JP2018095831A - 軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明の一実施形態の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物(以下、インキ組成物ともいう)は、顔料と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを主に含む。以下、それぞれについて説明する。
顔料は、一般に有機溶剤を含有するインキ組成物で使用され得る無機、有機および体質顔料が例示される。無機顔料としては、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、カーボンブラック、黒鉛等が例示される。有機顔料としては、溶性アゾ顔料、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料、縮合多環顔料等が例示される。体質顔料としては、炭酸カルシウム、カオリンクレー、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、タルク等が例示される。
バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂を含む。ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂を含む。また、本実施形態のポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含む。このようなバインダー樹脂が含まれていることにより、本実施形態のインキ組成物は、樹脂の粘度が低減される。そのため、インキ組成物は、顔料分散性が向上し、インキ組成物中の顔料濃度を高くすることができる。その結果、インキ組成物は、浅版を使用して印刷することも可能である。浅版が使用されることにより、必要な溶剤量が低減する。これにより、本実施形態のインキ組成物は、さらに、環境負荷を低減し得る。
ポリウレタン樹脂を含むだけでは、顔料が充分に分散されない場合や、金属蒸着フィルム等の接着性やラミネート適性を向上させる場合には、インキ組成物は、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体が併用されることが好ましい。塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの共重合体であってもよい。中でも、塩化ビニルモノマーと酢酸ビニルモノマーの共重合体は、環境に配慮したインキの有機溶剤系においては、水酸基を有する、好ましくは、50〜200の水酸基を有する塩化ビニル酢酸ビニル共重合体が好適である。このような水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体は、酢酸エステル部分の一部をケン化することにより得られ得る。
式2 −CH2−CH(OCOCH3)−
式3 −CH2−CH(OH)−
本実施形態の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物は、耐ブロッキング性を向上させるために、硝化綿、セルロースアセテートプロピオネート樹脂が併用されてもよい。
硝化綿は、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されている硝化綿が使用され得る。硝化綿は、天然セルロースと硝酸を反応させて、天然セルロース中の無水グルコピラノース基の6員環中の3個の水酸基を、硝酸基に置換した硝酸エステルとして得られるものである。本実施形態において使用され得る硝化綿は、窒素量10〜13%、平均重合度35〜90のものが好ましい。具体例としては、硝化綿は、SS1/2、SS1/4、SS1/8、TR1/16、NC RS−2、(KCNC、KOREA CNC LTD社製)等である。
セルロースアセテートプロピオネート樹脂は、従来、グラビア印刷インキ組成物に使用されているセルロースアセテートプロピオネート樹脂が使用され得る。
さらに、本実施形態のインキ組成物は、その他のバインダー樹脂として、性能が低下しない範囲、さらにコストを考慮して、セルロースアセテートブチレート樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ロジン、ロジン誘導体や粘着性樹脂等が補助的に添加されてもよい。
有機溶剤は、顔料およびバインダー樹脂を溶解させるために配合される。有機溶剤は特に限定されない。一例を挙げると、有機溶剤は、トルエン、ケトン系有機溶剤(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル系有機溶剤(酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル等)、アルコール系有機溶剤(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等)、炭化水素系溶剤(トルエン、メチルシクロヘキサン等)であってもよい。これらの中でも、環境問題への対応と、インキの印刷適性や乾燥性などを考慮して、有機溶剤は、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との混合溶剤であることが好ましい。この場合、エステル系有機溶剤とアルコール系有機溶剤との使用割合は、エステル系有機溶剤/アルコール系有機溶剤=50/50〜95/5の範囲であることが好ましい。
本実施形態のインキ組成物は、適宜、粘着付与剤、架橋剤、滑剤、耐ブロッキング剤、帯電防止剤、界面活性剤、キレート化剤、ハードレジン等の各種添加剤が配合されてもよい。
攪拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオールの200質量部、イソホロンジイソシアネートの17.6質量部、水添MDIの21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの400質量部、イソプロピルアルコールの171質量部を加えた後、イソホロンジアミンの8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミンの0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミンの1.3質量部、ジエチレントリアミンの0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスA(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
攪拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、平均分子量2000の3−メチル−1,5−ペンチレンアジペートジオールの200質量部、イソホロンジイソシアネートの17.6質量部、水添MDIの21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの406質量部、イソプロピルアルコールの175質量部を加えた後、イソホロンジアミンの9.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミンの0.7質量部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスB(固形分30質量%、アミン価0)を得た。
攪拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)と1,3−プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールの200質量部、イソホロンジイソシアネートの17.6質量部、水添MDIの21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの400質量部、イソプロピルアルコールの171質量部を加えた後、イソホロンジアミンの8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミンの0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミンの1.3質量部、ジエチレントリアミンの0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスC(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
攪拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、ダイマー酸(植物由来)と1,3−プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールの200質量部、イソホロンジイソシアネートの17.6質量部、水添MDIの21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの400質量部、イソプロピルアルコールの171質量部を加えた後、イソホロンジアミンの8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミンの0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミンの1.3質量部、ジエチレントリアミンの0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスD(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
攪拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)/コハク酸(植物由来)=70/30(質量比)と1,3−プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールの200質量部、イソホロンジイソシアネートの17.6質量部、水添MDIの21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの400質量部、イソプロピルアルコールの171質量部を加えた後、イソホロンジアミンの8.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミンの0.35質量部を加え反応させ、その後、イソホロンジアミンの1.3質量部、ジエチレントリアミンの0.6質量部を加えて反応停止させてポリウレタン樹脂ワニスE(固形分30質量%、アミン価3.2)を得た。
攪拌機、冷却管および窒素ガス導入管を備えた四つ口フラスコに、セバシン酸(ひまし油由来)と1,3−プロパンジオール(植物由来)から得られる平均分子量2000のポリエステルジオールの200質量部、イソホロンジイソシアネートの17.6質量部、水添MDIの21.0質量部を仕込み、窒素ガスを導入しながら100〜105℃で6時間反応させた。室温近くまで放冷し、酢酸エチルの406質量部、イソプロピルアルコールの175質量部を加えた後、イソホロンジアミンの9.2質量部を加えて鎖伸長させ、さらにモノエタノールアミンの0.7質量部を加えて反応停止させ、ポリウレタン樹脂ワニスF(固形分30質量%、アミン価0)を得た。
顔料(酸化チタンR−960、デュポン社製)、上記ポリウレタン樹脂ワニスA〜E、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂(ソルバインTA−3,日信化学工業(株)製)を、レッドデビル社製のペイントコンデショナーを用いて混練し、さらに溶媒を加えて、表1に示した実施例1〜10、比較例1、2、参考例1の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物を得た。
顔料(フタロシアニンブルー、C.I.15:4)、ポリウレタン樹脂ワニスAとC、塩化ビニル−酢酸ビニル系樹脂(ソルバインTA−3、日信化学工業(株)製)を、レッドデビル社製のペイントコンデショナーを用いて混練し、さらに溶媒を加えて、表1に示した実施例11、12の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物を得た。
上記で得られた実施例1〜10、比較例1、2、参考例1の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、12の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の性能評価を下記方法にて行った。評価結果を表1に示す。
上記で得られた実施例1〜10、比較例1、2、参考例1の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、12の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の各々をガラス瓶に採取し、60℃の雰囲気温度で14日間保存した時の顔料の沈降の有無から、インキの保存安定性を評価した。
A:インキは、沈降が見られず、保存安定性が良好であった。
B:インキは、沈降が見られ、保存安定性が不良であった。
実施例1〜10、比較例1、2、参考例1の軟包装用ラミネート用白色インキ組成物、実施例11、12の軟包装用ラミネート用藍色インキ組成物の各々100質量部に対し、さらに表1の配合にしたがって混合液の50質量部で希釈し、粘度を(株)離合社製ザーンカップ3号で15秒に調整した後、彫刻版(印刷刷版、ヘリオ175線/inch)を備えたグラビア印刷機にて、OPP、PET、NYの処理面に印刷速度150m/分で印刷を行った。
PET:片面にコロナ放電処理を施したポリエチレンテレフタレートフィルム、東洋紡績(株)製、E−5102、厚さ12μm
OPP:二軸延伸ポリプロピレンフィルム、東洋紡績(株)製、P−2161、厚さ30μm
NY:ナイロンフィルム、東洋紡績(株)製、N−1102、厚さ15μm
印刷適性については、印刷終了時の印刷部分における、版にインキが詰まったことに起因するカスレの面積の割合から評価した。
A:カスレが全くみられなかった。
B:カスレが少しみられた。
C:カスレが多くみられた。
ポリエチレンテレフタレート(PET)およびナイロン(NY)に印刷後1日経過した各印刷物に、固形分で2.0g/m2となる量のウレタン系接着剤(タケラックA−525/タケネートA−52、三井化学ポリウレタン(株)製)を塗布した後、ドライラミネート機で無延伸ポリプロピレンフィルム(RXC−22、厚さ60μm、三井化学東セロ(株)製)を貼り合わせ、40℃で3日放置してドライラミネート物を得た。このドライラミネート物を製袋し、中に水90重量%、サラダ油10重量%の混合物を詰めて溶封後、PETに印刷したものは135℃の加圧熱水中に60分間浸漬した時のラミ浮きの程度からレトルト適性を評価した。NYに印刷したものは120℃で同様の試験評価を行った。この評価によって、ラミネート適性を確認できる。
A:全くラミ浮きが見られなかった。
B:ピンホール状もしくは一部に細くて短いラミ浮きが見られた。
C:長い筋状のラミ浮きが全面に見られた。
Claims (6)
- 顔料と、バインダー樹脂と、有機溶剤とを含み、
前記バインダー樹脂は、ポリウレタン樹脂を含み、
前記ポリウレタン樹脂は、バイオマスポリウレタン樹脂を含み、かつ、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含み、
前記バイオマスポリウレタン樹脂の含有量は、前記ポリウレタン樹脂中、10〜100質量%である、軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。 - 前記バイオマスポリウレタン樹脂は、バイオポリオール成分と、イソシアネート成分とを反応させたバイオマスポリウレタン樹脂であり、
前記バイオポリオール成分は、植物由来の炭素数が2〜4の短鎖ジオール成分と、植物由来のカルボン酸成分とを反応させたバイオポリエステルポリオール(B)である、請求項1記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。 - 前記カルボン酸成分は、セバシン酸、コハク酸およびダイマー酸からなる群から選択される少なくともいずれか1種である、請求項2記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
- 前記イソシアネート成分は、植物由来のバイオイソシアネートである、請求項2または3記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
- 前記バイオマスポリウレタン樹脂およびバイオマスポリウレタン樹脂以外のポリウレタン樹脂は、末端に第1級アミノ基または第2級アミノ基の少なくともいずれか一方を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
- 水酸基を有する塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、硝化綿およびセルロースアセテートプロピオネート樹脂からなる群から選択される少なくとも1以上の化合物をさらに含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載の軟包装用ラミネート用印刷インキ組成物。
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