
ショートニング 5重量部
生イースト 2重量部
ビタミンC 0.001重量部
水 65重量部
(注)実施例1の湯種を使用した場合は0.1重量部:実施例2の湯種を使用した場合は1.3重量部:実施例3の湯種を使用した場合は0重量部。
カントーミキサー製20コート縦型ミキサーを使用して、ショートニング以外の材料を混捏した。生地のグルテンが結合して、生地の弾力が強くなった時点で、ショートニングを加え、再度混捏し、パン生地のグルテンが十分に結合され、なめらかな生地状態になった段階で混捏を終了した。この時の生地温度は28℃であった。
<処方>
強力粉 100重量部
湯種(実施例1〜3のいずれか) 20重量部
食塩 0.3、1.0または0.1重量部(注)
砂糖 15重量部
マーガリン 15重量部
生イースト 3重量部
卵 15重量部
ビタミンC 0.001重量部
水 40重量部
(注)実施例1の湯種を使用した場合は0.3重量部:実施例2の湯種を使用した場合は1.0重量部:実施例3の湯種を使用した場合は0.1重量部。
カントーミキサー製20コート縦型ミキサーを使用して、マーガリン以外の材料を混捏した。生地のグルテンが結合して、生地の弾力が強くなった時点で、マーガリンを加え、再度混捏し、パン生地のグルテンが十分に結合され、なめらかな生地状態になった段階で混捏を終了した。この時の生地温度は28℃であった。
<処方>
米粉 80重量部
グルテン粉末 20重量部
湯種(実施例1〜3のいずれか) 30重量部
食塩 0.1、1.3または0重量部(注)
砂糖 10重量部
ショートニング 5重量部
生イースト 3重量部
水 75重量部
(注)実施例1の湯種を使用した場合は0.1重量部:実施例2の湯種を使用した場合は1.3重量部:実施例3の湯種を使用した場合は0重量部。
カントーミキサー製20コート縦型ミキサーを使用して、すべての材料を混捏した。生地のグルテンが十分に結合された段階で混捏を終了した。この時の生地温度は28℃であった。
Claims (12)
- 澱粉質原料、食塩及び水の混合物を、55℃〜100℃で混捏して調製される湯種であって、当該湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%であることを特徴とする湯種。
- 澱粉質原料100重量部に対して食塩の割合が5〜15重量部であることを特徴とする請求項1記載の湯種。
- 澱粉質原料が穀粉である請求項1または2に記載の湯種。
- 澱粉質原料が小麦粉である請求項1または2に記載の湯種。
- 冷凍または冷蔵されてなる請求項1乃至4のいずれかに記載の湯種。
- 澱粉質原料、食塩及び水を含有する食塩濃度2.4〜7重量%の混合物を55〜100℃で混捏する工程を有する、請求項1乃至5のいずれかに記載する湯種の製造方法。
- 請求項1乃至5のいずれかに記載する湯種を原料として調製されるベーカリー製品用生地。
- 請求項7に記載するベーカリー製品用生地を、加熱処理して製造されるベーカリー製品。
- 澱粉質原料及び水を含む混合物を55〜100℃で混捏して調製される湯種の明度向上方法であって、上記混合物に、食塩を、湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%となる割合で配合することを特徴とする、湯種の明度向上方法。
- 食塩を、澱粉質原料100重量部に対して5〜15重量部の割合で配合することを特徴とする、請求項9に記載する湯種の明度向上方法。
- 澱粉質原料及び水を含む混合物を55〜100℃で混捏して調製される湯種の着色抑制方法であって、上記混合物に、食塩を、湯種中の食塩濃度が2.4〜7重量%となる割合で配合することを特徴とする、湯種の着色抑制方法。
- 食塩を、澱粉質原料100重量部に対して5〜15重量部の割合で配合することを特徴とする、請求項11に記載する湯種の着色抑制方法。
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